1月17日(金)


目黒茶屋坂方面を睨み続ける猪





リコー・PENTAX K-1 Mk2 + smc PENTAX-FA31mmF1.8 AL Limited


 約20年前に設計されたFA Limitedレンズ、43mmF1.9、77mmF1.8、そして31mmF1.9の3本は、モデルチェンジはもちろんマイナーチェンジもされることなく発売時の姿そのままで、現行製品としていまも発売継続されています(じつは、ごくごく小さな"変更"はされているようですが詳細は不明です)。

 いうまでもなく3本のFA Limitedはフルサイズ判対応の交換レンズ。PENTAXのデジタル一眼レフカメラはずっと長期間、APS-C判だけを作り続けていましたがそんな状況でも、FA Limitedレンズが売れ続けてきたというもの不思議です。
 3本のFA Limitedレンズとはどのようなレンズなのか、そんな話を続けています。



 レンズ焦点距離が、43mmだとか77mm、31mmなどという中途半端な数値になったのも、感応性能に重点を置くために敢えて収差を残しながらも同時に結像性能を確保する"わがまま"な光学設計を優先した結果のようです。
 焦点距離や開放F値など既存の制約にとらわれないで、ぼけ味 ━━ その当時はいまほどウルさく言われなかった ━━ や、立体感(奥行き感)、透明感(空気感)など、写真表現のための描写性能を引き出す手法をとったためだったといいます。
 その思想はAPS-C判デジタルカメラ用として開発された「DA Limitedレンズ」にも受け継がれて"中途半端"な焦点距離になっています。

 さて43mm、77mmに続いて3本めとなる「smc PENTAX-FA31mmF1.8 AL Limited」も発売されることになったのですが、この31mmは平川 純さんの設計ではなく、光学設計の担当はMさん変わりました。
 そのせいか、同じFA Limitedではあるのですが31mmは、43mmや77mmとは"かなり"趣向の異なるレンズに仕上がっています。
 当初は平川さんが続けて31mmも担当する予定だったようですが「とある事情」で光学設計者が変わりました。このへんのことについてはデリケートなこともあるので詳細は避けます(経緯などについてはぼくはいまでも憤慨していますけれど)。

 31mmはともかくとして、43mm/77mmの2本とも平川さん設計なのですが、こちらは、はたして同じ光学設計者が手がけたものだろうか、と疑わしくなるほど個性(クセ)の異なるレンズに仕上がっています。



 というわけで以下、3本それぞれのFA Limitedレンズの、まったくぼく個人の感想を。
 なので、それなりにカルく聞き流しておいてほしい。





 43mmレンズは「いたずら小僧」といった印象を受ける。使いこなしは3本の中でもっとも難しい(と思う)。撮影シーン、撮影距離(ピント位置)、絞り値などによって描写具合が"豹変"する我が儘なレンズです。
 そこがイイんだよ、という"へそ曲がり"な人も多い(ぼくもその一人ですが)。見かけのレンズスタイル(パンケーキタイプ)はごく平凡なのですが不思議な魅力を秘めたレンズでもあります。





 6群7枚のレンズ構成で、絞り羽根はこの43mmだけが8枚です(他のレンズは9枚羽根)。6群7枚構成の7枚はすべて通常一般のガラス硝材で、いわゆる特殊光学レンズは使っていません(一部に屈折率の高い硝材を使っているかもしれませんが不明)。
 ピント合わせのに時は、6群7枚が「ひと塊」となって前後します。シンプルな全群繰り出し方式です。この方式の利点は、遠距離、近距離とピント位置が変化しても収差変動が少なく安定した描写をすることです。とくに至近距離での描写が良い。逆に欠点は、重く大きなレンズ群を前後しなければならないためAFスピードは遅くなるし駆動音も大きくなります。



 AFスピードの遅さ、AF時の駆動音のウルささ、は77mmレンズにも言えます。
 77mmレンズも6群7枚構成で、特殊ガラス硝材を使わず見かけはシンプルな光学設計ですが、使って撮ってみればわかりますが、とてもきめ細やかな感じのする光学設計です。
 77mmの描写は「線の細い柔らかな」女性的印象のするレンズです。3本のFA Limitedのなかではイチバン好きなレンズです。





 この77mmもピント合わせ時のレンズ移動方式は43mmと似ています。6群7枚構成の最後端レンズ一枚だけが固定で、その他の5群6枚のレンズ群が「ひと塊」となって前後します。
 PENTAXはこれをナンチャラ方式と難しい名称を言ってましたが(ぼくの馬の耳には念仏)、つまり全群繰り出しに近い前群繰り出し方式ですね。



 さて、31mmレンズです。
 31mmの描写は「ソツのない都会の青年」という印象です。写りは線が細くシャープで、現代的な感じのする描写のレンズに仕上がっています。43mm/77mmに比べて「クセ」は少ないです。そのぶん、ちょっとおもしろみに欠けるきらいもあります。





 レンズ構成は7群9枚。その硝材9枚のうち高屈折低分散ガラスを1枚、異常低分散ガラスが1枚、非球面レンズを1枚使っています。43mm/77mmの"質素で平凡"なレンズ構成に比べるとかなり豪華な感じがします。
 AF時のレンズ駆動方式には前群(4枚レンズ)と後群(5枚レンズ)の2つの群間隔を微妙に変えながら前後移動させるフローティング方式を採用していることにもモダンな印象を受けますね。

 43mmと77mmがごく一部の人に「シャープさが足りない、コントラストが低い」などと子どもっぽい文句を言われて、PENTAXはそれを気にして31mmではイッキに贅沢な光学設計をやったようです。31mmが「万人受け」するレンズに仕上がっているのは、そうした理由なのかもしれません。
 31mmだけはフィルムカメラにもデジタルカメラにも向いたレンズ、かな。




2020.01.17 | | Comments(0) | Trackback(0) | -

1月14日(火)


永遠の命を受けた尾長鶏





リコー・PENTAX K-1 Mk2 + smc PENTAX-FA77mmF1.8 Limited


 レンズの描写性能の評価軸には、大別すると「結像性能」と「感応性能」のふたつがあります。
 結像性能は数値で表示(定量化)することで客観的に評価できます。感応性能は文字通りどのように感じるかで、評価する人によって軸がぶれることもあり定量化することが大変に難しい。

 たとえば、結像性能は解像力だとかMTF、階調再現性、色の偏り、逆光特性などのパラメータを数値に置き換えて表すことができます。感応性能は写った画像を見て「ぼけ味」の具合とか「透明感」の程度とか、「奥行き感」、「コントラスト」など"見たときの気分"の良否を総合的に判断して評価します。好き嫌いや経験則などの影響を受けることもある。

 科学記録写真や星座写真などでは、なによりも結像性能が重要で、感応性能はレンズ性能の評価の対象となりません。しかし、私たちが撮影する対象は森羅万象であるだけでなく、写真表現するとなると、極論ですが結像性能はそれほど重要視されないこともあります。



 一般撮影用レンズは、結像性能も感応性能も同じように大切なものなのですが、困ったことにどちらかを優先して設計すると片方の性能がおろそかになります。このことはいまも昔もレンズ設計での難問です。

 PENTAXはそこで少し思い切ったレンズを企画することにしました。
 結像性能重視型のレンズばかりを追い求めるのではなく、感応性能に比重を置いた個性的な写りのするレンズがあってもよいのではないか、と企画され開発したのがFA Limitedレンズだったというわけです。

 つまり、FA Limitedでは、数値的に優れた解像力重視型の描写性能よりも、感応的に優れた気持ちの良い写りを優先したレンズを作ろうとしたわけです。そのためには、敢えて少し収差を残してもいい。
 現代のレンズのように徹底的に収差を補正する光学設計ではなく、感応的な描写特性を最優先するために、微妙に、必要最小限に、収差を残して設計することにしたわけです。
 当時としては(いまでもそうですが)イレギュラーで大胆な設計手法を採用したレンズだった。



 通常レンズの企画や設計は、焦点距離、開放F値、大きさ重さ、価格などスペックをあらかじめきっちりと決めます。それをベースにして光学設計や鏡枠設計、電気系設計の担当者が議論しながら、光学設計が始まり、必要に応じて鏡枠設計やエレキ担当と話し合いながら進めていきます。
 FA Limitedレンズの開発が始まったのは20年以上も前のことでした。いまのように合理的でシステマチックなレンズ開発に比べれば、とくに光学設計は、まだまだ個人の技術力に頼る部分も残っていました。

 FA Limitedレンズは、焦点距離や開放F値などの"制約"は曖昧でアバウト。どんな描写のレンズに仕上げるかは、光学設計者の裁量にまかせることにしました。重要視したのは感応性能に優れたレンズを作ることでした。
 レンズ価格も少しぐらいなら高くなってもいいぞ、なんて今から考えればレンズ設計者にとっては「夢の企画」でした。



 そのFA Limitedレンズを担当したのが、当時PENTAX光学設計のホープでもあった平川 純さんでした。
 FA Limitedは少し特殊な例でしたが、担当を任された平川さんが、がぜんやる気をだしてどしどし自分がやりたいように設計したのが43mmと77mmのLimitedレンズだったのです。

 平川さんは「写真レンズとはどうあるべきか」のフィロソフィーをしっかりと持った人でした(少し変わりモンで頑固な人ですけど)。平川さんに光学設計の担当を任せたのが、そのときの光学設計部の責任者が小川良太さん。FA Limitedを語るとき、その人のことも忘れることができません。

 繰り返しになりますが、当初のFA Limitedのコンセプトは、既存の定番の焦点距離でなくてもいい、レンズ価格が少し高くなってもいい、ともかくPENTAXの写真レンズらしい描写性能を最優先しようというものだったわけです。




2020.01.14 | | Comments(4) | Trackback(0) | -

1月11日(土)


二宮金次郎ふうの桂太郎





リコー・PENTAX K-1 Mk2 + smc PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited

 以下、PENTAXのカメラやレンズに詳しい人 ━━ いやほんと、めちゃくちゃ詳しい人が多くいるもんですね、古い社員も知らないことも ━━ そんなPENTAX通には「常識だ!」と言われるのを覚悟して、フルサイズ判対応の「FA Limitedレンズ」について。

 異色のレンズです。他のメーカーでは類を見ないレンズです。
 現在も新品として手に入る"生き延びたヴィンテージレンズ"と言えなくもない。眺めて美しい走って愉しい1960年代の欧州車のような感じもします。現在のクルマに比べれば、運転しづらい、速くない、乗り心地も良くはない、環境に優しくない。でもドライブすることを愉しくさせてくれます。

 特段、懐古趣味に偏っているわけではないですが、Limitedレンズは、どこかそんなクルマと似たところがあります。いまのレンズのように描写性能に優れているというわけではないですが撮影していて愉しい。


 FA Limitedレンズには現在、3本がシリーズ化されています。
 「smc PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited」、「smc PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited」、「smc PENTAX-FA 31mmF1.8 AL Limited」です。
 コンセプトもスペックも外観の仕上げもデザインも、そして写りも、とても個性的なレンズで他のメーカーでは類を見ません。PENTAXではもっともロングセラーを誇っているレンズシリーズでもあります。

 それぞれのレンズの発売年は、

  43mmF1.9は、1997年10月の発売(約22年前)
  77mmF1.8は、1999年11月の発売(約20年前)
  31mmF1.8は、2001年 5月の発売(約19年前)




 ぼくの愛用のFA Limited3本。ごく初期モデルのMADE IN JAPANです。
 写真は右上から左下に「43mmF1.9」「77mmF1.8」「31mmF1.8」です。2000年から2001年ごろにかけて順次ブラックタイプが追加され、シルバー/ブラック2モデル併売がいまも続いています。



 1997年から2001年ごろといえばフィルムコンパクトカメラが衰退し始めた頃です。しかしフィルム一眼レフはまだ元気だった時代で、デジタル一眼レフはまだまだ一般的ではなかった。
 3本のFA Limitedレンズはどれもデジタルカメラに使用されることをほとんど想定もせず、企画され設計、製造されたレンズだったということです。

 ちなみに、MZ-3の発売が1997年9月。そして実質的にはPENTAX最後のフィルム一眼レフカメラとなるMZ-Sは、2001年5月の発売でした。(追記):「PENTAX *ist 」ってのが2003年に発売され、それが最後のPENTAXフィルム一眼だぞ、と教えてもらいました。ぼくはまったく記憶の彼方ですが、それ"どこか"に作ってもらったOEMかも・・・初のデジタル一眼「*ist D」が同じ年の発売ですね。


 ニコンD1が1999年9月発売でしたから、PENTAXもそろそろデジタル化を睨みつつあったころで、2001年のPMAショーだったかなあ、PENTAX初のフルサイズ判デジタル一眼レフ「Kー1」が参考出品されましたが、なにやかや紆余曲折があって(少しそのへんに関わっていたのですが言えないことたくさんあります)結局、製品化されず終わりました。

 このことは、もうしゃべってもいいと思いますが、試作「Kー1」はもちろん撮影はできましたし(ぼくも使ってみました)、がんばってファームを手直しすればすぐにでも発売は不可能ではないかな、そんな状態でした。
 そりゃそうです。カメラ内部はもちろん、外装金型まで作っていましたから発売中止となって、あの時代で数億円の製作コストが無駄になったというわけです。

 でも、正直なことを言えば、発売しなくて良かったですね。
 発売予定価格も高すぎたし、その当時から数年後のデジタルカメラのトレンドを眺めてみれば"時代遅れ"も甚だしいところもありました。PHILIPSのセンサーもぜんぜん良くなかった。
 ただ、もし「あの人」がK-1の開発責任者だったら、K-1はあんな悲しいカメラにはならなかったのに、と、いま思い返しても残念です。



 いや、つまりですね、FA Limitedが発売された頃は、そんなフィルムカメラからデジタルカメラに大転換する混沌とした時代であり、PENTAX(旭光学工業)もてんやわんやの時代だったのですが、PENTAX FA Limitedのレンズ開発のほうは「おれたち、そんなこと関係ないや」ってなスタンスだったようでした ━━ レンズ設計はカメラ設計とはぜんぜん別の組織、半独立の光学開発センターでやってました。

 FA Limitedが企画され設計開発をスタートさせたのは発売が始まる数年以上前になりますから、まだ "PENTAX平和な時代" でフィルム一眼の将来に希望もあった頃です。
 FA Limitedはそんな時代背景の中で生まれ、発売されたレンズだったということなんです。


 というわけで、いつもの定番、横道逸れ放題になってしまいました。次はもう少しFA Limitedに集中して話を続けます(の予定)。




2020.01.11 | | Comments(1) | Trackback(0) | -

1月6日(月)


小さな地震で揺らぐカーテン





シグマ・SIGMA fp + 24~70mmF2.8 DG DN Art


 シグマのフルサイズ判ミラーレス用レンズの現行4本のうち、45mmF2.8レンズを除く3本のArtシリーズレンズは絞り羽根枚数がすべて11枚になっています(一眼レフ用レンズでは70~200mmF2.8 DG OS HSM Sportsの1本だけが11枚羽根)。一部のメーカーやレンズでは10枚の多羽根がありすが、多くのレンズでは7~9枚羽根の採用が現在では一般的です。

 ところが最近、11枚羽根の「多枚数+円形絞り」の絞り機構を採用したレンズが目立つようになりました。絞り込んでも、よりキレイな円形の絞り形状を保つためです。
 ちなみに円形絞りは、羽根一枚一枚の形状を工夫してF4~5.6ぐらいまで絞り込んでも円形を保つようにしたもので、あるメーカー(ミノルタだったかな、円形絞りの名称も)が特許(意匠だったかな)登録をしていたのですがだいぶ前に切れてしまって、それ以降多くのメーカーが採用するようになりました。



 11枚絞り羽根を採用しているレンズは現在、ソニーが約8本、パナソニックが約2本、ニコンは例の58mmF0.95の1本のみ、キヤノンでは10枚羽根採用が2本ほどあるだけで11枚羽根は見当たりません。
 フルサイズ判ミラーレスカメラ用レンズが出てくるようになってから、急に11枚羽根が増えたような気もします。むろん一眼レフ用にも数本、11枚羽根を採用しているレンズもあるようですが、11枚羽根はこれからのトレンドになるかもしれませんね。

 絞り羽根の数が多いことの利点は、絞り込んでも絞り形状がぎざきざのない円形になり、ぼけ味が丸くキレイにできることです。もちろんプラスして円形絞りも採用しています。
 円形絞りを採用していてもF5.6以上に絞り込むとぎざぎざが目立ってきますが、絞り枚数を多くすれば絞り形状を円に近く保つことができます。

 逆にデメリットは組み立てにコストがかかること。9枚と比べてたった2枚増えただけじゃないか、そういう人もいるでしょうけれど、いやいや、小さく薄い羽根を正確に一枚一枚セットしていくのは、そう簡単にできるもんじゃないです(見たことはあるがやったことはないですが)。作業時間はコストに直結します。






 某メーカーの9枚羽根の絞り機構をばらしたもので、指先に乗っているのが絞り羽根の一片(円形絞りかどうかは不明)。金属または樹脂の超精密成形品。0.1mm以下の薄さで、その両面には小さな開閉ピンと位置ぎめピンがある。これを一枚ずつ絞り開閉環にセットしていくわけです。
 枚数が増えれば高速連写するときにも正確に連動開閉させなくてはならず、なにかと大変。

 絞り羽根は、枚数の多寡のほかに奇数枚か偶数枚かの違いもよく話題になります。
 絞り羽根の奇数偶数については深入りしません。ぼくにはその良し悪しがイマイチわからないからです。偶数枚のほうが光芒がキレイに出るのですが回折現象が起こりやすく画質低下を招きやすい、とか、奇数枚のほうが光芒がたくさん出てキレイなんて説もあります。

 実際に(そんなことは百も承知で)偶数枚や奇数枚を使い分けているメーカーもたくさんありますし、ぼくはその違いを実感したこともない。奇数偶数枚はそれほど気にするほどのことでもないのかと。






 7枚羽根と11枚羽根のレンズを使って、F8に絞り込んだときのぼけの形状です。

 上が「7枚羽根+円形絞り」のSIGMA 45mmF2.8 DG DN、下が「11枚羽根+円形絞り」のSIGMA 24~70mmF2.8 DG DN Artです。
 11枚羽根+円形絞りのほうはF11でも、絞り形状は円に近くなります。F16ぐらいまで絞り込むと、絞り形状に回折現象による滲みがだいぶ目立ってきますが円形はそれほど崩れない。

 なお、ぼけもぼけの形状も肉眼で決して見えるわけではなく現実には存在もしない、あくまでレンズを通した写真世界だけの映像的架空現象です。





2020.01.06 | | Comments(0) | Trackback(0) | -

1月2日(木)


下半身だけの体のツボ公開





シグマ・SIGMA fp + 24~70mmF2.8 DG DN Art

 シグマのフルサイズ判ミラーレスカメラ用交換レンズのLマウントとソニーEマウントには2種類のタイプがあります。
 1つは、もともと一眼レフ用として開発し作られたレンズをショートバックフォーカス(ショートフランジバック)のミラーレスカメラにも使えるようにレンズ後部を継ぎ足しただけのレンズで、光学系は一眼レフ用と同じ。AFなどの制御ソフトのアルゴリズムは最適化しているでしょうけれど、なんちゃってミラーレス用レンズ、と言えなくもない。

 もう1つは、ミラーレスカメラ用に光学系をイチから"本腰を入れて"設計開発したレンズ。レンズ性能は格段にミラーレス専用設計のレンズのほうが良い。
 それが昨年末に発売された24~70mmF2.8レンズで、それまでにすでに45mmF2.8、14~24mmF2.8、35mmF1.2が発売されています。

 見分け方としては「DG(=フルサイズ判対応)」と「DN(=ミラーレス対応)」がレンズ名に記載されています。"なんちゃって"のほうには「DN」の記号がありません。ちなみに「DC」はAPS-C判用またはマイクロフォーサーズ用です。

 45mmF2.8レンズは小型軽量で、SIGMA fpのようなコンパクトなカメラボディと相性はいいのですが、しかしその他の3本のレンズはfpには大きすぎて重すぎてアンバランス。子ども(fp)が大きな牛(24~70mmF2.8)の尻にしがみついているような、そんな感じです。

 来年中に発売されると思いますが、Foveonフルサイズ判センサーを使ったカメラと組み合わせて使うのを待つか、ソニーαシリーズやパナソニックSシリーズで使うのが、いまはいちばんのおすすめでしょうか。

 24~70mmF2.8レンズの、しいて不満を言えばピントリングの操作感でしょうか。
 バイワイヤー方式なのですが、リングの回転をとても滑らかなのですがスカスカでじつに頼りない。指先がちょっと触れただけでピントがずれる気配もします(フォーカス拡大表示モードにしていると頻繁に拡大画面が出てくる)。

 同じバイワイヤー方式の45mmF2.8とは月とすっぽんほど違う。文句なしに小型軽量の45mmF2.8レンズの操作感のほうがいい。
 重い大きい24~70mmF2.8レンズのほうにこそ、しっかりした操作感にすべきじゃなかったのかなあ(ね、大曽根さん)。




 シグマには、fpと相性の良い小型軽量レンズを早急に出してほしいですね。45mmF2.8のたった1本じゃfpの魅力は半減したままです。
 それにしても皆さん、文句も言わず満足して使ってるのかなあ。レンズ交換できない(しない)フルサイズ判コンパクトカメラと思えばそれでいいのかも。そう、PENTAXのLimitedシリーズのような個性的な小型軽量タイプがいいなあ。

 ないものねだりですが、ミラーレスカメラ用の「DG」+「DN」にキヤノンRFマウントやニコンZマウントに準拠したレンズ、それをシグマが出してくれれば、こりゃあ、おもしろくて愉しいことになるでしょうに。




2020.01.02 | | Comments(1) | Trackback(0) | -

12月30日(月)


溶ける白い花瓶





 24mm広角側で、最短撮影距離に近い約20センチ付近で撮影。
 このカットはF2.8開放絞り値で撮影したが、24mm広角画角でも最短の至近距離ともなれば被写界深度は思っている以上に浅くなります。「広角画角だからピント幅は広い」なんて考えは遠い昔のフィルム時代のこと。鑑賞画像サイズが巨大な高画素デジタルカメラでは通じません。よくよく心して正確にピント合わせをすることですよ、老婆心ながら。

シグマ・SIGMA fp + 24~70mmF2.8 DG DN Art


 前回の続き。
 5本のフルサイズ判ミラーレス用24~70mmF2.8レンズの実販価格を比べてみました。
 すると、シグマだけが "飛び抜けて" 安いのです。

 価格は販売店によってばらつきがあります。以下は大型量販店でのおおざっぱな税込み価格。
  ・ソニーは、約27万8千円
  ・キヤノンは、約30万2千円
  ・ニコンは、約27万6千円
  ・パナソニックは、約30万2千円

 でした。では、
  ・シグマは、約13万2千円
 と、このように、安い。ざっと半額以下で手に入れることができます。


 なぜ、シグマのレンズだけがこんなに安い価格で売ることができるのか。
 正直に言って、ぼくにはさっぱりその理由がわからない。

 「企業努力」なんてことを昔からよく言われていますが、じゃあシグマ以外のメーカーは企業努力をしていないのか、と言えば決してそんなことはありません。
 シグマ以外の上記メーカーは、レンズ性能に徹底的にこだわって高級高性能なレンズに仕上げているために価格が高くなってしまうからか。
 じゃあ、シグマのレンズは「安かろう悪かろう」なのか。描写性能はそこそこに仕上げているのだろうか。うーん、それは考えにくい。使ってみればわかりますが、レンズの写りもデキも素晴らしいです。

 レンズ部品を特別に安く仕入れているからだろうか。これも考えにくい。
 確かにシグマは会津工場でほとんどの部品を自社生産していますが、だからといってあんなに低価格にはできない。主要部品であるレンズ用ガラス硝材を安く仕入れているからかという点については、シグマ製レンズのほとんどがHOYA製ガラスなので特別に安いわけではない。
 シグマレンズは他メーカーのレンズに比べて売れる本数が桁違いに多いから安い価格設定にできるのか、なんてことも考えにくい。

 実際に5本のレンズを同列同時に撮り比べてないので断言はできないけど、それぞれのメーカーが公表しているスペックやMTF曲線を見比べると、シグマのレンズは他の高価格なレンズにまったく遜色ないレベル(あるいは、それ以上の性能)であることはだいたいわかる。


 シグマの24~70mmF2.8レンズをSIGMA fpと組み合わせて使ってみたけど、そのレンズ描写性能(解像力、コントラスト、諧調描写力、収差補正などなど)についてはトップクラスだと思えました。

 F2.8の開放絞り値からズーム全域で素晴らしい写りです。絞ればさらに良くなりますが、違いは微々たるもの。つまり絞っても開放でもほとんど変化しない。解像力は十二分にあり切れ味鋭い描写で画面中央部から周辺部まで均一で破綻なし。
 なんとか"アラ探し"をしようと写した画像を拡大して隅っこを見たり、欠点の出やすい意地悪シーンで撮影したりしましたが、笑ってしまうほど良く写っていました。でも、レンズ価格は安い。

 とくに24mm広角側の描写には驚かされました。文句なしの描写です。70mm望遠側と24mm側の描写を比べると、ほんの少し24mm側のほうが勝っている感じがしましたけれど。
 ズーム全域で同じ高性能描写を確保するのは至難のワザですので、どのメーカーもどちらかを優先する設計をしています。シグマの場合は70mm側よりも24mm広角側にウエイトを置いてレンズ設計したようです。

 そもそも24~70mmF2.8標準ズームのようなポピュラーなレンズは、設計の技術も製造技術も、使用しているレンズ硝材も似たり寄ったりです。はっきりと見てわかるような「性能差」が出しにくい "こなれたレンズ" でもあります。
 そこで、シグマのレンズだけが特別に安い、低価格になっている。ソニーもパナソニックも、きっと困っていると思います。ソニー、パナに限らずどのメーカーも「レンズで儲ける」のが定番商法ですから。

 性能は良い、他メーカーの高価格レンズと比べて決してひけをとらない、なのに安い。
 シグマをヨイショするつもりはまったくありませんが「安くて良く写る」レンズで、どうしてこんなに価格で作ることができるのか、ほんと不思議でした。





2019.12.30 | | Comments(1) | Trackback(0) | -

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