ミラーレスカメラとしては完成度は大変に高い

富士フイルム・X-T2+XF23mmF1.4 R

 X-T1に比べてX-T2は画素数が多くなっているが(ピクセルサイズが小さくなってしまったのに)、高感度の画質は良くなっているし、画像のキレ味も(かなり)向上している。ISO6400ぐらいなら(個人差はあろうけど)ほとんどノイズのことなど気にせずに撮れる。
 露出(測光)もだいぶ安定したようで、X-T1ではややオーバーぎみの傾向があったが ━━ ぼくにとっては、という意味で、だからマイナス0.3EVで撮ることが多かった ━━ ところがX-T2では、通常シーンでもほとんどマイナス露出補正をすることなく撮影ができるようになった。




 AFの性能も機能も、大幅にアップした。試しに望遠レンズを使って高速動体予測AFの撮影をしてみたが、いままでのミラーレスカメラとはひと味違う優れもの。向こうからこちら高速で走ってくる被写体でも平気でピント追従する。
 たとえば450mm相当の望遠レンズを使って、時速70~80Kmぐらいのスピードで向かってくる中型車を、ほぼ真正面から高速連写(H、C-AF)して、クルマがフレームアウトするぐらいアップにしてもしっかりとピントが合っている。EVFを覗いて撮影したのだが、ブラックアウトはほとんど気にならない。
 AF追従もEVFの見えも、予想していた以上の実力発揮に驚いた。

 ただし、と言っちゃナンだけど、やはり、高級一眼レフカメラの動体撮影とはちょっと違う感じがしないでもない。うーむ、うまく言えないが、手応え感がやや弱いというか…。高速流し撮りをするにしてもEVFの反応に少し「慣れ」が必要かも。

 AFのほかに感心したのはフィルムシミュレーションの「ACROS」モード。フジのモノクロフィルム・ACROSのテイストをデジタル画像で再現したものだ。すでにX-Pro2にも搭載されているのだが、今度、X-T2であらためてじっくりと使ってみたが、これがとてもイイ、良くできてる。フジの画像担当者のかなりの力作だと考えていい。
 X-T2にもX-Pro2にも、モノクロモードはこのACROSのほかにもう1つフツーのモノクロモードもあるのだが、撮り比べてみるとだいぶ違う。ACROSのほうが諧調豊かで(とくにハイライト部)、粒状感(ノイズとはちょっと違う)も独特で、フィルム描写によくここまで近づけたなあと感心した。デジタル臭いというか、あのツンツンした感じのするモノクロデジタル画像ではない

 もし、X-T1を持ってるしなあ、どうしようかなあ…、と迷っているなら思い切って買い替えた方がいいかも(無責任に勧める)。

使い手を選ぶが、いまイチ押しのミラーレスカメラか

富士フイルム・X-T2+XF50~140mmF2.8R LM OIS WR

 いいカメラだ。
 もう2ヶ月近くも使っているが、まったくストレスを感じさせないカメラである。
 ミラーレスカメラはまだまだ発展途上。だからどんなミラーレスカメラを使って撮影していても少なからずの不満があるものだが(ごくごく個人的な感想です)、このX-T2にかんしては、それがない。それ、ちょっと気味悪い、という気もしないでもない。




 評判の良かったX-T1の基本スタイル(アイデンティティ)を守りつつ、微妙に、大胆に、丁寧に手を加え改良したという感じがする。
 クルマもそうだが人気のある車種をモデルチェンジするときは大変に神経を使うという。たぶん、このX-T2も、どんなカメラに仕上げるかさんざん議論を重ねたろうし、X-T1よりも明らかに「良い」カメラに仕上げなければならないというプレッシャーがあったことだろう。
 X-T2をしばらく使っていて、旧型のX-T1にはもう戻れないなあ、という気持ちになってしまった。

 ただし、X-T2は(X-T1もそうだが)、カメラ初心の人にはちょっと不向きなような気もする。たぶん、使っても戸惑うことが多いだろうし失敗もするだろう。コンパクトデジタルカメラのような親切心(余計なおせっかい)はないカメラである。
 おすすめしたいのはカメラや撮影技術について多少なりとも"知識"のある人。ピント、露出、構図について、そこそこの要求度を持った人。そんな人たちに適したカメラだと思う(個人的感想)。

 先程からX-T2を手元に置いて、あれこれ操作をしたりファインダーを覗いたりして、なんとかひとつぐらい「問題点」を探そうとしているのだけど、それが見あたらない。
 しいて不満点を言うとすればバッテリーがもう少し持ってくれるといいのになあということぐらい。

 頻繁にメインスイッチのON/OFFをしても省電に務めていたのに300カットぐらいでバッテリーがダウンする。ミラーレスだからしょうがないのだが、でも最近の一眼レフは1000カットぐらい優に撮影できるし、そうしたカメラばかりしばらく使っていたところに、急にミラーレスX-T2を使ったから余計にそう感じたのかもしれない。
 X-T2に限らずミラーレスカメラすべてに共通したことだが、もう少しバッテリーのモチを良くして欲しいなあ。

いまの時代だからこそ、フツーのカメラじゃないところがイイ

SIGMA・sd Quattro+50~150mmF2.8 APO DC HSM

 同じことばかり言うなよ、くどいぞ、と言われそうだが、sd Quattroを使いこなして、そこそこの写真を得ようとするには「覚悟」と「根気」はどうしても必要だ。しかし「覚悟と根気」を持たずにsd Quattroを使って、さんざん文句を言ったりsd Quattroに悪態をついたりしている人がいるようなので(伝聞です)、くどく言ったわけですよ。
 フツーのデジタルカメラではないということ(良い意味でも、悪い意味でも)。

 sd Quattroのカメラのスペック表に記されている数値や文言は、他の多くのレンズ交換式カメラのスペック表と、かりに同じ数値や文言であっても「質的」にはかなり違う(ぼくの感覚的な印象)。
 ええいっこの際、遠慮せずにはっきり言うけどsd Quattroの公式スペック表を読んで、その性能を信じてはいけない。あくまで目安と考えておけばいい。そう、希望小売価格みたいなもんだ。




 でもしかし、このsd Quattroを使っていちばん驚いたことは、動くものにピントを合わせながら撮れることだった。ためしに連写モードにして(最高3.5コマ秒ではあるが)、コンティニアスAF(AF-C)で向こうからこちらに走ってくるクルマを撮ってみたら、意外や、そこそこの動体予測フォーカスでピントを追いかけているのだ。

 ナニを言っておるか、そんなことフツーのことではないか、とおっしゃる向きもあるだろうが、シグマのカメラ(レンズ交換式は初代のSD9からすべてをぼくは使っている)としては「画期的な機能アップ」だ。
 とはいえ、まだまだ信用はならんし(確率が低い)、sd Quattroを使って動体予測AFの撮影をするようなシーンもないし(リスキーだ)、また、その気持ちもになることもない。
 でも、シグマのカメラとしては目の覚めるような大進歩だと思う(将来に期待)。

 もうひとつの驚きは、撮影したJPEGファイルが(ほぼ)そのまま使えるようになったこと。いままではRAWで撮っておき、専用ソフトでこつこつと処理をして「写真画像」に仕上げなければならなかったのが、sd Quattroではその必要が極端に少なくなった(これには、いろんなご意見もありましょうが…)。
 オートホワイトバランスの安定性が大幅に向上したこともびっくりしたこと(いままでは、気まぐれ女の気持ちと秋の空、だったのだ)。

 ISO感度のノイズについては、考え方、見方を少し変えた方がいい。ことノイズについてちょっとISO感度をアップしただけで大変に目立ってくる。ヘタをすると標準感度でも目立つこともある。だからノイズを目のカタキにしている人には、sd Quattroはぜったいにおすすめしない。
 でも、ノイズをフィルムの粒子と同じように考えるような気持ちに余裕のある人には、sd Quattroのはそれほど気にはならないか、逆に好ましい(やや強引だけど)と感じるかもしれない。ノイズの「ツブ」が揃っていてシャープな粗粒子感がある。


 いや、いけない、いけない。sd Quattroについて、あれやこれや話をしだすといくらでも続く。今回はこれくらいにするとして、ところで、今年中に発売されるかもしれないAPS-HサイズのFoveonセンサーを使った「sd Quattro H」だけど、もし、少しでも高画質を求めるなら迷わず「H」を選んだほうがいいと思う。
 「H」の唯一の注意点は、交換レンズは35mm判フルサイズ用の、シグマでいうところの「DGレンズ」を使うことだ。このsd QuattroはAPS-CサイズFoveonセンサーなのでDC/DGレンズが使えたが、「H」ではDCレンズが使えなくなる(たぶん、ほとんどのDCレンズは)。

 価格がどれくらいになるかも気になるところではありますが、いま、ぼくは「H」のほうをとっても愉しみにしていますよ。

ロマンチックなカメラメーカーですね

SIGMA・sd Quattro+8~16mmF4.5~5.6 DC HSM

 sd QuattroはイメージセンサーにFoveonセンサーを使ったデジタルカメラである。ここがsd Quattroの最大の特徴。Foveonセンサーは、通常一般のデジタルカメラが使っているイメージセンサーとはまったく違った「構造」になっていて、そのために高解像力、ハイコントラスト、深くて豊かな諧調描写と色調の画像が撮れる。

 ただし欠点はある。たとえば高感度が苦手、動画が(いまのところ)撮れない、バッテリーを大食いする、動作が遅いなどなど。しかし、それらをちょいと我慢しつつ、工夫して使いこなせば、他のデジタルカメラとは「一線を画す」別次元の写真画像が得られる。

 Foveonセンサーは ━━ 正しくは「Foveon X3 ダイレクトイメージセンサー(CMOS)」なのだそうだ ━━ 三世代に渡って進化している。
 第一世代は無印センサー、第二世代がMerrillセンサー、そして第三世代がQuattroセンサーである。それぞれのセンサーの画素数については話がややこしくなるので省略するが、世代交代するたびに解像力も高感度画質も(当たり前だが)良くなっている。ただし画質と色調は(ぼくの場合だけど)Merrillセンサーの画像がいちばんいい。しかし解像力はQuattroセンサー、安定性もかなり向上した。




 というわけでsd Quattroに使っているセンサーは、名前の通り第三世代のQuattroセンサーである。APS-Cサイズ判だ。

 sd Quattroが発表になったとき、同時にAPS-Hサイズ判の「sd Quattro H」というカメラの開発発表された。APS-C判が23.4×15.5mmに対して、APS-H判は26.7×17.9mmと"ひとまわり"大きい。むろん画素数も多い。
 sd Quattro Hはきっと今年じゅうには発売されるとぼくは思うが、先日、ひょんなことから福島県にあるシグマ会津工場内を見学させてもらったのだけど、そのsd Quattro Hの試作品ぐらいは見せてもらえると期待していたが、めちゃくちゃシグマのガードが堅くてシルエットも見ることができなかった。でも、久しぶりのシグマ会津工場は愉しかったなあ。

 ところで、あらためて言うまでもないことだが、シグマは歴とした「カメラメーカー」である。交換レンズ専門メーカーだと思っている人がいるようだが、それは間違い。確かに事業規模としては交換レンズのほうが圧倒的だが、でもシグマはフィルムカメラの時代からカメラを作り続けてきているのだ。

 数年前に亡くなったが、創業者の山木道広さん(現社長の山木和人さんのお父様)が「総合カメラメーカー」にこだわり続けていた。キヤノン、ニコンなどのカメラメーカーに「肩を並べる」ようなメーカーにしたいと夢(ロマン)を持っておられていて、他社互換の交換レンズを作るとともに自社マウントのフィルムカメラもレンズも長年、作り続けてきた。
 2000年頃、アメリカのイメージセンサーのベンチャー企業であったFoveon社が設計したイメージセンサーを見て、即断、それを使った初めてのカメラをシグマが作った。2002年発売のSD9がそれ。

 その後、Foveon社そのものをシグマが買い取って、イメージセンサーも自前で調達できる本格的デジタルカメラメーカーとなった。Foveonとの連携はハイリスキーで冒険いっぱいで、だけどロマンのある決断だったと思う。

 先代の山木道広さんは頑固で難しく怖い人だったが(長いつきあいの中で笑った顔をぼくは一度も見た記憶がない)、しかし内に秘めたロマンチストだったように思う。
 その先代山木さんの「夢」を現社長の山木さんはとうぜんのように受け継いで、交換レンズで得た儲けをカメラ開発につぎ込み(というと語弊があるが)シグマを、キヤノンやニコンと肩を並べるというよりは、ひと味違った「個性的なカメラメーカー」として発展させていこうとしている。

 シグマは社員が1600人近くいる(本社と会津工場をあわせると)大きな企業だからロマンや夢だけでやっていけるわけはないのだが、しかしシグマが作る製品、交換レンズやデジタルカメラを使っていると、「ロマンチックなメーカーだよなあ…」と、ぼくはいつもそんなふうに感じる。
 シグマは不思議な魅力をもったカメラメーカーだ。

そこのけそこのけシグマが通る…

SIGMA・sd Quattro+50mmF1.4 DG HSM:Art

 sd Quattroはミラーレスカメラであるが、通常のフランジバックの短いミラーレスカメラと違って、一眼レフカメラと同じ長いフランジバックのミラーレスカメラである(ややこしい言い方ですまぬ、文句はシグマに言ってくれ)。

 このフランジバックの長いミラーレスカメラ(sd Quattro)の最大のメリットは、一眼レフカメラ用の交換レンズがマウントアダプターなしでそのまま使えることだ。もう1つのメリットは、あらたに大金をかけてフランジバックの短いミラーレスカメラ専用の交換レンズを開発し販売する必要がないこと。
 4年ほど前に発売された「PENTAX K-01」も、一眼レフ用交換レンズを使用するKマウントのミラーレスカメラだった。sd Quattroも、それと同じスタイル。




 sd QuattroのマウントはシグマSAマウントである。従来のSDシリーズ ━━ シグマの一眼レフは大文字「SD」、ミラーレスは小文字「sd」 ━━ 、その一眼レフSDシリーズ用としてラインナップされているたくさんたくさんの交換レンズがある。それがsd Quattroで使うことができる。交換レンズの種類のことを考えれば、大変に贅沢な新参者ミラーレスカメラである。

 sd Quattroのカメラボディスタイルは多くのミラーレスカメラと違って、マウント部がボディから飛び出している。フランジバックの長い一眼レフ用交換レンズが使えるようにするためである。
 マウントアダプター内蔵固定型ミラーレスカメラと考えればいいだろう。

 sd Quattroで使える交換レンズはたくさんラインナップされているのだが、ただし問題もある。AF撮影したときの合焦速度と合焦精度である。すべてのAF対応のSAマウントレンズが、sd Quattroで素早く、かつ正確にAF測距ができるとは限らないのだ。
 一部のレンズでは、AF測距スピードがかなり遅かったり、あるいはAFが遅いだけでなく合焦しなかったり、もっと相性の悪いレンズになると誤測距してまうこともある(これがイチバン困る)。
 そのへんの注意すべきレンズについては、シグマは正直に情報公開している。
 ここを参考にすればいい

 つまり、sd Quattroというカメラをウマく使いこなすには、あらかじめ「納得」しておくべきことや「覚悟」しておくべきことがいくつかあって、誰でもがほいほいっと気軽に操作して安易に撮影ができるというカメラではない。
 撮りたいものにカメラを向けてシャッターを押しさえすれば期待以上の写真が撮れるという「優しいカメラ」ではないということ。チカラワザでねじ伏せたり、おだてたりして使いこなす「我が儘カメラ」である。ユーザーにへつらったりするところがまったくない。唯我独尊。そこのけそこのけシグマが通る…。

 だから、ウマく撮れたときは(画質はダントツに良い)、他のデジタルカメラとはまったく違った嬉しさと喜びを感じさせてくれる。もし三度ウマく撮れれば、たったそれだけでシグマ信者になってしまう(ぼくもそのクチかも)。「魔性のカメラ」と言われるゆえんだ。

使いこなしの難しいレンズだぞ、覚悟せよ

SIGMA・50~100mmF1.8 DC HSM:Art+キヤノン・EOS 80D

 80~160mm相当画角(EOSシリーズでの場合でニコンでは75~150mm相当に)の望遠レンズ。開放F値がズーム全域F1.8という大口径である。F1.8開放からF2ぐらいの絞り値で撮影するときには、生半可な気持ちで使っていると痛いめに合う。
 近い距離のものに正確にピントを合わせて撮ろうとする場合はなおさらで、ワンカットだけで撮って安心しない方がいい。数カット撮っておいたほうが安全だ。
 いやむしろ、正確で確実なピントで撮るなら、AFはやめてMFにしてじっくりと落ち着いてフォーカスしたほうがいいかも。




 50mmや35mm画角のF1.8やF1.4のレンズとは、ピントのシビアさはだいぶ違う。もしAFで撮影するなら、使用するカメラのAF性能の良し悪しに結果が大きく左右される。ヘボな位相差AFにはとくに注意。だから、多少めんどうでもライブビューモードに切り替えて像面AFで撮影することをすすめたい。
 くどいようだが、80~160mmクラスでF1.8~F2の絞りを選んだときは、「心して」撮影をすること。老婆心ではありますが……。

 ぶらさないように撮影することも大切。
 F1.8の大口径だから、高速シャッタースピードで撮影できるじゃないか。ぶれる心配はない。なんて、甘い考えをしてはいけない。このズーム、かなりのフロントヘビーなのでホールディングバランスは決して良くはない。だから、ぶれやすい。

 この50~100mmには手ぶれ補正の機能が備わっていないから、理想を言えばボディ内手ぶれ補正を内蔵したカメラと組み合わせるのがいいのろうが、対応マウントはシグマ、ニコン、キヤノンしかない。いずれのメーカーのカメラも手ぶれ補正を内蔵していない。

 大変に優れた解像描写力を持ったレンズだからこそ、ほんのわずかなピンぼけやぶれでも、やたら目立ってしまう。
 三脚を使って撮影するという方法もあるが ━━ ただし、ヤワな三脚だったり、三脚の使用方法が間違っていたりすると逆効果だけど ━━ しかし、重いレンズだとはいえ手持ち撮影ができない重さでもないし、レンズのサイズも充分に手持ちできる大きさだ。
 いささか否定的な話ばかりになったけど、じょうずに使えば素晴らしい性能を発揮するレンズであることは間違いない。

 それにしても最近のシグマは、やたら、使いこなしの難しいカメラやレンズをへっちゃらな顔をして次々と出してくるよなあ、いやほんと。