使いこなしの難しいレンズだぞ、覚悟せよ

SIGMA・50~100mmF1.8 DC HSM:Art+キヤノン・EOS 80D

 80~160mm相当画角(EOSシリーズでの場合でニコンでは75~150mm相当に)の望遠レンズ。開放F値がズーム全域F1.8という大口径である。F1.8開放からF2ぐらいの絞り値で撮影するときには、生半可な気持ちで使っていると痛いめに合う。
 近い距離のものに正確にピントを合わせて撮ろうとする場合はなおさらで、ワンカットだけで撮って安心しない方がいい。数カット撮っておいたほうが安全だ。
 いやむしろ、正確で確実なピントで撮るなら、AFはやめてMFにしてじっくりと落ち着いてフォーカスしたほうがいいかも。




 50mmや35mm画角のF1.8やF1.4のレンズとは、ピントのシビアさはだいぶ違う。もしAFで撮影するなら、使用するカメラのAF性能の良し悪しに結果が大きく左右される。ヘボな位相差AFにはとくに注意。だから、多少めんどうでもライブビューモードに切り替えて像面AFで撮影することをすすめたい。
 くどいようだが、80~160mmクラスでF1.8~F2の絞りを選んだときは、「心して」撮影をすること。老婆心ではありますが……。

 ぶらさないように撮影することも大切。
 F1.8の大口径だから、高速シャッタースピードで撮影できるじゃないか。ぶれる心配はない。なんて、甘い考えをしてはいけない。このズーム、かなりのフロントヘビーなのでホールディングバランスは決して良くはない。だから、ぶれやすい。

 この50~100mmには手ぶれ補正の機能が備わっていないから、理想を言えばボディ内手ぶれ補正を内蔵したカメラと組み合わせるのがいいのろうが、対応マウントはシグマ、ニコン、キヤノンしかない。いずれのメーカーのカメラも手ぶれ補正を内蔵していない。

 大変に優れた解像描写力を持ったレンズだからこそ、ほんのわずかなピンぼけやぶれでも、やたら目立ってしまう。
 三脚を使って撮影するという方法もあるが ━━ ただし、ヤワな三脚だったり、三脚の使用方法が間違っていたりすると逆効果だけど ━━ しかし、重いレンズだとはいえ手持ち撮影ができない重さでもないし、レンズのサイズも充分に手持ちできる大きさだ。
 いささか否定的な話ばかりになったけど、じょうずに使えば素晴らしい性能を発揮するレンズであることは間違いない。

 それにしても最近のシグマは、やたら、使いこなしの難しいカメラやレンズをへっちゃらな顔をして次々と出してくるよなあ、いやほんと。

重いレンズだぞ、覚悟せよ

SIGMA・50~100mmF1.8 DC HSM:Art+キヤノン・EOS 80D

 レンズ重量が約1.5㎏。
 ずしっ、とした重さを感じるレンズ。フロントヘビーだから余計に重さを感じるかもしれない。やや軽量なカメラボディと組み合わせると、カメラを構えてもアタマでっかちの感じがして、おっっと前のめりになりそう(ちょっと誇張し過ぎるか…)。
 15群21枚構成。
 21枚もレンズを使ってる。重いわけだ。そのうえ、前群には大型の光学レンズが4枚。その4枚のうち3枚が質量のある低分散系の光学レンズだ。フロントヘビーのわけだ。
 
 それにしても21枚も、だ。レンズの透過率のことを考えると(いくら、良いレンズコーティングをレンズ両面にしているとはいえ)、ほんとうにF値どうりの明るさがあるのだろうか。F値は1.8だろうけど、T値だと2.0以上になるかも(実際にしっかり検証してみたわけでないので信用しないでください)。
 と、少し心配をしたけど、しかしぼくは露出計を使ったマニュアル露出で撮ることはまったくなくなったので、ま、別にどーでもいいか、と。




 フルサイズ用のレンズではない。APS-Cサイズ用のズームレンズ。でも、サイズはフルサイズ用レンズのようだ。F1.8の明るさだが、ズーム倍率はたったの2倍。なのに、この重さ、この大きさ。キヤノンEOSボディと組み合わせたとき(×1.6として)80~160mm相当のズームとなる。
 贅沢というか図々しいというか…。いけいけどんどんのシグマらしいレンズ。

 最短撮影距離はズーム全域で95センチ。ちょっと遠い。もう少し寄れればいいのにと思うが、開放F値がF1.8という大口径レンズだ、近距離での収差補正を強引にし過ぎるといろいろと悪影響も出てくるからそれを嫌ったのかも。撮影距離にかかわらず描写性能を最優先したのだろう。

 だから(当然のことだけど)、写りはめちゃくちゃシャープ。解像力ばりばり。くっきりとしてハイコントラスト。美人も、いっそうより美人に写る…。
 ただ、ちょっとやり過ぎじゃないかなあ、という気もしないでもない。最近のシグマレンズらしい、そこのけそこのけ、SIGMAが通る、ってな感じがする描写。
 少し古めの、それほど高画素でもないEOSボディで使ってみたら、おおっ、このカメラ、こんなにシャープでくっきりとした描写だったっけ、と驚いたほどだ。たとえば、ほかのEFレンズと同時使用すると、この50~100mmズームの描写だけが「浮いて」しまうような、そんな心配もなくもない。

 希望小売価格は15万5千円(税別)だが、大型量販店での実販価格は約11万円。11万円で、この開放F値、この描写性能なら、決して高くはない。ばりばり解像力イノチで、体力充分マッチョな人にはおすすめ。

キヤノンらしいけど、キヤノンらしくないレンズ

キヤノン・EOS M10+EF-M 28mmF3.5 マクロ IS STM

 超広角や超望遠だとか、大口径だとか、高倍率だとか、近頃の交換レンズは飛び抜けた数値ばかり追いかけているか、ばりばりカリカリ解像感の描写ばかり狙っているか、そのどちらかのような気もしないでもない。
 それほど数値的に注目されないけど、しっかりと「地に足を付けた」まじめなレンズ、目立たないけどひっそりとチャレンジャブルなレンズがあまり見あたらない。いや、なくもないのだが、たまに、そうしたレンズ(地味だからなあ)が出てきても、多くの人たちは気にも留めず無視してしまう。

 そんな最近の交換レンズ世界の中で、ひょっこりと出てきたのがこのEF-M28mmマクロレンズのような気がする。
 確かに「等倍」を越えるAFマクロレンズとしては世界初だし、レンズ内にLED照明の機構を内蔵しているなど、ひっそり、控えめというレンズでもなさそうだが、28mmマクロを少し使ってみればわかることだが、とてもまじめに、良く考えて作られている「地に足の付いた」レンズなのだ。
 いっけん、遊び心があって愉しいレンズ、というふうに受け取られがちだが(それはそれでイイのだけど)、ぼくはそうは感じなかった。これでもか、というぐらいマジメに真正面から、コストと性能のことを考えながら設計に取り組んだレンズという感じがした。




 キヤノン、というと合理的、打算的、慎重安全と受け取られがちだが(たしかに、そうした面もなくもないが)、カメラ開発部門と違ってキヤノンのレンズ開発部門にはそんな印象はほとんどなく、いちばん「キヤノンらしくない」部門のひとつだと思う。28mmマクロレンズを見て、使って、撮ってみて、つくづくそう思った。

 こんな低価格なマクロレンズでも(レンズマウントはプラだ)、角度ぶれ補正+シフトぶれ補正のハイブリットISを組み込んでいる。これ、大いに感心したことの1つ。レンズの中にLED照明機構、なんて誰でも考えつくことだろうけど、やる/やらない、では大違い。やったもんの勝ち。
 無限遠から最大撮影倍率の1.2倍までステップレスでフォーカスできれば良かったのに、とか、無限遠の描写がもう少し良ければ、とか、そもそも売れる本数が決して多くなく使う人の絶対数の少ない(キヤノンの製品にしては、ですぞ)EOS M用にしないで、せめてAPS-C判用の交換レンズとして企画開発すればもっと注目され、喜ぶ人も多かったのにと、ぼくなどはそう考えるが、そこを敢えてEOS M用交換レンズとして発売してきたことにも興味がつきない。それにしても、なぜなんだろう ━━ 理由はおおよそ推測できるけど。

 その28mmマクロレンズを見て、「いいなあ、このレンズ。うーん、しょうがないからEOS Mでも買ってみるかなあ」なんて言っていた人がいた(とある有名カメラメーカーの人だ)。その気持ち、すごくよくわかる。

無限から最大倍率1.2倍までAF

キヤノン・EOS M10+EF-M 28mmF3.5 マクロ IS STM

 一般向けのマクロレンズ(ヘンな言い方だが)で「等倍」以上の倍率で撮影できるものが、いままで出てこなかったのはどうしてだろうか。せいぜい等倍までで、この「等倍」になにか特別な価値でもあるのだろうか。

 そもそも、デジタルカメラでは「等倍」の意味そのものがじつに曖昧。フィルムカメラならいざしらず ━━ フィルムカメラの「等倍」とは使用するフィルム画面上に実物と同じサイズで写ることをいう ━━ だからデジタルカメラでは撮像センサーの画面にどれくらいのサイズで写ろうと実質上の撮影倍率とはほとんど関係がない。
 ここでいうところの「等倍=1倍」は35mm判サイズの画面上での意味であって、EOS MはAPS-Cサイズだからその画面で言えば「等倍=1.5倍」と言うことになる。似たようなこととしてファインダー倍率もそうだ。

 であるからして、デジタルカメラで「等倍」なんて言われても「ナニそれ?」ってなもんだ。……いや、わかってるんですよ、もちろん。「等倍」と表現してる理由はわかって、言ってるんですよ、と、念のため言っておく。




 それはさておき、特殊なマクロレンズでは等倍以上に拡大して撮影できるレンズもあったが(キヤノンにはMP-E65mmF2.8が現行品があり、ミノルタにもAFレンズがあった)、しかしそうしたレンズはマクロ撮影専用で無限遠の撮影ができなかった。
 いままでに、無限遠から「等倍以上」に自由自在にピントを合わせて撮影ができるレンズなど1本もなかったはず(たぶん…自信がない)。むろんエクステンションチューブなどを使えば「等倍以上」を撮影することは不可能ではないが。

 だから、無限遠から「等倍以上」の撮影が1本のレンズだけでできる「EF-M 28mmF3.5 マクロ IS STM」レンズは ━━ 「等倍」以上で撮影するには途中で切り替え操作が必要ではあるが ━━ これは画期的マクロレンズだと言っていいだろう。
 おそらく「AF世界初」ではないだろうか。しかしキヤノンは世界初と言っていない…。

 「二段沈胴式」のマクロレンズである。
 まず一段目の沈胴を繰り出して通常撮影状態にする。沈胴式にせずとも、もともと小型なマクロレンズなのだから"そのまま"通常撮影ができるようにしておけばいいと思うのだが、なにか理由があったのだろう。
 一段目の沈胴を繰り出すとレンズ先端部が少し飛び出す。この状態で無限遠から「等倍」までAF撮影ができる。「等倍」のときの最短撮影距離は撮像面から9.7cm。
 一段目を繰り出した状態からさらにもう一段レンズを回転させるとスーパーマクロ撮影モードに切り替わる。スーパーマクロモードでは0.7倍から1.2倍までの範囲でマクロ撮影ができる。もちろんAFで。でも、なぜキヤノンはこの28mmマクロレンズで無限遠から切り替え操作なしにそのまま「1.2倍」までクローズアップ撮影できるようにしなかったのだろうか。理由が不明。

 スーパーマクロモードでの最短撮影距離は、0.7倍のときが11cm、等倍のとき9.7cm、1.2倍のとき9.3cmになる。レンズ先端部からの距離(ワーキングディスタンス)はかなり近くなる。ピントを合わせようとする被写体にくっつかんばかりの近接となる。
 そう、そこで役立つのがレンズ先端部に内蔵のLEDランプ、というわけだ。


最大撮影倍率1.2倍のLEDライト内蔵マクロレンズ

キヤノン・EOS M10+EF-M 28mmF3.5 マクロ IS STM

 EOS Mはモデルチェンジのたびに、垢抜けして良くなってきている感じだ。とくに外観の仕上げが細かなところまで丁寧でウマい。仕上げの良さが素晴らしかった「一時期」のIXYの流れを受け継いでいるようだ。このM10も大変に魅力的なスタイリングで、とくにグレーのカラーモデルがおすすめ。色もいいし、その光沢感もいい。上品な質感。

 丁寧に作っているなあ、と感心したのは ━━ ツマらんところに感心するけれど ━━ ボディのあちこちにあるビス(ねじ)アタマの部分。これがすべてボディ外色と同じ色に、わざわざ塗ってある。だからボディ外観を見てもビスが目立たない。
 もうひとつ。チルト式液晶モニターを開いてみると、その背面にはまったく手を抜くことなく美しく塗装されている。

 ほら、こんな具合だ




 ところが、そのスタイリングのいいEOS Mシリーズで残念に感じていたことは、ボディの外観の良さに比べてEF-M交換レンズのデザインのつまらなさ、やぼったさだった。EF-Mレンズをセットしたとたん、カメラボディのデザインの魅力が半減、どころか大幅減になってしまう。

 そもそも交換レンズのバリエーションが乏しいのもEOS Mシリーズの「欠点」だったのだけど、ようやくその「欠点」を埋めるべく(キヤノン、ようやくその気になったか)発表されたのが「EF-M28mmF3.5マクロIS STM」レンズである。とはいえ、EF-Mレンズは6本になっただけだが。
 レンズのスタイリングは相変わらずだが、このマクロレンズがおもしろい(興味がある、という意味)。さすが、アグレッシブなキヤノンのレンズ開発部門だと感心した。

 EF-M28mmマクロレンズには、簡単に言うと特長が3つほどある。
 1つめは、最大撮影倍率1倍(等倍)を超える1.2倍まで撮影ができること。そのときのワーキングディスタンスは1.3mmほどになる。使いこなしは難しい。
 2つめは、レンズ前面にLEDライトを内蔵したこと。LEDライトは決して明るくはないが至近撮影あたりなら内蔵LED照明だけで手持ち撮影も不可能ではない。とっても便利。
 3つめは、手ぶれ補正の機構を内蔵していて、それも角度ぶれ補正+シフトぶれ補正のハイブリットISである。贅沢。

 そのほかには、機能や性能のワリには低価格のレンズであること(このへんのコンセプトは、さすがキヤノンだと感心することしきり)、キヤノンとしては"初"の機能を備えたレンズなのにEFレンズやEF-SレンズでなくEF-Mレンズとして出してきたこと、などなど興味のつきないマクロレンズだ。

トコトンおもちゃのデジタルカメラ

ケンコー・トキナー・DSC Pieni

 トイカメラである。冗談カメラ。
 たぶん数あるトイカメラの中でもトップクラスの写りの悪さだろう。描写性能、なんてコトバでうんぬんするような写りではないが、でも色つき写真が「撮れる」ことは確かだ。

 その「写り具合」はさておき、価格は約3千円。発売元はケンコー・トキナー。
 とうぜんながらケンコー・トキナーが作っているわけではなく、おそらく台湾製だろう。ODM製品である。しかしケンコー・トキナーが立派なのは(こうしたODM製品を多く扱っているのだが)、自社で検査をして、詳しい使用説明書を作って、アフターサービスも責任をもってやっていることだ。




 上の写真を見ればわかるだろうが、カメラサイズは約5cm×3.5cm、厚みは2cm以下。18グラム。メモリーカードはMicro SDを使用して、静止画(JPEG)、動画(AVI)、録音(MP3)が記録できる。Micro SDはボディ横から差し込む。イメージセンサーは1/10型のCMOS。バッテリーは内蔵でUSBケーブルで充電する。磁石内蔵なので冷蔵庫などにくっつけておける。
 有効画素数などは不明だが、静止画のピクセルサイズを見ると約130万画素(1280×1024pixel)。動画は720×380pixelで30fps。ごらんのようにアスペクト比は、かなりヘン。
 内蔵レンズは焦点距離3.2mmでF2.8。画角は、35mm判換算でほぼ50mmレンズ相当。むろんピントは固定式。ファインダーは(いちおう)あるが、どんなに工夫しても「見えない」。だからフレーミングは当てずっぽう。




 こちらの写真を見ればわかるだろうが、写り具合は ━━ 画質をうんぬんするのはヤボなことだけど ━━ 静止画よりも動画のほうが、まだ少しマシ。だけど、期待しちゃあいけない。こちら動画(aviをmp4に変換)

 静止画は横位置撮影したとき左右方向が(なぜか)圧縮されたようにディフォルメする。だから人物を写せば「細面で細身」に写る(利点)。ただし縦位置撮影をすると「ぷっくりと太った顔と体型」に写る(欠点)。くどいようだけどピントとか解像とかを言ってはいけない。そこそこの色つきの画像が写っている程度だ。
 冗談カメラと思えば愉しい、かな(自信はない)。

 じゃあ子どものおもちゃならイイだろう、と思うだろうが、いやいや、使い方は思うほどカンタンではない。子どもじゃあとても無理。電源ONするにしても静止画と動画を切り替えるにしても、撮れたかどうか確認するにしても、相当の熟練とカンが必要。
 でも、酒でも飲みながらこのカメラを話題にすれば盛り上がるだろう。そんなふうに10回ほど盛り上がって愉しめば、1回ぶんが300円だから、ま、安いかな。

 さぁて、また、ぼちぼちブログを再開するか…。中断している間に、たくさんのカメラやレンズを使いましたよ。