2016/10/09
マクロレンズ代用になるかも、の高倍率ズームレンズ
オリンパス・M.ZUIKO DIGITAL ED 12~100mmF4 IS PRO + OM-D E-M1オリンパスの非公式な発表では、新型のE-M1 Mark2と12~100mmF4ズームとの組み合わせハイブリッドISで撮影すれば、シャッタースピード換算で「6.5段」相当の手ぶれ補正効果が得られるとのこと。
この「6.5段」のぶれ補正効果というのは、角度ぶれだけについて、焦点距離100mmに限定して、CIPAの規定に従って測定しチェックした平均値である。しかし実際には、E-M1 Mark2と12~100mmの5軸手ぶれ補正、撮影時の焦点距離、撮影した画像の拡大倍率、撮影シーン(高周波成分が多いか低周波成分ばかりのシーンか)などの「諸条件」が変われば、ぶれの目立ち具合はだいぶ違ってくる。そのうえ、ぶれに対する許容度も個人差でだいぶ違う。
誰でもが(初心者でもベテランでも)、気軽にほいほいと撮影しても「6.5段」ぶんの手ぶれ補正効果があると考えてはイカンということ。

ぶれ補正段数はあくまで「参考」程度にしておくのがいいのではないか。加えて、補正段数がどれだけアップしても、誰でもが2秒や3秒でも「ぶらさないで写せる」なんてことはちょっと考えにくい。
手持ち撮影といっても、両肘をテーブルに付けたり、カラダ全体を壁などに寄りかかったり、カメラを構えて立ったままや、片手でカメラを持ってシャッターを切る、などなどいろんなスタイルがある。「6.5段」というのは、そんなスタイルの違いについてもまったく考慮はしていない。
以下はオリンパスの手ぶれ補正の話ではなく、一般論。
最近の傾向として、「ぶれ補正、何段を達成!」などと補正段数の数値競争をしているようだが、実はもっと大切なことがある。「安定性」だ。
たとえば、1秒のシャッタースピードで5カット撮影をし、そのうち3カットがぶれていて残りの2カットだけが、なんとかぶれずに写せたというよりも、1/4秒で10カット撮影して10カットすべてがぶれずシャープに写せたというほうをぼくはずっと高く評価したいですね。
ウデのいい人が撮影して成功確率が30%だけど1秒で撮れることもある手ぶれ補正か、1/4秒ぐらいだったら誰が撮ってもほぼ100%の確率でぶらさないで撮れる手ぶれ補正か、どちらがイイか。
ぼくは文句なしに後者の手ぶれ補正のほうが良いと考えるのですが、さて皆さんどう考えますか?
というわけで、手ぶれ補正の話はこのへんにして、12~100mmの最短撮影距離について少し。
相当のクローズアップ撮影ができる。最短距離は広角12mm端で15センチ、望遠100mm端で45センチ。この数字はイメージセンサーから被写体までの距離だから、レンズ先端部から被写体までの距離(ワーキングディスタンス)となるとぐんっと近くなる。
12~100mmレンズの全長が約12センチなので、12mm端の至近距離だとレンズ先端から被写体までざっと3センチということになる。100mm端だとだいぶ"余裕"がある(ただし望遠端にズームするとレンズ全長は約16センチぐらいに伸びる)。
で、12mm広角端か100mm望遠端かどちらが「より大きく」写せるかといえば12mmの至近撮影。ただし、被写体との距離が近すぎたり、像が歪んで写るなどデメリットもある。
使い勝手の良さで言えば文句なしに100mm望遠側でのクローズアップ撮影。12mm側に比べると拡大撮影はできないが、実際に使ってみれば100mm側での至近撮影のほうがずっと使いやすい。
ちなみに、12mm端の最至近では約5.7×4.3センチの範囲まで拡大撮影できるが、100mm端では約8.2×6.2センチの範囲までになる。実用上、たいした違いではなかったということと、これなら充分にマクロレンズ代用になるかな、というのが使ってみてのぼくの印象でした。