Foveonフルサイズ判の sd Quattro F はもうすぐ・・・

シグマ・sd Quattro H+85mmF1.4 EX DG HSM

 sd Quattro「C」もsd Quattro「H」も使用しているFoveonセンサーそのものは、基本的には同じ構造である。「H」はセンサーサイズを少し大きくした"だけ"と考えていいだろう。
 ただし「H」のセンサーのほうが新しいぶん(シグマは新開発と言ってるが)、少し改良が加えられているらしいが、実際に両ほうを使ってみたけど、写りも操作感も"ほとんど"違いがわからない。しかしスペック的には、「H」には「C」に勝るところがいくつかある。

 繰り返しになるが、「C」に対して「H」のほうの優位点は(やや強引なところもあるが…)、

 (1) センサーサイズが大きい(より広角が写せる)、
 (2) 画素数が大きい(解像力に優れる)、
 (3) 画像サイズが大きい(拡大倍率を大きくしたとき有利)、
 (4) 最高連写コマ速度がより高速(「C」の3.7コマ秒に対して「H」は4.4コマ秒)、
 (5) 専用RAWのX3Fのほかに「DNG」RAWで記録することもできる、
 (6) APS-HサイズのほかAPS-Cサイズにクロップして撮影できる




 ということろなのだが、しかし、(4)の連写コマ速度は確かに「H」のほうが(少し)速いけど最大撮影コマ数は「C」のほうは12コマまで撮れるのに、「H」のほうは画素数も多くなるためか最大8コマまでしか撮れない。
 (5)のDNGのRAWが撮れるようになったのはいいのだけど、「DNG+JPEG」で記録できない。DNGオンリー。さらに、同じシーンを撮影してJPEGのファイルサイズが約14MBだったとすれば、X3FのRAWファイルのサイズは約68MBになり、さらにDNGファイルとなると約142MBにもなってしまう。X3Fの2倍、JPEGファイルの10倍のファイルサイズだ。

 このようにあれこれ「ちょっとした言い訳」はあるものの、しかし「C」に比べると「H」のほうが魅力的に見える。いま、ぼくに、どちらかを選べ、と聞かれれば迷わず「H」のほうをとる。ナンだカンだと言ってるけど、やはりおすすめは「H」です。

 ところで、Foveonセンサーは、というよりもシグマは当初より、センサーサイズをだんだんと大きくしていこうと考えているのではないだろうか。
 Foveonセンサーを使ったシグマのカメラはSD9からスタートしたが、そのセンサーはAPS-Cサイズ判とはいうものも一般的なAPS-Cサイズと比べるとだいぶ小さなものだった。Merrillセンサーになったときに、ようやく「APS-Cサイズ判」とよべるサイズのセンサーになり、それがQuattroセンサーにも受け継がれた。そうして出てきたのが、このsd Quattro Hである。

 ゆくゆくは35mm判フルサイズのFoveonセンサーを使ったカメラを、という「シナリオ」をシグマは持っているような気がしてならない。
 ただ、ひとつ問題があるのだが、それは時間が、そう長くない時間が解決してくれるだろう。
 シグマは(じつは山木さんなんだけど)、ぼくがインタビューなどをしたとき、はっきりとは言わないが、「ソレ」さえ解決すればフルサイズ判のFoveonセンサーは可能だというような話をよくする。山木さんはことあるごとに「ソレ」について語る。

 たぶん、東京オリンピックまでには、いやもっと早くかもしれないが、シグマはフルサイズ判のカメラを出してくるだろう。sd Quattro 「F」だ。

 そうすれば、いまシグマSAマウントではなくの他社マウントDGレンズを持っている人は、新しいシグマのフルサイズ判カメラのデキを見て、マウント交換をすることで(そんなサービスをシグマはやっているのだ)、SAマウントのレンズとして使うこともできる。
 むろん、sd Quattro HとSAマウントのDGレンズを使っている人にとっては、フルサイズ判のsd Quattro「F」が出てきたときには胸を張って堂々と使えるというわけだ。

 少し夢みたいな話に聞こえるかもしれないが、そんなことないですよねえ、山木さん。