もひとつ話題にならないキヤノンのミラーレスカメラ

キヤノン・EOS M5+EF-M 11~22mmF4~5.6 IS STM

 もひとつ注目されていないようだけど、EOS M5は昨年2016年11月に発売されたミラーレスカメラで、そのMシリーズのトップモデルとなる(現在、M3、M10を加えて3機種がラインナップ)。
 ようやく、というか、やっと、というか、このMシリーズで初めてEVFを内蔵したカメラでもある。ぼくなんぞは、MシリーズのカメラにEVFを内蔵したことを「よくやったぞッ」と高く評価するのだが、しかしキヤノンは、やや拍子抜けするほどEVF内蔵をアピールしていない。

 キヤノンとしては、いまさら、という気もあったのかもしれない。その内蔵EVFにしたって、キヤノンらしい「さあ、どうだっ」というような機構や機能が備わってるわけではないから、控えめなアピールしかしていないだろう。
 でも、使ってみたら(覗いてみたら)これがなかなか良い。アイポイントが22mmと長いからぼくのようにメガネをかけているものにとっては嬉しい仕様である(フジのX-T2の23mmには及ばないが、オリンパスのE-M1 Mark2の21mmを越えている)。




 では、キヤノンはM5で、なにをイチバンのアピールポイントにしているかと言えば最新型の像面AFの搭載である。センサー像面で高速位相差によるAFを可能にした「デュアルピクセル CMOS AF」がそれ。
 従来のハイブリッドCMOS AFも同じく像面位相差AFができたのだけど、シーンによっては最終ピント合わせの時にコントラストAFに切り替わってAFスピードが遅くなってしまうことがあった(ウォブリング動作のため)。しかしデュアルピクセル CMOS AFでは、どんなシーンでも位相差AFだけでピント合わせして高速で確実なAFが可能になったというわけ。

 このデュアルピクセル CMOS AFは、なぜか、EOS 70Dなど一眼レフカメラにいち早く搭載されてきた。一眼レフカメラはおもに光学ファインダーを覗きながらAFする。専用AFモジュールの位相差AFを使うのが一般的である。たいしてミラーレスカメラはセンサー面でしかピント合わせができない。
 だからこそ、いち早くミラーレスカメラにこそ、最新の高性能なデュアルピクセル CMOS AFを搭載すべきだったのにEOS Mシリーズは「後回し」にされてきた。それがようやくM5に搭載されたというわけだ(やや遅きに失したという気もしないでもないけど)。

 そのほかにもM5にはいくつかの「新しい機能や仕組み」が採用されているが、それらの中でぼくがもっとも注目しているのが、キヤノンのカメラでは初採用となる Bluetooth(正しくは Bluetooth Low Energy(LE))である。Wi-Fiと連携して低電力と簡易操作でスマートフォン(とくにiPhone)など繋げて撮った写真を転送したり、スマホ側からカメラ操作ができるもの。
 Bluetooth のカメラ搭載は、まだかまだか、と長くぼくが期待していた機能のひとつ。ようやくキヤノンが重い腰を上げたという感じだ(NFCがもっと広がると多くのメーカーが考えていたのかもしれない)。

 Bluetooth LE をいちはやくカメラに搭載したのはオリンパス(AIR A01)とカシオのカメラで、その後しばらくどのカメラメーカーも「しらんぷり」をきめ込んでいたが、ようやく昨年、ニコンがぽつぽつと Bluetooth LE を採用したカメラを出してきた。ニコンは SnapBridge という新しいストレージサービスと連携させるなど意欲的なのだが、ところが動作が不安定で、これが…ぶつぶつ…いまいちウマくいかない。
 キヤノンはニコンのようなサービスをまだ展開していないが、キヤノンのことだもの、いずれ大々的にやるに違いと思いますね。