ソニーαで使うときはレンズ補正はONに

シグマ・16mmF1.4 DC DN Contemporary + ソニー・α6500

 この16mmは"素のまま=デジタル補正せず"だと歪曲収差と倍率色収差がちょっと目立つ。周辺光量不足はF1.4開放絞り近辺で少しあるようだが ━━ ぼくはもともとそれほど気にならないが ━━ ちょっと絞ればすっと消える。
 歪曲収差はあると言っても軽微なもので碁盤の目状のシーンを撮れば目立つかなという程度だろう。

 でもソニーα6500には、レンズ補正の機能があって周辺光量補正、倍率色収差補正、歪曲収差補正のON/OFFができる。ONはただの強制ONではなくレンズ情報を読み取って最適な補正をするオートON。ディフォルト設定はオートON。
 そのα6500のレンズ補正をON/OFFして撮り比べてみると、ON(オート)にしておくととくに歪曲収差と倍率色収差はキレイに消える。ただし軸上色収差はデジタル補正で消すことは大変に難しくそれは残ったままだけど。

 つまりソニーαシリーズでSIGMA16mmを使うときはレンズ補正はONのままにして使うことをおすすめします。




 ただ一つ、これはデメリットと言うほど大袈裟なことではないが、歪曲収差補正をONにすると実質的な画角がごくごくわずかに狭くなることとブリージング(ピント位置による画角変化)がほんの少し目立つ ━━ もともとブリージングの少ないレンズなのだけど。
 OFFにすると至近距離でも無限遠でも画角変化がなくなる。これなら動画撮影でブリージングを嫌う人でも受け入れられるんではないでしょうか。

 ちなみにマイクロフォーサーズのカメラでは歪曲収差補正も倍率色収差補正もハナからON/OFFの切り替えができずONになったまま。ユーザーには歪曲収差も倍率色収差もあることは気づかない(それがマイクロフォーサーズの基本の考え方)。

 どうしてこんなツマらんことをくどくど述べているかと言うと、通常、シグマやタムロンなどの交換レンズメーカーのレンズはボディ側にレンズ補正の機能に対応してくれない(できない)のが一般的。ONにして使うと不具合が発生することもあるので(とくに最近のキヤノンのカメラでは)シグマもタムロンもOFFにすることをすすめている。

 ところがソニーやマイクロフォーサーズのカメラでは他社製シグマのレンズであってもそのレンズ情報(レンズの素性)をきちんとボディ側で読み取って最適な補正をする。
 マウント情報(レンズとボディとの詳細な情報のやり取り方法)をソニーからシグマ側に伝えられているからだ。ソニーと契約を結べばEマウントの情報を教えてくれるからだ ━━ だだし肝心かなめのところはブラックボックスになっているそうで、あとは「自力」で探っていかなくてはならない(らしい)。
 いっぽう、マイクロフォーサーズではそのフォーラムに入ればマウント情報のすべてが得られる。

 しかしキヤノンもニコンもその他のメーカーも、マウント情報はいっさい外部に出さない。互換レンズを作ろうとすれば手探りでマウント情報を探っていくしかない。MFレンズなら比較的容易だろうがAF対応の最新型互換レンズとなると極めて難しくなる。
 シグマもタムロンもずっと昔から、まだマウント情報がシンプルなMFレンズ時代からきめ細かく対応して互換性のあるレンズを作り続けてきたから、いまのように複雑怪奇なマウント情報になってもなんとか対応できている(ちょいちょい読み誤ってファームウエアの書き換え対応をしているけど)。

 いまこの時代、新しいカメラのマウント情報をイチから探って互換レンズを作るのは並大抵の努力や人力や技術力をもってしても非常に難しいと言われている。
 このシグマ16mmF1.4レンズが、キヤノンEOS Mシリーズや富士フイルムXシリーズの互換レンズがなく、ソニーEマウントとマイクロフォーサーズのマウントのふたつしかないというのはそういう理由のようですね(将来、可能になるかもしれませんけど)。