センサーサイズと、ぼけの大きさ

オリンパス・M.ZUIKO DIGITAL ED17mmF1.2 PRO + OM-D E-M1 Mk2

 マイクロフォーサーズの大口径レンズが出てくると、いつものことだが「フルサイズ判やAPS-C判のレンズと比べるとぼけが小さい」とハンで押したような話が出てくる。
 マイクロフォーサーズでのぼけの大きさは、APS-C判だと約1絞りぶん、フルサイズ判では約2絞りぶん「絞った状態」と同程度のぼけしか得られないというのだ。

 たとえばマイクロフォーサーズのカメラでレンズ絞り値をF1.2にしたときのぼけの大きさはAPS-C判カメラのF1.7でのぼけと同じ、フルサイズ判カメラではF2.4でのぼけの大きさと同じ、と、いちおう、そういうことになっている。




 たしかに、それはその通りで間違いではない。
 しかし、センサーサイズの小さなカメラではぼけないのか、といえば、それは決してそうではない。撮影のやり方、使用するレンズの焦点距離、被写体の状況によってぼけ量は大きく変化する。
 「大きなぼけを得るための5つの条件」というものがある。「5つ」あって、それは以下の通り。

(1) より明るいF値で撮る
   ━━ F値が明るいほど大きくぼける
(2) より長い焦点距離のレンズで撮る
   ━━ 広角レンズより望遠レンズのほうが大きくぼける
(3) より近くにピントを合わせて撮る
   ━━ 被写体までの撮影距離が近いほど大きくぼける
(4) 背景をより遠くにして撮る
   ━━ 被写体と背景の距離(間隔)が離れるほど大きくぼける
(5) より大きなセンサーサイズ
   ━━ 撮影画面サイズが大きいほど大きくぼける

 この5つの条件のうち5番目のセンサーサイズの件はちょっと横に置いておくとして、(1)から(4)までの条件を工夫して撮影すればじゅうぶんに大きなぼけを得ることはできる。
 マイクロフォーサーズ判カメラとフルサイズ判カメラを使って、上記(1)~(4)の条件を同じにしたうえで画角を同じにして撮影すれば、フルサイズ判のほうが「約2絞りぶん」ぼけは大きくなる、と言える。
 でも、そんな「比較」は非現実的じゃないですか。

 さまざまな撮影要因が絡みあってぼけ量はどんどん変化する。それに、たった1絞りぶんや2絞りぶんのぼけ量の違いなんて、撮影距離をちょっと変えるだけで「同じ」ように見えてしまうことが多い。

 つまり、ぼけの大きさはセンサーサイズだけでは決まらないということです。それを知ってか知らずか、マイクロフォーサーズのカメラは「大きなぼけは得られない」なんて言う人がいるようですが、そりゃあちょっと恥ずかしい。