1月17日(金)


目黒茶屋坂方面を睨み続ける猪





リコー・PENTAX K-1 Mk2 + smc PENTAX-FA31mmF1.8 AL Limited


 約20年前に設計されたFA Limitedレンズ、43mmF1.9、77mmF1.8、そして31mmF1.9の3本は、モデルチェンジはもちろんマイナーチェンジもされることなく発売時の姿そのままで、現行製品としていまも発売継続されています(じつは、ごくごく小さな"変更"はされているようですが詳細は不明です)。

 いうまでもなく3本のFA Limitedはフルサイズ判対応の交換レンズ。PENTAXのデジタル一眼レフカメラはずっと長期間、APS-C判だけを作り続けていましたがそんな状況でも、FA Limitedレンズが売れ続けてきたというもの不思議です。
 3本のFA Limitedレンズとはどのようなレンズなのか、そんな話を続けています。



 レンズ焦点距離が、43mmだとか77mm、31mmなどという中途半端な数値になったのも、感応性能に重点を置くために敢えて収差を残しながらも同時に結像性能を確保する"わがまま"な光学設計を優先した結果のようです。
 焦点距離や開放F値など既存の制約にとらわれないで、ぼけ味 ━━ その当時はいまほどウルさく言われなかった ━━ や、立体感(奥行き感)、透明感(空気感)など、写真表現のための描写性能を引き出す手法をとったためだったといいます。
 その思想はAPS-C判デジタルカメラ用として開発された「DA Limitedレンズ」にも受け継がれて"中途半端"な焦点距離になっています。

 さて43mm、77mmに続いて3本めとなる「smc PENTAX-FA31mmF1.8 AL Limited」も発売されることになったのですが、この31mmは平川 純さんの設計ではなく、光学設計の担当はMさん変わりました。
 そのせいか、同じFA Limitedではあるのですが31mmは、43mmや77mmとは"かなり"趣向の異なるレンズに仕上がっています。
 当初は平川さんが続けて31mmも担当する予定だったようですが「とある事情」で光学設計者が変わりました。このへんのことについてはデリケートなこともあるので詳細は避けます(経緯などについてはぼくはいまでも憤慨していますけれど)。

 31mmはともかくとして、43mm/77mmの2本とも平川さん設計なのですが、こちらは、はたして同じ光学設計者が手がけたものだろうか、と疑わしくなるほど個性(クセ)の異なるレンズに仕上がっています。



 というわけで以下、3本それぞれのFA Limitedレンズの、まったくぼく個人の感想を。
 なので、それなりにカルく聞き流しておいてほしい。





 43mmレンズは「いたずら小僧」といった印象を受ける。使いこなしは3本の中でもっとも難しい(と思う)。撮影シーン、撮影距離(ピント位置)、絞り値などによって描写具合が"豹変"する我が儘なレンズです。
 そこがイイんだよ、という"へそ曲がり"な人も多い(ぼくもその一人ですが)。見かけのレンズスタイル(パンケーキタイプ)はごく平凡なのですが不思議な魅力を秘めたレンズでもあります。





 6群7枚のレンズ構成で、絞り羽根はこの43mmだけが8枚です(他のレンズは9枚羽根)。6群7枚構成の7枚はすべて通常一般のガラス硝材で、いわゆる特殊光学レンズは使っていません(一部に屈折率の高い硝材を使っているかもしれませんが不明)。
 ピント合わせのに時は、6群7枚が「ひと塊」となって前後します。シンプルな全群繰り出し方式です。この方式の利点は、遠距離、近距離とピント位置が変化しても収差変動が少なく安定した描写をすることです。とくに至近距離での描写が良い。逆に欠点は、重く大きなレンズ群を前後しなければならないためAFスピードは遅くなるし駆動音も大きくなります。



 AFスピードの遅さ、AF時の駆動音のウルささ、は77mmレンズにも言えます。
 77mmレンズも6群7枚構成で、特殊ガラス硝材を使わず見かけはシンプルな光学設計ですが、使って撮ってみればわかりますが、とてもきめ細やかな感じのする光学設計です。
 77mmの描写は「線の細い柔らかな」女性的印象のするレンズです。3本のFA Limitedのなかではイチバン好きなレンズです。





 この77mmもピント合わせ時のレンズ移動方式は43mmと似ています。6群7枚構成の最後端レンズ一枚だけが固定で、その他の5群6枚のレンズ群が「ひと塊」となって前後します。
 PENTAXはこれをナンチャラ方式と難しい名称を言ってましたが(ぼくの馬の耳には念仏)、つまり全群繰り出しに近い前群繰り出し方式ですね。



 さて、31mmレンズです。
 31mmの描写は「ソツのない都会の青年」という印象です。写りは線が細くシャープで、現代的な感じのする描写のレンズに仕上がっています。43mm/77mmに比べて「クセ」は少ないです。そのぶん、ちょっとおもしろみに欠けるきらいもあります。





 レンズ構成は7群9枚。その硝材9枚のうち高屈折低分散ガラスを1枚、異常低分散ガラスが1枚、非球面レンズを1枚使っています。43mm/77mmの"質素で平凡"なレンズ構成に比べるとかなり豪華な感じがします。
 AF時のレンズ駆動方式には前群(4枚レンズ)と後群(5枚レンズ)の2つの群間隔を微妙に変えながら前後移動させるフローティング方式を採用していることにもモダンな印象を受けますね。

 43mmと77mmがごく一部の人に「シャープさが足りない、コントラストが低い」などと子どもっぽい文句を言われて、PENTAXはそれを気にして31mmではイッキに贅沢な光学設計をやったようです。31mmが「万人受け」するレンズに仕上がっているのは、そうした理由なのかもしれません。
 31mmだけはフィルムカメラにもデジタルカメラにも向いたレンズ、かな。




2020.01.17 | | Comments(1) | Trackback(0) | -

コメント

31mmと43mmを持っているのですがmzシリーズのような似合うコンパクトなフルサイズカメラは出ないのですかね。。

2020-01-19 日 18:40:53 | URL | figaro #- [ 編集]

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