2007年のグランプリ「デジタル一眼レフカメラ」

ニコン・D3+AF-S 24?70mmF2.8G
 2007年に発売されたデジタル一眼レフの中では、ニコンのD3がずば抜けて素晴らしかった。次が、キヤノンのEOS-1D Mark IIIだった。

 D3は新しく搭載した機能 ―― たとえばシーン認識システムを活用した51点AFシステムや、約10コマ/秒の高速連写の機能、そして高I感度での優れた画質などなど ―― のどれを1つ1つを取り上げてみても、その仕上がり度の高さに感服。さらに、それらの機能の今後の改良と進化に大いに期待させられる。このD3の出現によって、今後のニコンのカメラは飛躍的に進んでいくのではなかろうかとさえ思う。
 中でも、高ISO感度での撮影機能は写真史のとってもエポックメーキングと言ってよいだろう。この高感度の撮影機能の評価すべき点は、いままでは写せなかった場面が「写せる」という、このことにつきる。「写らなかったシーンが写せる」。写真で表現するものにとってこれ以上のプレゼントはない。このことで写真表現の領域が大きく一歩広がったのだ。


 D3がグランプリとすれば準グランプリはEOS-1D Mark IIIだろう。完成度の高さ、デジタル一眼レフカメラとしてのバランスの良さ。フルサイズ判のEOS-1Ds Mark IIIよりも、実際に使ってみるとむしろ1D Mark IIIのほうが「心地よさ」を感じる。確実に写る、失敗なく写ってくれる、といったカメラとしての最低基準を備えたカメラに仕上がっている印象を強く受けた。あとは撮影者の表現力の問題だけだ。「費用対効果」というか「コストパフォーマンス」を考えても、1Ds Mark IIIよりも1D Mark IIIのほうではなかろうかと思う。
 同じ年に発売された他のデジタル一眼レフカメラに比べて、この2機種はすべての点において群を抜いていたように感じる。この2機種が発売されたことだけとっても2007年はデジタル一眼レフカメラにとって「大豊作」の年であったと言ってもよいだろう。