アウトドアキットのみの販売

キヤノン・PowerShot D10
 ちょっと間が開いたけれど ―― なかなか自由な時間がとれずツラい ―― 再びPowerShot D10の話のつづき。

 D10は、幾種類かの専用ストラップ ―― まるで横綱のしめ縄のような ―― だけでなく、ボディのフロントカバーがユーザー自身でカンタンに交換できるのも特徴。フロントカバーは標準のブルーのほか3種類や、専用ストラップやソフトケースなどがセットになった「アウトドアキット」になっている。販売はこの「アウトドアキット」のみ。
 着せ替え用のフロントカバーも専用ストラップもいらない、「ボディ単体のみ」でいい、というわけにはいかず、その「アウトドアキット」以外の販売はしていない。強気というか潔いというか思い切ったというか。でもこのカメラは、これでイイのだと思う。

 多くのコンパクトが、いったいどんなユーザーに的を絞っているのか曖昧な中にあって、D10はとにかくコンセプトが明確。こんなコンパクトカメラもアリなのではないかと思うのだが、しかし、このカメラが企画されたときは、まさかこんな経済状況になるとは予想もしていなかったはずで、それを考えればちょっと“タイミング”が悪かったかなという気もしないでもない。でも、今後のコンパクトカメラの商品化の1つのヒントになるのではないかと、ぼくは高く高く評価をしております。

 D10はアウトドア派にきっぱりと的を絞ったカメラだけど、ぼくはもっぱらタウンユースに使っている。目立つみたいですね、持って歩いているだけで何人かかから声をかけられることも。


 ところで、水中の撮影では、太い紐の両吊り専用ストラップは使用をしないで片吊りのハンドストラップを使うようにキヤノンはすすめている。両吊りストラップは水中で万が一、絡まったりすればタイヘンに危険だからだそうだ。オリンパスの防水タイプのμシリーズが、ずっと片吊りストラップ式を守っているのもそれが理由。でもD10は、いちおうバヨネット式の取り付け金具は10?だったか20?だったかのチカラが加わると“安全のため”外れるような仕様になっているそうだ。
 これが取り付け金具部分。

 ストラップの強さといえば、話は横道にそれるけれど、一眼レフカメラに使用されているストラップとその取り付け金具の「強度」がどれくらいなのかご存じだろうか。
 メーカーによって強度基準は多少異なるけれど、おとな一人が「ぶら下がって」もストラップは切れない取り付け金具は壊れない程度の強さはどの一眼レフカメラにもある。いや、ぼくは実際に試したことはないけれど、以前、数社にその強度を問い合わせたところ「非公式ですけれどおとな一人分ぐらいなら充分に耐えられます」と言っておりましたから。この話を聞いてクチの悪い友人は「カメラで首が吊れるね」なんて不謹慎なことをいっておりました。