「…状態を確認してください」

オリンパス・E-P1(β版) + M.ZUIKO DIGITAL 14?42mmF3.5?5.6
 メモリーカードは、オリンパスのデジタルカメラとしては初のSDカードを採用。xDとのデュアルスロットではなく、SDのみのシングルスロットだ。ずっと孤軍奮闘かたくなに続けていたxDピクチャーカードからの撤退 ―― ただし完全に撤退したわけではなく、いろいろと事情があるんだろう。
 ほぼ同じ時期に発表されたソニーのデジタル一眼も、たまたまの偶然か、こちらも初のSDカード採用となっている(ソニーのほうはメモリースティックも使えるダブルスロット方式)。E-P1の記者発表会でもこのことについてはそれほど話題にもならず、みなさん“ごくごく自然な反応”でありました。つまり、ま、そういう時代になったということなのかな。

 液晶モニターは大型の3インチ型ではあるが、いまさらの23万ドット。なぜ92万ドットを採用しなかったのか、と誰もが不満に感じるだろうけれど(もちろんぼくもそうだった) ―― が、コストのモンダイではなく他の理由で23万ドットを採用せざるを得なかったようだけど ―― それはそれとして、しかし実際にその23万ドットの液晶モニターを使ってみると、これがすこぶるよろしいのだ。現行の23万ドット液晶モニターの中ではダントツの見えの良さで、じつにクリアーでシャープで色調もいい。むろん、この見えの良さで92万ドットなら、そりゃあもっとよかったけどね…。


 14?42mmズームはAF対応の交換レンズとしては世界初の沈胴式だ。撮影するときには手動で ―― ズームリングを回転して ―― 撮影スタンバイ状態にセットしてやる必要がある。ズームを沈胴したままでカメラのメインスイッチをONにすると、液晶モニター画面には「レンズの状態を確認してください」と警告メッセージが表示される。でもねえ、いきなりですよ、「状態を確認」しろ、とソッケなく言われても初めてE-P1を使う初心のユーザーにとって、すぐにどう対処すればよいかわかるわけないじゃないか。たぶんパニックになるに違いない。
 最近、ぼくの事務所に来てE-P1を手にした人たちの中でも(カメラの設計者もいましたけど)、何人もがその警告表示を見て、どうすればよいのかわからずしばらく固まっていましたよ。オリンパスとしては早急に、なんらかの対応をすべきでしょうね。使用説明書に解説してありますよ、とオリンパスは言いたいだろうけど、その言い訳は通りませんよ。

 E-P1は、カメラ内でレンズの歪曲収差を(たぶん色収差も)補正する機能を備えている。この機能は常時ONで、OFFすることはできない。ライブビュー状態の液晶画面でもすでに補正されているから、ほんらいのレンズの収差などの「実力」がわかりにくい。このことをナニも否定しているわけではない。それはそれで、デジタルカメラならではの大きな特長の1つだ。でも、ほんらいのレンズの実力はどれほどのものかが「知りたい」のとはまたハナシは別だ。
 というわけで、14?42mmの歪曲収差がどれくらいあるのかチェックしてみたんだけど ―― ある特殊な操作をすることで画像補正する前の状態をチェックできる ―― でもこれは、E-P1ユーザーにはおすすめしません。見ない方が幸せにいられるでしょうから、その事前チェックの方法は言わないでおきましょう。