ぼくのK-01はイエローだけど

ペンタックス・K-01+DA 40mmF2.8 XS

 K-01はデザインが良い、という話を先日した。ここで言う「デザイン」とは、カメラという工業製品のデザインのことで、外観のスタイル、操作性、手触り感、そして生産性、コストなども含めての話だ。姿カタチの「美醜」のことではない。
 「デザイン」についてエラそうに語れるほどの知識はぼくにはない。しかしカメラの「デザイン」についは ―― カメラに長年、かかわってきて評価もしてきている関係上 ―― “好き嫌いの基準”でカメラのデザインを語りたくはない。無茶を承知で、“良し悪しの基準”でそれを語らねばならない。それはぼくの小さな意地。

 K-01の場合、パッケージングされている中身はほとんど決まっている。新しくカメラをデザインするといっても、デザインのために中身や操作部のレイアウトの変更はできないし、ボディのだいたいの「大きさとカタチ」にも厳しい制限がある。まったくの新製品カメラをデザインしていくのとは ―― 新開発の場合はデザイナーが設計者と協議しながら中身のレイアウトや操作系などの変更も不可能ではない ―― それとはワケが違う。とてもとても制約の多い中での新しいカメラデザインであったはずだ。

 そういうことを考えれば、K-01のデザイナーのマーク・ニューソンというひとは、大変に優れたセンスを備えた人ではないのかと思う。
 いやそれよりも、マーク・ニューソンがレンズ交換式デジタルカメラについて、いったいどれほどの知識を持っていたのかだ。たぶん、カメラメーカー内の社員デザイナーよりもずっとずっとカメラ知識は乏しかったのではないかと思う。


 にもかかわらず、完成したK-01を手にして、そして使ってみるにつけ、マーク・ニューソンのカメラセンスにぼくは感心することしきりでしたよ。完成品の操作性も操作感も素晴らしい。むろん外観の見た目もじつにすっきりとしてムダがない。小さな部品にも、その配置にもきめ細やかな配慮とこだわりがある。

 いま手元に、K-01とそのボディベースとなったK-rを並べて見ているのだが、うーむ、ウマいなあ、とつくづく感嘆する。
 いや、誤解されると困るんだが、なにもK-rのデザインがよろしくないなどと言っているのではないぞ。でも、K-01を見ると、もうちょっと冒険してもよかったのではないか、と感じなくもない。とはいえ社員デザイナーには、そりゃあ皆さんご存じないでしょうけれど、あれやこれや“外圧”が陰に陽にかかってくるので、自分の意見を貫き通すなんてことは不可能に近い。

 さて、K-01のデザインで感心したことは(じつはいくつもあるのだけど)、モードダイヤル、メインスイッチとシャッターボタン、そしてコマンドダイヤルの形状と素材、操作感だった。モードダイヤルの大きさは適度だし、その操作感もすこぶる良い。クリックしたときに「カチッ」といい金属音がするし、そのクリックの固さも素晴らしい。メインスイッチもじつに操作しやすい形状だし、シャッターボタンも押しやすい。カメラ上部のグリーンとレッドのボタンの輝きにも惹かれる。

 内蔵ストロボのカバーが金属製(アルミ)であることに気づいていますか、皆さん。おそらくデジタル一眼レフでは初めてで唯一ではないか(フィルム一眼レフではあったけれど)。その内蔵ストロボの前面に「PENTAX」のロゴがあるけれど、この文字が現行機種と違っているのに気づいていますか、皆さん。内蔵ストロボの金属カバーや「PENTAX」ロゴについては(それ以外にもたくさん)、マーク・ニューソンがガンとして譲らなかったと、そんなことを聞きました。それを許したペンタックスも褒めてやらなくちゃ。