2013/02/27
X100Sのファインダー
富士フイルム・X100S100S/X20になって、それぞれのファインダーに"画期的な機構"が組み込まれた。今回はX100Sのファインダーについ、X20のファインダーについては次回で話をしたい。
X100Sのほうには、マニュアルフォーカスのモード時に上下像のズレを合致させてピント合わせをする「デジタルスプリットイメージ」を採用している。像面位相差画素を利用していることがミソ。
X100Sのデジタルスプリットイメージは、像面位相差画素を使ってピント(像)のズレのデータを画像化して ―― ピント位置を数mmづつズラしながら約100カット近く擬似的に撮影してそのデータを画像にしている ―― 像のズレとボケが同時にかつ連続的に見えるようにしたものだ。
スプリットイメージというと一眼レフカメラのそれを思い浮かべてしまうが、実際は二重像合致式といったほうがわかりやすいだろう(X100Sのそれは二重像部分がぼけたりシャープに見えたりするから、そういう意味ではスプリットイメージと言ったほうが正解かも)。

スプリットイメージ(二重像合致式)は古くからあるピント合わせの方式のひとつだ。左右または上下にズレた半透過の像がレンズのピントリングに連動していて、ふたつの像がピタリと一致すれば合焦したことになる。
二重像合致式はMライカなどのレンジファインダーカメラにも採用されているが ―― やや乱暴にいえば ―― それをデジタル画像化したのがX100Sのスプリットイメージ。世界初。
X100Sはファインダー画面の中央部(位相差画素の配置範囲)をスプリットイメージ化している。半透明の濃いグレーで、上下4段に分割。ピント操作すると左右にズレた上下像が、ピントが合うとズレがなくなり上下像が合致する。EVFだけでなくライブビューのときのボディ背面LCDモニター上でも使用できる。
ただし、やや「未完」の部分もなくもない ―― 初ものだからしょうがないじゃないか。このデジタルスプリットイメージを使ってピント合わせをするには、それそうとうの「コツと経験」が必要だし、暗いシーンでは相当に見づらい。とはいうけれど、とくに近接マクロ撮影のときや、ピンポイントで正確にピント合わせをするにはとても便利に活用できてとても便利だ。