2013/06/04
Carl Zeiss製でなくても、いいものはいい
富士フイルム・X-Pro1+カール・ツアイス・Touit 2.8/12ライカとツアイスはムカシからなにかと比較されてきた。そこでよくいわれているのが「カメラはライカ、レンズはツアイス」という話である。少し大袈裟に(ぼく流に)この意味を噛みくだいて言うと、「ライカのレンズはヘボだけどボディは精密で壊れなくて素晴らしい、ツアイスのレンズは文句なしに良いのだけどボディは故障ばかりする」と、まあこんなところか。
ぼくは、両方のカメラやレンズを使ってきた経験上、「もっともだっ、その通りだっ」といたく納得する。こういっちゃナンだけど、いままで使ってきたライカのレンズで「いいレンズだ」と思ったものがほとんどない。それにひき替えツアイスのレンズは「アレもよかったコレもよかった」と、そんなレンズばかりだ。ところがボディはこれとは正反対。ツアイス(CONTAX)はレンジファインダーも一眼レフも、なんだかしょっちゅうどこかの調子が悪かった。
いや、だからといって"盲目的"になんでもかんでもツアイスのレンズがいい、「Touit 2.8/12」レンズがいいと言っているのではない。そう思われたとしたら心外だ。

歴史のあるブランドには敬意を払ってはいるけど、それにすり寄ったり、なびいたりはしないようにぼくはつねに心がけている ―― だから、人から「生意気だ」とか「恐れ入るところがない」と思われてソンしてることも多いのだけど。そういうわけで、「Touit 2.8/12」を実際に使って、撮ってみてその写りにぼくは正直に、感心した。
ところで、レンズの製造組み立てが「Made in Japan」ということで、ぼくはこれにも大変に興味を持った。というのも「Touit 2.8/12」はAF対応だし、極めて高度なレンズ製造技術を備えて仕上げられたところが各所に見られたからだ。それはともかく、いままでCarl Zeissレンズの多くを作ってきた国内レンズメーカーのコシナでもないことは確実(コシナがはっきりとそう言っている)。
Touit 2.8/12レンズは、よくよく見れば製造組み立てをしているメーカーが、たぶんあそこじゃないかなあ、とすぐにわかる。レンズ設計も、ソコがやっているかも…。カメラやレンズについて「うるさ型」を自認している人なら、このレンズを注意深く観察すればどこで作っているかはわかると思う。 ―― こんな事例は国内メーカーのレンズでもたくさんあって不思議でもナンでもない。
ま、それはいいとして、Carl Zeissは(いままで以上に)企画と出荷基準、つまり、入り口と出口をしっかりとコントロールしていることは確かだろう。ぼくとしては、どんな作り方をしていようが、どこで製造していてようが、Carl Zeissブランドであろうがなかろうが、「良いレンズ」だったらそれでイイんだけどね。