たとえばISO感度の設定方法

キヤノン・EOS 5D + トキナー・24?200mmF3.5?5.6
 EOS 5Dの話が出たついでに、もうひとつ。日本カメラグランプリの“準グランプリ”の話ではない。ずーっと気になっている操作性の話。
 5Dも30Dも (10Dも20Dも…) そして1D系もそうなのだが、ISO感度やホワイトバランスなど、比較的頻繁に設定を変更するモードはカメラ上部の情報パネルを見ておこなう。モノクロ液晶の (決して見やすいとは言い難い) 情報パネルに表示されるちっちゃな文字やアイコンを見て設定する。つまり、ボディ背面の大きなカラー液晶モニターを持っているのに、ISO感度やホワイトバランスや、AFやドライブモードなどの設定がそこではできない。ところが、このキヤノンと同じように情報パネルと液晶モニターの2ウエイの表示方法を採用しているニコンの機種では、それらのモード設定がカメラ上部の情報パネルでもボディ背面の液晶モニターでも、できる。デュアル表示方式。これが便利なのだ。


 たとえば三脚にカメラをセットしたとする。ごく普通のアイレベルにカメラをセットしてフレーミングを決める。さて…と、ここでISO感度を変えたりホワイトバランスを変更したりしようとすると、アイレベルにセットしてしまった5Dではカメラ上部にある情報パネルが見えない。仕方なくカメラ上部が見えるように三脚のパーン棒をゆるめてカメラを傾けるか (せっかく決めたフレーミングがチャラになる) 、どこかから踏み台を探してきて5Dを上から覗き込むようにしないと見えない。
 ニコンの、たとえばD200だとボディ背面の液晶モニターでそれらの設定もできるから、なーんの苦労もせず、先ほどセッティングしたフレーミングをチャラにすることもなくISO感度でもホワイトバランスでも変更ができる。表示文字も大きいしカラーだし、一覧表示もされるので見やすい。
 こうした“些細な”操作上の配慮がキヤノンのカメラには欠けているなあと感じることが少なからずあってそれが少し残念。せっかく大型化したカラー液晶モニターなんだから、もっともっと有効活用するようにして欲しいんだけど、でも次の機種でも相変わらずなんだろうなあ。

日本カメラグランプリ次点

キヤノン・EOS 5D + EF24?105mmF4 L
 2006年度の日本カメラグランプリはニコンのD200だったが、では第二位の機種はというと、キヤノンの35mm判フルサイズのEOS 5Dであった。票数は少し開いた。で、その次の第三位は世界初のライブビュー機能搭載のオリンパスのE-330。ちなみに、グランプリ選考とは別にカメラ記者クラブ賞という“特別賞”があって、それにはリコーのGR DIGITAL (当然だろう) と、コシナのZeiss Ikon (ちょっと意外) が選ばれた。
 いつもこの日本カメラグランプリで気になっていることは、グランプリに選ばれた機種は大いに脚光を浴びるのだが、たとえ票数がごく僅差であっても第二位の機種や第三位の機種はほとんど注目もされない。そのうえ、今回の場合など第二位、第三位の機種は“特別賞”にもなっていない。そりゃあいくらなんでも可哀想ではないか、と思う。EOS 5DもE-330も、もっともっと注目され賞賛されてもよいカメラのはずだ。


 EOS 5Dが第二位に甘んじてしまったことの理由をあれこれ憶測してしまうけれど、そのひとつとして、一人勝ちを続けているキヤノンにばかり賞をやることもないだろう、がんばっているニコンに賞をやろうじゃないか、という“判官贔屓”の気持ちが少なからず選考委員の人たちにあったのではないかと。いや、こんな言い方をすると誤解されそうで困るのだけど、むろん、キヤノンががんばっていないというわけでもないし、グランプリ選考委員の人たちが判官贔屓のような単純な情に流されて票を投じるわけもないし、D200が正しい評価をされていないというわけでは決してない。でも、最近のグランプリの受賞傾向を見るにつけ、少し判官贔屓なきにしもあらず、そんないささか不謹慎な見方をついしてしまう。
 いやそういう話ではなくてぼくが言いたかったことは、第一位のグランプリと一緒に、せめて第二位のEOS 5D、第三位のE-330の機種ぐらいまでは「準グランプリ」として賞を与え評価をしてあげたいなあと思っておる次第だ。EOS 5DもE-330も、2006年度のカメラグランプリを受賞してもまったく不思議でもなんでもないほどのカメラだと思う。

カスタマイズできない仕上がり設定

ニコン・D200 + VR 18?200mmF3.5?5.6
 今年の日本カメラグランプリにこのD200が選ばれた。予想通りの結果だし、当然の結果だ。一部分、不満点はあるけれど総合的に見ればほんとに良くできたデジタル一眼レフで、使っていほとんどストレスを感じさせない。不満点はと言えば、電池のモチがあまりよろしくないこと。ぼくのいつもの撮影スタイルで、レンズはVRの18?200mmを使った場合でだいたい400カットちょっとぐらいか。連写をどしどし続けるような撮影をしたりすればとうぜんながらもっと撮れるはず。ただしD200の電池管理が素晴らしく良くできているので (電池残量が100%表示され、撮影済みカット数も確認できる) それほどの不満は感じられない。とはいえ、同じような撮影のやり方でEOS 30Dを使うと、こちらのほうはざっと900カット近く写せるから、D200は根本的に少し浪費癖はありますね。


 もう一つはオートホワイトバランスの精度。とくにタングステン光とデーライト光がミックスするような場面では「おいおい、どーしたんだよ」と文句のひとつも言いたくなるような色調になってしまうことがある。D200でオートホワイトバランスモードなんか使うなよ、と言う人もいるだろうけれどそーゆー問題じゃあないよね。仕上がり設定モードもぼくにとっては不満のひとつ。各設定モードがカンタンに選べる方式はいいのだけれど、しかしその設定モードを選んでしまうと各種パラメータの調整ができなくなること。たとえば「鮮やかモード」を選んだあとに、コントラストや彩度、あるいはシャープネスなどを設定して自分の鮮やかモードに仕上げようとしてもそれができない。EOS 30Dなどに搭載されているピクチャースタイル ―― しかしこのモードは素晴らしいね、使えば使うほどその完成度の高さに感服してしまう ―― それに比べるとかなり見劣りしてしまう。
 高ISO感度での「ノイズ」も他機種 (とくにEOSシリーズ) と比較すると少し目立つけれど、もともとぼくは「ノイズ」に対して寛容なのでそれほど気にはならない。いやそれよりも、ノイズリダクションの強弱を調整できる機能を入れていることのほうを評価したい。D200はもともとこうしたきめ細かな設定があれもこれもできるカメラにもかかわらず、仕上がり設定だけが“完全お仕着せ”というのが使っていていつも感じる不満。

読むほどに悩ましくなる使用説明書

オリンパス・μ 810
 久しぶりにμ810を仕事で使う機会があった。で、この機種について原稿を書かねばならなくなってあらためて使用説明書を読んでみて、なんじゃこれは…、と呆れて開いた口がふさがらなかった。肝心カナメのことについての説明がまったくない。
 そもそも、カメラに同梱される使用説明書は、製品がカタチになるかならないかの時期から編集に取りかかることが多い。デジタルカメラは発売のぎりぎりまで仕様や操作方法が固まらない場合もあって、だからすでに“見切り発車”している使用説明書では曖昧な表現にならざるを得ないこともある。タイトなスケジュールでカメラの開発をすすめ、たとえば発売日ぎりぎりまで最終ファームウエアが決まらないようなメーカーの場合なんかはとくに使用説明書に四苦八苦しているようだけど、しかしそれにしてもこのμ810のそれはひどい。


 というのも、μ810の電子手ブレ補正機能の操作方法について、もう一度確認しようと使用説明書を開いてみたのだがその説明がない。いや、ない、というと少し語弊があるけれど、あることはあるのだがまったく役に立たないたったの2行ほどのヘナチョコな説明だけなのだ。木で鼻を括ったような説明。もしも、このヘナチョコ説明を読んだだけでμ810の電子手ブレ補正を完璧に使いこなせる人がいるとすれば、その人はたぶん奇人か変人だと思う。
 結局、困り果ててオリンパスのホームページからμ810のページに行って「機能紹介」を見てようやく知りたいことが“少し”わかった。でも ―― いささか細かな指摘だけれど ―― そこに掲載されている操作画面が実際にいま手にしているμ810の画面と違うというのもヘンだけどね。ま、いずれにしてもインターネットを使って確認しなければわからないような“役に立たない”使用説明書なんか同梱するなよ、まったくう。

F30のラチチュード

富士フイルム・FinePix F30
 ハイエストライト部からディープシャドー部までを肉眼で見ているのと同じように階調描写をすることは、デジタルカメラであろうがフィルムカメラであろうが (描写の程度の差はあっても) 不可能だ。デジタル画像もフィルムも明暗を描写表現できる“幅”があってそれをラチチュード (寛容度) と言っている。とうぜんながら被写体の明暗差が、たとえばデジタル画像の表現できるラチチュード幅よりも広ければ、ハイエストライト部は階調描写できず真っ白く「白トビ」してしまうし、ディープシャドー部はベタ黒になって「黒ツブレ」してしまう。もし、デジタル画像のラチチュードが広ければ、それだけ白トビも黒ツブレも少なくなる。
 このラチチュードの幅を調整するのが「コントラスト」のパラメータ設定機能で、多くのデジタル一眼や一部のコンパクトデジタルカメラには搭載されているのだが、しかしこのF30にはない。


 コントラストを強くすると明暗差が強調されめりはりのある画像になるかわりに階調描写が犠牲になる。コントラストを弱くすると階調豊かな描写になって白トビも黒ツブレも少なくなるが、フラットでややネムい画像になる。F10/F11にそうしたコントラスト調整機能があれば良かったのにと思っていて次機種に期待していたが、F30にもそれがなかった。これはいささか残念なことだった。
 F10/F11はもともと少しハイコントラストの描写傾向があった上に「やや露出オーバーぎみ」の傾向もあって ―― レンズ描写性能のせいも少しあると思う ―― 被写体によってはハイライト部の描写ができず白トビしてしまったように見えることがあった。で、F30でそれが改善されているかどうかを心配している人がいるようで、その件についてのメールをもらったりした。F30を短期間だけれど使ってみたぼくの印象では、少なくともF10/F11よりも露出オーバーぎみの傾向はなくなり (といっても1/3?1/4EV程度だけど) 、さらにラチチュードの幅も心持ち広げているように感じた。
 ラチチュードというのは露出と密接な関係があって、露出値をハイライト側に寄せるのとシャドー側に寄せるのとでは、同じラチチュード幅であっても白トビをさせず、あるいは黒ツブレをしないように写すこともできないこともない、ということもあわせて知っておいて欲しい。

追記
たくさんコメントをいただきました。それについて、おこたえしました。

F30の、相変わらずの点と良くなった点

富士フイルム・FinePix F30
 F30の内蔵ズームレンズはF10/F11とスペック上では同じようだが、使ってみたぼくの印象ではだいぶ違うように感じた。そこで「これは同じレンズなのでしょうか」とフジに問い合わせたほどで、それほどに違う ―― フジからは「同じです」と回答があった。そもそも、いままでフジのコンパクトカメラのレンズには、不満に感じることがときどきあったのだが、このレンズなら文句はない。とても良くなっている。
 ただし、AFの測距スピードが相変わらずノンビリしてるのが気にかかるうえに、最短撮影距離 (60cm) も依然として遠いのは残念。マクロモードの切り替えなしのシームレスAFを採用して欲しい。プログラムAEと絞り優先AEモードのとき、シャッタースピードがAE連動する下限が1/4秒までなのも、これもぜひ改善を。


 でも、電池蓋を開けたときに電池がぽろりっと落ちないようにロック装置が付いた (ようやく、だ)。露出補正とセルフタイマーがメニュー画面に入らずにボタンでダイレクトに操作できるようになった (これは“画期的”と誉めていいだろう)。フラッシュを発光モードに切り替えると、コンデンサーに充電されるまで液晶画面がしばらくブラックアウトしてしまう悪いクセがなくなった (長いブラックアウトがなくなって、いらいらがなくなった)。液晶モニター画面の表面のテカテカ反射する保護ガラスがなくなって見やすくなったし指紋べとべともなくなった (ただ、モニター画面の強度は大丈夫か少し心配) 。
 このほかにも細かな点の改良もいくつかあって、操作上で大きな進歩が見られて、なかなかいいカメラに仕上がってる。

i-フラッシュ

富士フイルム・FinePix F30
 F30にはセールスポイントがふたつあって、そのひとつがISO3200までの高感度。もうひとつが「i-フラッシュ」である。i-フラッシュとはインテリジェントなフラッシュの意味。詳しいメカニズムはわからないけれど、要するに、主要被写体も背景も自然に見たままにキレイに写す、というものらしい。ムカシ、フジのフィルムコンパクトカメラに、似たようなセールストークをしていたフラッシュ機能として、DP (デジタルプログラミング) 方式なんてのがあったけれど、それをブラッシュアップしたものなのかな (そんなカンタンなものじゃないだろうけれど)。


 もともとぼくは内蔵フラッシュのストレート発光撮影は、とくにコンパクトデジタルカメラでは普段あまりやらない。だから、こうした機能の有り難みをあまり感じないのだが、それでも「ほほーっ」と感心することもあった。奥行きのあるシーンで手前の被写体がオーバー露出になって白くトンでしまうてなことがほとんどなかった。ただ、液晶モニターでレックビュー画面を見ると「なーんだ、シロとびしてるじゃないか」とがっかりする。でも、それをPCのディスプレイで見るときちとディテールが出ているのだ。だから液晶モニターを見ただけで「こりゃあアカン」と早合点しないこと。このi-フラッシュの効果を最大限に発揮させるには、オートISOモード、スローシンクロモードを選んで撮影するのがおすすめのようだ。

 いくつかご質問のようなものがありましたので、カンタンですがお答えしておきました。

光の有効活用

富士フイルム・FinePix F30
 F30に使われている1/1.7型のスーパーCCDハニカムは「第六世代」である。F10/F11も同じ1/1.7型スーパーCCDハニカムではあるがこちらは「第五世代」で、つまりF30のCCDは新しいタイプのものになったわけである。それに加えて画像処理エンジンも「リアルフォトエンジンII」と、こちらも新しくなった。
 というわけで、これにより最高ISO感度がF10/F11がISO1600までだったのをF30ではISO3200にまでアップさせた。F30のセールスポイントのひとつが、この高ISO感度である。で、そのISO3200の画質はどうなんだといえば、カシオのEX-Z1000の“なんちゃって高感度”とはだいぶ違う。Z1000のISO3200の場合は、ま、はんぶん冗談みたいなもんだからそれはそれでイイとして、このF30のISO3200はかなりの“真っ向勝負高感度”なのだ。ナニに対して“勝負”かといえば、メカ式手ブレ補正に対してだ。


 ところで、そのISO3200の画像が使いものになるのかということについては、人それぞれ。ぼくはイイんではないかなと思う。少なくとも (たびたびの比較ですまんけれど) Z1000のISO3200よりは“数倍”イイと思う。F30を使って感心したことは、ISO3200よりもISO1600の画質の良さのほうだった。F11に比べると解像感もアップしハイライト部の描出も良くなってる。
 F30の高感度化のためにはいくつかの技術的な改良があった。たとえば感度をアップさせるために光を有効活用できるようにCCDの微細化技術、レイアウトの最適化、そしてノイズを少なくするためにアンプの改良や熱雑音の低減化などを徹底的におこなったそうだ (少し、フジからの受け売り…)。ところで「光の有効活用」なんだけど、レンズから入ってくる光のうち、いまのところデジタルカメラは40?50%ぐらいしか有効に活用していないらしいのだけど、これがたとえば10%アップするだけで約0.3EVほど感度が上げられるということ (現在のCCDの性能や処理アルゴリズムはそのままとして)。ことほど左様に、今後いかに資源を無駄遣いしないかちゅうのが全地球的な課題であるわけだ、と本日は大きくでてしまった。

フジのとっておきの虎の子の一台

富士フイルム・FinePix F30
 ブログにしてヨクナッタね、といった電話やメールをもらって少し驚く。いやそのことよりも、せっかくコメント欄にメッセージを寄せていただいてるのに、それに対してきめ細かく返事をしてないのにやや心苦しいけど、これについてはどうぞご海容を。コメント欄はとりあえずONにしてるけど気が変わればすぐにOFFにするかもしれぬけど、そのときはそれも寛恕。ブログにしたのはいくつかきっかけがあったのだけど、そのひとつは、とっても気分が良くなるブログを見ていたからだ。そのなかで、仕事をしていて飽きたり暇なときにぼんやり眺めて愉しませてもらっている「My favorite Blog」が三つある。
 以下、無断でリンクし紹介して申し訳ないけれど、「日々是浪費?ヒビコレロウヒ」がひとつ。生活圏がぼくの近くということもあるけど、モノに対するセンスの良さが溢れている。取り上げてる情報がおもしろい。「気が向いたとき登山&写真」は、山の写真のウマさもさることながら、ぼんやり見てるだけで山に吹く爽やかなそよ風が画面から漂ってくる。見るたびに山に行きたくなる。「photoseason's blog」は、写真家のブログだけあって写真がウマいのは当然だけど、しかし彼が住んでいる北海道の景色がすばらしい。この冬、ずっと見せてもらっていたけど、寒いのが苦手なぼくでも「ああ冬の北海道に行きたいなあ」と思わせるほど良い写真が多い。


 今春のコンパクトデジタルカメラの新型モデルは、各社ともどこも、多くの機種を投入していてじつに賑やか。キヤノンなどはいっきに7?8機種も新しくモデルチェンジしたりラインナップに加えているし、ペンタックスは4機種の新型カメラを、ニコンも4モデル6機種、といった具合だ。パナソニックもオリンパスも。ところがフジはといえば、いったいナニがどうなっているのか、春の新型機種としてはこのF30のたった1機種だけだ。とっておきの虎の子の一台、か。
 でも、フジの“大切な虎の子の一台”だけあって、F30は大事に丁寧に育てられたようで「とてもよい子」に仕上がっている。外観デザインはごく普通のオーソドックスなスタイルではあるけれど、操作性や中身はこれがなかなか良い。F10やF11からいくつかの点で大幅に変更されている。フジという会社は ―― というとエラそうに聞こえ誤解されそうだけど ―― 意外とこれが保守的で、小幅の変更でも、それがイイとわかっていても、なかなかやらないてところがある。ところがF30を使ってみると、いままでのフジとは違うなにかを感じさせる。

最高ISO3200の“なんちゃって高感度”

カシオ・EXILIM EX-Z1000
 Z1000のISO感度はISO50から、最高ISO3200まである。いやはやカシオも思い切ったもんだ。2ミクロンを下回るかどうかというほどのちっちゃな画素サイズなのに、無理して高感度にすればノイズが目立ってくるのは自明の理。それを承知の上で“蛮勇”のISO3200である。で、そのISO3200は「使いものになるか」と問われればぼくは遠慮するけれど、しかし「これでも、写らないより写ったほうがイイ」と思う人もきっといるに違いないから、まあ、それはそれでいいんじゃないか思う。


 その高感度画像は、カシオがいつもやるようにノイズをべたべたにつぶす処理をしているから解像感なってあったもんじゃあない、ふにゃふにゃだ。まるで宇宙人の食べるお粥みたい。なんちゃって高感度。「アンチシェイクDSP」の意地もあったんだろうけどそこまで高感度に意固地になることもなかったろうにと思う。でも、その高ISO感度の画像だけをとりあげてZ-1000を“評価”するのは本末転倒だろう。逆にカシオのその勇気を誉めてやりたい。このZ-1000だけにかんして言えばカシオの画像処理はなかなか優秀。ISO200ぐらいまでなら1020万画素の“実力”を充分に堪能することができるんじゃあないだろうか。

アスペクト比14:9の新型液晶モニター

カシオ・EXILIM EX-Z1000
 ボディの外観デザインは地味。はっきり言って (相変わらず) ヤボったい。せっかくの、コンパクトデジタルカメラとして世界初のオーバー1000万画素なのに、見映えのほうももうちょっとナンとかならなかったのかと思う。「うほっこれが1000万画素のカメラかっ」と、見ただけでそう思わせるようなデザインにしてもよかったのに、これは残念。でも、カシオのカメラはこの少しやぼったいデザインで“売れている”んだから、しょうがないのかなあ。勝てば官軍、売れればブッシュ。


 液晶モニターはカシオが新開発したストライプ配列の2.8インチ型で、そのアスペクト比は14:9というやや変則的なもの。で、アスペクト比14:9なのだけれど、そのアスペクト比で撮影記録することはできない。4:3と、3:2と、16:9の3種類が選べるだけ。14:9のやや横長のモニター画面の、左側にスルー画像が、右側端に簡易メニューが常時表示される。アスペクト比を変更しても簡易メニューは表示されたまま。シャッターボタンを半押ししても消えない。この簡易メニュー、なんだか邪魔なようだけど、慣れるとこれが意外と便利で使い勝手も良い。

レンズの良し悪しが厳しく問われる時代

カシオ・EXILIM EX-Z1000
 Z1000はペンタックス製の沈胴式3倍ズームレンズを内蔵しており、このレンズはOptio A10の3倍ズームレンズと同じ。たまたまぼくが使ってるZ1000のレンズが“大当たり”で、このレンズのおかげだろうか、素晴らしい描写だった。ところが、たまたまぼくが使ってるA10のレンズはといえば“大外れ”だったのか、こちらのほうがいささかヘナチョコの描写だった。軒先を貸して母屋を取られる、てなことになりかねない。しっかりしろ、ペンタックス。


 1000万画素を越えるぐらいになると俄にレンズ性能が描写画質に大きく影響をしてくる。そのことは一眼デジタルでも言えることだが、とくにコンパクトデジタルではその傾向が顕著になる。もしレンズ性能が良ければ1/1.8型程度の撮像素子の1000万画素でも、その高解像度の実力と魅力を充分に発揮してくれる。ヘボなレンズならせっかくの1000万画素も台無しになる。
 ところで1020万画素もになるとファイルサイズもデカくなって、JPEGの高画質モードだったらそのファイルサイズはカルーく4MBぐらいになる。ノーマル画質モードでも平均2.6MBぐらいのサイズだ。でも、もしこのZ-1000を使って1000万画素の実力をフルに発揮した画像を得たいのなら ―― ブラさないで写すことは言うまでもないが ―― できるだけ高画質モードで撮影したほうがよろしい。デジタル一眼の場合は無理して高画質モードを選ぶ必要はないけれど、コンパクトデジタル、それもZ-1000のような高画素モデルの機種ではJPEGの圧縮率のちょっとした差が画質に影響してしまう。

1020万画素のコンパクトデジタルカメラ

カシオ・EXILIM EX-Z1000
 というわけで、とうとうコンパクトデジタルカメラにもオーバー1000万画素である。それが出てくるのは今年の秋頃か、と思っていたが、その予想より少し早かった。この1020万画素CCDは、スペック表記上はいちおう「1/1.8型」ということになっているが、じつは厳密に言うと「1/1.8型」ではない。じゃあ「1/1.7型」か、といえばそうではない。ちょっとワケありの、四捨五入の「約1/1.8型CCD」なのだ。ま、ソンなことはどーでもよくって、かんじんの1000万画素画質はどうかといえば、意外とこれが良い。いや、かなりよろしい。


 撮像素子サイズが小さいまま画素数を多くすることによるデメリットは承知了解の上だけど、しかし画素数が多くなって解像度が向上することによるメリットもある。このZ1000の画質を見ると、メリットがそのデメリットをオブラートにくるむようにして、小さな画素ピッチの七難をじょうずに隠しているかのようだ。画素数が多くなることのメリットは解像感の向上だけでなく、それが画質向上のための画期的なブレイクスルーを引き起こすような気もしないでもない。ぼくはソレに多きに期待をしている。そのためには、ともかく高画素化してみないことにはハナシにならない。やってみる。もしダメだったらやめればいいのだ。それを観念的概念的に「高画素化はだめだダメだ」と後ろ向きなこといってちゃあ技術の進歩はないでしょう。