F30のラチチュード

富士フイルム・FinePix F30
 ハイエストライト部からディープシャドー部までを肉眼で見ているのと同じように階調描写をすることは、デジタルカメラであろうがフィルムカメラであろうが (描写の程度の差はあっても) 不可能だ。デジタル画像もフィルムも明暗を描写表現できる“幅”があってそれをラチチュード (寛容度) と言っている。とうぜんながら被写体の明暗差が、たとえばデジタル画像の表現できるラチチュード幅よりも広ければ、ハイエストライト部は階調描写できず真っ白く「白トビ」してしまうし、ディープシャドー部はベタ黒になって「黒ツブレ」してしまう。もし、デジタル画像のラチチュードが広ければ、それだけ白トビも黒ツブレも少なくなる。
 このラチチュードの幅を調整するのが「コントラスト」のパラメータ設定機能で、多くのデジタル一眼や一部のコンパクトデジタルカメラには搭載されているのだが、しかしこのF30にはない。


 コントラストを強くすると明暗差が強調されめりはりのある画像になるかわりに階調描写が犠牲になる。コントラストを弱くすると階調豊かな描写になって白トビも黒ツブレも少なくなるが、フラットでややネムい画像になる。F10/F11にそうしたコントラスト調整機能があれば良かったのにと思っていて次機種に期待していたが、F30にもそれがなかった。これはいささか残念なことだった。
 F10/F11はもともと少しハイコントラストの描写傾向があった上に「やや露出オーバーぎみ」の傾向もあって ―― レンズ描写性能のせいも少しあると思う ―― 被写体によってはハイライト部の描写ができず白トビしてしまったように見えることがあった。で、F30でそれが改善されているかどうかを心配している人がいるようで、その件についてのメールをもらったりした。F30を短期間だけれど使ってみたぼくの印象では、少なくともF10/F11よりも露出オーバーぎみの傾向はなくなり (といっても1/3?1/4EV程度だけど) 、さらにラチチュードの幅も心持ち広げているように感じた。
 ラチチュードというのは露出と密接な関係があって、露出値をハイライト側に寄せるのとシャドー側に寄せるのとでは、同じラチチュード幅であっても白トビをさせず、あるいは黒ツブレをしないように写すこともできないこともない、ということもあわせて知っておいて欲しい。

追記
たくさんコメントをいただきました。それについて、おこたえしました。