CFカードとSDカード

ニコン・D80 + AF-S VR 105mmF2.8G
 ニコンはなにかにつけて保守的だ、と思われがちだけど、いやそうではなくて実は革新的でアグレッシブ、良しと思えば突っ走るようなところがムカシからある。ベルトーネのカロッツェリアデザイン事務所から独立してイタルデザイン社を設立、カーデザイン以外にも活躍し始めたジュージアーロに、いちはやくコネクトして一眼レフカメラのデザインをまかせたりなどは序の口 (初めてデザインを手がけたのがF3だったかニコマートELだったかだけど、そのあたりの裏事情をぼくは少し知っているが、まだいまはしゃれべない)。
 それはともかく、その他あれやこれや進取の気風が溢れたメーカーなのだ、じつはニコンは。そうした思い切りの良さは (その評価については毀誉褒貶だけど) このD80でも、あちこちで散見できる。と、先日も、そういう意味のことをここで述べたけど、たとえばD80ではその一つが絵づくりなどの考え方に見られたし、カメラの操作系も、これがイイ、と思えば旧来のやり方をあっさりと捨て去って積極的に新しい方法を取り入れる。


 D80が使用する記録メディアの種類にしてもそうだ。D50はニコンのデジタル一眼では初めてSDカード対応とした。ところが、D50がSDカードに対応したことについては「どうしてCFカードじゃないのか」といった不満はそれほどなかったのだけど、このD80がSD対応にしたことに一部のわからずやから猛烈な反発があったやに聞く。その理由というのが、D70やD100でCFカードを使っている、もしD80に買い換えればいままで使っていたCFカードがムダになりあらたにSDカードを買わなければならない、と。その気持ちは(少しぐらいは)わからぬでもないけれど、正直に言えばぼくはこのハナシを聞いて笑ってしまった。D80というカメラそのものに魅力があるのなら、たかが記録メディアの継続使用、共用に拘泥するなんておかしいじゃないか。カメラそのものが重要なのか記録メディアの継続使用が重要なのか、そのへんを落ち着いてもう一度考えてみるべきじゃないのかなあ。もし、どうしても、いま持っているCFカードをとことん使いたいと言うんなら、SDカードしか使えないD80をハナっから無視すればいいじゃないかい。
 かくかくしかじか、ニコンが、D80はD70シリーズやD100などのユーザーの買い換えを期待していると言っているにもかかわらず、あっさりと記録メディアを変更してしまっているなんて、いかにもニコンらしくアグレッシブで(少し向こう見ずで)、ぼくはそんなところが好きだなあ。

D80デジタルライブ

ニコン・D80 + AF-S DX 18?135mmF3.5?5.6G
 外観はD70シリーズやD50のスタイリングを受け継ぎながら、その中身はといえば上位機種であるD200に採用されている機能や機構をふんだんに盛り込んだカメラだ。ニコンらしい ―― 堅実で真面目でそれでいて革新的でアグレッシブな ―― カメラに仕上がっている。見た目はジミだけど使ってみれば、ここあそこで新しいことをやっている。ただ、その新しい試みが、あるユーザーには歓迎されるかもしれぬが、いっぽうのユーザーには不評を受けるてなことにもなりかねなく、じじつ、D80にはそうした現象がいくつか見受けられる。たとえば、D80の絵づくりや露出レベル、そしてホワイトバランスのアルゴリズムである。そのいずれもが、D200ともD70シリーズとも、そしてD50とも微妙に違うのだ。
 絵づくりはD200のそれに比べると“かなり”彩度は高めでシャープネスも強い。露出は平均すると1/3EVほどオーバーめ。ホワイトバランスは、D200がアベイラブルな光を残しぎみに補正していたのに対してD80では一転、強く補正するような傾向が散見された。たぶん、こうした絵づくりや露出傾向、ホワイトバランスなどは、海外の多くのユーザーに大歓迎されるような気もしてそれはそれでいいのだけれど、もう少し日本国内のユーザーの趣味趣向にも気を配って絵づくり露出レベルを決めるようにして欲しいよなあと思う。


 二日前からこのD80の新製品のお披露目会とでも言えばいいのだろうか「D80デジタルライブ」という催し物が六本木ヒルズの40階でおこなわれている。今日が三日目で最終日。で、そのD80デジタルライブのトークライブってのに、このぼくが出ておりまして、これから原稿をいっぽん仕上げてからすぐそこの六本木ヒルズに出かける。一日に数回、D80と交換レンズについて40分ほどおしゃべりをするのだが(はずかしいのだ)、いやあなかなかウマくいかんもんですなあ。時間配分がじょうずにできない。それでなくてもハナシが支離滅裂になってしまううえに、このことも話ししておきたい、あれもこれも、ととめどがなくなり結局時間が足りないてなことになってしまう。もう少し要領よくおしゃべりできるようにしなければいかんですなあ…。
 このことは、こうした駄文を書くときもそうでして、手短に端的にそして間違いのないように書かないとと気をつけてはおるんでありますが(少しは、ね)、でも、そうそう、だからときどき「間違っとるゾっ」と叱られたりするんだよね…しかし、いいじゃあないか、そんなこまかいこと言わなくても、ここは。ほんの些細なことでも、目くじら立ててしっかりいわなければならんことは、この世の中、ほかにいっぱいありまっせ。というわけで、あほやなあ、また間違っとるよタナカは、と軽い気持ちで良しとしておいてください。…たかがブログじゃあないですか。

Adobe RGB対応

キヤノン・EOS-1Ds Mark2 + シグマ・MACRO70mmF2.8 EX DG
 開放絞り値から解像描写力は秀逸。画面周辺部までシャープで切れ味もコントラストも良い。ただ、逆光になるといささかコントラストが悪くなり黒の締まりが落ちるのが ―― これはシグマのレンズの以前からの“持病”みたいなもんで根本的な改善を望みたいねえ ―― あいかわらず、このレンズにも少し見られた。フレアーなのかなあ。まったく同じ条件でタムロンのSP90mmF2.8 Diマクロと比べてみても黒の締まりにちょっと違いが見える。しかしこの点を除けば、ほぼ満点に近いレンズだと思う。70mmという焦点距離もフルサイズで使いやすく、なぜいままでこのへんの焦点距離のマクロレンズがなかったのか不思議だった。画角が1.5倍になるデジタル一眼と組み合わせると、焦点距離がぴったり“105mm”相当の画角になるというのもおもしろい。ただ、付属のレンズフードが短いような気もするんだけどなあ、70mmでも。たとえばAPS-Cサイズデジタル一眼にしか使わない、ってな人のために“105mm相当”用の特別フードも用意してあるといいかもね。


 PC用のディスプレイモニタの話だけど、ぼくは長く使い慣れた21インチのCRTをメインにして、その横に20インチのLCDを並べてデュアル表示で使っている。画像のチェックはもっぱらCRTでおこない、LCDで見ることはほとんどない。その画像チェック用のCRTは“時代モノ”と言っていいほど古いのだが、長年にわたってたくさんの画像を見てきた。なので、知らず知らずのうちに自分の眼がオートキャリブレーションできるようになってきて、その古いCRT画面を見ただけでかなり正確に画像の判断ができる(と、自分では思っている)。でも、いつまでもこんないい加減なアナログ的な画像チェックをしていちゃあイカンなあ、とは感じてるのだが、気に入ったディスプレイがなかなか見当たらない。いいなあ、と思えばべらぼうに高価…。
 そんなおりに、エポックメーキングな液晶ディスプレイがこの秋に発売されるとのニュースを知った。Adobe RGBの広い色域に対応した20インチモニタがこの秋、サムスンから発売されることになった。そのディスプレイを見せてもらったのだけど、同じ画像を通常のsRGBモニタと比べてみると、まるで別世界。我が愛着あるCRTディスプレイなんぞゴミだね。いや、なんといってもその価格が衝撃的。詳細については今月号の「デジタルフォト」(9月号)にスクープ記事として載っているのでそれを買って読んでみるといいのだけど、Adobe RGB対応でですよ、1600×1200dotの解像度で、16万円ぐらいとのことで、いままでのAdobe RGB対応のディスプレイ (欲しかったのだ) が安くても50万円以上もしていたことを考えると、こりゃあスゴいことです。
 われら写真をやるモノにとっての、sRGBに対してAdobe RGB対応のディスプレイの「効用と必要性」については、話せばキリがないので省略…。

70mmのMACRO

キヤノン・EOS-1Ds Mark2 + シグマ・MACRO70mmF2.8 EX DG
 「EX」はシグマレンズの中でとくに描写性能などにこだわって設計された高性能レンズのことで、ま、言ってみればキヤノンEFレンズの中の「Lレンズ」みたいなものかな。「DG」ってのはデジタル一眼レフの特性にあわせてフレアーやゴーストが出にくいように設計されたレンズでフィルム35mm判用カメラにも使用できる。これに対して「DC」はいわゆるAPS-Cサイズ相当の撮像素子を使用するデジタル一眼レフ専用のレンズのこと。ちょっとややこしい。タムロンのほうも同じくまぎらわしい。シグマの「DG」にあたるレンズが「Di」で、デジタル一眼専用の「DG」にあたるのが「Di II」で、シグマ「EX」に相当するのが「SP」である。
 ま、こんなややこしい話はどーでもいいんだけど、この70mmマクロレンズは「DG」だからフルサイズ判カメラにも使用できる。「今回は描写には徹底的にこだわりまして、だから70mmにしては少し大きめで重く太くなってます。でも写りはバツグンです、ええ、自信作です」とシグマの人が胸を張っていましたが、その通り、これは素晴らしいレンズだねえ。解像感に目を見張る。


 それにしても次から次からとシグマはおもしろいレンズを出してきますね。とにかくスピーディーで、これはイケるっ、と思えばすぐに製品化してくる。シグマはムカシからそうだったよなあ。いやムカシはもっとスピーディーでアグレッシブだったようですね。ウソのようなホントの話なんだけど、会津にあるシグマの工場に見学に行ってその夜、シグマの役員に「あのレンズはね、こんなふうになってるといいのにねえ」と酒の席で話をして、そのまま会津の旅館に泊まった。明くる朝、目が覚めると枕元に昨夜、話をしたその改良版レンズが置いてあった、と。まったくぅウソつけ、サンタクローズじゃああるまいし、と鼻で笑う人がいるでしょうけれど、いいえ、ぼくはこの話を聞いてほとんど本気にしましたよ。シグマというのはそーゆー会社なんですよ。逆にタムロンはといえば、なかなか橋を渡ろうとせず、話を尽くしてようやく渡る段になっても、今度は石橋を叩いて叩いて、それを壊してしまって、とうとう渡れない、てなことが多いんだよなあ。ま、いいんだけどねタムロンらしくって…。
 というわけで、スピーディーでアグレッシブなシグマにしては、ちょっとグズなのがSD10の後継モデルでして、ようやくフォトキナでなにか発表はするらしいけれど、ぼくが予想していたよりも半年以上もぐずぐずしてた。でも、今度のモデルはちゃんとJPEGで記録できるに違いないし(とうぜんだろう)、がまんして待ってた甲斐があったというもんだ。新型Foveonのデキも楽しみだなあ。

1.8インチ型LCD

キヤノン・EOS Kiss Digital N + EF-S 17?55mmF2.8 IS USM
 EF-S 17?55mmズームはEOSデジタル一眼専用のレンズなのでフルサイズカメラには使用できない。Kiss Digital NやEOS 30Dにセットすると(35mm判換算で)約27?88mm相当の画角のズームレンズとなる。開放F値がズーム全域でF2.8ということを考えると、ま、これくらいの大きさと重さはしょうがないかなと思うけれど、がんばってもう少し小さくはならなかったんだろうかそれが少し残念。ちっちゃくてかるいKiss Digital Nにこの17?55mmズームをセットすると、かなり“アタマでっかち”になってバランスがあまりよろしくない。ボディとの ―― Kiss Digital Nとの組み合わせにかんしてだけど ―― バランスは良くないけれど“写り”は上級。やはりフィルムカメラもデジタルカメラも、レンズの良し悪しが画質に大きくかかわりますなあ。ややヘボなKiss Digital Nの画質がぐんと良くなる感じ。
 ニコンDX 17?55mmF2.8と比べると描写性能は一歩ヒケをとるけれど、EF-S 17?55mmはこれはこれでなかなか味のある描写をしてくれる。とくに55mm望遠側でF2.8開放絞り値付近での描写はボケ味が甘く柔らかく上品で、しかし2絞りぶんほど絞り込むと切れ味よろしくかりっとシャープな描写になって、ぼくはこのズームをとっても気に入りましたね。なによりも手ブレ補正、IS内蔵のレンズであることに大きな魅力を感じる。大口径と手ブレ補正の組み合わせは今後のレンズのトレンドとなるに違いない。


 いまあるEOSデジタル一眼の機種の中で、ピクチャースタイル非搭載、液晶モニターが小さい、のはこのKiss Digital Nと1Ds Mark2の2機種だけ。Kiss Digital Nを使っていていちばん気になったのは液晶モニターの小ささだ。1.8インチ型で11.8万画素。ちょっとプアーだよなあ。先日、ある雑誌の記事のために中級機初級機をあれやこれや10機種ほど集めて比較撮影をしたんだけど、それらの機種を次々と取り替えて撮影をしているときKiss Digital Nを手にしたとたん「なんだこの古いカメラはッ」と思ったほどで、しかし発売からたった1年半ほどしかたたないのに…。発表になったときから、液晶モニターが小さいよなあ見にくいよなあ、と不満だったけれど、いまや、回りの機種がどんどん大型液晶モニターが搭載されていく中でKiss Digital Nだけが孤軍奮闘しているという感じもしないでもない。操作ボタン類の操作感も上級機種であるたとえばEOS 30Dなどと比べるとチープな印象は否めない。でも、売れているんですよね、このカメラは。やはり小さい軽いボディ、ほどほどの価格、キヤノンのブランド力なのか、発売からずーっとコンスタントに、大量に売れ続け、そういう意味では“大成功”なカメラだったわけだが、もうそろそろモデルチェンジかな。

Lレンズの条件

キヤノン・EOS Kiss Digital N + EF-S 17?55mmF2.8 IS USM
 EF-Sレンズに「Lレンズ」がないのはどうしてなんだろうねえ。と、以前キヤノンの人に聞いたことがあるんだけど、Lレンズの条件を満たしてない…、とかナンとかワケのわからない返答で、じゃあLレンズの条件ってなんなの、と重ねて聞いたんだけど、いやそれはその…と、うまく誤魔化されてしまった。それにしても「Lレンズの条件」っていったいどんな条件なんだろうなあ、ずっと気になってることなんだけど。
 この17?55mmF2.8ズームの描写は決して悪くはない(ただし、すごいっ、というほどでもないけど)。でもね堂々と胸を張って ―― いや、ナンちゃってでもいいから ―― 「EF-Sレンズ初のLレンズだ」と言っちゃえばいいのに。それくらいの実力は持ってるよ。いまある「Lレンズ」の何本かの写りを見ると、このズームは充分に「Lレンズ」と言えるように思うけどなあ。


 このキヤノンEF-S 17?55mmズームと、ちょうど真っ向勝負でデンッと控えているのがニコンのDX 17?55mmF2.8Gレンズである。ズーム域、レンズの大きさや重さ、そして最短撮影距離などスペックはよく似ているが、ただ、EF-S 17?55mmには手ブレ補正機構(IS)内蔵だがDX 17?55mmにはそれがない。ISの魅力は大きい。もうひとつ価格が(だいぶ)違う。EF-S 17?55mmは14万3千円、対してDX 17?55mmはといえば23万1千円。一般的に言ってだけど、レンズの写りの良し悪しは価格に比例する。じゃあ、おいっ安いレンズはダメなのかっ、と早合点する人がいそうだけど、もちろん安いレンズにも良いレンズもあるけど数は少ない。そうじゃあなくて「高いレンズに悪いレンズはめったにない」ということ ―― 一部の骨董趣味的レンズは別だよ。だからレンズ選びで迷いに迷ったときは、価格で決める、てのが意外と正しいことがある。
 というわけでこの一般論のごとく、EF-S 17?55mmとDX 17?55mmは、描写性能だけについて言えばニコンDX 17?55mmのほうが“かなり”良かった。(それにしてもDX 17?55mmは秀逸なレンズですねえ、価格はちょっと高いけど、これにVRが内蔵されてれば…)

 Kiss Digital NとEF-S 17?55mmズームと組み合わせて撮影してるけど“他意”はない。引き出しの中をごそごそ捜し物をしてたらひょっこり出てきただけ。

顔キレイナビ

フジフィルム・FinePix S6000fd
 S6000fdは顔検出機能 (顔キレイナビ) 以外には、とくに「コレっ」といった特徴のあるカメラではないけれど、しかし、適度なボディサイズといい内蔵ズームレンズの使い勝手の良さといい、あれやこれや総合的に見てみると、とってもまとまりのいいカメラに仕上がっていると思う。こうしたレンズ固定式一眼タイプのカメラの中では“おすすめ度”はかなり高い。しいて気になる点と言えば、メカ的な手ブレ補正機構がないこと、記録メディアがxD-ピクチャーカードのみであること、だろうか。もしこのカメラに手ブレ補正機構 ―― CCDシフト方式でも、レンズシフト方式でも、ナンでも ―― を搭載していれば高感度とあわさって、まるで弁慶が機関銃を持ってるようなもんになるだろうに。フジは、そうした手ブレ補正の開発をだいぶ前から取り組んではいるようなのだが、ぐずぐずしてないでもうちょっと真剣になってがんばって欲しいと思う。xD-ピクチャーカードについては、フジはゼーッタイにやめるつもりはないようで、ぼくはそれはそれで (もうどーでも) イイけれど、この6000fdはxD-ピクチャーカードのシングルスロットではなくて、たとえばSDカードとのデュアルスロットにするとか、SDカードが憎くてそんなもん採用できるかッ、というならせめてCFカードのとのデュアルスロットにして欲しかったよなあ、じっさいS9000ではそうしてるじゃないかい…。


 顔キレイナビは、おもしろいねえ。もし機会があればカメラ屋さんの店頭で、ぜひ試してみるとよろしいぞ。ただ残念なことに、ぼくが使っているこのS6000fdは試作機初期のβ版のカメラであるためだろうか ―― あのパナソニックのできそこないのβ版カメラとは比べものにもならないけど ―― 動作がややもたついたところがあったり逆光で人物を撮影しても露出が人物中心にならなかったりヘンなところもあった。しかし、いままでの他メーカーの顔検出機能を備えたカメラに比べると顔の認識率やスピードは格段に優れていることはたしか。
 意外だったのはホンモノの人間の顔だけでなくポスターなどに写った顔も、雑誌に印刷された顔も、きちんと顔として認識することだった (こんなのべつに驚くに値しないのかなあ)。使用説明書 (これもβ版) によると顔キレイナビの苦手な被写体として、サングラス、めがねの人物などがリストアップされていたけれど、ぼくはめがねをかけているけれどきちんと検出していた。サングラスも薄い色のものならまったく問題なかった。この顔検出は「両目」を検出パラメータの重要部分に置いている。そこで、ウインクをしたり両目を閉じてみたりしたイジ悪いテストもしてみたけれど、少し迷うことはあったがかなりの確率で検出した。ただし手で片方の眼を覆うと確実に検出はできなくなるけどね。横顔も検出不能なことが多かったし、下を向いた顔もだめ (逆に上を向くとOK) 。横顔は45度ぐらいの角度でもだめだったなあ。

ネオ一眼の魅力

フジフィルム・FinePix S6000fd
 S6000fdは昨年秋に発売のS5200の後継機種になるそうだ。S6000fdの内蔵ズームレンズは、同じく昨年の8月ごろに発売されたS9000の内蔵レンズ (28?300mm相当) と同じものだし、撮像素子のサイズもほぼ同じ。だから、ぼくはてっきりS9000の後継機種だ思っていた。ところがS6000fdとS9000をじっくり見比べてみると、レンズは同じでもその他もろもろもがだいぶ違いう ―― S9000は液晶ファインダーも見やすかったし、xD-ピクチャーカードとCFカードのデュアルスロットを備えているなどレンズ一体型デジタル一眼 (フジではこれを「ネオ一眼」とよんでいる) としてはこれはこれで良くできていた。S9000に内蔵の28?300mmF2.8?4.9ズームは10倍を超えるズーム比ながら、小型で操作性も良く写りもとっても良かった。いっぽうS5200の内蔵ズームはといえば38?380mm相当の電動式ズームレンズで、たしかに小型なんだけど電動ズームの悪いところが出てしまって操作性もイマイチ、そして写りもイマイチだった。だから、S6000fdがS5200の“後継機種だ”といわれてもいまいちピンとこない。


 で、S6000sdの内蔵ズームだが、いちおうS9000内蔵の28?300mmレンズと同じ。スペック的にも外観的にも同じなのだが、ナンだか以前よりだいぶ良くなっているような気もしないでもない。いやそれよりも、ボディサイズもS9000よりもスリムになって、そのズームとボディとのバランスが良くなってるし、ホールディング感も格段に良くなって、じつにいいカメラに仕上がっている。ところが、いまこの時期に ―― たとえばペンタックス・K100Dのようにボディだけだけだけど6万円ぐらいで入手できるような時に ―― こうしたレンズ一体型デジタル一眼 (S6000fdの実販予想価格が6万円ぐらい) が市場でどれだけ受け入れられるのだろうか…。
 と、そんなことを考えながらS6000fdをしばらく使ってみたのだけど、いやいや、これはこれで魅力がいっぱいある愉しいカメラじゃないだろうかと。もちろんレンズ交換式のデジタル一眼とは撮像素子のサイズも違うし、とうぜんながら同じ画素数であっても「画質」は違う、レンズの拡張性もない。でも、コムツカシイことを言わなければ、充分な機能を備えた小型ボディと、マクロ撮影もできる操作性の良い28?300mm相当のズームがあれば、それだけで充分に写真が愉しめるんではないだろうか。なにせ、レンズ交換する手間もいらないし、できないんだからやろうとも思わない、その“潔さ”がよろしい。

 おもしろいゴーストが出てる…。ぼくはこうしたゴーストは、好き。だから「写真」がおもしろいのだ、やめられないのだ。

顔検出

フジフィルム・FinePix S6000fd
 カメラを人物に向けただけでその人物の顔の部分だけを認識してしまう (構図の中から顔を判断してしまえば、あとは自動的にそこにピントや露出を合わせたりできる) というのが顔検出 (顔認識) 機能。産業用としてだいぶ以前から研究開発が進み、あちこちでそれが利用されているが、ようやくぼくたちが使用するカメラにも搭載されるようになってきた。すでにニコンのCOOLPIXシリーズやペンタックスのOptioシリーズの一部の機種の同様の機能が搭載されているけれど、いずれも「ソフト処理」をしているために顔検出にめっぽう時間がかかる。
 ところがこのフジの顔検出は専用のICチップを作って「ハード処理」をしているから速いし確実に顔を検出する ―― ニューコアテクノロジー社もハード処理による顔検出機能をすでに開発しているがまだカメラとして製品化されていないようだ。S6000fdの顔検出は一人二人などお茶の子さいさいで、最大で10人までの“顔”をぱぱぱっとスピーディーに認識してしまう。S6000fは被写体にカメラを向けてシャッターボタンを半押ししないとピントは合わず、ところが人物にカメラを向けてピンぼけ状態なのだけれど顔検出はしっかりとしていて、それに少し驚いた。


 ぼくは、カメラ内蔵の顔検出機能については、何年も前から興味津々でウオッチしてきたのだけど、理由は顔の検出だけにとどまらず、これを応用することで顔以外でもピントを合わせたい被写体にもっとスピーディに確実に自動的にピントが合わせられるようになるんではないかと期待しているからだ。顔検出の今後の課題は、もちろんもっとスピーディーに検出することも重要だと思うけれど、たとえば横向きの顔を検出したり (いまはできない) 、同じ「顔」なんだから猿、犬やネコの顔もとりあえず認識できるようにして欲しいと思う。
 なお、S6000fdの「fd」は「Face Detection」の略なんだそうだ。で、この顔検出機能のことをフジでは「顔キレイナビ」と呼んでいてカメラボディ背面に専用ボタンを設け、それを一押しするだけでこの機能を発揮して撮影することができる。むろん、いうまでもないけど、S6000fdは人物撮影専用カメラではない、ぞ。

ローパスフィルターの謎

キヤノン・EOS-1Ds Mark2+EF85mmF1.2L II USM
 だいぶ前に酒を飲みながら少し酔っぱらって聞いていたので記憶がいささか曖昧だけど、1Ds Mark2も5Dも同じくフルサイズ撮像素子を使っているのにどうして価格にあんなにも差があるのかという話。むろんカメラとしての性能がぜんぜん違うのでそれがもっとも大きな価格差の要因なんだけど、それ以外にもいくつかの点で5Dのほうではコストダウンがされている。その一つがローパスフィルターだというのだ。
 ローパスフィルターは撮像素子と同じように大型になるほどその価格は極端に高くなる。そのうえ1Ds Mark2にはローパスフィルターにより高価なニオブ酸リチューム結晶を使っている。5Dは水晶で、これは比較的安い。ニオブ酸リチューム結晶と水晶とはローパスフィルターとしての性能ではそれほどの差はないそうなのだが、水晶に比べてニオブ酸リチューム結晶のほうがより薄くできる。


 ローパスの効果にそれほどの差がないのに、なぜ、1Ds Mark2にわざわざ高価なニオブ酸リチューム結晶を使っているのか。理由はカメラの機構上、ローパスフィルターを少しでも薄くしなければならなかったからだ。
 1Ds Mark2のAFは45点エリアAFセンサーで、これに対して5Dは9点AFセンサー。測距モジュールの大きさが9点センサーに比べて45点センサーのほうがデカく、その設置スペースを確保するためにシャッター膜を後方の撮像素子部に近づけなくてはならない。しかしシャッター膜を撮像素子部、すなわちローパスフィルター面に近づけるには1Ds Mark2は限界ぎりぎりのスペースしか残っていない。厚みのある水晶のローパスフィルターではシャッター膜とぶつかってしまう。そこで、高価であることを覚悟のうえで、より薄くできるニオブ酸リチューム結晶をローパスフィルターとして使っている、というわけなんだそうです。
 というわけで、この1Ds Mark2は次のモデルチェンジで (価格的にも機能的にも) どのように変貌してくるのか、いやはや大いに楽しみですよ、ぼくは。

 ところで、それにしてもこの85mmは良いレンズだなあ。すっかりハマってしまった。