フエ市内

ペンタックス・K10D + DA50?200mmF4?5.6
 「K10Dの画質はいったいどーなんだっ、ソコをしっかり教えろよ」とかなんとかの問い合わせをぼくのところにしてくるヒトが何人かいる。ナニをツマらんことを問うてくるんだろうかねえ、まったくぅ ―― そのテの質問が多かったもんだから、だからこのブログのコメント欄をやめちゃったんだけど。ま、それはさておき、ぼくが使っているK10Dはβ版の機種だから、画質についてまだあれこれコメントするレベルではないのだけれど、それを承知の上で、あなたごときが心配するようなことはなーんにもありませんよ、とここで返事しておきます。
 いやそんなことよりも、最近のデジタル一眼のどの機種も、そもそもこと画質にかんしてはじゅうぶんに合格点にあると思うから、なぜソンなことに気をやんでおるのか、その質問や疑問を抱くことのほうにぼくは奇妙に感じるよなあ。K10Dについては画質についてはなにも心配することもないだろうし、じじつぼくは(正直を言えば)K10Dの画質がどんなふうな仕上がりになろうがそんなことに興味などはない。それよりも、一日も早くK10D製品版を使って“もっとイイ写真、もっと魅力的な写真”を写したいよ、ぼくはね。


 画質がどうのこうの、高ISO感度でのノイズがどうだああだ、とわかったような理屈を述べるやつが最近多いようだけど ―― ま、それはそれでいいんだけどね、それもデジタル時代の写真の愉しみのヒトツ、と思えばね ―― で、そんなやつに限ってロクな写真を撮ってないんだよね。撮れるセンスもない。自分の写真のヘタさをみんなカメラやレンズやフィルムのせいにしたがるってのはムカシからいたけどデジタル写真になってからこの傾向がいっそう強くなったようですねえ。写真を愉しんでいる人たちの“夢”を砕くようなことは言いたくないんだけど、どれだけ素晴らしいカメラやレンズを使ったってヘタな写真は厳然として揺るぎないもんでありまして、カメラレンズ画質ごときでいかんともしがたいもんなんですよ。
 画質だノイズだ、と堂々とイチャモンを付けられるぐらいの、画質とノイズを気にしなければならないような、そんなレベルの高い写真が撮れるようになってから画質云々を言いなさいよね。アンタの写真なんかね、画質だノイズだと言う以前のシロモンじゃぁなのかい。まずね、もうちょいとセンスのあるフレーミングをしなさいよ、ピントぐらい正確に合わせなさい、もう少しブラさないで写しなさいよ、露出ぐらいきちんと合わせて撮りなさい。画質が悪かろうがノイズがあろうがなかろうがアンタの写真のレベルじゃ、かんけいないよ。うっふんっ。

価格の不思議

ペンタックス・K10D + DA16?45mmF4
 手ブレ補正機能(SR=シェイクリダクション)を内蔵、ゴミ除去機能(DR=ダストリムーバル)を内蔵、そしてカメラボディ本体で70数カ所に防塵防滴のための特殊シーリングを施している。撮像素子は1020万画素CCD。そのほかにも、あれやこれやリストアップし解説していけばキリがないほどの斬新で未来的で画期的な機能や機構を“満載”したのがこのK10Dです。
 冒頭のK10Dに備わっている代表的な機能や性能を満たす他社の機種と比べてみると、K10Dの販売予想価格(約12万円ぐらいだろうか)の数倍はする。これほどの機能と性能を備えたカメラが、なぜこんなに安く作り売ることができるのか使ってみるまで不思議でならならなかった。


 調整が難しく高度な技術を必要とするSRの機構や、このクラスのカメラとしては“過剰品質”とも言えるほどの防塵防滴仕様を持った、こんなクソ丁寧なカメラを作るだけでも、手間も人出も時間も忍耐もガマンも知恵も工夫も必要なはずだ。それらはすべてコストにダイレクトに跳ね返るはずなのに、たかだか12万円程度の価格とはいったいどーなっておるんだろう。
 K10Dを使う前からそれが不思議だったのだけど、いざ、実際にさんざん使ってみたり、作っているところをじっくりと見せてもらったりしたんだけど、どうもよくわからない。安かろう悪かろうなんてコトバはペンタックスには無関係、と思わせるほどに素晴らしいデキ具合なのだ。安っぽい部分や、手を抜いたな、と思わせるようなところが皆無。K10Dのいたるところから「PENTAXの真面目さ」が滲み出ているだけ。で、結局、どうしてこんなに安く作れるのか、の答えはいまだ見つからず。好きになるばかり…。
 ぼくとしては ―― たった“12万円”で仕上げたカメラとしては ―― 誉めて褒めて賞めすぎることのないほどのデキの良いカメラだと思っている。

一日かけてハノイ着

ペンタックス・K10D + DA16?45mmF4
 K10Dはペンタックスの、というよりも今年の秋のすべてのデジタル一眼レフカメラの中で、もっとも“注目度の高い機種”ではないでしょうか。少なくともぼくは、その機種の概要が発表されたときから気になってしょうがなかったし、いちはやく「α版」を使わせてもらったときその使い心地の良さに感服しました。そしていま「β版」をじっくりと使っておるんですが(良くできてるなあ)、使えば使うほど ―― ま、ナンと言いましょうか上級のコンブのように ―― じわじわと、いくらでも“いい味”がでてくるカメラであります。いくつかの小さな改善点や変更して欲しい点など ―― ぼくが少しガマンすればすむことでたぶん多くの人たちはほとんど気にならないだろう ―― はありますけれど、エエよエエよそんなこと、と思わせるほどに使い心地がよい。ボディを持ってみればすぐに感じると思うけど、ずしりっ、とした重さがある。ボディの厚みもそこそこにある。だけど、これが思いのほかイイのだ。ホールディング性(グリップ形状が良い)もボディバランス性も良い(少しボディ背面側に重量バランスがあって、だからレンズを取り付けたときフロントヘビーになりにくい)から、通常ならマイナス点になる重さや大きさを逆にプラス点にしている。ボディバランスもホールディング性もいいカメラはブレにくいし、長時間カメラを持っていても疲れない。
 2台のK10Dにあれやこれやのレンズを取り付けて使い倒しているんだけど、撮影していてこんなに“愉しい”気持ちにさせてくれたカメラは久しぶりです。


 セブ島の横にあるマクタン島の空港から、いったんマニラに飛んでそこで国際線に乗り換えて ―― セキュリティーチェックがめちゃ厳しかった ―― ベトナムのホーチミン(旧サイゴン)まで行って、またすぐに国内線に乗り換えてようやくハノイに到着。マクタン島を朝の9時頃に出てハノイに着いたのが夜7時頃でした。フィリッピンからベトナムなんて地図で見るとほんのソコなのにまる一日がかりの移動。
 ぼくはハノイはもちろんベトナムそのものが初めての場所。ぼくたち団塊世代の人たちにとっては「ベトナム」は特別な国なのだ。もっとも多感な青年時代にベトナム戦争がピークを迎え、そのころぼくは京都の市立堀川高校に通っていてそこでもベ平連(ベトナムに平和を市民連合)の活動がさかんでして、そんなこんなで ―― 小田実さんや鶴見俊輔さんたちと並んでデモをしたこともあったなあ ―― だから「ベトナム」と聞くといろいろのことを想い出す。その青春時代の思い出とはまったく関係がないけれどベトナムの首都であるハノイに行ってまず始めに食べたのはフー(喰いもんのハナシばかりだなあ、まったく)。パクチをたっぷり放り込んで2杯も食べてしまいました。

無人島

ペンタックス・Optio A20
 ペンタックスのコンパクトカメラに期待したいのはもっと高倍率の薄型ズームレンズです。以前の機種には5倍ぐらいのズームもあったのだけれど、スライディングレンズシステム(収納時に一部のレンズ群が待避して薄型ボディ内にすっぽり収まる方式)を開発して採用してからは、3倍ズーム一辺倒、てな感じなのだ。オリンパスのμ750なんかは、このペンタックスのスライディングレンズシステムの技術を“借りて”5倍ズームに仕立てているのに、本家本元のペンタックスはといえばずーっと3倍ズームばかりじゃあないか。このへんはもう少しがんばって欲しいなあ。
 このコンパクトカメラは小さいながらも、いっちょまえにマニュアル露出モードを備えております。でも、ナンでなんだろうかなあペンタックスの大きな“発明”であるハイパーマニュアルモードの機能がコンパクトカメラにはない。このようなカメラにこそハイパーマニュアルの機能を搭載すべきなのにねえ。あ、ハイパーマニュアルってナニ、と思われた方はじっくり調べてください。そのハタラキを知れば、きっと感動します。ペンタックスが20年ほど前に考えた素晴らしい機能なのです。

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 「タナカさーん、小舟に乗って無人島に行ってみませんか」と誘われて、ぼくたちが泊まっているマクタン島のすぐそばの無人島に行ってみました。フィリッピンには大小の島々が7千個近くあると聞きました。中には無人島もたくさんあるそうです。行ってみましたけれど、その無人島はよくマンガにあるような、ヤシの木が一本ぽつんとあってその回りは砂浜…、なんてことはなく(ステレオタイプだなあ)なんだか結構“俗化”してました。それよりも、300人ぐらいの住民が生活をしているというちっちゃな島に渡ってそこを案内してもらったのですけど、そのほうがずっとおもしろかったしあれこれ感動もしました。きれいな島でした。とにかくフィリッピンの海は ―― とはいってもセブ島の近辺しか知りませんけど ―― とってもキレイでした。
 ところでですが、フィリッピン料理はこれが意外とぼくの好みに合っておりましておいしかったのだ。きれいな島に小舟で渡って、そこでバーベキューまでしてもらって、またまたサンミゲルの冷えたビールを飲みながら、青い海と空と白い雲を見てました。贅沢贅沢。

セブ島

ペンタックス・Optio A20
 フィリッピンのセブ島。そのセブ島のそばにあるマクタン島や、もっと遠くの島々を巡ったりしています。数日前からのーんびりとしております。フィリッピンは初めて訪れる国ですからとっても新鮮です。で、なぜセブ島なんかに来ておるかなんてことはどーでもよくって(仕事だ)、仕事の合間を見て、おいしいくだものを食べたりよく冷えたサンミゲルのビールを飲んでおります。セブの街は少し埃っぽくって、人とクルマと小型乗り合いバスと三輪自転車が多くてあれこれ混じり合った匂いが充満し混沌としてますけど、小舟に乗って少し海に出ると抜けるような青空と透明な海と静寂と親切がいっぱいあって、ぼくはこうした場所が好きですねえ。


 A20は小さい。小さくて軽い1000万画素だ。たぶん世界一軽くて小さな100万画素機種だと思う。その小ささと軽さは800万画素のA10からそっくり引き継いでいで、内蔵ズームレンズもまったく同じ38?114mm相当のスライディングレンズシステムの3倍ズーム。CCDシフト方式の手ブレ補正(SR=Shake Reduction)もこの薄型ボディの中に入っていて、さらにFotoNation社の“ソフト式”顔認識機能も搭載している。
 ここまで薄型小型にしての1000万画素機種たのだからしょうがないのかなあとは思うけれど、スピーディーさにちょっと不満。AFの測距スピードの遅さ、再生画像のスクロール速度の遅さ(始め粗画像がでてしばらくしてから精画像になるのもツラい)、液晶モニターの明るい場所での視認性の物足りなさ、などを、なんとか改善して欲しいなあ。A20は“いちおう”ISO1600までの高感度撮影ができるんだけれど、通常撮影モードではISO800が上限。シーンモードの中の「ブレ軽減」を選ばないとISO1600に設定することができない。そしてこのとき画像サイズは約500万画素相当にリサイズされてしまう。他のメーカーでは1000万画素フルサイズでISO1600を“堂々と”入れているのに、ペンタックスはもっと勇気を出して欲しいぞ。

またまたキヤノンですが

キヤノン・PowerShot A710 IS
 このA710 ISと同時にA630やA640などのPowerShot Aシリーズが発表されたのが8月後半で、その数週間後に今度は新型IXY DIGITALシリーズなどが発表されて(ぼくは)ちょっと混乱、だから前者の発表のものを「春モデル」だなんて勘違いをしてました。PowerShotのAシリーズはおもに海外でよく売れていて(IXY DIGITALのシリーズは国内が圧倒的に強い)、でも、キヤノンでは今年後半から日本国内でもPowerShotシリーズの国内販売にチカラを入れて「積極的にどしどし売っていく」と言ってました。ですから、Aシリーズは日本市場を睨んだ仕様に少し変化してきています。
 ところでA640は1000万画素で4倍ズーム内蔵、2.5インチ型バリアングル液晶、単3型乾電池4本。A630はA640とほとんど同じで異なるのは800万画素であることだけ。CCDサイズは1/1.8型。いっぽうのA710 ISは、710万画素の1/2.5型CCDで6倍ズームレンズ内蔵し、単3型乾電池が2本、2.5インチ型液晶モニターだけどバリアングルなしの固定式、だからボディはコンパクトです。


 このAシリーズ3機種の中では、A710 ISがもっとも気に入りました。当初、1000万画素のA640に期待をしてイチバンに使ってみましたが、少しがっかり。バリアングル式のモニターを使って撮影をするとどうしてもカメラのホールディングが不安定になりブレることが多い。1000万画素ですからほんのわずかブレても目立ってしまう。ISO800高感度の画像も、うーむ…でした。写した画像を見て“がっかり”ってことが何度かありました。ナンと言ってもやはりISは欲しかった。その点、A710 ISは手ブレ補正機能はある、内蔵レンズは35?210mm相当の6倍ズームだし(レンズ描写はよろしい、IXY DIGITALのレンズとはだいぶ違う)、電源が単3型乾電池2本であることもいい。ホールディング感も良かった。ISO800の高感度での画像も解像感がありましてシャープでよろしい。
 ただ、一つ、ちょっと気になった点がありましてそれは液晶モニター。A640とA630はバリアングル式でなおかつ広視野角の液晶モニターを採用している。なのにA710 ISの液晶モニターは固定式にもかかわらず通常の視野角しかない。見え具合も、もう一つ、ぱっとしない。バリアングル式なら自由自在に角度が変えられるから、べつに広視野角の必要もないのにねえ。これは“逆”なんじゃないの、とキヤノンの開発担当者に聞いたら「うーんと、えーっと…そうですよね、うふふふっ」と他人事のような返事でありました。

 とまあ、こうゆーわけで、キヤノンの新型カメラをダシにしてあれこれ見てきたわけですけど、キヤノンに限らず最近のカメラは(一部のカンチガイ機種をのぞいて)良くできてます。よく写ります。つまりですねえ、つきつめればカメラなんてナンでもよろしい、とぼくはそう考えているんですよ ―― ときどきコムツカしいこと言ったり、言うことに一貫性がなかったりしますけどウケ狙いの“確信犯”です。
 自分の気に入ったカメラを使えば(そう思い込めば)気に入ったいい写真が写せます(これはほんと)。プロのカメラマンじゃなければ、自分で写した写真を自分が気に入ればそれでイイんです。写真を自由に楽しめば ―― メカを楽しんでも写すことを楽しんでも ―― それでイイじゃあないですか。

キヤノンキヤノンキヤノン

キヤノン・PowerShot G7
 ナンだか、キヤノンのカメラばかりを使っておるようですけど、たまたま、なんですよ。でもねえ、キヤノンの夏、秋に発表した新機種はどれにも“話題”があっておもしろいことは確かです。それはともかく、いまコンパクトカメラに限らず他のメーカーの新製品がいくつもあって手つかず状態ですし、あまり大きな声では言えない“その他”の機種なども事務所の中にあって、でもそうした機種と遊んでいるわけにもいかずやらなくちゃならいことがたくさんあって少しやけっぱち状態なんです。
 で、それはそれとしてG7ですけど、使ってるうちにだんだんと好感度がアップしていきます。たとえばバッグの中にコンパクトを2?3機種ぐらい入れてふらふら歩いているときにも(だいたい数機種は持ち歩いてます)すぐにバッグから取り出してしまうのがこのG7です。ちょいとヤバいカメラです…。


 IXY DIGITAL 1000と同じく1/1.8型サイズの1000万画素です(ひょっとするとパナソニック製かも)。ところでコンパクトカメラに1000万画素もの高画素は必要ない、なんて、まだソンなことを言ってる人がいるらしいですけど本気なのかしら。高画素化するなどしてカメラが進歩発展したらなにか不都合でもあるんだろうか。カメラの高画素化に限らず、新しいデジタル写真表現についても、それは写真ではない、なんて化石的道徳倫理感を持ち出してむちゃを言う人もいるようですけど…ま、いいや、いつの時代にも新しいこと時代が変化することに対して闇雲にブレーキをかけようとする古典的右翼はいるんだもんね。えーっとG7はIS機構内蔵の6倍ズームレンズを持ってます。レンズ描写特性のせいなのだろうか、ややシャープ感の強い硬めの描写です。だから解像感はとても高い。ぼくとしてはもう少し柔らかめの描写のほうが好みなんだけど、そうするとネムいとかピントが合ってないとか文句を言われるんだろうなあ。
 G3からG6まで続いたグリップがこのG7ではなくなってホールディング性が少し心配だったけどそれは杞憂でした。グリップがなくてもホールディング感はとてもよろしい。なお、シャッター音をフィルム一眼レフのF1またはT90からサンプリングした擬音から選ぶことができるのだけど、その両機種の愛用者のぼくとしては「だいぶ違うぞっ」とクレームを付けたくなりました、どーでもいいことだけど。

ISO感度ダイヤル

キヤノン・PowerShot G7
 電子部品いっぱいのデジタルカメラにアナログ的機械的な操作部や表示部をどれだけ取り入れて、いかにも“カメラふう”に仕上げるか工夫するかが、とくに高級志向と趣味性の強い機種には必要不可欠のようです。たとえばエプソンのR-D1や、(ちょっとコケてしまいましたけど)パナソニックのL1、そして来月発売になるライカのM8などです。リコーのGR DIGITALなんかも、こうしたアナログチックなイメージを感じさせるデジタルカメラと言えるでしょうか。
 で、このG7です。キヤノンとしては“精いっぱい”アナログ的クラシックカメラふうカメラに仕上げたつもりなんでしょうけれど、その意気込みはあまり伝わってきません。やっぱりデジタルカメラです(当たり前だけど)。アナログ的操作部とデジタル的操作部が混在していてかなり複雑になっていますから、デジタルカメラの知識を持ち、その操作にそこそこ慣れている人でないと使いこなしが難しいカメラでしょうね、きっと。


 でもしかし、デジタルカメラをばりばり使いこなしてきたような人にとっては、とっても良くできたデジタルカメラだと感じることでしょう。ぼくは好きですね、このカメラ。仕上げもうまい(さすがキヤノンです)、操作性もワルくはない(ちょっと戸惑うこともありますけど)、機能も充実(ISも顔認識も6倍ズームも内蔵)、写りもイイ(レンズ描写がよろしい)です。持ってみればわかりますが、ずしりっ、とした重さを感じます。だからこの持った重さだけで、おおっ高級カメラっ、といったいった好印象を受けるかもしれません。さらに、ボディサイズがコンパクトで、その狭いスペースにダイヤルやボタンなどの操作部が所狭しとあちこちに配置されているため、とっても“凝縮された精密さ”も感じるかもしれません。
 使ってみてぼくがもっとも感心したことは(使い心地がよかったのは)、ボディ上部の左側に配置されたISO感度設定ダイヤルでした。ペンタックスのK10DもそうですがキヤノンもまたデジタルカメラにとってISO感度の重要性をよく知っているようです。これからのデジタルカメラはISO感度の機能をいかにウマく活用していくかということはとっても大事なことになっていくように思えます。

1000万画素とISとチタン

キヤノン・IXY DIGITAL 1000
 1000万画素です。キヤノンのコンパクトカメラとしては、すでに発売されているPowerShot A640に続く1000万画素機であります。CCDのサイズは1/1.8型でこれも共通。同じようにPowerShot G7も1/1.8型CCDで1000万画素のカメラなんだけど、こちらG7に内蔵のレンズにはIS(Image Stabilizer)つまり手ブレ補正機構が入っている。ところが1000万画素のIXY DIGITAL 1000にもPowerShot A640にもソレが入っていない。ハナシが少しややこしくなるけど、1/2.5型の700万画素CCDを使っているIXY DIGITAL 900 ISやPowerShot 710 IS ―― じつに良いカメラだぞ ―― のほうはと言えば、それらの内蔵レンズには手ブレ補正機能を備えている。フツー考えれば、高画素になるほど手ブレ補正を必要とするもんだけどキヤノンの場合、低画素機種のほうに手ブレ補正機能が搭載されていて、高画素機種にはそれがない(G7を除いて)。
 「キヤノンのカメラの製品企画は行き当たりばったり、思いつきで製品を作っておる」ということをキヤノン社内のエラい人が言ってましたよ、あははは、と、先日、そんなハナシを聞いてぼくはわが耳を疑いました。キヤノンは緻密で計算高く先の先まで見通して商品を企画して、それをきちんきちんと製品化させていると思い込んでいましたから。でも、このISありなしのカメラのラインナップを見ていると、ひょっとしたら、と思えなくもない…でも、それもまた“計算づく”かもしれず、いやあ、キヤノンの考えていることはよくわからん。


 ボディカバーは“純チタン”金属です。構想4?5年でようやく念願かなってボディ外装にチタン金属を使用することができた、んだそうだ。チタン金属は、軽い、強い、錆びない、磁性が弱い(電子部品に影響が少ない)、人体に優しい(金属アレルギーがほとんど起きない)などの利点がある一方で、高価、加工が難しい、変色しやすいなどの欠点もあるそうです。とくに純度の高いチタン金属になるほど加工はとっても難しいと言われいます。ぼくはこうした金属加工技術につて知識は不如意なのでエラそうなことは言えないけれど、1000のボディを見ると丸みを帯びた微妙で緩やかなカーブがカメラボディを包み込んでいて、こりゃあよく仕上げています。見た目も上品です。ストラップの取り付け金具のあたりなんか、まるで美人のえくぼのようなヘコミがあって、ここがナンともチャーミングに見えます。
 でもなあ、手ブレ補正機構ないんだもんなあ、内蔵ズームレンズのワイド側が相変わらず37mm相当なんだもんなあ。

フェイスキャッチテクノロジー

キヤノン・IXY DIGITAL 900 IS
 900 ISに内蔵の28?105mm相当の手ブレ補正付きズームレンズの描写を「画面周辺部の描写もこれならかなりイイほう」と昨日、述べましたけれど少し言葉足らずでありました。28mm側の広角端をのぞけば、との“但し書き”を加えるべきでしたね。というのも、画面四隅のほんの端っこだけがまるで指先で押しつぶしたように画像が流れる。ぼくが使わせてもらった900 ISの画像は画面右端に顕著にこの現象が見られた。この画面四隅の画像流れは同じく28mm相当のズームレンズを内蔵していたPowerShot S60あたりにも見受けられたもので ―― それが根本的に改善されていないのがちょっと残念ではありますけれど ―― キヤノンのコンパクトカメラ用レンズの“悪いクセ”のようです。さらに厄介なことに、この周辺部の流れは絞り込まれても解消されることはない。だから球面収差とかIS内蔵だからとかそういうもんが原因ではなさそうだ。
 と、いったところで、ぼくの900 ISの評価は変わりません。2006年度コンパクトデジタルカメラベストスリーに挙げられるカメラだと思っています。カメラは総合的に判断して良し悪しを決めなくちゃいけません。ある一部分の現象だけを捉えて全体を否定したり肯定したりするのは短絡的すぎますよね。でも、この画像流れさえなければ、2006年度ベストワンだったかもしれませんけれど。


 900 ISに搭載の顔認識撮影モードは ―― キヤノンではこのことを「顔優先AF/AE」とか「フェイスキャッチテクノロジー」とか言ってます ―― ニコンやペンタックスのように他社との共同開発じゃあないだろうかとちょっと疑問に思っていたのですが、あらためてキヤノンに確かめたところはっきりと「独自開発による技術」であるとのことでした。なお、フジの顔認識は(顔キレイナビ)も独自開発で、キヤノンもフジもIC化させていわゆるハード処理をしている。フジの場合は独立した顔認識用のICチップを作ってそれをカメラに内蔵させている。いっぽうキヤノンの場合は今回の顔認識撮影モードを備えたカメラ ―― 900 IS、1000、L4、そしてG7 ―― は映像処理エンジンのDIGIC IIIに入れ込んでいる。
 カメラの標準設定として顔認識撮影ができるモードになっているのがキヤノンの大きな特徴。その自信のほどがうかがえる。つまりカメラを購入して電池を入れてメインスイッチをONにして人物にカメラを向けると顔を認識してそこにピントが合う。もしカメラを向けた被写体に人物がいなければ自動的に9点AiAFが働いてそれでピントを合わせてくれる。もちろん、ディフォルト設定の顔認識モードをキャンセルしてスポットAFに切り替えて撮影をすることもできる。人物の顔の認識率は極めて高くスピーディー。ただし残念なことに犬やネコなど人間以外の顔を認識してくれない。今後の大きな課題でしょうね。

一期一会

キヤノン・IXY DIGITAL 900 IS
 風景写真を撮る人の中には、光の状態が(その人にとって)いちばんいいときになるまでじっと我慢強く待つ、少しでも良いアングルを求めて艱難辛苦し最高の(と思われる)場所を求めて歩き回る人もいる。ほんと、エラいなあと思う。ぼくのごときは、もともといい加減で我慢をしない(できない)タイプであるからして、風景自然ネイチャーはすべて、見たときが最上、一期一会、初見がいちばん新鮮、と割り切っていて、あっキレイっ、、おっイイなあ、と感じればさっさと写してしまってそれで満足。「もう少し先に行けばもっと美しい写真が撮れるのに…」と言われたこともあるけれど、いいのいいの、いま見たものが美しければ(ぼくにとって)それでいいのっ。先まで行くなんてことやってればキリないじゃない。ずーっとその先の先に向かって歩き続けなけりゃならないじゃないか。
 風景写真も街角スナップ写真も、つきつめれば同じことじゃないのかなあ。そこの横丁を右に曲がるか左に曲がるかで、出会う被写体が違う。ああ右に曲がらずに左に行ったほうがもっといい被写体に出会えたかも、なーんてことは、いままで考えたこともない。一期一会。風景写真もスナップ写真も偶然と出会い。人生も偶然と出会いの連続。チャンスを求めてじっと待つということも ―― まったくやらない、というわけではないけれど ―― やらないなあ。だから、自分でいうのもナンなのだけれど、ぼくの撮影はじつに速い。えっタナカさん、もう終わったの、なんて言われることがよくある。ハヤい、ウマい、ヤスい。これが職業写真家としてのぼくのモットー。とは冗談だけど、ほんとは、ぐずぐずと撮影をしていると「被写体が腐ってくる」ような感じがしてイヤなのだよ、じつは。ぐずぐずした撮影の様子は見ていると、それだけでいらいらしてしまって健康に悪い。


 ちょっと気が早いけれど今年、2006年のコンパクトデジタルカメラのベストスリーを、と言われれば迷うことなくこのIXY DIGITAL 900 ISを挙げます。たぶん、誰が買っても悔やむことのないカメラでしょうね。良くできています。
 内蔵ズームレンズは、IXY DIGITAL待望の28mm広角からで望遠側は105mm相当までの3.8倍ズームであります。ディストーションはそれほど目立たず、画面周辺部の描写もこれならかなりイイほうじゃないか。なによりも“これは素晴らしいぞ”と誉めたいのはIS内蔵であること。そしてISO1600までの高感度撮影もできること。ISO1600の画質は、ISO800のそれに比べるとかなり“見劣り”はするけれど、いいんですよソンなことは。ぼくがキヤノンを誉めたいのは、ソノ画質でも敢えてISO1600を選べるようにしたということです。そのキヤノンの勇気をたたえたい。たぶん、ISO1600の画像を見て、ノイズ症候群のバカタレどもはあーでもないこーでもないと言うんでしょうけどほっときなさいそんなもん。ISO1600はともかくとして(他メーカーと比べても確実に上位にランクされる)ISO800までの画質がバツグンによろしい。ノイズを無理矢理にツブそうとせず、解像感やシャープ感を優先させる“正しい画像処理”をやっていて、だからその画像がなんとなく銀塩写真ふうに立体感のある描写になっております。
 そのほか、サングラス人物や少し横顔人物、印刷されたイラストの顔にもピントを合わせる顔優先AF/AEや、カメラを縦位置に構えて縦位置構図で動画撮影ができる、とても安定したオートホワイトバランスモードなどなど……と、本日は饒舌になりすぎました、続きは次回に。