倍率色収差の自動補正機能

ニコン・D3+AF-S 24?70mmF2.8G ED
 D3には注目すべき斬新な機能が満載されている。それらはD300にも搭載されて共通のものがいっぱいあるけれど ―― だからD300が「最高機種」になったわけなのだ ―― でも、同じ機能であっても、それぞれの機能の“働きっぷり”というか“効果のほど”は、D300よりもD3のほうで顕著であるような気がする。
 AFの性能も、基本的には同じもののはずだが使ってみると (相当の感覚的なものだけど)D3とD300とでは、ども違う。 アクティブD-ライティングなども、本来的に幅広い階調描写再現力を備えたD3のほうが ―― 撮像素子が違うんだもん ―― はっきりと効果のほどを発揮できているように思う。だからD300のアクティブD-ライティングを試してみて、「なんだ、こんなもんか…」と早合点してはいけない。D3のほうが、ナンと言えばいいのかなあ、余裕綽々でナチュラルに階調描写幅を広げている感じがするのだ。


 もう1つは、倍率色収差を自動的に補正して目立たなくする機能 ―― どうしてだろうか、ニコンはこの機能について積極的にアッピールしない ―― それについても、D300よりもD3のほうで効果的だ。むろん、D300でもそれなりの効果はある。
 ぼくは実際に両機種で撮影をしてみて、この機能 (倍率色収差補正) には大いに感心しまくった。倍率色収差はとくに広角レンズに出やすい。画面周辺部で色ずれがおこる現象だ。同じように色収差は望遠レンズにも発生するが、こちらは軸状色収差をいいおもに画面全体に色ずれが発生する。色収差は特殊レンズを使用すればある程度は目立たなくすることはできる。しかし、そうした特殊レンズを使用していないレンズでも、D3やD300で使用することで ―― カメラ内でデジタル処理をおこなって ―― 色収差による色ずれをなくしてしまう。
 古いレンズの見苦しい倍率色収差を新しいカメラと組み合わせることで消し去ってしまうといったような、こうした“デジタル技”は、今後、多くのカメラにどしどし採用されていくことだろう。

「最高機種」

ニコン・D3+AF20mmF2.8
 ニコンは同時にデジタル一眼レフカメラの「最高機種」を2機種発表した。最高機種というものは、いままでの常識ならどのメーカーも1機種であった。ところがニコンはいきなり「最高機種が2台」だという。これじゃ大統領が二人、社長が二人、親分が二人といったようなもんか、いや違うか…。ニコン曰くフルサイズ判 (FXフォーマット) カメラとしての「最高機種」がD3であり、APS-Cサイズ判 (DXフォーマット) カメラとしての「最高機種」がD300である、だから「最高機種」が2機種なのだ、と。
 D3が“ニコンデジタル一眼レフの最高機種”であることにはなんの疑問も不思議もないが、しかしD300がD3と同じく最高機種であるかと言われれば、そりゃあそうだ、ともいえるし、ちょっと違うんじゃないか、とも言える。ここで誤解されては困るのだけど、D300が一般に言われているような「最高機種」に値しないという意味ではない。ぼくが両機種を使っての“皮膚的感覚”で言えば、最高機種はD3のほうだけであって、やはりニコンの「最高機種」はD3の1機種だけだよなあ、と思ったわけだ。


 とにもかくにも、D3は生まれる前からニコンの最高機種であることが宿命づけられていたわけだ。これに対してD300にはいろいろと大人の事情もあって、心ならずも「最高機種」に祭り上げられた ―― ここが大事 ―― という気が…、しないでもない。
 繰り返して言うけれどD300は最高機種としてまったく文句を言われないだけの実力があることは否定しない。シャッターを切ったときの感触の良さといい、AF性能やその他もろもろの充実した機能は、さすがニコン。ぼくが感じたことは、しかしD3と“対等の最高機種”ではないぞ、ということなのだ。これはぐだぐだ言うまでもなく当たり前の事実なんだけど。それほどにD3はよくできたカメラだということ。
 でも、ま、考えてみれば贅沢なハナシだよね、最高機種ッ、と胸を張ってい言える機種がないメーカーもあるのに、ニコンは「最高機種が2機種」なんていっているんだもんね。

ろうそくの明かりで夕食をとるのも贅沢、か。

T2はいいカメラだ

ソニー・Cyber-Shot T2
 とりあえず、これからのコンパクトデジタルカメラに欲しい機能が三つある ―― じつはアレコレたくさんあるのだけど、ま、とりあえず。
 1つはハイビジョンTVにキレイにカンタンに映し出せる機能。HDMI端子でもいいのだけどあのコードは太すぎる高価すぎる。今後の写真の楽しみかたは、家庭内のTVを中心にして広がっていくような気がする。写した画像をTVに映し出して、そのTVに繋がったプリンターやインターネットや家庭内LANを使って写真をプリントしたり保存したり送ったりする。そんな時代が遠からずくる。
 もう1つは、どこからでもワイヤレスで画像が転送できる機能。無線LANでもいいのだけど、撮った画像をワイヤレスで自動的にサーバーなどに送って貯めておける機能だ。ニコンのCOOLPIX S51Cなどで“実験的”に始まっているが、まだまだ、といった感もなくもない。撮った写真をストレージするために、自宅のPCにコードで繋いだりメディアを抜き差しするなんてことやらないくてもいいようにしてほしい。さらにもう1つは ―― 撮影した「場所」がわかる機能。そんなもんイラんと言う人もいるだろうけど、ぼくは欲しい。たとえばGPS機能を内蔵してくれたりすると、そこから得られた情報をもとにして地図上で確認して楽しむこともできる。


 こうした今後のコンパクトカメラに欲しい機能を、ぼちぼちではあるが搭載し始めているのがアグレッシブ・ソニーなのだ。インフラがもっともっと充実していかないとカメラ単体ではどうしようもないところもあるが、ソニーは“とりあえず提案”してくる。先日も言ったけどソコが好きなんだよなあ。
 さてT2。いいカメラだ。デザインもいいし、機能的にもほぼ満足。カメラを楽しく使ってもらおうという開発者たちのココロと工夫が感じられる。今秋のコンパクトカメラ中ではイチオシと言ってもよろしい。タッチパネルの操作性やインターフェースはもう少し改善の余地ありだが、タッチパネル操作そのものをぼくは高く高く評価しているから文句は言いたくない。そういえば、T2にも笑顔をキャッチして自動的にシャッターが切れる機能を搭載している。スマイルシャッター。オリンパスのμ1200に搭載されているスマイルショットとは反応がかなり違ってストレスをほとんど感じさせない。μ1200のように気まぐれ我が儘ではなく、律儀ですばしっこく確実に笑顔を認識して自動的にシャッターが切れる。このスマイルシャッターに特定の人物だけを識別する機能なんかが加わると ―― カシオがやってるけれど ―― もっと楽しいカメラになるに違いない。

上諏訪駅の構内には足湯があって「あずさ」が来るまで30分ほど暖まった

コンパクトカメラはこれからもっとおもしろくなりそうだ

ソニー・Cyber-Shot G1
 ソニーのコンパクトデジタルカメラで“注目”の機種が二つあって、1つは「Cyber-Shot G1」、もう1つは「Cyber-Shot T2」だ。G1のほうは、先日、ファームウエアのアップデートがあって、これをおこなうとG1内蔵の無線LAN機能を使って撮影した画像に場所情報(緯度経度)を記録しておける。この情報を読み取って ―― Exifに自動的に書き込まれる ―― 地図上に撮影場所を表示させることもできるというもの。詳細はともかくとして ―― いろいろとムツかしいのだ ―― “簡易的GPS機能”をカメラに持たせたと考えてもよい。実際にウマく使いこなしたり活用するには、いまのところ、いささかのめんどうと我慢強さが必要だけど、しかしデジタルカメラの“もう1つの楽しみかた”を示してくれている機種としてぼくは大いに興味を持っている。


 さらにG1には2GBもの内蔵メモリーが備わっていて、これもまた、デジタルカメラの将来の姿を予見させるようだ。そう、同じようにT2のほうも内蔵メモリーを持っている。こちらはなんと4GBもある。内蔵メモリーに貯めこんだその画像をどうするのか、といった今後の課題もあるけれど、それは近い将来、無線LAN機能やブロードバンド化などのインフラが整ってくれば解決する問題だと思う。G1にもT2にも内蔵メモリーだけでなく、メモリースティックのスロットも備わっていて、これを見たりするとまだまだ“過渡的”と思えなくもないけれど、しかし今のところはしょうがない。インフラが完璧に整ってから、よっこらしょ、と腰を上げて取り組むのと、周囲の状況はまだまだ未整備だけ“その先”を見て突っ走る。それがトリガーになってインフラが整い出すということも考えられなくもない。G1やT2、あるいはニコンのCOOLPIX S51Cなどを見るとそんなことを感じる。
 こうしたことを積極的に、アグレッシブに、大胆にやってくるソニーの姿勢というのはぼくは大好きだ。見ていて気持ちが良い。ときどき、あまりにも“先走り”すぎてコケてしまうこともあるがそれはご愛敬。パナソニックのように完全舗装された道路を占有して戦車のようなクルマで進んでいくのとは対照的に、ソニーはチャレンジャブルに横道にそれたり人が歩かないような道をずんずん歩いていったりするようで、見ていても愉しいし応援もしたくなる。

とうとう外光パッシブAFがなくなってしまった…

リコー・GR DIGITAL II
 新型GR DIGITAL IIで、たった1つ残念な点がある。旧型GR DIGITALにあった外光パッシブAF方式が新型ではなくなってしまったことだ。でも、これは裏事情を知っているからしてリコーに対して不満だっ不満っだと大声で文句は言いたくないのだけど、でも残念だよなあ、と思う。
 旧型GR DIGITALは外光パッシブAF方式とCCD-AF方式の2つのAF測距方式を備えた「ハイブリッドAFシステム」カメラだった。GX100も同じくハイブリッドAFシステムを採用している。リコーのカメラはムカシからこのハイブリッドAFをひとつのアイデンティティにしているところがあって、ぼくはそこがスキだった。ところが、それがCaplio R6あたりから“一部省略”されるようになって、とうとうと新型GR DIGITAL IIでも、リコーこだわりのハイブリッドAF方式をやめてしまった。多くのコンパクトデジタルカメラと同じCCD-AF方式だけの「シングルAFシステム」のカメラとなってしまったわけだ。
 外光パッシブAFとCCD-AFの2本立て方式のメリットは、より高速にピント合わせができること。もう1つは、いわゆる“イッキ押し”撮影をしてもほとんどタイムラグを感じさせないでピントを合わせ、シャッターを切ることができることだ。スナップカメラとしてはいい機能だと思っておったわけだぼくは。


 CCD-AFは、コントラストAFとも呼ばれる。多くのコンパクトデジタルカメラが採用しているごくポピュラーなAF測距の方式だ。レンズを素早く駆動させながら (スキャンするように) 被写体のコントラストのピーク位置を探してピントを合わせる。この方式は正確にピント合わせができるのが特徴だ。しかし、コントラストの低い被写体や低輝度被写体ではピント位置を探し出すまでの測距時間が長くなってしまう。そこが大きな欠点といえる。
 外光パッシブAFは外部センサー ―― 旧GR DIGITALやGX100でいえば、ボディ正面のレンズの左上にある“二つ目”のセンサー ―― で常に被写体までの距離を測距する。シャッターボタンを押し込むと同時に外部パッシブAFからの距離情報を得て、それをCCD-AF測距に役立てる。つまり外部パッシブAFによる距離情報をもとにして、まず、だいたいのレンズ駆動位置が決める。あとは、CCD-AF測距を利用してわずかな誤差を修正してピント合わせをおこなえばよいだけ。AFスキャンする幅が少しですむのでスピーディーにピント合わせができるというわけだ。だから、旧GR DIGITALを使い慣れていた人が、新GR DIGITAL IIを使うと(敏感な人なら)AF測距時に、おやっ、と思うことがあるかもしれない。
 外観がほとんど同じの新旧GR DIGITALであるが、その“二つ目センサー”があるなしを見れば ―― 外観を見ての新旧のいちばんの相違点 ―― たちどころに旧型であるか新型であるかを見分けることもできる(ソレがどーしたんだ、と言われるとこまるけど)。

乃木坂駅に行くときはここ国立新美術館の中を抜けるのがぼくの近道

2年ぶりのモデルチェンジ

リコー・GR DIGITAL II
 GR DIGITALは、コンパクトデジタルカメラで2年間もの長期にわたって一度もモデルチェンジをせず。そして価格もそれほど暴落もさせずに売り続けたカメラとしてはとても珍しい ―― というかソンなコンパクトカメラはない。それが2年ぶりのモデルチェンジでGR DIGITAL IIとなった。モデルチェンジしたのだけれどおおかたの予想を裏切って ―― ぼくはGX100と共通の液晶ファインダーの採用と、28mmレンズ内蔵以外の単焦点レンズ内蔵を搭載した新型機種も同時発売か、と予想していたんだけどスカだった ―― ガンコなまでのキープコンセプト。少しがっかりすると同時に、いや、ま、これはこれでいいかという気分だ。外観は同じ、レンズも同じ。画素数が約1000万画素になった。
 でもしかし、そのガンコなキープコンセプトは、それはそれでいいんだけど、もうちょっと新型カメラらしく、つまり旧型GR DIGITALと外観のどこかに“ちょっと違うぞ”の部分が欲しかったような気もしないでもない。せっかく新型GR DIGITAL IIを買ったのに、誰もそれが新型だと見てくれない、なんてちょっと淋しいんじゃないか。ぼくなら(ぼくはミーハーだからね)、新型GR DIGITAL IIを何げなく持ってて「おっ、新しいGR DIGITALでっか、よろしおすなあ、ええもん買わはりましたなあ…」と誉めらたりすれば、こんな嬉しいことはない。このへんのユーザーの機微にリコーはもう少し配慮して欲しかったぞ、湯浅さんッ。


 高感度での画質が良くなったこと。メニュー画面のGUIがとてもすっきりクリアーになったこと。マイセッティング(登録)機能がすばやく選べるようになったこと。画像仕上げモードでコントラスト、シャープネス、彩度のパラメーターを調整してそれが登録しておけるようになったこと。とりあえず使ってみて、ぼくはこのあたりが「良いぞ」と感じたことだ。
 高ISO感度での画質は、Caplio R7のころからほんと良くなってきたと思う。GR DIGITAL IIには高感度ノイズリダクション「ON/OFF」の機能があるのだけど、ぼくはもっぱら「OFF」にして使っていた。「ON」にすると確かにノイズは少なくはなるのだけど解像感がめっきり悪くなる(ような気がする)。「OFF」で撮るとややノイズは目立ってはくるけれど「ON」の画像に比べて切れ味、解像感がぐんっと向上する。「ON」と「OFF」との差がありすぎるというのもいけないのだろうけれど、それにしても皆さん、ノイズについて ―― 画質云々ではなくてノイズが目立つかどうかだけしか見ずに ―― あれこれ文句を言い過ぎるよね。
 そうそう、ぼくの使ったGR DIGITAL IIはβ版の、それも初期のβ版なので画質について断定的なことは言えないし、操作面についても設定できるはずのモードができなかったりの機種なので、ま、あまり信用しないようにね。でも画質については、このβ版機種よりも良くなることはあっても悪くなることはないけれど(たぶん)。

何年ぶりだろうか、長崎・グラバー邸。

シャドー・アジャストメント・テクノロジー

オリンパス・E-3 + ZUIKO DIGITAL 50?200mmF2.8?3.5 SWD
 またE-3の話。同じことを言うけれど、それにしてもいいカメラだと思う。良くできたカメラだ。買おうとしている人は(たぶん)買って後悔はしないと思うね(その時は、できたら良いレンズと一緒に、ね)。
 いや、“いいカメラ、良くできたカメラ”というとちょっと誤解があるといけないので言っておくけれど、決して100点満点のカメラではない。小さいけれど欠点はそこそこある。80点ぐらいかもしれない。ニコンのD300やキヤノンのEOS 40Dなとと比べると、はっきり言うけれど完成度の高いカメラとは言い難い。しかし、目から鼻に抜けるようなスキのないカメラって、むろんそれはそれで素晴らしいんだけど、面白味がないよね使ってて。完璧に失敗なく写すには「業務用カメラ」が向いている。でも、ぼくの場合で言えば仕事以外で使うカメラは、操作にちょっと難渋したり、ときどきお茶目な写りをしたり、逆に予想外に良く写ることもあったりするような、どきどきするカメラのほうが使ってて愉しいと思う。 ―― そこで、E-3は“良くできたカメラ”ではなくて“愉しいカメラ”であると訂正しておきたい。


 ところで、このE-3については、あれやこれやの話題のタネが尽きないので困る。チクソモールドマグネシュウム合金ボディのこと、手ブレ補正のこと、AFのこと、レンズのこと、オートホワイトバランスのこと、多機能のこと、フォーサーズシステムのこと、などなどや、2軸式可動液晶モニターのこと(これ良くないなあ)、ダストリダクションシステムのこと(やっぱり素晴らしい)、ファインダー光学系のこと(よくがんばった)、メニュー画面のGUIのこと(あいかわらずだ)、正式発表前に詳細なスペックや予定を堂々と漏らしてしまったこと(あはははは)、などなど話のタネはいっぱいある。
 そこで1つだけ、注目の機能について。シャドー・アジャストメント・テクノロジー。これについても説明し始めればきりがなくなるのでカンタンにする。このテクノロジーを利用した機能が「階調」モードの中の「オート」である。ついつい見落としてしまうようなメニューの奥底に“隠して”ある。なぜか、オリンパスはこの機能について積極的にアッピールしようとしない。でも使ってみるとこれがよろしいのだ。ぼくはE-3を使っていて、ずっと「オート」に切り替えたまま(ディフォルトは「標準」)撮影を続けていた。被写体によっては少しフラットになることがあるが、しかしダイナミックレンジがぐんと広がる。ただし、残念だったのは「オート」のモードしかないことで、たとえばマニュアルで「弱・中・強」ぐらいの選択ができれば良かったのになあ…。

佐世保の九十九島。このあと長崎に。


オリンパスのウイークポイント

オリンパス・E-3 + ZUIKO DIGITAL 50?200mmF2.8?3.5 SWD
 E-3搭載のAFシステムは、旧型に比べて飛躍的に良くなった。段違いの良さ、と言ってもいいだろう(ということは旧型がいかにナンであったかということでもある)。11点のワイドセンサーを備えてこれだけの優秀な高速AFであるのなら、あのニコンの3D-トラッキングAFのようなワザがあればよかったのに、とか、これまたニコンのようにライブビューで像面AF測距もできるようにしてくれればよかったのに、と不満が湧き上がる。
 一眼デジタルで初めてライブビュー撮影機能を搭載したE-330 ―― このカメラはデジタル一眼の中の名機の1つだ ―― が発表されたときだったろうか、その開発担当者に「コンパクトカメラのように撮像面でAF測距ができるようにして欲しかったなあ」と言ったところ、「ムチャなこと言わないで下さい。できるわけないじゃないですか。レンズ1本づつから情報をきめ細かくとらなければならないしAFスピードのこともあるし、まあ、ムリですねえ」と、けんもほろろだった。
 ところが、ニコンのD3やD300であっさりとそれができるようになった(ニコンはエラい)。先日、たまたま、くだんのオリンパスの担当者にあったとき、ぼくが「ぶつぶつ…、やればできるんじゃないの、ぶつぶつ…」と言った。すると、その担当者は「デジタルに不可能はありませんッ。やろうと思えばできるもんです、えへへへ…」と、しれーっと言うんだもんなあ。おいおい、でしたよ。
 〓ちゃんッ、アンタのことだよ。


 じつに多機能なカメラでもある。むろん多機能が悪いわけではない。でも、E-3にはこ、いったいこの機能は「ナニに使うのだ、ドノようなときに役に立つのだ、ドンないいことがあるのだ」てなことさえ、さっぱりわからんような“特殊機能”も盛り込まれている ―― ぜひ探し出して欲しい、唖然とするだろう。オリンパスっていったいナニ考えてるんだろうか、と、また、ふつふつと疑問を感じる。E-3ユーザーのうち、おそらく数万人に1?2人しか使わないだろうと思われるようなあほらしい機能が堂々とカスタムモードの中に入っている。いったいナンじゃこれは、と、使用説明書を読んだのだけどその使い方さえもさっぱりわからない。
 E-3の開発にたずさわっている人たちの中で、ごく限られた数人が密室でこっそりと「この機能を入れるぞ」と決める。他の開発者たちはカタチになるまでまったく知らされない。極秘進行。それがわかった時点では、もうどうにもこうにもならない。反対すればカドが立つ。「しょうがないなあ、長いものには巻かれろか…」と、結局、そのばかばかしい機能が搭載されて製品化されてしまった、というのが ―― いまのオリンパスはそういう開発スタイルになっているようだね ―― どうも真相のようだ。…あははは、もちろん、こりゃぼくの想像だけど、当たらずとも遠からず、か。
 いや、以下はマジメな話だけど、もし、このへんのオリンパスの“前近代的”で“子供じみた”開発スタイルが変わっていけば、キヤノンやニコンが青くなるほどの素晴らしいカメラが作り出せると思うんだけどねえ。オリンパスの心ある若い技術者たちは、長いものに巻かれずに、ぜひがんばって欲しい。

高速AFと、5段分の手ブレ補正

オリンパス・E-3 + ZUIKO DIGITAL12?60mmF2.8?4.0 SWD
 AFの測距スピードはめちゃくちゃ速い。
 これについてはぼくがあれこれいうよりも、発売が始まってからカメラ店の店頭で試してみればすぐに実感できることだし、オリンパスのサービスセンターなどにいけばカメラが置いてあるはずだからそこで試してみればよい。ただし新発売の超音波モーター(SWD)内蔵のレンズと組み合わせて試してみること。従来の機種とは(他社も含めて)明らかに違うスピード感を体験できる。ぼくなんぞ、E-3を初めて手にしてAF測距してみたとき「おおっ」と声をあげてしまったくらいだ。いや、もちろん、AFスピードが速いからといって写真がウマくなるわけでもイイ写真が撮れるわけでもないけれど、でも使ってて気持ちいいじゃないか。ところで、SWD内蔵レンズ以外でも、これが予想以上に速かったですよ。
 もうひとつ、カタログのスペック表を見て驚いたのだけど、AFの測距連動輝度範囲なんだけど「?2?+19EV」であること。「?2EV」ってほとんど真っ暗だよ。そんなのでピント合わせられるのかと思ったし、ほんとかいな、といまでも疑心暗鬼。ちなみに、ニコンD3が「?1?+19EV」、キヤノンのEOS-1Ds Mark IIIが「?1?+18」であります。なお、「0EV」の明るさとは「ISO100で、絞り値F1.0で、露光時間1秒」で写せる輝度のことをいう。


 E-3の手ブレ補正の効き具合が、あれこれ試してみたけれど、ほんと良く効く。
 そのブレ効果がシャッタースピード換算で「最大約5段分」というのだ。このブレ効果については、相当に個人差 ―― ブラさないで写せる技量をそなえているかどうか、手ブレ補正機能を使用しない場合にブラさないで写せるシャッタースピード ―― や、使用環境差 ―― レンズ焦点距離、被写体距離、カメラとボディの重量バランス、縦位置横位置ホールドなど ―― によって、かなり違う。だから、こうしたあらゆる条件がぴたりとウマく揃ったときでないと、「約5段分」の補正効果は得られにくい、ということを知っておかなくてはならない(相当に難しいことだ)。
 ということをわかった上で、ぼくの場合のことを話すると、実際には35mm判換算で焦点距離100mmのレンズで近距離で撮影したときに「約4段分」の効果を得た。具体的に言うと「1/4秒」で、約70%ぐらいの確率でブレないで写せた(画像をピクセル等倍で見てブレをブレとして見えないという条件)。ぼくはだいたい焦点距離100mm相当のレンズなら1/60秒ぐらいまでならブラさず(ブレてもごくごくわずか)に写せるので、そこから換算すると「約4段分」ということになる。ここでひと言、言い添えておくけれど、手ブレ限界シャッタースピードのことを「1/焦点距離 秒」なんてことを思い込んでいる人がいるようだけど、デジタルカメラにソンなもん当てはまりっこないからね。信じちゃあダメだよ。
 さて、もっと広角のレンズで撮影したときは、1/2秒近くのシャッタースピードでもブレを最小限に止めて写せ、そこそこの画像が得られたし、これにもびっくりでありました ―― いくら良くできたブレ補正機構でも、1/2秒ともなれば、手持ち撮影でまったくブラさずに写せるなんてあり得ないシャッタースピードですよ ―― 。

いいカメラだ、いいレンズだ

オリンパス・E-3 + ZUIKO DIGITAL12?60mmF2.8?4.0 SWD
 いいカメラだし、いいレンズだ。
 フォーサーズシステムの小さな撮像素子を使っているわりにはボディがデカイしレンズもデカイじゃないか、といった不満はなくもないけれど、とってもいい感じのカメラに仕上がっている。使う前と使ってみた後でこんなにも印象の違うカメラも珍しいよね。ニコンのD300もキヤノンのEOS 40Dもソニーのα700もペンタックスのK10Dもデジタル一眼レフとしてとってもよくできている。どれもいいカメラなんだけど、そういった同じようなクラスのカメラとは ―― オリンパスは「安い機種と一緒くたにするなよ、ウチのは“格”が違うんだから」と怒るかも知れないが ―― “ひと味違う”意味で、いいんだよなあ、いいカメラなんだよ。おやっ、とアタマを捻りたくなるような操作部分もなくもないけれど、でも、使っていてじつに気持ち良くなるカメラだ。小さなフォーサーズシステムの撮像素子で約1000万画素だけど、高感度での画質もいいし当然ながら通常感度での画質もよかった。


 同時に発表されE-3の「標準ズームレンズ」となっているZUIKO DIGITAL12?60mmF2.8?4.0だけど、このズームレンズがこれまたいい。開放絞り値でも画面周辺部までしゃきーッとしていて、このレンズのおかげもあってかE-3の画質がよけに素晴らしく見える。オリンパスのレンズには、比較的低価格のレンズと、べらぼうに高価なレンズと、大きくて重いレンズと、めちゃくちゃ軽くて小さなレンズが渾然一体となっていて、中にはどこかのレンズメーカーに作ってもらっているような“気のない”レンズもあるけど、オリンパスが本気で作っているこの12?60mmのようなレンズには(だいたい大口径で高価なレズがそうだ)素晴らしい写りをするレンズがある。
 ただ、この12?60mmも、フォーサーズシステムのちっちゃな撮像素子相手ならもっと小さく作れるんじゃないかと思うけれど、そんなことはお構いなしの、いけいけどんどん性能重視、描写イノチで作ったのだろう、まるでフルサイズ対応レンズのように大きくて重い。だから良く写る。…でも、小さくて軽くて良く写るレンズも ―― そう小さくて薄型の単焦点レンズなんかも ―― 欲しいなあ。

羊の皮をかぶったオオカミ

キヤノン・EOS-1Ds MarkIII + EF70?200mmF4L IS
 1Ds Mark IIIのような2000万画素以上もある高画素フルサイズデジタル一眼レフを ―― たぶん、フルサイズデジタル一眼は3000万画素ぐらいは行くんではないか ―― うまく活用するには大事なことが三つある。このクラスのカメラを使いこなす人たちには釈迦に説法ではあるが ―― 正確にピントを合わせること、ブラさないこと、絞りすぎないこと。ピントだとかブレだとか初心者じゃあるまいし、と思うだろうけれど、高精細な画像を得るためには必要不可欠な条件であって、とくに1Ds Mark IIIのようなカメラを使うときには撮影パワーの70%以上はここに注力しなければならんのではないかと思う。
 1Ds Mark IIIは小型カメラといえなくもない。35mm判フィルムカメラをベースにして、そっくりそのシステムを流用している。しかし1Ds Mark IIIで撮影する画像は35mmフィルムの画像とはある意味“次元”が違う。感覚的には4×5または8×10カメラで撮影したかのような画像になる。だから、実際に撮影するときは4×5カメラか8×10カメラを使いこなすときと同じぐらいの慎重さで挑まないといかんのではないか。


 1Ds Mark IIIは、羊の皮をかぶったオオカミ、と言えなくもない。そのスタイリングから小型35mm判一眼レフカメラを使っているような軽快な気持ちになりがちだがそれは危険。ナメてはいかんです。三脚を使うにしてもオーバースペックだと思われるぐらいの頑丈なものを使用したほうがいいだろうし、ピント合わせにしても、正確にピントを合わせることはもちろんだが、どこにピントを合わせればいいのかをよく考えてピントを合わせなければならない。ごくごくわずかなピントのズレで写真を見たときの印象が大きく違ってくる。いうまでもないけれどAFかMFかという問題ではない。
 回折現象の影響にも充分に留意することだ。結論をいえば、とにかく絞りすぎないこと。とくに広角レンズになるほど回折現象の影響を強く受けて解像力の低下が著しくなる。ぼくの経験でいえば1Ds Mark IIIと14mmから24mmぐらいまでの広角レンズを使って撮影するときは、F8ぐらいまでに止めておくのが ―― もっとも高い解像感を得たいのであれば ―― ベターではないか。絞り込めば深い被写界深度が得られるメリットはあるのだが、絞り込まないでパーンフォーカスの写真を撮るという高度な撮影技術を磨かなくてはならない。そうとうに難しいと思う。だからこそ、いま、アオリができる特殊交換レンズが求められているのだろう。

高画素低ノイズ

キヤノン・EOS-1Ds Mark III + EF24?105mmF4L IS
 1Ds Mark IIIの画素数は2110万画素。一部の特殊用途のカメラやデジタル中判カメラを除く“一般用”としては“世界最高画素数”のデジタルカメラとなる。
 さて、高画素カメラというと、すぐさま、じつに短絡的思考方法で罵詈雑言を浴びせかけるばかたれがいて困る。そうしたことを言っているとんちんかんたちの話を先日、すこし聞いてみたら、これがなんとも貧乏ったらしい理屈をいうのだった。いわく、画素数が多くなればメモリーカードの容量が足りなくなってしまう、HDDもすぐにいっぱいになってしまう、いま使っているPCのパワーでは思ったような画像処理もできない、とかなんとかいうわけだ。えーっそんなことを理由にデジタルカメラの高画素化に反対だと言っていたの、とぼくは呆れて聞き返してしまった。もし高画素のカメラが必要だと思えば大容量のメモリーカードやHDDを買い増せばいいじゃないか(ぼくなら迷わずそうする)、高画素を扱うにはプアーなPCなら高性能なPCに買い換えればいいじゃないか(カンタンなことじゃないか)。
 もし、そうしたことができない(経済的な余裕がない)のであれば、そもそも高画素デジタルカメラに手を出そうとせずに、低画素デジタルカメラ ―― いいカメラがわんさかある ―― で写真を愉しんでいればイイではないですか。


 2110万画素の1Ds Mark III、1670万画素の1Ds Mark II、そして1280万画素の3種類のキヤノン・フルサイズデジタル一眼レフで同一被写体を撮り比べて、その解像力の違いをみた。結果は、文句なしの1Ds Mark IIIであった。よく考えてみれば当たり前のことなんだけど、じつはこれほどまでに差がハッキリとするとは思っていなかった。1Ds Mark IIIの“実力”のほどを見せつけられた感じだ。解像力だけでなく階調描写力にも歴然とした差があった。
 さていっぽう1Ds Mark IIと5Dであるが、解像描写性ということにかんしては1Ds Mark IIよりも画素数の低い5Dのほうが優れていたのには少しびっくりした。これについては原因不明。

 新型1Ds Mark IIIと旧型1Ds Mark IIとは撮像素子サイズが同じだが画素数が異なる。つまり画素ピッチサイズが1Ds Mark IIIのほうが小さい。1Ds Mark IIIが約6.4μmで1Ds Mark IIが約7.2μm(参考までにニコン・D3が約8.45μm)。というわけで高ISO感度で撮影してみた。それらの画像を見比べ、ノイズの目立ち具合などをチェックした。
 その結果は、これまた予想外だったのだけど、画素ピッチサイズが1Ds Mark IIIのほうが小さいのにノイズの様子などは1Ds Mark IIとほとんど変わらない。いやむしろ、1Ds Mark IIIのほうが画質的にわずかによいのではないかという印象であった。撮像素子の改良とノイズ除去技術の進歩の結果だろう。画素ピッチが小さくなればノイズが増大するとの“常識”が覆った(画素ピッチが大きいほど低ノイズ化に有利なのは厳然とした事実であることに変わりはないけれど)。


圧倒的な解像感

キヤノン・EOS-1Ds MarkIII + EF24?105mmF4L IS
 1Ds MarkIIIは約36×24mmの大きな撮像素子を使用する、いわゆる35mm判フルサイズのデジタル一眼レフカメラである。いま、同じフルサイズの撮像素子を使用するカメラとしてはニコンのD3や ―― まだ発売前だけど ―― キヤノンのEOS 5Dや1Ds Mark IIがあって、そう、この1Ds MarkIIIは、約3年ほど前に発売された1Ds MarkIIの後継機種であって、初代EOS-1Dsから数えて三代目となる。価格はEOS-1Ds、1Ds Mark IIと三世代続けて同じく約90万円、ということらしい。
 その新型1Ds Mark IIIを使ってみて感心させられたことがいくつかあった。旧型1Ds MarkIIに比べて圧倒的な解像感があること。撮影レスポンスがすこぶるよろしいこと。約2100万画素もの高画素画像にもかかわらず、しゃきしゃきとして実にリズミカルに撮影ができる。フットワークのよい小型一眼レフカメラを使って、まるで中判カメラか、それ以上のカメラで写したかのような高精細で階調豊かな画像が得られる。カメラが写真で表現をするための道具として考えるなら、この“新しい道具”を使うことでいままで不可能だった写真表現だってできるようになるかも知れない。


 ぼくはずーっと一貫して、もっと多くのフルサイズデジタル一眼レフカメラが出てくることを熱望してきた。
 36×24mmの画面サイズで写すことを目的に開発されたのが35mm判フィルム一眼レフカメラである。そのシステムをほぼそのまま利用してデジタルカメラに作り上げたのがいまのデジタル一眼レフカメラだ。ところが、実画面サイズはといえば35mm判フルサイズよりもずっと小さなサイズの撮像素子を採用しつづけている。小さな撮像素子(いわゆるAPS-Cサイズやフォーサーズなど)を使用するのであれば、フルサイズ用のカメラシステムやデザインをいつまでも使い続けているのではなく、撮像素子のサイズに見合ったボディやレンズ、そしてカメラのデザインなどを開発し、製品化すべきであったのではないか。
 なのに、いつまでも旧フルサイズ一眼のシステムにおんぶにだっこしたまま小さな撮像素子を使い続けてきた。言ってみれば宿借り状態。間借り。いまのAPS-Cサイズデジタル一眼レフの(ぼくの)いちばんの不満はこれであり、35mm判フルサイズデジタル一眼に期待するところのゆえんでもあったわけだ。