「改造」って大袈裟にいうほどのもんじゃないが

シグマ・DP1
 最近、趣味はナンですかと聞かれることがよくある。タナカさんはモノにこだわりがありますからねえ、なんて勝手に決めつけてそう聞かれるんだけど、自慢じゃないがぼくほど「こだわり」と無縁な人間もいないんじゃないか、と思うほど万事、いい加減、アバウト、気分的。だから人並みの趣味と言えるようなものなんてひとつもない。無趣味、無芸。ただ、いま振り返って考えてみるといくつか“ガンコ”に守っていることが ―― いつ気がかわるかもしれないけれど ―― なくもない。たとえば、シャッタースピード優先AEは特殊な条件以外は使わない、とか、どんなことがあっても電車やバスのシルバーシートには座らない、とか、ビニール傘を使うぐらいなら濡れた方がイイ、とか、どんな高級レンズでもいわゆる保護フィルターはいっさい使用しない、とか、一日に一杯は必ずビールを飲む、とか、あははは、じつにツマらんことをガンコに(と、言うほどのもんでもないけどね)守っているぐらい。


 つまりぼくは、すぐにモノに馴染んでしまう融通無碍な性格だからして、カメラやレンズも初めて手にして使ったときにアレやコレや操作性やその他いろいろ気になったとしても、すぐに「自己補正」してその使いにくさなどを無意識のうちにカバーして使ってしまう。たとえば露出補正の操作がきわめてやりにくいカメラなどだったら露出補正をしないように撮影をしたり、露出補正に替わる他の方法を探し出したりして使ってしまう。レンズのウエイトバランスが極端に悪いレンズだったら従来のホールディングスタイルを変えてそのレンズを使いこなすのに最適な持ち方を工夫して使ってしまう。

 と、えんえんとツマらない話をしたのは、じつはDP1も当初、びっくりするほど使いにくいカメラだなあと思ったのだけど ―― つぎつぎとシャッターが切れない、ピントが合いにくい、ISO感度やホワイトバランスを変更するのがタイヘン、RAWとJPEGの切り替えもやっかい、ボディがホールドしにくい ―― でも、しばらくすると「自己補正」して使い込んだりカメラを少し改造(それほどたいした改造じゃないのだけど、ま、こんなふうに滑り止めのラバーをボディの両面に張ってみただけ) したりして、結構、DP1に馴染んでしまって使い込んでおります。

DP1をちょっと改造

シグマ・DP1
 DP1(β版)はもうかれこれ1ヶ月以上、手元にあってときどき外に持ち出してはスナップして愉しんでいる。使い勝手にクセがあり、気の短いぼくだからイライラさせられることももちろんあって ―― AFがのんびりしているうえに合ってくれないことも多々あり、シャッターを切った後の“すぐ次”が写せない、などの「わがままお嬢さん風レスポンス」と言えばいいか ―― そうしたことは、使っているうちにだんだんと慣れてくるだろう、と始めはタカをくくっていたが、どっこい、DP1のそのわがままレスポンスにはなかなか慣れることができない。でも、だいぶ我慢強くなってきた。そう、我慢してでも使ってみようという気にさせる、なにか不思議な魅力を持ったカメラなのだ。
 DP1がもう少しシャッターレスポンスも良く使いやすいカメラだったら、外付けのビューファインダーを使ってリズミカルにカッコよく撮りたいと思うのだけど、そうじゃないから「1カット」をじっくりと大切に写そうという気持ちになり、だからつい、背面の液晶モニターをじーっと睨んで ―― あんまりカッコよくないけど ―― 丁寧にフレーミングして写してしまう。


 カメラそのものはちっぽけな「コンパクトカメラ」なんだけど撮影の気分はまるで中判フィルムカメラを使っているようだ ―― 中判カメラといってもフィルムをドライブでしゃかんしゃかん巻き上げるペンタックスの645ではなくて手動でよっこらしょと巻き上げるハッセルブラッドかローライフレックスみたい ―― 。
 のんびりしたレスポンスは、JPEG記録モードでもRAW記録モードでも、そう大差ない。ならば、思い切ってRAWで“大事に撮影”したほうがイイんではないかと判断して、もっぱらRAW撮影だ。とくに高ISO感度で撮影したときJPEGとRAWとでは相当に違う。たとえばISO800のJPEGでは色ノイズが盛大に出て解像感も悪くなる。ところが、RAWで撮影してごく普通に現像するだけで、色ノイズはキレイに消えて解像感もそこそこの画像ができあがる。JPEGとRAWの画質がこれほどまでに大きく異なるというのは ―― SD14もそうなのだけど ―― ちょっと困りもんだ。
 ぼくは、シグマのレンズもカメラも、そして社員の人たちも“好き”であるからしてDP1についての印象は少し贔屓の引き倒しの傾向なきにしもあらず…だけれど。

 ところで、DP1の右手でホールドする部分がほぼ“真っ平ら”で、なんの指がかりもないために、じつ持ちにくく、当初カメラ保持にいちばん難渋した。とにかく、DP1を右手でホールドしようにもツルツルと滑ってしっかりと保持できないのだ。仕方ないので「ある改造」をした。いやこれが大正解で、じつにカンタンな改造なのだが ―― ちょっと見映えはよろしくないが ―― たったそれだけのことでホールディング性が飛躍的に、ドラスティックによくなった。いまじゃDP1を右手の指、数本でつまむように持ちながらご近所を散歩中。

素晴らしい描写の内蔵レンズ

シグマ・DP1
 シグマは、ほんと、よくがんばってDP1を完成させ、製品化し、予想外の低価格で販売したとおおいに感心。
 多少、未完成部分も残ってはいるけれど、とにもかくにもブラボーの拍手だね。聞くところによると、一年ほど前に開発発表したあとほとんど完成に近いところまでできあがった製品をいったんチャラにしてもう一度仕切りなおしていまの製品に仕上げたらしい。それを10万円を下回る価格にしたのにも驚かされた。「15万円は下るまい」と見ていたからなあ。たぶんシグマにとってはほとんど“儲けなし”の価格ではないかと思う。実際、販売店によっては売ってもそれほどマージンも入ってこないので積極的に販売をしないというところもあるようだ。
 さて、このDP1を既存のコンパクトデジタルカメラと同じ「土俵」の上で評価したり判断したりする人がいるようだけどそれはちょっと違うように思う。外観のスタイリングこそコンパクトデジタルカメラではあるけれど、中身の“ソレ”は一眼レフと同じ大きな撮像素子を使っている。まったく新しいカテゴリーに組み入れるべきカメラではなかろうか。


 使用している撮像素子はシグマのデジタル一眼であるSD14と同じAPS-Cサイズ相当のフォビオン ―― フォベオンではないぞ、Foveon=フォビオン ―― センサーを使っている。だから、いちおう、その写りはSD14と同じ…、のはずなのだがそれが微妙に違う。というのも、実際にぼくが使っているSD14と“撮り比べ”をしてみたら、いくつかの点でDP1のほうが良かったのだ。むろん、このことだけでSD14よりもDP1のほうが「デジタルカメラとして優れてる」なんてあほな判断をする人はいないだろうけれど、それにしてもSD14ユーザーとしてはいささか悔しい思いもしないでもない。
 内蔵の28mm相当のレンズ描写がめちゃくちゃ良かった。たまたまぼくが使ったDP1(β版機種)が“大当たり”だったのかもしれないが ―― シグマのレンズは“当たり外れ”が多いからなあ、これ困るんだよなあ山木さーん ―― 素晴らしい描写のレンズだった。いちばん驚いたこと。シグマレンズの“アイデンティティー”でもある逆光時のフレアー発生が少し残っている(残している?)のはご愛敬としても、画面四隅の端っこまでキチンと写っているこのDP1のちっぽけなレンズの描写性能はシグマの一眼レフ用の単焦点レンズよりもイイじゃないですか。

モーションキャッチテクノロジー

キヤノン・IXY DIGITAL 20 IS
 東京ビッグサイトで19日から始まったPIE(フォトイメージングエキスポ)は本日(22日)で最終日。三日間を通していちばん目立ったのはオリンパスのブースだった。水着姿の女性がカメラを持って舞台に元気よく出てくるのだけど、その姿を写そうとする人たちで押すな押すなの大盛況。その様子を見て「ふんっ」なんて不快な顔をしている人もいたけれど、ぼくは、べつにイイじゃないかと思う(カメラを向けようとはぼくは思わんけど、それはそれ)。ビキニ姿のおねーちゃんを写すのに“我を忘れて”押し合いへし合いしながら、そしてようやくお気に入りのワンカットが写せれば、それでイイじゃないか。見てると、皆んな愉しそうに写真を写してるんだもんね。写真て、そーゆーもんですよ。エラそうなことをいったところでですよ、つきつめれば、難しい顔をして難解そうな写真を撮っていてもですよ、結局、似たようなもんです。

 というわけでハナシが変わって、他のメーカーでもすでに似たような機能を持ったカメラがあるかもしれないけれど、この春に発表になったキヤノンの手ブレ補正内蔵のコンパクトカメラには「モーションキャッチテクノロジー」という新しい機能が搭載されている。「高感度オート」のモードを選べば“自動的に”このテクノロジーが働く。その機能を単独でにON/OFFはできない。
 カンタンに言うと、被写体の動きや手ブレの具合をカメラが検知して、被写体が「動いている」と判断したときは被写体ブレを防ぐ目的で高ISO感度が優先される。逆に、被写体が「静止している」と判断したときは、手ブレ補正(IS)を優先的に効かせてISO感度はそこそこにとどめておきノイズの少ない画像が得られるようにするというのがそのテクノロジー。


 どんなふうにして被写体の「動き」を検知しているかというと、(1) 明るさ情報 ―― AE機能を活用することで画面内で被写体が動くと露出値が変化を検知して動きを判断する、(2) 顔情報 ―― 顔認識を使って人物の動きを判断する、(3) フレーム間情報 ―― 時間ごとの画面フレームの変化を検知して被写体の動きを判断する、そして(4) カメラブレ情報 ―― ISのジャイロセンサーでカメラのブレ具合を判断する、この4つの情報を総合的に“インテリジェント”に分析してモーションキャッチテクノロジーが働くのだ。
 ちなみに、20 ISには「高感度オート(Hi)」と「ISOオート」の2つのISOオートモードがあって、高感度オートにすると最高ISO800までアップするがISOオートはISO200までにとどめている。で、残念なことに「高感度オート」のモードを選んだ場合のみナントカかんとかテクノロジーが働き、「ISOオート」ではそのテクノロジーは働かないという。なぜISOオートの時にもこのテクノロジーが働くようにしなかったんだろうか、せっかくなのにもったいない。

キヤノンのカメラデザイン

キヤノン・IXY DIGITAL 20 IS
 19日から東京ビッグサイトでPIE(フォトイメージングエキスポ)が始まりましたね。ぼくはその会場の“とある”ブースで毎日、22日までの4日間、レンズのあれこれ無駄話をやっております。もし会場に来て見かけたら、「やあ」、と声を、…かけないでくださいね。

 あの、デザインの素晴らしかったIXY DIGITAL 10の後継機種となるのが、この20 IS。と、思っていたら後日、IXY DIGITAL 25 ISなんて機種も発表された。キヤノンいわく「20 ISも25 ISも後継機種と考えてもらってよろしい」とのこと。10がISなしの3倍ズーム内蔵で710万画素だったのだが、20 ISも25 ISも同じく手ブレ補正を内蔵させた3倍ズームとなり、20 ISが800万画素、25 ISが1000万画素となったのが大きな違い。


 “大きな違い”はもう1つあって、それはカメラの外観デザインだ。IXY DIGITAL 10がソリッドなスクエアースタイルで、ヘンにへつらったところがないシンプルで優れたデザインだった(と、ぼくは思うのだけど)。
 対して、こんどの20 ISも25 ISも、どうしちゃったんだよ、と言いたくなるほど、よろしくない。デザインや色などは大いに個人的な趣味趣向に選るところもあることは重々承知であるけど、いや、それにしてもいったいどうなったんだろうかキヤノンのカメラデザインはと思ってしまった。いやいや、誤解されてはこまるんだけど、20 ISも25 ISも決してデザインが悪いというわけではなく、10の優れたデザイン性をどうしてきちんと受け継いだものにしなかったんだろうかと、そこが不満なのだ。10のデザインが評判が悪かったのだろうか…。
 それはそうと、IXY DIGITAL 25 ISと同時に発表されたIXY DIGITAL 95 ISだけど、このデザインはいったいナンですか。なんともダサい(ごめんね)。キヤノン製とはとても思えぬ、まるでシロートがブリキ板を折り曲げて箱形に仕上げたような、ま、そんな印象を受けたです。

さて、ここはどこでしょう?

オリンパス・CAMEDIA FE-330
 オリンパスのコンパクトカメラは、国内でラインナップされている「現行機種」だけでもμシリーズが6種類、SPシリーズが2種類、そしてFEシリーズが5種類で、合計13種類ある。さらに、それぞれの機種にカラーバリエーションもあって、多い機種になると5種類のカラーモデルが用意されている。ユーザーの要求の多様化に対応するためとはいえ、いまユーザーはコンパクトデジタルカメラにそんなにも“多様な要求”をしているのだろうか。
 たとえば、現行のFEのシリーズだけど、すべての機種が800万画素。その中で、FE-350は28mm相当からのワイド4倍ズーム内蔵で、ま、比較的“個性的”と言えるけれど、他のFEともなると、5倍ズーム内蔵や、3倍ズーム内蔵や、3.0型液晶や、2.7型液晶や、2.5型液晶や、専用バッテリー使用や、単3型乾電池使用や、手ブレ補正がありなしや、顔検出がありなしやらが複雑に組み合わさっている。


 おせっかいで余計なことを言うようだが ―― いつものことだけれど ―― もう少し機種を整理整頓したほうがいいように思うんだけど、しかし、オリンパスは「体力」あるよなあ。たぶん販売戦略上、この“絨毯爆撃的ラインナップ方式”のほうを良しとしているんだろう。オリンパスのコンパクトカメラのラインナップのもう1つの特徴は、すぐにモデルチェンジしてしまうこと。あきらめが早いというかあっさりしているというか浮気っぽいというか…。もうちょっと腰の据わった息の長いカメラを作って、売ってほしいよなあ、と、おせっかいだけど。
 このFE-330にはカラーバリエーションがシルバー、ブルー、ピンクの3種類ある。ブルーがよろしい。36?180mm相当までの5倍ズームレンズ内蔵だが、ボディはそこそこに薄型に仕上がっているが、それほど小型とは言い難い。しかし軽い。この軽さは魅力。液晶モニターは2.7型だが15万ドットなのですこし粗く見える。低価格の機種だから(2万円ちょっとかな)しょうがない。電源はリチュームイオン電池。800万画素。顔検出機能あり、撮影後に自動明るさ補正機能あり。メニューの操作性、相変わらずよろしくない。画質はシャープネスかりかり強し、色調かなり鮮やか。その写りについては、特段、不満なし、すべてにおいてやや平凡、可もなく不可もなし。

さて、ここはどこでしょう? ヒント・六本木

「SR」でもないのに400%ダイナミックレンジ拡大

富士フィルム・FinePix S100FS
 レンズ交換式の一眼レフが、より小型軽量化して、なおかつ低価格になり、にもかかわらず高画質化し撮影機能もどんどん増える。そんな状況の中にあって、このS100FSのようなレンズ一体型一眼方式のカメラの存在意義ははたしてどうなるのだろうか、といった大上段に構えてのハナシはまたということにして ―― ただし、ここでひとつ言っておくけれど、レンズ一体型一眼方式のカメラは、将来、決してなくなるようなことはないと思う、その根拠となる理由はいくつかあるのだ ―― 。
 さて、S100FSであるけれど、これ、なかなかいいカメラなんだけど、2つだけ“残念だなあ、惜しいなあ”と感じたところがあって、そのひとつがファインダーの視認性、もうひとつはフィルムシミュレーションにモノクロ(白黒)モードがなかったことだった。ネオパンSSなどと古くさいことは言わないけれど、せめて最新のネオパンのACROSまたはPRESTOなんかを加えておいてくれると、もう、それだけでクラっとしてしまう。


 ファインダーはもちろんEVFなんだけど0.2型の約20万ドットで、なおかつ新開発の液晶で応答性や色再現性もイイとのこと。しかし、同じレンズ一体型一眼方式でS100FSよりも小型軽量ボディのS8100fdのファインダーが0.24型で約23万ドットで、わずかだけど大きく見える。新開発のいい液晶を使っているのは見てわかるのだけど、ファインダーを覗いたときに画像が小さいというのもツラい。そして ―― ファインダーまわりを小型に設計しようとして相当に無理をしているのだろう ―― そのしわ寄せがファインダー光学系にモロに出てしまっている。もう数mm余裕をもってファインダーまわりを大きくしていれば、もっと気持ちの良い見え具合だったろうにとここがいちばん残念だった。
 ところでフィルムシミュレーションと並んで(いや、それ以上かな)注目したい撮影機能として、最大400%(2EVぶん)のダイナミックレンジを拡大できる(ハイライト部のみ)モードが備わっている。スーパーCCDハニカムの「SR」タイプとは違って、S100FSはスーパーCCDハニカムの「HR」タイプなのにもかかわらず、SRタイプと同じようにハイライト部のダイナミックレンジを拡大して描写再現できるのである。
 ちょっと機会があれば見てほしいのだけど、S100FSのカタログに「ダイナミックレンジ400%の活きるシーン」として紅葉のシーンが掲載されている。そこを見ると、従来なら赤色が飽和してオレンジ色になっている部分が、400%にすることで赤色が飽和せず微妙な赤色のディテールが出ている。これなどはダイナミックレンジを拡大したことによる、もう1つの恩恵ではないか。

FSはフィルムシミュレーション

富士フィルム・FinePix S100FS
 仕事の段取りが悪いのか ―― ぼくのことだけど ―― ナンだかめちゃくちゃ多忙で、ようやく先週、のびのびになっていた懸案の“新年会”を終わらせたぐらい。この忙しさまだ少し続きそうだけど、立ち止まって振り返ると、「やったぞ」という実感も実績もなにもないというのも淋しいもんですねえ。あははは。

 さてところで「S100FS」は、28?400mm相当の高倍率ズームを内蔵させたちょっと大きめの、いわゆる一眼タイプの機種だ(フジではかってこうしたスタイルの機種を「ネオ一眼」とよんでいたのだけど理由は定かではないがヤメてしまった)。で、カメラの名称が似ていてまぎらわしいのだけど、同時に発表された「F100fd」は28?140mm相当のズームを内蔵させた、いわゆるコンパクトカメラ。FSはフィルムシミュレーション(Film Simulation)で、fdはフェイスディテクション(Face Detection)の略で、その機能を内蔵させているとの意味(なお、どうでもいいことだけど、FSは大文字、fdは小文字表記)。


 S100FSに搭載されたフィルムシミュレーションとは、フジの、いくつかの銀塩カラーフィルムを使い分けて撮影できるような機能とでも言えばいいのか。カラーリバーサルフィルムの「ベルビア(VelVia)」、「プロビア(PROVIA)」、「アスティア(ASTIA)」、そしてプロ用カラーネガフィルムの4種類のモードが用意されていて ―― つまりピクチャースタイルのような画像仕上げモードだと考えればよい ―― それを選ぶと、それぞの銀塩フィルムの色調やコントラスト、階調描写性と“ほぼ同じ”画像がカンタンに撮れるというものだ。すでに、フジのレンズ交換式一眼レフのS3ProやS5Proに採用されているのだが、フィルム製品名をはっきりと明記して使用したのはこのS100FSが初めて。大変にわかりやすくなった。
 じつは、こうした既存の銀塩フィルムの名称を使うことに、とくに銀塩フィルムの開発担当者たちがなかなか“首を縦に振らず” ―― つまり彼らにとってはフィルム名称といえども製品に対して大変な誇りとこだわりがあるそうで ―― だから、デジタルカメラ担当者としては使いたくても使えない、というウラの事情があったようですね。でもS100FSではフジとして初めて“そのタガ”が解けて、使えることになった。ぼくはとてもイイことだと思う。

こだわりのリコー…か

リコー・R8
 R8の電源スイッチをONにしたときも、また、「おっ」と言ったまましばらく“固ま”った。あの例の「キャプリオ・サウンド」がしない。
 キャプリオ・サウンドってのは、ぼくが勝手に名付けたもので、いままでのRシリーズを少しでも使ったことのある人はすぐにわかるだろうけれど、ほら、メインスイッチONにしたときに内蔵ズームレンズが賑やかな音を出して所定の位置におさまるときの音。ズーミングすると、さらに独特の音を出して伸び縮みしますよね。メインスイッチOFFにすると、こんどは遠くで馬がいなないているような、そんな音を出して引っ込む。騒々しい、といえばそうだけど、ぼくは長年使ってきてすっかりキャプリオ・サウンドに慣れてしまった(慣らされてしまった)。そのサウンドを聞くたびに、おおっリコーだ、キャプリオだ、と馴染んでいた。


 しかし、そのキャプリオ・サウンドが、R8では、まったくしない。かすかに音はするけれど、ほとんど無音で、なんとも上品なのだ。上品だけど、なんだか頼りない、という気もしないでもない。すーっとレンズが伸びて(ぽろんっ、と微かなセット音はするが)、ふーっとレンズが縮む。だから、静かなところでG8のスイッチをONにしても、いままでのようにキャプリオ・サウンドでヒヤヒヤしたり恥ずかしい思いをすることもなくなって、ほんと、いいカメラになりましたよ。
 ところで、R7でかなり気になっていた「階調補正」機能 ―― 撮影後に画像を調整する機能 ―― だが、R8では「レベル補正」と名前を変えて、なんとヒストグラムのグラフを見ながら白点、黒点、そして中間点の3つを別々にスライドさせて画像の階調やコントラストの画像調整ができるようになった。相当に“おたくっぽい”機能で、こうした機能はRシリーズというよりも、GR DIGITALやGX100のほうに盛り込むべきではなかろうかと思うのだが、それにしてもリコーってヘンなところに(徹底的に)こだわるんだよね、ほんと。

42万ドットの液晶モニター

リコー・R8
 こんどの、新しくなったR8のボディデザインはタイヘンにいいね。そのR8を初めて見たとき、「おっ」と言ったまま、そのあと言葉が出なかった。やったね、と思った。同じレンズで大きさもほぼ同じだけどR7からはもちろん、GR DIGITALよりもGX100よりも、数倍、R8のデザインのほうがいい。ソリッドでスタイリッシュで良い感じだ。ブラックボディとシルバーボディ、そして海外だけのツートンカラーのボディの3種類があるが、中では、ブラックもなかなか捨てがたいけど、シルバーがいちばん良いと思う。シルバーモデルのグリップ部のラバーの色を、ブラックボディとのそれとは違えてブラウンに仕上げているのがいい。センスが良い。シルバー金属とブラウンのラバーとのマッチングがじつにいいのだ。ただ、贅沢な望みだけど、レンズ鏡筒もグリップと同じブラウン色だったらなあ、どれだけしゃれていただろう。
 コンパクトデジタルカメラのボディデザイン(と、ボディの仕上げの良さ)でいつも感心させられるのはキヤノンだけど ―― 最近ちょっとヘンなときもあるけど ―― そのキヤノンに負けずとも劣らぬ、いやそれ以上のデザインに仕上げられていると思う。


 R8がR7から大きく変化したところは、「Caplio」のファミリーネームがなくなったこと、820万画素から1000万画素になったこと、GR DIGITALやGX100と同じモードダイヤルを採用したことか。モードダイヤルには2種類のマイセッティングモードがあって撮影メニューのスタイルを登録しておくことができるようになった。通常撮影モードとあわせて3種類の撮影スタイルがワンタッチで切り替えられる。十字キーボタンがなくなって、その操作をADJボタンでおこなうようにした。このへんの操作方法と操作感と、ボタンの形状や配置場所などは、もう一捻りして改良してほしいところもあるけれど、しかし全体としてとってもシンプルになってぼくはこちらのほうが好きだ。
 液晶モニターはR7と同じサイズの2.7inch型だけど、R8では46万ドットの高精細なタイプとなった。従来の23万ドット液晶と比べると、とくに、撮影画像を拡大表示させたときにだいぶ違う。きれい。46万ドットの液晶モニターを採用する機種はこれからどんどん増えてくるだろうし、近い将来的には92万ドットとなることは確実だろう。