ファインダー視野率95%

ニコン・D700 + AiAF 85mmF1.8
 D700の不満点は3つ。他に不満は、これといってない。不満点は「たった3つだけ」と言ってもよい。いずれもD700のカメラとして機構的決定的な「欠点」というものではなく、ま、言ってみれば、感覚的こだわり、のようなものかな。オタク的不満。
 1つめ、視野率が95%であること。なぜ視野率が95%になってしまったのか、その理由を聞けば「しょうがないかなあ…」とは思わぬもないけれど ―― 95%になってしまったのがなぜだかわかりますか ―― いや、しかし30万円を越える価格のカメラで95%というのは残念なのだ。100%、とまでは言わぬまでもせめて97%は欲しかった。
 2つめ、シャッター音とその感触がイマイチであること。ニコンのカメラの大きな特長は、ムカシのフィルムカメラからそうなんだがシャッターを切ったときの感触がすこぶる良いことだ。そのシャッター感触や音を聞いただけで「撮ったぞっ」と確信が持てた。ところがD700のそれは ―― そうしたニコンの「レベル」としては ―― ややガサついた“音と振動”で、D3からは相当に劣る印象だしD300と比べてもちょっと安っぽい感じがする。3つめ、スライド式のメモリーカードカバーの操作感がちょっと安っぽいこと。D300のようにロック式のカバーにしろとは言わないが、もう少しね、堅牢な感じのスライドカバーに仕上げて欲しかった。D700をグリップしているときに一度だけだけど、(ぼくの持ち方が悪かったのかもしれぬが)半開きになったことがあった。


 こうした「欠点」を述べると、そのことだけを取り上げて、なーんだD700ってその程度のカメラなのか、と短絡的思考をするような人はいないでしょうね。違いますよ。D700は総体的総合的に見ればD300を二つ三つは優に越えた実力と機能を備えた、じつによくできたカメラといえるだろう。

 しばらく使っているうちに、シャッター感触もメモリーカードカバーも慣れてしまって、あまり気にならなくなったけれど ―― すぐにカメラに馴染んでしまうのがぼくの特性 ―― しかし視野率95%だけは、いまだに不満と戸惑いを感じることがある。
 この写真は六本木にある国立新美術館(ここの地下にあるショップは愉しいぞ)、その3階から1階のフロアーを見下ろしたものなんだけど、ファインダーをよく確認してきちんとフレーミグしたつもりだったのに、撮ったあとにモニターを確認したら画面左側や右下に人の足が写り込んでいたりしてがっかり。D700のファインダーは四隅までゆったりよく見えるから(だから、フルサイズ判カメラが良いのだ)、ついついじっくり四隅まで見てフレーミングしてしまう。だから余計に95%の「落差」を感じてしまうということなのかもしれない。D3やD300ではあまりやらなかった撮影後の液晶画面での再確認を、D700では頻繁に、子細にやるようになった。

体力と財力は反比例する (C)アベちゃん

ニコン・D700 + AF-S Micro 60mmF2.8G
 出るべくして出てきたカメラだ。予定カメラ。昨年、D3を見たとたん、おおっ、こりゃあすぐに「コンパクトD3」が出てくるだろう、と、そんなことを考えたのはナニもぼくだけでなく、多くの人がそう思ったに違いない。出てきたD700はその価格もスペックも、的を射たというかサプライズもなく ―― とても堅実着実手堅い印象 ―― 、だから発表されたときももうひとつ“熱”が上がってこない。ただ、ぼくが意外だったのは、D700の「中身」がそっくりD3のまんまであったことで、てっきりD3からディチューンしてくるものと予想していたからだ。
 いや、そっくりD3のまま、とは言ったけれど、じつは撮り比べをしてみると、心なしかD3よりもD700のほうが画質が良いように感じた。そんなことはないはずなんですけどねえ、うふふふっ、とニコンの開発担当者は笑って否定していたけれど、どうもその「うふふふっ」が気になる。なにかウラがありそうだ。で、どのへんが良くなった感じがしたのか。高ISO感度でのシャドー部の描写が違う。D700のほうが黒のシマリが良くなってディテール描写も優れている。オートホワイトバランスの補正アルゴリズムも少し変わってD700のほうがわずかに良くなった(これについてはニコンは否定しなかった)。


 7月中旬に、このD700の新製品お披露目会(ニコンデジタルライブ)が東京と大阪であったのだけど、その大阪のほうの会場でぼくが少しD700の話をした。同時にアベちゃんも(あの阿部秀之さんでありますよ)話をしていて、そこで彼がおもしろいことを言っていた。いわく、『体力と財力は反比例する』。
 つまり、D3を購入できる人はそれなりの財力が必要、同時に重い大きいカメラを使いこなすにはそれなりの体力も必要。しかし、体力のある若い人は財力がない、財力のある年配の人は体力がない。反比例。だからぁ、D3が欲しくても使いこなしたくてもままならなかったよね、でもね、中身はD3でフルサイズで、なのに、ほら、こんなに小型化されて価格も安くなったよ、いいじゃないかD700っ、という話をアベちゃんがやっていたわけだ。
 まったくもってその通りで ―― 体力と財力はうんぬんの話、ね ―― 聞いていて大笑いしてしまった。ただ残念ながらぼくの場合にはその論があてはまらず、体力のある若いときも体力の衰えた年配になっても相変わらず財力は低いラインを保ったままなのが侘びしい。とはいえ、重い大きいカメラをぶんぶん振り回してイキがっている年でもなくなったのはたしかで、D700のような(比較的)小型軽量ボディに単焦点レンズをくっつけて、夕食後、ふらりと散歩に出かけてこんなシャレたオープンレストランの景色なんぞを、高ISO感度で気楽にスナップするのが似合っているようにも思う。

 ところで、フルサイズカメラかAPS-Cサイズカメラか、と問われれば、ぼくは(いまのところ)フルサイズのカメラのほうに魅力を感じる。なんだかほっとするんだよね。

アンチ・イッキ押し撮影

ニコン・COOLPIX P60
 ニコンの現行コンパクトカメラには3種類の手ブレ補正方式が採用されている。レンズシフト方式とCCDシフト方式、そして電子方式だ。P60は、CCDシフト方式。言うまでもないけれど、これらの手ブレ補正が複数組み合わさってデュアルやトリプルで搭載されているわけではなく、どれか1つだけ。レンズシフト方式とCCDシフト方式が同時搭載(同時使用)は現状ではあり得ないが(でも、こんなことを言っているのもいまのうち、だけかもしれないね)、しかし、電子式と組み合わせることは不可能ではないはず。なのに、それをやろうともしないというは、ニコンに限らずコンパクトに限らずだけど、手ブレ補正の機能が大好きなぼくとしてはいささか残念。
 ところで、電子式は、撮影後に画像に処理をしてブレを目立たなくする方式で、いまのところは、まぁ、言ってみればナンチャッテ手ブレ補正。しかしながら、将来性は高いように思う。電子式手ブレ補正はそう遠からず“大ばけ”するのではなかろうかと、ぼくは密かに期待をしております。


 P60のAFはマルチAFとマニュアルAFと、そして中央1点AFから選べる。マニュアルAFはワイド測距エリア内の左右11ポイント、上下9ポイントのどこかにAF測距ポイントを移動させてピント合わせするもの。せっかく測距ポイントが上下左右に移動できるのに、なぜ撮影画面のもっと広くをカバーしないのかそれが不思議。同じコントラストAFを採用しているD700では(ライブビューのとき)画面全体のどこでもAFポイントが移動できるのにねえ(D700と比べちゃいけないか…)。

 ま、それはともかくとして、コンパクトカメラ、一眼レフを問わず、ぼくはAFのほとんどを中央1点だけのスポットAFで撮影をする。測距ポイントを移動することもほとんどない。こうしたフラットな面の多いクルマを撮影するときも、いつも中央一点スポットAFに固定のまま ―― 走っているクルマなど動く被写体を追いかけながら撮影する場合は多点AFやオートAFに切り替えることもあるけど ―― 。
 だいたいのフレーミングを決めたら、その画面内でピントの合わせやすい場所を素早く見つけて(たぶんリアガラスとルーフのあたりの境目でピント合わせした)そこでAFロックする。ピントを確認してから再度フレーミングしなおし、シャッターを切るのが常だ。どんなに急いでいても“イッキ押し”撮影だけはぼくはやりません。ところで、このクルマ、なんだかわかりますか、日本車です。

AFロックとAEロック

ニコン・COOLPIX P60
 2.5型の背面の液晶モニターは15万ドット。見え具合はそこそこ、ま、なんとか…。なんだけど、しかし明るい戸外になるととたんに意気地がなくなる。D700と同時に使っていたときなど、そのVGA、92万ドットの液晶モニターと比べてしまうと相当にアラが目立つ(比べる方がワルいんだけど)。
 いっぽう、EVFのほうはといえば、0.2型ながらこちらは23万ドットあって、だから、EVFの液晶のほうがだいぶクリアーに見える。しかし残念なことに、このEVFには視度補正が備わっていないので ―― ぼくは視度補正キライだから別にどうでもいいんだけど ―― これについては不満に感じる人もたくさんいるのではないだろうか。
 画質はちょいと高感度になると、とたんにノイジーになるのがひとつ気になったけれど(いったいどこのCCDなんだろうか、1/2.35型の800万画素)、でも、レンズ描写は良いし総合的にはカメラとしてよくまとまっている。実販価格が2万円ちょい、ということを考えれば、いや、なかなか良くできたイイ感じのカメラだ。バランスもとれていて使い勝手も良く好感度は高い。


 天気の良い日の、昼下がりの久しぶりの銀座通り。黒っぽいビルの前に濃い紺色の観光バスが停車。ややトップライト気味の逆光だったので、背面の液晶モニターを見てもフレーミングしようにも反射してなーんにも見えない。片手で光を覆ってみたけれどだめ。そうだよ、ここでEVFに切り替えなくちゃ…。
 と、切り替えボタンを押すのだけど、このボタンの反応が相当に鈍い。操作感、悪い。そのうえ、「2度」押さないと画面が切り替わらない(その理由はくどくなるので省略)。EVFを覗くとウソのように良く見える ―― 画面サイズがちょっと小さいのが残念だけど。視野率が100%だから自在なフレーミングができる。1.0から1.5EVほどのマイナス露出補正をして写す、つもりだったんだけど、めんどうになって、観光バスの地面あたりにカメラを向けてAF/AEロックを繰り返して数カット写す。
 そういえば、コンパクトカメラでは、一眼レフと違ってそのほとんどがAFとAEと同時ロックする機種ばかりだ。

オーソドックスであることが魅力か

ニコン・COOLPIX P60
 ニコンのコンパクトカメラのカタログを見て、現在、なんと12?3機種もラインナップされているのに驚いた。てっきり、その半分ぐらいの数のラインナップだと思っていた。ニコンのコンパクト、意外と元気じゃないか。ただし数は多いけれど、どの機種もオーソドックスというか平凡というべきか堅実というか。だからというわけでもないだろうけど、その多くの機種は他のメーカーと同じようにOEMかODMなんだろう(と思う)。そうした中で、ちょっと注目させられたのが、このP60。
 単3型乾電池2本を使用 ―― これがイイね、電池のモチもすこぶるよい。36?180mm相当の5倍ズーム内蔵 ―― 28mmからのズームだと思い込んでいた、28mmは欲しかった。ファインダーはEVF ―― これまた、覗いてみるまでは光学式ファインダーだと疑いもしなかった。液晶モニターは15万ドットの2.5型 ―― でもいまどき15万ドットのLCDなんて、ねえ。


 早朝の柔らかな光を受けて磨りガラスの向こうにカラフルな瓶が並ぶ。恵比寿の住宅街の中にある雑貨屋さんの窓辺だ。
 以下、べつにどうでもいいことだけど、このお店にはアメリカ製のちょっと気の効いた“実利的な小物”をたくさん扱っていてよく立ち寄って眺める。似たようなアメリカ製の小物を扱うお店が広尾の天現寺近くもあって(ぼくの散歩コース)、こちらのお店はもっと品数が多くてバラエティに溢れていて長時間見ていて飽きない…ま、そんなことはどうでもよくて、磨りガラスにカメラを向けてフレーミングして(広角側ではディストーションが目立ちすぎるので少し望遠側にズームして後にさがる)、さてピント、と思ってもぼんやりしたガラス面には素早く、イッパツでAFできない。
 カメラをちょっと傾けて窓枠あたりにAF測距枠を重ねてAFロックする。そう、もちろん、こうした被写体のときにはいつもやるようにマイナス0.3?0.7EVほど露出補正をして写す。