『デジタル一眼 上達講座』の読者のかたがたに…

ソニー・Cyber-Shot T77
 とても薄いカメラだ。どうりで「世界最薄」だそうで、約13.9mm。屈曲型の35mm?140mm相当の4倍ズームレンズ内蔵で、手ブレ補正機能あり。薄いカメラといえばカシオのS10があるがこちらは15.0mmで113g(バッテリーなし)。そのS10を始めて手にしたとき「うわっ薄い」と驚いた。T77はS10よりも薄いけど少し重い(126g)。この少し重い理由はT77のボディ前面のほとんどを覆っている上下スライド式のメインスイッチを兼ねる金属カバーのせいではないだろうか。だから少し重いぶんレンズ部などが完全に覆われていて見た目に安心感もある。

 タッチパネル式の操作で各種設定や選択をする。このT77のタッチパネル操作についてはあれこれ小さな不満もなくもないけれど、ぼくはタッチパネル操作が大好きだし将来性に“賭けて”いるから、いまは言わない。おそらく、デジタルカメラにタッチパネル式の操作を始めて取り入れたのは ―― もうかれこれ6?7年ぐらい前だったろうか ―― 東芝の「sora T10」だったと思う。それ以来、ずーっとカメラのタッチパネル式に注目し続けております。


 ところで、いまご覧になっているこの画面の右端プロフィールのところに書籍の案内をしております。新書版の『デジタル一眼 上達講座』という本なのですが、買っていただいている人が(予想以上に)多いらしく、先日、出版社から「よく売れていますよ」と知らせてもらって、ぼくとしてはウレシイかぎりです。購入していただいたかたに感謝です。

 本の内容については「ああすれば良かった、こうすれば良かった」といったところが、ぼくとしては、なきにしもあらずです。で、本を読んで「そこんとこが、いまいち、よくわからない」とか、「もう少し説明、解説をしてほしい」と思われたかた、どうぞ、ぼく宛にメールをください。できる限り「補足説明」をメールでいたしますので ―― ただ、このところずっと多忙なのでレスポンスが悪いかもしれませんが ―― 遠慮なくどうぞ。
 このブログに書いてることは、ぼく自身の備忘録、メモみたいなもんだから独善的であろうが内容に多少の間違いがあろうが、わかりにくかろうがそんなもんどーでもいいんですが、有料の本を購入してもらった人たちには、ぼくにできる範囲で、このネットを通じてホローをしていきたいと考えております。(なお、フリーメールのときはタイトルに、デジタル一眼 上達講座、とでも書いておいてくださいね。フリーメールは自動的にゴミ箱に行ってしまうんで)

視野率100%の補足と蛇足

リコー・RICOH R10
 28?200mm相当の内蔵ズームレンズも、約1000万画素のCCDも、カメラの大きさも重さも、スペック数値上はR8とまったく同じ。外観デザインはグリップ部の形状がわずかに違うだけ。内部の機能に多少の追加や変更はあるけれど、特段、これはっ、といった(ぼくにとっての)興味のあるような機能はないです。液晶モニターのサイズが多くなったことと、ブラウンのカラーモデルに魅力を感じるぐらいかなあ。
 でも、現行コンパクトカメラの中では上位3機種のうちの1つに入れてもいいくらいの ―― 価格や機能や、デザインや使い勝手といったコンパクトカメラとしてのトータルバランスという評価軸で判断して ―― 良いデキのカメラだと思う。低輝度時のAFの測距スピードがちょい遅かったり、高ISO感度の画質をもうちょいがんばって欲しかったり、シーンモードにもっとアイディアと愉しさのある機能を盛り込んで欲しかったなあ、といった不満はあるけれど、だからR10がどうのと言うほどのものではない、些細な不満、と感じさせるなにかがR10にはある。ぼくの場合を言えば、一眼レフカメラのサブカメラとして一台をあげるとすれば(いまのところ)このR10が候補ナンバーワンですね。


 ところで、先日来つづけていた視野率100%について少し補足と蛇足。
 ナニもぼくはD700が視野率100%じゃないからだめなカメラだ、なんて言ってませんよ。D700ぐらい良くできた一眼レフで「視野率95%」は、そりゃあないよなあ、100%とは言わないけれど(ほんとは言いたいけど)せめて97%ぐらいは欲しかったよなあ、と感じてるだけです ―― D700を実際に使ってみればぼくの言ってることがよくわかると思う、たぶん多くのD700ユーザーは「おおっその通りだ」と賛同してくれに違いない。
 視野率を少し上げるだけで(いまの技術では)、カメラが大きく重くなりコストにはね返る、ファインダー倍率などにも影響してくる、そんなことは百も承知千も合点。いや、だからといってそれをタテにして、視野率95%でがまんをしろよ、それで充分じゃないか、と言い張るのは少し論が違う。デジタルカメラなんだし撮影後に液晶モニターで再確認すればいいじゃないか、とか、D700はライブビューができるんだから視野率はそれで不満など解消されるではないか、といった意見は、そりゃあ、あまりに観念的すぎますね。写真は念写じゃ撮れませんからね。
 老婆心でありますが、「視野率なんぞ適当でイイんだ」、なんてことだけは、大きな声で言わないほうがよろしいですぞ。自分がいかにいい加減にフレーミングして、ぞんざいな構図で写真を撮っているかを公言しているようなもんです。

R9じゃなくてR10

リコー・RICOH R10
 リコーのRシリーズの先代R8のマイナーチェンジ機種。リコーのコンパクトカメラには、このRシリーズのほかに、ごぞんじGRシリーズとGXシリーズ、そして防滴防塵、耐衝撃仕様のGシリーズがある。さらに ―― これをシリーズと言っていいのかどうか ―― Caplio 500Gワイドというのと、それをベースにしたCaplio 500SEなど「業務用 ―― 工事現場用など」カメラ、あまり目立たないけれどそんなものもある。で、500SEには Bluetooth と無線LANを内蔵させていて、さらに Bluetooth 対応のGPSアダプターとワイヤレスで繋げて画像に位置情報を記録できるという優れた“ワザ”も備えている。カメラそのものの外観デザインは、「うへっ」というほどに無骨だが、元気で働くおとうさん、という感じもして、もし若い女の子なんかがこれを持って渋谷の街などを歩くと目立つこと注目されること請け合いますよ。ところで、GPS対応機能というのはこんごのデジタルカメラにとって日時自動記録と同じくらいの“必須機能”となるような気もしないでもない。
 いや違う、Caplio 500SEの話ではなくて ―― このカメラについて話せば、またキリがなくなる ―― RICOH R10のことをいうつもりだったのだ。


 で、Rシリーズであるが、もともとは「Caplio」のサブネームがついていたのだが、R8のときに Caplio を取り外してしまって、ただの「R8」となった。えらくすっきりしてスマートになって(カメラそのものも)いいなあ、と思っていたら、なんだ、どうしたのか、こんどのR10にはとつぜん「RICOH」のサブネームを付けた。つまり「R8」から「RICOH R10」になったというわけだ。そしてさらに、R8からR9を飛び越してR10になっている。
 リコーは、RICOHのサブネームのこともR9のこともなんにも言及していないが、なにか深い理由があるようですね。言うまでもないけれど、ネーミングとカメラそのもののデキとはまったく関係ないです。うーん、ま、どーでもイイことですよね、すまん。

 R10の基本スペックはR8のそれと同じ。液晶モニターが2.7inch型から3.0inch型に変わったこと(比べてみればわかると思うが、タイヘンに見やすくなった)、電子水準器が内蔵されたこと、ファンクションボタン(Fnボタン)が追加されたことぐらいで、ほかはこまごました撮影機能の追加や改良。
 外観デザインもまったく同じで相変わらずスマートでシャープで良いデザインだが、こんどのR10ではブラウンのカラーバージョンがあってこれが素晴らしい。つい見せびらかしたくなるような、じつに良いカラーリングデザインです。

D700の視野率95% ―― その5

ニコン・D700 + AF-S VR 70?300mmF4.5?5.6G
 D700が視野率にそれほどこだわらなかったのは、「D700クラスのユーザーは視野率100%にはそれほど気にしないだろう」とニコンが高を括ったからではなかろうか。
 コストと手間と苦労を重ねて、大きくて重くて高価な視野率100%のカメラを作っても、いったいどれくらいの人がその機能を評価して買ってくれるだろうか。視野率なんかよりも、いま多くのユーザーの望んでいるスペックはゴミ取り機能であり、より低価格で、少しでも小型軽量なフルサイズ判カメラなのだ、と企画担当のマーケティング部門は考えたのかもしれない。マーケティングリサーチをして、その結果ニコンは視野率を95%程度にとどめる判断した。D700の場合、視野率よりも優先順位がゴミ取り(や、他のこと)のほうがずっと上位にあったにちがいない。

 ところがD700を発売してみると、予想した以上にユーザーからの視野率95%に対する不満が大きかった(ようだ)。ニコンが想定していたD700ユーザーレベルなら視野率95%で納得(がまん)してくれるだろうと考えた。もうひとつは、ニコンが当初狙ったユーザー層よりも“上のクラス”の人たちがD700を購入したために、視野率の不満が噴出したのではなかろうか。ニコンの優秀な企画担当者の「じょうずの手から水が漏れた」か、ユーザーを甘く見ていたか。


 D700は視野率のことを除けば、ほとんど文句のない“フラッグシップ機種”と言ってもいいほど良くできたカメラだ。逆に言えば、だからこそD700にとって視野率95%が、最大で唯一と言ってもいいほどの不満点となってしまったわけだ。
 実際にD700を使ってみればすぐにわかることだが、これくらいのデキの良いカメラともなると(価格的にも性能機能的にも)、視野率100%はともかくとして98%でもなく97%でもなく、実用上“我慢の限界”に近いと感じさせる視野率95%なんて、許せるかっ、と憤慨してしまうほどだ。ぼくなんぞは(ちょっと極端だけど)ゴミ取り機能などいらないからD700は視野率100%にして欲しかった。D60やD80では視野率についてはそうは感じないのだけどD700を使い込むたびに痛切に不満を感じる。
 たかが視野率の5%程度なんか“心眼”でカバーしろよ、とか、撮った後に液晶画面を見て修正すればいいことだ、なんて言ってると、いまにバチがあたりますぞ。そんなカンタンなもんじゃないですよ、一眼レフの視野率ってもんは。

 かくかくしかじか視野率100%にこだわりましたが、しかし近い将来、すぐかもしれないけど、一眼レフカメラの多くが「レフ」も「プリズム」もなくなって視野率100%のカメラなんてアタリマエになる可能性は大いにあります。……そう言えばムカシ、視野率を100%にしろ、だなんてウルさいことをいう人がいたよなあ、なんて笑い話にされる時代がすぐそこまで来ているかもしれませんね。

D700の視野率95% ―― その4

ニコン・D700 + AF-S VR 70?300mmF4.5?5.6G
 昨日のつづき、キヤノン・EOS-1Ds Mark IIIの優れているところのハナシ。

 1Ds Mark IIIは、ゴミ取り機構を内蔵ながら視野率100%であるだけでなく、ファインダー倍率とアイポイント長にも注目したい。視野率100%のD3(こちらはゴミ取り機構なし)のファインダー倍率は「0.7倍」、アイポイント長は「18mm」である。視野率95%のD700のファインダー倍率は「0.72倍」、アイポイント長は「18mm」だ。
 対して1Ds Mark IIIはといえば、ファインダー倍率は「0.76倍」、アイポイント長は「20mm」である。くどいようだが1Ds Mark IIIは視野率100%。ファインダー倍率やアイポイント長は数値的にはわずかの違いだけど、文句なしにファインダーは1Ds Mark IIIのほうが“見やすい”。というわけで、ニコンはファインダーまわりのあれこれを、もう少し向上させるべきだし、その努力を惜しまないで欲しいというのが、えんえんとD700視野率95%のハナシをして言いたかったことのもうひとつのこと。

 ところで「ニコンの視野率100%」について、以下のような見方をされる人が結構、いらっしゃるようだ。視野率100%はフラッグシップ機種にとっては「絶対条件」で、とくにニコンの場合はそうだ。視野率100%でないニコンの一眼レフは、フラッグシップ機とは決して言わない、ともいうのだ。確かに、そうかもしれない。いままでのニコンのフラッグシップ機はすべて視野率100%だった(ただしD1だけは98%)。
 で、ほんとにそうなの? と、ニコンのとある開発の責任者に聞いたら、「いいえ、べつに、そんなキマリはニコンにはないですけどねえ…」という答え。じゃあフラッグシップでないカメラでも視野率100%ってのもありなの?。すると、「ええ、もちろん、やりたいですねえ」と話をしてました。


 視野率100%はカメラのグレードにかかわらず、フィルム、デジタルにかかわらず、一眼レフカメラにとっては必要な条件だと思う(レンジファインダーカメラはそのヘンの感覚がちょっと違う、ウマく説明することが難しい)。
 しかし、製造上の技術的な課題などがあって(むろんコストもかかる)、コストと手間をかけてもそれが吸収できる一部の機種にしか採用できない。だから ―― 以下想像だけど ―― かりにD700が、コストがかかってもよい、カメラが大きく重くなってもいい、開発期間をもう少し先延ばししてもよい、ということなら、たぶん視野率100%も不可能ではなかったのではないかと思う。
 少なくとも視野率98?97%ぐらいにはできただろう。いまのニコンはフランジバックの制限などがんばれば解決できるほどのそれくらいの技術力は持っている(はず)。でもD700は発売のタイミングや価格があらかじめ決まっているからそんなことできる余裕がない。それと、D700が視野率に(たぶん)それほどこだわらなかった大きな理由が、もうひとつ別にあるように思う…。

D700の視野率95% ―― その3

ニコン・D700 + AF-S VR 70?300mmF4.5?5.6G
 ミラーを小さくすると…どうなるか。そうです、視野率を下げざるを得ない。
 同じ方式のイメージセンサークリーニング機構を採用するD300は、APS-Cサイズデジタル一眼レフであるから、もともとミラーは小型ですむ。だからフランジバック内の機構の配置にも“余裕”がある。シャッターユニットを前方に少しズラすこともできる。だから(比較的にだけど)容易に視野率100%を達成しつつ、イメージセンサークリーニング機構を搭載することができたわけだ ―― 視野率100%の製造上の難易度はめちゃくちゃ高い。

 こうしてD700は視野率を低く(95%)にとどめた“おかげ”で、ペンタプリズムを小さくすることができた。ストロボを内蔵させてもボディサイズがそれほど大きくならない。決して、「D700を小型軽量化するために視野率を95%にとどめた」わけではない。もしニコンの誰かがそう言っているとすれば、そんなのウソもいいとこ。
 ウソ、とは言い過ぎだけど、でももし仮に、D700が小型軽量化なカメラだと言い張るならば ―― とても小型で軽量なデジタル一眼とは思えないけれど ―― それは視野率を95%にせざるを得なくて、結果的にそうなっただけだと思う。


 さて、ここまでのぼくの(想像による)D700視野率95%の(いい加減な)説明をしたわけだが、ぼくが言いたかったことのひとつは、そう、「キヤノンのEOS-1Ds Mark IIIはどうなんだ?」ということ。キヤノンはがんばっておるじゃないか、と、そこが言いたかったのだ。
 ニコン一眼レフのフランジバックは46.5mmなのに対して、キヤノンのそれはもっとも短い44.0mmである。つまりフランジバックだけを見てみれば、カメラボディ内のメカの配置についてはキヤノンよりニコンのほうが“余裕”があるはず。にもかかわらず、1Ds Mark IIIのゴミ取り(セルフクリーニングセンサーユニット)は撮像センサーの前にある赤外吸収ガラスを高周波振動させる方式にしている。D700はローパスフィルター、1Ds Mark IIIは赤外吸収ガラスの違いはあるにしても、基本的構造も必要となるスペースもそれほど違わないはずだ。
 でも、1Ds Mark IIIは視野率100%だ。セルフクリーニングセンサーの機構も搭載している。

 なぜキヤノンにできてニコンにできないのか、そのへんの事情はぼくにはよくわからない。マウント径の大きさのおかげか(キヤノンのほうがだいぶ大きい)バックフォーカスのせいか、あるいは1Ds Mark IIIには水晶タイプの厚いローパスフィルターではなく極薄のニオブ酸リチュウムのそれを使っているからかもしれないが、ま、それはともかくとして、実際に1Ds Mark IIIでは視野率100%でゴミ取り機構も内蔵しているのだ。キヤノンはエラいではないか。D3は視野率100%だけどゴミ取り機構がない。ゴミ取り機構のあるD700は視野率95%だ。ニコンにはもっとがんばって欲しい…。
 まだ、視野率のハナシ、続きそう…。

D700の視野率95% ―― その2

ニコン・D700 + TAMRON 28?300mmF3.5?6.3 VC
 撮像センサーのピント面の前には、水平と垂直分離のための2枚のローパスフィルターや赤外カットフィルター、保護ガラスなどが、それぞれは大変に薄いものだけれど数枚重ね合わさっている。これはD700のフルサイズ判撮像センサーに限ったことではない。その撮像センサーがシャッターにぶつかるからといって、“フランジバック不変の原則”があるからして、それを後方にズラすなんてこともできない。
 デジタル一眼レフカメラはこのようにごく狭いスペースしかないシャッターと撮像センサーの間に無理矢理、ブ厚い撮像センサーをねじ込み、さらにイメージセンサークリーニング機構を組み込んだ。

 D700のイメージセンサークリーニング機構は、ローパスフィルターを高周波振動させ付着したゴミやほこりをふるい落とす方式。よってローパスフィルターだけを振動させるためには、いままで撮像面に密着させていたローパスフィルターを“分離”する必要がある。


 ローパスフィルターを撮像センサーから“剥がして”、そこに高周波振動装置をセットすると、それでなくてもぎりぎりのスペースに押し込んでいるのに、これではどんなことをしてもシャッターにぶつかってしまう。シャッターとイメージセンサークリーニング機構と撮像センサーが互いにぶつからないようにするには、シャッターユニットを前面に押し出してスペースを確保するしか方策はない。そうです、D700はそれをやった。
 ところが、シャッターユニットを前に押し出すと、さて、どんな問題が起こってくるでしょうか…。

 シャッターユニットが前に移動すると、今度はミラーが邪魔になってくる。じゃぁぶつからないようにミラーを前に出せば、と考えるかもしれない。しかしそれではフランジバックが変化してしまう。前も後も、文字通りにっちもさっちもいかない。
 じゃあどうするか。ミラーを小さくするしか策はない。でも、ミラーを小さくすると…。

D700の視野率95% ―― その1

ニコン・D700 + AF-S 24?70mmF2.8G
 D700のファインダー視野率が95%になってしまった大きな理由は、じつはイメージセンサークリーニング機構(つまりゴミ取りシステム)を採用したためなのだ。このへんのことについてはニコンからは正式な説明はない。あくまで、ぼくの想像による解説、であるから、ひょっとすると多少の間違い(勘違い)があるかもしれない。以下、その長い説明。数回、続くかも。

 さて、ご存じのように一眼レフカメラの構造は、ボディマウント部から撮像面まで ―― この距離をフランジバックという ―― の狭い空間にミラーやフォーカルプレーンシャッターなどの複雑で高い精度が要求される機構が入っている。なおかつ、ボディを小型化するために、ミラーもシャッターもぎりぎりに組み込まれている。余分な隙間はほとんどない。とくにぎりぎりなのはシャッターと撮像センサー面までのわずかなスペース。ここが大きなポイント。


 一眼レフカメラは、もとはといえば薄いフィルムを使って、そこに画像を露光するシステムとして開発されたわけで、それがある日突然、デジタルカメラとなってフィルムが撮像センサーに替わった。ミラーやシャッターなどの基本構造もフィルム一眼レフカメラのままを踏襲した。そして、交換レンズを共有化させるという大前提があったためフランジバックもまたそのまま受け継がざるを得ない。

 ところが、フィルム一眼レフからデジタル一眼レフになったときに、シャッターと撮像センサーとの“隙間”が大きなネックとなってきた。フィルム一眼レフでは、シャッターとフィルムまでの“隙間”はフィルム面がシャッターに触れないぎりぎりのスペースを確保してきた。そのぎりぎりのスペースに、こんどはフィルムよりもずーっと厚みのある撮像センサーを組み込んだ。フランジバックは変えられない、さらに、そこに複雑な機構がたくさん入っている、さあどうするか。

 以下つづく…のだけど、視野率の話、どうも長くなりそうですね。なので、そんな説明は興味ない、て人は、ここ数日このブログを見ない方がいいかも。ところで一昨日のタイトルの「ラ・コッレツィオーネ(la collezione)」は、恵比寿にあるイタリアレストランの名前です。写真はその店内。おいしくてとても感じの良いお店なのでよくいきます。

ラ・コッレツィオーネ

ニコン・D60 + TAMRON 18?250mmF3.5?6.3
 このタムロンのニコンマウント・18?250mmズームは、レンズ内AF駆動タイプ(A18N II)のほうだ。というのは、2007年春に発売されたモデル(A18N)はボディ内AF駆動方式だったので、それに対応していないD40/40xではAF撮影することができなかった。こちらはその改良版。
 小型(縮長時の全長が約84cm)、軽量(約450g)というコンパクトながら広角側が28mm画角から望遠側は約380mm相当の画角までカバーする超高倍率ズームだ。そのコンパクト超高倍率ズームと、小型軽量のD40系と組み合わせて使いたいといったユーザーも多くあって ―― いうまでもなくキヤノンマウントの18?250mmは始めっからレンズ内AF駆動タイプだったが ―― 昨年の末のことだが、ニコンマウント用にもレンズ内AFモーターの改良タイプが発売になった。


 さあこれでD40やD40xと組み合わせて使えるぞ、といったとたんに、ニコンから同じくレンズ内AF駆動レンズにのみ対応した新型のD60が発表になって、期せずしてタムロンにとっては対応機種が増えてまさに“棚ボタ”だったですね。

 ところがです、せっかくの小型軽量18?250mm超高倍率ズームレンズであるのだが、つい先頃、このズームのさらに上をいく18?270mmズームが同じくタムロンから「開発発表」された。こちらは手ブレ補正機構も内蔵。それについては先日少し述べた。
 18?250mmズームと18?270mmズームとスペック表を見比べると、18?270mmのほうが全長(約15mm)、最大径(約5mm)、重量(約100g)、フィルター径(62mmから72mmφ)などと、わずかに大きくはなっている程度で、手ブレ補正機構を内蔵させて望遠側も伸ばして、よくもそんなにもコンパクトに仕上げている。18?270mmはたぶん今年中には発売になるだろうから、そのときには、18?250mmが望遠側で描写が甘くなるという欠点も改善されて、18?270mmは相当に魅力的なレンズに仕上がっているんではないかと、ぼくとしては相当に期待をしておるわけです。

望遠側は少し甘いが、広角側はとてもシャープ

キヤノン・EOS 40D + TAMRON 28?300mmF3.5?6.3 VC
 タムロンの28?300mm VCレンズの、こちらはキヤノンEOSマウント。基本性能などはニコンFマウントのレンズとまったく同じ(と考えてよい)。35mm判フルサイズをカバーするレンズだが、APS-Cサイズ一眼である40Dと組み合わせれば約45?480mm相当の画角になる。

 シャッターボタンを半押しするとAFと同時にVCがスタートする。「うぃーん」といった作動音がかすかにする。この音はニコン用よりもキヤノン用のほうが小さく静か。シャッターを切らずにそのままにしていると、数秒後に「こつんっ」と小さな音とショックがあって作動が停止する。同じような手ブレ補正機構の作動中の音はニコンVRレンズでもキヤノンISレンズでもするけれど、タムロンのVCレンズはその動作音と停止音が少し“目立つ”ような印象だ。しかしブレ補正は相当に効く(印象的にはキヤノン用よりもニコン用のほうが効くようだ)。
 ファインダーを覗いているだけでもブレ補正の効果のほどが体感できる。シャッターボタンを半押ししたあと、カメラを小刻みに震わせても、ファインダー内の画面はぴたりと吸い付いたようにほとんど動かない。


 こんどは、さらに大きくカメラを振ってみると、画面はそれにつれて、ゆらりっ、と動くだけですぐに静止する。まるで自分が宇宙遊泳しているような、そんな感じだ。
 このファインダー画面が吸い付いたように静止するメリットは、望遠でも画面が小刻みに揺れないので正確なフレーミングができることだ。反面、デメリットとしては、クルマや船に乗るとすぐに“酔って”しまうような人が、この補正中のゆらりゆらりとしたファインダー画面をじっと見つめていると(たぶん)気分がすぐに悪くなってくる。このへんのことは、レンズ内手ブレ補正の先駆者であるニコンもキヤノンも、ゆらゆらをどうするかいろいろと苦労しているようだ ―― ファインダー画面を“静止”させすぎると「気分悪くなって撮影もできないっ」とクレームを言ってくるユーザーもいるためその対策をしているメーカーもある。
 望遠端で描写が少し甘くなる傾向があるが、それに比べて広角端の描写はとても良い。望遠側で撮るときにシャープネスとコントラストを少しだけ強めに設定するとぐんっと写りが良くなる。

 EOS 40Dはこの8月末で発売されてからほぼ1年目…なのに、ねえ。しゃきしゃきとしていて、すこぶる使い心地の良いカメラだし、これといった不満もないけどなあ…。

丸の内のストレッチド・リムジン

ニコン・D3 + TAMRON 28?300mmF3.5?6.3 VC
 タムロンの高倍率ズームといえば、先日、開発発表された手ブレ補正機能を備えた「18?270mmF3.5?6.3 VC」はいったいどんな写りなんだろうか、手ブレ補正の効き具合はどれくらいなんだろうか、と興味のあるところだが、まだ発売日も価格も未定で試用できるレンズもまだない。
 というわけで、こちらの28?300mmズームは35mm判フルサイズ対応の ―― 18?270mmはAPS-Cサイズ対応レンズ ―― 手ブレ補正内蔵レンズである。タムロンとしては初の光学式手ブレ補正(VC=Vibration Compensation)の機構を内蔵させたレンズで、レンズ内のブレ補正用のレンズユニットが3つの真円超小粒スチールボールで支持される構造になっている。高精度なジャイロセンサーで手ブレを検知すると、同じく3個の電磁コイルがアクチュエーターとなって補正レンズを高速かつ微細に駆動させるというものだ。


 28?300mmVCレンズの手ブレ補正の効果は、相当に高い。タムロンは「最大でシャッタースピード換算で約4段分以上」と自信満々に言っていたが、それは決していいすぎでもなんでもなくて、実写してみた感じでは「それ以上」のブレ補正効果のあることを体験した ―― 昨年にキヤノン用のレンズを試したときもそうだったがこのニコン用も同じく。
 「素立ち(ヘンな言葉だけど、なにも寄りかからず二本足で立ち二本の腕だけでカメラとレンズをホールドした状態)」でシャッターを切って、焦点距離100mm程度で、なんと「1/2秒」でほとんどブラさずに撮れた。むろん確率として30%ぐらい(3?4カット撮って1カット)ではあったけれど素立ち撮影で1/2秒で撮れるというのはすごいと思う。いうまでもないが、立木や壁などに少し寄りかかってシャッターを切ればブレ補正確率は飛躍的にアップするし、ウマくホールドすれば、1秒!で写すことも不可能ではない。

 このリンカーンのストレッチド・リムジンは1/2秒などの超スロー手持ちで撮ったもんじゃない。1/60秒ぐらい、焦点距離300mm。手ブレ補正というのはこうしたちょいとしたスナップに威力を発揮してくれるし、撮ってみようかな、といった気持ちにさせてくれる。でも、ニューヨークでもなくリゾート地でもない場所で白昼堂々とこうしたストレッチド・リムジンを見るというのもヘンだよね。

目黒区の毛沢東

ペンタックス・Optio W60
 目黒区のとあるラテン系ショップのショーウインドウに飾ってあった大きな毛沢東の肖像画。でも、そのお店の扱っているラテン系グッズと毛沢東とはぜーんぜん結びつかないうえに、めっちゃくちゃ、ヘタな絵でした。目黒区で孤立無援の毛沢東…。

 毛沢東とはまったくかんけいないが、ここ数年間ペンタックスのコンパクトカメラは元気がなかった。他社のあちこちで小型薄型機に高倍率ズームを搭載した機種が出ている中、ずーーっとほとんど3倍ズーム機種ばかりだった。一部の光学系をレンズ収納時に待避させて小型薄型のズームレンズをいちはやく開発し製品化したメーカーであるのに、他社にばかり“レンズ奉仕”して、自社のカメラをなおざりにしていた(そうせざるを得ない深い理由があったのだろうけど)。カメラのデザインも地味すぎた。いままで何度か率先して将来性のあるカメラも作ってきたのに、“諸般の事情”であっさり中断してしまっていた。


 とっても良くできたタッチパネル方式のカメラ ―― Optio T10とT20 ―― を、いちはやく製品化していながら、「売れない」という理由であっさりとやめちゃった(とくにT20のデキはとても良かったのに)。やめちゃったとたんにiPodが出てきてタッチパネル方式がこれからブームになりそうで、ペンタックスファンとしては、ほんと歯痒いよなあ、ぶつぶつ、645デジタルだってそうじゃないか、ぶつぶつ。
 ペンタックスは他社にはない、いいアイディアと技術力と資産を持っているんだから、もう、ほんの少しアグレッシブであれば(とくにデザイン、ね)、もっともっと良くなると思うんで、今後の商品展開に期待しております。。

 アグレッシブと言えばニコンだ。驚いたのは今秋発売のコンパクトで、どれもこれもがじつにアグレッシブで「おおっ」と注目してしまった。ニコン初のタッチパネル式があったり1450万画素カメラがあったりハイビジョン対応であったり、中でもP6000だ。GPS内蔵は予想通りだったけど、有線LANのコネクターを内蔵させて(無線じゃない!)オンコードでカメラをLAN接続させるという、その“柔軟”な発想に驚かされた。有線LANだからできることがいろいろとありそうだ。

午後7時の夕焼け空

ペンタックス・Optio W60
 現行のペンタックスのコンパクトカメラの中ではイチオシの機種だと言ってもいい。とても良いカメラに仕上がっている。デザインもすっきりしていて(ちょっとジミっぽいけど)、ボディカラーは3色あって、オーシャンブルーがおすすめ。
 ちょっと残念だったなあ…と思ったことは2つだけ。カメラが“両吊り”できないことと ―― 縦吊りでも横吊りでもどちらでもいいけど、片吊りしかできないというのは…。手ブレ補正機構を内蔵していないこと ―― 手ブレ補正はなくもないが、いわゆる電子式手ブレ補正の“なんちゃって手ブレ補正”しかない。


 でも、28mm?140mm相当の5倍ズーム(屈曲型)でボディは薄型だし、水深4メートルまでの耐防水仕様で(むろん防塵仕様)、最短撮影の機能が充実していて使い勝手がすこぶる良いし、いくつかの愉しい撮影機能も“こっそり”と搭載している ―― 通常のつなぎ撮影で横長のパノラマ画像にしあげる機能のほかに、カメラを縦位置に構えて2カット撮影した連続写真をカメラ内で自動スティッチングして「超広角写真(約24mmプラス相当)」に仕上げるというもの。これが良くできております、愉しい。
 別売だけど、多少カメラをぶつけてもキズがつかないような、こんな「プロテクタージャケット」も用意されている。ウエットスーツを着たり脱いだり、といったような“着せ替え式”であります。

645判デジタル一眼症候群

ペンタックス・K20D + DA17?70mmF4 SDM
 写真は六本木ヒルズでの「CENTRAL SERVICE JAPAN」のパフォーマンスが終了したあと、メンバーの1人が引き上げるところ。

 この17?70mmはちょっと軟調描写の傾向がある、と昨日ここで述べた。その軟調描写がたよりなくて好きになれない、という人は、たとえばK20Dならばファインシャープネスに切り替えて少しプラス側にセッティングするとか、あるいは、もともと少しシャープネスがあって色調も鮮やかな雅・MIYABIモードと組み合わせるとかすれば、これが意外とマッチングがよく画像の切れ味が良くなる。K10Dなら鮮やかモードを選び、彩度を少し弱めにセットして撮影すると(色の鮮やかさを損ねたくないというならディフォルト)イイかもしれない。


 ★16?50mmF2.8よりも、この17?70mmF4のほうが、使いやすさ、という点では優れているように思う。★16?50mmは相当に“クセ”のあるレンズで、使いこなしも難しい。でも、撮影条件さえピタリと当たれば ―― ピントと絞り値と撮影距離などの組み合わせなど ―― 素晴らしい描写をするズームレンズだ。
 たとえて言えば頭は良くて美人だけれど“わがままおてんば娘”レンズで、それに対して17?70mmは“控え目で無口なお嬢さん”レンズといった感じかな。

 ペンタックスの645判デジタルカメラを待望するぼくとしては、もう一度言いますけど(何度も言っていいが)、ぜひ、あの「645デジタル」の開発を再開して欲しいのだ。価格は70万円台(以下、なら言うことなし)を目標にがんばる。ペンタックスの35mm判フルサイズ一眼はいまは必要ない(論理的な理由はヤマのようにある)。
 APS-Cサイズ相当のデジタル一眼から35mm判フルサイズデジタル一眼にカメラを替えたところで、撮れる写真がとつぜん良くなるわけではない。ところが645デジタルは違う。いままでイマイチだなあと不満を抱いている人が「おっ」と驚くほどの写真が得られる確率が高まり(いやウソじゃなくて)、もともとウマい腕前を持っているならさらにいっそう素晴らしい写真が撮れる、それほどの桁違いの魔力が645デジタルには秘めている。というわけで、ぼくは正真正銘の「645判デジタル一眼症候群」に罹ってしまったようだ。

「デジタル一眼 上達講座」 アスキー新書

ペンタックス・K20D + DA17?70mmF4 SDM
 35mm判換算で26?107mm相当の画角をカバーする“標準ズーム”である。ペンタックスのDAレンズ(デジタル一眼専用)シリーズには、この「17?70mmF4」のほかに、「18?55mmF3.5?5.6 II」や「16?45mmF4」、そしてスターレンズの「16?50mmF2.8」などのレンズがある。他のズームが望遠側でやや物足りなさを感じるのを、この17?70mmズームはそれをカバーしているのが特徴のひとつ。ふたつめは、ズーム全域で最短が28cmであることと、F4のコンスタントF値であること。
 特徴のみっつめはSDM(超音波モーターAF駆動式)専用のレンズであること。SDMに対応したカメラボディ(K20DやK10Dなど)でしかAF撮影ができない。ボディ内レンズ駆動方式には対応していないため、*ist DシリーズやK100DではAF動作せずMFでピント合わせしなくてはならない。これについては残念といえば残念だけど、でも仕方ないんじゃないかなあと思う(*ist DやK100Dのユーザーにはすまぬが…いや、別にぼくが謝ることはないんだけどね)。
 その描写については、少し軟調気味の傾向があって、逆にシャープネス強でコントラスト高めの描写を好む人には不評のようだ。でもぼくは、もともと軟調描写が好きだから、このズームは大いに気に入っている。軟調描写の傾向があるとは言っても解像力は充分にある。


 ここでひとつ、お知らせ。
 というか、宣伝かな。…ちょっと照れくさいけど。

 右のプロフィール欄にあるような新書版の本(アスキー新書)を発売しました。「デジタル一眼 上達講座」というタイトルで、出版社はアスキー・メディアワークス。980円、192ページ。カラーページも、たくさんではありませんが、あります。どちらかといえば、読み物中心の本です。
 内容はデジタル一眼の初心者、入門者に向けたデジタル一眼の簡単なテクニックものです。ですから、ここのブログを読んでおられるようなカメラの知識も充分にあって、デジタル一眼をほいほいと使いこなしているような人にとっては、本の内容がカンタンすぎるかもしれません。…でも、ところどころに撮影のヒントやカメラ操作の役に立つようなになこともちりばめておるつもりですので、機会があったらぜひ、読んでみてください。
 本の詳細については、「amazon 」をご覧ください。

ペンタックス645判デジタルの開発再開希望キャンペーン

ペンタックス・K20D + DA17?70mmF4 SDM
 「ペンタックスからもフルサイズ判の一眼を出して」という意見が一部のペンタックスユーザーの中で湧き上がっているらしい。しかしぼくは、その意見には反対ですねえ。ペンタックスは(いまは)35mm判フルサイズの開発や販売の計画などしないで、ペンタックスらしい ―― ここが難しいのだけど ―― APS-Cサイズ判カメラを狙っていって欲しいなあ。
 今年から来年にかけての「35mm判フルサイズブーム」に対抗してペンタックスがやるべきことは、他メーカーと同じようにフルサイズ判一眼レフカメラを出すことではなく、少しでもはやく「645判デジタル一眼レフ」の製品化に努力することではないでしょうか。やるべきことは、いますぐにでも、あの一時中断になった645判デジタル一眼をぜひ、モノにすることですよ、ほんと。


 先日、その開発途中のアルファ版645デジタルを特別に使わせてもらった。撮影してその写りを見たぼくは、現行の35mm判フルサイズカメラを遙かに越えるだけの高解像力と豊かな階調描写力を備えていることを実感した。ほんとです、おべんちゃらでもナンでもない。そのカメラはベータ版以前のアルファ版のカメラだったけれど、少し手直しするだけで製品化できるんじゃないかと思わせるほどの「完成度」があった。
 開発再開に当たっての問題は(最大の難問かもしれないが)その販売価格だろう。ペンタックスからは、そんな無茶苦茶な、と言われるかもしれぬが、80万円を切るぐらいの価格を目標にしたい。ならば、あの画質であれば十二分に35mm判フルサイズ一眼に対抗できると思う。
 ペンタックスには、キヤノンやニコンやソニーと同じように35mm判フルサイズなんぞをやろうなんて思わずに、645用レンズの資産を持つペンタックスだからできる ―― 諸般のことを考えればキヤノンにもニコンに決してできないことなんだから ―― 645判デジタル一眼を積極的に進めて欲しい。…お願いっ。

 17?70mmF4ズームレンズの使い心地を話をするつもりが、すっかり、ペンタックス645判デジタルの開発再開を希望するキャンペーンになってしまいました。というわけで、いままでのズームとはひとつ違った“味”のあるレンズだったよ、という話は、また。

EOS 5Dの“後継”はもっと先かも…

キヤノン・EOS 5D + SIGMA APO120?400mmF4.5?5.6DG OS HSM
 たぶん今月発表されるだろうキヤノンの新製品は、5Dの“後継”ではなくて他の機種の“後継”らしいという話もある。5Dの後継機種はもう少し先だというのだ。
 ぼくとしては、5Dの後継機種が出てくることを大いに期待して楽しみにしているのだが ―― 現行EOSのシリーズの中で5DのメニューのGUIだけが古いままだったり液晶モニターの視認性がめちぇくちゃ悪かったりライブビューができなかったりで、そのへんをなんとかして欲しいし、5D後継機でキヤノンがどんなテを打ってくるのかなあとのわくわくした気持ちがあるからだ。「どの機種の後継か」は楽しみにしてましょう…ということで。
 でも本音を言えば、カメラやレンズの次期新製品については、ぼくはべつにそれほどのこだわりはない。近々カメラを買い換えなくちゃならないという状況でもないし、新製品が発表になる前にオークションで高値で売り飛ばしたいという予定も望みもまったくないし(そうした予定のある人は気になるでしょうが)、そんなことより、ぼくとしては明日の天気のほうがずっと気にかかる、昨日も東京は大雨だったしねえ。


 キヤノンの「EF100?400mmF4.5?5.6 L IS 」ズームレンズはぼくの数少ない“愛用レンズ”の一本だ。いまでは珍しくなった直進ズームで、その操作性も好きだしホールディングのバランスも良いし、なによりも描写性能が良いのが気に入って使っている。ズーム全域にわたったじつに切れ味が良い。その愛用レンズとほとんど同じスペックで(でも価格は半額近い)、シグマから120?400mmが発売されて興味津々。
 というわけで使ってみたわけだが、キヤノンの100?400mmにとは大きさ重さはほとんど同じ。ズーミング方式が違って、やはり使い慣れたキヤノンのほうがぼくは好き。かんじんの描写性能はキヤノンのほうが良かった。価格のことを考えるとしょうがないのか。キヤノン100?400mmはズーム全域にわたって開放絞り値でも切れ味、ヌケの良さ、などで勝っていた。ぼくが使ったシグマの120?400mmが、たまたま“不調”だったのかもしれず、そのへんはよくわからん。今度、シグマに聞いておきますね。

 六本木のど真ん中のヘリポート。我が事務所のすぐそばに米軍の基地がある。ぼくは“空ちゃん”でも“軍ちゃん”でもないのでこうした航空機についてもなーんにも知らない。そういえば、9・11のあとなどはこの周辺は相当ピリピリした雰囲気が漂っていたんだけど、いまは(表面的には)のんびりしています。たまたま持っていた120?400mmを構えて金網越しにスナップ。軍用ヘリは騒々しいんだよね、ぱたぱたぱたぱた騒音をまき散らす。事務所の中にいても、飛んでくるコースによっては、ほんとウルサい。

ピントは浅く、まるで薄紙一枚ぶん

キヤノン・EOS-1Ds Mark III + SIGMA 50mmF1.4 EX DG
 この50mmF1.4のような大口径レンズになると、ピント合わせはきわめて難しくなる。とくに近距離でのピント合わせのときだ。難しいのは、ひとつはピント位置。つまり、「画面のどこにピントを合わせて撮るか」、を厳密に決めなければならい。だいたいこのへんに合わせておけばいい、といった曖昧さは通用しなくなる。F1.4開放絞り値ともなると、ピント範囲は大変に浅く、まるで薄紙一枚ぶんぐらいなのだ。
 ふたつめは、その狙った部分に、「いかに正確にピントを合わせるか」、である。わずかでも狙ったところからピントがズレていたりすれば間の抜けた写真にしかならない。そのためには、ピントの浅い大口径レンズでは、MFでやるよりもAFに頼ったほうが早いし確実だろう。やせ我慢してMFでピントを合わせようとしても近頃の明るさを優先させたファインダースクリーンや、APS-Cサイズ相当のカメラのちっちゃなファインダー画面では、なおさらピントのヤマを見きわめて的確に合焦することは至難のワザだ。そのうえ、ファインダーの画面では実際よりもずっとボケ量が小さく見えるので、だからよけいにピントが合わせづらい。


 ただし、「AFがおすすめ」とは言ったけれど、そもそも位相差AF方式の測距性能が根本的にタコだったり、ピントを合わせる位置が適切でなかったりすれば(こちらは撮影者の技量とセンスが必須)AFに頼ることはできない。ま、つまり、大口径レンズはそれほどに使いこなしの難しいレンズ、ということだ。
 ファインダーを覗いてもボケの様子が事前に確認できない。さらに位相差方式のAFはこうした厳密でシビアなピントの要求に応えられない「こともある」というわけ。そこで、ライブビューと、撮像素子面でダイレクトにピントを合わせる方法(コントラストAFなど)が、こうした大口径レンズでボケ味を生かし正確にピントを合わせて撮影するにはいまのところベストだと考えられていて、だから、一眼レフカメラでの像面ダイレクト測距に注目が集まっているのだ ―― 像面AF方式が将来、主流になるだろう。
 この写真を撮った1Ds Mark IIIは、EOS Kiss X2のように像面コントラストAFはできないけれど、ライブビュー撮影は可能だし、ピントチェックのための拡大表示もできる。それを利用することで、MFではあるがより正確なピント合わせもできる。ただしライブビューでの手持ち撮影では、シャッターを切るときにカメラがわずかでも前後しないように細心の注意を払わなくてはならず、これもまた難易度が高い。無精をせず三脚を使って撮影すべきなのだが、つい酔っぱらったいきおいで手持ち撮影してしまいました…。

白ワインに氷を浮かべる

キヤノン・EOS 5D + SIGMA 50mmF1.4 EX DG
 開放F値F1.4の焦点距離50mmレンズで、前玉(第一レンズ)がこんなにも大型なものはとても珍しい。50mmF1.2のレンズといってもおかしくない、と思うほどの大きさがある。いま手元にあるキヤノンEF50mmF1.2のレンズと比べてみても、第一面レンズの径だけならF1.2レンズの倍近くある。いったいどちらがF1.2レンズなのか、と不思議に思うほどにシグマ50mmの前玉が大きく、すごく贅沢なレンズの印象を受ける。
 だからもちろん重い。価格もシグマのレンズとしては少し高め ―― そもそもレンズ硝材は大きくなるほど高くなる、小さくなるほどめちゃくちゃ安くなる、だからコンパクトカメラに使っているレンズなんか「一眼のレンズに比べるとアンなもんタダみたいなもんですよ」と、慌てもんが聞くと誤解するようなことを言っていたメーカーの人がいましたが、もちろん名前なんか出せませんよ。
 とにもかくにも、シグマのこの50mmF1.4レンズは、やるんならトコトンやろうじゃないか、というシグマの意気込みが伝わってくる“熱いレンズ”だ。


 前群のレンズ径を大口径化することで画面周辺部の光量不足を抑えることができる。だから、こうした大口径レンズにありがちな開放絞り値での周辺光量不足はほんとに少ない。ぼくは周辺光量不足の少しぐらいあるレンズのほうが好きなんだけど、この50mmF1.4開放絞りの描写は、だから、ややものたりない気もしないでもないほど。
 鏡筒も太く、そのため口径食も少なく ―― まったくない、わけではないが ―― とくに点光源のボケが画面周辺部まで丸く柔らかで、結果的に自然でふんわりとしたボケ味になる。描写はちょいと絞ればじつにシャープ(さすがF1.4はボケのほうが目立ちすぎてシャープ感はそこなわれる)。とにかくフレアーがきわめて少なくヌケが良いのが印象的。だから思い切って露出オーバーにして撮ることもできる。

 暑い夏の昼間、冷えた白ワインを注いだグラスに小さな氷を入れて飲む。ワインのオンザロック。ワイン通から顰蹙をかう。しかしこうすると安いワインでも、ナンだかとってもおいしく感じていい気持ちになる。気持ちよくなると写真が撮りたくなる。その、いい気持ちを「メモ」しておこうと撮っておく。F1.4の開放絞り値で45センチの至近距離。ピントはグラスの“クビ”のあたりに合わせるとちょうど浮かんだ氷にもピントがくる。プラス1.7?2.0EVの露出補正をして、少し飲んでは数カット写す。

今年は「フルサイズ元年」

ニコン・D700 + AF-S 24?70mmF2.8G
 今年は、このD700のほかにも、キヤノンやソニーからフルサイズ判デジタル一眼の新型機種が発表されるだろう。キヤノンにはすでにEOS-1Ds Mark IIIやEOS 5Dがあるが、その5Dの後継機種にあたるカメラが(たぶん)今月中には発表になるに違いない。ソニーはだいぶ前から「出すぞっ」と言い続けていて、それが今秋に正式発表だろうと予想されている。だからぼくは、2008年はフルサイズ元年、と呼んでおります。
 さて、このソニーのフルサイズ新型機種には当然ながら撮像素子シフト方式の手ブレ補正機構が組み込まれるだろう。既存のフルサイズ用交換レンズのイメージサークルをどのように対応しながら手ブレ補正を効かせてくるか、それが大いに興味がある。
 もし仮に、ソニーの「フルサイズ機種」の撮像素子が、35mm判フルサイズ相当の大きさ(約36mm×24mm)だとすれば、それにぎりぎりのイメージサークルしかないレンズが何本かあるようで、それに対して撮像素子をシフトさせればイメージサークルから実画面がはみ出してしまう…。さぁどうするんでしょうか、心配なんですけけど(ほんとは興味津々なんですが)、すると、そんなことタナカさんに心配してもらわなくてもよいです、と言われちゃいました。そりゃもっともです。


 もうひとつ、同じように、アンタに心配してもらわなくてもよろしい、と言われそうだけど、たとえば、いまAPS-Cサイズ相当のデジタル一眼を使っていて、「どうもイマイチ、思ったようにイイ写真が撮れない」と不満を持っている人たちがいたとしましょう。その人が、「フルサイズ判一眼レフを使えば、きっといまよりイイ写真が撮れるに違いない」と思い込んで、APS-Cサイズ一眼を捨ててフルサイズ一眼に移ったとしたところで、たぶん、期待するほどのイイ写真は撮れないんじゃないかと思いますよ。
 こうした「フルサイズ一眼なら、いまよりももっと良い写真が撮れそう」と思い込んでしまうことを「フルサイズ症候群」と言います。もっとイイ写真が撮れそう…と思うのは幻想でありまして、ヘタな人がカメラを替えたからといってとつぜんウマくなりイイ写真が得られることは相当に難しい。
 が、それとはまったく逆に、このカメラを使うとイイ写真が撮れるに違いない、と信じて(信じ切って)撮影に挑むことで、そのカメラが持っているオーラのようなもののが、いままで自分自身も気づかなかった隠れた写真的センスや撮影能力を引き出してくれ、ホントにイイ写真が撮れるということが起こりうるかもしれません。つまり、ワンステップ高いところにあるカメラを(無理して)使ってみることで、一点打開、ということもなくはない、ということですな。カメラだけでなくレンズにも同じようなことが言えるかもしれない。

D700の「ぼくの」おすすめモード

ニコン・D700 + TAMRON 28?300mmF3.5?6.3 VC
 D700の使いこなしの“おすすめモード”が3つある。それが万人向け、かどうかわからないが、ぼくはこのモードを常時設定にしていて、充分に満足して使っている。D3やD300にもほとんど同じものが備わっているので、それらのユーザーも参考にされるとよろしいでしょう。

 おすすめモードの1つめは、「3D-トラッキングAF」。これはD3/D300とまったく同じ機能だが、D700でちょっと“食いつき”が良くなったような気もする。2つめは「アクティブD-ライティングのオート」。D3/D300ではOFF/弱/標準/強の“マニュアル設定新だけで、この選択がちょいと難しかった。D700では新しくオートが加わって、被写体状況をカメラが判断して自動的に強弱をコントロールしてくれる。オートモードが加わって俄然使いやすくなった。
 3つめは「感度自動制御」。これはD3/D300に備わっているものとまったく同じ。このモードの素晴らしさをあまりわかってない人が多いようで、それはじつにもったいない。感度自動制御はISO感度を有効に活用した露出コントロールの一種と考えてもよく、とくにD700のように高ISO感度でもノイズの少ない高画質が得られるカメラでは利用価値は高い。とにかく、以上の3つのモードは、いずれも他のメーカーのカメラにはない機能で、大変に有効、かつ効果もある機能だ。


 いっぽうで、D700の“非おすすめモード”というのもあって、なにかといえば、「高感度ノイズ低減」と「ヴィネットコントロール」の2つだ。どちらの機能も(なぜなのか理由がよくわからんのだが)、初期設定では「標準」に設定されている。これがイカン。高感度ノイズ低減もヴィネットコントロールも、通常は「OFF」にしておくべきだ(高感度ノイズ低減はONにするにしても「弱」がせいぜい)。いろいろ撮り比べてみたけれど、この2つともON(それも「標準」)にしておくことのメリットはほとんどなく、いや逆にデメリットのほうが大きいように感じた。むろん、ONにして強弱を選んで設定すべき被写体や状況ももちろんあるだろうけれど、通常一般的な撮影では(とくにD700の場合は)害あって利なしと言えなくもない。

 タムロンの手ブレ補正内蔵(VC)の28?300mmズーム。D700との相性はよろしい。ズーム全域で最短は49cm。その望遠側300mmの最短で撮ったのがこの写真。このときの感度自動制御モードの設定は、ISO感度の上限はISO3200 ―― 通常はISO6400が多い、シャッタースピードの下限は1/15秒 ―― このタムロンのVCレンズは手ブレ補正がめちゃくちゃ良く効く、露出モードは絞り優先AE ―― F8だった。
 で、実際の撮影データーはといえば、F8で1/15秒、ISO640だった。つまり感度自動制御とは、シャッタースピード下限の1/15秒以下にはならないように、ISO感度が基準ISO感度のISO200からだんだんとアップするものなのだ。仮に1/15秒でISO3200にしても露出アンダーになるときに、ようやくシャッタースピードが1/15秒以下になる。これが感度自動制御の理屈なのだ。……わかってもらえたかなあ、ナンだか説明がもうひとつヘタでスマン。