アメリカ橋のたもとの飲み屋

ソニー・α900 + Planar T* 85mmF1.4
 「α900は小型軽量のフルサイズデジタル一眼レフです…」と説明を聞いていたけれど、使ってみたら、いやいや小型軽量なんてとはとてもとても。
 と、思っていたがナンてことない。重量級のカールツァイスのレンズばかりと組み合わせて使っていたからだ。「ニコンのD700よりも小さくて軽いんですよ」とも言ってたけれど、大きさについては、どっこいどっこいだ。しかし、確かに重さはD700が995gにたいしてα900は850gと100g以上軽い。軽くするために相当にがんばっただろうと思う。

 というのもα900は視野率が100%だしボディ内に手ブレ補正の機構を内蔵させている。撮像センサーを動かすための部材や構造、そのスペースの確保もしなければならない。いや、重量を軽くすることよりもα900にとっては、フルサイズ撮像センサーをスムーズにスピーディーに動かしたり止めたりすることが難題だったようだ。

 「APS-Cセンサーと違ってフルサイズセンサーをシフトさせるのはタイヘンだったでしょう?」、と先日、α900開発の担当者にインタビューしたときに聞いたが ―― このインタビューがおもしろかった、内緒の話もたくさん出た、近々に、とあるウエブに公開するからα900ユーザーはぜひ一読の価値ありです ―― で、その担当者は、「めちゃくちゃ難しかった、途中で、もうだめかな、と思ったこともあった」と、そのようなことをマジメな顔で言っていた。


 そう言えば撮像センサーシフト方式の手ブレ補正は、フルサイズカメラはα900が“初めてで唯一”だ。ペンタックスはAPS-Cサイズ、オリンパスはフォーサーズ。こうした方式の手ブレ補正方式は、センサーサイズが「ほんのちょっと」大きくなるだけで難易度が飛躍的に高くなる。クルマもそうだけど車重が重いほど「走る、曲がる、止まる」は、エンジン、サス、ブレーキ、なにかにつけてたいへん。

 α900を手にしてぼくがまず、いっとう最初にやったことは旧型のミノルタ製レンズを取り付けてイジワルなテストをやった。その1つ。たとえば至近距離にピントを合わせたうえでカメラを振りながらシャターを切る。ナニを試したのかと言えば手ブレ補正動作のために撮像センサーが動いて、それによって実画面がイメージサークルから“はみ出し”て画面周辺部がケラれないかをチェックしたわけだ。手持ちの何本かの旧レンズで試したけれど、しかしケラレらしいものはまったくなかった。ただ、周辺光量が相当に落ち込むレンズがあったのを見つけたぐらい。

 それにしてもF1.4なんて大口径レンズを使って、フルサイズセンサーできちんと手ブレ補正が働いてくれるというのはじつに頼もしい。同時に使っていたEOS 5DM2にもF1.4やF1.2クラスの愛用レンズはあるのだけど手ブレ補正の機構(IS)はない。むろん手ブレ補正効果はレンズ方式のほうが良いだろうけれど、ボディ方式には「レンズを選ばない」という大きなメリットもある。

1080pで30fpsのフルHD

キヤノン・EOS 5D Mk2 + EF24?105mmF4 IS
 5D Mk2の動画、すごいです。キヤノンの出し惜しみ、なんてこと言ってきたけれど、動画撮影機能については違う、いきなりどーんとだからね。キヤノンの出し惜しみ、撤回。
 1080p(1920×1080pixel)のフルHDで、30fpsで、動画撮影中にAFも可能、静止画撮影も可能で一瞬ブラックアウトするが動画は再び続く、外部端子の利用でステレオ録音もできる、付属ソフトで簡単だけど動画編集もできる、ファイル形式はH.264で圧縮したMOVファイル形式。高速で動画圧縮の処理ができるのは、そうDIGIC4のおかげ。

 デジタル一眼レフカメラとして“世界初”で動画撮影機能を搭載したのがニコン・D90だったのだが、その発表からたった1?2ヶ月でこの5D Mk2の発表。で、そのD90の動画はといえば、720p(1280×720pixel)で、24fps、ピント合わせはMFのみ、動画撮影中に静止画は撮れるがそこで動画は中断、録音はモノラルのみ、ファイル形式は圧縮なしのAVIファイル形式、付属ソフトに動画編集機能がない…。くどいようだけど、5D Mk2は35mm判フルサイズセンサーを使った1080p、D90はAPS-Cサイズセンサーでの780pだ。


 「D90が発表になったときね、その動画のスペックを見て、うふふふっ、勝ったっ、て思ったでしょう、えぇ?」と、なにかの雑談の時にキヤノンの開発の人に話しかけたら「はい、うふふふっ…」と、うれしそうな顔をしてた。この話を聞いて、ニコンの人っ、がんばってくださいよっ、むっとするでしょう?

 ちなみに、同じシーンを同じ条件で、5D Mk2とD90で1分間動画撮影してみると、そのファイルサイズは5D Mk2が「約300MB強」、D90が「約130MB強」ぐらいだった。もちろんファイルサイズは静止画と同じように撮影シーンやISO感度などによって違ってくる。スペック上の5D Mk2の連続撮影可能時間は1080pのとき約12分、D90は720pで約5分。5D Mk2の約12分というのは、これでだいたい4GBぐらいになってOSの関係でこれ以上の大きなファイルサイズを扱うことができないからだ。D90動画のいいところは手軽に扱える、気軽に動画を愉しめることだろう。5D Mk2動画は、そりゃあ画質はいいだろうけどナンにするにしても大変。本格的に画像編集やろうとすれば1080pフルHD画像にきちんと対応したソフトなんてそうはないんじゃないかな。

 ピント合わせは基本的には撮影前に測距しておくことをすすめているが、しかし動画撮影中にAF-ONボタンを押せば、かなり苦しそうにしながらもコントラストAFでくくくっとピントを合わせる。露出制御は撮像センサーを利用した中央重点平均測光で動画撮影用のプログラムAEでおこなうそうです。

ISO25600

キヤノン・EOS 5D Mk2 + TAMRON 28?300mmF3.5?6.3 VC
 最高ISO感度はISO25600。感度拡張モードの「H2」ではあるがISO25600相当で写すことができる。ニコンD3もD700も同じく感度拡張をしてISO25600(H2.0 )を選ぶことができる。D3でははじめてISO25600で撮れるようになってそれに驚いたのもつかの間、あっけなくキヤノンが5D Mk2で同じにした。常用ISO感度はD3、D700がISO200?ISO6400で、5D Mk2がISO100?ISO6400。D3、D700がISO200からではあるが感度拡張をONにすればISO100まで広げることはできるが、ならばと5D Mk2も、感度拡張をONにすればISO50を選ぶことができる。まさに丁々発止。

 D3は1210万画素、5D Mk2は2110万画素。D3、D700がISO25600もの超高感度を可能にした理由の1つとして、フルサイズながら画素数をそこそこに抑え、フォトセンサーサイズを確保したからだということだった。ところが5D Mk2は2000万画素を越える高画素でISO25600にした。どちらもほぼ同じサイズの撮像センサーだから、いわゆる画素ピッチだけで比べれば ―― ぼくは詳細はわからないけれど単純に計算したからといって画素ピッチサイズを算出できるものではないらしい、転送回路部をどれくらいの“太さ”にするかどうか、オンチップのマイクロレンズがどうか、によって実質的な受光面積や受光量が違ってくるというわけだ ―― ということはともかくとして、5D Mk2のほうがフォトセンサーサイズが小さいはずだが最高ISO感度をISO25600までにしている。


 では高ISO感度時の画質はいったいどーなのよ、という疑問はとーぜん抱きますよね。D700と比べてみたら、こまごましたことは省略するけれど「ほぼ同等」、わずかにD700のほうが良いかなあといった感じでした。どちらも相当にノイジーになる。使えるか、と言われればケースバイケース。でも写らないより写る方が良いに決まっている。
 俗に言う縦ノイズが目立つ。そして5D Mk2は ―― これはキヤノンのデジタルカメラの高ISO感度画像の特徴でもあるけれど色ノイズが相当に目立つ傾向があるのだがそれが同じように見られる。それにしてもすごいよなあと思う。高画素化するとだめだだめだといっていた観念論主義の人、ここに出てきなさい。
 ただし、1つ、いま使っている5D Mk2はβ版で、それも相当に初期のもののようで(だいぶ前から借りている)、とくに高ISO感度画質については製品化の最後の追い込みで相当によくなる可能性もある。2つ、ほぼ同等と判断した画像は、5D Mk2もD700もノイズリダクション処理機能をOFFにして撮影しているもの。つまりノイズリダクションの処理がうまいかどうかを除外しての比較。むろんノイズリダクション機能をあれこれ試して撮り比べているけれど、その結果の報告は、めんどくさいからやめ。興味のある人気になる人は自分で確かめてちょうだい。

 いっときますけどね、デジタルカメラはややもすると“高感度の画質にだけ”に注目されがちだけど、そうじゃないですよ、評価パラメータの1つに過ぎないですよ。

とことんストイックなデジタル一眼レフカメラ

ソニー・α900 + Sonnar T* 135mmF1.8
 ストイックなカメラだ。華やかな機能があるわけではない。「中身で勝負だ」と開き直ったところもあり、しかしそれがその通りの、中身のあるカメラに仕上がっている。
 正直を言えば、ぼくは実際にこのα900を使ってみるまでは、それほどの“期待”をしてなかった。ファインダーが良いよとはいえライブビュー撮影もできない最新型一眼レフなんて、いまどきそりゃいくらなんでも。撮った画像をカメラ内で「加工」はできるがそれを保存できないなんてどういうことなんだ(インテリジェントプレビュー)。胸を張って“防滴防塵仕様”と言えないボディがそれがフラッグシップ機なのか。とかなんとかα900についてマイナスイメージを持っておりました。
 ところがちょいと使ってみただけで、自分のその先入観の愚かしさに恥じ入った次第です。素晴らしいカメラでした。画質もよい。良く写る。操作感がすこぶるよくぼくの好みに完全にシンクロナイズしている。むろん細かな不満点はあるけれどそれはさておき、デジタルカメラになって「一眼レフカメラ」の理想的なカタチがやや忘れられそうになってきているとき、これが一眼レフカメラなんだぞ、と目の前に突きつけられて、“はっ”と我にかえったという感じか。


 ファインダーを覗いたときが心地よい。クリアーで大きく見えるファインダー画像を見ながら、フレーミングし、ピントをしっかりと確認し、露出を合わせシャッターを切る。で、きれいに写せる。
 そうなんですよ、カメラってもんは本来はそれでイイんですよ。そういうもんですよ。フレーミングするのも、ピントを確認するのも、適正な露出にするのも、チャンスにシャッターを切るのも、「撮影」をする人間がすべて責任をおうべきもの。「撮影する」、そのかんじんのところの責任ぐらい自分でしっかりめんどう見ろよ、とα900に言われているようで、そこで“はっ”とさせられたわけだ。

 こちらが甘えていればなんでもかんでも勝手に ―― とは言いすぎだけど ―― やってくれるカメラが多い中で、寡黙で堂々としているところがいい。だだし「仕事 ―― 速く確実に写すことが条件の仕事」には、α900を使おうとは思わない。仕事用としては迷うことなく、たとえばフルサイズ判ではEOS 5D Mk2やEOS-1Ds Mark IIIやD3やD700ですね、ぼくの場合は。
 ところで、α900の実力(魅力)を十二分に発揮させるには条件が1つある。絶対条件かな。それは、必ず良いレンズを使うことだ。理想を言えばカールツァイスかGレンズだ。とにかく“高い”レンズと組み合わせて使うことです。

ラフカディオ・ハーン旧居

キヤノン・EOS 5D Mk2 + EF24?105mmF4L IS
 満を持して発表したEOS 5D Mk2は ―― なんだか雑誌の紹介記事の書き出しみたい… ―― 待たされた甲斐のあるカメラでありました。聞くところによるとすごい数の予約注文が入っているそうでそれは国内だけでなく海外も同じような状況らしい。やっぱりなあ、という感じだ。発売前にはその価格はぼくは「35万円以上」と予想していたが実際は「30万円以下」ということでこれには驚いた。
 というわけでもうだいぶ前から5D Mk2のβ版を、EOS 50Dやソニーのα900などと交互に使ってるんだけどさすがキヤノン、5D Mk2のツクリのスマートさに感服させられた。ソツがない。まったくもってよくできたカメラだよなあ。同じフルサイズ判カメラのα900とは(いろんな意味で)対極にあるような印象も受けた。しかし、もし、諸々のことを考えなくてもよいぞ自由な気持ちで5D Mk2かα900かどちらかいっぽうだけを選べ、といわれたら、ぼくは躊躇することなくα900をとりますね。その理由を簡単に説明することが相当に難しい。なんというか、α900には「こだわり」があんこになって詰まっている感じなんですよね。


 でも(くどようだけど)5D Mk2にはデジタルカメラとしてのスマートな完成度の高さがある。約1ヶ月ほど前に発表されたEOS 50Dとあれこれ比べてみると、50Dと5D Mk2との“差別化”を狙ってのことだろうけれど5D Mk2のほうが相当に依怙贔屓されて作られているんだなという感じも受けた。むろん50Dはそれはそれでデキの良いカメラだと思うけれど、5D Mk2を使ってみると、うーむ、と唸ってしまう。いうまでもないけれどフルサイズ判かAPS-Cサイズ判か、なんて単純なことではない。たとえばボディ背面の操作系が50Dと5D Mk2とは少し違っていて、それがねえ、使ってみるとぜーんぜん違うのだ。
 50Dには「お前は5D Mk2のためにぐっと我慢しておけ」と言われたような、そんな気もしないでもない。なかでも、5D Mk2を使ったあとに50Dを使っていていちばん「残念っ」と感じたのは動画機能のあるなし。ライブビューでのAFなど各種機能はまったく同じで、ただ1つ動画が写せるかどうかだけが違う。同じDIGIC4なのにねえ。
 一眼レフに動画なんていらない、とおっしゃる方はそれはそれでいいでしょう。なにも否定するものではない。しかし自分がいらんからといって、動画機能を備えた一眼レフを嫌悪するってのもヘンだ。

足立美術館

リコー・R10
 GR DIGITAL II やGX200も、そしてR10もそうだが、マイナス0.3EVほど露出補正をして撮ったほうがよさそうだ。最近はもっぱらマイナス0.3EVの露出補正をしたまま3コマのオートブラケッティングで撮るこが多い。被写体によってはマイナス0.7EVや1.0EVのカットに「適正露出」のものが散らばってることもある。だからオートブラケッティング撮影はなかなかやめられない。これらリコーのカメラが“露出オーバーぎみ”だからというわけではなく(他社のコンパクトカメラもだいたいマイナス0.3EVぐらい補正をしてやるほうがぼくの好みに近い仕上がりになる)、とくにリコーの画像がマイナス露出をしたほうがしっとりとして深みのある(ぼくの好みの)画像になることが多いからだ。

 ただし…これはしょうがないのかもしれないが、どの機種もオートブラケッティングがじつにカッタルイ。もう少しスピーディーに3コマブラケットができると言うことないんだけどね。そうそう、カッタルイと言えば、再生モードでのスクロールが遅いのも不満だ。今どき画像再生のスクロールがこんなにも遅い機種はそうそう見当たらんぞ。


 松江市の外れの辺鄙な場所にある足立美術館は、予想以上の内容の“濃さ”がありました。素晴らしかった。横山大観、富岡鉄齋、上村松園などなど錚錚たる日本画家の作品がずらりと、ほんとずらーっと並んでいて圧巻だった。じっくり見ていけばとても半日じゃあたりない。さらに、ぼくが好きな北大路魯山人や河井寛次郎の作品などもたくさんあってすっかり堪能した。ただ、ちょうど運悪く騒々しい団体客と一緒だったのが残念。中でもオジサンがウルさかった。オバサンが3人集まれば騒々しいのはどこでも経験済みだけど、オジサン3人もそれに匹敵するぐらいで、よくそんなに大声がでるなあと感心するぐらいの騒々しさでありました(その話の内容も展示品とかんけいのない下品なハナシばかり、困ったもんだ)。

 この美術館のもうひとつのウリは、その庭園。とある海外の雑誌の日本庭園ランキングで、ここ数年、ずっと1位を獲得しているらしい。ちなみに2位が桂離宮。で、その庭園はといえば、うーん、なんと言えばよろしいか、ま、どう贔屓目に見ても桂離宮より“上”てなことはゼッタイにないと思うけれど、でもそこそこに美しい庭園でした。例えはヘンだけど、イギリスの田舎の風景、そう、コッツウオルドあたりの「ミニチュア版」風景という気もしないでもない。だから、外国の人たち(西洋人)の評価が高いんじゃないのかなあ、よくわからん。

植田正治写真美術館

リコー・R10
 最近の、もっともお気に入りとなったカメラのひとつ、R10。キヤノンのPowerShot E1も良いけど、このR10はそれとちょっと別の“味わい”があって、良いです。とくにぼくのような不精者には28mmから200mm相当のズームを内蔵していて、ズーム全域でほとんどストレスなくマクロ撮影ができるというのも、良いです。R10の前のモデルであるR8から、例のズームレンズが繰り出すときの騒々しい音 ―― リコーズームジリジリ音 ―― がしなくなって、えらくスマートになった(少し淋しい気もしないでもないけれど)。
 液晶モニターが3.0型のハーフVGA、46万ドットになって、R8と比べて(ぼくにとっては)いちばん大きな進歩だ。とにかくキレイ。46万ドットとはとても思えぬほどキレイ。92万ドットVGAなみ。このキレイな液晶というのも少し困りもので、撮影しているときそれを見て「うおっ、良いのが撮れた…」と思って、期待に胸膨らませてPCのディスプレイで見ると、うーむ、ということがなくもない。ま、キレイな液晶画面のカメラは、話半分ではなく見て半分、の気持ちでいることが肝要ですね。


 お気に入りのコンパクトカメラを持って、また少し旅に。宍道湖あたりに。八雲立つ出雲…のことば通り、むくむくとチカラづよい雲が湧き上がっているのをあちこちで見ました。

 米子市郊外にある「植田正治写真美術館」は、もうかれこれ10数年以上前に来たっきり。久しぶり。その美術館が正式オープンする数ヶ月前に、植田さんに案内されてふたりで来た。米子の植田さんのご自宅を訪ねたときに、「タナカさん、ぼくの美術館に行ってみましょうか…」と誘われて行った、それ以来だ。そのときはまだ写真もなにも飾ってなかったが、今回はじっくり堪能した。いままで見てなかった写真もたくさんあって愉しかった。
 でも、その美術館もいつまで続くのか、続けていられるのか…。ぼくたちが1?2時間いた展示室内には、結局、だれひとり入ってこず、まるで貸し切り状態。休憩室に数人の女性たちが談笑していただけで、彼女たちが帰った館内は静寂そのもの、他に誰もいなくなってしまった。運営している町の議会から毎年「継続中断」の声も上がっているという。淋しい…話です。

 「ぼくは大山が大好きなんですよ、ですから大山が見える場所に美術館を作ってもらった」、と話していた植田さんの大好きな大山が向こうに見える。

デジタル手ブレ補正機能

カシオ・EXILIM EX-FH20
 最高60コマ/秒の高速連写、1200fpsのハイスピード動画、フルHD動画(1080)、その他、数々の撮影機能を満載したEX-F1が、今年の春に発売になったのだけど、カメラは魅力的で欲しい、しかしちょっと価格が高くて手が出ない。カメラも大きい重い、といったユーザーからの「声」を受けて(と、カシオは言ってたけど)、F1よりも低価格でコンパクトな“弟分”を作った、と。それがEX-FH20だ。高速連写(40コマ/秒)やハイスピード動画(1000fps)、HD動画(720)など、F1よりも性能的に劣るところはあるが、基本的な機能などはF1とほぼ同じだ。
 撮像センサーも同じく高速タイプのCMOSであるが、FH20のほうは1/2.3型のミニサイズで画素数は910万画素。内蔵レンズは35mm判換算で26?520mm相当の画角をカバーする20倍ズーム。CMOSシフト方式の手ブレ補正機能付き。パスト連写機能やマルチモーション撮影機能、デジタル流し撮り機能なども搭載している。カシオ得意の「機能てんこ盛り」のカメラだ。


 その「てんこ盛り」機能の中でぼくがもっとも注目しているのが「デジタル手ブレ補正」。これはF1にも備わっている。詳しく説明するとキリがないので、以下簡単に。60?40コマ/秒の超高速連写機能を使って多重露出撮影をおこなう。F1もFH20もCMOSシフト方式の手ブレ補正機能が内蔵されているから、ブレを検知するためのジャイロセンサーも内蔵している。そのセンサーからのブレ方向と量の情報をとって、ブレを補正するように多重露出した画像を重ね合わせる。つまり画像処理してブレの目立たない画像に仕上げるというわけ。CMOSシフト方式(機械式)とデジタル手ブレ補正(電子式)をミックスさせることで、手ブレ補正の効果を大幅にアップする。
 このデジタル手ブレ補正は従来の、なんちゃって電子式手ブレ補正とは、その効果も画質もぜんぜん別もの。そのうえ ―― ここが大切 ―― 画像を重ね合わせるときにノイズ低減処理もおこなっているようで(カシオは詳細を語らず)、この処理がまた不思議なほどノイズ低減に効いている。たとえば、デジタル手ブレ補正の機能をON/OFFして撮影した高ISO感度の画像を見比べてみると、ノイズの目立ち具合が歴然と違っている。ブレ補正するだけでなくノイズも低減。撮像センサーにCCDからCMOSに替わるだけでも、いままで“夢”だたことがことごとくかなえられるようになる、のかな。

 撮影場所は六本木。時間は午後6時。暗い。レンズの焦点距離は約450mm相当。背面液晶モニターを見て手持ちで撮影。シャッタースピードは1/10秒。デジタル手ブレ補正をON。フレーミングもままならぬほどカメラが揺れる。ところが撮ってみると写真はほとんどブレが目立たない。すごいじゃないか。

T77とT700

ソニー・Cyber-Shot T700
 先日、T77を使って、予想以上のその内蔵レンズの良さと画質の良さにちょいと驚いた。T77は超薄型とタッチパネル操作が特長なのだが、いや確かにすごい薄さのカメラで仕上げもいいんだけど、しかしタッチパネル操作のGUIなどがぜーんぜんダメ。とにかくちょっと使ってみればすぐにわかると思うけどめちゃくちゃ使いづらい。タッチパネル操作の“直感スピーディーさ”をまったく無視しているし(ソニーらしくないよなあ)、ちょっとメニューの奥に入ってしまうと、まるで蜂の巣の中の蟻地獄に迷い込んだような気持ちになる。
 でも、レンズは良い。画質も良い。超薄型ボディも良い。手ブレ補正もあるのだが、うーん実に残念ですが、操作性がいまいちだし、さすがソニーだっ、といった「プラスワン」の魅力的な機能もないし、だから、使っていて(ぼくは)すぐに飽きてしまった…。


 というわけで、T77の「上位機種」であるT700を期待をして使ってみた。内蔵レンズは同じ4倍の屈曲型で光学式手ブレ補正機構付き。撮像素子も同じで有効画素数が1010万画素。おもな違いは、液晶画面がT77が3型ワイドなのに対してT700が3.5型ワイド、カメラ内蔵メモリーがT77が約15MBしかないがT700は約3.7GBもある。カメラサイズがわずかにT700のほうが大きい。カメラの外観デザインは(好みだけで言えば)T700のほうが好き。でも、たぶん専門家が見れば薄型であることやスライドカバーの仕組みなどでT77のほうを評価するんではないか。
 レンズも同じ、画像の処理なども(たぶん)同じはず。液晶モニターのサイズは異なるがタッチパネル式の操作系はまったく同じ。撮影した結果も(予想通り)ほとんど同じ。T700も良く写る。ただ、使い勝手という点では、T77よりもT700のほうが良かったですね。両機種のいまの価格差は5千円ぐらいのようだけど、使った印象では“5千円以上”の差があるように感じました。どちらかに迷っているならT700でしょうね。

トン♪トン♪操作

オリンパス・μ 1050 SW
 タップコントロール。カメラを叩いて(Tapして)撮影機能を呼び出したり、選んだり、設定したりコントロールできるというカメラ。叩く、といっても指先で、ぽんぽんっ、と軽くでいい。オリンパスは「トン♪トン♪操作」と表現している。たとえば、カメラの右側面を二度叩くと内蔵フラッシュの発光モードの選択画面が出てくる。ここで、同じく左右を叩いてターゲットを移動させモードの選択をおこなう。設定(確定)はカメラの上部を二度叩く。撮影モードで液晶画面を一度叩くと再生モードに切り替わる。左右を叩けば画像がスクロールする。再生モードの画面をもう一度叩くと撮影モードに戻る。カメラ左側を叩くと顔認識モードの設定ができる。一度叩くのは誰にでもカンタンにできるだろうけれど、二度叩く、というのが慣れないとちょっと難しいかも。

 PCのマウスのダブルクリックのようなもので、叩く“間隔”が短すぎたり長すぎたりするとカメラが反応してくれないことがある。この「間隔」と叩く「強弱」が設定変更できるメニューが深い階層の下にあることはある。その設定を変えてもダメなものはダメ。結局は叩く人が“カメラにあわせてやる”のが基本だろう。タッチパネル式とはこのへんが根本的に違うようだ。ナンだか、カメラのご機嫌をうかがいながら、ぽんぽんっ、これでイイですか、とやっているとカメラにへつらってるような、そんな気持ちにならないこともない。


 叩いて呼び出したり設定したりする機能や叩く回数などを変更することはできない。左は顔認識モード、右はフラッシュモード、上は決定、画面は撮影と再生の切り替え、などあらかじめオリンパスが決めた通りにユーザーは従う。いやオレは左のぽんぽんっでISO感度を選ぶんだ、なんてわがままは通らない。カメラの上を二度叩いてモードの設定をOKするときに、ちょっと気をつけなくてはならん。カメラを落としそうになったことが何度かあった。
 いや、このカメラは落としたって壊れはしない(限界は約1.5メートル)ヘビーデューティーなカメラなんだぞ、と言われても、がつんがつんっ、とカメラを棒で叩いても壊れないぞ、と言われても、ぼくなんぞ古い人間だからカメラに無用なショックを与えるのはかなりの抵抗感がある。たとえ指先で軽く叩くにしてもですよ、あまり気分の良いもんではないです。

 こうしたSWシリーズのような耐ショック防水防塵仕様のカメラは、スキー場や冬山などに持っていき、手袋をした状態でカメラ操作をせざるを得ない場合も多い。タップコントロールならそんなとき、手袋をとらなくても叩くだけで操作ができる、ということで採用されたらしいです。

癒し系カメラ

キヤノン・PowerShot E1
 使ってて気持ちを柔らかくしてくれるカメラだ。ぎすぎすした気分の時に、このE1を手にして触れているだけで、不思議に、こころが落ち着いてくる。写真などを見ると、その感触は薄いプラスチッキーな感じもしないでもないが、実物を持って触ってみるとぼってりとした厚みがあって、その視覚と触覚の“落差”に驚くはずだ。カメラの重さも、大きさもほどよい。このE1は、そもそもがキヤノンが狙ってるターゲットは若い女性たち(だそうだ)。そう言われてみると、なるほどそんな感じもしないでもないが、でもしかし、若い女性たちだけに持たせるのはもったいないぞ、と、そんなふうにも思わせる。

 メインスイッチをONにすると、ぽんっ、と軽ろやかな乾いた音がする。じつにイイ感じ。なんとなく、癒されるカメラ。
 カラーバージョンが3色あって、淡いピンクとブルー、それとわずかにアンバー色がかったホワイト。さすが、ぼくのようなオジサンがピンクを持つわけにもいかんのでブルーを選んだ。これがなかなかよろしい ―― ちょっと気恥ずかしい雰囲気もしないでもないけど。ま、とにかく、食わず嫌いの思い込みをちょいと横に置いておいて、このE1を一度、手にしてスイッチをONにしてみるとよろしいでしょう。たぶん、いままでのカメラとは違ったなにかを感じるはずだ。


 持っているだけで気持ちがやわらいでくるこうしたカメラは、カメラを向けたくなる被写体も、いままでとなんとなく違ってくる。カメラを構えてフレーミングするときも、こころなしか優しくなる。これも不思議。シャッターを切る。ぽこんっ、と乾いた軽い音がする。そのシャッター音の心地よさにひかれて、もう一枚撮りたくなる。

 ここは尾道の山側にある千光寺近くの公園。そこにある展望台の上。いまにも雨が降り出してきそうな天気でありましたが、見下ろすと尾道水道があって、すぐ目の前にある向島と小さなフェリーが行き来している。まるで箱庭のような眺め。このあと、雨の中を鞆の浦までドライブしてから、しまなみ海道を突っ走る。こうした旅に持って行くには、ちょうどぴったりのコンパクトカメラでした。イイ感じの写真がたくさん撮れました。