アートフィルター(ファンタジックフォーカス)

オリンパス・E-30 + ZUIKO DIGITAL14?54mmF2.8?3.5 II
 アートフィルターの種類とその効果はE-30のカタログを見るとだいたいのことはわかる。そういえば、そのE-30のカタログはちょいと必見です。20ページぐらいの、そのうちの半分近くがアートフィルターの作例でうまっている。E-30の他の機能解説はオマケ程度。
 必見、と言ったのはそのカタログがリリー・フランキーさん、宮崎あおいさんの二人の、なにか意味ありげなストーリーで構成されていること。ありきたりなカメラカタログとは、たいそう違う。ページを開くと、その冒頭、リリー・フランキーさんが一人暮らししている家に、宮崎あおいさんが大きな旅行カバンを持って尋ねてくるという設定で始まる。お父さんと娘なのかおじさんと姪なのか、はたまた…、と二人の“関係”を詮索したくなる写真がつぎつぎ出てきて ―― そのすべてがアートフィルターで撮ったもの ―― いやあ、これもまた愉しめました。

 撮影画像のアスペクト比が、なんと9種類も変更可能。「4:3」や「3:2」や「7:6」や「5:4」やあれやこれや、なんともはや、こちらのほうはオリンパスらしくユーザーを混乱させる(いや、悩ませる)仕様だ。


 アートフィルターは6種類ある。ポップアート(POP ART) ―― 彩度とコントラストなどを相当に強めにしてある。仕上がりが意外性もあっておもしろい。シーンによっては露出アンダー、ホワイトバランス変更するのもよい。
 デイドリーム(DAY DREAM) ―― 女性が好みそうないまハヤリの色調で、彩度とコントラストが低くフラット。期限切れのフィルムで撮ったような画像だが、ぴたりとハマるシーンもある。わずかプラス露出補正で撮ると雰囲気が出る。ホワイトバランスは変更しない方がよろしい。
 ライトトーン(LIGHT TONE) ―― 6種類の中ではいちばん平凡な印象を受けるかもしれない。シャドー部とハイライト部の描写が活きてくるのでハイコントラストなシーンで撮るといいかも。
 ファンタジックフォーカス(FANTASIC FOCUS) ―― ソフトフォーカスなんだけど、これもまた彩度とコントラストを少し低めにしている。ポートレートだけでなく風景、とくに街角スナップなどに使ってもおもしろい。ホワイトバランスを変更してみるのもあり。
 ラフモノクローム(ROUGH MONOCHROME) ―― ハイコントラスト、粗粒子ふうの白黒写真。シャドー部がちょっとツブれすぎる気もしないでもない。少しオーバー露出で撮ってみるといいときもあり。
 トイフォト(TOY PHOTO) ―― 画面四隅が光量不足に画像加工される。少しシャープネスが強すぎる印象あり。ぼくの利用頻度がもっとも少なかったモード。使ってるうちにこれはたぶんすぐに飽きると思う。アスペクト比を変更しても、撮った画像の四隅光量が きちんと落ちるのには感心。

アートフィルター(デイドリーム)

オリンパス・E-30 + ZUIKO DIGITAL14?54mmF2.8?3.5 II
 アートフィルターは大変におもしろい愉しい撮影機能だとぼくは感心しまくっているけれど、じゃあそこんことろをわかりやすくキチンと解説せよ、と言われると、うーむ困るのだ難しいのだ。「E-30を使って実際にナンでもいいから撮ってみなさいよ、きっと、こりゃおもしろい、と思うはずです」と、しか言えない。感覚的ですまんですが。
 E-30を使うたびに、なんとかうまくコトバで説明ができないもんだろうか、といつも考えてはいるんだけど、結局ノーアイディア。

 アートフィルターを選んでライブビューモードにすると、そのアートフィルターで撮ったらこうなるぞというプレビュー画面を見ることができる。もちろん実際に撮ってE-30内で処理してできあがった画像とは微妙に違うんだけど、ま、目安としてはとっても便利。露出補正したりホワイトバランスを変えたりすれば、それもリアルタイムでプレビューできる。だから撮るときはもっぱらライブビューモード。ファインダーを覗いてアートフィルター撮影することはない。


 何度も言ってくどいけれど、このアートフィルターは通常画像で撮っておいてから、のちほど画像を処理することはいっさいできない。事前に仕上がりの調子をコントロールすることもできない。タマは1つしかない決め撃ち。失敗すればそれっきり。もし安全を見越してフィルター効果をOFFにした画像も同時に欲しいのであれば、RAW+JPEGで撮影しておくしかない。そのRAWを現像すればOFF画像ができあがる。
 そして、またまたくどいが、そのRAWを現像するときにカメラ内のアートフィルターと同じ処理をすることはできない。そんなサービスをする気はさらさらない。ゴーマンなのだ、オリンパスは。いや…だからぼくが、このE-30のアートフィルターにおもしろいなあと感じているのかもしれないが、実はよくわからん…。

 事前に画像を調整できることといえば露出補正かホワイトバランスしかない。ぼくは、当初はオリンパスのゴーマンにそのまま従ってアートフィルター撮影をしていたが、あるとき、おっ露出補正ができるじゃないかホワイトバランスが変えられるじゃないか、という初歩的な事実に気づいてから、アートフィルター撮影がいっそうおもしろくなった。

アートフィルター(ポップアート)

オリンパス・E-30 + ZUIKO DIGITAL14?54mmF2.8?3.5 II
 E-30は、Eシリーズの最高機種のE-3の持つ機能の多くを受け継いでいる。いくつかの小さな点でディチューンして“差別化”はしていはいるが、しかし逆に、画素数がアップして高画素化していたり、ライブビューモードでのコントラストAF(イメージャーAF)が可能になったり、デジタル水準器を内蔵させたりしてE-3を“越えて”しまっている部分も少なくない。
 こうしたスペックだけでE-30を見て判断すれば、これがじつにまっとうなカメラで、しかしこれといった特徴のない真面目一徹なデジタル一眼レフカメラに仕上がっているのだ。ところが、あのアートフィルターの撮影機能が搭載されたことで、そう、アートフィルター機能がたった1つ加わっただけで、“真面目カタブツ中年おじさん”の印象が、まるで柔らかな真綿でくるまれて“しゃれた独身おじさん”ふうなカメラに豹変。
 とっても不思議なカメラ…。


 ところでぼくは、このE-30を手にして使ってみる前までは、アートフィルターの撮影機能についてまったくもって評価してなかった。あんなもんは、ふんっ…とも言っていた。オリンパスはいったいナニを考えとるんだ、とも思っていた。ところが、E-30を使ってみてアートフィルターを選んで撮影してみたら、いやはや、これがおもしろい。はっきり言ってめちゃくちゃ愉しい、意外性もある。
 ぼくは大いに反省しました。恥じ入りました。なんでもそうですが、ほんと、観念的に物事を判断したり評価しちゃいけませんねえ。で、オリンパスの方向に向かって、ごめん、と謝りましたよ。

 アートフィルターの機能は6種類あって、あらかじめ画像の仕上がり設定が決められている。ユーザーが変更することのいっさいの融通はきかない。シーンモードの一種、と考えればよい。だから撮影機能に制限もある。その仕上がりの調子は相当に個性的で、思い切った画像処理をやる。どれかのモードを選んで撮影すると、その仕上がり画像だけしか撮れない。むろんあとで画像調整もできないし、もとのオリジナル画像に戻すこともできない。決め撃ち。オンリーワン。オリンパスが決めた仕上がり設定なんだから「つべこべ言わずに黙って俺についてこいッ」といったようなものか。そんなゴーマンなカメラって、そりゃあないだろう、と思っていたわけだ。
 それがどうだ、撮ってみればいやぁ愉しいのだアートフィルターが。目からぽろぽろ鱗が落ちる。