「はじめてのオレ専用カメラがきた」

キヤノン・PowerShot D10
 じつに愉しい動画を見つけましたよ。YoutTube。これを見つけたのは一ヶ月ほど前のことなのだが、いまでもときどき思い出したように見て愉しんでおります。
 こどもが自分用のカメラとしてPowerShot D10を父親に買ってもらって大喜びしている様子を撮っている動画なんだけど、こどもの表情もしぐさもいい、動画の撮影も編集もうまい。とくに、ラストシーンでこどもが自分のD10を抱きしめるようにほおずりをして喜ぶ様子を見ると、D10ともキヤノンとも直接関係のないぼくでも、ついニコニコしてしまうほど気分がいい。

1分間ちょいの短い動画 なので、ま、いちどご覧になってみてはどうでしょうか。いきなり、こどもの大声がしますのでご注意。


 このD10を企画したり開発したキヤノンの人たちにとっては、自分たちが作ったカメラをこんなにも喜んでくれることに、きっと「感激」するに違いない、とそう思ってその関係者数人にYoutTubeのURLを送って知らせた。ところが、その反応が、うーんなんと言えばいいのでしょうか、冷めているというかあっさりしているというか。
 いわく、「D10は水にも衝撃にも強く、こどもが手荒く扱っても壊れる心配もありませんが、こどもには少し高価なカメラですね」とか、「こどもがストラップで首を不用意に絞めてしまわないかと見ていてどきっとしました」とか、あるいは「幼い頃からカメラを使い撮ることに慣れ親しむ環境を作ることが写真文化の継承につながります…」、などといったメールが返ってきて、まあ、なんと“情”のない“味気ない”人たちなのかと正直、意外(がっかり)でしたね。
 …そんなもんなのかなあ、ぼくがむやみに感激しすぎなのかなあ。

愉しいカメラだぞ

オリンパス・E-P1(β版) + M.ZUIKO DIGITAL 17mmF2.8
 E-P1の発表により、オリンパスはフォーサーズのEシリーズを続けながら(プラットフォームの共通点は多いとはいえ)それとはまったくテイストの異なるシリーズの展開をスタートすることにした。オリンパスとしてはE-P1を出してみるまでは(受け入れてもらえるだろうか、と)あれこれ心配なことも多かったに違いない。しかし、いざフタを開けてみると、オリンパスにとっても“予想外”の高い人気と評価を受けた。そのようにE-P1が高く評価されたのは、新しいシリーズを“ぜひ成功させたい”というオリンパスの一途な気持ちがそのカメラやレンズに込められていたからだろう。
 作り手のまじめで一生懸命な気持ちというものは ―― ペンタックスのK-7もそうだけど ―― できあがった「製品」から自然とにじみ出てくるものだと思う。E-P1は裏切らないカメラといえばよいか、信用して一緒に愉しんでいけそうな気持ちにさせてくれるなにかが感じられる。その、大きな期待にこたえるためにも今後のオリンパスの責任はより重くなる。ぜひ、がんばってほしいです。


 ぼくの周りでも、すでに何人かがE-P1の予約をした人がいる。それをみていると、パンケーキタイプの17mmレンズとのキットを選んだ人が多いようだ。ちょっと意外だった。というのも、17mmレンズキットを選ぶよりも、思い切って14?42mmと17mmとセットになったツインレンズキットのほうが断然イイように思うからだ。なによりも“お買い得感”があるし、ズームレンズはE-P1と組み合わせて使ってみると、これが予想以上に便利にたのしく使えるのだ。そもそもE-P1の魅力は「レンズ交換できるコンパクトなデジタルカメラ」であるのだから、とりあえずもなにも、ハナから積極的にレンズ交換して愉しむべきじゃないかと思うわけだ。

 E-30やE-620に搭載されて評価こもごもだったアートフィルターがE-P1にも備わっているのだが、ようやくというか、アートフィルターのおもしろさがE-P1で再認識された。というのも、1つは、RAWで撮っておけばPCでRAW現像するときにカメラに搭載されているアートフィルターのどれでもを選んで処理することができるようになったことだ。バージョンアップされたソフトを使用すれば、いままで不可能だったE-30やE-620のRAWファイルも同じようにアートフィルター処理することもできる。これでアートフィルターが俄然、愉しくなる。
 もう1つは、アートフィルターを生かしての動画が撮れることだ。とくにおもしろいのは「ラフモノクローム」や「トイフォト」で、このモードは処理に時間がかかるためフレームレートが通常の30pfsから、ラフモノクロームでは6pfs、トイフォトでは2pfsとなる。これを選んで撮ってみると、まるで古いムカシの8ミリ映画を見ているようで、いやあ、愉しい愉しい。

「…状態を確認してください」

オリンパス・E-P1(β版) + M.ZUIKO DIGITAL 14?42mmF3.5?5.6
 メモリーカードは、オリンパスのデジタルカメラとしては初のSDカードを採用。xDとのデュアルスロットではなく、SDのみのシングルスロットだ。ずっと孤軍奮闘かたくなに続けていたxDピクチャーカードからの撤退 ―― ただし完全に撤退したわけではなく、いろいろと事情があるんだろう。
 ほぼ同じ時期に発表されたソニーのデジタル一眼も、たまたまの偶然か、こちらも初のSDカード採用となっている(ソニーのほうはメモリースティックも使えるダブルスロット方式)。E-P1の記者発表会でもこのことについてはそれほど話題にもならず、みなさん“ごくごく自然な反応”でありました。つまり、ま、そういう時代になったということなのかな。

 液晶モニターは大型の3インチ型ではあるが、いまさらの23万ドット。なぜ92万ドットを採用しなかったのか、と誰もが不満に感じるだろうけれど(もちろんぼくもそうだった) ―― が、コストのモンダイではなく他の理由で23万ドットを採用せざるを得なかったようだけど ―― それはそれとして、しかし実際にその23万ドットの液晶モニターを使ってみると、これがすこぶるよろしいのだ。現行の23万ドット液晶モニターの中ではダントツの見えの良さで、じつにクリアーでシャープで色調もいい。むろん、この見えの良さで92万ドットなら、そりゃあもっとよかったけどね…。


 14?42mmズームはAF対応の交換レンズとしては世界初の沈胴式だ。撮影するときには手動で ―― ズームリングを回転して ―― 撮影スタンバイ状態にセットしてやる必要がある。ズームを沈胴したままでカメラのメインスイッチをONにすると、液晶モニター画面には「レンズの状態を確認してください」と警告メッセージが表示される。でもねえ、いきなりですよ、「状態を確認」しろ、とソッケなく言われても初めてE-P1を使う初心のユーザーにとって、すぐにどう対処すればよいかわかるわけないじゃないか。たぶんパニックになるに違いない。
 最近、ぼくの事務所に来てE-P1を手にした人たちの中でも(カメラの設計者もいましたけど)、何人もがその警告表示を見て、どうすればよいのかわからずしばらく固まっていましたよ。オリンパスとしては早急に、なんらかの対応をすべきでしょうね。使用説明書に解説してありますよ、とオリンパスは言いたいだろうけど、その言い訳は通りませんよ。

 E-P1は、カメラ内でレンズの歪曲収差を(たぶん色収差も)補正する機能を備えている。この機能は常時ONで、OFFすることはできない。ライブビュー状態の液晶画面でもすでに補正されているから、ほんらいのレンズの収差などの「実力」がわかりにくい。このことをナニも否定しているわけではない。それはそれで、デジタルカメラならではの大きな特長の1つだ。でも、ほんらいのレンズの実力はどれほどのものかが「知りたい」のとはまたハナシは別だ。
 というわけで、14?42mmの歪曲収差がどれくらいあるのかチェックしてみたんだけど ―― ある特殊な操作をすることで画像補正する前の状態をチェックできる ―― でもこれは、E-P1ユーザーにはおすすめしません。見ない方が幸せにいられるでしょうから、その事前チェックの方法は言わないでおきましょう。

シルバーボディ+シルバーズームレンズ

オリンパス・E-P1(β版) + M.ZUIKO DIGITAL 14?42mmF3.5?5.6
 E-P1用の交換レンズとして14?42mmのズームと17mmの単焦点の2本の専用レンズが同時に発表されたわけだが、レンズ単体やボディ単体のほかにそれぞれのレンズとセットになったキットモデルも発売される。E-P1ボディはシルバーとホワイトの2モデルがあり、ズームにはブラックとシルバー、17mmはシルバーのみ。ズームレンズとのキットモデルは、シルバーボディにはブラックズーム、ホワイトボディにはシルバーズームの組み合わせしか選択肢はない。つまり、シルバーボディにシルバーズームを組み合わせたい、と願ってもそのキットモデルは用意されていない。ボディとレンズと別々に購入するしかない。そうなるとボディ単体が約9万円、ズームレンズが約3万5千円。ところがキットモデルだと10万円と大幅に安く手に入れられる。しかし、カラーバリエーションの組み合わせが限定されてしまう。

 なぜこんなことを言うかといえば、「シルバーボディとブラックズーム」の組み合わせの“見かけ”のバランスがよろしくなかったのだ。沈胴式ズームを縮めた状態はまだいいとしても、ズームを伸ばして撮影スタンバイ状態になると、とたんに外観スタイルが悪くなる。たとえて言えば、浴衣の上にブルゾンを羽織っているような(そこまではトンチンカンではないけれど)、そんなアンバランスさを感じないでもなかった。


 ところがその後、じつはたまたまだったのだけど、「シルバーボディとシルバーズーム」のイレギュラーな組み合わせが手元にやってきた。で、それ使ってみたら予想外想定外、これがすこぶるカッコ良い姿なのだ。E-P1を使うんなら、こりゃあ文句なしに「シルバーボディとシルバーレンズ」だぞ、と思ったのだけど、そうなるとボディとズームと別々に購入するしかなく価格もぐんっと高くなる。
 「なんとかなりませんかねえ…」とこっそり聞いてみたけれど「なんともなりません」と、けんもほろろのつれない返事。もうちょっと、ねえアンタ、フレキシビリティがあってもいいじゃないのと不満の1つも言いたくなりましたよ。ついでだけど、シルバーボディの(慌てて取り付けたような)黒いグリップを、もう少し落ち着いた色のグリップに取り替えられるサービスなども、今後ぜひ展開して欲しいものです。

 もし、サービスセンターかどこかでE-P1を見る機会があれば、ぜひシルバーボディにシルバーズームをセットして(撮影スタンバイ状態にしてから)、じっくりとその姿を眺めてください。ブラックズームより数倍かっこイイですから。

ルビコン川を渡ってしまったか、オリンパス

オリンパス・E-P1(β版) + M.ZUIKO DIGITAL 14?42mmF3.5?5.6
 オリンパスの渾身のニューモデル。
 このカメラシステムに賭ける意気込みがひしひしと伝わってくるような丁寧な外観の仕上げを見たとき、オリンパスはとうとうルビコン川を渡ってしまったか、と感じ入ってしまった。多少、未熟未完の部分もなくもないけれど、しかし「初物」なんだからそれは大目に見てやらなくちゃ、と思う。今後のオリンパスのがんばりによっては大変に将来性、発展性のあるカメラシステムとなるに違いないだろう。オリンパスはもう後戻りはできないのだから、そりゃあこちらとしても、もっと前に進めるように応援したくもなりますよ。

 ボディ外装は前後カバーはステンレスで上下カバーにはアルミを使っている。上カバーもステンレスだったらもっと良かったのだろうけれど、複雑な凹凸のプレスがステンレスでは技術的に難しかったようだ。それでも、とてもコストのかかった、そして高い製造技術があってこその外装仕上げであることは手にしてみればすぐにわかる。オリンパスが豪語するところの「上質感」は充分に感じられる。


 E-P1についてのより具体的な紹介は、ぜひ今月20日に発売される「デジタルフォト」にぼくが書いた記事を読んでいただきたいわけなんだけど、さて、そこでも少し触れてはいるがこのE-P1は、Eシリーズのカメラから反射ミラーとファインダー光学系を取り去って薄型小型化したものであると見るのではなくて ―― 実際はそのとおりなんだけど ―― まったく新しいコンセプトで企画開発された「レンズ交換式のコンパクトデジタルカメラ」と見たほうがずっと魅力的に思える。つまり、E-P1は既存のデジタル一眼の派生機種ではないということ。

 交換レンズが標準ズームと単焦点の“たった2本”しかない ―― マウントアダプターを使えばあれこれの既存レンズは使えるけれどそれはあくまでテンポラリーな使い方 ―― などシステムカメラとしてはまだまだだし、改善改良していかねばならない部分も多いけど(これについてはまたおいおいと)、いやしかし、なんだかわくわくするような“夢”を感じさせるカメラだ。