キヤノンが踏み出した「一歩」

キヤノン・EOS-1D Mark 4 + EF 70?200mmF4 L IS
 もう一歩の踏み込みが足りなかったキヤノンが、1D Mark 4 で踏み出した「一歩」、その話のつづき。

 1D Mark 4 の最高ISO感度は、拡張感度(H1?H3)とはいえISO102400相当まで選べる。むろん、1D Mark 4 の発表の数ヶ月前に、ニコンがD3SでISO102400相当の超高感度を達成していることは皆さんもよく知っていることだと思う。それはさておき、ぼくが言いたいことはですぞ、ご期待の「キヤノン対ニコン」の話なんぞではなく、1D Mark 4 のISO102400相当の超高感度の「画像(画質)」のことなのだ。

 もったいぶらずに急いで言うと ―― 急ぐと誤解されるんだよなあ ―― その、1D Mark 4 の、ISO102400相当の感度で写した画質の「ヒドさ」に驚いたわけだ。ほら、もう、このひと言で誤解している人がいる…そうじゃなくて、ぼくは、キヤノンがよくもこのような画質を思い切って「出した」よなあと、そこに感心したし、評価したいのだ。キヤノンは変わったなあ、良い方向に向かおうとしていると実に印象的だった。


 その画質は大変にノイジーでコントラストもないし、なんとかこうにか“写っている”というのが見た正直な感想であります。ニコン・D3SのISO102400相当の画質(こちらなら我慢できるし、少し納得すれば実用にもなる)とはだいぶ差がある。いままでのキヤノンなら、こんな画像なら決してカメラに搭載なんかせずに済ませていたに違いない。クサいものにはフタをする、メーカー目線、だ。
 ノイジーだ、絵になっていない。ただ、それだけのことで1D Mark 4 にかぎらず、カメラの評価に悪い断を下してしまう直情径行者が大勢いることはキヤノンは百も承知。でも、そこを敢えてキヤノンは「一歩を踏み出し」て、そのISO102400相当のヒドい画像でも「撮れる」ようにしてくれた。これこそが、ユーザー目線。

 キヤノンのある開発担当者は、「ノイジーな画像であることはわかっています。しかし、使えるか、使えないか、を判断するのはお客様です、われわれが勝手に判断してカメラに搭載しないのはよくない、そう思いました」と話をしてくれた。いやあ、ほんとよく決断した、と思いますよ。ぼくは、いま1D Mark 4 のISO102400相当の画質をボロカスに言ったけれど、キヤノンが判断した「選択はユーザーに任せる」その姿勢を高く評価したいと思う。

 というわけで、最近のカメラの中では、ニコン・D3Sとともに、使ってみて深く感動したEOS-1D Mark 4 のハナシをひとまず終了です。

オートISOの感度上限設定

キヤノン・EOS-1D Mark 4 + EF 14mmF2.8L II
 キヤノンにはいままで「もう一歩、踏み出さない(踏み込んでくれない)」ことが2つ、3つあって、それが少々、不満でありました。ところがEOS-1D Mark 4 で、その中のいくつかに「踏み込んで」くれて、おおっ、キヤノンもやるときはやるんじゃないか、と(エラそう言い方ですが)感心した。
 その1つが、1D系で初めて「ISOオート」の機能を搭載したこと。ただし、小さな問題点もある。

 そもそも、キヤノンには高感度画質に対する「強い自信」のようなものがずっとあって(推測です)、オレたちの高感度の画質は他社に比べりゃあ、ずっとノイズが少ない、だから、ノイズリダクションなんて必要ない気にしないでどしどし高感度で撮ってください、と言っているようなところがなくもなかった ―― 最近では、ようやくノイズリダクション処理の機能を搭載するようになったけど、だいぶ前の機種ではそんなもんなかったんだぞ。


 「ウチの高感度画質は低ノイズだ」との自信が、キャノンのISOオート機能にも見え隠れしている。そのせいだろうなあ、ISOオートのモードで感度アップの「上限」が決められない仕様にしていて、無闇矢鱈に最高ISO感度までいってしまうこともある。これにはほとほと困った ―― EOS 7Dがそうで、キャノンにはぶつぶつと文句も言った。

 で、1D Mark 4 では、ISOオートの感度上限の設定ができるようにしてくれた(言うまでもないけど、ぼくが文句を言ったからキヤノンが対応した、なんてことはあり得ないですよ)。
 ところが、これは素晴らしいぞ、と喜んだのもつかの間、実際に使ってみたら、自分で設定した「上限感度」までは相変わらず無闇矢鱈に感度がアップしてしまう。他のメーカーのISOオートの考え方は、あくまで基準ISO感度キープの思想がある。たとえば、指定したシャッタースピード以下になるような状況で、ようやくISO感度がアップしていく。それまでは基準ISO感度を守る。

 ところが1D Mark 4 では、たとえばISOオートの上限感度をISO3200にして、シャッタースピードの下限スピードを1/60秒に設定しておいても、なんと、1/125秒や1/100秒でもISO3200にいっちゃうことがある。おいおい、そりゃあ違うじゃないか、とぼくは思うわけだが、さて、皆さんはこれどう考えますか。

オートホワイトバランス

キヤノン・EOS-1D Mark 4 + EF 24?105mmF4 L IS
 オートホワイトバランス(AWB)の、その本来の目的は撮影時の光源にかかわらず自動的に補正をして「白いものを白く写す」ことだ。しかし最近では、そのもともとの“目的”から少しズレてきて、ホワイトバランスの補正を強くせずに、その場の光の色の雰囲気を残すような補正をするようになってきた。
 たとえば色温度の低いタングステン光(電灯光)はオレンジ色っぽい発色をする。ムカシのデジタルカメラのAWBはこうしたタングステン光のオレンジ色を丁寧に補正していたが、しかし撮影場面の雰囲気を表現するために、敢えてホワイトバランス補正をせずにオレンジ色を残すようなAWBのカメラが多くなった ―― なおいまでも徹底して補正する傾向の強いカメラも一部にはあるけれど。

 ところが、世の中一筋縄ではいかないのはAWBも同じことで、アベイラブル・ライトの「色」を残しすぎると「きちんと補正できてないじゃないか」とブーイングが起こり、逆に、色を補正しすぎると「雰囲気のない白々しい色調だ」と文句がでる。
 いまどこのカメラメーカーもそうだが、ホワイトバランス担当の開発者は、いったいどうすればいいのか、とアタマを抱えているといのが現状だ。


 AWBの補正については、とくに海外のプロのスポーツカメラマンなどから強い要望が出ている。人工光源を使った夜間や室内の競技を撮影するときに、プリセット・ホワイトバランスでは補正することが難しく、いきおいAWBに頼ってしまう。しかし、ホワイトバランスの自動補正のレベルが弱ければ思ったような色調に仕上がってくれない。クライアントからクレームがつく。仕事にならない…。

 このようなプロカメラマンの声を早くからキャッチして、文句がでないように対応しているのがニコン。ニコンのAWBは、強く補正をする傾向がある。それに対して、キヤノンはずーっと一貫して雰囲気重視で、アベイラブルな光の色を残すようにしてきた。とくにタングステン光源でその傾向が強かった。
 それが一転、キヤノンはEOS 7Dで大きくAWBの補正傾向が変更され、少しだけだけど補正を強くするようになり、同じくEOS-1D Mark 4 にもそれが受け継がれている。じつに思い切ったことをしたと思う。
 EOS 7D以前の機種と、最新の機種を同じAWBで撮り比べてみると、ぜーんぜん違う発色をすることがわかるはずだ。

変更されたピクチャースタイルとされなかったもの

キヤノン・EOS-1D Mark 4 + EF 24?105mmF4 L IS
 「ピクチャースタイルの変更は、われわれもずいぶんと悩みました…でも、いつかは思い切ってやらなければならないと思い続けていたことだったのです」と、キヤノンのある開発者は正直に答えてくれた。

 「変更したのはシャープネスだけです、それ以外のコントラストも色調も従来のままです」と。ピクチャースタイルの中でシャープネス変更をおこなったのは「スタンダード」、「風景」、「ポートレート」、「モノクロ」の4つのスタイルだけで、「ニュートラル」、「忠実設定」の2つのスタイルだけは変更を加えずに従来のままにしてある。この2つは“素材重視”と“レタッチ”を優先する従来のスタイルを継続しているというわけだ。


 なお、変更された1D Mark 4 と、それ以前の1D Mark 3 を同時に使用するときに、もし同じシャープネスの調子で仕上げたい場合は、新型のシャープネスを下げるか旧型のシャープネスを上げるようにパラメーターを設定すれば、「厳密には同じにはならないですが、ほぼ同等になります」とのこと。
 ちなみに「1D Mark 4 のシャープネス3 は、1D Mark 3 ではほぼシャープネス5?6」に、「1D Mark 3 のシャープネス3は、1D Mark 4 のほぼシャープネス1?2」ぐらいに相当するという。

 1D Mark 4 以降の機種については、キヤノンは今後は同じようにピクチャースタイルのシャープネスを変更していくようだ。実際、先日発表になったばかりのKiss X4も、1D Mark 4 と同じようなシャープネス強めのピクチャースタイルに変更されている。

後処理いらずの画像にするために

キヤノン・EOS-1D Mark 4 + EF 24?105mmF4 L IS
 キヤノンが“不変”のピクチャースタイルを1D Mark 4 で変更したのにはもう1つ理由があった。
 ピクチャースタイルをデジタル一眼レフに導入し始めた1000万画素の5Dのあたりの時代は、撮影した画像をレタッチ処理して仕上げるというスタイルがごく一般的だった(とくにプロの場合)。そのため「素材重視」を優先さるためにシャープネスを強くしすぎないようにしていた。
  ―― 話が少し脇にそれるが、そもそも画像のレタッチ処理をおこなうとき、シャープネスは他のレタッチ処理を終えてから、いちばん最後におこなうという“鉄則”がある。逆に言うと、シャープネス処理をおこなった画像に他のレタッチ処理をしてしまうとシャープネスの効果が薄まってしまったり、シャープネスの欠点が強調されてしまうこともある。また、シャープネス処理を強くしすぎるとノイズが目立ってくるなど、画像にとってシャープネスは微妙かつデリケートなものなのだ。


 というわけで、キャノンとしては撮影した画像にユーザー自身が手を加えて仕上げるだろうということを前提にして、当初はピクチャースタイルの絵づくりをしていた。
 ところが最近では、撮影した画像にほとんど手を加えることなく撮った画像を完成画像として扱うカメラマンも多くなってきた。俗に言う(キライな言葉だけど)「撮って出し」を積極的におこなう人が、これまたプロの、とくに報道関係のカメラマンに多くなってきた。そうしたユーザーの声に応えるためにも、撮影しカメラ内で処理された画像の見栄えを良くするためにシャープネスの変更に踏み切ったという。

ピクチャースタイルの「仕上げ」の変更

キヤノン・EOS-1D Mark 4 + タムロン・28?300mmF3.5?6.3 VC
 EOS-1D Mark 4 で、ピクチャースタイルの ―― 一部スタイルだけだけど ―― 画像仕上げの「調子」が変更された。EOS 5Dに初採用されて以来、変更は初めてのこと。
 そもそもピクチャースタイルはキヤノンのデジタル一眼であれば機種が異なっても、同じ色調と調子の画像に仕上げるというのがその根本思想だ。機種ごとに色やコントラスト、シャープネスなど「調子」が異なったのでは、同時に使用することが大変に難しくなる。

 他の一部のメーカーでも同じような画像仕上げモードを備えていて、その基本的な思想はピクチャースタイルと同じはずだが、機種のグレードなどによって微妙に変化させているメーカーもある。でも、キヤノンはずーっと“頑なに”スタイルの調子は不変、守り続けてきた。
 むろん撮像センサーや画像処理エンジンなどが変われば微妙にその調子は違ってくるのは仕方ないが、しかし、あくまでキヤノンはキヤノンのデジタル一眼レフカメラの色調、調子には一貫性を保つ努力をしてきた。そこまでこだわることもないじゃないか、とさえ思うほどだった。


 そうしたピクチャースタイルだったわけだが、1D Mark 4 で「オキテ破り」ともいえる変更をおこなった。ぼくはこれには、ほんと驚いた。

 変更したのはシャープネスだけ。それを強く、太く、した。

 変更した1つの理由は、キャノンいわく「ユーザー、とくにプロのカメラマンからの強い要望」だったそうだ。EOS 5Dから始まったピクチャースタイルは、そのころ画素数1000万画素カメラの時代だった。ところが、いまや2000万画素オーバーの時代。1000万画素時代のシャープネスの“強さ”のままで2000万画素の画像に適応させると「効きの悪い印象」になるという。画像の切れ味、解像感などに「もの足りなさを感じる」というのだ。
 そこで、「1D Mark 4 で思い切ってシャープネスのエッジを少し太めに、そして強めにすることにした」と。
 そして、もう1つ、ピクチャースタイルの調子を変更した理由があった…それは明日に。

プロジェクト活動の成果

キヤノン・EOS-1D Mark 4 + EF 70?200mmF4 L IS
 1D Mark 4 開発にあたって新しくプロジェクト活動をしたという話をした。その詳細なテーマについては不明だが、具体的な活動の1つとしては「開発者自身がユーザーの声をダイレクトに聞く」ということだったそうだ。この話をキヤノンの人から聞いたときには、「えっ、いまさら、そんなことを…」と思わずぼくは言ってしまったほどだった。

 むろん、ユーザー調査、というか聞き取り調査はキヤノンとしては以前からやっていたのだが、それは日本を含めて各国の現地販売会社が中心になっておこなっていた。そこで集計し、まとめた意見が下丸子にあるキヤノンのカメラ開発のメンバーに伝えられていた、というのだ。「それだと、どうしてもフィルターがかかってしまったりして、ナマの声が聞けませんし…」とキヤノン。当たり前じゃないですか、あははは、とぼく。

 ここで誤解されると困るのだが、キヤノン(のカメラ開発担当者)がいままでユーザー調査をしっかりとやってこなかったというのではない ―― あれだけの大きな会社で、かつ長いあいだ素晴らしいカメラを作り続けてきたメーカーが、ユーザーの声をきちんと聞かなかったなんてあり得ないことで、つまり「手法」を変えたということだ。ややもすると「独善的」と受け取られやすいキヤノンだが、けっしてそうではない、ということも併せて弁護しておきたい。


 1D Mark 4 の開発メンバーが入れ替わり立ち替わり各地に出かけていって ―― 海外出張が制限される中でいろいろ苦労もあったようだが ―― 世界のプロカメラマンや新聞や雑誌のスタッフカメラマンにダイレクトに会って、詳細な聞き取り調査をしたという。「実際にユーザの不満点や要望を聞くことで開発には大変に役立ちました」という。

 そうして生まれた第一弾が1D Mark 4 であったわけだが、そのプロジェクトの成果が100%反映されたかといえば、そんなわけない。カメラ作りというのはそう簡単なことではない。でも、この「第一歩」が大切なのではなかろうか。
 1D Mark 4 は1D Mark 3 から改良された点はいくつもあるのだが、なによりも「ユーザビリティーの向上」という点についてぼくはもっとも感心させられた。1D Mark 3 は、当時としてはとても素晴らしいデキのカメラであったものの、いまから考えると少し“トンがった”ところがなくもなかった。使いこなしに、それなりの技量が要求されるようなカメラだったようにも思う。

 1D Mark 4 はとっても扱いやすいカメラになっている。最高10コマ/秒の高速連写できて、いかにもプロスポーツカメラマン御用達、報道カメラマン専用といったハードな印象はあるが、しかし、もっともっと一般のユーザーが使いこなしてもいいぐらいに「柔らかくおだやか」なカメラに仕上がっているようにも思う。

キヤノンの「変化」

キヤノン・EOS-1D Mark 4 + EF 70?200mmF4 L IS
 EOS-1D Mark 3の発売から、約2年。昨年の末に、1D Mark 3の後継機種として発売されたのが「EOS-1D Mark 4」である。画素数やAF機能、高感度、動画対応、液晶モニターなど「進化した点」は数々あるが、意外と気づかれてない「大きな変化」がいくつかある。
 そのへんの話をぼちぼちとしていこうと考えてはおるんだけど、いささか内容がややこしいところもあり ―― 内緒、オフレコだという意味ではない ―― 皆さんに、どこまで誤解を与えずに説明し解説できるか、いささかこころもとない(途中、飽きずに続けられるか、それもこころもとないけど…)。

 というわけで、話を進める前に1D Mark 3から1D Mark 4までのこの「たった2年間」に、デジタルイメージングの世界が飛躍的に進歩し変化したということを、まず共通認識として持っておいていただきたい。それは、ニコンのD3とD3Sを見てもわかることで、1D Mark 3も1D Mark 4もボディ外観や基本の機構などには大きな変化はないが、しかしカメラの中身が、つまり、デジタルカメラとしての内容やコンセプトが大幅に変化し、そして進化したということだ。


 1D Mark 4 で注目しておきたい「変化」は4つほどある。

 1つは、キヤノンのカメラ作りの変化だ。1D Mark 4を開発するにあたって、従来のカメラ作りの企画や手法を見直した。時代に即したプロのためのカメラを作っていこうと「新しいプロジェクト」が立ち上げられて、その成果が1D Mark 4となった。同じように、EOS 7Dの開発段階でもその方法が採用され、7Dは7Dのためのプロジェクトが独自に進められた。詳細はのちほど。

 2つめから4つめまでは、少し細かなこと(やや、おたくっぽい内容)。
 1、EOS-1Dシリーズとしては“初”となるオートISO感度機能の搭載。オートISO感度の機能としては現在のところ、他社も含めて1D Mark 4がいちばん優れている(使いやすさ、ではなく、機能だ)。
 2、ピクチャースタイルの仕上がりの“大幅”な変更。そもそもピクチャースタイルの仕上がりを変えるなんてことは、その本来の思想からすれば「オキテ破り」もはなはだしいことで、これにはほんと驚かされた。
 3、オートホワイトバランス(AWB)の補正アルゴリズムを「微妙に、かつ、大胆に」変更したこと。このAWBのアルゴリズム変更は、すでに(こっそりと)EOS 7Dからおこなわれていて、その流れを1D Mark 4も受け継いでいる。

特許のこと、もろもろ

ペンタックス・K-7+D FA MACRO 100mmF2.8 WR
 円形絞りの機構は、もともとミノルタがはじめたもの。複数枚の絞り羽根の1枚1枚を独特のカタチにすることで、絞り込んでもボケの形状が多角形にならず円形に近くなるようにしたものだ。もちろんミノルタはすぐに特許を取得した(たぶん、円形絞り、のネーミングも一緒に)。しかしその特許がつい最近、切れた。そこでようやくペンタックスも円形絞り機構をレンズに搭載できるようになった(たぶん)。

 他のメーカーも同じように、特許に抵触しないような円形絞り機構を狙ったのだが、なかなか難しかったようですね ―― その後、ミノルタ、コニカミノルタ、ソニー以外にも、円形絞りを採用したところもあったようだけど、それはいわゆる「特許バーター」したんだろうと思う。
 それはともかく、この「特許のハナシ」というのはじつにデリケートでビミョウーなんです。メーカーの開発者の人たちと愉しく話をしていても、ぼくがひと言、「トッキョ?」と発言しただけで一瞬、皆さん“貝”になりシラける。
 「トッキョ」はアンタッチャブルな話題の1つなんですよ。


 ソコを承知の上で、もう1つ。
 同じように最近、特許の切れた“有名なモノ”がある。 多くのメーカーがずっと狙っていた、というか、特許が切れるのを“虎視眈々”と待っていたものが ―― 中ツマミ開閉式(これはぼくの造語)のレンズキャップである。ムカシからのレンズキャップの外周をツマんで取り付け取り外しする方式ではなく、レンズキャップの内側にツマミ部がある。この方式だとレンズフードをしたままでも取り付け取り外しができる。

 タムロンが特許を持っていたが、1、2年前に切れた。だからですよ、タムロン以外のメーカーから中ツマミ開閉式のレンズキャップが続々と出てきたのは(いや、もっと前からそんなキャップはタムロン以外もあったじゃないか、とおっしゃる人もいるかもしれませんが、そこはほら、タムロンは非公開で他社のレンズも作ってますからして、うーんこれ以上は……であります)。
 ペンタックスも少し前からこの方式を採用し始めている。でも中には、特許継続中はもちろん切れたあとも、頑なに従来のレンズキャップのスタイルを“貫き通して”いるのがキヤノン。ここが、そうなんですよ、キヤノンのキヤノンたるゆえんでありますよ。

twitter…?

ペンタックス・K-7+D FA MACRO 100mmF2.8 WR

 今日はコメントなし。絞り値はF4.5。


 たまにはこーゆーこともありかも?

新100mmレンズはフルサイズ判対応

ペンタックス・K-7+D FA MACRO 100mmF2.8 WR
 この100mmマクロレンズは「D FA」であるから、フルサイズ判をカバーするレンズだ。つまりAPS-C判デジタル一眼専用の「DA」レンズではない。そして現在、ペンタックスにはフルサイズ判のデジタル一眼は存在しない。にもかかわらず、新型レンズがフルサイズ判対応であることの不思議。
 このため一部の早合点の人たちのあいだで「ペンタックスはフルサイズ判デジタル一眼をやるみたいだぞ」との噂が広まっているらしい、とこれも最近、ペンタックスの人から聞いた。

 断定はできないけれど ―― デジタルイメージングの世界はゼッタイに「断定」したり「否定」したり「不可能だ」と言ってはならない、荒唐無稽、成就不可と思っていたようなことが将来、モノになりカタチになりうる、そんな事例が多々あったのがこの世界なのだ ―― だからといって、ペンタックスが近々にフルサイズ判デジタル一眼をやることはないだろう。その根拠はいーっぱいあるが説明がめんどうくさいので以下省略。


 フルサイズ判をカバーするだけの大きなイメージサークルを備えたレンズをAPS-Cサイズデジタル一眼に使用するということは、中心付近の「おいしい部分」だけを使うことになる。贅沢といえば贅沢だし、無駄だといえば確かに無駄でもある。

 ぼくは旧型D FA100mmマクロを愛用していたので、さっそく新型D FA100mmマクロと撮り比べをしてみた。
 結論を言えば ―― 当たり前だといえば当たり前のことなんだけど ―― 新型のほうがだいぶ良かった。「だいぶ」を「相当に」と言い換えてもいいぐらい写りは良かった。
 光学系がまったく同じなのに良く感じたその原因を考えてみたら、そうなんですよ、円形絞りのせいなのだ。ボケ味がじつにナチュラルで柔らかい。それに比べ旧型は、なんだかザワザワした印象があって、ボケ部分の描写は、ちょうど安物の赤葡萄酒を飲んだときに舌にざらっとした渋みが残るようなそんな感じ。新型レンズのほうはその渋みがなく、まろやかな舌触りと香りがあるようなんですよね(だからぼくは「Limited レンズ」にすべきだったのにと言ったんだよ)。

アルミ削りだし100mmマクロ

ペンタックス・K-7+D FA MACRO 100mmF2.8 WR
 約一ヶ月ほど前の12月下旬に発売されたのがこの100mmマクロレンズ。以前からあった「D FA MACRO 100mmF2.8」の後継モデルというか改良モデルというか。しかし、レンズ構成は同じ8群9枚でそっくりそのままの光学系でスペックを見る限りほとんど変化はなし、のようだが、だいぶ違っている。
 ではどこが「変更」され「改良」されたのか。以下、順不同。

 1つめはボディ鏡筒がプラスチックからアルミ材の削りだしにしてデザインも一新したこと。2つめはピントリングの動作機構を変更してフォーカシング時の感触を良くしたこと。3つめは絞り羽根の構造を変更して円形絞りにしたこと。
 そして4つめは絞りリングをなくしてしまったこと。5つめはクランプ(CLAMP)スイッチもなくしてしまったこと。6つめは簡易的な防滴構造を採用して、レンズ表面に撥水効果の高いSPコーティングを施したこと、などなど。プラスのことなどマイナスのことなど、いろいろ。


 「この写真」を見れば一目瞭然だろうけど、新型は少し細身になってスマートになった。旧型は幅広のゴムのピントリングでややぼってりしている。新型のピントリング幅は細く狭くなって金属ムキだしでレンズ先端部に移動した。このことについては少し気になったが、だいぶ使ってみたけれどほとんど違和感をなかった。それよりも、MFでのピント合わせのときの滑らかで、適度なトルク感触があって優れた操作感のほうに感心することしきり。

 宅急便で送られてきた新型100mmマクロレンズを化粧箱から始めて取り出して手に取ったとき、その金属鏡筒がよく冷えていて「うわっ冷たいッ」と声を出すほどだった。旧型に比べて質感がだいぶ違って、そのせいで高級さも感じさせる。
 思い切って「Limited レンズ」にすれば良かったのに、とペンタックスに言ってみたら「Limited レンズには Limited としてのレンズ規格のキマリがありますから」と、なんだかいまいちワケワカンナイ返事をしてくれました。

ペット検出

ペンタックス・Optio I-10
 Optio I-10に新しく搭載された「ペットモード」は犬または猫の顔を「検出」して自動的に撮影をおこなう機能。その撮影の手順としては、まずペットの顔をカメラに「登録」させなければならない。顔の登録である。登録方法は、シーンモードの中からペットモードを選ぶと撮影画面に四角いフレームが出てくるから、犬または猫の正面顔をそのフレームの中に入れる。するとカメラが自動的に顔を「検知」して撮影がおこなわれる。と同時に、いまフレームに写し込んだ犬または猫の顔を「登録」するかどうかを聞いてくる。「登録」を選ぶとこれでひとまず完了。I-10に登録できるペットは3匹まで。

 次に、登録したペットはその顔写真が画面にサムネール画像として表示されるから、写したいペットを選ぶ。これでようやくペットの撮影ができる。あとはカメラをペットに向けただけで自動的にピントを合わせ、自動的にシャッターが切れて、自動的に露出のあった写真が得られる、というわけであります。


 とゆーと、うわぁ良くできたカメラだ、すごいすごいっ、と思うだろうけど、そうはカンタンではないのだ。第一の問題点は、ペットがカメラのほうを向いくれないとシャッターが切れないこと。犬や猫にカメラを向けたことのある人は経験したことがあると思うが、ヤツらはですよ、カメラを向けられるとだいたい顔をそむけるのだ(昔ウチで飼っていた猫もそうだった)。カメラを向けたら笑ってこちらを見たりポーズをとってくれるような猫や犬などは、ほとんどいない。第二の問題点は、検出スピードが遅いこと。だからウロチョロ落ち着かないペットはチャンスを逃してしまうことが多く、犬や猫の足やしっぽしか写ってない、なんてこともあって、あははは、でした。

 とかナンとか言ったけれど、でも、“初対面”の犬や猫をなだめすかして ―― 我が家にはペットがいないので他人のペットを拝借してその顔を「登録」し、さぁてとカメラを向けると、シャッターボタンに手を触れなくても、そのペットの顔にフレームがかぶさると同時に、おもしろいようにつぎつぎとシャッターが切れて写せる。これは、いやあ、なかなか愉しい経験でありました。足しか写ってなくっても、シャッター切れるのが遅くても、それはそれ、ご愛嬌じゃないですか。
 で、そのOptio I-10のペット検出撮影での収穫は、ほらこれ、をご覧なさいよ、自動シャッターとしてはよく撮れてるでしょ(足、はいつまでたってもシャッターが切れないのにガマンできなかったぼくの失敗)。とーっても行儀の良い犬でありました。

 ちなみに、2日ほど前にフジからも同じようにペット顔を検出するFinePix Z700 EXRが発表されたけど、こちらのほうは「登録」の必要がなく検出スピードも早いという。ペットの撮影に困っておられた紳士淑女の皆さんにとっては、期待に胸ふくらませてよろしいかと思います。

「auto 110」か「Optio I-10」か

ペンタックス・Optio I-10
 うーん、なるほどこういう“テ”もあったか…と、そのカメラデザイン(スタイリングかな)に感心した。うまい。ペンタックスの「遊び心」と「癒し」のデザインに座布団を三枚、と。
 いっけん、一眼レフのペンタプリズムを思わせるような「山」を盛り上げてそのなかにストロボを内蔵させている。「ミニチュア一眼レフカメラふう」で、きっと、あわて者はこれを見たとたんレンズ交換もできるんじゃないかと思うだろうが、残念ながらそれはできない。

 カタログ写真などで見ると、そこそこの大きさのカメラのような印象を受けるが、実物は予想外に小さく薄い。また、写真で見る限りでは、カメラ正面側からのスタイルは“スキ”のないデザインで仕上げられているのだが、ボディ背面を見るとちょっと“安っぽい”印象もなくもない。きっと、カメラデザイナーというよりも工業デザイナーの人たちは、このOptio I-10を見て「突っ込みどころいっぱいだぁ」とキツいことをいうだろうけど、別にいいじゃないですか目くじら立ててそんな堅いこと言わなくても。このカメラのもっとも大切なところは ―― たぶん ―― 遊び心と癒し、なんだろうから。


 ペンタックスに直接確かめてないが、Optio I-10は ―― そのネーミングからも想像される通り ―― おそらく小型フィルムカメラ「auto 110」をモデルにしたに違いない。auto 110 はカートリッジ式の110(ワンテン)判フィルムを使用する超小型のレンズ交換式一眼レフカメラであります。約40年ほど前のカメラ。交換レンズはズームも含めて5本ほどあった。そこで事務所内のロッカーの中から auto 110 を探していたら、おおっ、スケルトンモデルが出てきたじゃないか。

 スケルトンモデルは透明なプラスチック外装で仕立て、ボディ内部の精密なメカニズム構造がわかるようにと販促デモ用に作ったもので、たぶん、貰ったもんだろうけどよくおぼえてない、遠いムカシのことだから。むろん透明ボディだから撮影はできない。
 というわけで、さっそく「記念写真」を撮ってみました。スケルトンの auto 110 は初代モデルで標準レンズの24mmF2.8がセットされている。後方のブラックボディのほうは「auto 110 Super」でレンズは18mmF2.8です。こうして見るとよく似た雰囲気ですねえ。

 じつはペンタックスは、この auto 110 をベースにして、ですよ、そのアレですよ、うん、ソレを考えていたこともあったようですね。