D7000の不思議

ニコン・D7000+タムロン・SP70?300mmF4?5.6 Di VC USD
 D7000には「2つ」の不思議がある。1つは、ドライブダイヤルにロック装置があるのに、モードダイヤルにはそれがないこと。D7000はボディの左肩にドライブモードを設定するダイヤルと、その上に撮影モードを選ぶダイヤルを「2段重ね」で配置している。下の段のドライブダイヤルは不用意に回転しないようにロックボタンがある。ところが、上の段の露出モードダイヤルはロック機構がなくフリー回転する。

 メカ的な機構の制約によるものなのか、それともニコンの揺るぎない考え方 ―― モードダイヤルにはロック装置はゼッタイにつけないぞ、ユーザーの不注意によって回転したとしてもそんなことニコンの知ったことか、という考え方 ―― があるのか、そのへんは不明。それがD7000の不思議の1つ。


 もう1つの不思議は、ニコンとしてはD7000で始めて搭載した「オートホワイトバランス・オート2」が、カメラ内RAW現像でも専用のRAW現像ソフトを使っても、選択して処理ができないこと。つまり、従来からのAWBならRAWファイル現像のときに選んで処理することはできるのだけど、AWBのオート2だけはJPEGで撮影しない限りその効果が発揮できない。
 せっかくの素晴らしい機能(オート2)なのに、それが自在に活用できないというのは、いったいどうしたわけなんだろうか。これもまた、ニコンの揺るぎない考えがあってのことだろうか(…ふんっ、そんなもんあるわけないだろうけど)。

 ニコンだけに限らず、どこのメーカーのデジタルカメラでもRAWファイルを現像するときには、ホワイトバランスモードはどれでも自由に選んで(変更して)処理することができる。ぼくの知っている範囲ではそれができないのはD7000が始めてのカメラで唯一のカメラだ。ときどき、ニコンはこうしたワケのわからんことをやる。理詰めでがんがん突き進んでくるようなお堅いイメージがニコンにはあるのだけど、いやいや意外とね、前後の見境なく突進していくところもあって、それがまたおもしろいところなんだけどね、うん。

オリンパスはよく決断したね

オリンパス・XZ-1
 飽きた人もいるでしょうけど、またXZ-1の話ですよ。
 オリンパスが高級コンパクトカメラをやっているらしいよ、との噂は、じつは2年ほど前から漏れ聞いていた。素晴らしい描写力を持ったズームレンズのようだ、ということと、開放F値がとびきり明るい、でも、発売されるどうかは未確定、ひょっとするとダメになるかもしれないね、とかナンとか。

 聞いていたのは、そんな話だった。詳しくは憶えていない。
 開放F値も聞いた(ような)記憶はあるけど、それも含めてこういったデリケートな話ってもんは、しつこくいつまでも憶えていちゃいけない。ぼくは、そう考えている。クチが滑るということはないけど、“秘密”を持ち続けているのは精神衛生上よろしくない。すぐに「忘れるクセ」を自分に課しているので、だから、F1.9だったかF1.8だったか、こうして正式に発表になるまで、いやほんと、すっかり記憶が曖昧だった。


 開発中のカメラやレンズが結局、出なかった…という話は、オリンパスに限ったことではなく他のメーカーでもよくある話で、市場の動向や ―― 売れるかどうかはもちろんだけど世界中のディーラーが興味を持ってくれるかどうかが最重要のカギ ―― その他もろもろを常に検討しながら決まることだ。
 でも、こういっちゃなんだけど、オリンパスはもともと「話がぽっきり折れてしまう」ことが多いメーカーのひとつで、ああ、また今度のカメラもだめかもしれんなあ、と、そんな印象を持っていた。だから、製品化されることにそれほど「期待」はしていなかった(過度の期待は人生では禁物…)。

 と考えていたら、とつぜん製品にしあげて発表までこぎつけた ―― そう、いつものようにオリンパスらしい紆余曲折があったようだけど。これには驚いた。おおっ、やったねっ、と素直にうれしかった。
 というのも、ひとつにはこの高級コンパクトの「生まれてくるまで」のあれこれの“泣けるような話”も、ちょいと聞いていたので(そのへんの話は twitter で少しふれた)、かんばれよ、がんばれよ、と思い続けてきたわけです。ということで、今日はこのへんで。

でも「F1.8」ロゴはひどいよねえ

オリンパス・XZ-1
 XZ-1が使っている撮像センサーは1/1.63型の約1000万画素CCDである。パナソニック製(たぶん)。同じような撮像センサーとしてリコーやキヤノンが使っているソニー製(たぶん)の1/1.7型の約1000万画素CCDがある。どちらも高感度タイプの画質優先型CCD。
 1/1.63型センサーはマイクロフォーサーズやAPS-Cサイズ判に比べればセンサーサイズはかなり小さい。ISO感度を高くすれば、センサーのサイズが小さく(そして高画素に)なるほどノイズが目立つ。

 しかし、標準ISO感度で撮ってみれば、XZ-1の解像描写性能はマイクロフォーサーズやAPS-Cサイズを使う“デジタル一眼”とほぼ互角。総合的な画質についても充分に張り合っていけるだけの写りである。むろんこのことはリコーのGR DIGITAL IIIにも言えることだ。レンズが良ければ、小さな撮像センサーのカメラでもコンパクトデジタルカメラだといってばかにはできない実力が出せるということ。ただ、高ISO感度になるに従って画質差はどんどん開いてくる。これはしょうがない。


 「デジタル一眼+ヘボなズームレンズ」で撮った画像と、XZ-1の画像を比べてみれば(撮影条件にもよるけど)文句なしにXZ-1のほうが良いことも多い。レンズの良さに加え画像処理エンジン ―― エンジンはPENシリーズと同じ「TruePic V」 ―― が、センサーサイズの不利をしっかりとカバーしているかのようにも感じる。
 ただし、ぼくが使ったα版のXZ-1だけど、シャープネスが少し強くて“目にちかちか”と刺さるような描写で、それがちょいと気にはなった。

 XZ-1のボディ外装は前カバーと上カバーにアルミ合金を使用している。ボディカラーはブラックとホワイトがある。ぼくがブラックを借りたのだが、ボディ前面のグリップするあたりがツルツルしていてホールディング性がすこぶる悪い。そこで、そのあたりに滑り止めのラバーを両面テープで貼り付けて使ってみたら、うん、これがぐーんと握りやすく良くなった。
 ついでに、これ見よがしのみっともない「F1.8」のロゴも隠すことができましたよ(見ているだけで気持ちが滅入る)。あ、そういえばその「F1.8 ロゴ」だけど、これはオリンパス社内からの提案ではなく ―― いくらなんでもオリンパスもデザイナーもそこまでノンセンスではないぞ ―― “泣く子と地頭には勝てない”の、例のわけわからない海外のディーラーからの無理難題だったようですね。どこのメーカーでも似たような話はいっぱいあるんだけど。

 ズームレンズの鏡筒周りにはコントロールリングがある。それを操作することで絞りやシャッタースピード、ISO感度などをダイレクトに設定することができる。このアナログふうな操作はとても快適でした。液晶モニターは約61万ドットの有機ELディスプレイ(3.0型、3:2)を採用している。発色は鮮やかでクリアーだった。明るい場所 ―― 快晴続きの強烈太陽のグアムで使っても視認性は良かった。

とにかくレンズがいい

オリンパス・XZ-1
 XZ-1の魅力は、内蔵のズームレンズに尽きる。
 とにかく内蔵のズームレンズが素晴らしい。憎たらしく感じるほどの描写で、むろんレンズ自身の描写力もあるが、それに加えて絵づくりにも少しナニかがあるようで、とにかく描写性能が良い。少なくとも、ぼくが使ったα版(β版以前)の機種はすこぶる良かった。切れ味抜群で、解像感ばりばり。

 ところが、オリンパスのホームページでXZ-1の製品紹介をしているんだけど、先日、それを見て驚いた。そこの「実写サンプル」は、ぼくが借りて使ったα版の“写り”とはだいぶ違う。
 オフィシャルページの写真は画面周辺部で“腰が砕け”て解像感もない。とくに遠景描写だけど、悪いとは言わないが、決して良いとは言えない。画面中心部と周辺部の描写の“落差”が大きすぎる。なんじゃ片ボケじゃないか、と感じたほど。
 どうしてこんなヘナチョコな画像をオフィシャルページで発表したんだろうか。もっと性能の良いレンズで撮ったグランプリ画像を公開すべきじゃないのか、と不思議に感じた。製品版の描写は、たぶん、あんなもんではないと思う。


 その描写の違いの原因はわからぬでもない。たぶん、初期の試作段階の機種にありがちな製品のバラツキのためで、その実写サンプルを撮影するために使ったカメラが運悪く“ハズレ”だったのかもしれない。α版やβ版のカメラではよくあることだ(作り込みを続けていくうちに製品版では直ることが多い)。ただ、それを事前チェックできなかったオリンパスがへなちょこだったんでしょうね。
 というわけで、以下、ぼくの使ってみた印象の話は、借りた素性のいいα版をベースにしますね。

 ズームレンズなのに開放F値が広角側でF1.8、4倍ズームの望遠側でもF2.5といった明るさにも驚かされる。28mm広角側から112mm望遠側にズームしてですよ、開放F値がたった1EV程度しか変化しない。
 開放F値の明るいレンズを持ったコンパクトデジタルカメラでは、単焦点レンズだけど、リコーのGR DIGITAL IIIの28mm相当でF1.9ってのがある。このレンズもまた素晴らしい。開放絞り値F1.9から充分な実力を発揮して、じつに“大人っぽい”腰の据わった描写力のあるレンズで、ぼくは大好き。

 で、ですよ、そのGR-D IIIのF1.9単焦点レンズと、XZ-1のズームの広角側で撮り比べたわけですよ。同じ撮影条件で同じ被写体を28mm相当の画角で。そうしたら、こと解像描写力についてはXZ-1が“圧勝”でした。
 いや、ここで慌てて誤解されちゃ困るんだけど、だからといってGR-D IIIのレンズがだめだという意味ではないですよ。いつも言ってますけど、カメラは描写力だけではない、見栄えだけではない、機能がいっぱいあるからいいというだけではない。「総合力」で判断しなきゃいけません。

手ごわいぞナノブロック

ペンタックス・Optio NB1000
 昨年の夏、猛暑の頃に発表されたとき、おおっこれはおもしろそうじゃないか、と、ぜひ早く試してみたかったのだけど、ようやく手に入ったのが数ヶ月後の11月ごろで、いそいそとカメラの化粧箱を開けて、うっ、と絶句してしまった。ぼくの受け取ったNB1000は「サファリ」バージョンでライオンつき。

 いや、どーして絶句かと言いますと、ぼくはてっきりライオンは組み上げられた完成品が入っているものと思い込んでいたのだが、しかし箱の中にはバラバラになったナノブロックが小さなビニール袋に入って無造作に放り込んであるだけで、おいおいこれを自分で組み立てるのかい、とげんなりしてしまった、というわけ。ほら、NB1000の箱を開けるとですよ、こんなふうになっております。

 発表されてそれを見て、まだ、ぼくの気持ちの熱いうちだったら、ナノブロックを組み立ててみようという気持ちになったかもしれんけど、数ヶ月後じゃあ熱い気持ちも冷めてくる。コンパクトカメラってそーゆーもんですよ、時間が勝負、生鮮食料品みたいなもんですぞ。製品の発表をしたら、バッと素早く市場に出して、ババッといっきに売ることですよ(中には10月上旬には手に入れた人がいたようだけど、なぜかぼくのは遅かった…)。


 だから、NB1000の入った箱をそのまま手もつけずにそっと閉じて、しばらく事務所の棚に飾ってありました。で、お正月になって少し時間がままなるようになったときに、もう一度、箱を開けてみることにした。
 ぼくは子どもの頃、模型の船をこつこつと作っていたこともあったし、長ずるにプラモデルのクルマやバイクにも手を出したこともあるので、ちっちゃな“積み木細工”ぐらい、けっ、と思っていたけど、いやいや、お正月にワインを飲みながらやってみたんだけどこれが相当に手強かった。

 恥を承知で申し上げれば、ぼくは、この小さなライオン一匹を組み上げるのに悪戦苦闘し額に汗しながら「約1時間」かかりました。
 いちおう箱の中にはライオンの組み立て図があるものの、これが不親切、ぶつぶつ…。で、ですよ、一時間かけてライオンを作り上げてNB1000に取り付けようと少しチカラを込めてカメラのブロックの凸に差し込んだら、あっ一瞬でばらばらの、元の木阿弥。あはははっ、だ。しょうがない、もう一度、ナノブロックをぷちぷちしながら、今度は丁寧にそーっとカメラボディに取り付けた完成品が、ほら これ です。むろん、この状態でカメラをグリップしたらばらばらになるので、そーっっとカメラを扱わなくちゃならない。

 できあがったときは嬉しかったけど(それなりに)、いま再度見直してみると、いまいちパッとしませんなあ。別売のナノブロックを買って、また組み上げる勇気もないし……あ、カメラの写り具合ですか、それはごくごくフツーです、可もなく不可もなし。