お知らせ、ふたつ

オリンパス・SZ-30MR
 本日は、お知らせがふたつ。カメラやレンズの話はいったん休憩。

 ひとつは「東北地方太平洋沖地震被災者支援 チャリティー写真展」のお知らせ。約60名ほどの写真家が参加して、写真作品を額装展示して1点15000円で販売。その売り上げを全額、被災者支援として寄付しようというもの。ぼくも参加させてもらっています。
 いま、開催中で、5月7日(土)までです。この写真展の会場は新宿の西口にあるヨドバシフォトギャラリー「INSTANCE」です。

 ぼくが出展した写真は、日本ではちょいと珍しい古いクルマの写真。1つはこの「Messerschmitt KR200」、もう1つは「Renault 8 Gordini 1300」のこの写真です。自分で言うのもナンですが、どちらもぼくはとても気に入っていて好きな写真です。
 クルマ好きな人なら、きっと興味を持ってもらい、ひょっとすると買っていただけるのではないか…、チャリティーのお役に立てるといいなあ…、と願いを込めて選びました。ぜひ、ご協力をお願い。

 (追記)・出展している写真は、A3サイズ(額装付き)が約120枚ほどあるそうです。バラエティーに溢れています。1枚でも多く買っていただけることで被災者の人たちに応援ができます。ぼくの写真はともかくとして、他の写真家のひとたちの中に、おおっいいなあ、と感じる写真があるかもしれません。新宿に来られたら、会場にちょいと立ち寄ってご覧ください。そして、繰り返しますが、ぜひご協力を。


 もうひとつは、ぼくの写真展「A DREAM OF KINGS」の開催期間について。先週から大阪にあるオリンパスのギャラリーオリンパスプラザー大阪で開催しているが、今日、4月29日(金)から5月5日(木)までの連休中はお休み。どうぞご注意を。

 しかし連休が終われば5月6日(金)から11日(水)まで、ふたたび開催します(8日の日曜は休み)。関西方面の方は、機会があればぜひ、おこしください。2枚の組にした写真を「28組」並べて展示している。会場内はこんなふうです(SZ-30MRのパノラマモードで撮影)。

画質の悪のスパイラル

オリンパス・SZ-30MR
 撮像センサーはソニー製の1/2.3型の裏面照射型CMOS。有効画素数は1600万画素である。この“新型”1600万画素の裏面照射CMOSは、現在これを採用しているのはソニーとオリンパスだけだ。他のメーカーの裏面照射型CMOSは“旧型”の1000万画素のほう。同じ裏面照射CMOSでも、「1000万画素よりも1600万画素のほうが良さそうだ」とのもっぱらの評判で、ある人によると「ベンチマークでも1600万画素のほうがだいぶイイ」、と。
 実際、撮ってみてもそう感じた。裏面照射センサーはどうも好きになれなかったのだけど、今度のヤツは、とくに高ISO感度の画質は、これが1/2.3型の1600万画素か、とあらためて見直すほど。

 とはいえ、そこはほら、やはり1/2.3型のちっぽけなサイズに1600万画素もフォトセンサーを詰め込んでいるのだから画質的に無理がないとは言えない。画像処理をよほどウマく(丁寧に)やらないことには「へろへろ画像」になってしまう。レンズの良し悪しも画質に大きく影響してくる。この30MRは、画像処理についてはけっしてウマいとは言い切れないけれど、そこそこの処理はしていると思う(レンズの描写の良さも手伝っているだろうけど)。


 ただ、気になったのは、ノイズリダクション処理が強すぎることだ。ノイズリダクションを強くすれば、たしかにノイズは低減され目立たなくなる。しかし解像感は著しく低下してしまう。これを防ぐためにシャープネス処理(エッジ強調)を強めている。だから30MRの低感度でも、その画質がシーンによってはとても不自然に見えることがある。
 これをぼくは“画質、悪のスパイラル”とよんでいる。30MRの画像もまた、このスパイラルに入っているような、そんな気がしないでもない。この“悪”の根源を絶つには、まず、ノイズリダクションをほどほどにすることだ(と、シロートのぼくは)考えるのだけど、さて、専門家の皆さんどんなもんなんでしょうね。

 いや、しかしですね、このテのコンパクトカメラで目くじら立てて、画質をどうのこうのとは言いたくはないですね。
 本気になって画質うんぬんを言うのであればAPS-Cサイズクラス以上の撮像センサーを使ったカメラだよね。「分相応」という言い方が適当かどうか、それはさておき、いわゆる一眼カメラとこのようなコンパクトカメラとを“同列”に並べて画質がどうこう言うのはむちゃくちゃですよ ―― 実際、むちゃくちゃな人が多い。コンパクトカメラにはコンパクトカメラなりの“立ち位置”ってもんがあります。そのへんを見てカメラを選び、使いこなしていかなくちゃねえ。

 30MRの撮影機能(これまた、すごいぞ)については次回につづく、てことにしましょう。

内蔵24倍ズームで言い忘れていたこと

オリンパス・SZ-30MR
 これがSZ-30MRで、上の写真がスイッチOFFの収納時、下の写真はズームONで600mm相当の姿。
 “ミニ・モンスター”ともいえるSZ-30MRは、内蔵のズームレンズがびっくり仰天であるだけでなく、備わっている撮影機能にも大注目したいのだけど、もう一度、内蔵ズームレンズについて少し解説を加えておきたい。

 この25~600mm相当の画角をカバーする超小型ズームレンズは、最短撮影距離がマクロモードに切り替えることなく無限遠からシームレスに40センチの至近まで自由自在にAFでピントが合わせられる。このことはすでに話をした。
 最近の一眼用の交換レンズでも、一般的にこうした高倍率ズームレンズの場合、ピントを合わせるために前後移動させるレンズ(レンズ群)は、レンズの後ろまたは中間部分の軽くて小さなレンズ(群)であることが多い(ムカシのレンズはレンズ前のほうを動かす前群繰り出し方式)。この方式を内焦方式とかインナーフォーカス(リアフォーカス)などともよばれている。

 内焦式のメリットは、ピントを近距離、遠距離に合わせてもレンズ全長が変化しないこと。さらに前後させるレンズが小さいのでAF駆動に便利、などの利点がある。しかし逆に欠点もある。近距離にピントを合わせると像面湾曲の収差が目立ちやすくなる。もう1つの欠点は近距離になるほど「実質的」な焦点距離が短くなる。無限遠では200mmの焦点距離(画角)であっても、至近撮影距離になると150mm以下の画角になるレンズも少なくない(このことについては黙って知らんぷりしているメーカーも多い)。


 さて、30MRの高倍率ズームもインナーフォーカス方式。だから、600mm相当の望遠側で40センチの至近撮影では実質的な焦点距離は“相当に短く”なるのではないか、と思っていたのだが、しかし実際に撮影してみたら、意外や意外、ほどんど焦点距離は短くなっていない。つまり、内焦式ピント合わせにもかかわらず40センチの至近でも、無限遠と同じく600mm相当(それ以上?)の焦点距離を保っている。実質的焦点距離が短くならない“珍しい”内焦式高倍率ズームレンズなのだ。
 このへんのレンズ設計のテクニックについては、おたくっぽい話になりすぎるので省略するけれど、専門家ならそのレンズ構成図面を見ただけで一目瞭然だと思う(たぶん)。

 「このレンズ設計なら、収差を目立たせずにもっと至近距離を短くすることも可能なのですが、レンズが少し大きくなってしまうので今回は40センチにとどめました」と、オリンパスの設計の関係者は豪語しておりました。
 また、描写性能が良いことについては、通常ならプラスチックレンズを使ってコストダウンをするところを、「色収差を徹底的に排除するために高価なカラスレンズを使いました」とのこと。いまや、コンパクトカメラは低コストに仕上げることが至上命令。そこを敢えて性能重視で、「思い切って贅沢な設計」をしたも言っておりました。すごいじゃないですか、オリンパス。

 ところでオリンパスのカメラの手ブレ補正は一眼もコンパクトも、撮像センサーをシフトさせる方式。だからレンズ内に手ブレ補正機構を組み込む必要がない。レンズを小型に、そして比較的自由に設計できたのは、そうした理由もあったのかもしれない。

びっくり仰天のコンパクトデジタルカメラ

オリンパス・SZ-30MR
 SZ-30MRは、いやはや“びっくり仰天”のコンパクトカメラであります。とうとうデジタルカメラもここまで来たか、との感慨が深い。
 デジタルカメラもレンズも将来はもっともっと変貌と進化をとげていくだろうけど、でも、すごいカメラとレンズです。ま、とにもかくにも、もし機会があればぜひ、手にとって「試して」みることをおすすめします、いや、ほんと。
 ぼくが不満に感じたのはカメラの外観デザインだけ。いささか「プチ恐竜」のようなキッチュな印象を受けなくもない。でも、その中身(撮影機能とレンズ)がハンパじゃあないから、ま、いいか。

 まず、すごいのは内蔵のズームレンズである。
 その内蔵のズームレンズは、25~600mm相当の24倍である。なのに、めちゃくちゃ小型薄型。収納時は4センチにも満たない薄さになる。24倍ぐらいのズーム倍率のレンズはなくもないけれど、しかし30MRのボディは、いわゆるコンパクトタイプだ。ネオ一眼などと呼ばれるぼってりと大きな“コンパクトカメラ”ではない。正真正銘のコンパクトカメラ。ワイシャツの胸ポケットに入るくらい薄い小さい、そして軽い。
 そのちっちゃなカメラボディに25~600mm相当の24倍ズームレンズが“こじんまり”と収まっている。


 さらに、この内蔵ズームレンズは、ただズーム倍率が24倍あるってだけでなく、25~600mmのズーム全域で、マクロモードに切り替えることなく最短40センチまでAFでピントを合わせて撮影ができる。つまり、600mm相当の超望遠にしたままで、40センチの至近距離にある被写体にピントが合って、ド・クローズアップ撮影ができるのですよ。
 すべての焦点距離域で、無限遠から至近距離まで、制約なく自由自在にピントを合わせて撮れるってことは、撮影をしていてストレスをほとんど感じさせない。肉眼で「見る」のとまったく同じ感覚で写真が撮れる。すこぶる気分爽快。

 そうして、さらに、この超高倍率ズームレンズの描写性能が ―― とくに解像力、レンズの ―― が素晴らしい。むろん、撮像センサーが1/2.3型とちっちゃなものなので、画質的には多々、アラも目立つけど ―― ノイズリダクション処理を控えればイイんだと思うが、たぶん、オリンパスはノイズをとことん嫌ったんだろうね、やや強引 ―― しかしレンズそのものの実力(描写性能)は、ズーム倍率のことを考えれば飛び抜けて素晴らしい。
 こうしたコンパクトカメラ用の、それも1/2.3型程度の小さな撮像センサー用のレンズの性能を一定レベル以上に確保しようとするには、レンズ設計者だけでなく、鏡枠設計、製造現場も、それはそれは並大抵の努力ですむことではない。一眼の交換レンズとは、ぜんぜん別次元での難しさがある。

 うーむ、このあたりのレンズの話をしだすと、とめどなくなるので本日はここまで。いや、この30MRはレンズだけでなく、撮影機能もこれまたすごいのだよ。それは後日に。

素晴らしい描写力のレンズ

ニコン・D700+トキナー・AT-X 16~28mmF2.8 Pro FX
 どうしてテレ側を35mmではなく28mmに止めたの? という疑問に対して、トキナーが言うには、「一般のユーザーにも使いやすいように通常広角域の28mmを採用いたし、24mmだとユーザーから見て使いづらいと判断しました」と、ちょいとワケのわからん回答が戻ってきた。で、もう少しくどく質問すると、「フルサイズ判で周辺画質、光量、歪曲をプロの方に納得してもらうには、28mmが限界でした」ととても正直な答えをしてくれた。

 前玉がこのクラスの広角ズームレンズにしては、そうとうに飛び出しすぎている点についても、「2000万画素以上で十分な性能を発揮させるためには、このようなレンズ前玉が出っ張るレンズ設計にしないと性能が確保できません」と。
 うん、なるほど、素晴らしい描写性能です。大きく重く、そして欲張らないスペックのレンズならではの写りであります。“信頼できる写りのレンズ”、とでも言えばいいか。そう、ちょうどオリンパスのEシリーズ用のスーパーハイグレードレンズと似たところがあって、良い意味で「過剰品質」という感じがしないでもない。16~28mmというストイック的な画角も、「24mm単焦点レンズに贅沢なおまけがついたレンズ」と考えてみては納得ができるのではないか。


 AFでレンズが駆動するときにその動力(アクチュエーター)にはDCモーターを使っているのだが、レンズ回転角度を検知するセンサーにGMR(巨大磁気抵抗効果)センサーを採用しているのがこのズームレンズのもう1つの特長。一般の多くのレンズの回転検出センサーと違ってGMRセンサーを使用することで位置検出時にタイムラグがきわめて少ないというメリットがあるそうだ。
 ちょいと子供じみた表現をするなら、ピッと動いてクイッと正確に止まる、ピントはバッチリ、ということになりますか、ね。

 ただ、高精度なGMRセンサーを使ったこの16~28mmズームには1つ「痛い代償」があって、それは一部のカメラボディとのAF制御が正確にコントロールできないことだ。とくにニコンのフィルム一眼レフカメラでは、「F6、F100、F80以外の機種ではAF作動ができないのでMFで使用してください」と、カタログなどに注意書きが加えられている。
 つまり、F5やF4などのカメラではGMRセンサーを使った位置検知との相性が悪いようで微妙にピントずれが起こるらしい(ニコンの一部のレンズにもGMRセンサー採用のレンズがあるようだけど、そのGMRとトキナーのGMRとモノが違うようですね)。でも、ま、これは、いまはしょうがない、と諦めることですかねえ。トキナーも「なんとかしよう」とがんばったようだけど、アチラを立てればコチラが立たずの、苦渋の決定だったようです。

トキナーの力作ズーム

ニコン・D700+トキナー・AT-X 16~28mmF2.8 Pro FX
 トキナーの力作レンズである。フルサイズ判一眼用の大口径広角ズームレンズ。16mmからの広角ズームにしては望遠側が28mmまでで、ここがいささか“ひっかかる”ところ。F2.8のコンスタントF値であるとはいえ、16mmから28mmにもかかわらず、前玉は大きく飛び出している。さらに、このテのレンズにしては大きくて重い。
 フルサイズ判レンズで、16~35mmF2.8クラスの、もっと(このレンズよりも)小型軽量のものはたくさんある。なぜ、トキナーは敢えて、この大きさ重さで「16~28mm」の仕様を決めたのだろか。

 答えは簡単。描写性能を最優先したからだ。事実、良く写る。素晴らしいレンズだ。
 そもそもレンズというものはですぞ、「大きい、重い、高いレンズ」に悪いレンズはない、と言い切ってももよいだろう。これは揺るぎない事実。ところが逆に、じゃあ「小さい、軽い、安いレンズ」には良いレンズがないのか、というと、これが困ったことに、そうとは言えないのでありますよ。小さい、軽い、低価格のレンズの中にも(ときどき)素晴らしく良いレンズもある。これこそがレンズ選びのいちばんの難しいところだ。

 それはそれとして ―― このへんのハナシはまた、いずれ ―― つまりね、16~28mmのようにズーム倍率を抑えつつ、大きくて、重くて、やや高いレンズは、使ってみて撮ってみなくても良いレンズであることは、はっきりとわかっている(ぼくの長い経験から)。


 トキナーは、この16~28mmズームを開発するにあたって「ターゲット」としたのは、ニコンの、あの、14~24mmF2.8ズームレンズなのである。
 なにをいっておるのか、16~28mmと14~24mmとは焦点距離がぜんぜん違うではないか、というご意見もありましょうが(ぼくも、もっともなことだと思うけど)、とにかくトキナーは14~24mmF2.8を「目標」に設計を始めたというのだ。だから「既存の16~35mmF2.8ズームとは、はっきりとコンセプトが違います」とのこと。

 話は少し横道にそれるけど、そのニコンの14~24mmF2.8ズームレンズは、これは素晴らしい広角ズームレンズなのだ。はっきり言ってダントツの描写性能。あまたある広角ズームの中の「ベストワン」と言ってもいいだろう。
 ところでこのズームレンズは、なんと、ニコンの若い美人のレンズ設計者が手がけたもの(名前は敢えて秘す)。ニコンでは初めてといえる大型で曲率の高い非球面レンズを採用した大胆なレンズ設計をしている。当初、栃木にあるレンズの制作部門(栃木ニコン)が、「そんなレンズ作れるわけないじゃないか」と、若い美人設計者の要求をけんもほろろに断った。しかし、その美人設計者はガンとしてあきらめず、何度も何度も栃木ニコンに「お願い」に行き、とうとうその情熱に折れて製造側が試作を重ね、その結果、完成したのが14~24mmF2.8レンズなのであります。
 あ、トキナーの16~28mmレンズの話をするつもりが、また脱線してしまいましたね。

「写真展」考

オリンパス・E-PL1s+M.ZUIKO DIGITAL 75~300mmF4.8~6.7
 約一週間の東京での写真展が先日、終了。たくさんの人に観に来ていただいたが、毎日が試行錯誤と実験を繰り返し。自分で言うのもなんだけどちょっとヘンな写真展だった。

 写真展の内容は、ここ1~2年の間の、ごくごく日常的な景色を写したものの中から、関係がありそうで、なさそうな2枚づつを選んでそれをペアにして、つまり「2枚組写真の集合体」として展示した。こんなふうでした。
 写真を一枚づつ単独で見るよりも、2枚ペアにしてそれぞれを見比べてみることで、なにか新しい想像力が広がるのではないかという意図もあった。2枚ペアの組写真には、視覚的にも内容的にもほとんど関係性がないように見えるものや ―― じつはこっそり“隠し絵”のような細工はしているのだけど ―― 逆に、ひと目見ただけで関係性がわかるもの、などなど27組を並べた。

 ぼくは写真を「見る」のがとっても好きなので、表面的に意味不明の写真でも一生懸命、その意味を読み取ろうとがんばるのだけど(それが愉しい)、しかし、そうしたことが苦手な人やめんどうがる人もいる。そんな人には、「謎かけ」のような今回のぼくの写真展を観てもらって、そうとうに苦痛を強いることになったのではないかと思う。


 ということで、毎日、観ている人たちの様子を探りながら、2枚ペアの写真の意味を少しでも汲み取ってもらいやすくする工夫をした。翌日の朝に、写真の組み替えや展示の順番を変えたり、あるいは別に用意していた写真と差し替えをするといった、やや“掟破り”の写真展を続けた。
 それを3日間続けた。とうとう4日目には、それまで写真についてまったく説明なしだったのだが、急遽、一枚づつの写真に簡単なコピーを貼り付けることにした。写っているモノがなになのかわかりずらい写真(じつは、そうしたヘンてこな写真が多かったのだけど)については、ヒントになるようなコトバと撮影した場所の地名を書くなどをした。

 この「写真コピー」を加えることで、写真展に来て観てくれる人たちの様子が大きく変化した。さまざまな意見もいただいた。映像(写真)と文字(ことば)との関係性の反応をリアルタイムに見ることができ、あらためて考えさせてくれたという意味では、ぼくにとっては得るところの大きな写真展でもありました。

 なので、東京の写真展では観に来てくれた人たちが、結果的にですが、ぼくの「実験台」となっていただいたわけで、申し訳ないことをしたなあ、と少し反省をしています。
 しかし、今月の21日からの大阪の写真展(オリンパスプラザ大阪) はそうした「日々変化する写真展」にはしません。東京での最終日のカタチをそのまま観ていただこうと考えております。5月の連休中はお休みで、休み明けから11日までやってますので、興味のある方はぜひ、お越しください。
 今日の Photo は、写真展に使ったワンカットであります。写真に添付したコピーは、「目黒駅ちかくに軟着陸したUFO」。

イチ押し、の理由

キヤノン・IXY 410F
 このIXY 410Fをぼくは「イチ押し」のコンパクトカメラである、と言ったけれど“念押し”しておきたいことがあります。410Fをイチ押ししたのには「前提条件」が2つある。
 こんなことあらためて述べるのはあまりにもあほらしいけど、1つは、イチ押ししているのは「ぼく自身に」ということ。ぼくにとってはこのカメラが相性ぴったり、大好き、使いやすいということだ。言うまでもないけど「あなたに」イチ押ししているのではありませんよ(そんなおせっかいをする気は毛頭ない)。もう1つは「キヤノンのコンパクトカメラの中では」ということ。他のメーカーも選択肢にいれるのなら、この410Fよりも、もっと魅力的で優秀なコンパクトカメラはある。けれど、それはそれ。

 410Fがいいのは小型で薄型で軽くて使いやすいからだ。持って歩いて、ぜんぜん気にならない。これがナンバーワン。カメラは持っていてこそチャンスに写真が撮れる。
 それでいて、24mmの超広角から120mm相当までの5倍ズームレンズを内蔵し、そこそこに写る。描写に不満がないどころか、充分に満足している。このシリーズをずっと使い続けてきたぼくとしては、広角側が35mmから28mmになり、さらに24mmまでになって「うわっ」と喜んだクチだ。で、120mmの望遠撮影もできる、手ブレ補正の機能も備わっている。


 液晶モニターは2.7インチ型の23万ドットだけど、23万ドットでなんの不満があろうか、だ。最近の傾向として、液晶はドット数が多ければ良いんだ、と勘違いをしている人がいるが、そんなことありませんよ、いまの90万ドット液晶なんて(ぼくに言わせれば)ロクなもんしかない。まだまだ、ですよ。それに比べれば、23万ドットや46万ドットの液晶のほうがずっとよろしい。

 ISO800ぐらいまでならフツーに使える。ノイズリダクション機能がないことが不満ではあるが、それはキヤノンのコンパクトカメラすべてがそうだからしょうがない。複数枚の画像合成でノイズを低減させた高感度撮影ができる「手持ち夜景」の撮影モードも備わっている。連写モードの機能、動画撮影機能も充実しているし ―― べつにぼくとしてはフルHDにこだわりはないけど、フルHDでステレオ録音撮影もできる ―― 少し改良の余地はあるけど「ムービーダイジェスト」のおもしろい機能もある。

 これでもかっ、というほど軽量薄型コンパクトなカメラだし、デザインも操作性も良くなったしバッテリーのモチもいいし、そこそこの写りだし、とってもよく練れた安定感のあるカメラに仕上がっている。他のカメラメーカーの開発に関係している人は、ぜひ、この410Fを使ってみて、中身を開けて、よく調べて、学ばなければならないところは多いはずですぞ(おせっかい、だけど)。

 今日、11日も写真展に「出席」しています。どうぞ、気軽にお越し下さい。

現行キヤノンの、イチ押しのコンパクトカメラ

キヤノン・IXY 410F
 写真展「A DREAM OF KINGS」を13日(水)の午後3時まで開催中。オリンパスギャラリー東京。日曜日は休館。
 初日からほぼ毎日、写真の一部入れ替えや並び順を変えたりして、見る人の反応を探っている。日々、変化し増殖する写真展。
 4日めの昨日9日には、さらに“大幅に”変更して、“あるもの”を加えてみた。雰囲気ががらりと変わって、見に来てくれる人の反応をじっと見ていると(こういっちゃ失礼だけど)おもしろい。

 さて、IXY410Fは文字通りの薄型小型軽量の「コンパクト」カメラであります。シリーズ化されていてモデルチェンジを繰り返している。410Fは4代目ぐらいにあたるだろうか。
 410Fの前の機種が昨年2月発売のIXY400Fで、これがシリーズ中でもっとも“だめ”な機種だった。キヤノンのコンパクトカメラの代表的失敗作の1つ、と言ってもいいだろう。その反省をふまえて(たぶん)、心機一転モデルチェンジされたのが410Fというわけだ(たぶん)。

 失敗作400Fは、IXY DIGITAL 220ISのあとに ―― そう、このころはネーミングに「DIGITAL」があった、いまはなくなった ―― そのデザインを受け継いで出てきた。220ISと同じ手ブレ補正内蔵の超小型28~112mmの4倍ズームレンズだったが、撮像センサーの画素数が220ISの1210万画素から400Fでは1400万画素となった。


 220ISから400Fになって大きく変更(改悪)されたことがあった。ボディデザインだった。おもに操作系が変わった。
 ズーミング操作をシャッターボタン周囲にあったズーム「リング」でおこなうのを、400Fではズーム「レバー」に変えてシャッターボタン横に移動させた。まず、これがイケなかった。ズーミングの操作感が著しく損なわれた。

 さらに、この薄型シリーズの、というよりもキヤノンのコンパクトカメラの特長のひとつでもあったのだけど、カメラを縦にしてテーブルに置いたとき「すっく」と気持ちよく立ったのに、400Fでは金輪際、立とうとしない。ばかりか、横位置にカメラを置いてもレンズが出ると、とたんに前に「つんのめる」ように倒れてしまう。
 このカメラをデザインした担当者がというよりも、それを良しとした企画担当者、開発責任者こそザンゲすべきだぞ。済んだことをいまさら言ってもしょうがないか…。

 で、ズーム操作系や縦位置でもテーブルに立つように「元に戻した」のが、そう、この新型410Fであります。4倍ズームが5倍ズームになり、広角側が28mmから24mm相当になるなど、いや、やっぱりこでなくちゃ。ほかにも410Fには良いところがあれこれあるけど、ま、ひと言でいえばいまのキヤノンのコンパクトカメラの中では「イチ押し」の機種ですね。

本日、6日から写真展をオープン

キヤノン・IXY 410F
 今日は、写真展オープンのおしらせ。

 本日の6日(水)から13日(水)まで、オリンパスギャラリー東京で久しぶりの、ぼくの写真展をやってます。10時から18時。ただし10日の日曜日だけは休館、最終日は3時まで。
 オリンパスギャラリーの場所は神田小川町のここです。

 なお、同じく今月、4月21日(木)からは大阪のオリンパスギャラリー大阪でも開催します。


 写真展のタイトルは「A DREAM OF KINGS」と銘うっていますが、タイトルにそれほど深い意味はありません。

 見たことのあるような、ないような、ちょっと風変わりな、でも、なんとなくありふれた風景、というか景色を撮った写真を約50点ほど集めてみました。
 それぞれ関係があるような、ないような、2枚の写真をワンペアにして展示。ま、言ってみれば、2枚組写真の大集合、でしょうか。見比べながら、想像し、なにかを感じてみてください。

 本人は会期中、できるだけ写真展会場(または、そのあたり)にいるつもりです。お越しになって、もし、暇そうにしている本人を見かけたら「やぁ」と声でもかけてやってください。いや、もちろん、写真を見て無言で立ち去ってもらっても結構なんですよ。

 IXY 410F ―― キヤノンのコンパクトの中では、いまイチ押しのカメラですね、これは ―― についての話は、明日か明後日にでも。

「ムービーダイジェスト」の機能には注目しておきたいね

キヤノン・PowerShot SX230 HS
 SX230HSは、28?392mm相当の14倍ズームレンズを内蔵したコンパクトカメラ。最大の特徴はキヤノン初のGPS内蔵カメラなのだが ―― そのGPSについてはいまいちだったけど ―― ちょいと注目したい撮影機能もいくつか持っている。キヤノンは「後出しじゃんけん」することが多いと言ったが、むろん、それはいつもいつものことじゃない。他社に先駆けて優れた機能や新しい機構を搭載することだってある。キヤノンの名誉のために言っておくけど。

 たとえば、今春の新製品機種の一部に搭載されはじめた「ムービーダイジェスト」の撮影機能や、人物だけでなくペットやクルマなど動く被写体にピントを合わせ続ける「主役フォーカス」のAF撮影機能など。
 ムービーダイジェスト機能とは、静止画を撮影すると同時に、つねに“直前の4秒間”の動画(VGAサイズ)の動画を撮影し、その4秒動画を自動的に1つの動画ファイルにつなぎ合わせて保存するものだ。ぼくは、これを、今春のキヤノンのコンパクトカメラの最大の注目機能だと思っている。キヤノンのグッドアイディアだ。これこそ、「静止画と動画のコラボレーション」というか、これからの映像の新しい楽しみ方の1つの提案だとも思う。
 実際にさんざん試してみた。仕様についてはいくつかの課題(改善点)はあるものの、手を加えて改良していけば将来、相当におもしろいものになるだろう。要注目の機能。


 主役フォーカス機能は、以前の機種から採用していたキャッチフォーカスを進化発展させたAF機能である。いわば、AFトラッキングと露出をミックスさせた撮影機能だ。従来は人物(顔認識)だけだったのが、主役フォーカスでは犬や猫など動物も検出し、さらに動くクルマや電車なども検出してピントを合わせ続けるようになった(同時に、露出も)。
 使っていて、少しいらいらすることもなくもないが、しかしオート機能なんて多かれ少なかれそういうことはあるもんだ。それよりも、キャッチフォーカスが以前の機種よりもだいぶ“良く”なったような印象を受けた。これは使えますね。

 メニュー内のAFフレームの選択で「キャッチAF」を選んでおくだけでよい。ピントを自動的に追いかける撮影方法は、シャッターボタン半押ししながらの方法と、半押してなくても追いかける方法のふた通りがあるが、ぼくはシャッターボタン半押し方法のほうがイイ感じだった。AFの“食いつき具合”も、うん、なかなかよろしいでしたよ。
 こうした優れたトラッキングAFの機能がレンズ交換式の一眼カメラにもどしどし搭載されてくるといいのだけど、いや、まだもう少し先の話になるのかな。

キヤノン、どうしたのぉ、これ?

キヤノン・PowerShot SX230 HS
 キヤノンのコンパクトカメラでは、新しい機能やパーツ類を他社に先駆けて率先して“搭載”したり“採用”したりということが、傾向として少ない。他社がそれを採用しているのを横目で見ながら、その出来具合や活用方法をよくチェックして「これならイケる」と判断してから ―― 言い方に少し語弊があるけど ―― ようやくキヤノンのコンパクトカメラで使い始める、そんなことがいままでに多々あった。
 これをぼくは「キヤノンの後出しじゃんけん」と言っている。むろん卑怯だという意味はまったくない、メーカーとしては安全確実の道を選ぶのは当然だ。競うように採用、搭載しなくてもキヤノンのカメラは売れていた。

 このSX230HSに搭載されたGPSも、そう、後出しじゃんけん。キヤノンの実力をもってすればソニーやカシオよりも「先」にGPSを搭載したカメラを出していても決しておかしくはないのに、と思うがそれをやらないしたたかさ。
 ところが、今度のSX230HSのGPSは、後出しじゃんけんで搭載した機能にもかかわらず、ぜーんぜんダメ。うーん、キヤノン、いったいどうしたのぉ、これは、というものでした。いままでならば、後出しじゃんけんでキヤノンが搭載したり採用した機構や機能は、先に出した他社のカメラよりも、やはり一歩進んでいたし安定もしていた。よく“練れて”いた。それなのに…。


 SX230HSのGPSは、ひと言でいえばとにかくトロい。反応が鈍いというかノンビリしているというか、老人力が横溢しているというか、なんというか。
 SX230HSのGPSモードで設定できる機能は2つあって、1つは撮影した写真に位置情報(と、高度情報)を書き込む機能。もう1つはロガー機能でソレは何かと言えば、GPSの情報を“一定間隔(時間と距離)”でLOGファイルに記録するというもの。つまり、移動したルートが地図上にトレースされて表示される機能だ。

 ぼくがいろいろ試してみた限りでは、GPSモードをONにしてから衛星をキャッチするまで「最低でも約5分」かかる。そのときカメラのGPS部を上にして開けた空に向けて置き、動かしてはならない。スイッチONにしたまま、静止させた状態でじっと5分待たなくてはならない。スイッチONにしたまま10?15分ほど「歩き回った」ら、GPSはまったくウンともスンとも反応しない。とにかく衛星をキャッチするまではピクリとも動いちゃダメ。

 衛星をキャッチしたと安心してカメラをOFFにする。GPSモードのまま、しばらく歩く。撮影をしようとスイッチをONにしてワンカット撮る。GPSは無反応。もうワンカット撮る、まだ無反応。おいおい、どうしたんだとカメラを覗き込んでごちょごちょやっていると、ぼーんやりとGPSが衛星をキャッチする、とまあ、こんな具合。
 ロガー機能をONにしたまま一晩するとカメラのバッテリーがすっからかん。設定したときに、バッテリーが消耗するよ、と警告はでるけど、そりゃあないよね。開発者でてこい、だ。