カメラの価格

ニコン・COOLPIX P300

 いま、このP300は発売開始から3ヶ月ぐらい経過している。発売が始まった頃のメーカーの希望小売価格は約4万円。それが今では実販価格は3万円以下になっているところも多い。カメラメーカーとしても、このような価格の下落はある程度は「おりこみ済み」なのだろうけど、それにしても最近、カメラが低価格化しすぎていることと、価格の下落スピードが激しすぎるように思う。

 低価格化の原因については複雑な要因がたくさんあるのだけど、ひとつはっきりと言えることは、けっしてメーカーが仕組んでることではないということ。メーカーは困り果てているというのが現状だ。「なにを言っておるか、安くなればいいじゃないか、ナンか文句があるのか」と反論されるだろうけど、ごもっとも、その通りですね、としかぼくには言えない。

 カメラが安くなったことに文句を言っているわけではない。それによってたくさんの人たちが気軽にカメラを購入し写真を愉しむことができるようになったのだから。
 しかしですよ、カメラは、いま「安すぎ」ます。
 あんな価格でそこそこの性能のカメラを作り、売り、利益を得るってことは、もうそろそろ「努力の限界」に来ているんではないかとさえ感じる。いまメーカーは必死でコストダウンしている。そのコストダウンの「しわ寄せ」の悪い影響が最近のカメラではあちこちに見られる。しわ寄せ、の被害者は誰あろう、わたしたち消費者なのだ。


 「そんな値段じゃあ高すぎるぞ」とか「もっと安くならないと買わないぞ」という人たちが多い。だからメーカーはユーザーに気づかれないようにこっそりとコストダウンをする。その結果、カメラが安っぽくなったり、愛着の湧いてこないカメラになってしまう。
 もう少しコストをかければもっともっと良いカメラができるのに、でも、そうすると価格が高くなる。売れない。利益がでない。いまのカメラの価格が続けば「良いカメラ」が出てくる可能性はだんだんと低くなるでしょうね。

 コストダウンによるわたしたちが受けるわかりやすい「しわ寄せ」のひとつがある。バッテリー充電器が同梱されなくなったことがそうだ。このP300にもバッテリーの充電器はパッケージには入ってない。必要なら別売として購入しなければならない。充電器を省略することでコストダウンしているのだ。
 ではバッテリーの充電はどうするのかといえば、本体充電、つまりP300にバッテリーを装填したまま専用ケーブルを使って、AC電源経由で充電する。だから充電中は予備のバッテリーを何個用意してあろうが、かんじんのカメラ本体そのものが充電器と化しているのだから撮影に使うこともできない。

 カメラの価格については、みなさんにもいろいろとご意見もありましょうが、ぼくは、いまのこの現状はいくらなんでもイカンと思いますよ。いずれその「しっぺ返し」はわたしたちに返ってきます。

とってもツクリの良いカメラだ

ニコン・COOLPIX P300

 このP300は、そうは見えないだろうけど、じつにしっかりとしたツクリのカメラだ。メインスイッチONでズームレンズが出てくる、この時の感触が秀逸。とても滑らかな動きなのだ。たったこれだけのことでも、カメラの全体の精密さ、ツクリの良さを実感させてくれる。
 外観デザインは“大人っぽい”雰囲気があってシンプルでストイックでもある。装飾的なデザイン処理はまったくなく“機能”に徹しております。男性的なデザインとでも言えばいいか。だから女性が持っても似合わないデザインのカメラだ(偏見、かな)。だからもうちょっと愛嬌あってもいいかなあ、と感じる。

 内蔵レンズは24~100mm相当の約4倍ズーム。開放F値がF1.8~F4.5。なんといっても広角側が24mmでF1.8の大口径であることが特長だ。F1.8の明るいF値であることも注目すべきこどだけど、ぼくとしては、それよりも24mm画角であることのほうが興味をひいた。つまり28mmでなくて24mmにしたってことですね。ここにニコンは意地を張って、そうとうの「ムリ」をしたと思う。


 いやあ、よくここまで仕上げたなあと感心するが、しばらく使ってみると、いっぽうでは、うーん、やっぱり苦労したんだろうなあ、と感じるところもあった。その1つは、逆光での描写。フレアーが気になる。フレアーっぽい描写は、とくに広角側で開放絞り値のときの話で、少し絞り込めばフレアーは気にならなくなる(最新型のレンズだ、当たり前か)。
 でも24mmの超広角で、F1.8の大口径で、ズームレンズだもんね。しょうがないよねえ、文句を言うほうがバチあたり、か。

 撮像センサーは1/2.3型の約1200万画素の裏面照射型CMOS。裏面照射型のCMOSセンサーには現在、この約1200万画素のほかに約1600万画素のものがある。いくつかのメーカーにこっそり聞いてみたのだけど、ベンチマークのチェックでは高感度特性に限って言えば1600万画素よりも1200万画素のほうがいい、とのことでした。
 シロートのぼくが言うのもナンだけど、しかし、あくまで「体験上」としてですが、総合的な画質では約1600万画素の裏面照射CMOSのほうが良い感じでありましたね。

目立つぞぉ、このカメラデザインは

ペンタックス・Optio WG-1 GPS

 10メートル防水と1.5メートル耐ショック性能を備えた28mm広角からの5倍ズームレンズを内蔵したコンパクトカメラ。このWG-1には、GPSを内蔵したモデルとそうでないモデルの2つがある。その価格差は五千円ぐらいなので、せっかくこれを買うというのであれば、GPS内蔵タイプのほうがおすすめ。

 とはいえ、WG-1のGPS機能にとくべつのナニかがあるのか、と問われれば…うーん、これっといった特長はない。でも、使い始める前はほとんど「期待」してなかったのだが、使ってみると「少し期待以上」の結果でありました。
 位置情報のデーターが画像に付加されることと、移動ルートを記録するログファイル(KMLファイル)も記録される。これを Google Earth や Google Maps と連携させると地図上にルートなどが表示される。


 いや、ただソレだけのことなんだけど、ルートを記録するロガー機能が(意外と)敏感で正確だったことにちょいと感心した。アンテナがいいのかな。
 GPSをONにして最初に衛星をキャッチするまでに数分かかるが ―― 開けた場所でカメラを静止させた状態でじっと待つこと、持って歩いたりしてはいけない ―― いったんGPSが位置情報をとれれば、カメラのメインスイッチをOFFにして歩き回って、再びスイッチONにしてもGPSは素早く反応してくれる。

 ただしロガー機能をONにして撮影したりカメラを長時間持ち歩いたりすれば、とうぜんながらバッテリーの消耗は“相当に”早い。でありますから、WG-1 GPSを買うときには、同時に予備のバッテリーも1つ買っておくのがいいでしょうね。
 カメラサイズは小さい。頑丈。ぶつけようが水中に落とそうが壊れることはない。マクロ撮影にも強い。そのカメラスタイルも相当にマッチョ。ぼくは、ケースにもナニも入れずに、カバンの中に乱暴に放り込んで持ち歩いていて、いま梅雨時だから便利に使っております

カメラが変化すれば写真も変わる、かも

キヤノン・EOS Kiss X50+シグマ・50mmF1.4 EX DG HSM

 Kiss X50の先幕電子式単幕フォーカルプレーンシャッター(造語)の話のつづき。

 キヤノンはこの新型シャッターについての詳細はおろか、採用していることさえカタログはもちろんプレスレリーズにもいっさい触れていない。黙っている。キヤノンはそっと秘密にしておきたい。でも、聞けば(しぶしぶだけど)教えてくれる。
 ぼくは、こりゃあ画期的なシャッターだと考えるのだけど、でも、そのぼくでさえ、もしキヤノンの立場だったら、たぶん黙ってるだろうなあ。積極的には言わない。

 なんのトクにもならない。けっして良いように受け取られないからだ。一眼レフカメラとしての有り難み、という点で言ってもなにもない。
 ほんらいなら、複雑なメカニズムで2枚の先幕と後幕が高速で正確精緻に走行して露出をコントロールするのに、電気的にちょいッとON/OFFするだけで、幕は、確かに走行してシャッター音はするけど、いわば「蓋」の役目に過ぎない。
 手抜き、安もの、ととられかねない。知らないほうが幸せにKiss X50を使っていられる、こともなくもない。


 この新型シャッターは、似たような機構をすでにキヤノンのカメラで採用している。ライブビュー撮影のときのサイレントモードがそれだ。しかし決定的に違うのは、このX50のフォーカルプレーンシャッターはハジメっから後幕だけの「単幕シャッター」だということ。
 で、将来は後幕もなくしてしまう可能性だって大いにある、それもそう遠い将来でもない、ということを暗示している。

 ただし、現在のところ小さな「不具合」もなくもない。一部のレンズを使って高速シャッターで撮影すると露出ムラが発生することもある、ということ(キヤノンの話)。一部のレンズとは、TS-Eレンズやエクステンションチューブなどなど。露出ムラがおこる原因、理屈については、どうぞ自分で考えてちょうだい ―― 説明がめんどうだ。
 でも、それが解決されるようになるのは(たぶん)時間の問題だと思うなあ。

 こんなふうに「カメラ」はどんどんと変化して(進化、といえるのかどうかはべつ)、いままで不可能だったことが可能になり、それにともなって写真表現も変化していくのかもしれない。古いオーソドックスな写真表現がいっぽうには厳然と存在し、もう片方には新しい写真の時代の新しい写真表現が生まれてくる。それはそれで愉しいではないか。

フォーカルプレーンシャッターってナンだ?

キヤノン・EOS Kiss X50+タムロン・18~270mmF3.5~6.3 Di II PD

 Kiss X50に採用されている前幕なしの後幕だけの“画期的なシャッター”だが、これを「フォーカルプレーンシャッター」とよんでいいのかどうか。
 フォーカルプレーン(プレン)シャッターとは、撮像面の前で2枚の布幕または金属幕が左右あるいは上下に走行して……という「写真用語解説」からすればX50のそれはあてはまらないことになる、のかな。

 そうそう、ところで、ぼくはこの2枚の幕のことを「前幕と後幕」と言ってるけど、“正式な”カメラメカニズム用語としては「前幕」とはいわず「先幕」であります。前幕、は俗称。ちなみに英語では「Front curtain」と「Rear curtain」。
 前幕ではなくて先幕じゃないのか、前幕とはいわん、とのご指摘を受けましたです。すんませんでした。

 で、話をもとに戻しまして、フォーカルプレーンは英語では「Focal-Plane」だ。Focal-Plane とは焦点面のこと。これには2枚の幕がどうのこうのの意味はない。だから、幕が2枚であろうが1枚であろうが、焦点面の前で1枚であろうが3枚であろうが幕が走行すればフォーカルプレーンシャッターということになる、のかな。
 んで、キヤノンはこのX50のシャッターのことをどう言ってるのか、といいますと、カタログのスペック表には、はっきりと「フォーカルプレーンシャッター」と書いてある。間違いじゃないよね。でも不親切…しょうがないけどね。
 もちろんKiss X5も、「フォーカルプレーンシャッター」である。シャッタースピードの連動範囲もストロボ同調スピードもまったく同じ。でも、シャッターの機構は根本的にぜんぜん違う。


 さて、Kiss X50の単幕フォーカルプレーンシャッター(あ、ぼくの造語です)と撮像センサーによる電子シャッターとの組み合わせには、どんなメリットがあるかといえば、もちろん機構がカンタンになることだ。複雑で精密なシャッターの制御メカニズムが必要なくなる。カメラの小型化と低価格化(ここ、ポイント)が最大のメリットだ。

 だからどのカメラメーカーも、ずっと以前から撮像センサーによる電子シャッターの研究を続けている。フィルムカメラの時代でも偏光フィルターを利用してシャッターの代用にならないか研究されていたこともあった。X50の前幕電子化シャッターは(あ、これもぼくの造語)、完全電子シャッターの前段階に過ぎない。近い将来には、フォーカルプレーンシャッターは電子化されて、2枚の幕が走行するようなシャッターなんて、なくなる、かもね。

 ところで、ぼくは考えるんだけど、しょせんシャッターのメカニズムなんてナンでもいいわけであります。シャッタースピードさえ正しく制御できて、壊れないで、きちんと写ってくれれば、なーんでもいい。まずカメラにとってかんじんなことは気軽に「写せる」こと確実に「写る」ことですよ。
 とはいってもですが、カメラは写せる、写るだけ、の機械ではイカンですね。難しいけど、ここが大事、大切。

 このX50のシャッターについて、少し言い忘れたことがあったので、それについては後日。

たぶん「世界初」のフォーカルプレーンシャッター

キヤノン・EOS Kiss X50+タムロン・18~270mmF3.5~6.3 Di II PD
 このKiss X50の話の続きをしようと思いつつも、なんだか多忙でして、すっかり“マ”があいてしまった。というわけで、久しぶりに話を続けますね。

 「タナカさん、X50のシャッターのこと、知ってる?」と、あるカメラ開発者から電話がかかってきた。「いいえ、よう知りまへんけど…。でも、使うててどうもヘンな感じなんですわ」と、ぼく。
 つまりですね、X50のフォーカルプレーンシャッターは「後幕」だけしかなく、「前幕」がないというのだ。超簡易型フォーカルプレーンシャッター。キヤノンはこれについては、公式には黙して語らず。でも、しつこく聞いたら、しぶしぶ教えてくれたけど。

 フォーカルプレーンシャッターというのは(カンタンに言うけど)前幕と後幕の「隙間」を広くしたり狭くしたりして、その隙間が高速で撮像面を走行することで露光時間をコントロールする。低速になるほど隙間が広くなる。すなわち、前幕が走ってしばらくしてから後幕が走って露光が終わる、ということもある。逆に、高速シャッタースピードでは前幕と後幕の隙間(スリット幅)が狭くなり、前幕と後幕がほぼ一緒に撮像面の前を走行する。


 後幕しかなければ、じゃあ、いったいシャッタースピードをどのようにコントロールしてるのか。撮像センサーそのものが受光を電気的にON/OFFする、いわゆる電子シャッターなのだ。撮像センサーにシャッター機能が備わっているなら、後幕なんかイラんじゃないか。そう考えるのも当然。
 でもしかし、詳しいことはわからぬが、「いまは」どうも後幕は必要らしいのだ。

 このへんの、もっとディープな情報が知りたくて twitter で、「X50のシャッターの秘密のこと知ってますか?」とツブやいた。けれど誰もナニも反応がない。知ってても言えないのか、なーんにも知らないのか。いや、ただ一人だけ、韓国のカメラメーカーの知人から、「かくかくしかじかですよ、ウチではすぐに分解して徹底的に調べましたよ」とメールが来た。
 むろん韓国のカメラメーカーだけでなく、国内のメーカーも調べてるに違いなく ―― どのメーカーもそれを採用したがっている、理由はのちほど ―― 事実、ある開発者と話をしていたら、「いやあ、難しいのは後幕で閉じるときのタイミングなんですよ、いったいどうしてるんでしょうね」と不思議がっていた。カンタンなようで難易度は高い。

 撮像センサー自身による電子シャッターを採用した一眼レフカメラは、いままでに数機種あったけど、X50のような超簡易型フォーカルプレーンシャッターを使ったという話は聞いたことがない。もちろん、キヤノンでは「初」の採用だし、おそらく世界でも「初」ではないか。