ソニーのメッセージ

ソニー・NEX-7+LA-EA2+ミノルタ・AF100~300mmF4.5~5.6

 「LA-EA2」は、一眼レフカメラ用のαマウントレンズをNEXシリーズのEマウントレンズとして使用できるマウントアダプターである。マウントアダプター・LA-EA2には半透明ミラー(トランスルーセントミラー)と位相差AFモジュールとAF駆動モーターの3つのメカニズムを組み込んでいる。これにより、旧ミノルタ時代のαレンズもNEXシリーズのカメラでも位相差AFを使ってスピーディーにピント合わせができる。

 αマウントのAFレンズには、ボディ内AF駆動方式とレンズ内AF駆動方式のふた通りがある。LA-EA2はその2つのAF方式に対応するマウントアダプターだいうこと。
 じつはLA-EA2は“二代目”のマウントアダプターである。初代はLA-EA1。こちらは言ってみれば、αマウントのレンズがNEXで使用できるだけ、のマウントアダプターだった。AFでのピント合わせはNEXの像面を使ったコントラストAFで可能だったけれど、AFスピードは遅い ―― αレンズはほんらいは位相差AF用として開発されたレンズだからしょうがない。さらに、ボディ内駆動のαレンズではAFはまったく動作してくれない。
 そこで開発されたのがLA-EA2というわけだ。そもそも、このアダプターがどれだけの数量売れるのか、開発努力や開発費用など、そんなことを考えればLA-EA2の開発者たちの「意地」を感じざるを得ない。


 このマウントアダプターについて、大きいとか不細工だとか使い勝手が悪いなどと文句言う人がいるようだけど、とんでもありませんよ。最近に発表されたソニーのカメラやレンズなどもろもろの中で、いちばんすばらしい製品だ。

 位相差AFシステムと半透明ミラーと駆動モーターをまとめて組み込んだメカニズムも感心した。その複雑な機構を内蔵させて、よくここまでコンパクトに仕上げた。そしてもっと大変だったと思われるのは、アダプター内で位相差AFをしてその信号をNEXボディに伝え、NEX側でAF駆動を制御し、その信号をアダプター側に、高速でかつ確実に伝えることだったのだろう。
 旧ミノルタ、コニカミノルタを経てソニーに移った古いシステムカメラとレンズと、そのユーザーを見捨てないで、しっかりと継続して守っていこうとするそのソニーの姿勢だ。いささか大袈裟だけど、カメラづくりの気概と信頼を感じさせられる。たかがマウントアダプターだけど、このアダプターには「ソニーの責任と覚悟」という大きなメッセージが込められているように思いますね。

 新しいシステムに、古いシステムとの互換性を持たせようとすると、新しいシステムに制約や制限が生じてくる。新しいシステムで画期的なことをやろうとしても、古いシステムが“足を引っ張って”、自由な創造の翼を広げることができなくなる。
 とくに最近の電子式マウントでは通信のインターフェースが複雑になっている。古いシステムをうまく制御させようとすると、さらにがんじがらめになって新しいシステムに犠牲が出てくる。そんなことなら、いっそのこと古いシステムなんかにこだわらずに切って捨てればいい、とぼくは常々そう考えていたけれど、このソニーのLA-EA2を見たとき、自分のその浅い考え方に恥じ入りました。

トライダイヤルナビ、すばらしいぞ

ソニー・NEX-7+E 18~55mmF3.5~5.6

 長年、いろんなカメラを使ってきたけれど、フィルムカメラはもちろんのことデジタルカメラの中でも、露出補正のダイレクト設定方法が2方式あるカメラはこのNEX-7が初めてだ。カメラ上部の右側に大きなコントロールダイヤルが2つある。右ダイヤルをクリックすると露出補正がダイレクトにできる。もう1つの方法は、ボディ背面のコントロールホイールの下を押すと露出補正モードに。ホイールを回転すると補正ができる。それぞれの露出補正の表示グラフィックデザインも違う、というのが、いやはやなんというか、凄い贅沢。
 露出補正という撮影にとって大事な設定に、めんどうでややこしい操作を強いるカメラもある中で、「どちらでもお好きなほうでどうぞ」なんて親切なカメラはない。

 すなわちNEX-7はカメラの操作性にかんしては、この露出補正ひとつをたとえに挙げるまでもなくじつにすばらしい。当初は(ぼくの理解不足のせいだったが)操作に戸惑うこともなくもなかったが、使っていくうちにじわじわと操作性の良さを感じるようになってきた。
 ダイヤルやボタンをちょいと操作するだけで撮影時の主要な機能設定のほとんどができる。他のカメラのように頻繁にメニューの中をうろうろして設定を変更するということが、このNEX-7ではほとんどない。デジタルカメラが多機能化して操作が複雑怪奇になってくる時代にあって、大変によく考えられた優れたカメラだ。


 「トライダイヤルナビ(Tri-Dial Navi)」という新しい操作方法(概念、とでもいえばいいか)を取り入れている。
 ボディ上部右側に大型のダイヤルが2つ、背面に1つ。この3つのダイヤルを操作して主要な撮影パラメーターをダイレクトに設定するというもの。キーとなるのはシャッターボタン横のナビゲーションボタン。このボタンを押すたびにトグルで設定モードが変更されモニター画面に表示が出る。
 フォーカスモード、WBモード、Dレンジモード、クリエイティブスタイルモードの4つがディフォルト。カスタマイズして他のモードと入れ替えることもできる。設定画面が切り替わればそこで3つのダイヤルを操作してパラメーターを決めればよい。これを利用すればメニュー画面の中の深い階層に入って迷子になることもない。

 そして、ソコまでやるかっ、と感心したのは、カメラの操作部でダイレクトに設定できる撮影モードのほとんどがメニュー内でも設定できることだ。モード設定の2ウエイ方式を採用していることで、いやほんと、アイディアが斬新だし良くできたカメラだ。
 NEX-7は、もちろんナニからナニまでよくできた「満点カメラ」だとは言えない。それはしょうがないことだ。たとえば、シャッターを切って撮影するたびに頻繁に「ノイズリダクション処理実行中」の表示でブラックアウトしたり、静止画と動画をカメラで再生表示させるのにめんどうな操作が必要なことだったり、メモリーカードを取り出すときに難渋すること、などなど。これらのことはおいおいと改善していけばいいと思う。

発売日未定

ソニー・NEX-7+E 18~200mmF3.5~6.3

 このNEX-7は11月11日に発売されるはずだったが、タイのアユタヤにあるソニーの工場があの洪水被害を受けて「発売日未定」となってしまった。α77も同じ工場で生産されていて、こちらは一足先に発売が始まった。だが、現在は生産はストップ。いま市場に出ているα77がなくなれば手に入らなくなる可能性も高い。別の工場で生産を再開すべく努力しているそうだが、ほんと大変なようだ。がんばってください、としか言えないのがもどかしい。

 ぼくが借りて使っていたNEX-7は、いわゆる量産試作機種。洪水のために工場が影響を受ける前に作られたものだ。
 製品化されるときは、ハードウエアはほぼこのままだろうがファームウエアはまだまだ改善される可能性アリ、という状態だ。ソフトウエアは発売のぎりぎりまでバージョンアップが繰り返されるのはどこのメーカーも同じ。限られた時間内で大小のバグが修正され、とくに画質についてはとことん良くするように追い込むのが一般的だ。


 このNEX-7は当初の予定より発売がだいぶ先になったために、ラッキーと言うと顰蹙をかいそうだが、とくにファームウエア担当者はいつも以上に時間をかけてじっくりとカメラの調整ができ、画質をさらによいものに仕上げることができるはずだ。
 そんなことを考えれば、NEX-7が発売されるときにはそうとうに「完成度」の高いカメラに仕上がっている可能性だって大ありだ。

 2430万画素は確かに解像力はある。シャープで微細な描写。画像は6000×4000pixelもある。JPEG(ファイン)は約4~8MBと、ややファイルサイズにバラツキが目立つ。同じ撮像センサーを使用するα77のJPEGファイルサイズはもっとバラツキがあって14~15MBを越えるものもあった。ぼくは門外漢だからよくわからんがJPEG圧縮のアルゴリズムが独特なのかな。RAWはどちらのカメラも24MB程度(同じなのは当たり前か)。

 APS-Cサイズ判で2430万画素もガンバッテいるから、さすがに高感度画質は厳しい。ぼくの許容限界は甘く見積もってもISO1600ぐらい。ISO3200はパスしたい。ISO1600の画像も、そのまま手を加えずにストレートで使うぶんにはそこそこ許容はできるが、ちょっと画像処理したりするととたんに画質が著しく低下する。「分厚い画質」とか「薄っぺらい画質」という言い方をすることがあるが、そのでんで言うとNEX-7の高感度画像は「薄い画質」ということになるか。
 いやでも、NEX-7は低感度で使うんだと腹をくくれば、すばらしい解像力の画質が得られる。ぼくはそれはそれでいいのでないかと思うぞ。

がんばれカシオ、初心にかえれ

カシオ・EX-ZR15

 カシオのZR15は、28mm相当からの7倍ズームレンズを内蔵した約1610万画素CMOSのコンパクトカメラ。液晶モニターは3型46万ドット。手ブレ補正はセンサーシフト方式。フルHD動画撮影が可能。起動、AF、連写が速い。これがZR15のおもなスペックと特長。こう言っちゃあナンだけど、じつに平凡だ。連写スピードが高速であること以外、いまいち魅力に乏しい。
 ところが、だ。1つだけ、やったねカシオっ、いいぞっカシオと「絶賛」したい撮影機能を発見した。ワイドショット機能がそれだ。
 シャッターを押したままカメラをパーンすると自動的にパノラマ写真が撮れる、アレに似た操作を指示通りにおこなうだけで17mm相当の超広角写真が撮れてしまうというスグレもの。パーンするだけで上下左右の画像をスティッチングするというこの撮影機能は、デジタルカメラではたぶん世界初だろう。

 ワイドショット機能を選ぶと、カメラをタテ位置に構えるように指示が出る。モニターに小さな窓枠が表示されその中に向こうの景色が見える。ピントを合わせてシャッターを押し込む。あとは指示に従ってカメラを左右上下にパーンするだけ。
 以下、撮影方法。写したいシーンの真ん中あたりでシャッターを押し込み、まず左方向に。次に上にあがって右にターンする。突き当たれば下におろして、左方向、そして下。右にパーンしておしまい。と書くと難しそうだけど、数字の「2」を描くようにすればいいだけ。たったこれだけで、ZR15の28mm相当の画角ながら、17mm相当のウルトラワイド画角の写真ができあがる。


 上の写真がワイドショットの17mm相当のモードで撮影したもの。同じポジションから撮った28mm相当に写真はこんな具合だ。

 ワイドショット撮影は17mm相当のほか21mm相当の画角も選べる。それぞれカメラをパーンしている間、連続的に高速連写をしている。21mm相当モードのとき数10カット、17mm相当モードでは100カット近くも連写して、それをスティッチング処理している。パーンのスピードや振り方のウマいヘタで、ところどころ画像にズレが出ることもあるが、それはご愛嬌。ノープロブレム。
 ただ残念なことが1つだけ。できあがったワイド写真が、せっかくスティッチングして貼り合わせているのに1610万画素相当のサイズに「リサイズ」されてしまっていること。デカい画像ならデカいままで保存してほしかったぞ。

 それにしても、ZR15はコンパクトデジタルカメラとして外観デザインもスタイルもあまりにも古すぎる。外観、操作部やメニューのGUIなど、みれば見るほど「新しさ」が乏しい。正面から見ても横から見ても、ずーっと前の、数年前のカシオのカメラと変わらず同じ気がする。スペックを見てても、カメラを操作していても、ピントを合わせてシャッターを切っても、これ最新型だぞと言われても、にわかには信じられない。デザイナーに意欲がないのか、開発者にヤル気がないのか。

 こうしたことはZR15に限ったことではなく、最近のカシオのカメラすべてに言えることかもしれない ―― とんでもない方向に跳ねて行ってしまったTR100のようなカメラはあるけど ―― 。最新の全製品カタログを見ても、似たもの同士がずらりと並んでいる。ほんらいのカシオはこうじゃなかったはず。いったいどうしたのだろうか。カメラづくりの方向を見失ったのか、壁に突き当たってしまったのだろうか。
 コンパクトデジタルカメラは販売上もこれから大変な時代になる。よほど個性的、特徴的、独創的、そして機能的にも画質的も高性能でなければ見向きもしてもらえないだろう。カメラの低価格化という大きな壁もある。そうした難しい時代に向かっている。カビの生えかかった古くさいカメラづくりの体制をいまこそ、いったんチャラにして、カシオにはぜひ、がんばってほしい。