75mmの使いこなしのヒントとして

オリンパス・OM-D E-M5+M.ZUIKO DIGITAL ED75mmF1.8

 この75mmF1.8レンズのオリンパスが希望する小売価格は約12万円。しかし市場での「価格」は、たぶん、いきなり9万円ぐらいになるところもあるのではないか。いやそれにしても、「希望価格」とか「オープン価格」、「参考価格」、「実販価格」、「実勢価格」とか、じつにややこしい。コレ、もうそろそろナンとかならのだろうか。
 ま、それはともかく、このレンズの価格は当初、ぼくが予想していたよりもちょっと高かった。しかし、使ってみればわかることだが、ダントツに優れた描写性能やレンズ外観のツクリの良さを考えれば、これくらいの値段は「納得」の範囲内だと感じるはずだ。買ったあとに、「うわーっ、こりゃあドジをしたかな」とは、まず思わないレンズだ。

 姿カタチの美しいレンズである。外観を見て持ってみるだけで、いかにも「良く写りそうだなあ」と思えてくる。実際、撮ってみても素晴らしい描写だ。開放絞り値でも絞っても描写性能はそれほど変化がない。つまり開放絞り値からガシガシ使えるレンズということでもある。
 逆光にも強い(これはレンズにとってとても大切なこと)。レンズフードがなくてもいい、と思えるほど。フレアーが大変に少ないからヌケが良い。画像がクリアーでとてもシャープに見える。ただし、写りすぎる、という贅沢な“欠点”もなくもないのが困ったところ。


 レンズフードといえば、レンズ本体には付属していない。別売の約8000円ほどもする専用フードを購入しなければならない。その別売フードはボディの材質やデザインにあわせた“金属製高級フード”である。
 しかし、そんな高価なフードは必要ない、プラスチックで安くてフードの役目さえすればいい、と思っても、それがない。このへんが、オリンパスの“ずうずうしい”ところで、結局フードが欲しければプラス8000円(予想実販価格)を出しなさい、というわけだ。ついでだから言うけれど、レンズキャップもまた、見たら欲しくなるようなのを別売(約4000円)でこっそりと用意している。それを買わせようとたくらんでおるのか(あははは、それはナイだろうけど)、標準付属のレンズキャップはといえばスマートなレンズ本体とには決して似合わないほど安っぽいのだ。

 贅沢な「写りすぎる」の“欠点”を解消する方法として、ぼくは、わざと見かけ上の解像感を落とすようにして撮ってみた。すると、とくに人物、それも女性のポートレートをバストアップぐらいで撮るときには、なかなか効果的でありました。
 高感度ノイズ低減機能を「強」にしてから、シャープネスを「マイナス1~2」にする(マイナス1がおすすめ)。ノイズ低減を強くするとシャープネスが低下するから、それを利用する。オリンパスのカメラは“高感度ノイズ低減”とはいうものの“低感度”から効かせている。コントラストも必要に応じて「マイナス1または2」にする。こうするだけで、解像感はそこそこ保ったまま、女性が嫌う「小じわ」や「シミ、そばかす」のたぐいはだいぶ目立たなくなる。髪の毛の描写も“針金ふう”から“コヨリふう”に少しだけ柔らかくなる。

 75mmレンズが飛び抜けた解像描写性能を備えているのに、画像処理がそれに「追いついていない」というのが、ぶっちゃけたところのようだ。具体的に言えば、シャープネス(エッジ強調)の「線が太い」からで、もっと「線の細い」シャープネス処理を施せば、75mmレンズの良さがさらに引き出せたのではないだろうか。同じことはニコンのD800Eの画像処理にも言える。

使いこなすには覚悟が必要だぞ

オリンパス・OM-D E-M5+M.ZUIKO DIGITAL ED75mmF1.8

 F1.8の大口径で、約150mm相当の望遠系マイクロフォーサーズ用レンズである。
 めちゃくちゃよく写るレンズだ。こんなに写ってしまうレンズの描写を、いちどでも見てしまうと、いままで「良いレンズだ、良い描写だ」と信じていたレンズが、まるで“あほ”みたいに見えてくる、とは言い過ぎだけど、ま、当たらずとも遠からず、か。
 描写性能が素晴らしいと評判だった45mmF1.8よりも良い。しかし、使いこなしはそれなりに、いや、たぶん思ってる以上に難しいレンズであります。よくよく覚悟して撮影に挑むべきレンズだ(老婆心ながら忠告)。

 ナニが難しいかといえば、それは、イチもニもなくピント合わせ。とくにF1.8の開放絞り値やF2あたりに絞りを開けて、かつ近距離の被写体を撮ろうとしたときである。どこにピントを合わせたいのかをよく考え-(1)、ピントを合わせるポイントを決めたら-(2)、狙ったところに慎重にピントを合わせて-(3)、ピントがズレないように注意して-(4)、丁寧にシャッターを切って-(5)、撮影をしないと“大失敗”になります(ただし、PENシリーズもOM-Dシリーズも、AF測距フレームが大きすぎる、というカメラ側の根本的モンダイもあるけれど)。


 いや、脅かすつもりはさらさらないのだけど ―― 150mmという画角も“難”のひとつだが ―― 誰でもがカンタンに鼻歌交じりに使いこなせるレンズではないですよ、ということを言いたかっただけ。と、エラそうに言っておりますが、ぼくは、この75mmレンズを使ってて、ほんと、とっても苦労させられた。
 そりゃあ、そこそこに絞り込んで中距離、遠距離の被写体を写すぶんには、ごくふつーの焦点距離150mm望遠レンズである。モンダイは、150mmの望遠レンズでF1.8の大口径レンズだということだ。当たり前のことを言うようだが、85mmF1.8クラスのレンズとは大違いだ。

 もし人物を撮影するときは ―― 女性を写す場合は肌が美しく化粧がよほどウマい人を選ばないと予期しない諍いが起こるかもしれないので要注意ですぞ ―― 新型のPENシリーズやOM-D E-M5に搭載されている顔優先AFの「瞳検出モード」を選んでおくことを、ぜひおすすめしたい。そのモードにセットしておけば開放F1.8でも、フレーミングを自由に選んで撮影してもかなりの確率で“眼”にピントがばっちりと合う。まあまあ楽ちんに撮影はできるが、しかし人物以外の被写体をアップ気味に写すときは相当に神経を使う。…あれやこれやと、疲れるレンズだ。

LOEWEとPENTAX Q

ペンタックス・PENTAX Q MAGENTA PINK+01 STANDARD PRIME

 スペインの高級ブランド・ロエベ(LOEWE)と、ペンタックスがコラボレーションして作ったのが「PENTAX Q MAGENTA PINK」である。今年2月のCP+のペンタックスリコーブースにLOEWEの小さなバッグ(カメラケース)やポシェット(レンズケース)と一緒に参考展示されていて、それを見た人も多いだろう。ぼくはてっきり、LOEWEのカメラケースとレンズケース、それにピンクの Q の3つをセット販売するものと思っていた。高いんだろうなあ、と。

 ところがカメラだけでも買えるんだって…ということを聞いて、買っちゃったわけです。PENTAX Qの解説本(クイックハンドブック・インプレスジャパン)を書いた手前もあって…。しかし、専用のLOEWEのカメラケースもレンズケースも、まったく興味なしでカメラのほうのみ(無粋でごめん)。
 で、このPENTAX Q MAGENTA PINKはというと数量限定で100台のみ。01 STANDARD PRIMEレンズとセットになって約7万円。売っているところは、東京は表参道、銀座、そして名古屋と大阪のLOEWEの店など限られている。どんな販売スケジュールなのかなど詳しいことはぼくは不明だが、まだ、どこかの店に行けば買える、らしい(カメラ店には売ってない)。


 ボディ上下がピンクで、グリップがグレイ、ボディ前面が淡いイエローホワイト。モードダイヤルやコマンドダイヤルの周囲が薄いピンクに仕上げられていて、うん、これはなかなかよろしい。
 しかし残念だったことは、カメラストラップがいままでのPENTAX Qと同じダサくて素っ気ない黒色。これじゃあだめだ、ということで、Nikon 1に同梱されているホワイトのカメラストラップをヨドバシカメラへ買いに行った。
 少し価格がアップしてもいいから、LOEWE製の、とは言わないけれどカメラストラップぐらい、もうちょっとナンとかならなかったものか。もうひとつは、ポップアップ式ストロボのステーが、これも真っ黒だったこと。ひと工夫、ほしかったぞ。

 いや、ひと工夫、はなくもない。LOEWEとコラボしたPENTAX Q MAGENTA PINKだけに搭載されている撮影モードがある(というほど大袈裟なものではないけど)。スマートエフェクト(ボディ前面のクイックダイヤルでセットするあれ)の「OROモード」である。ORO(オロ)はスペイン語でゴールドの意味があって、ペンタックスの説明によれば「ロエベのシグネチャーカラーであるスペインの自然界に存在する大地や日没の輝く夕陽をほうふつとさせる」(イマイチよくわからないけど)、そんな仕上がりになるエフェクトモードだという。

 OROモードで撮ってみると、アンバー系のフィルターを使って写したような雰囲気の写真に仕上がりました。上の写真がそれ(あははは、スペイン風にはほど遠い被写体だけど)。ま、これはこれでイイんじゃないの、というわけで、いま、このPENTAX Q MAGENTA PINKは妻の手元に。

手抜きしないでね、ニコン

ニコン・D3200+AF-S NIKKOR 18ー55mmF3.5~5.6G VR

 D3200は、APS-Cサイズ(ニコン流に言えばDXサイズ)の撮像センサーで、約2416万画素もある“高画素カメラ”である。APS-Cサイズでこれほどの高画素カメラといえばソニーのNEX-7やα77、α65などがあるぐらい(こちらは約2430万画素)。ただし、どちらもCMOSセンサーであるが、画素数もセンサー実サイズも異なる。ソニーの機種はもちろんソニー製センサーだろうが、ニコンD3200のほうはそうではなさそうだ。

 デジタルカメラが高画素化することを“毛嫌い”している人たちが ―― ほんとうにワカったうえで毛嫌いしているのかどうか疑問だ、D800/D800Eを高く評価してるのを見れば ―― 、そんな人たちが、いつも非難しているような高画素の欠点はソニーの機種もこのD3200にも見当たらない。それよりもむしろ、高画素による利点のほうがクローズアップされているようにも見える。

 D3200の画質は良い(正確にピントを合わせてブラさないこと、そして回折現象の悪影響を避けるために絞りすぎないことは必須条件だけど)。標準ズームレンズの18~55mmと組み合わせてもタイヘンに良く写ることにも感心しましたよ。


 とはいえ、ソニーにしてもニコンにしても、「高画素センサーの利点」をまだまだ生かし切れていないのも事実で、これが残念なこと。私たちが、いま、高画素で受けている恩恵といえば解像力ぐらいか。わずかにソニーが高画素を生かした「オートポートレートフレーミング」の機能を取り入れたりしてはいるが、もっともっと別の機能も(高画素でなければできないような)ありそうな気もする。

 しかしこれは、必ず将来ブレイクスルーして、もっともっとカメラはおもしろくなるに違いない(と、期待)。ニコンにこそ、そうしたことにもっと積極的にチャレンジしていってほしい。

 しかしながら、このD3200は、ただ2416万画素にしただけ、と捉えられても仕方ない。言い過ぎかもしれないがニコンの“無為無策”という印象もなくもない。高画素を利用した便利で楽しい撮影機能など、ニコンならやろうと思えばやれるのに、そして、やれるだけの実力も知恵もあるはずなのにやらない。最近のニコンは、エントリー機種になるほどそうした傾向が見え隠れする。
 いままでは、「キヤノンの出し惜しみ」なんてぼくは言ってたけど、これじゃあ「ニコンの出し惜しみ、ニコンの手抜き」と言いたくもなるじゃないですか。

液晶モニターの色調と多点AFモードのピント

ニコン・D3200+タムロン・18ー270mmF3.5ー6.3 Di II VC

 D3200を使ってみて「おやっ?」、と思ったのは液晶モニターの表示画像の色調。撮影した直後にカメラ背面のモニターに出てくる画像が(これをレックビューとかアフタービュー、ポストビューなどと言うが)、やけにブルーシアンっぽい。とくに、フラットな中間調のシーンを撮ったりするとてきめんに青っぽくなる。オートホワイトバランスがオカシイのかなと思ったけどそうじゃなくて、モニター表示画像だけが青っぽくて実画像はごくごくフツー。

 他のニコンのカメラ、D7000やD4やD800/D800Eなどとも違う「色調」なのだ。こんなふうに「色調」を変えて表示するいうのは、なにか意図があってのことなのだろうか。それとも、なにかの原因でこうなってしまったのだろうか(ニコンの実力からすればちょっと考えにくい)。理由はよくわからないが、ぼくはとても気になった。

 色、といえば、ぼくが使ったD3200のボディカラーはレッド。このレッドの色が、クリアーで鮮やかで大変に良い色なのだ。パールレッドとでも言えばいいだろうか、クルマにもこうした塗装があるけれど、光に当たる角度を変えると微妙に赤色の深みが違って見える。とにかく、ありきたりな赤色でない。また、カメラストラップもボディカラーにあわせて赤色にしている。Nikon 1から、このへんにこだわるようになりましたね、ニコンは。


 ぼくは位相差AFでもコントラストAFでも、AFフレームモードは1点スポットと決めている。撮影するシーン、被写体のほとんどは、中央1点のスポットAFで、シャッターボタン半押しでAFロックして撮影をする。たまに、動きモノを撮ったりするときに多点AFに切り替えるぐらい。

 ところが今回、D3200を使うときに、敢えて中央1点ではなく多点の(D3200は11点ワイド)フレーム自動選択AFモードで撮ってみることにした。D3200のユーザーを考えると、AFフレーム自動選択モード(ディフォルト設定)で撮る人も多いだろう、そのとき、自動選択AFのままで写して、D3200の約2400万画素ビッグサイズの画像で、どこまで“正真正銘”のジャストピントの写真が得られるのか、それを試してみたかった。

 結果は、予想通り。ピクセル等倍で見てみると、ピンボケ写真が結構な数あった(むろんピントの合っている写真もあったけど)。このことは言うまでもないが、D3200のAF性能がどうのこうのというのではない。
 AFフレーム自動選択は、多点AFを使って(タテマエとしては)カメラがインテリジェントにもっとも大切な部分にピントを合わせるというもの。撮影者が「ここにピントを」と思っているところに自動的にピントを合わせてくれる、というのだが、いやいや実際には、高画素になればなるほどそうはウマくはいかない。D800/D800Eのユーザのための「テクニカルガイド」にも書いてあるように、やはりスポットAFにして確実にピントを合わせるようにしないといけないですよ、ということがよくわかりました。