IXY と PowerShot、ここが違う

キヤノン・IXY430F

 キヤノンの新型コンパクトデジタルカメラのPowerShotの、とくに下位機種のAシリーズが限りなくIXYのデザインに似てきて、慌て者が見るとIXYと見間違ってしまうほど。という話を前回した。
 IXYシリーズのカメラと似ているのは「PowerShot A3400 IS」と「PowerShot A2300」で、とくにA3400が「IXY 420F」とそっくりさんだ。ちなみに、量販店での販売価格はA3400が約1万5千円、420Fが約2万5千円で1万円ほどの差がある。

 内蔵レンズはどちらも5倍ズームだけどA3400が28mmから140mm相当なのにたいして、420Fは24mmから120mmと少し違う。そのほかには、撮像センサーは同じ1/2.3型サイズで約1600万画素だがA3400がCCDで420FがCMOS、液晶モニターのサイズもドット数も違う。
 いや、なによりも「違う」のはその写り具合。ひらたく言えば画質。文句なしにIXY 420Fのほうが良い。外観やおもな撮影機能はほとんど同じなのに、ここまで画質が違うのか、と呆れるほど違う。A3400の画質は420Fに比べると相当に見劣りがする。1万円の「差」を体感実感した。いろいろと大人の事情もあってのことだろうけれど、そこまでやるか、という感じもした。


 だから、というわけではないが、「安い」「カッコいい」ということだけを最優先させてカメラやレンズを選ぶというのは、大袈裟に言うけれど、それなりのリスクを覚悟しなければならないということ。「安い」機種を買って使ってみて、写りが悪いぞ、と文句を言えるような時代じゃないぞ。カメラメーカーに責任はなにもない。オーンマイリスクだ。それを選んだ自分が悪い。いま、カメラもレンズも、コンパクトも一眼レフもミラーレスもそんなシビアな時代のまっただ中にあることを知っておく必要もある。(シビアなのは、なにもカメラやレンズなど写真関連のことだけでないですよ、おせっかいなことを言いますけど)。

 コンパクトカメラを作っている各カメラメーカーの最近の動向を見ていると、これが興味津々なのだ。いま、大きなターニングポイントにさしかかっていることを強く感じる。カメラの低価格競争からなんとか脱却しようとアイディアを絞り、策を打ち出してきているメーカーもカメラある。
 IXY 420FだってWi-Fiを内蔵させてスマートフォンとの連携を取るなど、新しい付加価値をカメラに盛り込もうとしている。ニコンのCOOLPIX S800cも同じくWi-Fi内蔵でスマートフォンに対応しているが、さらに一歩進んでカメラからダイレクトにネット上のサーバーに画像を送ることもできる。アンドロイドのOSを内蔵させていて、たとえば「LINE」などのアプリをダウンロードすれば内蔵のマイクを使って「電話」することさえ可能だそうだ(知人で実際にやってみた人がいた)。

 キヤノンやニコンといった老舗カメラメーカーが、こうした新規の策を講じているのだから、そのへんの技術には強いはずのソニーやパナソニックなどから、今後どんなにオモシロいカメラが出てくるか、愉しみでありますね。
 とかなんとか言ってるうちに、サムスンからスマートフォンにズームレンズをくっつけた“へんてこりん”なモノが出てきましたね。さすがにそれはやり過ぎで、グロテスクってな感じもしなくない。節操ってもんがカケラもないじゃないか。

IXYと、どこがどう違うんだPowerShot

キヤノン・IXY430F

 いま、どのメーカーも、コンパクトデジタルカメラを今後どんなふうに展開していけばいいのかについて頭を抱えているところではないだろうか。売れている価格帯といえば1万円台と3万円台が中心で、2万円台のカメラが少ない。2万円台のカメラ作って売り出しても、あっというまに1万円台に値崩れしてしまうからだ。
 たとえばだが、機能的、性能的に1万円台と3万円台の中間に位置するカメラということで、2万円台のカメラを作ったとしても、明確に「差」をつけることもできず、曖昧なコンセプトのまま売り出すから ―― いままではそれでも良かったけれど、いまはユーザーの眼力は相当に厳しくなってきている ―― だからメーカーが狙ったように、思惑通りに価格を維持できず、どんどんと値下がりしてしまうというのが現状ではないのか。

 だからその解決策としていくつかのメーカーは、コンパクトカメラに高画質という付加価値を持たせ、少しぐらい値崩れしても耐えきれるだけの「高い価格」にして、そこに活路を見いだそうとしていのかもしれず、そのひとつが、いわゆる高級コンパクトカメラではないだろうか。
 いやいや、そんな話は本日のテーマでないのだ。
 メーカーにとってとても苦しい状況にあるコンパクトカメラ市場にあって、キヤノンもまた、苦労し悩んでいるんだなあ、ということがテーマ。


 キヤノンのコンパクトデジタルカメラには「IXY」と「PowerShot」という“コンセプト”の異なった2つのラインナップがある。IXYシリーズは小型でスマートなデザインを守り続けてきたカメラで、カメラとしてのツクリの良さをとても大切にしてきた。いっぽうのPowerShotは低価格カメラからGシリーズのような高価格カメラまで幅広くカバーして、どちらかといえばデザインよりも機能重視をコンセプトにしているところがあった。IXYとPowerShotにははっきりとした「違い」があった。

 ところが、最近になって、一部の機種だけどIXYとPowerShotの「違い」がタイヘンに不明瞭になってきてている。おい、これはIXYなのか、それともPowerShotなのか、と迷うようなカメラも出てきた。それを見ていると、キヤノンの迷走ぶりがなんとなく伝わってくる(ような気もしないでもない)。

 「IXY 430F」と「PowerShot A3400 IS」の最新型2機種を比べてごらんなさいよ。A3400 ISを「IXY 3400」とネーミングして店頭に並べても、誰もなにも疑いもせずに「あ、これIXYね」と思うに違いない。バッテリーはどちらも同じ超小型タイプだし、スリムでしゃれたデザイン。A3400 ISにはあの“無骨な”PowerShotのイメージはまったくない。
 というような話をキヤノンのある人にしたら、「IXYシリーズは、もとはといえばPowerShotのシリーズの中から派生したもので、その両者が似通っていたとしてもなんの不思議もありません」とカルく答えた。えっ、ぼくはそんな話は初耳だなあ。
 ぼくとしては、PowerShotはPowerShotらしくカッコにこだわらず機能重視の路線をキープしてほしいなあと思うわけです。

 ……なんだか本日は、まとまりのない理屈っぽい話になってしまったけどれ(いつものことか)、ま、許されよ。

モノクロ写真がいいね

シグマ・DP2 Merrill

 Foveon X3センサーを使ったDP/SDシリーズのカメラは、もともとモノクローム(白黒)写真に相性がいいのだが、DP2 Merrillになってさらに相性が良くなったようだ。30mmF2.8レンズの描写性能と新型Foveon X3センサーの組み合わせが功を奏しているのかもしれない。他社のデジタルカメラのモノクローム写真とは“ひと味”違う、と言ってもいいだろう。

 低感度では、まるでプラスXフィルムを使ってフェニドン単液系の現像液で丁寧に現像したように仕上がる。諧調描写がすばらしい。また、ISO800~1600の高感度でモノクロ撮影すると、トライXフィルムをD-72希釈現像液で現像したように、ぞくっとした質感が出てくる。とにかくモノクロフィルムの良さとらしさが出せて、誰が撮っても“渋い”写真になる(ただし間違ってもISO6400は選ばないように)。

 なお、モノクロ写真はフィルムと同じように撮影するときからモノクロのモードで撮るのがベストなのだが(白黒の諧調でモノを見てフレーミングすることが大事なのだ)、DP2 MerrillはRAWで撮っておいてモノクロに変換処理するほうが結果はいいだろう(PHOTO ProのモノクロモードはWBモードの中にあるので注意)。


 ISO3200やISO6400の高ISO感度はほとんど使いものにはならないと言ったけれど、そんな感度は使わなければいいだけの話。高ISO感度で撮影したければほかのカメラを使えばいい。このカメラにはこのカメラの、他のカメラでは代え難い魅力があるのだからそれを使って愉しめばよいのだ。
 バッテリーのモチが悪いと言う人もいるけれど、もう1つ予備バッテリーを用意すればいいことだ。AFの測距スピードが遅いと文句を言う人は(このぼくもだ)、MFに切り替えて使えばいいこと。そういうカメラもあっていいじゃないか。なんでもかんでも乳母日傘(おんばひがさ)で撮影したっておもしろくもおかしくもない。

 DP2 Merrillに内蔵されている30mmF2.8レンズの描写は、まるで“まぐれ”でできたレンズなのかと思わせるほど優れている。そのことを言い忘れていた。すばらしいレンズだ。45mm相当の画角も、あらためて自分の写真的視角を再認識させてくれて、ぼくはそこにも感心した。もうすぐ発売されるDP1 Merrillの19mmレンズ(28mm相当)よりも、きっとこの30mmレンズのほうがイイのではないかとぼくは予想している。

 誰にでもおすすめできるカメラではないが、画質だけには強烈なこだわりを持っているベテランの人や、フィルムカメラからいま一歩前に出てデジタルカメラに踏み切れない人や、あるとき写真に目覚めて作品を作ってみたい、写真で自分を表現したいと思い立った超初心の人や、あるいは、大衆迎合したような軟弱軟体な傾向がなきにしもあらずの最近のデジタルカメラに飽き飽きしている人にはベストワンのカメラだろうね、このDP2 Merrillは。きっと、いままでとは違ったいい写真が撮れると思う。そして、自分の隠れた写真的センスに感心するかもしれない。

JPEGで撮るな、がまんしてRAWで撮れ

シグマ・DP2 Merrill

 DP2 Merrillは、旧型DPシリーズのカメラと比べると画質も操作性も飛躍的に良くなった。このことは前回のブログでも述べた。しかし良くなったとはいえ、シグマのデジタルカメに脈々と受け継がれているカメラ自身の野放図さと自虐性と自己破滅性が完全になくなったわけではない。だから使いこなすには、時としてだが、それなりの覚悟と忍耐は必要である。

 たとえば、以前のように誤測距することはなくなったのはすばらしいことだけど、依然としてAFスピードはめちゃくちゃ遅い。AF測距フレームが大中小に切り替えられるようになったのもシグマにしては快挙だ。しかし通常撮影では「中」を選んでおけばいい。「大」は正確なピント合わせのためにはおすすめしない。「小」は特殊な撮影のときを除いて使用しない方がいいだろう。


 相変わらずAWBは不安定だけど、これも以前の機種に比べれば格段に安定している。ただ、これまた相変わらずなのだけど“気持ち悪い”グリーンかぶりが見られるのは困ったものだ。もし、DP2 Merrillをフィルムカメラライクに使うのであれば、AWBよりもデーライトモードに固定して使うことだ(それでもグリーンかぶりがなくなるわけではないが)。でも、リバーサルカラーフィルムのような、そのヘンなグリーンかぶりなどは期限切れ間近なときのコダクロームフィルムのような味わいもあって、懐かしい感覚で撮影が愉しめる(やけっぱちぎみ)。

 JPEG、RAW、JPEG+RAWで撮影し記録ができるが、より高画質を望むならJPEG撮影はおすすめしない。RAWで撮っておき、めんどうだけど専用のRAW処理ソフトでワンカットづつ「現像処理」をしたほうが幸せになれる(詳しい説明は省略)。ISO感度はISO200がおすすめ。高感度はぎりぎりISO400までで、それ以上の感度は、もともとこのカメラには「なかった」ものと考えておくべきだ(ISO3200もISO6400も、グリコのおまけよりもひどい)。
 もう一回だけつづく(次はイイ話)。

いぜん話はややこしいままだけど

シグマ・DP2 Merrill

 DPシリーズには、大別して小さな撮像センサーのDPシリーズと大きな撮像センサーのDPシリーズがある ―― 以下、ややこしいカメラなんだから説明もややこしくなるが許されよ。どちらもFoveon X3 センサー(CMOS)で、小さなセンサーの画素数は「約1400万画素」で、大きなセンサーは「約4600万画素」である。なぜ、画素数をカッコして書いているかは、キチンとした理由があるのだがそれをカンタンに説明する能力がぼくにはない。シグマのカタログを読んでもらうのがベストだろう(Foveon X3についての詳細は、DP2 MerrillのカタログよりもSD1 Merrillのカタログの記述のほうが丁寧でわかりやすい)。

 大きなセンサーのDPシリーズ(発売予定のDP1 Merrillも含む)のひとつが、このDP2 Merrillである。センサーサイズは23.5×15.7mmのAPS-Cサイズ判だ。新型Foveonセンサーである。一眼レフカメラのSD1/SD1 Merrillにも同じセンサーが使用されている。
 小さなセンサーのDPシリーズには、DP1XとDP2Xがある。旧型カメラであるがいまも販売が継続されている(もうすぐになくなる)。サイズはシグマがFoveonセンサーを採用し始めてから同じ20.7×13.8mmで、旧型Foveonセンサーである。言い方は悪いけど“どさくさにまぎれて”このふた回りほど小さなセンサーも、APS-Cサイズ判としてその仲間に紛れ込ませた。SD15にもこのセンサーを使用している。


 つまり、いまのシグマのデジタルカメラであるSDシリーズとDPシリーズには、Foveon新型センサーのカメラと、Foveon旧型センサーのカメラが“併売”されているというわけだ。
 この2系統のカメラは、DPシリーズであろうがSDシリーズであろうが、旧型Foveonカメラよりも新型Foveonカメラのほうが ―― 断定的に言うけれど ―― 文句なしに良い。数倍以上良い。画質もカメラとしてのデキも、なにもかもだ。

 とくにDPシリーズは、新型DPのDP2 Merrillでは、旧型DPよりも格段に良くなった。だがしかし、ぼくにとっては、旧型DPカメラを苦労して使っていたことを思い起こすと、まるで“悪夢”だったような気持ちさえする。新型DPカメラを使うたびに、シグマにいったいナニが起こったのだろうかと不思議になるほどに、DP2 Merrillのカメラとしての完成度は高い。

 ここで慌てて旧型Foveonカメラの(旧DP、旧SDシリーズを含め)弁護をしておくけれど ―― まだまだ旧型Foveonカメラを愛して使い続けている人も多いだろうから ―― ぼくはなにも根本的に旧型が悪いとかだめだとか言っているわけではない。誤解のないように。
 たとえカメラに裏切られても手ひどいめにあっても、じっと堪え忍ぶ忍耐とそれ相応の我慢強さを備えた人には、旧型Foveonカメラのほうがデキの悪い息子のほうがカワイイのとおなじで、いとおしく思え、その気持ちがいい写真をうみだすきっかけになるかもしれぬ(いまとなっては、ぼくはとてもそんな気持ちにはならないけど)。……弁護にもなってないか。
 次回につづく(予定)。

目の覚めるほど良く写るややこしいカメラ

シグマ・DP2 Merrill

 Foveon X3センサーを使ったシグマのDPシリーズは、「1」と「2」があったり、モデルチェンジされて「S」や「X」がカメラ名に付加されたり、センサーサイズが変わったりして、なんだかとってもヤヤこしい(説明するのもめんどうな)カメラなのである。

 ということで新型DP2 Merrillなのだけど、このカメラには約45mm画角相当の単焦点レンズを内蔵させている。さらに、従来のDPシリーズのFoveon X3センサーよりも“大型”のAPS-Cサイズ判のFoveon X3センサーを使っている。この2つが大きな特徴。
 なお、このDP2 Merrillが発表されたとき(今年2月のCP+)には、同時に、撮像センサーなどは同じだが内蔵レンズが約28mm画角相当のレンズを内蔵させたDP1 Merrillも発表された。しかしそちらのほうの発売はもう少しあとになる。


 とかなんとか説明を始めたところで、DP Merrill シリーズ、というかFoveonセンサー採用のカメラのことについてはめっぽう詳しい人も多く、いい加減なことを言ったりするとツッコまれるだけだ。いっぽう、DP Merrill シリーズについてくどくど解説したって(でも、大事なんだけど)、そんなもんぜんぜん興味のない人もいるだろうし、いやはや、困ったムツかしいカメラでありますよ。

 とにかく、ま、DP2 Merrillはどんなカメラなのかと四捨五入していうと、Foveon X3センサーという、ヘンテコだけどとても優秀な撮像センサーを使った単焦点レンズ内蔵の、とびっきり良く写る「コンパクトデジタルカメラ」である、ってこと。それだけ知っておけばイイかな。写りは、アタればほんとに目の覚めるほどに良い、これはほんと。

1.0型センサーの謎を暴露する

ソニー・DSC-RX100

 RX100の撮像センサーは1.0型の約2020万画素CMOSである。1.0型のサイズは「13.2×8.8mm」だ。とうぜんながらソニー製のセンサーだろう。
 ところで1.0型のセンサーといえば、そう、Nikon 1が採用しているセンサーがその1.0型である。サイズは「13.2×8.8mm」でRX100のものとぴったり。こちらはソニー製ではない(と言われている)。
 このナントカ型と呼ばれるセンサーサイズは同じ“型”であっても、実際の寸法はばらばらまちまち。APS-Cサイズしかり、2/3型だって1/1.7型だって「実寸」は微妙に異なる。ところが、メーカーの異なるこの1.0型センサーのサイズは、コンマmm単位までぴったりの13.2×8.8mmである(コンマmm以下の数値や、パッケージングされた外寸サイズについては不明だけど)。

 RX100のスペックを見てナニに驚いたかといえば、このセンサーサイズだった。センサーのアスペクト比も同じ「3:2」なのだ(画面アスペクト比は別だ)。
 Nikon 1が3:2にしたのは、FXフォーマット(35mm判フルサイズ)、DXフォーマット(APS-C判サイズ)があってそれぞれが3:2アスペクトを採用してきているため、そのライン上に乗せ統一させるためにも3:2である必要があったのだろう(この1.0型をCXフォーマットと名付けている)。
 ソニーの場合、レンズ交換ができない“いわゆるコンパクトデジタルカメラ”のアスペクト比は、すべて4:3である。ところが、同じレンズ固定式であるRX100はといえば、これだけがアスペクト比が3:2なのである。ひとつの不思議は、なぜソニーはRX100で、あえて3:2のアスペクト比を採用したのだろうか、ということ。


 もうひとつの不思議は、なぜソニーはNikon 1と同じ1.0型センサーを採用したのだろうか、ということだ。
 ぼくは、センサー事情に詳しいいくつかのメーカーの知人に、なぜ13.2×8.8mm(1.0型)のサイズにしたのだろうか、ウエーハーからとれる効率の良いサイズが13.2×8.8mmサイズだったのだろうか、13.2×8.8mmにすると歩留まりが良くなるのだろうか、なんてことを聞いた。ところが、誰もはっきりとしたことを言ってくれない。「そんなこと、どーでもよろしいやないですか」と言う人もいた(うん、ごもっともです)。

 ま、それはともかくとして、ソニーが(ソニーの半導体事業部が)Nikon 1に採用されているセンサーとサイズもアスペクト比もそっくり同じものを作ったのは ―― この際、思い切って暴露してしまうけれど ―― Nikon 1の“次機種”にそのセンサーを使ってもらうためである。すでに約束はできているらしい。
 センサーのサイズやアスペクト比が同じなら使用するレンズもマウントサイズもなにもかも、そのまま流用できる。メリットはめちゃくちゃある。

 ただし、懸案があって、それはセンサー内蔵の像面位相差AFの機構をどうするかだ。
 1つの策は像面位相差AFにこだわらずに、画素数を重視して従来のコントラストAFだけの2020万画素のNikon 1を作ること。このカメラは来年には、Nikon 1の新しいシリーズとして出てくる予定になっている。だからこそ、先日発表されたNikon 1 J2は、あんなにマイナーなチェンジしかしなかったのだ。
 もう1つの策は、新しくセンサーの設計をして2020万画素(以上の)センサーに位相差AF機構を組み込むことだ(すでに完成している、とも聞いている)。それを来年前半の新型Nikon 1に採用する。このこともすでに決まっている。


 ……というのは、真っ赤なウソです。ぼくの作り話です(すまん)。

レンズのデジタル収差補正

ソニー・DSC-RX100

 ブログを、周囲の反対(ウソ)を押し切って「再稼働」してその2回目。

 それにしても小さなレンズだ。28~100mm相当の3.6倍沈胴式ズームレンズ。F値はF1.8~F4.9。望遠側でF4.9とやや暗くはなるが、撮像センサーは1.0型の、このテのカメラとしては“大型”のセンサーをカバーするレンズですぞ、いや、それにしてもすばらしい。設計も生産も、相当に苦労したか無理をしたか。
 もし無理をしたとしたら、その無理をどう帳尻を合わせただろうかと興味がつきない。撮ってみれば“何ごともなかったかのように”ごくフツー(以上)に写っている。

 ただ、ちょっと気になるところもなくもない ―― ぼくが気にしすぎるのかもしれないが。
 とにかく写してみればわかるけどディストーション(歪曲収差)が「まったく」目立たない。気味悪いほど直線が直線に写る。ほんものの柱は少し弓なりに曲がっているにもかかわらずRX100で撮るとまるでカンナで削って修正したように真っ直ぐに写る、いやこれは冗談だけど、それくらい歪まないで直線に写る。

 このRX100で京都の街や寺や神社を撮ってたんだけど、柱も桟も軒も襖も障子も息をのむほどに真っ直ぐに写る。おいおい、ちょっとやり過ぎだぞ、と撮りながらそう思ったほどだ。
 そう、画像処理でレンズ補正をやっているのだ。でないと、あれだけの小さくてF値の明るい3.6倍ズームが歪みなく写るわけがない。「無理」の帳尻をここであわせている。
 ここで誤解してもらっては困るのだけど、デジタルレンズ補正がナニも悪いと言っているわけではない。むしろ、ぼくはレンズの収差補正などをデジタル画像処理でおこなうのを歓迎し推奨しているほうのクチだ。


 でも、ほんらいはレンズのデジタル収差補正はやらないほうがイイに決まっている。補正処理をしなくても良く写るレンズを設計し製造するのが「理想」だ。しかし、世の中そうはいきませんよね、なにごとも。そのへんは皆さんのほうが百も承知、千も合点でしょう。
 というわけでRX100では画像処理でレンズの歪曲収差を目立たなくしているわけだけど ―― あ、そうそう、言い忘れてたけど、デジタル収差補正をしてるなんてソニーはひと言も言ってない、ぼくが勝手にそう思い込んでいるだけだ ―― 歪曲収差のデジタル補正は「やり過ぎる」と弊害が出てくる、という専門家もいる。

 どんな弊害かというと、立体感や奥行き感が不自然になる、というのだ。だから、あるメーカーの専門家は「うちの場合、意図的に少し歪みが残るように」処理をしていると言っていた。ノイズもそうだけど、いまは、ないよりあったほうがいいとも言われ始めている。なにがナンでも画像処理で目立たなくしちゃえばイイって時代ではないのだ(ノイズの話をし出すとキリがなくなるのでやめるけど、言いたいことはヤマのようにある)。
 だからかどうか、RX100で撮影したその画像を見ていると、どうも平面的で、なんというか、写真的な奥行き感がいまいち乏しい気がするのだ。そんなの、おまえの気にしすぎだ、先入観で見ているからだ、と言われれば、うーん、返す言葉がないのだけど。

ご無沙汰、ご無礼でした

ソニー・DSC-RX100

 ふと気がつくと、このブログ(twitterも、わがHome Pageもそうだけど)、ずいぶんとほったらかしにしておりました。もともと、なにに強制されるわけでもなく、気分で書いたり写真を見てもらって続けているようなものだから、ま、そーゆーこともありますよ、気分、気分。

 べつにほったらかしにしておいても、だれもナーンとも思わないだろうし、と、そう思ってたら、先日、初対面の人から「最近、更新がないのでどうしたのかなと思ってました。いつも見てますよ、愉しみにしてますよ」なんてコトバを聞いて(愉しみにしてる、なんて言ってくれる人がいるなんて、意外だった)、いや正直言いますとうれしかった。

 というわけで、長らくのご無沙汰ご無礼でありました。
 その、ほったらかしのあいだには、たくさんの新しいカメラやレンズを使った。発売されたものや発売前のものやら、発表前の内緒のものやら。原稿書きもあったし、自分の作品撮りのための撮影もやってたし、たくさんの人と会って話をしたり、なーんにもせずに大好きなビールを飲みながらぼんやりしてたり本を読んでたりと、フリーランスの「特権」を大いに利用して愉しんでいた ―― オリンピックと高校野球が苦手なので、いまはちょっとツラいけど。


 いま大注目のソニーの高級デジタルカメラである。カメラのサイズは文句なしに“コンパクト”である。撮像センサーのサイズと、ズームレンズの倍率とF値とサイズ(そして写りの良さ)のことを考えれば“異常に”小さい、軽い。ぼくは、とにもかくにもそれにびっくり、撮ってみてまたびっくり。こんなに小さなカメラで…と、悔しいけれど写りの良さに感心しきりだった(いやべつに悔しがることもなにもないのだけど)。
 おすすめ度ナンバーワンのカメラかも ―― と、書いたりすると、また、オマエが勧めたカメラを買ったけど良くなかったぞ、なんてイヤミなメールを寄越す人、いるんだよね、知らんよ、そんなの。

 ところでこのRX100を、小さい軽いからといって、いまあるコンパクトデジタルカメラと同列に並べて、それらと比較して判断してはいけないと思う。過剰な高評価をしてしまうか、間違った判断をしてしまうだろう。
 ミラーレスカメラがそうであったように、このRX100もまた、デジタルカメラの新しいスタイル、新しいカテゴリーのカメラとしてグループわけすべき機種ではないだろうか。DP2Merrillもそうだと思う。形態はコンパクトだけど、いわゆるコンパクトカメラとはぜんぜん違う、とかね。なんかウマく説明できないけれど…。

 これからはデジタルカメラはもっともっと多様化していくに違いない。いままでになかったようなスタイルや機能を備えたカメラが出てくる可能性だっておおありだ。そんな新機軸のカメラを既存のグループに強引に嵌め込んでしまったりすると ―― そのほうが理解しやすいからなんだろうけれど ―― 余計にさっぱりわけがわからなくなる。