すこしだけ肥満体になったD7000ってとこかな

ニコン・D600+AF-S NIKKOR 24ー85mmF3.5ー4.5G

 D600はフルサイズ判の2430万画素CMOSセンサーを使った(フルサイズ判一眼レフにしては)小型軽量のカメラである。いままでのフルサイズ判一眼レフカメラに比べれば、確かに“小型軽量”ではあるが、でも、過度に期待するほどちっちゃくカルくはない。もし現行D7000ぐらいのサイズにおさまってれば、「おおっ」と感動ものなのだが(ムリな注文ですね)、ま、ざっとふたまわりほど大きい。
 そりゃあしょうがない、と思わなくもない。たとえばAPS-Cサイズ判のD7000のメインミラーと、このD600のそれを見比べてみるだけで、フルサイズ判一眼レフに使用しているパーツ類がいかに“大きい”ものであるかがわかる。そんなこんなを考えれば、内蔵ストロボも省略せずに視野率を100%を確保しつつ、がんばってよくここまでダウンサイジングしたものだと感心もする。

 しかしD600の「特徴」はといえば、その小型軽量化“だけ”で、おっと驚くような飛び道具も備わっていない実にジミな(言い換えれば、とことんオーソドックスな)カメラではある。
 Wi-Fi内蔵であるとかGPS内蔵であるとか、はたまたD800Eで気をよくしたニコンのことだからしてローパスフィルター“なし”のモデルもあるに違いないと、ぼくは予想していたが、あにはからんや、そんなもんはなーんにもなくて大変に「クソまじめ」なカメラだったというのがストレートな印象。


 カメラの操作スタイルは、わずかな違いはあるがD7000とソックリだ。モードダイヤルにロックが付いたのはヨカッタ(D7000はロックなしなのでスカスカ回るので困った)。
 ニコンは、このD600のポジションを「D7000の上位、D800の下位」と言っていた。それを聞いて、APS-Cサイズ判とフルサイズ判をごちゃまぜにして機種ポジションを語るようになったのだなあ、と少し感慨深いものがあった。

 D600は、ちょっとだけ肥満体型になったD7000のようで、D7000ユーザーならほとんど違和感もなく使えるに違いない。ぼくはときどきD7000を使って撮影しているかのような錯覚をしたこともあったぐらいで、それくらい気軽な気持ちになって(APS-Cサイズ判カメラを使っているような)扱えるフルサイズ判デジタル一眼レフカメラだということでもある。(ところで、ハナシが少し横道に逸れるが、フルサイズ判一眼レフとAPS-Cサイズ判一眼レフの各社の今後のラインナップ予想などについては、9月20日発売の「デジタルカメラマガジン」で10数ページにわたって、ぼくが大胆予想特集をしているからして興味あるかたはそちらを読んでくださいませ)

 その画質などについては、気が向いたらまた、ということにしましょうか。明日からしばらく出張なんで(あ、フォトキナのケルンじゃありませんよ、いにしえのナラとかキョウトどす)。

やはり28mmはいいなあ

シグマ・DP1 Merrill

 約28mm相当の単焦点レンズを内蔵したのが、このDP1 Merrillで、ひとあし先に発売されたDP2 Merrillのほうは約45mm相当の単焦点レンズを内蔵している。撮像センサーはまったく同じAPS-Cサイズ判のFoveon X3である。DP1 MerrillとDP2 Merrillとの違いは内蔵レンズが異なるだけで“基本的には”まったく同じ。カメラの撮影モードや設定などが多少違っていたが、DP1 Merrillが発売されると同時にDP2 Merrill用のファームウエアがアップデートされて、そのへんはまったく同じになった。

 ところが、まったく同じ、はずの双子兄弟機種の色調が微妙に違っているために、両機種を(と、同時にSD1も)同時に使うとかなり戸惑ってしまう。色調が異なるのはマズい。すばらしい、そしてタイヘンに魅力的なカメラだけに、ここが残念至極だった。使用する(内蔵する)レンズが異なると色調を合わせ込むのが難しいことはよく承知の上だが、それにしても違いすぎる。
 まずAWBが、とくに今度のDP1 Merrillのほうがよろしくない。想像するに、DP2 Merrillでグリーンかぶりがするという意見に対して(ぼくも、そう言ったけど)、シグマはそれを改善しようとしてAWBのアルゴリズムをいじったようで、その悪影響がでている。とにかく、DP2 MerrillのAWBとは大違い。

 ここで余計なことだけど、ひと言断っておくが、シグマのDPシリーズを使うのならAWBなんぞに頼らずにプリセットホワイトバランスを選んで撮るべきだ、なんてことを言う人がいそうだけが、それは大きなマチガイだぞ、はなはだしい勘違いだぞ。



 シグマはこのAWBの“乱調”については十二分に認識しているはずで、おそらくそう遠くない時期に修正ファームウエアが出てくることだろう。それまでは、デーライトモードなどのプリセットホワイトバランスを選んで、そう、ちょうどリバーサルカラーフィルムを使っているような気持ちでDP1 Merrillで撮影するのがよろしい。
 そうそう、言い忘れていたが、DP1 MerrillのAWBが乱調だとは言ったけれど、青空や白い壁などを撮るとDP2 Merrillのようなグリーンかぶりがなくなり、それはそれでグッドなのだ。

 では、AWBではなくプリセットホワイトバランスで撮ればDP1 MerrillもDP2 Merrillも同じ色調に仕上がるかと言えば、うーんこれが微妙に違うのだ。「好み」や「趣味」の問題だと言われてしまえば、あっそうですか、としか言い返せないが、DP2 Merrillの色調のほうがずっと良い。とにかく、まずはDP1 MerrillのAWBを修正したのち、おいおいでいいから両機種の色調をできるだけ合わせるようにしてほしい。

 DP1 Merrillの内蔵レンズの描写性は、ぼくが少し心配していたけれど、それに反して予想以上にすばらしくシャープな描写だった。確かに、DP2 Merrillの45mm相当のレンズに比べると ―― こちらのほうは、良すぎる ―― 28mm相当のレンズのほうはほんのわずかに切れ味に欠けるところもなくもないが、しかし、それは重箱の隅をつつくようにして見たときのこと。
 色調のことを別にすれば、ぼくは、やはりDP1 Merrillのほうが魅力的だったなあ。いいカメラですよ、シグマにしては(とは失礼だけど)両機種とも、上出来“以上”だ。