ニコンらしいがニコンらしくないカメラ

ニコン・COOLPIX S01

 小さなカメラだから安い、と言うつもりは毛頭ないけれど、S01を使ってみた印象や備わっている撮影機能や機構などを"総合的"に考えると、実販が約1万5千円というのは少し高い。というのも、たとえば同じニコンのCOOLPIX S3300は、少しボディサイズは大きくはなるが1/2.3型の約1600万画素CCDで、内蔵ズームはの26~156mm相当の光学6倍で光学式手ブレ補正(VR)つきだ。これが7千円そこそこ。S01のほぼ半額じゃないか。

 S01の内蔵ズームは、29~87mm相当の光学3倍。VRはなく、モーション検知式の手ブレ軽減機能が備わっているだけ。このモーション検知とは、撮影状況に応じて自動的にシャッタースピードやISO感度を変更するというもの。いわゆる電子式手ブレ補正とはちょっと違って、うーんなんというか、ややアナログ的な手ブレ軽減機能か。ブレ補正の効果はそれほどは期待できない。

 ISO感度はISO80~1600までのオートのみで変更も設定もできない。ややこしい設定をするカメラでもないから、これはこれでもんくはない。液晶モニターは2.5型の23万ドットだがタッチパネル式を採用。これはいい。いわゆる感圧式なので女性が長いツメでこつこつやっても、ペンのようなものでつんつんしても反応してくれる。静電式に近い操作感もあるが、とうぜんだがピンチイン、ピンチアウトはできない。


 顔認識の機能もあってAFも効く。OFFにはできないので、老若男女の区別なく人にカメラを向ければ顔を認識する。顔を認識しピントを合わせて撮影をすると、ひげ面の男性であろうがしわくちゃのご婦人であろうが、まるで錦糸町の横丁キャバレーのオネーサンのように"厚化粧"されてしまう。これをキャンセルすることができない。1万5千円もするカメラでここまで"潔い"ものはそうはないぞ。

 "ニコンらしい"カメラと言えば、確かにそうだよな…。ニコンは今までにも突然変異のような機能や機構を採用したり常識から思いっきりはずした製品を出してきた。このS01もそうしたカメラの1つかもしれない。
 ただ、いっぽうでは ―― 以下は想像だけど ―― このS01は、台湾かどこかのベンチャー企業が、「こんなカメラの企画ありまっせ、きちんと作って納品しまっさかい、どうでっか」と言ってきたのにホイッと乗っかってNikonの名前をつけただけのような、そんな気もしないでもない。ニコンのマーケ部の人たちが本気で企画したカメラとは到底思えない。使ってみればみるほど、"ニコンらしくない"カメラだなあ、と感じるところもあった。
 短い間だったけどじゅうぶんに愉しみました。ハギワラさん、ありがとうございました。

カメラは小さいだけでイイのかな

ニコン・COOLPIX S01

 ニコンのショールームで初めてこのS01を見た時は、「おっ、なんだぁこりゃあいったい…」と、ホントびっくり。その時は、他の人が手にしていて結局ぼくには順番が回ってこず、はたから眺めていただけだが、とにかく大きなカメラを作ることにかけては手慣れている(ウマい)ニコンのカメラの常識からはずれる小ささ。既存のコンパクトカメラのほぼ半分ぐらいしかない。 さっそくニコンに頼んで借りて使ってみたのだけど ―― 貸してもらっておきながらこんなことを言うのもナンだけど ―― 見た時の期待感とは違って、少しがっかり。

 写りについては、まあこんなもんだろうし、それにとやかく言うつもりはないのだがあえて言うとすれば、iPhone4Sの内蔵カメラの写りとそれほどの差がなかったことだった。S01のほうは光学式3倍ズームレンズだからその点ではアドバンテージはあるが、でも、iPhone4Sだってデジタル式だけどズームはできる。写りだってそこそこだ。


 いや、そんなことよりもなによりも、iPhone4Sは撮ったらすぐにその写真を誰かに送ることも twitter や facebook などで見せることもできる。Wi-Fiの機能を備えていないから仕方ないのだけど、S01はそうしようとするとPCがゼッタイ必要となる。単独ではナニもできない。PCを使ってめんどうで、やっかいな操作もしなければならない。小さく可愛いカメラだからこそ余計にそれが気になる。

 S01は撮影画像を記録するメモリーは内蔵式。約7.3GB。撮像センサーは、現行の多くのコンパクトカメラのセンサー(1/2.3型)よりもひと周りほど小さな1/2.9型CCD。画素数は約1000万画素。約7.3GBの内蔵メモリーには約3000カットほど記録できる、らしい。もちろん動画も撮れるけど、CCDだから720pのHDで30fps。iPhone4Sはといえば1080pのフルHDで30fps。
 バッテリーも内蔵式で充電はUSBケーブル経由でPCまたはAC(アダプターが必要)でおこなう。S01のカメラ底部にあるUSB端子に(ツメ先で端子カバーをこじ開けてから)ケーブルを差し込む。フル充電までは約3時間。PCに画像を移し替えるにもプリント(PictBridge対応)するにも専用のUSBケーブルを使用しなければならない。
 これじゃあ、フツーのデジタルカメラじゃないか。

京都・下鴨神社・糺の森(ただすのもり)

ペンタックスリコー・K-5 IIs+DA15mmF4 ED AL Limited

 あるとき、ペンタックスリコーの画像処理担当者にぼくが珍問をした。
 「かりにだけど、1628万画素のK-5 IIからローパスフィルターを外してしまう、すなわちK-5 IIsにすることで、解像感は何万画素ぐらいアップしたことになるのだろうか?」と尋ねた。ベース画素数が1628万画素の機種限定での仮定の話である。
 こんな質問、ぼくは一笑に付されるかと思ったのだが、彼はすぐさま電卓を取りだしてしばらく計算をしてくれた。「だいたい200~300万画素、増えたぐらいの解像感が得られます」と、きっぱりとと言ったのには驚いた。

 ここで誤解のないように言っておくが、この解像感というのは「見かけ上の解像感」であって「数値的な解像力」ではない。
 それを承知の上で、ということにして、K-5 IIsではローパスフィルターを外してしまっただけで「約1900万画素相当」の解像感のある画像が得られると考えても、あながち大ハズレではないのではないか。(3630万画素のD800とD800Eでも、それと同じような計算ができるかもしれないが、このへんは専門家でないとナンとも言えない)


 で、実際にローパスフィルターありのK-5 IIとローパスなしのK-5 IIsを同じ条件にして ―― ここがムツかしいのだが、同じレンズ同じ露出値はもちろんだが、ぼくが試した比較撮影ではできるだけ良いレンズを使用して、三脚を使い、AFをキャンセルして、MFにして、ライブビューの拡大モードを選んで慎重に同じ位置にピントを合わせ ―― こうして撮り比べてみると(上記の計算通りかどうかは確定できないけれど)明らかにK-5 IIsのほうが細かな部分まで描写されていて解像感があった。

 かって、同じような方法で比較撮影をしたニコンD800/D800Eよりも、今回のK-5 II/K-5 IIsのほうが解像感の「差」があった。D800/D800Eのほうは約3630万画素という高画素であるため、もともと高い解像感(解像力)を備えている ―― D800/D800Eに備わっている解像のポテンシャルが高い。おそらく、そのためにローパスフィルターあり/なしで明瞭な「差」がなかったのかも知れない(むろん、よく見比べれば「差」があることは歴然とした事実だけど)。
 つまり、K-5 II/K-5 IIsは画素数が約1680万画素"程度"だったからこそローパスフィルターあり/なしの解像描写の違いがはっきりと出てきたのではないだろうか、とぼくは推測をしております(科学的な根拠はなにもないけど)。

ローパスフィルターの話、その3

ペンタックスリコー・K-5 IIs+DA☆16~50mmF2.8ED IF SDM

 ローパスフィルターは、一般的には2枚セットになっている。さらに位相板とか波長板とよばれる特殊フィルターも必要で、普通はその3枚で役目をはたしている(と、言われているが、ぼくは専門家ではないので詳細は不明、ツッコまないでほしい)。
 その2枚のローパスフィルターのうち、1枚を取り除くことでローパスの効果を弱めて解像感を向上させようとしたカメラもあった。カメラボディを小さく薄くしようとすると、シャッターと撮像センサーの間のわずかなスペースを確保することも難しくなる。そのためにローパスフィルターを1枚だけにしてしまったカメラもあった。

 ベイヤー方式の撮像センサーを使用するカメラでは、ローパスフィルターをなくしてしまったり、枚数を少なくしたりするとモアレ/偽色が目立ってくる(こともある)。このことは何度も言った。
 しかし、ローパスフィルターをなくしてしまうとモアレ/偽色が、いつでもどこでも、ばんばんと出てくる、と思い込んでいる人がいるようだけど、それは大きなマチガイですぞ。モアレ/偽色は遠景の建物や、細かなチェック柄の洋服など規則正しいパターン模様を写したときに、画面の中のほんのわずかな部分に出てくる(出てくるほうが珍しいのだが)。画面全体のばーんっ、と出ることなんか、まずありえない。


 もしモアレ/偽色が出たとしても、画角、絞り値、カメラポジション、ピントをほんの少しズラすだけでウソのように消えてしまうものだ。市販の画像処理ソフトなどでモアレ/偽色を目立たなくできるものもある。
 これは知っておいてほしいことだけど、自然風景や動物、昆虫、人物などをローパスフィルターレスのカメラで撮影してモアレ/偽色は出ることはない。マッタク出ない、ゼッタイ出ないとは言い切れないが、出たとしても、真っ昼間に幽霊が出てくる確率より低いだろう。 偽色はローパスフィルターあり/なしのカメラでもまれに出ることはあるが ―― 。

 つまりK-5 IIsは、人工物を撮影したときに限ってモアレ/偽色が発生する(かもしれない)というリスクを、覚悟の上でローパスフィルターを完全になくしてしまった。思い切りよくすっかり取り去ってしまったのである(*)。
 その代わりに高い解像描写性、高画質を手に入れたわけだ。ペンタックスリコーも(ニコンも)、そのほうがユーザーベネフィットが高いと考えたのだろう。

(*、正確に言うとローパスフィルターを外した部分に、薄い特殊光学ガラスを1枚入れている。K-5 IIs ではこれを使ってダストリムーバルをしていることと、光路長を調整させる役目をはたしている)

ローパスフィルターの話、その2

ペンタックスリコー・K-5 IIs+DA☆50~135mmF2.8ED IF SDM

 先日からの「K-5 II/K-5 IIs体感セミナー」に参加していて、へーっと驚いたことは、K-5 II と K-5 IIs の違いについて知らない人が少なからずいたことだ。
 ペンタックスリコーのホームページにK-5 II/K-5 IIsの「FAQ」がある。そこに、「K-5 II は従来機種同様ローパスフィルターを搭載しています。K-5 IIs はローパスフィルターが無い機種です。ローパスフィルター有無以外の仕様の違いはありません」と書いてあるとおり、ローパスフィルターがあるか、ないか、ただそれだけの違い。

 もし、これに付け加えるとすれば、販売価格がK-5 IIs のほうが実販価格で約1万円ほど高い、ことだけだ。でも、K-5 II か K-5 IIs かどちらを、と問われれば、そりゃあ躊躇することなくK-5 IIs だ、とぼくは答えますね。小さな声で言いますけど、K-5 II を選ぶ人の気が知れない…。

 前回のこのブログでも述べたが、多くのユーザーにはモアレ/偽色による影響というのはごくごくわずかだと思われる。とくに、K-5シリーズのユーザーの撮影被写体ことを考えれば、あえてローパスフィルターありのK-5 IIを用意する必要などなかった。ローパスなしのK-5 IIs だけのほうが、ペンタックスリコーの明快な意気込みがユーザーにストレートに伝わったのではないかと思うわけだ。K-5 II/K-5 IIsのカタログを見たって、K-5 II のほうを「前面」に打ち出しているようでどうも煮え切らない。おいっ、もっと自信を持ってK-5 IIs のほうを売り込めよ、と思わないでもない。


 立ち位置の中途半端な ―― 存在意義がまったく不明な ―― K-5 II をなぜ作って売ることにしたのかその経緯は知らないが、たぶん、ペンタックスリコーの社内で、ローパスフィルターを外してしまうことに強く反対をした(古い型の)人もいたに違いない。そうした観念論的頑固者を説得させるために、仕方なく K-5 II を作ったのかも知れない。

 ニコンのD800/D800Eの前例(圧倒的にD800Eが売れている)を見ればそんなことわかりそうなもんだし、自社で既に売り続けているローパスフィルターなし645Dのユーザーのモアレ/偽色に対する反応も知っているはずなのに(クレームらしきものは皆無らしい)、いやほんとヘンだよなあ。

 ところで、D800/D800EとK-5 II/K-5 IIsの関係はいっけんそっくりのようだけど、大きく異なる点がひとつある。D800EはK-5 IIs のようにローパスフィルターを完全に取り去ってしまったのではない。D800EにはD800と同じローパスフィルターが「搭載」されている。ここに注目をしておきたい。
 D800Eは、ある方法で(説明はめんどうなので省略)ローパスフィルターの効果を打ち消して「ローパスフィルターレスと同じ」にしているのだ。D800Eにはローパスフィルターが「存在」することはまぎれもない事実で(ニコンもはっきりと認めている)、なぜ、K-5 IIs のようにキレイさっぱりと取り除いてしまわなかったのか、これはニコンの七不思議の1つだ(光路長がどうのこうのと説明を受けたがイマイチ納得できない)。…話が逸れてしまった。

ローパスフィルターの話、その1

ペンタックスリコー・K-5 IIs+DA15mmF4 ED AL Limited

 新しくなったK-5 II/K-5 IIsの最大のトピックは、ローパスフィルターを取り除いたK-5 IIsの存在だ。だから、当然ながらK-5 IIsがメインで、K-5 IIはサブ、いやサブの下、あってもなくてもイイような「アテ」か「ツキだし」みたいなもんか。
 K-5 II/K-5 IIsの関係は、ニコンのD800/D800Eと似ているようだけど、そういう意味ではだいぶ違う。D800Eに対してD800はそれなりの存在意義もあるのだが、K-5 IIには、ちょっとかわいそうだけど、「存在」することじたいその意味は薄い。K-5 IIに対してK-5 IIsのほうがはるかに比重が重い。

 とは、ちょっと言い過ぎてしまったけれど、しかしK-5 IIにはK-5 IIsを引き立てて目立たせる、というマイナーな"存在意義"はある。K-5 IIがあるからこそ主役のK-5 IIsが注目されるのだ。K-5 IIは添景みたいなもんか…。

 K-5 IIsはローパスフィルターレスであるため、どうしてもモアレや偽色が目立ちやすくなる。モアレ/偽色が発生することは、なんとしてでも避けたいユーザーもいる。そういう人たちに対してペンタックスが用意したのがK-5 IIである。たぶんK-5 II/K-5 IIsシリーズを選ぶユーザーの98パーセントは、ローパスフィルタレスのK-5 IIsのほうを選ぶのではないだろうか。ほとんど売れないだろうけれど、残りの大切な2パーセントのユーザーのためにK-5 IIを作った。ペンタックスリコーの良心、と言えなくもない。


 ローパスフィルターはモアレ/偽色を目立たせない"だけ"のために使われている。それ以外の役目はなにもない。画像処理技術が進化してモアレ/偽色などをウマく抑え込めたり、撮像センサーの"都合"でモアレ/偽色が目立たなくなれば、ローパスフィルターなんてすぐに捨てられてしまうもの。役立たずになる。実際に、いまの多くのコンパクトデジタルカメラではモアレや偽色が発生することが少ないので(理由の説明は省略)、ほとんどの機種はローパスフィルターなんて使っていない。

 とにもかくにも、ローパスフィルターの利点はモアレ/偽色を低減することだけ(ただし完全になくすことは不可能だとも言われている)。逆にローパスフィルターの大きな害があって、それは解像描写性を低下させることである。つまり、画像の中の高周波成分(きめ細かなディテール描写)だけを「切って捨てて」しまっている。せっかく、解像して写っているはずの大事な部分をバッサリと切り捨てているのがローパスフィルター。これを「悪玉フィルター」と言わずしてナンといわんか。

 K-5 IIsは、その悪玉フィルターをキレイさっぱりと取り除いてしまったことで ―― モアレ/偽色が目立つシーンもあるかもしれないが ―― 解像描写性の優れた画像が得られるようになった。薄汚れたレース風のカーテンがなくなって窓の向こうの美しい風景がくっきりと見えるようになったようなもんだ。

AF性能がだいぶ良くなったね

ペンタックスリコー・K-5 IIs+DA15mmF4 ED AL Limited

 新K-5 II/K-5 IIsで、旧K-5から改良された点は2つ。1つはAFモジュールを新設計しなおしたこと。もう1つは液晶モニターにギャップレス構造を取り入れて反射を少なくし視認性を向上させたこと。そのほかに、わずかだが画質を向上させたこことがあるがこれは小さな目立ちにくい"改良点"だ。
 新設計のAFモジュール(SAFOX X)の採用による恩恵は、低輝度側の測距可能範囲がマイナス1EVからマイナス3EVにまで広がり暗所での測距性能が向上したことと、従来のF5.6光束対応に加えて新しくF2.8光束にも対応して測距精度を高めたことの2つ。

 マイナス3EVの"暗さ" ―― ISO100で、F1.4レンズ開放で、15秒露光して、ようやく適正露出の写真が得られるほどの暗さ ―― でもピントが合わせられるようになったことが、K-5 II/K-5 IIsを使ってみて、もっとも実感できる進化だろう。薄暗いシーンでのAF測距が、K-5とはゼンゼン別もの、といった印象を受ける。
 ちなみに、マイナス3EVまで測距可能な位相差AFを備える一眼レフカメラは、このK-5 II/K-5 IIs以外には、まだ未発売のキヤノン・EOS 6Dだけ。ニコンD4やキヤノンEOS-1D Xでさえマイナス2EVまでだ。


 F2.8光束に対応してピントの精度が向上したのだけど、これを利用するには条件が2つあって、1つはF2.8よりも開放F値の明るいレンズを使用する、もう1つは11点AF測距ポイントの中央1点だけに限定してピント合わせをする必要がある。
 マイナス3EVとF2.8光束の対応によりK-7からのAFの「ウイークポイント」がだんだんと解消されていっているようだ(ライブビュー時のコントラストAFは充分に"早い"と思う)。今後の課題としては、F2.8光束対応の測距ポイントをもっと増やしていくことと、超音波モーター(SDM)内蔵レンズのAFスピードアップしていくことではないだろうか。

 そうそう、忘れたけどAF関連でもう1つ、K-5 II/K-5 IIsで新しく追加された機能がある。トラッキングAFが可能な「セレクトエリア拡大」のモードがそれ。この機能はすでにK-30に採用されているモノで、あちこちに高速で動き回る被写体をピントを合わせながら連続撮影するのに便利な機能。

 ただしこの機能は、従来のシステムを保ったまま"無理矢理"搭載したためだろうか設定方法が少し厄介。(1)メニュー内のセレクトエリア拡大モードにチェックを入れること、(2)AFエリア選択モードを「SEL」にセットすること、(3)AF-Cを選んでおくこと、この3つが必須設定項目となる。設定がめんどうなことはしょうがないとしても、この大切な設定方法が使用説明書に詳しくわかりやすく書かれていない。おいっ、不親切だぞペンタックス、と怒りたくもなりますね。

そりゃあ文句なしにK-5 IIsのほうがおすすめ

ペンタックスリコー・K-5 IIs+DA☆50~135mmF2.8ED IF SDM

 K-5をマイナーチェンジしてK-5 IIになると聞いたとき(はじめ、2機種あるとは知らなかった)、「えっ? いったいどこを変えるのか」と不思議に思った。というのも、いま使ってるK-5に、ぼくとしてはコレといった不満はない。とてもバランスのとれた ―― 画素数や画質やボディサイズやその他の撮影機能などなど ―― カメラで使い勝手もすこぶる良いに、と思っていた。マイナーチェンジというのも解せなかった。やるんならフルモデルチェンジではないか、と。ちまちました部分変更して総合的ないいバランスが崩れてしまうのはイヤだなあ…そんなふうに考えた。
 で、新型K-5 IIを見せてもらったら、なーんだ、K-5 IIsという隠し球があったのか。

 旧K-5からのマイナーチェンジ部分は「たった2つ」しかないが ―― 期待以上のデキの良いマイナーチェンジだったけれど ―― いや、そんなことよりも、ローパスフィルターを取り外してしまったK-5 IIsのほうにいっきに注目してしまった。ペンタックスもいつかはやるだろうと、うすうす感じてはいたがこんなカタチで、つまり、マイナーチェンジに紛れ込ませてやってくるとは思いもしなかった。


 ボディ外観はもちろん、ほとんどの撮影機能や機構は旧K-5そのままにして、はっきり言えば旧K-5からローパスフィルターを取ってしまった"だけ"のマイナーチェンジ、ではあるが、しかし印象としてはフルモデルチェンジしたかのように思わせてしまう。ウマいやり方だ。
 コストを(ほとんど)かけずに"モデルチェンジしたみたい"なもんだ。キヤノンやニコン、ソニーのように潤沢な開発資源も資力も持たないペンタックスが「アイディアで勝負」したようでもある。

 エラそうに言うつもりはまったくないけれど、ぼくは昨年、「来年のデジタルカメラは高画質がキーワードになるぞ」と予言していた。その通りに、カメラだけではなくレンズも含めて高画質化につき進んでいるが、カメラの高画質化にとって必要な条件は、1つは高画素化、もう1つはローパスフィルターレスだろう、とも予想していた。とくにローパスフィルターレスは(さまざまな理由や要因があるのだが)いっきに進むだろうと。ソコを見逃さずペンタックスはうまーく、機を見て敏にK-5 IIsを発表した。

 K-5 II/K-5 IIsについては、おいおい、使ってみた感想を述べるつもりだが、このK-5 IIとK-5 IIsの2機種で注目すべきは文句なしにK-5 IIsのほうで、ぼくはK-5 IIにはいまのところあまり興味も魅力も感じていない。

おもちゃレンズにしては良く写るぞ

オリンパス・PEN Lite E-PM2+ボディキャップレンズ15mmF8

 しかし、おもしろいモノを考え出したもんだなあ、オリンパスは。

 ただし「ボディキャップうんぬん」とは言ってるけど、オリンパスの本心は「まぎれもなくレンズだぞ」なのだろう。しかし「レンズ」と言ってしまうと、他のまっとうなレンズの手前、困ったことになる。そこで、「これはレンズキャップみたいなもんですが、オマケにして写せるようにもしておいたけど、じつはとっても良く写る、きっとびっくりしますよ」とのメッセージを伝えるために、ボディキャップうんぬんのコトバを緩衝材、予防線にしてるんだろう、と思うなあ、きっと。でもソコがおもしろんだけど。

 それにしてもオリンパスは、このたかが5千円程度のボディキャップレンズに、なみなみならぬチカラを入れているようで、はたから見ていると、そこまでやるか、と思ってしまう。

 たとえばだけど、この「レンズ」もまた手ブレ補正(ボディ内)の機能の恩恵を受けることができる。ただし、「レンズ」には電子接点がないからボディ側で焦点距離がわからない。手ブレ補正を効果的に働かすためにはレンズ焦点距離を知る必要がある。
 焦点距離が検知できないレンズのためには、手動で焦点距離を入力するモードがオリンパスのカメラに備わっている。ディフォルトは「50mm」。それが、この「レンズ」が発売されることが決まったら、新型のE-PL5とE-PM2だけはディフォルト焦点距離がこっそり「15mm」に変更されていた。


 つまり、新型E-PL5やE-PM2とボディキャップレンズ15mmF8を使用するときだけは、わざわざ焦点距離を手入力しなくても最適な手ブレ補正効果が得られる。たかがボディキャップレンズのためにですぞ、いままでの機種では、いっかんして「50mm」がディフォルトだったのをあっさりと変更してしまった。そこまでやるか、と思ったのはこのこと。
 それは、まあ(どうでも)イイことだけど、知っておいたほうがいいのはOM-D E-M5を含めそれより以前の機種にボディキャップレンズで撮影をするときは、手ブレ補正の効果を充分に受けようとするなら焦点距離手入力モードで「15mm」とセットしておく必要があるということ。

 さて、その写り具合はどうか。この「レンズ」の描写性能についてあれこれ述べるのは、じつにヤボテンであることは重々承知の上のことだが、少しだけ。
 画面周辺部はともかくも中心部付近は「へーっ」と感心するほどよく写る。遠景よりも近景のほうが描写は良い。ピントをしっかりと合わせて撮れば、黙って慌て者に見せれば「ほほー、なかなか味のある描写をしますなあ」と感心してくれる、それほど良く写る。ただし逆光でフレアーが目立ったりするが、そりゃあ仕方ないだろう。しょせんはおもちゃレンズなんだから。しかし、少なくともスマートフォンの内蔵カメラよりも、ずっとずっと良く写ることだけはマチガイないです。

追伸
 OM-D E-M5の最新バージョンを含め、これより古い機種には焦点距離手入力モードの中に「15mm」がないことを twitter で教えてもらった(ぼくは気づかなかった…)。なので、ボディキャップレンズを使うときは、今のところ「16mm」を選んでおくしかないですね。

レンズだけどレンズではないレンズ

オリンパス・PEN Lite E-PL5+ボディキャップレンズ15mmF8

 ボディキャップレンズ(BCL-1580)はマイクロフォーサーズ用の交換レンズとしても使えるが、交換レンズではない。これをオリンパスは M.ZUIKO DIGITAL交換レンズシリーズの1本とは認めず、そのレンズカテゴリーではなくカメラケースやグリップなどのアクセサリー類のひとつとして販売する。
 カメラアクセサリーなのだけど、通常の交換レンズと同じようにピントを合わせて撮影して写すことができる。そして"意外なほど"良く写る。写りの話は後日ということにして、その「描写性能」は、オモチャレンズよりも少しマシな程度、とはじめから覚悟して使うととても幸せになれる(たぶんめちゃくちゃ幸せを感じるだろうけど)。価格は実販で約5千円ぐらい。

 「交換レンズではない」とオリンパスが言っている理由は ―― でも、このボディキャップレンズにははっきりと「OLYMPUS LENS」と明記されていて多少の矛盾はあるけれど ―― マイクロフォーサーズの規格を満たしていないからだ。公表はされていないがマイクロフォーサーズシステムにはムツカシイ規格がごっそりとあって、その規格に正しく合致してなくてはならない。そういうキマリがあるのだ。マウント規格の一部は満たしているので(しかし電子接点はない)マイクロフォーサーズのカメラには取り付けることができる。15mmF8相当の撮影レンズとして使える。


 焦点距離は15mmなので35mm判換算で約30mm相当の画角のレンズとなる。3群3枚のレンズ構成で、開放F値はF8の固定式である。ピント合わせは(当然ながら)MFのみ。ボディキャップレンズの厚みは9ミリ。重さは22グラム。
 以下の解説を読む前に、この写真を見ておくとわかりやすいかも。

 レンズ ―― 正しくは「ボディキャップレンズBCL-1580」なのだけどじゃまくさいのでレンズという ―― の前面に小さなレバーがあって、これをスライドすることで内蔵バリアーが開く。同時にピントは無限遠にフォーカスにセットされる。さらに、そこから少しレバーを移動させると微かなクリック感があって、その位置がピント約3メートル。レバーをめいっぱい動かして止まったところが最短撮影距離の0.3メートル。
 もちろん、無限遠位置から最短の0.3メートルまでの間でレバーをウマくコントロールすればMFで"正確に"ピントを合わせて撮影することもできる。液晶画面の拡大表示機能(LV拡大モード)を利用すれば、とくに近距離撮影のときなど正確にすばやくピント合わせをして撮影を愉しむこともできる。

AFは速いし迷わない

オリンパス・OM-D E-M5+M.ZUIKO DIGITAL ED60mmF2.8 Macro

 マクロレンズを使っていてイラつくのはAFスピードが遅いことと、いったんピンボケになると頻繁に無限遠から至近までフォーカをサーチングすること(ピントを探すために行ったり来たりすること)だ。タチ悪いAFマクロレンズになると、何度も何度もサーチングした上で結局ギブアップ、測距不能ということも多い。仕方なくMFにしてピント合わせする。これにはうんざりしますね。
 ところがこの60mmマクロは、そうしたことが原因によるイラつきをほとんど感じさせないのだ。AFスピードも速いし大きなサーチングもめったにない。AFから、やむなくMFに切り替えるといったこともない。

 無限遠にピントを合わせてからすばやく近距離にピントを合わせようとしても、AFに迷うこともほとんどない。ほぼ"いっぱつ"でピントを合わせてくれる。使っててじつに気持ちいい。コントラストAFでピント合わせするにはどうしても避けられないウォブリングの動きをごくごくわずかにして、かつ大変に高速作動させているからだろう。


 とは言っても、やはり通常のレンズと違ってマクロレンズは測距距離範囲が広いからピントのサーチングは大きくなる。そこで必要となってくるのがフォーカスリミッター機構である。ピントが合わせられる距離範囲を限定しておくことでピントのサーチング幅を短くして、それにより測距スピードを早める。その設定スイッチがレンズ鏡筒に設けられている。

 フォーカスリミッターのポジションは、標準ポジションの「0.19m~無限遠」(0.19mが最短撮影距離)のほかに、近距離撮影をしないときの「0.4m~無限遠」、至近撮影だけをおこなうときの「0.19m~0.4m」が選べ、さらに「1:1」のポジションも設けられている。この「1:1」はダイヤルを回転するだけで、すばやくピント位置が最至近距離の0.19mにセットされるというもの。MFのときも動作する。
 このダイヤル(操作しづらい)とフォーカスリミッターのポジション(レイアウトがヘン)に少し難ありだったけど、ま、それはともかく、「1:1」のモードは瞬時に最短撮影距離にピントがセットできて、これ、実際使ってみると意外に便利でありました。

口径食とスポットフレアーがないレンズ

オリンパス・OM-D E-M5+M.ZUIKO DIGITAL ED60mmF2.8 Macro

 開放絞りでも、口径食が大変に少ないレンズである。画面周辺部の点光源のボケが半月のお月さんのように、まん丸なボケに写ってくれない現象を口径食という。レンズ周辺部から入ってきた光が鏡筒内部などでケラれて半月状態になってしまうからだ。口径食はそれが原因で、画面周辺部で充分な光量が確保できず、そのために周辺光量不足がおこってしまう。ついでながら、周辺光量不足になる原因は口径食のせいだけでなく、いわゆるコサイン四乗則(ネットででも調べてね)の影響にもよる。ともに開放絞り値のときほど目立つ、絞り込めばだんだんと目立たなくなる。
 ところがこの60mmマクロは、レンズ鏡筒がとても細いし、ちょっと長めの鏡筒だけど開放F2.8でも絞り込んでも点光源はキレイな丸ボケになる。これ、写した写真を見て意外と気持ちよろしいです。


 解像描写力も優れていて、適度なコントラストもある。色にじみが少なく、ヌケの良いシャープな描写をするマクロレンズだ。
 マクロレンズの撮影で発生しやすいスポットフレアー ―― 黒っぽい被写体を逆光などで撮ると画面の中心部あたりに丸いフレアーが発生する現象 ―― それがほとんどなく、そのため逆光で黒い被写体を拡大撮影しても大変にクリアーな写真が撮れる。マクロレンズ選びではスポットフレアーが出やすいかどうかのチェックは、解像描写性能以上に重要なポイントだ。
 とてもソンなふうには見えないが、防塵防滴仕様になっている。OM-D E-M5と組み合わせれば、小雨の中でも豪雨の中でも気にせずに撮影が愉しめる。ネイチャー写真用としてだけでなく、オールラウンドに使える万能レンズではなかろうか。
 上の写真はアートフィルターの「デイドリーム(DAY DREAM)」で撮影。

待望のマクロレンズ

オリンパス・OM-D E-M5+M.ZUIKO DIGITAL ED60mmF2.8 Macro

 オリンパスのマイクロフォーサーズ用のマクロレンズとしては ―― ようやくというか、待ってましたというべきか ―― "初"のレンズである。昨日(5日)から発売開始。約5万円。その描写性能と撮影機能を考えれば"安いレンズ"だと思う。
 画角は35mm判換算で120mm相当となる望遠マクロレンズである。いきなり120mm相当の望遠マクロ(ウマく使いこなすにはそこそこの苦労も必要)ってところが、ムカシからマクロ撮影機材については自信満々であるところのオリンパスらしいレンズでもある。

 最短撮影距離は19cmで、そのとき等倍(35mm判換算で2倍)までクローズアップできる(デジタルカメラで拡大倍率うんぬんの表記はヘンだとは思うけど ―― フィルムと違って撮像センサー面で"どれくらの大きさに写るか"なんてナンの意味もないからね)。
 最短時のワーキングディスタンスは約8.2cm。被写体とのワーキングディスタンスを充分に保って、気軽にクローズアップ撮影をするのには有利なレンズだといえる。


 とても細身(最大径は56mm)なレンズのせいだろうか全長(82mm)がやや長い印象を受ける。しかし実際はとてもコンパクトで、約185gと軽い。洋服のポケットに入れておいてもほとんど気にもならないほどの小さなレンズだ。レンズの外観デザインは、うーむナンというか、ダサいなあと思う。12mmF2や75mmF1.8といった、いかにも見栄えするレンズとはだいぶ違う。とにかく、レンズを細く小さく見せようとしてデザインされ、カッコ良さなんて二の次ってことが一目瞭然であることが残念だったなあ。

 ピント合わせは3群フローティングタイプのインナーフォーカス式である(静止画の時は2群移動、動画の時は3群移動する)。ぼくはインナーフォーカスのレンズは(いろんな理由があって)どうも好きになれないのだけど、撮影距離が変わってもレンズ全長はまったく変化しないことはいい。
 レンズ鏡筒にはフォーカスリミッターのダイヤルが設けられていて、最短19cmから∞までのフルレンジのほか、40cm~∞、19cm~40cmのプリセットポジションが選べる。さらに「1:1」のポジションがあって、ここにダイヤルを合わせると瞬時に最短距離19cmにピントがセットされる。とにもかくにも超クローズアップにして撮りたい、と思ったときにイッキにピント位置をセットしてくれる便利な機能だ。
 写りはすばらしい。そのことについては後日にでも。