フードが別売のことと、ブラックモデルについて

オリンパス・E-PM2 + M.ZUIKO DIGITAL 17mmF1.8

 オリンパスの交換レンズのほとんどは、レンズフードが別売になっている。レンズフード別売は、なにもオリンパスだけではなく他のメーカーでもやっているところはある。ただ、そうしたメーカーは最近は少なくなっている。高倍率ズームレンズ用のレンズフードの効果についてはあれこれの意見もあるだろうし、もともとフードを必要としないユーザーもいるかもしれない。しかし、使う使わないはユーザーの自由として、レンズにとってフードはレンズキャップと同じように必要な標準付属品ではないだろうか。ぼくはそう考える。

 せめて、12mmF2、45mmF1.8、75mmF1.8、そしてこの17mmレンズには、プラスチック製のレンズフードでもいいから標準で付属しておいてほしかった。60mmF2.8MACROの専用レンズフードなんかプラ製だけど、とっても良くできていて「ぜひ必要なフード」だと思うのだが、別途、5千円も出して購入しなければならない。17mmの別売フードは金属製で約7千円。
 75mmも12mmも約1万円もする立派な金属製しかない(45mmの別売フードはプラ製の、どーってことのないフードだけど4千円近くもする)。「12mmや75mm、17mmは高品位な金属鏡筒レンズなので、安っぽいプラ製フードは似合わない。そこで特別製の金属フードを用意しました」と、オリンパスは言うに決まっているが(そうは言ってないけど)、でも、とりあえずはプラ製フードでいいからそれを使っていたい、というユーザーもいるはずだ。


 フードのほかにもうひとつ17mmF1.8レンズについて思うところがあって、それはシルバーモデルのみでブラックモデルがないこと。12mm、45mm、75mmはレンズデザインからしても、ブラックモデルがとっても良く似合いそうなスタイルのレンズだし要望も多かったはずなのに、17mmもまたシルバーモデルだけ。オリンパスに聞いても、「ブラックモデルの販売予定はない」とそっけない返事なのだ。
 ところが、12mmだけは特別キット(世界限定3000セット)として、金属製フードやレンズキャップをセットにして、えらく"もったいぶって"販売を始めた。

 先日たまたま、その12mmF2の「リミテッドブラックキット」を見せてもらう機会があった。そのキットを見て、「ナニもここまで大袈裟にやらなくてもいいのに…」と唖然としてしまった。
 ともかく、ま、この12mmブラックキットの写真を見てみるといいだろう。

 (1) キットが入った化粧箱には薄紙が丁寧に巻き付けてある。(2)(3) 薄紙を外して箱を開けると、また薄紙が1枚。(4) 大きな化粧箱の中に、小さな化粧箱が5つきれいに並んでいる。(5) 小さな箱を取り出すと、5つのうち4つ(レンズ本体、レンズフード、レンズキャップ、プロテクターフィルター)の箱にはまた薄紙が巻き付けてある。薄紙なしの箱はダミーで、大きな化粧箱にきちんと入れるためのもの(なんてこった)。(6) ブラックタイプの12mmを"拝顔"しようと丁寧に薄紙を取りレンズを取り出したのがこれ。正直言って呆れましたね。

 もっと肩のチカラを抜いてですよ、ごくごくフツーのブラックモデルを販売してくれればいいのになあ、と、コレを見て思った次第。

17mmF1.8レンズの最短撮影距離

オリンパス・E-PL5 + M.ZUIKO DIGITAL 17mmF1.8

 この17mmF1.8レンズはピント合わせの方法に3種類がある。12mmF2レンズも同じ。1つはAFでピントを合わせる方法。2つめはカメラのメニューでMFを選んで手動でピント合わせをする方法。そして3つめが、ピントリングを手前側にスライドしてMFに切り替える「スナップショットフォーカス」の方法。
 前回のこのブログ(11/24)でも述べたけど「スナップショットフォーカス」は目測して距離目盛りから選んでそれをセットする方法(モニター画面を見てピントを合わせてもいいんだけど正確にピントが合わせられるかどうかは疑問)。正しくピントを合わせようとしてもステップ式のゾーンフォーカスなので、ハズれるとわずかだがピンボケになる(これはかなり厳密なピント精度のレベルでの話だけど)。

 しかし、メニューでAFからMFにしてピント合わせをするのに比べれば、やはり正確さという点ではどうしても劣る。ところでぼくは、はっきり言って(一般的に、だけど)ゾーンフォーカスでのピント合わせは、昔からだけどどうも好きになれない。だから目測ピントでノーファインダー撮影することはめったにない。ノーファインダー撮影も好きじゃない。
 というと、また、ノーファインダー撮影法はイケナイのかッ、と突っかかってくる人がいるに違いないが、そんなことはないよ、ぼくは否定しているわけではないんだからね。撮影技法はひとぞれぞれ。ぼくはキライだからめったにやらない、ってだけの話だ。

 話が横道に逸れたが、つまりゾーンフォーカスのピント合わせってのは被写界深度に頼ってるわけで、しかしデジタルカメラが高画素化してそれをピクセル等倍表示で「鑑賞」する機会が多いことを考えると ―― 17mmレンズの場合、許容錯乱円の大きさを1/60mmにしてゾーンフォーカスを決めているようだけど ―― 被写界深度を頼ってピントを納得させるというのはどう考えたって無理があるように思う。


 ふたたび、話は大きく変わるが、17mmF1.8レンズの最短撮影距離はオリンパスが発表するスペック表を見ると「0.25m」と書いてある。無限遠の遠くから至近25cmまでならピントが合わせられるということ。
 ところが、この最短25cmというのはスナップショットフォーカスモードの時だけで、AFやMF(メニュー切り替えによる)では最短撮影距離は、実測で約18cmほどになる。レンズによっては17cmぐらいまでピントが合うものもあるようだけど、その詳細は不明。

 いずれにしても、なぜオリンパスが公式スペック表にスナップショットフォーカスモードの最短距離「25cm」を書き、それよりももっと最短距離の短いAF/MFでの距離数値を明記しなかったのか不可解…。理由がぼくにはさっぱりわからない ―― というのはウソで、ほら蛇の道はヘビというではないか、レンズをじっくりと見てみればなんとなく合点がいくところもなくもない。
 当たり前のことだけど、実際にAF/MFで18cmの至近距離撮影をして、操作性はもちろん、その画像を隅々までチェックしたけど、取り立てて欠点や不具合は見られない。ちなみに、12mmF2レンズも、スナップショットフォーカスでの最短「20cm」をスペック表に明記しているが、実際は(AF/MFで)最短は「17cm」となる。

 機会があればオリンパスにこのことをキチンと聞いてみようと思っているが、それにしても、オリンパスはこのように多くの人にとってワケのわからんことをときどきやるんだよなあ…。

スナップショットフォーカスモードのピント合わせ

オリンパス・E-PL5 + M.ZUIKO DIGITAL 17mmF1.8

 12mmF2、45mmF1.8、75mmF1.8に続くマイクロフォーサーズ用の大口径単焦点シリーズに新しく加わったのがこの17mmF1.8レンズである。
 レンズのスタイル(使い勝手)やテイスト(描写のクセ)は12mmF2レンズに似ているように思う。鋭利な刃物ですぱっと切れるようなシャープさ少ないけれど、解像力と諧調描写力は充分に備わっている。そんなところが12mmF2と似ているが、17mmF1.8のほうがややコントラスト、先鋭感があるように使ってみてそう感じた。はっきりしていることは45mmF1.8や70mmF1.8のように鋭いシャープさと高い解像感があって誰が見ても「すばらしい描写力だ」という"わかりやすい"レンズとは少し違う。

 シャープネス、コントラスト、諧調描写性、解像感について、とてもバランスのとれた良いレンズだ。4本の大口径単焦点シリーズの中ではいちばん「好き」な写りをするレンズである。うまく言えないけれど、なんだか、しっくりとする描写、つんつん尖ったところのない描写、ほっとする写り、という感じ。


 12mmF2レンズに似たスタイルだと言ったのは、この17mmF1.8も、12mmF2と同じスナップショットフォーカス機構を採用している。この機構は、フォーカスリングを手前側にスライドすると瞬時にAFからMFに切り替わり、距離目盛りを見ながら「目測」ですばやくピントを合わせて撮影できるというものである。
 つまり、カンタンに言えばゾーンフォーカス。リニアにピントが合わせられる通常一般的なMFではない。被写界深度を利用してパーンフォーカス撮影をするもので、この機構を利用するとリニアで正確なピント合わせはできない。12mmF2レンズもそうだ。

 だから ―― ここによく注意しておかなければならないことだが ―― たとえばテストチャートを撮影して解像力のチェックをやろうとしたときに、MFを選んでしっかりとピントを合わせて撮ろうと、ピントリングをスライドさせ「MFモードにしたつもり」で撮影をしてしまうと(ゾーンフォーカスなのだから)厳密なピントチェックはできないということになる。
 17mmF1.8の描写性能がよろしくない、といったテスト結果をインターネット上で見かけることがあるのだが、ひょっとすると、このスナップショットフォーカスモードを通常のMFモードとカンチガイして撮ってるんではないか、と疑いたくなる。素晴らしい描写性能を持ったレンズなのだから"悪い"なんてとても納得できないからだ。
 このレンズを使って正確にピントを合わせて撮るにはAFがいちばんのおすすめだけど、もう1つのMFを選べば正確にピント合わせもできる。それについては次回に。

ライカのブランド力

ライカ・Leica M Monochrom + リコー・GR21mmF3.5

 一般的なデジタルカメラで撮ったカラー画像からモノクロ画像に変換したり、カメラ内蔵のモノクロモードで撮って白黒写真を得ることはカンタンにできる。しかし、その白黒写真を見るとどうも"違う"のである。白黒フィルムで撮った写真とである。
 ナニが違うのか、と問われても困るのだが、曖昧な答えになるけれど「諧調」かなと思う。ディープシャドー部の黒のシマリは、まるで宇宙の果てのように黒くて深いのだけど、ぼくが興味を持ったのはハイライト部の描写だった。

 白とびがほとんどなくて、微妙に、わずかにグラディエーションが残っている。いや、もちろんハイエストライト部は"真っ白"に写るけれどその「白さ」が違う感じ。だから、なんとなく立体感があるんですよね、画像に、写真に。
 いままで長年デジタルカメラを使ってきて"初めて"感じたフィルムライクな奥行き感のある画像だった。こうしたテイストがデジタルカラー画像にもっとも欠けていた部分ではないだろうか。このライカM モノクロームのデジタル白黒画像をよく見つめてみることで、デジタルカラー画像の画づくりでやらねばならいことが見つけられるかもしれない。抽象的で観念的なハナシで申し訳ないけど。

 ところで、これがドイツおばさんのようなライカM モノクロームの後ろ姿。ホットシューの右肩に「MONOCHROME」と小さく刻印があるだけ。


 フィルムカメラでは長い歴史と伝統を持つライカだけどデジタルカメラについては新参もいいところ。デジタルカメラの新人だ。カメラメーカーとしてはフィルムカメラからデジタルカメラに切り替えるのがもっとも遅かったメーカーのひとつだろう。でも、そうしたハンディを乗り越えてよくがんばっていると思う(まだまだ未熟なところもなくもないけど)。
 しかし、M モノクロームにしたってそうだが、ライカの画質を見ると写真画質のなんたるかをよく知っているように感じる。ライカのターゲットとするユーザーが「一般」ではなく「特殊」な人たちだから、ぐいぐいと"こだわり"を最優先して画づくりをしていけるからに違いない。だから、もちろん大量に売れることなどハナから考えていない。

 ライカ社すべてで現在の総社員は約1300人。販売も設計も製造も、そしてカメラだけでなくレンズ製造も含めてすべて約1300人の会社だ。いまは、あのエルメスの翼下に入っている。
 その人数で ―― 多いと思うか少ないと思うか ―― フィルムカメラ(ほそぼそと続けている)、デジタルコンパクトカメラ(一部、他社のお世話になっている機種もあるようだけど)、そしてM型(フルサイズ判にも早くから取り組んでいる)、さらに中判デジタルカメラ(どんな理由があろうとめちゃくちゃ高いカメラだが)、交換レンズあれこれ(ツアイスレンズに比べるとやや魅力に乏しいけど)を作り続け売り続けている。

 ライカのブランド力だ、といってしまえば元も子もない。確かにそれもあるだろうけど、ぼくは決してそれだけではないように思う。我らのカメラメーカーが、いまあらためて「参考」にしてみるところもあるんではないだろうか。

文句あっかぁ、のライカ白黒写真専用カメラ

ライカ・Leica M Monochrom + sumilux35mmF1.4
 ライカM型のモノクロ専用デジタルカメラ。デジタルカメラではおそらく世界唯一のモノクロ専用カメラではないだろうか。言うまでもないがカラーでは撮れない。RAWで撮ってもカラーにできない。白黒写真専用カメラ。「なんか文句あっかぁ」と、ライカだからできる堂々とした割り切りかた。価格は約90万円、もちろんボディのみ。
 35mm判フルサイズの撮像センサーで画素数は1800万画素。もちろんオンチップのカラーフィルターもないし、ローパスフィルターもない。撮影モードはマニュアルと絞り優先AEのみ。撮影感度はISO320~ISO10000まで(拡張でISO160も選べるが)。標準感度がISO320と"高感度"なのが困るという人もいるようだけど、ぼくはその昔、ISO400のトライXフィルムを常用していたからむしろ大歓迎。

 ボディはM9-Pに似ていて、ライカとしてはとにかくデカい。その外観デザインは、いっさいの飾りっ気がなく(そう、あの赤いライカバッチもない)黒ずくめ。まるで、喪中で気むずかしいドイツのおばさん、という気もしないでもない。
 デジタルM型ライカを使うとき、いつも戸惑うのはカメラをホールドしたときの右手親指の所在なさだ。フィルムM型ライカなら巻き上げレバーに親指を引っかけておくことでひと安心できるのだがデジタルM型ライカではそれができず、なんだかオシリがむずむずしてしまう感じ。


 モノクロ専用のデジタルカメラを使うのは初めてだったので慣れるまで ―― 昔取った杵柄というじゃないか、長年モノクロフィルムを使ってきたからすぐに慣れたけど ―― 正直を言えばやや戸惑った。ついつい"カラーの眼"でモノを見てしまいフレーミングしてしまうのだ。
 画像は大変にシャープ。トライXを思い出しながらISO400で撮っていたが、その画像を見たとき、あまりの鮮鋭さと粒状性のなさにびっくり仰天。豊かな諧調描写もあって、まるで上手に現像したプラスXのような感じもしないでもなかった。なんだか懐かしい。
 使ったレンズは描写性能に不満たらたらだったぼくのズミルックス35mmF1.4だったけど、このレンズがこんなにも良く写るとはライカ M モノクロームカメラを使って初めて感じたことだった。リコーのGR28mmF2.8(ライカLマウントレンズ)も使ってみたけど、そりゃあ素晴らしくシャープでドキリっとするような描写だった。

 そうそう、白黒専用カメラと言ったけど、セピア調(強弱2種類)に仕上げることもできる。白黒モードでは「暖色系」と「寒色系」が選べ、さらに色調の強弱やOFFに設定することもできる。ぼくの好みは白黒モードの暖色系。
 デジタルカメラなのに、ときどき「ふっ」と白黒フィルムを使って撮影しているような錯覚をすることがあって不思議で愉しいときを過ごしました。もちろんぼくにはとても買えませんのでライカには早々に返却しましたよ。