X20のファインダー

富士フイルム・X20

 X20では、X100Sとはまったく異なったスタイルでファインダーをX10から大幅に進化させた。実像型の光学ファインダーに極薄の「デジタルトランス液晶パネル」を組み込んで、さまざまな情報を表示するようにしたことである。いずれも従来のファインダー機構をそのままにしながら新しい仕組みを取り入れていることがポイント。

 光学ファインダー(ズーム連動型実像式光学ファインダー)を形成しているガラスプリズム(2個)のわずかなすき間(1mm以下)に、透過率のきわめて高い薄型液晶パネルを挿入。これにより、実像式の光学ファインダーの画面内に、AFフレーム、シャッタースピード、絞り値、露出補正値、手ブレ警告などの文字やアイコンで表示(実線は数ミクロンという細さで)するようになった。


 表示情報はR/G/B3色のLEDを利用して、シーンが明るいときは黒色に、暗いシーンではグリーンに自動的に変化する。また、AFエラー時はレッド、AF/AEロック時はブルーで表示するといった懲りようだ。ファインダー接眼部脇には新しくアイセンサーを設けてモニター画面の自動ON/OFFをしてくれるようにもなった。

 ともかく、実像式光学ファインダーの画面内に情報を表示させたこと(世界初)、薄型といえど液晶パネルを光学系に挟み込んだにもかかわらずファインダー視認性をほとんど損なっていないことが、X20のファインダーの素晴らしいところだろう。旧型X10の不満を大きく改善して、ほんと、良いカメラになった。
 X100Sのデジタルスプリットイメージもそうだし、次に話をするつもりの点像復元技術にしても、最近の富士フイルムのデジタルカメラの技術力の高さには、いやほんと、感服させられる。

X100Sのファインダー

富士フイルム・X100S

 100S/X20になって、それぞれのファインダーに"画期的な機構"が組み込まれた。今回はX100Sのファインダーについ、X20のファインダーについては次回で話をしたい。

 X100Sのほうには、マニュアルフォーカスのモード時に上下像のズレを合致させてピント合わせをする「デジタルスプリットイメージ」を採用している。像面位相差画素を利用していることがミソ。

 X100Sのデジタルスプリットイメージは、像面位相差画素を使ってピント(像)のズレのデータを画像化して ―― ピント位置を数mmづつズラしながら約100カット近く擬似的に撮影してそのデータを画像にしている ―― 像のズレとボケが同時にかつ連続的に見えるようにしたものだ。
 スプリットイメージというと一眼レフカメラのそれを思い浮かべてしまうが、実際は二重像合致式といったほうがわかりやすいだろう(X100Sのそれは二重像部分がぼけたりシャープに見えたりするから、そういう意味ではスプリットイメージと言ったほうが正解かも)。


 スプリットイメージ(二重像合致式)は古くからあるピント合わせの方式のひとつだ。左右または上下にズレた半透過の像がレンズのピントリングに連動していて、ふたつの像がピタリと一致すれば合焦したことになる。
 二重像合致式はMライカなどのレンジファインダーカメラにも採用されているが ―― やや乱暴にいえば ―― それをデジタル画像化したのがX100Sのスプリットイメージ。世界初。

 X100Sはファインダー画面の中央部(位相差画素の配置範囲)をスプリットイメージ化している。半透明の濃いグレーで、上下4段に分割。ピント操作すると左右にズレた上下像が、ピントが合うとズレがなくなり上下像が合致する。EVFだけでなくライブビューのときのボディ背面LCDモニター上でも使用できる。

 ただし、やや「未完」の部分もなくもない ―― 初ものだからしょうがないじゃないか。このデジタルスプリットイメージを使ってピント合わせをするには、それそうとうの「コツと経験」が必要だし、暗いシーンでは相当に見づらい。とはいうけれど、とくに近接マクロ撮影のときや、ピンポイントで正確にピント合わせをするにはとても便利に活用できてとても便利だ。

像面位相差AF

富士フイルム・X20

 X-Pro1やX-E1に使用されているイメージセンサーがX-Trans CMOSで、それ には像面位相差画素がない。X100SとX20が新しく使用した X-Trans CMOS II には像面位相差画素を組み込んでいる。位相差画素はイメージセンサー面の中央部に約10万個、全体の約40%の広いエリアに配置している。
 像面位相差画素を使うAFは、同じく像面のセンサーを使ってピント合わせをするコントラストAFに比べて測距スピードを速くできる利点がある。一眼レフカメラなどに採用している独立した位相差AFセンサーの方式よりもピント精度に優れているのも利点のひとつ。

 いっぽう、欠点としては暗いシーンでの測距が苦手であること、画像生成するための画素を位相差のために使用してしまうため画像情報をスポイルしてしまうことだ。
 しかし「II」では、低輝度時のAFは苦手のままであるが、画像生成の影響に対しては位相差画素に独自のマスキング方式を採用することでその欠点をクリアーさせている。カンタンに言えば、画素を位相検出のためだけに使用するのではなく、画像生成の役目も残すような構造にしているというわけ。


 コントラストAFでは、ピントを合わせようとしたときに被写体が手前なのか奥なのかを調べるために、いったんレンズを高速で前後させて被写体のコントラストをチェックする。この動作をウォブリングという。ウォブリングしたのちに、その方向にレンズを動かしてピントを合わせる。
 しかし位相差AFでは、被写体にカメラを向けただけで手前か奥かが判別できるので、ウォブリングの必要もなくスピーディーにレンズを被写体に向けて駆動することができる。

 ただし一眼レフカメラの位相差センサーを使用するAF方式にはひとつ「欠点」がある。それは構造上しかたのないことなのだが ―― ごく厳密に言えば ―― 正確なピントが得られないことがあるということ(詳しく説明したいが長くなるので省略)。
 しかし、像面位相差方式であれば、コントラスト方式と同じく「像面ダイレクト測距」であるためピントは正確だし、かつ、高速でAFできる。これが大きな「利点」だ。

 いっぽう像面位相差AFには、一眼レフ内蔵の位相差AFにはない「欠点」もある。低輝度シーン(暗い被写体)になると、AFがとたんにイクジがなくなることだ。
 そこで像面位相差AFを採用するカメラでは、明るいシーンでは像面位相差AFを、暗いシーンになるとコントラストAFに切り替えてピント合わせをおこなっているものも多い。X100S/X20もそのように明暗のシーンで切り替えてAFをおこなっている。

X-Trans CMOS II イメージセンサー

富士フイルム・X100S

 X100もX10も、新しく「X100SとX20」にモデルチェンジされて、レンズやカメラデザインなどは同じだが機能や機構が大きく進化した。メカ的にもソフト的にも注目すべき点がいくつかある。それにしても、最近の富士フイルムのデジタルカメラの技術的な進歩は著しいものがある(画質的にも)。

 X100S、X20は、ともに共通してイメージセンサーが新しくなった。このほかに、ファインダーに新しい機構が組み込まれたこと、回折現象を目立たなくする画像処理技術が盛り込まれたことなどがある。それらについては、機会をみてぜひ解説をしたい(予定)。ぼくとしては、その2つとも"画期的な技術"だと言ってもいいほどの機能や機構だと考えている。

 ところで ―― まったくどうでもイイことだけど、旧型X100の正式な名称が「FinePix X100」であったのだが、新型X100SになってFinePixがなくなり「X100S」となった(カメラボディの底面を見ればわかる)。FinePixを取り去ったのは、X-Pro1やX-E1などと同じ「Xシリーズ」として打ち出そうとしているのだろう。X20のほうも、「FinePix X10」から「X20」となった。…だからどーした、と言われても困るけど。


 イメージセンサーは、旧型X100が1230万画素のAPS-Cサイズのベイヤー方式CMOSだったが、新型X100Sでは、1630万画素の同じくAPS-Cサイズの「X-Trans CMOS II」となった。同じく、旧型X10の2/3型の1200万画素CMOSは、新型X20では、センサーサイズも画素数も同じまま「X-Trans CMOS II」に変更された。

 X-Trans CMOSとは、R/G/Bカラーフィルターを6×6画素の中でランダム配列することでモアレ/偽色の発生を抑える機能を備えている。これにより光学ローパスフィルター(OLF)の必要がなくなり解像感を大幅に向上させている。フジが独自開発したイメージセンサーで、すでにX-Pro1やX-E1に採用されている。
 そのX-Trans CMOSセンサーに、像面位相差画素を組み込んだのがX100SとX20に搭載された「X-Trans CMOS II」センサーであるというわけだ。

X100sの起動時間

富士フイルム・X20

 X100がX100Sに、X10がX20にそれぞれモデルチェンジされた。カメラ外観のデザインやスタイリングは旧型をほぼそっくり受け継いでいて、そういう意味では"新鮮さ"はまったくない。しかし新型の「中身」は旧型とはぜんぜん違う。大幅な進化だ。フルモデルチェンジと言ってもいい。

 旧型X100やX10から新型X100SやX20になって"大幅に進化"した点は、大きく3つある。X100S、X20に共通だが、1つはイメージセンサーが新しくなったこと。2つめはファインダーに新しい機構を取り入れたこと。3つめは回折現象をソフト処理で軽減する機能を入れたことだ。
 その他、細かな(とはいうけれど、大変に重要な)改良点もあって、たとえば連写コマ数が増えたこと、AFスピードが高速化したことなどである。



 メインスイッチをONにして撮影が可能な状態になるまでの起動時間が早くなったのも、大きな改良点のひとつだ。X100/X100Sの場合、旧型X100が約2秒ほどかかっていたのが(もっとかかっているような印象だが)、新型X100sでは0.5秒と大幅に高速化した。
 上の動画(約10秒ほど)を見れば一目瞭然だが、左が新型X100S、右が旧型X100で、せーのっでメインスイッチをONにした。X100sはほぼ瞬時にモニター画面が表示されてスタンバイ状態になるのに対して、X100はブラックアウトがしばらく続いたのちに、じんわりとモニター画面が表示される。

 X100に比べAFスピードもじつに速くはなったが、しかしX100Sを使っていちばん感心したのは、この起動時間の高速化だった。もちろんX20でも、同じく0.5秒に高速化している。
 なお、上のX100/X100sの比較動画はX20のフルHDモードで撮影したもの。X10は30fpsだったがX20では60fpsで撮れるようになった。

Q10の新ファームウエア

ペンタックスリコー・PENTAX Q10+06 TELEPHOTO ZOOM

 数日前にPENTAX Q10の新しいファームウエアがリリースされ、バージョンが「1.0」から「1.01」になった。その新しいファームウエアをアップデートしたところ、AFの測距スピードが大幅に速くなった。体感的には「約3倍」ほどスピードアップした印象である。
 とくに、新しくレンズラインナップに加わった愛用の望遠ズームの「06」のAFスピードが、めちゃくちゃ速くなったのがウレシイ。

 今日、手元にあった2台のQ10を使い、1台は旧ファームウエア1.0のまま、もう1台のほうは新ファームウエア1.01にアップデートして、その2台で比べてみた。


 旧ファーム1.0のほうは、「おいおいっ、どーしたんだよ」と言いたくなるほどノンビリとピントを合わせる。急いで撮りたいときなど、ストレスが溜まるいっぽうだった。ところが新ファーム1.01にしたとたん、カメラを間違えたのかと思うほどスイスイとピントが合う。じつに気持ちが良くなる。
 ファームウエアをちょいとアップデートしただけで、こんなにも"劇的"にカメラが良くなったなんて、ぼくはいままで経験したことがない。

 というわけでQ10のユーザーのかたは、なにはさておき、新ファームウエア1.01にアップデートすべきだ。もし知人でQ10を使っている人がいるなら、「すぐにファームウエアをアップデートすべきだぞ」と教えてあげたらいい。
 http://www.pentax.jp/japan/support/download/digital/q10_s.html

S1をすすめる理由

ニコン・Nikon 1 S1+1 NIKKOR VR 6.7~13mmF3.5~5.6

 Nikon 1 J3とS1のボディ単体価格は、オンラインショップのニコンダイレクトによるとJ3が約7万円、S1が約5万5千円。ざっと1万5千円の差である。しかし、基本的な撮影性能はJ3もS1もほとんど同じだ。違いといえば、前回のこのブログでも言ったけど、J3とS1とは画素数、ボディ外装材ぐらい。S1は初代J1/V1と同じくローパスフィルターは1枚だけだが、J3(V2も)ではその1枚も取り外してしまった【訂正・S1はJ1/V1と同じイメージセンサーを使用しているのですが、S1は光学ローパスフィルターレスである、とニコンのHPで公表していますね】。画素数が多いことと完全ローパスレスになったことで、J3のほうが解像感では確かに優れているけれど、ことNikon 1にかんしては(イメージセンサーのサイズも影響しているのだろうが)通常の使用範囲ではほとんど「差」は感じられない。
 像面位相差AF、最高約60コマ/秒の高速連写性能、最高ISO6400までの高ISO感度、Nikon 1ならではの、スロービュー、スマートフォトセレクター、モーションスナップショットなどの撮影モードも備わっている。

 J3のボディ外装はアルミ金属で、S1はプラスチック材。塗装のせいかもしれないがJ3はつるつる滑ってじつにホールディングしにくい。J3は持つとひんやりとした金属の感触があってそれはそれでいいのだけど、S1のほうが"しっとり"とした感触がありホールディング感は良い。J3にはグリップしたときのボディ背面の親指ポジションにゴムの滑り止めがなくて、とても不安定(J1/J2にはあったのにねえ)。いっぽうS1には(安いカメラなのに)親指滑り止めのゴムあてがある。ボディサイズはほとんど同じだが(幅と高さでJ3が約1ミリ小さい)、ホールディング性はS1のほうがずっと良かった。


 ただしS1にはモードダイヤルがないので、各種設定を変更しようとすると必ずメニュー画面に入ってその画面の中を探し回らなければならない。そのインターフェースがデキの悪い地図を見ているようで迷いに迷う。とにかく「階層」が深いうえに、あちこちに散らばりすぎている。S1のメインとなるユーザーターのことを考えると、ニコンの「不親切さ」にあきれる。ナンでもカンでも詰め込んでおけばイイってもんでもないだろうに。「引き算」の良さを知ってほしい。
 たとえば、動画と静止画と音楽を組み合わせてショートムービーを作る「モーションスナップショット」のモードがあるのだけど、この設定項目が多岐にわたっているうえに複雑怪奇。はたしてココまでの設定がS1に必要なのだろうかと大いに疑問。

 しかしながら(ここからが本日のテーマ)、S1は、多機能で複雑操作を強いられるカメラではあるが、備わっている機能の仕組みと働きを良く理解したうえでカメラの操作方法に慣れれば、こんなに低価格で、かつ愉しい撮影ができるカメラはほかにはないと思う。他のどんなカメラをもってしても撮れないものがこのカメラでは撮れる。コストパフォーマンスはすこぶる良い。
 このS1はカメラの操作が苦手なカメラ初心の人たちにはおすすめできないが、カメラの機能や機構に詳しい「ベテラン」ならササッと使いこなして、きっと個性的な映像や静止画が撮れるに違いない。本格的サブカメラ(ヘンな言い方だけど)、としてはイチオシのカメラだと考えるぞ。

世代交代したNikon 1

ニコン・Nikon 1 S1+1 NIKKOR VR 10~100mmF4~5.6

 昨年2012年の夏ごろから、Nikon 1が「さみだれ式」にモデルチェンジをしている。気がつけば、いつの間にか初代のV1とJ1がすっかり世代交代していて、さらに新しくS1という機種がNikon 1シリーズに加わっているではないか。
 昨年6月ごろにJ1がJ2になり ―― このモデルチェンジがいまとなってはよく意味がわからないのだけど ―― 11月にはV1がV2となり、今年2013年の1月になってJ2のモデルチェンジとしてJ3が、そして同時に低価格版のS1が発表された。

 それぞれの機種の「違い」については説明がめんどうなので省略するが ―― というのも、そっけなさすぎるので、ごくごくカンタンに言えば、V2とJ3はイメージセンサーを約1011万画素から約1430万画素にしたこと、S1のほうはV1やJ1/J2と同じ約1011万画素のものをそのまま使用している。


 つまり現在、Nikon 1シリーズには「V2」、「J3」、「S1」の3機種がラインナップされているというわけだ(なぜかJ2もしばらく並行販売されるようだけど、そのへんの事情は不明)。
 V2、J3、S1は「Nikon 1 的撮影機能」 ―― 高速連写だとかスロービュー、スマートフォトセレクター、モーションスナップショットなどなどのNikon 1 ならではの撮影機能 ―― については3機種ともほぼ同じに備わっているし、むろん、P/A/S/Mやシーンモードなども備わっている。

 カメラのスタイリングは(外観デザイン、と言えばいいか)、V2がちょっと"異色"で、それに対してJ3とS1はとても似ていてオーソドックスなミラーレスカメラふう。J3とS1との違いはイメージセンサーの画素数と、モードダイヤルのあり(J3)なし(S1)、ボディ外装が金属(J3)とプラスチック(S1)ぐらいである。

 繰り返すけれど、J3もS1も(V2も)撮影機能は同じ。めちゃくちゃ多機能なカメラ。
 多機能なカメラだから、撮影モードを呼び出したり設定するのにモードダイヤルがあったほうがわかりやすいし操作もしやすい(それでも使いこなしは相当に難しいけど)。だから、モードダイヤルの備わっていないS1はといえば、ごくカンタンな撮影モードを選ぼうとしただけで、まるで東京杉並区の住宅街の細道に迷い込んだようでナニがナンだかワケがわからなくなる。

 そういう意味では(操作が難解だという意味だ)、S1 は相当に"キケン"なカメラなのだが、しかし、Nikon 1シリーズの中では ―― ユーザーを限定するが ―― ぼくとしては「イチオシ」のカメラでもあるのだ。

メカニズムのチカラ

アップル+iPhone 4S

 1月31日から始まった「CP+2013」は今日、2月3日が最終日。今年のCP+は各メーカーとも昨年のように、注目の"新製品お披露目"はほとんどなく、ちょっぴりパンチに欠けていた。でも、昨年とほぼ変わらないぐらいたくさんの人たちが来場していて、いつも通りの大混雑があちこちで見られた。

 各メーカーのブースで昨年と少し違ったのは(ぼくの印象だけど)、交換レンズの展示にチカラを入れていたことだった。レンズをもっと買ってもらいたい、というメーカーの思い(思わく)もあったのだろう ―― 誤解をまねく言い方かもしれないが、ボディを売るよりもレンズを売ったほうが"儲かる"からだ。
 いや、"儲け"はともかくとして、レンズ交換して撮影すれば写真の愉しみはもっともっと広がるのだけど、そのことをユーザーは知らない、感じていない。そこで写真文化をさらに普及させるためにも ―― ま、ひいては、売れる、ということなんだけど ―― 「レンズ」に注目してほしい、といういちめんもあったのかもしれない。


 CP+2013での各社ブースの展示で、いちばんおもしろかったのはシグマだった。
 ブースの少し奥まったところに"小部屋"を作って、そこにレンズ1本をほぼ完全に分解して並べていた。「レンズの解剖(Anatomy of Camera Lens)」。ズームレンズの17-70mmF2.8-4 DC MACRO OS HSMを徹底的にバラして ―― なんと、レンズキャップやフードまで ―― その部品のひとつひとつに名称をつけて展示していた。ぼくは、これを見て感動した。
 上の写真の大きなものは 「ここ」 。部品の名称が読めると思う。

 カメラやレンズを分解して部品を一覧するということは、どこのメーカーもよくやることだけど、それらとシグマがやったことの大きな違いは、ちっちゃなちっちゃなビスにまで、きちんと名前をつけて丁寧に展示していたことだった。ここまでとことん分解したというのもスゴかった。
 それにしても、1本のズームレンズに(AF、手ブレ補正、超音波モーター内蔵とはいえ)こんなにもたくさんのちいさな部品が使用されているなんて、恥ずかしながら、知らなかった。

 シグマの狙いのひとつは、これらのたくさんの部品のほとんどが「Made in Japan」であることをアピールしたかったことと、小さな部品ひとつひとつの「精度」と、それを組みつけていく「技術」を確保しなければ高性能なレンズは作れない、ということを伝えたかったのだろう。

 これからの日本のメーカー(カメラやレンズのメーカー)が大事にしていかなければならないのは、「メカニズムのチカラ」ではないかと思う。なんでもかんでもデジタルやエレキですませてしまおうとせずに、いまこそ、長年培ってきた「メカ力(めかりょく)」を発揮させ切磋琢磨すべきではないのだろうか、とシグマの展示を見てそんなことを感じた。