片手でつまめる「150~600mm」超望遠ズーム

オリンパス・OM-D E-M5 + M.ZUIKO DIGITAL 75~300mmF4.8~6.7 II

 追伸というか、言い訳というか。
 光学系は旧型も新型もまったく同じだと前回、書いたけれど、新型には新しく「ZEROコーティング」が施されておるんですね。これで、フレアーやゴーストを抑えることができ、よりクリアーな画像が得られる。新しいレンズコーティング技術は、実質的な光学系を改良するよりも効果がある場合もある。このZEROコーティングについては、ここを読んだ人から指摘されました。ぼくの知識不足でありました。


 旧型の75~300mmは、持ってはいるがほとんど使うことはなかった。その理由はミラーレスカメラと望遠レンズの相性がイマイチよろしくなかったからだ。PENシリーズに限らず多くのミラーレスカメラはファインダーを内蔵しておらず、撮影スタイルとしては両手でホールドしたカメラを「宙空」に浮かせ、ボディ背面のモニター画面を見ながらフレーミングするわけだけど、望遠になるほどコレがうまくいかない。

 さらにワルいことにPENシリーズのカメラは、いわゆるライブビュー状態のモニター画面では手ブレ補正が満足に働かない。このため、ぶるぶるびりびりと画面がブレて、フレーミングが定まらない。それでなくてもカメラは宙空で不安定なのに、ますますフレーミングがしづらい。
 ところがOM-D E-M5だと、ファインダーが内蔵されているため顔の一部にカメラを密着させて構えることで、より安定した「三点支持(両手と顔)」ができる。さらに、手ブレ補正がライブビュー中から効いているため画面がタイヘンに安定している。


 望遠レンズになるほど手ブレやすくなる。この手ブレを目立たなくする方法は、三脚などカメラを固定する道具を利用する、シャッタースピードを高速にする、そして手ブレ補正機能を利用するなどだ。
 OM-D E-M5には、いままでのPENシリーズとは「ひと桁」違う効きの良い手ブレ補正が備わっている。高感度画質もかなり良くなったので、高速シャッタースピードのために積極的に高ISO感度を選ぶこともできる。手ぶれ防止のための機能が揃っている。

 というわけで、あの使いにくい150~600mm相当の超望遠ズームレンズだったのが、E-M5と組み合わせて使ってみると、ぼくは「おおっ、こんなに使いやすかったのか」と新発見した次第だ。
 150~600mm相当の画角をカバーするレンズなんて、フィルム時代のことを考えれば、街角でちょいとスナップ撮影なんてことは到底ムリだった。それがどうだ、この75~300mmを使えばるんるん鼻歌交じりで街角スナップができるではないか。ほら、これを見よ。150~600mm相当の超望遠ズームレンズ2本が片手で「つまめる」ほどに小さく軽いのだ。
 なお、左側が新型75~300mmで、右側が旧型。くどいようだけど、新型も旧型も中身(光学系)は同じ、しかし、価格は新型が安い。

「お買い得レンズ」かも

オリンパス・OM-D E-M5 + M.ZUIKO DIGITAL 75~300mmF4.8~6.7 II

 この75~300mmズームはマイクロフォーサーズ用交換レンズの中でもっとも望遠までをカバーするレンズ。35mm判換算で150mmから600mm相当だ。このII型ズームは、約2年前に発売されたI型の75~300mmの「後継レンズ」となるもの。
 いや、後継レンズ、というのは正しくないかな。光学的にも機構的なスペックも、理論的描写性能も、I型もII型もまったく同じである。だから、旧型よりも性能や機構を向上させたバージョンアップという意味での「後継レンズ」とは言い難い。旧型も、新型と併売だし…。
 こういう製品をいったいどのように名付ければいいのだろうねえ。

 新II型は、旧I型に比べて価格が安くなっていることが最大の特長である。現在の実販価格は大型量販店で、旧 I型が約6万8千円、新 II型は約5万3千円。旧型は発売から2年以上経過しての価格で、新型は発売されたばかりの価格、であるのに新型が安い。
 旧型と新型の相違点は価格のほかに、外観デザイン、ごくわずかだが大きさと重さ、そしてI型にはブラックとシルバーモデルが用意されていたがII型ではブラックモデルのみ、ということだけで、他のなにからなにまでが同じ。
 外観デザインは、旧型に比べ新型はすっきりとした印象になっている。

 ま、見てもしょうがないとは思うけど、オリンパスが公表している旧I型と新II型のMTF曲線図だ。上が「旧I型」で下が「新II型」だが、重ね合わせると寸分違わず同じ。


 言うまでもないが、MTF曲線図はあくまで理論値であり理想値である。実際にできあがったレンズを使って性能チェックし、それをプロットして曲線図にしているのではない。ぶっちゃけて言えば、ごくごくわずかな光学レンズ自体の性能バラツキや、組み立て時の製造誤差は考慮されていないということ。もし仮に、理想的な光学レンズを使って、まったくミスなく完璧にレンズが組み立てられた時に、これだけの描写性能がある(だろう)というのがMTF曲線である。

 I型もII型もレンズの光学的スペックがまったく同じなのだからMTF曲線が同じになるのは当然だ。
 「つくり込み品質」などと言われることもあるが、レンズについていえば同じものを作り続けていれば、製法の技術的向上もあるだろうし、組み立てする人たちの熟練度もアップするだろう。ユーザーからのフィードバックもあってそれが製品に反映されるだろうから、だんだんと製品の品質は良くなっていくものだ。そして、製造過程の合理化なども進みコストダウンもはかれる可能性もある(それが旧型よりも新型のほうが低価格になった要因かもしれない)。

 この新II型レンズも、「つくり込み品質」ということで言えば、旧I型よりも性能が良くなることはあっても悪くなることはあり得ないだろう。ぼくの経験から言っても、とくにレンズにはそうしたことがいままでに多く見られた。価格が安くなって性能も良くなっているのはイイこと。
 OM-D E-M5で使ってみたら、これがとっても相性がいい。このズームレンズはOM-Dユーザーには「お買い得レンズ」なのかもしれないね。このへんの話は次回にでも。

クリエイティブスナップショット

キヤノン・PowerShot N

 PowerShot Nを使っていて、「愉しかった」、と前回のブログで述べたけれど、その理由の1つは撮影スタイル ―― カメラの構え方や操作のやり方 ―― が、いままでのカメラと大きく異なることもあったが、もう1つ、「クリエイティブスナップショット」の撮影モードも愉しかった。
 クリエイティブスナップショットは、すでに似たような撮影機能として、スマートフォンの、とくにiPhoneなどの撮影アプリケーションソフトにも同じようなものがたくさんある。キヤノンだけでなく他のカメラにも同様に見られる最近の傾向だ。既存のデジタルカメラが"新参"の多機能電話機の影響を強く受けて、いま、カメラが大きく変化しつつあるようにも感じる。良いことだと思う。

 1回シャッターを切ると自動的に6枚の写真が撮れて記録される。5枚の加工された写真と加工なしオリジナルの1枚である。加工された5枚の写真は、勝手にカメラがシーン認識してあれやこれや画像処理を施した画像になる。
 同じ被写体を同じフレーミングで撮影しても、5枚の写真のできあがりは、色調、露出、トリミング、画面アスペクトが、撮影するたびにランダムに変化し異なる。この「予想外」の仕上がりを見るのが愉しかった。
 撮るたびに、「おっ、そうきたか」と感心したり、「じゃあ、これはどうだっ」とピントを合わせる位置を変えたりフレーミングをわずかに変化して撮ってみたりする。そんなことを何度かやっているうちに、だんだんとNの考えていることがわかってきて、「おお、やっぱり、そうか…」と納得することもあったり、と、こんなふうにカメラと「やり取り」できるカメラはほかにはない。


 ちなみに、この写真は、同じシーンを7回つづけて撮影したものだが、これだけ変化のある写真ができあがってくる。Nの考えているパターンを探そうとしたのだけど、撮るたびに相手は「ひねりワザ」を繰出してくる。
 左端が加工なしオリジナル画像で、その右側の5カットが加工された画像である。

 このPowerShot Nはキヤノンのオンラインショップ限定で販売されるカメラなので、量販店やカメラ専門店などで、手にして試して、ということができない。店頭販売しないから、一般のカメラのようなカタログの用意もない。Nのことを知りたければキヤノンのホームページを見るか、キヤノンのショールームに出かけなくてはならない。
 こうした販売方法をわたしたちが、「キヤノンの傲慢さ」と受け取るか「キヤノンの信頼度」と考えるか ―― いや、そんな大袈裟なことでもないか……たかがカメラじゃないか。

愉しいカメラだ

キヤノン・PowerShot N

 PowerShot Nを見た時その外観から、エーリッヒ・ザロモンが使っていたエルマノックスを思いだした。液晶モニターを跳ね上げてカメラを構えると、ますますエルマノックスのような感じになる(いや、使ったことはないのだけど、ま、いいじゃないか)。
 Nは、約1210万画素の1/2.3型CMOSセンサーを使って、28~224mm相当の小さな8倍ズームレンズを内蔵した文字通りのコンパクトカメラである。背面の液晶モニターは2.8型で、それが上方にほぼ水平状態まで可動する。Wi-Fi機能を内蔵。メモリーカードはmicroSD。

 使い始めてみると、これが「戸惑う」ばかりで、とにかく従来のカメラの「セオリー」からおおきくハズれている。そのひとつ、カメラの持ち方をどうすればいいのか、これが難問だった。ボディ外装は逃走されているからつるんつるんしているし、とにかく、いままでのカメラのように右手でボディをグリップしてといことができない。そこでぼくは、液晶モニターを少し跳ね上げて、それを持つことにした。
 メインスイッチはボディ左側サイドに、まるで遠慮のカタマリのようにちっちゃなボタンが配置されている。右側サイドには、これまたちっちゃな撮影モード切り替えレバー、Wi-Fiレバーと再生ボタン。たったこれだけ。


 どんなカメラにもある、あのシャッターボタンがないのも困った。
 いや、シャッターを切る仕組みは備わっているのだが「ボタン」がないのだ。シャッターを切る方法は2つある。1つはタッチパネル式液晶モニター画面を指先で押す方法、もう1つは、レンズ鏡筒にあるシャッターリングを押す方法である。いまではもっぱらシャッターリングを操作して撮影をしているが、この操作に慣れるまでがチョイたいへんだった(Nにかんしてはモニター画面タッチシャッターはおすすめしない)。

 左手で少し跳ね上げた液晶モニターをしっかりとホールドして、右手の親指と人差し指とでシャッターリングをつまむようにする。だからカメラはウエストレベルに構えるような姿勢になる。小さな二眼レフカメラを構えているようなスタイルだ。
 このホールディングが一番のおすすめスタイル。
 ズーム操作はシャッターリングの手前に同じくリングがあるので、指先を少しずらせばカンタンに操作ができる。シャッターリングの半押しでAFロックもできる。カメラを逆さまに構えればハイアングル撮影も容易にできる。
 Nを、思ったように使いこなすまでには苦労はしたけれど、でも、写真を撮ることがこんなに愉しいことなのか、とあらためて思わせてくれるカメラでもあった。

オンラインショップ限定販売

キヤノン・PowerShot N

 PowerShot Nは、いわゆる"限定モデル"のカメラではない。けれど、キヤノンオンラインショップに"限定"して発売される。カメラメーカーのネット直販のみで、市中のカメラ専門店や量販店などでは販売されない(日本国内のみで海外は異なる)。限定版カメラではなく通常版カメラで「直販のみ」、というのは初めてのことではなかろうか。
 ヨドバシやビッグ、キタムラなどの大型量販店が、よくも「うん」と言ったものだと思う。想像するにあれこれいろんなことがあっただろう。でもやはり、キヤノンだからこんなワガママ(販売店にとって)が通ったのかもしれない。弱いメーカーだったら、とてもとても…。
 メーカーと販売店との関係ってのは、押したり引いたりとかおべんちゃら言ったり強がりを言ったりと、そりゃあ、いろいろあるんですよ。

 いま、どこのカメラメーカーも、とくにコンパクトデジタルカメラについては急激な価格下落にアタマを悩ませているところだ。購買者にとってみれば価格が安くなることはうれしいことだろうけど ―― でも、そこそこの価格で購入したユーザーにとっては、あっという間の価格が下がってしまえば気分が悪いだろう ―― メーカーはたまったもんじゃない。実際、そうしたカメラ価格低下による「弊害」が出てきて、カメラやレンズの性能に"反映"される傾向がだんだんと強くなってきている。

 そこで、このカメラ価格の予想外の大幅低下になんとか歯止めをかけようと、その一手としてキヤノンが考えたのがオンラインショップ限定販売という方法だったのだろう。
 こうした販売方法については皆さん、あれこれご意見も感想もありましょうが、詳しい説明は省略するけど、ぼくとしては大賛成ですね。


 で、昨日、3月12日に、このPowerShot Nの第1回めの予約をおこなったところ、数時間で用意していた予約分が終了したという。最短記録したのはブラックモデルで、たった18分で初回分が終わったそうだ。ところでブラックといったって、ストラップとセットになったショートパンツのようなカメラケース(キヤノンは「ジャケット」といっている)が黒いだけで、カメラボディそのものはホワイトのみ。ブラックのほかに、ブルー、ピンク、柄ものが用意されている。

 この予約というのは2回ある(次回は4月12日)。予約が完了すればPowerShot Nの発売日である4月25日に確実に手元に届けられるという。予約したからといって、いますぐにカメラが手に入るわけではない。なお、4月25日の発売日からは通常通りのオンラインショップ販売がされるはず(ただし手元にカメラが届くまで日数はかかる、かも)。

 なぜ、こんなに"もったいぶったような"予約制度販売をキヤノンがやったかというと(以下、想像だけど)、注文してくれたお客にスピーディーに確実に届けるためには、数量の確保もしておかねばならないし発送作業もきちんと済ませておかなくてはならないからだろう。ムダがでないように生産計画も事前調整しておく必要もある。初めてのオンラインショップ販売だったのでキヤノンも失敗はしたくなかった。

 そして、いまのコンパクトカメラの価格状況でいえば、決して安くはない、やや強気の価格設定(税/ストラップ/ジャケット込みで29980円)のPowerShot Nが、いったいどれくらいの数量が売れるのか、その「不安」も大きかったのだろう(昨日、予約完了したときには、販売関係の社員に歓声があがったそうだ)。

マジックフィルター

オリンパス・STYLUS TG-2 Tough

 防水機能が15メートルまで。水中深度15メートルまで潜って撮影することはめったにないだろうけど、それぐらいの水圧にも耐えられる防水機能を備えているということ。耐衝撃性が2.1メートルからの落下まで。とうぜんながら「打ち所」が悪かったり落下させた地面の状態によっては壊れることもなくもない。耐低温性がマイナス10度Cまで。つまりTG-2が凍って氷で覆われた状態でも撮影ができるということかな。耐荷重性能が100キログラムまで。ということはよほど太ったお相撲さんでなければカメラの上に乗っても壊れない? そして、防塵機能もGPS機能も備えている。

 つまり、とても強靱な性能を備えたカメラなのだが、外観からはそれをあまり感じさせないデザインと大きさ重さ、撮影機能を持っているので、まったくナンの抵抗もなく街歩きスナップにも日常的にも携行できるし、ぼくは実際、そうして使っている。
 むろん、TG-2がどれだけマッチョなカメラだいったところで、わざと落としたり水没させたり踏んづけたりなんてばかなことはしない。ごくごくフツーに大切に扱っているが「安心感」が他のカメラを使うときとゼンゼン違う。


 前回のブログでも述べたが、TG-2の大きな特長の1つとしてスーパーマクロ(最短でレンズ前面から1センチまでの距離でAF可能)のモードでズーミングができるようになったこと。ワーキングディスタンスがほとんどナイに等しいからライティングに工夫する必要はあるが、ごくごく手軽に「異次元世界」が体験できる魅力は大きい。静止画だけでなく動画撮影もできるってことも愉しい。ただし、デジタルズームしたりするとピント合わせは、AFで便利だとはいえ相当にムツカシイ。
 ちなみにこの4カットの写真は、スーパーマクロ最短約1センチで千円札の野口英世の眼あたりを、「ワイド端」、「テレ端」、そして「8倍超解像デジタルズーム端」、「14倍デジタルズーム端」でクローズアップ撮影したもの。手元の千円札と見比べてみるといいだろう。さぁどーだっ(と、威張ることもないが)。

 もう1つ、愉しい撮影機能に「マジックフィルター」がある。前モデルのTG-1にも搭載されていた撮影モードだけど「ランダムタイル」だ。これ、おもしろい。撮影した画面がランダムなカタチのタイル状に48分割される、いや、ただそれだけなんだけど、意外性があっておもしろい。タイルのカタチが撮るたびに違うというのもイイ。
 ただしこのマジックフィルターモードは、どれも必ずストロボ自動発光にセットされる。発光をOFFにしても、電源を切るとすっかり忘れてしまう。これが困った。(あ、いま思いだしたけど「ミラー」のフィルターモードもおもしろかったぞ)

CAMEDIA と μ と STYLUS と Tough

オリンパス・STYLUS TG-2 Tough

 オリンパスは昨年の秋、コンパクトデジタルカメラのブランド名を「STYLUS(スタイラス)」に統一することにした。
 もともとオリンパスにはフィルムコンパクトカメラに「μ(ミュー)」のブランド名があったが、コンパクトデジタルカメラでは「CAMEDIA(キャメディア)」が名づけられ、その後、一部のコンパクトデジタルカメラにも「μ」のブランド名が使われるようになり、CAMEDIAとμのダブルブランドの時期も続いた。

 しかしCAMEDIAが海外の一部の国でちょっとマズい意味を含んでいるということでなくなってしまった。残ったμも、文字も一般的でないし読みづらい、パソコンで文字入力するときに不便などの理由もあって、なくなりつつあった。そこで心機一転 ―― タイミングとしては例のオリンパスのごたごたが一段落したときになるが ―― 新しいブランド名に統一しようということで「STYLUS」を立ち上げて世界統一に展開することにした(らしい)。
 なお、オリンパスの言うところのSTYLUSとは、あのタッチパネル液晶などに使用する筆記具のことではなく、ユーザーの多様なライフスタイルにこたえようと「STYLE IS US」の意味を込めて作ったもの(イマイチよくわかないけど…ま、ブランド名ってソンなもんだ)。


 いっぽう「Tough(タフ)」はシリーズ名。こうした耐ショック防水防塵のコンパクトデジタルカメラのシリーズ名は当初は「SW」だった。いつの頃からだったか「Tough」に変更された。
 SWのころは「μ」のブランド名が付いて、それを引き継ぎToughにもμがついていた時期もあった。しかしタフのシリーズだけは、他のコンパクトとは違って「Tough」がブランド名のように使われていたこともあった ―― こうした耐ショック防水防塵カメラの"先鞭"をつけたものだけあって、オリンパスはToughシリーズに対して特別な思い入れがあるようだ。

 どーでもイイような話を続けてしまったけど、さて、新型「STYLUS TG-2 Tough」は、旧型「Tough TG-1」の後継機種で、じゃあ具体的にナニが進化したのかといえば(基本の撮影性能やカメラデザインはほとんど同じ)、耐ショック性能が2メートルから2.1メートルになり、防水性能が12メートルから15メートルになったことのほか、新しく絞り優先モードが加えられたこと、そして、スーパーマクロモード(レンズ先端10から1センチまでAF可能)でズーミングができるようになったことなどである。
 とくにスーパーマクロで光学ズーム(4倍)、超解像デジタルズーム(8倍)が可能となり ―― TG-1では広角端固定だった ―― その超々クローズアップ撮影ができて、それがすごい。る。至近1センチでデジタルズームしたりすると、まるで顕微鏡の世界に入り込んだみたいになる。

点像復元処理技術

富士フイルム・X100S

 X100s/X20が新しく採用した機能や機構のなかで、ぼくとしては、もっとも注目すべき機能こそが「点像復元処理 ―― Lens Modulation Optimizer(LMO)」だと断言したい。回折現象により低下した画質を元に近い状態に"復元"する画像処理技術である。

 絞り込むと(小絞り)、その小さな「穴=絞り」の周囲に光りが広がって、それが原因でフレアーが発生して解像感やコントラストを低下させる。これが回折現象である。収差と回折は画質低下の"2大元凶"でもある。回折はフィルム時代から発生していた現象だがデジタルカメラの時代になり、とくにイメージセンサーの高画素化と、撮影画像を拡大して鑑賞するようになって、回折が画質に与える影響がフィルム時代よりも桁違いに大きくなった。

 回折現象による影響をできるだけ目立たなくする方法(復元技術)のひとつが、点分散関数とかデコンボリューションとよばれている信号処理技術である。
 理論としては古くからある。レンズの焦点距離、撮影距離(ピントを合わせた位置)、絞り値、レンズ収差などの情報データを関数化して、回折で影響を受けたフレアー画像にかけ合わせることにより、"擬似的にフレアーを除去=復元"する画像処理技術である(かなり乱暴な説明だけど)。これを利用すれば小絞りでも、回折による画質低下が抑えられるというものだ。



 ところで、このような画像処理技術は、すでにキヤノンが専用画像処理ソフトのDigital Photo Professional(DPP)の中で、「デジタルレンズオプティマイザー」の機能のひとつとして組み込んでいるはず ―― これについては、一昨年のことになるがキヤノンに取材に行った。そのとき、「デコンボリューションの技術を使っているんですか」と聞いたところ、「それについてはノーコメントです」と、担当者は答えてそれ以上説明をしてくれなかった。ということは、暗に認めているということじゃないのか…。

 それはともかくとして、関数化するためのレンズ情報や撮影時のデータ量は膨大である。ソフト処理するのにパワーも時間もかかる。そのためパソコンなどの高速な処理能力に頼らざるを得なかった。キヤノンがそうだ。
 ところが、X100s/X20では独自の復元アルゴリズムを作り、それをICチップにしてカメラ内に組み込んだ。ここがすごい。ソフト処理ではなくハード処理化したことで、ほぼ瞬時に処理がおこなえる。画期的なことだ。

 ちなみに、X100s/X20の点像復元処理により、フジは、回折による影響(画質低下)が約2絞り分ほど抑えられる、と言っている。
 実際にあれこれ撮り比べてみたが ―― といっても厳密に撮り比べられるカメラがないのだが ―― 点像復元処理で得られた画像をよく見ると、確かに回折現象の影響が少なくなっていることはわかる。光学ローパスフィルターを取り除いた画像のように一目瞭然というわけにはいかないけれど。

 画期的な処理技術が始めてカメラ内に組み込まれたこと、ユーザーが知らないうちに処理してくれること、将来もっと進化する可能性も秘めている。高画素化しても絞り込んで撮影できるようになる。そんなことなどを考えれば、富士フイルムの点像復元の処理技術には大きな大きな「夢」があると言えるのではないか。