E-M1の回折ほけ補正、その4

オリンパス・OM-D E-M1+M.ZUIKO DIGITAL12~40mmF2.8




 E-M1の回折ぼけ補正はON/OFFができず、常時ONとなっている。回折ぼけ補正がどれくらいの効果があるものかを知る方法がある。

 方法はOM-D E-M5やPEN P5などを使って ―― どちらもE-M1と同じ約1600万画素 ―― 完全に同じ条件で撮影をしてその画像を比べてみればいい。
 ただし、このふたつの方法は「厳密な意味で言えば」正しい比較方法ではない。その理由は、カメラ内の画像エンジンとRAW現像ソフトのエンジンと微妙に異なるためと、E-M1とE-M5やP5の画像エンジンもまた異なるためだ。

 そうしたことを理解、納得した上で新ズーム12~40mmF2.8を使ってE-M1とE-M5で撮影をしてみた。がっしりした三脚を使い、AFじゃなくMFにして拡大表示でピントを正確に合わせて、F5.6からF22まで絞り値を変えて撮影した。
 結果は歴然とした違いだ。

 F5.6あたりでは双方互角であるが、F8あたりからはE-M5の画質(コントラストと解像感)が急激に低下する。対してE-M1は、"そこそこ"がんばっている。F11やF16の画像を拡大して見ると、さすがにE-M1の解像感も低下してはいるが、いっぽうのE-M5はといえば「へろへろ画像」で、おおっ回折ぼけ補正がこんなにも効果があるのか、とびっくりさせられた。

 興味のある人は実際に試してみるとよろしいでありましょう。

 補足 ―― 被写体は遠景の高周波成分に狙いを定めること。近距離で低周波のものを写しても、ほとんど効果はわからん。



E-M1の回折ほけ補正、その3

オリンパス・OM-D E-M1+M.ZUIKO DIGITAL12~40mmF2.8

 今日、天野祐吉さんが亡くなったとの報せを受けて驚いた。今年の春に島森路子さんが亡くなって、つづけての訃報にいささかショック。というのもぼくと二人との付き合いはとても長く「広告批評」が創刊される前からだ。「広告批評」はプレ創刊号のころからずっと長い期間、特集インタビューのときにはぼくが人物撮影を担当してきた。
 だいぶ前に「広告批評」も休刊になり島森さん、天野さんが亡くなり、ぼくにとっての"ひとつの時代"が終わったかんじがする。



 さて、少し間があいてしまったが、オリンパス・E-M1の回折ぼけ補正のつづき。

 結論を言えば、E-M1の画質は従来のE、PEN、OM-Dのシリーズから「2段階ぐらい」いっきに向上した印象だ。
 その理由をオリンパスは、今度のE-M1では光学ローパスフィルターをなくしたせいで画質が向上したと言っているようだが ―― それはウソ、だいぶ前の機種から光学ローパスフィルターはこっそりなくしている ―― ま、それはともかくとして、E-M1の画質向上の最大の要因は、新しい画像処理エンジンを採用してそこに回折ぼけ補正(だけでなく他の新技術も加わっている)などのおかげである。

 とくにF5.6あたりから1段、2段、3段と絞り込んだときの画質が、たとえばE-M5とまったく同条件で撮り比べてみると"歴然"とその差がわかる。どちらも同じ約1600万画素なのに解像感がまるで別もので、E-M1の切れ味の良い画質を見れば"サルでも驚く"はずだ。

E-M1の回折ほけ補正、その2

オリンパス・OM-D E-M1+M.ZUIKO DIGITAL12~40mmF2.8




 回折ぼけは、レンズを絞り込むと絞り穴が小さくなって、光がその穴を通るときに"拡散"して(光が裏側に回り込む)、それが原因でコントラストや解像感の低下を招く現象である。光の性質による基本的原理で、この回折現象の発生を光学的に防ぐことはできないといわれている。
 加えて高画素化による画素ピッチが小さくなり、デジタルカメラではこの回折現象の影響をいっそう受けるようになってきた。

 エアリーディスクと回折限界の"壁"という物理光学の基本が、いま、擬似的にだけど崩されようとしているわけだ。回折ぼけが、たとえ画像処理ででも目立たなくできれば描写性能は格段に向上する。逆に、どれだけ素晴らしい光学性能を持ったレンズでも、絞り込んで回折現象が目立ってくればコントラストも解像力もどんどんと低下してしまう。
 レンズは、少なからず「絞れば回折、開ければ収差」の影響を受けて点像が広がり(ぼけて)画質が低下する。

 回折ぼけ補正は、とくにレンズ交換式カメラではひじょうに難しいと言われてきた(理屈はややこしいので省略する)。それをオリンパスはE-M1でおこなったのだ。世界初である。
 こうした技術は今後、他のメーカーでも採用されてくるに違いない。それは今週末に発表される、あるメーカーの新型カメラにも取り入れられていて、そちらも大注目だと言える。

 E-M1の回折ぼけ補正の話は、まだまだ続けたいけど多忙につき、しばし延期…。

「西家講話」について


お知らせです。



 すでにこのブログで案内をしていますが、今週末の日曜日、10月20日の夕方6時から、古いクルマとその撮影技法などについてぼくが3時間ほど話をする「西家講話」を開催します。すでに何人かの方が申し込みを済ませておられるようです。

 この講話会は定例会で"常連メンバー"もいらっしゃいます。むろん常連メンバーでなくても"いちげんさんメンバー"でも"飛び込みメンバー"でも歓迎とのことです。
 ただし会場が狭く有料ですが ―― ごく小さな集まりです ―― もし万が一、たくさんの人においでいただくと、多少きゅうくつになるかもしれません(杞憂かもしれませんね)。
 …クルマの話だけでなく、ちょっと珍しいカメラ(新製品、ではないですぞ)を一台持っていきます。

 事前に、この会の世話役である三重(みしげ)さんに問い合わせておかれると確実です。電話番号・ファクシミリは03-3781-8595、午前9時から午後9時までです。

E-M1の回折ほけ補正、その1

オリンパス・OM-D E-M1+M.ZUIKO DIGITAL12~40mmF2.8




 だいぶ前の twitter で少しコメントしたことだけど、このE-M1には回折ぼけを補正する機能が盛り込まれている。回折ぼけを補正する機能をカメラの中にはじめて搭載したのは富士フイルムのX100Sである。カメラ以外の一般的なソフトではキヤノンのDigital Photo Professional(DPP)に採用されているデジタルレンズオプティマイザがある。これは大変に優れた機能なのだが残念ながらカメラ内には搭載されていない。

 こうした回折ぼけ補正はレンズのさまざまな情報 ―― 絞り値や撮影距離、ズームなら焦点距離でどのような、どれくらいの回折現象が発生するかを数値化した情報 ―― が必要となる。その情報をもとに回折現象でぼけた(コントラストの低下した)画像を画像処理で補正するものである。

 回折ぼけ補正の手法にはいろんな方法があるようだが、現在おもなものとしてデコンボリューション技術の応用、レンズMTFのコントラスト特性の最適化技術の応用などがある。デコンボリューション技術は富士フイルムが採用(これははっきりと認めている)、MTFコントラスト特性技術はE-M1に採用されているようだ(オリンパスは明確に公表していない)。キヤノンのデジタルレンズオプティマイザについては(以前、質問したことがあるが)ノーコメントがキヤノンの回答。

 それはともかくとして、E-M1の回折ぼけ補正が"意外なほど(驚くほど)"効果がある、ということを言いたかったのだが長くなるので次回だ。

ローパスセレクターってナンだ?

リコーイメージング・PENTAX K-3+HD DA-Limited 70mmF2.4

 このページ右の「明日からの写真術」のアイコンは、ぼくが新しくはじめた有料メールマガジンの紹介です。読んで愉しい役に立つ情報をどんどんと充実させていく予定。発展型メールマガジン。Q&Aコーナーもありますぞ。




 PENTAX・K-3のローパスセレクターの機構を理解するには、まず、光学ローパスフィルターがナニをやっているのかを知っておかないとわかりにくい。
 一般的に光学ローパスフィルターは2枚がワンセットになっている。水平方向と垂直方向に光を分離させる光学ローパスフィルターである。水平/垂直方向に分離された「4本」の光は規則正しく並んだベイヤー方式のRGBGのそれぞれのピクセルめがけて(ズレることなく)真っ直ぐあたる(露光される)。これが4点分離方式。

 一本の光をサブミクロン単位で4つに分離するということは、簡単に言えば「ぼかしている」ということ。モアレ/偽色の発生を防ぐために、とくに高周波成分(とても細かな被写体部分)をぼかす ―― その結果として解像力が犠牲になる ―― 。

 光を光学ローパスフィルターを使って4本に分離する替わりに、K-3のローパスセレクターではイメージセンサーそのものを"サブミクロン以下"の精度で超高速微細回転させることで、一本の光を一瞬のうちにRGBGのピクセルに光をあてる。
 言うまでもないが、ローパスセレクターをOFFにしておけば(K-3の初期設定)、イメージセンサーの超高速微細回転はしないので完全に光学ローパスフィルターレスのカメラとして使える。

K-3のローパスセレクター

リコーイメージング・PENTAX K-3+HD DA-Limited 70mmF2.4




 PENTAX・K-3のローパスセレクターは、RGBGの4つのピクセルの中心部を"くるりっ"と高速で円を描くように回転させることで光学ローパスフィルターと同じ効果を出しているらしい。
 その回転方向は「左回り」。
 どうして左回りなのかは、K-3の体感&トークライブのイベントでおこなう開発者インタビューで聞いてみるつもり。

 K-3はローパスセレクター機能のほか、最高約8.3コマ/秒の高速連写ができたり、AFもAEの機構も大幅リニューアルさせるなどフルモデルチェンジされた意欲的なカメラだ。
 デザインが旧型と同じじゃないかと思われるでしょうけど、それにはキチンとした理由があるんですって。

 ところで、限定2000台のK-3シルバーモデルだけど、発表したばかりなのにもう残りは数台ぐらいしかないということを聞いたけど、ほんとかな。



講演のおしらせ




 少し先の話だけど、10月20日(日曜日)の午後6時から9時まで、ぼく1人で3時間ぶっ続け ―― 間に少し休憩をはさむと思うけど ―― ロング・ワンマン講演をすることになった。場所は横浜の開港記念会館だ。話のテーマは、クラシックカーとその撮影技法、エピソードや苦労話などなど。150カット以上の古くて珍しいクルマの写真をたっぷりと見てもらうつもり。

 詳細は、西家講話.PDF を見てほしい。入場料が980円だけど、これはほとんど会場使用料などで消えてしまう。だから、この講話会を運営している皆さんは全員がボランティアで、むろん、ぼくもノーギャラ。

 クルマとその撮影テクニックの話を3時間もやるのは、たぶん、ぼくとしては今後ないでしょうから、もし興味のあるかたはぜひどうぞ。

ソニーのチャレンジ精神

ソニー・DSC-QX10+アップル・iPad




 2台のQXは、「カメラ」としてはなはだしく使いづらいモノだけど、しかしこれを製品化して売ろうという決断をしたソニーはひじょうにエラい。さすがにソニーだなあと感心する。

 このような製品は提案したとたんに「だめだ」「ナニを考えてるか」と一蹴されるのが通常一般だが、どこがどうなってるのかソニーではこうしたことが往々にしてまかり通る。カメラにかんしてだけだが、ぼくはいままでにそうした「やってみなはれ」の製品を何度も見てきている。サントリー、ホンダ、そしてソニーに共通したチャレンジ性。そこに夢や未来や新しい文化を強く感じる。

 ここがパナソニック(のカメラづくり)と決定的に違う点だ。そういう意味でいえばパナソニックのカメラには夢も希望も未来も、ぼくには感じられない。パナソニックのカメラは使うたびに、「カメラなんてそこそこ写りゃイイんだ、夢? 写真文化? ばかなこと言うんじゃないよ、ガキじゃあるまいし…」、という作り手側の冷めた声が聞こえてきて悲しくなる。

 QXは専用アプリをインストールしておけば大きな液晶画面の iPad と組み合わせても使える。こんな大きな画面でフレーミングも撮影もしたことないので感動した。その画面をQX10で"覗いて"みたら、ほら、こんなおもしろいものが撮れたぞ。

いくら考えてもコレの活用方法がわからない…

ソニー・DSC-QX100+アップル・iPhone 4s




 QX100は28~100mm相当のレンズで、イメージセンサーは1.0型の約2020万画素。"中身"はDSC-RX100 IIとほぼ同等と考えればいい(このQX100が裏面照射型センサーなのかどうかは不明)。いっぽうのQX10は25~250mm相当のレンズで、イメージセンサーは1/2.3型の約1820万画素だ。同じく"中身"はDSC-WX200ということになるらしい。…どうでもイイか、こんなこと。

 上の写真は専用のマウントアダプターを使ってスマートフォンの iPhone に取り付けて撮影したもの。撮影モードや露出補正などはスマートフォン側でおこなう。QX側にはズームレバーやシャッターボタンがあるがそれもスマートフォン側でも操作ができる。
 フレーミングやピントの確認はスマートフォンの画面を見るしかない。モニターに表示される画面はめちゃくちゃ反応がニブい。ときどき固まる。

 いったいどんな活用方法があるのだろうか。使いながら真面目に真正面から考えたけどさっぱりわからない。ぼくは3時間使って飽きたぞ。

QX-10/QX-100のケース、いいじゃないか

ソニー・DSC-RX100 II

 御無沙汰御無礼でした。
 以後、できるだけマメに更新するようにしますね(…と、大きなかけ声)。



 そう、あの、レンズともカメラとも言えな新しいスタイルの「カメラ」であるソニーのQX-10とQX-100を使ってみた。遊び道具としてはおもしろいが(少しだけ)、これを使っていつものように写真を撮ろうという気にはとうていならなかった。あれこれイジりながら「ふーんっ、ソニーはエラいなあ」と感心しただけ。

 そもそも、スマートフォンがなければ「カメラ」としてはほとんど成り立たない。「ほとんど」と言ったのは、フレーミングは気にしない、ノーファインダー撮影をするという覚悟があれば「カメラ」として使えなくもない、という意味だ。

 いやそれはともかく、この「カメラ」が手元に来て、ナニにいちばん感動したかといえば、このカメラ化粧箱だ。円い筒ケース。黒がQX-100、白がQX-10の外ケースで、内ケースのオレンジととても色バランスが良い。

 なぜか、どこのテストレポートもこのすばらしいカメラ化粧箱を紹介しない。