マクロのオリンパス、面目躍如

オリンパス・STYLUS TG-3 Tough

 25~100mm相当の画角をカバーする屈曲型ズームレンズを内蔵していて、その開放F値はF2.0~4.9。広角端だけだけど、F2という明るいF値がこのズームレンズのウリのひとつである。イメージセンサーは約1600万画素の1/2.3型裏面照射型CMOS。
 ストロボも内蔵。そのストロボ発光窓の横に小さなLED発光部がある。この本体LEDの光を、そう、例のLEDライトガイドに導いてリング状にライティングさせている。こうしたギミックはオリンパスが得意とするところであります。

 だから、そのLEDライトガイドの製品説明には「…照明技術は内視鏡などの製品にも使用されているオリンパスならではのノウハウでできています…」と自慢してる。
 なお、LEDライトガイドはTG-3発売にあわせた新製品だけど、同じく別売オプションのテレコンバーターレンズ(1.7倍)やフィッシュアイコンバーターレンズ(0.74倍)ともに旧モデルのTG-1、TG-2にも使える。こんなこと、TG-1、2のユーザーなら、あたりまえの常識だ知ってるぞ、だろうけど。




 TG-3のマクロ撮影にはなかなか"意欲的"な機能が搭載されている。マクロのオリンパス、の面目躍如たるものを感じるぞ。
 顕微鏡撮影モードは2つある。デジタルズームを使ってシームレスに最大44倍もの拡大クローズアップ撮影ができるモード(上級者向け)と、1倍、2倍、4倍をワンタッチで切り替えて撮影ができるモード(初級者向け)である。上級者向けモードはお父さんとお爺さん用、初級者向けは子どもたちとお母さん用、と考えてもいいかな。
 うん、だから「一家に一台」のカメラなのだ。

 「フォーカスブラケットモード」ってのもある。マクロ撮影では正確なピント合わせが、これが意外と難しい。狙ったところにピントがこない失敗も多い。そうした失敗をできるだけ少なくしてやろうというモードだ。
 ピント位置を自動的にずらして最大30コマまで高速連写してくれる。撮影後にモニター画面で拡大チェックして、必要なものだけを残して他は捨ててしまえばいい。デジタルカメラならではの利点を活用したモードでもある。

 マクロ撮影ではピント範囲(被写界深度)が浅いという問題もある。もうちょっと、そのソコの奥までくっきりと写したい。ところが、絞り込んでもどうしてもシャープに写ってくれないという問題だ。それを解決しようと新しくTG-3に組み込んだ撮影機能が「深度合成モード」である。これがその比較画像。右の写真が深度合成モード。
 ピント位置を少しづつずらしながら8コマを高速連写。その画像をカメラ内で合成処理して"深いピント"の画像に仕上げる。こうしたコンポジット合成の技術は今後、大ばけするに違いない注目の機能である。各メーカーとも、いま一生懸命に研究している画像処理技術である。

 ただしTG-3の深度合成モードはそこそこの深いピントの写真は得られるけど、過度に期待しちゃイケナイ。いや、撮影した画像に欠陥があるというのではない。その逆に、少しぐらい欠陥があってもいいからもっと大胆にぐーんっと深いピントにしてくれればおもしろかったのになあと、使ってみて感じた次第。いかしかし、そこが慎重居士のオリンパスらしいところか。

 オリンパスってメーカーは、石橋をガツンッガツンッと叩いて渡るタイプなんだけど、ときどき、よそ見しながら渡ったり、得意になって飛び跳ねながら渡って、足を滑らせて池に落ちてしまう……というところもなくもない。

一家に一台ほしいカメラ

オリンパス・STYLUS TG-3 Tough

 愉しいカメラだ。便利なカメラだ。頼りがいのあるカメラだ。
 こういったカメラこそ「一家に一台」ほしい。小さなこどもがいてもいなくても、誰でもが手にして、撮りたいときにすぐ撮れる、すぐに持って出かけられる、家の中でそんな場所に置いておくといい。
 家族のカメラ。皆んなのカメラ。




 水に濡れてもいい、汚れたら水道水で洗えばいい ―― 水中15メートルまでの防水性能。落としても壊れない ―― 高さ3メートルからの耐落下衝撃性。踏み台がわりにもなる ―― 耐荷重100キログラム。冷凍庫で冷やしておくこともできる ―― そんなバカなことする人はいないだろうけど、耐低温動作保証マイナス10度。
 言いすぎだけど、「壊そうと思っても壊れない」カメラ。

 コンクリートや岩の上に落とせば、少しキズがついたりヘコんだりするかもしれない。よほど打ち所が悪ければ話は別だろうけど(たとえば尖った岩のところに、運悪くレンズや液晶画面がぶつかったとか)、そうでなければ、そのまま使い続けることができる。
 まさか意図して石の上に落としたり泥の中に突っ込んだり、手荒く扱ったりする人はいないだろうけど、かりにそうなったとしても壊れないという「安心」が保証されている。それだけでも気分はぜんぜん違う。

 モノを荒っぽく扱う小さなこどもでも(こどもってガサツだからね、だからこどもなので、それでイイのだ)大人の小言を聞かなくてもいいし、自由自在闊達わがままにカメラを扱ってもいい。
 それに、このTG-3にはこどもが喜びそうな(大人でもフルに愉しめるけど)機能が備わっている。超マクロ撮影が可能な「顕微鏡モード」である。レンズ面から被写体まで1センチの至近でAF撮影ができる。ここでズーミング、さらにデジタルズームをすれば、まるで高倍率のルーペで見ているような世界が手軽に撮影できる。

 このとき、ぜひ別売のLEDライトガイド(LG-1、約5500円)と一緒に使うことをおすすめしたい。通常のマクロ撮影でも困るのはライティング。照明が難しい。平面の被写体に密着して撮ろうとすれば、周囲がどれだけ明るくても光はほとんど入ってこない。ライトガイドを使えば被写体に密着させたまま照明付きで撮影ができる。
 ライトガイドはリングライトになっていて、それをレンズ周りにワンタッチ装着すれば、あとは自動的にLED照明されて無影撮影ができる。ストロボのような瞬間光でなく定常光だから超クローズアップの動画撮影だってできる。スローモーション動画撮影だってできる。
 一家に一台、どうですか。

CaptureNX-Dの補足説明と、K-3回折補正のつづき

リコーイメージング・PENTAX K-3+FA Limited 77mmF1.8

 数日前、このブログでニコンのCaptureNX-Dについて触れた。その中で、RAWファイルを処理するたびにディフォルトの設定に戻ってしまって困る、ということを書いた。
 D810以前の機種でも、最新型のピクチャーコントロールに搭載されているフラットモードを選んだり、明瞭度のパラメーター調整を加えて処理できるのがCaptureNX-Dの特長なのだが、使い勝手がイマイチだ、とイチャモンをつけたのだけど、ところが「隠しワザ」があって ―― ぼくが気づかなかっただけだけど ―― その設定をしておくとすいすいと処理ができる。
 その「隠しワザ」とは、環境設定の中のカラープロセスで「最新のピクチャーコントロール」を選んでおくとD810以前の機種で撮影したRAWファイルでも、D810とまったく同じ操作で最新の処理ができるようになる。
 CaptureNX-Dを使う人、どうぞ参考までに。




 さて、本日の本題、前回のK-3の回折補正についてのつづき。
 最新ファームウエアをアップデートすることでK-3でも、645Zと同じく回折補正の機能が使えるようになるのだが、使い勝手の上で645Zとはだいぶ違っている。645ZでできることがK-3ではできない、という話。

 645ZでもK-3でも、撮影時に回折補正のON/OFF選択ができる。645Zでは撮影時のON/OFFにかかわらず、RAWファイルをカメラ内現像するときに回折補正の処理をするかしないかが選べる。
 ところがK-3の場合は、RAWファイルのカメラ内現像時に回折補正ON/OFFを選択することができないのだ。撮影前に回折補正をONにするかOFFにするかを決めておく。それが決定値となる。回折補正OFFで撮影したら、その画像ファイルはOFFのまま、ONにしたらONのまま。

 なぜ、こんなことになっちゃったか。
 以下推測だが、もともとのK-3のメニュー構造に限界があって、カメラ内RAW現像時のメニューに回折補正ON/OFFの項目が追加できなかったのではないだろうか。いや、やってやれないことはないだろうけど、えらくめんどうなファームウエアの修正をしなければならなかったに違いない。

 こうしたことは、なにもK-3に限ったことではなく、いまどのこのメーカーもアタマを悩ませていることだ。基本ファームウエアもメニュー構造も継続使用が原則。新しい機能が追加されるたびにファームウエアの改良や修正を加え、まるで平屋2階建ての家に、つぎはぎ増改築して5階建てにしているようなもの。もう、これ以上増築すると倒れてしまう、そんなキケン寸前のファームウエアを使っている機種もなくもない。
 それを知ってか知らずか、「ファームウエアのアップデートでなんとでもなる」とめちゃくちゃな要求をするユーザーがいるようだけど、できることとできないことがあるということを知っておくべきですね。

東京ミッドタウンのゴジラをHDRで

リコーイメージング・PENTAX K-3+DA Limited 20~40mmF4 WR

 K-3の最新ファームウエアをアップデートすると回折補正の機能が使えるようになる。リコーイメージングのカメラとしては、645Zではじめて回折補正の機能を搭載した。その回折補正アルゴリズムと同じもの(たぶん)をK-3に入れて使えるようにしたわけだ。




 回折補正の処理アルゴリズムはいくつかの方法があるのだが、いずれもレンズ情報を読み取って最適な処理をする基本は同じ。回折現象による解像感低下とコントラスト低下を補正する画像処理をするのが回折補正で、それをやることでコントラストがアップし解像感も向上するというものである。ただし、K-3に限らず他の機種もそうなのだけど、回折補正の効果を過度に期待しないほうがいい。

 補正効果は「約1絞りぶんぐらい」と思っておくといい。
 ぼくがPENTAXを含めいろんな機種(富士フイルム、オリンパス、ソニー)やソフト(キヤノン)の回折補正を試してみた感じでは、645Zの回折補正がもっとも効果がはっきりとしていた(約1.5~2.0絞りぶん)。645Zの回折補正の効果がもっともはっきりしていたのはレイリーの法則によるものだろう。
 そのレイリーの法則にのっとれば、645Zに比べてレンズ(口径)もセンサーも小さなAPS-CサイズのK-3で回折補正の効果が薄いのは仕方のないことだ。

 K-3では、だいたいF8を越える絞り値ぐらいから回折現象が目立ってくる。F22まで絞り込むと、F8と比べると回折現象の影響を受けて相当にへろへろな感じに見える(遠景の高周波成分を写したものを比較しての話だ)。
 だからF22以上に絞り込んで回折補正をONにしても、期待するほどの結果は得られない。回折補正の効果を期待するなら、せいぜいF16ぐらいまでだ。しかし、効果は少ないといえども、回折現象が補正されて見かけ上のコントラスト、解像感ともにアップするわけだから、それはそれでいいと思う。

Jaguar E-Typeの「4.2」 と Mark IIの「4.2」

ニコン・D810+AF-S NIKKOR 14~24mmF2.8G ED

 D810と同時に発表されたRAW現像ソフトの「CaptureNX-D(無料)」が、これ予想以上によかった。現行のCaptureNX2(こちら有料)の後継ソフト(と、いうのかな)である。CaptureNX2には「コントロールポイント」という素晴らしい機能があったのだが、こんどのCaptureNX-Dではそれがなくなってしまって、ぼくとしてはガッカリだったのだ。NX2はとうぶん手放せないなあ。
 ところが ―― コントロールポイント機能はさておき ―― CaptureNX-Dを使ってみて、おおっ、と感心したことがあったのだ。




 D810ではピクチャーコントロールが ―― ここで話が少し横道になるけど、このピクチャーコントロールを略して「ピクコン」っていうんだってね、知らなかったなあ。ニコンの開発の人と話していたらピクコン、ピクコン。しばらくなんのこっちゃ、でしたぼくは。さらに横道の脇道の話になるが、ぼくはキヤノンのピクチャースタイルとよく混同する。キヤノンに行ってピクチャーコントロールと言い、ニコンに行ってピクチャースタイルと言って、何度か顰蹙を買ったことがある ―― すまん、元に戻る。そのピクチャーコントロールがD810で大幅に「改良」されたのである。
 メニュー画面を見てすぐにわかるのは2つ。1つは各種ピクチャーコントロールのレベル調整項目に新しく「明瞭度」が加わったこと。もう1つは、「フラット(FL)」という新しいピクチャーコントロールが搭載されたこと。

 D810以前のカメラには「明瞭度」を調整することも「フラット」を選ぶこともできない。そもそもピクチャーコントロールのメニューにそうした項目がないからだ。
 ところが、D810以前のどんなニコンのカメラであってもRAWファイルで撮影したファイルがあれば、それをCaptureNX-Dを使ってRAW現像するときに「明瞭度」も「フラット」も自在に調整したり選択したりできる。RAWファイルで記録しておくと、ずっと古い機種であっても最新のRAW現像ソフトで展開処理できて、いままで不可能だった調整をすることもできる。その証左だ。

 ただし、このCaptureNX-Dで、D810のピクチャーコントロール同じように使うには、ちょっとした「手続き」が必要となる。これが気づかず、ぼくは知らないまましばらく使っていた(あほでした)。

 D810以前のRAWファイルをCaptureNX-Dに読み込んだら、ピクチャーコントロールの選択項目のところが「カメラ互換」になっているので、ここを「最新のピクチャーコントロール」に切り替える。すると、いままでグレイアウトしていた「明瞭度」や「フラット」が選べるようになる。これがその変更部
 ところが、このピクチャーコントロール選択は、いまのバージョン(Ver.1.0.0)ではワンカット処理するたびにディフォルトの「カメラ互換」に戻ってしまうというアホなところがあるので注意。

 詳しく説明するのがめんどうなので省略するが、新ピクチャーコントロールの「フラット」モードは素晴らしい。「ニュートラル」よりずっといい。レベル調整をうまく組み合わせてやる必要があるけど、文句なしのプロ好みのモードだね。

D800Eのもったいないローパスフィルター

ニコン・D810+AF-S NIKKOR24~70mmF2.8G ED

 このニコン・D810については、@niftyのメールマガジン明日からの写真術で2回にわけて詳しく解説をしているので(1回めはD800Eの謎について)、ここではカンタンに触れる。




 D810の注目すべき新しい機能や機構はたくさんありすぎて、その中でいったいどれが"目玉"なのか迷ってしまうほど。ざっとD810のメニュー画面やスペック表をみただけでも、注目の機能(ぼくの、だけど)は30項目を越える。それ以外にも、ぼくには気づかないような隠れた機能や機構がいっぱいありそうな、そんなカメラだ。

 確かにベース(プラットホーム)となっているカメラはD800/D800Eではあるが、そのベースの上に乗っかっている部分はぜんぜん別ものである。ニコンのあるカメラ開発者が、「D800/D800Eの反省を踏まえてその改善に全力を尽くしたカメラ…」と言っていた。なるほどそういうことか、と納得する反面、こういっちゃなんだけど、D800/D800Eを買ってですよ、満足して幸せに使ってきた人たちに言わせれば「おれたちD800/D800Eユーザーはナンだったんだっ」と。
 でも、カメラもまたデジタル製品なんだから仕方ない、と諦めるしかない。

 ところで、これメールマガジンにも書いたことだけど、D800Eが使っていた光学ローパスフィルターっていったいアレはなんだったんだろうか。アイディアは素晴らしかったのだが…。
 いま、冷静になって考えてみると(冷静になるまでもないことなんだけど)、結果的には、あのD800Eのローパスフィルターはめちゃくちゃ無駄なことだったわけだ。大変に高価なフルサイズのローパスフィルターを使っていながら、その唯一無二の本来の役目をわざとなくしている。なんの役にも立たないのに場所を占拠しているだけ。まるで、軽量スポーツカーにエンジンを2つ搭載して、ひとつはダミーウエイトにしているようなもの、か。

 トコトン無駄な使い方。カメラ設計者としては(たぶん)大変に恥ずかし使い方だ。ニコンのカメラ開発者にとって、それをなんとかしたいと思い続けてきて、ようやくD810で懸案の目の上のたんこぶのようなローパスフィルターを取り去ることができた。で、ほっとして、がぜんやる気になったニコンの人たちが頑張って作ったのがD810ではないか。

キヤノン用ニコン用の同時発売

キヤノン・EOS 5D Mark III+タムロン・28~300mmF3.5~6.3 Di VC PZD(Model A010)

 この28~300mmが使える一眼レフカメラはニコンD、キヤノンEOS、そしてソニーαである。ニコン用とキヤノン用はすでに同時発売されたがソニー用は「順次発売予定」となっている。発売日は未定。ペンタックス用の予定はなし。
 いずれにしても、今の処はペンタックスの一眼レフにはフルサイズ判カメラがないから、この28~300mmのペンタックス用レンズをタムロンが発売しても、タムロンにもペンタックスユーザーにもあまり有り難みはない。ただしペンタックスフルサイズカメラの臭いはぷんぷんとするし、リコーイメージングはやる気まんまんみたいだし…。

 それよりもAPS-C判用の16~300mmのペンタックス用を用意してくれたほうがいいとは思うのだが、しかし、どんな理由があるのかないのかタムロンはペンタックス用を作らない。いや、このちょっと話は、フルサイズもそうだけどデリケートなんでこのへんでやめておこう。
 さて、と、ソニーαボディにはカメラ内に手ぶれ補正機構を備えているので、それと干渉しないようにソニー用の28~300mmは、他のタムロンのソニー用レンズと同じようにレンズ内VC(手ぶれ補正)機構を取り除いたタイプになる。




 タムロンは以前からだけど、キヤノン用が先行発売され、その後しばらくしてからニコン用の発売というスタイルがずっと続いていた。たとえば最近の話では、150~600mmのキヤノン用レンズが昨年の12月に発売されたのだが、ニコン用がそれよりもだいぶ遅れて今年の4月にようやく発売。ニコンユーザーからはだいぶ不満があったらしい。その反省もあってか、この28~300mmも、APS-C判用の16~300mmもタムロンとしては久しぶりの「同時発売」となった。

 キヤノン用もニコン用も、ソニー用も、マウント周りを変更すればいいだけなんだろうから同時に発売すりゃいいじゃないか、と考える人がきっといると思うけど、いやいや、じつはそんなカンタンなもんではないのだ。

 タムロンの機構設計(鏡枠設計)を担当しているある技術者が、「キヤノン用とニコン用に対応させようとすると、スペックの違う新しい2本のレンズを設計するのと同じくらいパワーが必要になるんですよ…」と言っていたほどやっかいなことらしい。ニコンのマウントのほうがキヤノンのそれよりもだいぶ小さいし内部機構もニコンのほうが複雑なためもあって、設計者からすればキヤノン用とニコン用を比べれば「文句なしにニコン用が難しいです」と。そんなこんなで、いままでは、キヤノン用を先行させ、その後、じっくりと"難物ニコン用"に取りかかって、それで遅くなっていたようだ。

 しかし、それではイカンだろう、ということで、「これからはキヤノン用、ニコン用の同時発売を目指そう」とタムロン社内で決めたみたい(ソニー用はちょっと横に置いておいて)。

 ぼくは今回の28~300mmDiと16~300mmDi IIのキヤノン用ニコン用の同時発売を見て、ああタムロンもようやくユーザーの立場を考えるようになったんだなあ、と感じた。
 それまでのタムロンはといえば、うーんナンと言えばいいか、自分たちの仕事の進捗都合だけを考えて「ガンバッテやってるんだもん、遅れてもしょうがないじゃないか」とアマエたところがなくもなかった。それが今回から「同時発売」になった。たったそれだけのことだけど、これでタムロンは一歩も二歩も成長した、と思うなあ。

旧型に比べると写りはだいぶ良くなったね

ニコン・D810+タムロン・28~300mmF3.5~6.3 Di VC PZD(Model A010)




 このタムロンの28~300mm(Model名A010)は、6~7年前に発売されたほとんど同じスペックの28~300mm(A20)の後継機種である。その前モデルのレンズ名称が、まるで寿限無じゅげむのようで「AF28~300mmF3.5~6.3 XR Di VC LD Aspherical (IF) MACRO (Model A20)」という。
 たとえば、最近のカメラ雑誌などでよく見かけるのだけど、メーカーのこうした正式名称を記事のタイトル文や見出し文ならいざ知らず、本文中にも"律儀に杓子定規に"だらだらと書いていることがある。いくらナンでもそれじゃあ読者のことを親身に考えてないんじゃないかい?。読者は寿限無のレンズ名が出てくるたびにそれを読まなきゃイケナイ。雑誌にはそれぞれ編集方針とか矜持ってのがあるでしょうが。そんなことしてるからカメラ雑誌の記事は、カメラメーカーのPR誌みたいだ、なんて言われちゃうんだ。

 いや、そもそもタムロンも、ソンな長ったらしいレンズ名を平気で付けるのもいけないんだけどね。その反省もあってか、今回モデルチェンジされた新レンズの正式名称は「28~300mmF3.5~6.3 Di CV PZD(Model A010)」となった。まだこれでも長いとは思うけど、ま、よくかんばってダイエットしました。

 というわけでまた横道にそれてしまったけど、新型28~300mmは、旧型28~300mmとスペックが同じというのが、芸がないというか進化がないというか…それがちょっと残念だった。
 いや、描写性能やサイズやスタイリングではそこそこの進化はあるが ―― 旧型に比べるととくに望遠側の描写がだいぶ良くなっているし、サイズがレンズ名と同じように少しダイエットされてスリムでコンパクトになっていて、さらに外観デザインもシックな感じになっている ―― それはともかくとして、ズーム焦点域は同じ(28~300mm)、最短も同じ(49cm)。ズーム域をわずかでも広げるとか最短を頑張ってみるとか、もう少し、なんというか「色」をつけて欲しかったよなあ、というのがぼくの感想でありました。

 なお、同時に発売された、こちらはAPS-C判用の「16~300mmF3.5~6.3 Di II VC PZD(Model B016)」に比べると、描写性能は、この新型28~300mmのほうがだいぶ良かった。