シグマの中ではいちばん扱いやすい万人向けカメラ

シグマ・dp2 Quattro

 9月25日、@niftyのメールマガジン明日からの写真術の最新号を配信。
 今回の「ここに注目!」は、フォトキナ発表の新製品から見えてきたカメラの未来。APS-Cサイズ判をきわめようとする7D Mark IIと、フルサイズ判一眼レフに突き進むD750、富士フイルムとオリンパスの2つのシルバーモデル、ソニーとパナソニックのこれからのデジタルカメラ時代の2つの提案。「写真とカメラの小ネタ」は、いま中国で大ブレークしているカシオの自分撮りカメラ・自拍神器について、などなど。




 dp2 QuattroになってAWBと測光がだいぶ安定した。画像のヌケも良くなってクリアーになったし、解像力もアップして文句ないのだけど、DP2 Merrillの、なんとなく立体的で深みのある画像と比べるとdp2 Quattroの画像のほうは「やや平べったい」感じを受ける。
 ただし安定したとはいえ、シグマのカメラらしい気まぐれなところは残っている。しかし、従来のシグマのじゃじゃ馬のようなカメラと比べれば(それを使いこなすのがシグマのカメラのもう1つの自虐的愉しみだったのだけど)、dp2 Quattroは飛躍的に使いやすいカメラになったと思う。

 dp2 Quattroのレンズ構成は、前モデルのDP2 Merrillと同じ。つまり中身の光学系は同じ。ところが、2台のカメラを並べてみると「レンズ外観サイズ」はだいぶ違う。
 dp2 Quattroではボディ内部のレイアウトやメイン基板を大幅に変更することで、Foveonイメージセンサーがぐーっ前に出てきた。この写真の「串団子マーク」(イメージセンサー面を示す印)の位置を新旧の機種で見比べるとよくわかるだろう。
 そのため、旧DP2 MerrillのほうはAFアクチュエータや一部の光学系などをボディ内に埋め込ませていたのだが、dp2 Quattroではそれらすべてをレンズ鏡筒内に収めなければならなくなり、さらに新しくAF補助光を搭載し、それをレンズ内部に入れたりしたものだから余計に"太っちょ"なレンズになってしまった。

 メイン基板は薄く大きく横長にして、そのメイン基板の前面、ちょうどFoveonイメージセンサーとの間には大きな放熱板が組み込まれている。カメラ内部の構造イラスト図を見ると2センチそこそこの厚みしかないdp2 Quattroのボディに、びっしりと隙間なくあれもこれも詰め込まれているのがわかる。
 だから大きな図体をしたバッテリーは(Foveonセンサーは"大食い"なので小さなバッテリーではすぐに空っぽになってしまう)、まるではじき飛ばされたように、ボディの端っこに新しく小部屋(ボディグリップ)を作ってそこに押し込み、そのために独特のボディスタイルとなった。

目立つぞぉ、このカメラは

シグマ・dp2 Quattro

 前モデルのDP2 Merrillに比べると(Quattroからdpと小文字表記になった)、その写りはだいぶ「一般向け、万人向け」になった。初代DPシリーズ、二代目DPシリーズの、やや"暴れ馬"ふうの、独特の個性がナリを潜め、すっかり大人っぽくなった。
 いかにもFoveonセンサーらしい、あの力強くてクセのある描写がdp2 Quattroには見られなくなって、ぼくとしてはそれが少し淋しい(わがまま、だけど)。




 このシグマ・dp2 Quattro(クワトロ)は、今年の春、横浜で開催された「CP+2014」で参考出品され、奇抜で意表を突くカメラスタイリングと、コンパクトカメラの概念からはみ出したようなボディサイズもあって大変に注目を集めた。
 6月下旬に発売され、そのころから数ヶ月にわたって使っているのだけど、うむ、なんと言えばいいだろうか、じつに「悩ましい」カメラなんですよ、これが。

 悩ましい、なんていうと誤解を招きそうなので急いで言い訳をするけど、dp2 Quattroのスタイリングがあまりにもハデ(目立つ、という意味)なので、持ち歩くにはそれなりの勇気を出さねばならず、そこが困ったこと、悩ましいことだった。
 始めて手にして、数日持って歩いてみただけで、いままでほとんど経験のないような「強い視線」 ━━ ナンだあのへんてこなカメラは、というような ━━ を感じて、それが気になって仕方ない(ぼくは写真を撮るときはできるだけ目立ちたくないのだ)。気になるのは、まったくもってぼく自身のせいであって、当たり前のことだけど決してdp2 Quattroのせいではない。

 ということは、逆に言えば、目立ちたい人注目されたい人にとっては、こんなにおもしろいカメラはないと思うぞ。そのdp2 Quattroに専用の外付けファインダーやレンズフードをセットして、それを首からぶら下げて歩いたりすれば(ぼくには勇気がないからやってないけど)、ゼッタイに注目度120%だろうね。

ボディマウントの強度をこっそり改善

ソニー・α7s + Vario-Tessar T*FE 24~70mmF4 ZA OSS

 昨年の秋に発売されたα7とα7Rを使っていて、とても気になったことはボディマウントがヤワかったこと。マウントはいっけん金属製なのだが、その金属部が薄っぺら。実際、少し重めのレンズをα7/α7Rに取り付けると、ボディマウントが「たわむ」こともある。ボディの金属マウント部を指で強く押しつけると少しだけど「たわむ」。指で押して「たわむ」ボディマウントなんて、ぼくはいままでに見たことない。




 似たような現象は、ソニーのAPS-Cサイズ判のEマウントカメラでも経験していたことだが、フルサイズ判のα7/α7Rではレンズが大きくなったぶん「たわみ」がよけいに目立ったのかもしれない。他のカメラメーカーのボディマウント部をよく見てみればわかるけど、とてもガッシリとしている。そんなことを以前のブログでも書いた。

 それが今度α7Sを手にしてマウント部を見て、おおっ、とびっくりした。マウント部の様子がα7/α7Rと違うのだ。マウントの内爪がマウント枠と同じ「金属製」になっている。
 じつは、ソニーのEマウントはフルサイズ判もAPS-Cサイズ判も、その内爪はプラスチック製だった。ぼくは「プラスチック製だからダメなんだ」とは考えたくなかったんだけど(頑丈なエンジニアリングプラスチックはたくさんある)、α7/α7Rの「たわみ」を見て、これ、プラスチックが原因じゃないのかなあ、とそんなことを考えていた。
 ボディ外装に内爪のあるマウント枠を置いて、その上から金属製のマウント枠を固定しているのがソニーEマウントだったわけだ。プラと金属の2階建て構造。ソニーの強度テストや検査には合格してたかもしれないが、ユーザーはどんな荒っぽい使い方をするかわからんのにねえ…。

 α7Sでは内爪部分も金属にした(Eマウントでは初だと思うけど、たぶん)。マウント枠と一体か別々かは不明だが普通はどこのメーカーのものも一体になっている。…でも、α7Sのはどうも怪しいなあ…。
 ほらこの写真を見よ
 上の写真がα7S、下の写真はα5000である。α5000はAPS-Cサイズ判のEマウントだけど、フルサイズ判のα7もα7Rもこれを同じだ。

 ところで、もし興味のある人は、ヨドバシカメラとかビックカメラなど大型量販店に展示してあるα7かα7Rを手にとってみるといいだろう。レンズを外してボディマウント部のプラスチック製の内爪を見てみればいい。たくさんの人たちがレンズを付けたり外したりしているからもあるが、内爪のプラスチックはカドは削れて丸くなりボロボロ状態。プラスチックが削れた粉末が指先にくっつく。

 内爪部分も金属にしたことで、たったこれだけのことでα7Sでは「たわみ」がほとんどなくなったし、ボロボロになる心配もないし、プラスチックの粉末がセンサーに付着することもないだろう。
 うん、そうだよねえ、こうでなくちゃねえ。これからのAPS-Cサイズ判のEマウントミラーレスカメラも、この総金属マウントにしてほしい。

ISO409600の別世界

ソニー・α7s + Vario-Tessar T*FE 24~70mmF4 ZA OSS




 ソニーの35mm判フルサイズのイメージセンサーを搭載したミラーレスカメラには、画素数の異なる3機種がある。3640万画素のα7R、2430万画素のα7、そして1220万画素のα7Sである。α7とα7Rの発売は昨年2013年11月で、α7Sは今年6月の発売。

 そのα7Sは画素数が少ないぶん高ISO感度に優位性がある。α7、α7Rの最高ISO感度がISO25600なのに対して、α7Sは、感度拡張しての話だけど、最高ISO409000という超高感度が選べる。ISO25600の1EVアップが51200、さらに+1EVが51200、+1EVで102400、+1EVで204800、+1EVでようやくISO409600となる。ISO100からいえば、なんと+12EVということになる。……だよね、ぼくは算数がサッパリなので間違ってるかもしれん、自信なし。

 つまりISO409600ってそーゆー超高感度だと、それが言いたかったわけだ。
 ここで、いまさらフィルムの感度のことを持ち出すのは筋違いも甚だしいとは思うけど、リバーサルフィルムの超高感度といえば、実用可能かどうかを考慮すればISO3200が限度だった。ISO6400まで増感することは不可能ではなかったけど粒状性が悪くなるのはとうぜんで、それ以上に諧調はなくなる黒のシマリはなくなって使いものにはならない。
 それがどーだ、いまは。

 ISO6400なんて、この高感度にめちゃ強いα7Sを使うまでもなく、ごくごく一般的なデジタルカメラでも鼻歌モンの感度だ。フィルムカメラからデジタルカメラになって ━━ ぼくは運良く、その両方を使うことができ、フィルムからデジタルに移行するときの混乱誤解疑心をつぶさに見てきた ━━ 写らなかったものがどしどし写るようになって写真の表現範囲も格段に広がった。
 中でも高感度の画質の良さはフィルムのそれとは比べるべくもないほどの進化だ。

 それにしても最高感度ISO409600ってすごいよねえ。暗いとか、ブレるとか、ノイズが、なんてことの心配などほとんどせずに、ふだんのまま、明るい昼間と同じ感覚で夜が撮れるんだもんね。いやはや…。

前日の訂正、などなど

カシオ・EX-FR10

 前日のこのブログで、「FR10は防塵"防滴"カメラで、"防水"カメラとは言えない…」というようなことを書いたけど、これ正しくないです。訂正します。
 スペック表を読み直してみると、カメラ部もコントローラ部も「IPX6/IPX7」と書いてあって、表の下の方に小さな文字で次のような付帯説明(但し書き)があった。「常温で、水道水、かつ静水の水深1mの水槽に本体を静かに沈め、約30分間水底に放置しても、本体内部に浸水せず、カメラとしての性能維持できる」と。

 そもそも防滴/防水の「IPX」の検証基準というのがじつに曖昧で(IPX6と7が併記してあるのもそのせい)、だから防滴または防水性能を備えたカメラであってもIPXがいくつであるかを明言しないメーカーもある。
 ま、それはともかくとして、上の但し書きによれば、静かにゆっくりと水深1m程度ぐらいなら水中に入れてもだいじょうぶ、ただし、荒っぽく水中に沈めたり強い流れのある渓流などで使用することは保証の限りではないということ。たった水深1mではあるけど水中撮影ができることは(条件付だけど)保証している。

 というわけで、FR10は「防滴」よりもクラスが上の「防水(耐水)」性能を備えたカメラの部類に入るわけで、ぼくの誤解でありました、すまんでした。




 上の写真は、FR10で撮影した画像を自動的に選んでレイアウトして1枚の写真に仕上げてくれる「ハイライトフォト」の機能を使ったもの(ナンだかなあ…というデキだけど)。このほか、静止画と動画を組み合わせて音楽付きのショートムービーを作ってくれる「ハイライトムービー」の機能もある。スマートフォンのアプリを使えば同じようなことができるじゃないか、と言われそうだけど、でも、スマートフォンを使わなくてもできる、ってことがミソじゃないかなあ。

 FR10はこんなふうに3つにばらして使うこともできる。レンズ部をフレーム枠から外すと、まるでソニーのレンズスタイルカメラQXシリーズのようでもある。レンズ部にはメインスイッチ、静止画シャッターボタン、動画スタートボタンがあるので、それ単独で撮影することもできる。メモリーカード(microSD)もカメラ部のほうにセットする。
 むろん、Bluetoothを使ってコントローラ部のモニター画面を見ながら撮影することもできるけど、このカメラ部にはWi-Fiの機能も入っているのでスマートフォンの画面を見ながら撮影することもできる。

 FR10のほんらいの使い方は、Bluetoothを使ってのカメラ部とコントローラ部の"連携"である。FR10ではBluetoothとWi-Fiが「排他的」な関係にあるり、かつWi-Fiは「二次的」な使用になるので、とスマートフォンで使おうとすると少し厄介な操作を強いられるし、その時にはコントローラ部の使用はまったくできなくなる。

 アクションカメラでもありレンズスタイルカメラでもある新しいコンセプトのおもしろいカメラなんだけど、うまい活用方法が見つからないのが ━━ 昨日も言ったけど ━━ そこがナンとももどかしい。
 「ほら、おもしろいカメラを用意したからね、あとは自分たちで使い方や愉しみ方を考えてみなさいよ」、とカシオに言われているような気もしないでもない。いい使い方のアイディアが浮かばないぼくのせいなのかもしれないけど。
 わがままを言うようだけど、カシオにはFR10の使いこなし方や愉しみ方の具体例をもっと出してほしかったなあ。

カシオのセパレート型カメラ

カシオ・EX-FR10

 このFR10をカシオは「セパレート型カメラ」とよんでいる。
 21mm相当の単焦点レンズが内蔵された「カメラ部」と、2.0型液晶モニターの内蔵された「コントローラ部」が取り外しが可能。カメラ部とコントローラ部は Bluetooth で連携されていて、カメラ部を離れたところに置いておいて(距離に制限はあるけど)コントローラ部のモニター画面を見ながらシャッターを切って撮影ができるというもの。

 ソニーのレンズカメラ・QXシリーズと似てなくもないが、QXのほうはスマートフォンで撮影画面を見たり操作をするのだが、カシオのFR10はスマートフォンがなくても(スマートフォンでも撮影可能だが)小さなコントローラ部とペアで撮影ができる。




 カメラ部もコントローラ部も防塵防滴で ━━ カシオは「防水」と言っているが水中撮影はできない、多少なら濡れてもだいじょうぶ、という程度(← 間違い、1メートルまでなら水中撮影可能) ━━ 落下衝撃は2メートルまで、ということで、そう、いま流行のアクションカメラ(スポーツカメラ)のジャンルに入るのではないか。

 それにしても、うーんなんと言えばいいのだろうか、ぼくにとっては使いこなしの難しいカメラだ。いや誤解されたら困るんだが、操作が難しいという意味ではない。むしろ操作は簡便。
 液晶モニターはタッチパネル式だし、シャッターボタンも動画ボタンも、カメラ部にもコントローラー部にもあるので、いつでもどこでもどんなカッコウをしても撮れる(というと、すぐに反応する人がいるけど、怪しい隠し撮りのことを言ってるんじゃないぞ)。軽いし、小さい。レンズ部が約65グラム、コントローラ部は約80グラム。

 使いこなしが難しいというのは、どんなシーンを、どのようにして写せば、このFR10らしい写真が撮れるのか、そこがアタマの固いぼくには難しいという意味。
 このブログの写真は、紹介しているカメラやレンズで撮った写真を使っているのだけど、今回ばかりはナニを写せばこのFR10らしい写真ができあがるのか、そこがさっぱりわからず、もうかれこれ一ヶ月ぐらい使っているのだけど、結局、ありふれた街のスナップ写真しか撮ってない。じつに悩ましいカメラですねえ。
 というわけで、本日の写真はまったくもって「芸」のないものになりました…。

「クラシッククローム」モード

富士フイルム・X30

 Xシリーズのカメラには画像仕上げモードの「フィルムシミュレーション」が搭載されている。このフィルムシミュレーションは、たとえばキヤノンでいえばピクチャースタイル、ニコンのピクチャーコントロール、ペンタックスのカスタムイメージ、オリンパスのピクチャーモードなどがそれにあたる。なお、オリンパスが始めてやりだしたアートフィルターのような画像処理仕上げとはまったく別もの。
 富士フイルムの画像仕上げモード(フィルムシミュレーション)の大きな特長は、フィルムメーカーならではのフィルム名を前面に打ち出して、そのフィルムの発色、描写特性に近い仕上げにしていることだ。




 そのフィルムシミュレーションに、新しく「クラシッククローム」モードが追加され、XシリーズのカメラではX30に初搭載された。今後に発売されるXシリーズの機種には順次搭載され、さらに今年12月に予定されているX-T1のファームウエアアップデートの追加機能にも加えられている。
 「クラシッククローム」は、富士フイルムのプレスリリースによる説明と使ってみたぼくの印象をまとめると、昔のカラーフィルムの色調や諧調を再現したもので、柔らかな階調、シャドー部の豊かなグラディエーション、控えめな色調が特徴といえる。
 昔のカラーフィルム…ということで「コダクローム調である」と紹介をしている記事を見たけど、それはぜんぜん違うと思う。コダクロームのようにコントラストも彩度も高くない。むしろアグファクロームに似ている。ヨーロッパふうの色調であるような印象だった。

 ここに、新しい「クラシッククローム」と、標準モードの「スタンダード」との比較画像を用意したので、ま、それを見比べてみるといいだろう。
 1つは花を写したもの。左がクラシッククローム、右がスタンダード。クラシッククロームのほうがアッサリとした淡い色調。もう1つは青空と木々の緑を写したもの。左がクラシッククローム、右がスタンダード。クラシッククロームのほうが、ほんの少しイエローに偏っているかな。右のスタンダードは木々の緑は透明感もあって鮮やかだ。

 光が強くてハイコントラスで色彩が鮮やかなシーン、たとえて言えばハワイのような景色ではクラシッククロームの良さが引き出せそうだけど、どんよりとした日本の景色ではむしろスタンダードのほうが向いているような気もしないでもない。

公式スペック表の記載間違い? 漏れ?

富士フイルム・X30

 少し前回ブログの繰り返しになるが、新型X30は旧型X20とまったく同じ、「内蔵ズームレンズ」、「イメージセンサー」、「画像処理エンジン」を使っている。デジタルカメラにとってもっとも重要なデバイスに進化がないから、いまひとつアピール度に欠けるキライもある。マイナーチェンジと受け取られかねないのだけど、けれど旧型X20からは飛躍的に大幅に進化したところがたくさんある。
 はじめてX30を手にするユーザーには「こんなもんだろうなあ…」と感じるかもしれないが、旧X20のユーザーは短時間使ってみただけで、X20で不満に感じていたことの多くが解消され改良されていることに気づくはず。




 X30はカメラのとしての完成度はひじょうに高くなった、とぼくは思う。このクラス ━━ いわゆる高級コンパクトカメラのカテゴリー ━━ の中では、完成度はトップクラスのカメラ、といっていいだろう。

 X20の凝りに凝った光学ファインダー(OVF)から、X30では電子式ファインダー(EVF)に切り替わった。このことでX30は、三歩ほど一般のユーザーに歩み寄ったように思う。
 X20の光学ファインダーの良さについては、そのへんに強いこだわりのあるユーザーには高く評価されていただろうけど、多くの一般的なユーザーにはそれほどの魅力を感じなかったのではないか。それよりもむしろ、画面が大きくてリ、アルタイムに色や露出の変化がわかるEVFのほうを喜ぶユーザーは圧倒的に多いに違いない。そういう意味で言えばX30は、より一般向けのカメラになったといっていいだろう。
 ただし、X20の光学ファインダーかX30のEVFかどちらが好きか、と聞かれたら、ぼくは「X20のファインダーが好き」と答えたい。X30のEVFがだめなんではなく、X20のOVFのデキ具合があまりにもヨカッタからだ。

 X30になって ━━ たぶん富士フイルムのXシリーズのカメラとしては始めてだと思うが ━━ プログラムモードでのシャッタースピード1/4秒制限がなくなった(完全オートモードではいままで通り1/4秒に制限している)。これでようやく他社カメラ並みになった。よかった。
 ところが無制限に、シャッタースピードの全速連動というわけではなく、絞り優先オートやシャッタースピード優先オートと違って(こちらは30秒まで)、プログラムモードだけは制限をかけて「最長4秒」までしか連動しない(1/4秒じゃないぞ)。
 なお、X30の公式のスペック表には「全モードで30秒」まで連動するような記載があるが、それは間違い。それともプログラムオートの連動範囲の記載漏れかな。
 ……おーい、スペック表はもう少し丁寧にチェックしてね(と、ぼくにはそうエラそうには言えないけど、ね)。

進化が少ないようだけど大進化したモデルチェンジ

富士フイルム・X30

 このX30は、1200万画素の2/3型X-Trans CMOS IIを採用して、内蔵レンズには28~112mm相当F2~2.8の4倍ズームレンズである。2013年2月発売のX20の後継機種となる。約1年半ぶりのモデルチェンジ。
 旧型X20からの「進化点」はたくさんあるのだが、もっとも大きな点はファインダーである。旧型X20が光学式ファインダー(OVF)だったのが、いや、この光学ファインダーがじつに良くてきていて、それをなくしてしまった、と聞いたときは正直いうと、ぼくはがっくりと肩を落とした。そのへんの詳しい話は機会があれば後日にでも。
 というわけで、新型X30では電子式ビューファインダー(EVF)になった。富士フイルムもこのことをイチバンのセールスポイントにしている。




 その他の進化点としては ━━ 以下、気づかず取り上げてないところもあるかもしれないけど ━━
●背面液晶モニターがチルト式になったこと(これはいい、文句なしにいいですね)
●モニター画面サイズが2.8型が3.0型に大きくなったこと(モニター画面は大きいほうがイイ)
●バッテリーが大容量化したこと(従来が270枚だったのが470枚まで撮影可能に)
●レンズ鏡筒に新しくコントロールリングが設けられたこと(カスタマイズして機能変更もできる)
●ファインダー内のGUIなどを大幅に変更(すごく良くなったが文字が小さすぎてぼくにはツラいけど)
●Wi-Fi対応
 などである。

 おお、そうそう忘れていたが、●フィルムシミュレーションに新しく「クラシッククローム」を追加された。X30のアピールポイントの1つだったよね。これについては後日、話をするつもり。
 これら以外の、レンズやセンサー、画像処理エンジンなどの画質にかかわる基本デバイス系は変更はなくほとんどが同じ。こうしたことから、ややもすると「マイナーチェンジか」と受け取られかねないが、じつは手の込んだ、丁寧で、マジメな改良がたくさんされている。

 ただ1つだけ、ニューモデルでぜひ改善してほしいと思っていたことは(贅沢を言えば)最短撮影距離だった。しかし結果的に、レンズが旧型のままだったからぼくの望みはかなわなかった。
 最短は、マクロモードにすると広角側では10cm。広角側のそれはそれでいいのだけど(本心はもうちょっとほしいけど)、なによりも望遠側が50cmになってしまうのが不満だった。このてのコンパクトカメラで最短50cmはいくらなんでも遠いよなあ。
 X20はファインダーがOVFだったから「ま、しょうがないか」と思っていたけどX30はEVFじゃないか。ぐんぐん近づいてもパララックスの心配もないのにねえ…。

目立たないが注目の新しい撮影モード

オリンパス・E-PL7+M.ZUIKO DIGITAL14~150mmF4~5.6

 E-PL7については、下向きモニター自分撮りモード、新しいアートフィルター、Wi-Fi搭載といったところをオリンパスは積極的にアピールしている。しかし、そのほかにも、ひっそりと改良されたり追加された機能や機構がある。

 たとえばコマンドダイヤルが搭載されたことがそのひとつ。いままでのPLシリーズには、そうした操作ダイヤルがなく、十字キーを押して機能を呼び出し、その後に再び十字キーの操作をするといっためんどうなことをやらねばならかった。

(訂正)
 すでに以前のPLシリーズにも「コマンドダイヤル」がありました。ここを読んでくれてる人からご指摘をいただいた(ありがとう)。
 以前の「コマンドダイヤル」は十字キーが回転するタイプで、それを親指でクルクルと回す。なのだけど、ダイヤルを回すつもりが、つい、十字キーを押してしまって(簡単に反応する)おっとっと、となることが何度かあって、ぼくはその操作を避けてきた。
 それが今度、E-PL7になってシャッターボタンのそばに移動させたというわけだったのです。たったそれだけの、コマンドダイヤルの位置を変更させただけで、「コマンドダイヤル始めての搭載」とカンチガイするほど格段に操作性が向上しましたね。

 新しいコマンドダイヤルはシャッターボタンと同軸上に設けられて、絞りやシャッタースピード、あるいは露出補正がダイレクトで操作できるようになった(カスタム設定でダイヤル機能変更が必要なものもあるけど)。




 シーンモードに新しく「流し撮りモード」が追加された。E-PL7のシーンモードにはじつにたくさんあるのだけど(なんと25種類も)、そのいちばん最後にひっそりと、流し撮りモードが新しく追加されている。
 この流し撮りモードが大変によくできている。
 皆さん、ぜひ注目してほしい。シーンモードの中に隠れているのがもったいないぐらいで、堂々と表舞台に出てきて皆んなに使ってもらい撮影を愉しんでもらってもいいほどの実力を秘めたもモードだ。

 動いている被写体をカメラパーンして追いかけると、そのスピード、動く方向、シーンの明るさなどを自動的に判断して、もっともウマく流し撮りができる最適なシャッタースピードに設定される。暗いシーンなどで望んだシャッタースピードが得られない場合は、自動的にISO感度がアップする仕組みになっている。手ぶれ補正はカメラをパーンする方向を検知して一方向のぶれ補正をキャンセルする。

 動く被写体のスピードの検知は、おそらく、撮影レンズの焦点距離とピント距離を読み取りつつ、手ぶれ補正のジャイロセンサーを使って像面の"動き量"を判断しているのだろう。同じ速度でも、広角レンズと望遠レンズでは像面では動き量が違ってくるから、それぞれに「最適」なシャッタースピードを選んでやる必要がある。PL7の流し撮りモードではそれを丁寧にやっているようだ。
 だから望遠レンズでも広角レンズでも、近距離でも遠距離でも、走るクルマでも電車でも、こどもでも犬でも、初心の人でもベテランで、もうまく流し撮りができる(はず)。

 この流し撮りモードはシーンモードに入っているもんだから、撮影機能の設定が自由に変えられないという欠点もなくもない。カメラに詳しくない初心の人たちには、間違って変更して失敗しないようにしているのはいいのだけど、ちょいとアレンジして使いこなしたいと考えている人には不満もある。

 初期設定では、AFは「AF-C」で、中央の「9点グループターゲット」になっていて、ドライブモードは「低速連写」となっている。AF-CをAF-Sにしたり、9点を中央1点や全エリアモードに切り替えたり、低速連写を1コマ撮りにすることはできるのだけど ━━ この変更は初心の人にはめちゃくちゃ難しいと思うけど ━━ それ以外の設定となるとできないことのほうが多い。

 流し撮りモードに限らないことだけど、オリンパスのカメラのシーンモードには、シーンモードの中に埋もれさせておくにはモッタイナイほどの魅力的で高い機能を備えたモードもある。優れたモードはシーンモードに隠しておかないで、堂々と皆んなの眼に触れるように、オリンパスはこのへんのことを、少し考え直して欲しいと思うわけですよ、ぼくは。

ユーザーターゲットは若い女性じゃないかな

オリンパス・E-PL7+M.ZUIKO DIGITAL17mmF1.8

 ちょっと、おしらせ。
 9月4日(木)の19:00~20:00に、オンライン公開授業ってのをやります。「Schoo」という新しいカタチの「学校」のようなもので、ぼくが話をする、それに対してリアルタイムに感想を述べたり質問したりして、ぼくがそれに答えたり応えなかったり…と、まあ、そんなことをやります。初めての試みで、たぶん1回限り。

 『デジタル一眼カメラで写す「いい写真」と「うまい写真」』というテーマで放送。内容は初心者向けですが、ベテランが聞いて参考になるところもある、かも…(自信はないけど)。
 受講は無料(申し込みは必要)。https://schoo.jp/class/1251




 というわけでオリンパス・E-PL7のつづき。

 PL7の大きな特徴は3つ。下開きの液晶モニターで自分撮りができる。PLシリーズでは初のWi-Fi内蔵。アートフィルターに新しく「ヴィンテージ」と「パートカラー」が追加、といったところ。上の写真は、その「ヴィンテージ」モードで撮ったもの。

 自分撮りをするために液晶モニターが回転して自分のほうに向くカメラはいまたくさんある。そのほとんどが(すべて、か)カメラ上部方向に立ち上がるのだけどPL7はカメラ下部で自分側に向く。うーん、なかなか大胆というか、いかにもオリンパスらしい仕様だ。
 モニターがカメラ(レンズ)の下になることは、オリンパスが言うところ、タッチパネル式のモニター画面を操作しやすいんだそうだ。

 確かに操作はしやすいんだけど、しかし「目線」がどうしても下に向きがちになるのが気になった。レンズの上にモニターがあると、自然と上のほうを見ようとして眼もぱっちりして写る。ところがPL7の場合、レンズの下側を見るので、とくに広角レンズの場合は距離が近くなるからどうしても目線が下がり、やや伏し目がちに写ってしまう。だからPL7で自分撮りするときは、意識してレンズのほうを見るようにしたほうがいいみたい。

 いずれにしても自分撮りってのは男性よりも女性が多いような気もしないでもない(偏見だ、と怒らないでくれ)。
 少なくとも、ぼくは自分撮りはやりません。残された人生で、できることなら自分の顔だけは見ないで一生を終えたいと願っているぐらいだから。

 そういう意味で言えば、このPL7はかなり女性ユーザーを意識したカメラのような気もする。ターゲットとしている女性層も、ぴちぴち脂ののりきった(表現がマズいかな)女性の人生でもっとも美しく見える年代、そう、20~30歳代の元気な女性に向けたカメラのような、うん、使ってみてそう感じた。
 カタログを見ると、若い女性に人気のあるという宮崎あおいさんが、PL7なんてそこのけ、といわんばかりにページをめくるたびにどーんどーんと大きく写っていて、なるほど、と思った。

 ボディカラーは3色あるうち、ホワイトがいちばんイイ感じ。淡いパステル調のピンクのボディがあってもよかったかも、ね。シルバーのレンズとも似合いそう。