D750ユーザーに、いい話をひとつ

ニコン・D750+タムロン・28~300mmF3.5~6.3 Di VC PZD

 軽い、小さい、そして薄いカメラボディ(フルサイズ判一眼レフとしては)。
 これがD750のウリのひとつ。こうしたボディを作り上げるためにモノコック構造にした、とニコンは言っている。現在の多くのクルマやミラーレスカメラはモノコック構造。
 ところが、D750のモノコック構造というのが(ぼくには)イマイチよくわからない。というのは、いわゆるミラーボックスのための骨組み(のような)構造がD750にはあるわけだし、そこにはミラーやシャッターやセンサーが組み付けられ、さらにボディマウントも取り付けられている。
 その「骨組み」をフレームだと考えればモノコック構造ではなくフレーム構造になりはしないか、というもの。




 あ、これはイチャモン、難癖ですね。すまん。
 モノコック構造であろうがフレーム構造であろうが、この際どうでもいいです。かんじんなことは、とにかくニコンががんばって「軽く小さく薄い」ボディを作ったわけだから、どんな構造であろうが、べつどーでもいいことです。ちなみに、フルサイズ判D750はAPS-C判キヤノン7D Mark IIよりも小さくて軽い(これ、すごいことですね)。
 D750は軽い小さいボディに仕上げるためにマグネ合金のほかに新し炭素繊維の複合材を使ったり、薄いボディにするために電子基板も小さくするなど、ボディのあちこちでニコンはそうとうの工夫や努力をしている。

 D750に「軽め穴(かるめあな)」の処理がされているのを見て、ぼくはおおいに驚き感動した。カメラに軽め穴なんて。
 軽め穴とは昔のレーシングカーなどでボディ軽量化のための手法のひとつ。金属パイプやプレート部に、強度を損なわないぎりぎりまで穴をあけて徹底的に軽量にした(軽ければ軽いほどスピードアップが可能)。しかし軽め穴で軽量化できるとはいえ、実際的にはほんのわずか軽くなるに過ぎない。でも、メカニックの速く走ってほしい気持ち、心意気、やる気、だ。少しでもボディを軽くして、1秒でもコンマ5秒でも速く走ってほしい。そんなレーシングメカニック達の熱い思いが軽め穴の処理だ。

 D750のユーザーで、そのボディのある部分に軽め穴があることに気づいた人がどれくらいいるだろうか。
 チルト式液晶モニターのボディとモニター部の接続金具をよく見るといい。
 この部分の、この穴だ
 この薄い金属プレートに丸くあけられた穴が軽め穴。こうして穴をあけることで、いったいどれだけボディが軽くなるんだ、というヤボなツッコミはしないこと。たぶん数グラム以下だろう。

 だがしかし、だ。「わずかでも、たった1グラムでも軽くしたい。ユーザーに軽いボディを使って撮影を愉しんでほしい」という、ニコンのカメラ開発のメンバーの熱い思い、強い気持ちがひしひしと伝わってくるじゃないですか。
 この軽め穴(軽め穴であることは実際にニコンに聞いて確かめた)を見て、クルマが好きなぼくはD750がいっぺんに大好きになった。モノコック構造といい、軽め穴の処理といい、まるでレーシングカーのような一眼レフカメラじゃあないか。

D750に、タムロンの28~300mmズームがベストマッチング

ニコン・D750+タムロン・28~300mmF3.5~6.3 Di VC PZD

 繰り返しになるが、このD750のいちばんのセールスポイントは、「軽くて小さなフルサイズ判一眼レフ」である。持ってみればすぐにわかるが確かに軽くて小さいボディだ。D810から持ち替えれば、D750の軽さと小ささはもっとよくわかる。グリップの指当たりが深くて握りやすく持ちやすいのもイイ。



 チルト式の液晶モニターを採用しているのにボディの「厚み」がそれほど感じられない。とてもスリムなフルサイズ判カメラである。ここまで小さく軽く薄く仕上げるには、あれやこれや苦労したことだろう。

 ところが、標準キットになっている24~120mmF4ズームレンズが(D750のスリムさに比べると)いささか大柄でヘビー。せっかくの軽量ボディの利点が帳消しになっているは残念。
 そこでぼくは 24~120mmF4からタムロンの手ブレ補正内蔵の28~300mmF3.5~6.3に交代させたところ、この組み合わせがすこぶるよろしいのでした。タムロンの最近の高倍率ズームは小型軽量で性能もとても良くなってきている。皆さん、少し注目してもいいと思う。

 ニコンはムカシからカメラボディもレンズも、「小型軽量化」が苦手だった。理由は耐久性を重視しすぎるためだ。耐久性重視はニコンの伝統(アイデンティティ)だからしょうがないのだけど、最近はボディのほうは、あれこれのガンバリもあって耐久性と小型軽量化のバランスをとりつつ設計できるようになってきた。しかし、レンズのほうは相変わらずムカシのまんま。これ、なんとかしなきゃいかんですね。

カメラ名を「D650」でなく「D750」にした理由

ニコン・D750+タムロン・28~300mmF3.5~6.3 Di VC PZD

 暗いところも明るいところも、とっても良く写るカメラである。
 その画質については文句はなにもない。フルサイズ判だし、約2400万画素もあるし、ローパスフィルターもあることはあるけど「1枚だけ」だから、いいレンズを使えば解像力のある高画質が得られる。
 高ISO感度の画質は、少し前までニコンは高感度の画像処理がやや不得意なところもあったけど、D4sやD810あたりからだいぶ良くなってきた。このD750もいい。




 でも、なぜ「D750」というカメラ名にしたのだろうか。「600番台」のカメラ名だと思うのだけど、敢えて「700番台」にしたのには、なにか深い理由がありそうだ。

 ニコンの一眼レフカメラは操作系の違いで2通りに分けることができる。カメラを上から眺めてみればわかるが、左肩に、モードダイヤルのあるカメラと、3つまたは4つのボタンを集中配置したカメラである。この操作ボタンのことを俗に「三つ葉ボタン」とか「四つ葉ボタン」という。
 どちらかと言えば、高級タイプは左肩にモードダイヤルがなくボタンが集中配置した機種が多い。D4sやD810は四つ葉ボタン。いっぽうモードダイヤルのほうは中級機タイプに多い。D7100やこのD750がそうだ。

 で、ナニが言いたいかというと、D700はモードダイヤル系ではなくボタンが3つの三つ葉ボタン系のカメラ。D610はモードダイヤル系。ところが、このD750は「700番台」なのにボタン系ではなくD610と同じモードダイヤル系だ。
 ということはD750はD700の系列ではない。後継機種でもないみたい。実際、ニコンの人も「D700の後継機種ではない」と言っている。
 つまりモードダイヤル系かボタン系かという分け方をするなら、D750はほんらいなら「600番台」のカメラ名になってしかるべきではないかと ━━ そんなことどーでもいいじゃないか、と言われれば、うん、ほんと、つまらないツッコミ話だよなあ、と自分でも呆れるけど ━━ 。

 たとえば「D650」というカメラ名にしておけば、ふむふむそうか、と多くのユーザーはそう思うはずなのに……いいや、そんなことはニコンは百も承知千も合点、でもしかし「ある理由」があってそうすることができなかったわけだ。
 でも、ぼくには「ある理由」は知らない。ぜんぜんわからないのですよ、じつは。

ニコンらしくない平和的カメラ

ニコン・D750+AF-S NIKKOR 24~120mmF4G ED VR

 ニコンの一眼レフカメラはこのところ、まるでフルサイズ判に突き進んでいるようだ。昨年はD610、Df、今年になってD4s、D810、そしてこのD750である。APS-Cサイズ判はといえば、昨年の春にD7100が発売されて、その後にD5300、D3300の計3機種がぽつりぽつりと発表発売されているだけ。

 ニコン一眼レフはAPS-Cサイズ判の新製品開発はやめた、とはとても考えられないが、そう思われても仕方ないほどのフルサイズ判への入れ込みようだ。この「流れ」でいくと、フルサイズ判(または中判)ミラーレスカメラがつぎに出てきてもおかしくないぞ、と、あらぬことを考えてしまう。




 それにしても、D750には「これっ」といった独自性が少なく、特徴もわかりにくいカメラだ。いや、フルサイズ判一眼レフにしてはとても軽い小さい、液晶モニターがチルトするなどのメカニズム的な特徴(特長か)がないわけではないが、じゃあそれ以外に、たとえば撮影機能や画質などの点で、他の機種に比べて「これだっ」というものがあるかどうか。

 こぢんまりとまとまった「ソツのない仕上がり」のカメラという印象も受ける。D810のようなツッコミどころ(いくつかあるんだよねえ)がない。
 使ってみても、欠点らしい欠点や不満がほとんど(いや、まったく)ないカメラだ。でも使っていて、おもしろみや、わくわく感がいまいひとつ少ない。うーん、なんというか、ニコンのカメラらしいアグレッシブさがない。なんだか安定平和主義のキヤノンのカメラに似ているような気もしないでもない。あ、悪い意味で言ってるんじゃないよ、誰でもが失敗なくそこそこの写真が撮れるカメラとでもいえばいいか。

 「初めて一眼レフを買いたいのだけど…」と初心者にいきなり問われたら、いままではキヤノンのカメラを勧めていたが(初心者が使っても"当たり外れ"がない)、このD750もその推薦機種に入れてもいいだろう、そんなカメラのような気もする。たとえば、Dfなんてクセの強いカメラでなくてもニコンのカメラは、初心者の初めての一眼レフとしてはお勧めしにくいもんね。ソレ、なんとなくわかるでしょう、ぼくのいわんとするところは。

メニュー画面文字の書体が新しくなった

リコーイメージング・PENTAX・K-S1+DA 35mmF2 AL

 本日、10月10日配信(第25号)の@niftyメールマガジン「明日からの写真術」は、60周年を迎えたライカM型のデジタルカメラの新製品と画期的な提案(600台限定のLEICA M Edition 60のコンセプトに注目)や、いま各社のカメラ内でやっているレンズ補正の画像処理について考察、そして、うまくなるための「カメラ基礎講座」は第6回目、誰でもが知っているようでじつは知らない露出モードのあれこれについて。




 ローパスフィルターを外しても、偽色やモアレを大幅に目立たなくできるローパスセレクターの機構をこのK-S1にも組み込んでいる。K-3で始めて搭載された、解像感を落とさずに偽色モアレを目立たなくする画期的な機構である。K-S1のローパスセレクターは「OFFとON(タイプ1と2)」の3パターンが選べるのもK-3と同じである。
 以下、どーでもイイ話だけど、ローパスセレクターONにしてシャッターを切ったときに、イメージセンサーが一瞬だけ高速円運動する。そのときに「ポッ」というかすかな音がする(K-3はよく注意して聞けばわかる)。ところがK-S1では、シャッター音がとても賑やかなので(つまり、音が大きいために)ローパスセレクターの「ポッ」の音がまったく聞こえない。K-S1のシャッター音が大きく聞こえるのは防塵防滴仕様でないために、隙間から音が漏れるからだろう。
 いやでも、久しぶりですよ、こんなに元気で賑やかなシャッター音のカメラは…。

 K-S1の、なんと言っても最大の「特徴」はLEDイルミネーション(そうだ、ノーベル賞の青色LEDも使ってる)。メインスイッチをONにするとグリップ部やボディ背面の操作ダイヤル部がLED照明される。LEDを照明に使うわけではないが、光るカメラ。
 初めて見た時 ━━ ウソでもおべんちゃらでもなく、おっいいじゃないか、と好印象だった。光っては困るときや、いやだなあと思ったら消すことができるんだし、ぼくはこんなカメラもアリだと思う。
 K-S1はちゃらちゃら色っぽく光るだけが取り柄のカメラではない。視野率はなにげなく100%だしISO感度はK-3と同じくISO100~51200までで画質もいい。

 ところで、K-S1を使った人は、メニュー画面文字のフォント(書体)がいままでのKシリーズなどと違っているのに気づいただろうか。
 K-S1のフォントは、以前のリコーのカメラに使われていたもので(現GRのフォント)、これがとてもいい。それに比べ、ペンタックスのフォントは、線が太くてボテッとした印象で、メニュー画面を見るたびに、うーんナンとかしてくれよ、と思っていた。ペンタックスとリコーが一緒になったとき、すぐに「リコーのフォントを使ってちょうだいよ」と言い続けてきて、ようやくK-S1で実を結んだ。
 新しいフォントは(いやリコーがずっと使ってきたフォントだから「新しい」わけじゃないけど)、線が細くてシャープでくっきりとしてとても見やすいし読みやすい。ただ、文字サイズはもう少し小さくしてもよかったかも。

 他社のカメラでフォントがきれいだなあと感心するのはキヤノンのEOSシリーズですね。あのフォントはぼくは好きだなあ。文字の大きさもちょうどいい。文字サイズといえば、オリンパスは小さすぎるし、ニコンは大きすぎるなあ。

「ダントツ」のトップだ、はちょっと言い過ぎでした

リコーイメージング・PENTAX・K-S1+DA20~40mmF2.8~4.0 Limited

 「K-S1の画質はPENTAX一眼レフカメラの中でダントツのトップ」と前回のブログで言ったけど、それ、ちょっと言い過ぎだった。現在、ベータ版機種を使った限りにおいて、「ダントツ」はトルツメ、削除としたい。

 高ISO感度でのノイズの少なさ(目立ちにくさ)についてはK-S1が文句なしにいい。ノイズだけについて言えばK-3と比べて感度比で「約1.5EV」ぐらいの差があることは確か。だけど、画像全体の解像感というかシャープさについては多少の不満がなくもない。
 もしK-S1の高ISO感度画質が、K-3ぐらいの切れ味、シャープネスがあれば迷うことなく「ダントツ」と言い切ってもいい。K-S1は少し高感度時のシャープ感がもの足りない。そこが残念。今後の改良に期待したいです。




 K-S1のイメージセンサーは総画素数が約2042万画素、有効画素数は約2012万画素のAPS-CサイズCMOSセンサー。
 これ、ちょっと珍しい画素数のセンサーで(たぶんソニー製だと思う)、似たようなセンサーは(おそらく同じだと思う)ソニーAマウントカメラのα58ぐらいしか見あたらない。α58のセンサーは総画素数が約2040万画素、有効画素数が約2012万画素だから、多少の端数の違いはあるけど同じと考えてもいいだろう(どちらも「約」が付いていることに注目)。
 このイメージセンサーが、なかなかの優れもののようだ。

 ところで、PENTAXブランドのカメラには画像処理エンジンに2つの系統がある。1つはPRIME系で最新型はK-3や645Zで使っている「PRIME III」、もう1つはPRIME M系でその最新型がK-S1の「PRIME M II」である。
 で、この「PRIME M II」が、MからM IIになって上位の「PRIME III」よりも、とくに高感度時のノイズ処理にどうも優れているようで、そのせいでK-S1の高感度画質がよいらしい。つまり、イメージセンサーの素性の良さと、新しい画像処理エンジンの組み合わせがうまくマッチしてK-S1が高画質になったようだ。

 でも、そもそも、同じメーカーの同じ一眼レフカメラなのに、どうして系統のことなる画像処理エンジンを2種類使い分けているのか、どうもそのへんがよくわからんですねえ。

PENTAX一眼レフカメラの中で画質はトップ

リコーイメージング・PENTAX・K-S1+DA 35mmF2 AL




 一眼レフカメラは ━━ ミラーレスカメラもそうだが、いま、どのメーカーもとにかく「小さく軽く」することを最優先(とはちょっと言い過ぎだけど)にしているような、そんな気もする。「小さく軽く」を優先するために、カメラにとって大切な機能や機構が、省略または"二の次"になってしまう、なんてこともなくもない。

 このK-S1だって、少しでも「小さく軽く」するを優先させたために、防塵防滴の機構を入れなかったみたい。もちろん、コストダウンして、より低価格のカメラを作るという重要な目的もあったのだろうけど、それはそれとして、防塵防滴の機能を入れたからといって、はたしてカメラがどれほ「大きく重く」なったか、大いに疑問だなあ。

 ミラーレスカメラはともかくとして、一眼レフカメラは少しぐらい「大きく重く」ても、ぼくはへいちゃらだ。ミラーレスカメラではなく一眼レフカメラを使うときは、それなりの「覚悟」をして使っていますからね、ぼくの場合だけど。それに、少し大きく重めのレンズをセットしたらボディの「小さく軽く」なんてどこかに吹っ飛んでしまう。「小さく軽く」よりも「機能と機構」のほうを一眼レフカメラには求めたいですね。

 いや、そんな年寄りの愚痴のような話はさておいて、このK-S1、画質がいいのに驚いた。とくに高感度画質がいい。画質は、645Zは別格として、現行のPENTAX一眼レフカメラの中では文句なしのトップ。
 なにげなしにK-3と高ISO感度で撮り比べてみたんだけど、K-3が大好きなぼくとしては「ああ、撮り比べなんかするんじゃなかった…」と、高感度画質を見てK-3にすっかり落胆してしまった。高ISO感度のノイズは、K-S1とK-3とでは感度比較で「約1.5EV」ほどの差があった。

 PENTAX一眼レフはもともと色ノイズが少なく、ノイズ処理がうまくてそれほど解像感が損なわれないのだけど、K-S1はそのへんの画像処理が一段あるいは二段ぐらいレベルアップした印象だ。
 K-S1、素晴らしい高感度画質ですぞ。


高倍率ズーム内蔵一体型カメラの中では、S1が一押し

富士フイルム・FinePix S1

 高倍率ズーム内蔵一体型カメラについての続き。

 あれやこれや最新型の高倍率一体型カメラを使ってみたけれど、ぼくとしては、この富士フイルムのFinePix S1がいちばん使いやすくてよかった。この手のカメラの中では唯一、防塵防滴仕様であるというのも魅力の1つだったし、操作感もすこぶる良かった。
 そもそも富士フイルムは、こうした高倍率一体型カメラをだいぶ前から我慢強く作り続けてきた実績もある。そうした長年の「積み重ね」がFinePix S1で実を結んだんだなあと、そんな気もしないでもない。




 内蔵の高倍率ズームの広角端の画角は、24mm相当からというのがほとんどだったが、ただ1機種だけ、パナソニックのLUMIX FZ70だけが20mm画角からのズームを内蔵していた。このカメラはボディサイズも小さく、そして軽くて好印象だった(ほんと魅力的だった)のだけど液晶モニターが固定式だったのが、残念マイナスポイント。
 同じくモニターが可変しない固定式だったのは、オリンパスのSTYLUS SP-100EE(これが可動式だったら一押しだったかも)、リコーイメージングのPENTAX XG-1の3機種だけだった。あとの4機種は可動式。やはりモニターは可動式であるべきですね、この手のカメラでは。

 使ってみた7社7機種の中でもっともロングセラー(というと聞こえがいいけど)だったのはキヤノンのPowerShot SX50HSだった。1年たてば旧型のイメージが強いコンパクトカメラで、なんと2年以上もモデルチェンジせずに売り続けていた。モデルチェンジしないでも、売れていた、売った、というところがいかにも販売力のあるキヤノン。
 ところが、とうとう、さすがのキヤノンも息切れしたか、新型SX60HSがつい先日、発表になった。21~1365mm相当の65倍ズームを内蔵し(SX50HSは50倍)、画素数も約1600万画素にした(SX50HSは約1200万画素)。

 このキヤノン新型のSX60HSは、だいぶ前に少し見て触ってみただけで実際に撮ってないのでコメントは避けるけど、操作したときの印象は決して悪くはなかった。キヤノンらしいソツのないつくりだった。
 いや、ここはキヤノンの新型カメラのことではなくて(それは、またいずれ)、いま、ぼくが一押ししている富士フイルムのFinePix S1に話を戻す。そのS1は、7社7機種の中ではもっとも大きくて重いカメラだった。でも、操作感(これは重要)、そして画質についてもとても優れていたし、撮影機能も不足はないし、価格も不満ない。少しぐらい大きく重くてもいいや、という気持ちにさせてくれるカメラだったですね。

高倍率ズーム内蔵一体型カメラ

富士フイルム・FinePix S1

 このFinePix S1の発売は今年2月のことだから、いまとなっては「新製品」といえないかもしれない。それにしても、たった6~7ヶ月で新鮮さがあせてくる(価格もどんどん低下してしまう)ような、いまのデジタルカメラってやはりナンだかへんだと思う。

 それはさておき、FinePix S1は「高倍率ズーム内蔵一体型デジタルカメラ」である。このS1のようなカメラは、現在、各社から競って発売されている。カメラメーカー7社から出ているのだけど、どれもこれもスペックは似たり寄ったり。




 内蔵ズームのズーム比は約50倍。24~1200mm相当の画角をカバーするだけでなく、デジタルズームを使えばもっと超望遠撮影もできる。マクロ撮影の機能も備わっている。連写もできる。動画も、スローモーション動画も撮れる。撮像センサーは1/2.3型の1640万画素CMOS。RAWで記録することもできる。一眼レフカメラふうのスタイルで、しかしレンズ交換の必要はない(というか、できないのだけど)。価格は3万6千円ぐらい(大型量販店価格)。
 これだけの"てんこ盛り"の機能を持っている最強デジタルカメラだけど、イマイチ人気がない。とくに日本国内の市場でだめ。ところが海外の市場ではおおいに人気があり売れている。

 だから国内の主要なカメラメーカー7社(キヤノン、ニコン、オリンパス、富士フイルム、リコーイメージング、パナソニック、ソニー)からは ━━ 冒頭で述べたように、ほとんどそっくりのスペックの高倍率一体型カメラを販売している。
 どのメーカーの高倍率一体型カメラも、約50倍高倍率ズーム内蔵し、1/2.3型センサーを使い、デジタルズーム(または超解像ズーム)を内蔵し、価格もほぼ3万5千円から3万8千円ぐらいで(中にはソニーのCyber-Shot HS400Vのように5万4千円という飛び抜けた価格のカメラもあるが、かといってスペックに大きな違いがあるわけではない)、ボディサイズも重さも、スタイリングもほとんど同じ。

 詳しく比較すれば微妙にスペックや仕様は異なるけど、でも基本的性能は同じようなもの。
 なぜ、もう少し個性的で、他社とは決定的に違う、というカメラを開発しないのか奇妙に思いながらも、各メーカーのカメラを使ってみたら、どの機種もよくできていてこれが愉しくて便利なのだ。どうして日本国内の市場で受け入れられないのか、そのへんのところが、ぼくにはよくわからない…。
 使えるカメラは一台だけ、と言われれば、ぼくは迷わずにこの高倍率ズーム内蔵一体型を持っていくけどなあ。