ズーム連動式二重構造レンズフード?

ニコン・D810+タムロン・SP15~30mmF2.8 Di VC USD

 対応マウントはニコン用とキヤノン用があり、同時発売された(昨年2014年12月末)。大型カメラ量販店での現在の価格は約12万5千円ほど。とても売れているそうで、品薄状態が続いていて買いに行ってもすぐには手には入らないみたい。国内市場を優先させて発売を開始したのに品薄とは。海外市場の発売は今月から始まる様子だから、ますます品薄が続くんではないか。
 なお、ソニーAマウント用もあるが、こちらは発売日未定。ニコン用とキヤノン用は手ぶれ補正(VC)内蔵だが、ソニー用はVCの機構を取り外している。




 レンズフードは鏡筒と一体になった"二重構造"の固定式。
 レンズフードにはおもに2つの「役目」がある。1つは有害光線をカットする働き。フレアーやゴーストの発生を防ぐ役目だ。しかし、これくらいの超広角レンズ、それもズームレンズともなると、ほとんどその役目ははたさない。そう覚悟しておいたほうがいいだろう。
 もう1つのレンズフードの役目は、レンズ保護のためだ。この15~30mmズームもそうだが、超広角レンズになると第一面レンズは大きく飛び出す。不注意にレンズを扱ったりすれば、すぐにレンズに傷をつけてしまいかねない。レンズフードがその防御の役目をはたしてくれる。

 で、このズームレンズの二重構造になったフードである(こんなフード見たこともない)。ズーミングすると、レンズ全長は一定のままレンズ群だけが鏡筒内を前後するのだが、そのときにレンズの外部鏡筒の固定フードとは別に内側で前後するレンズ群にもフードが固定されていて、それも一緒に前後する。
 ええいっ、まどろっこしい説明だ…。これを見よ。左が15mm広角端、右が30mm望遠端。
 内側のレンズフードは、いったいナンの役目をはたしておるのだろうか? 鏡筒と一体になったフードだけで、有害光線カットもレンズ面保護もじゅうぶんにその役目をはたしているではないか? 不思議な二重構造レンズフードである。

 タムロンのホームページを見てみると、こんなふうに「解説(言い訳)」をしている。

 『……落下など、万が一の物理的な衝撃に備えて新たに開発されたズーム連動式の二重フード構造を採用。レンズフードの損傷を極力軽減できるよう十分な配慮をしています。 』

 この頑丈で立派なレンズフードが壊れるぐらいにレンズに衝撃を与えたりすれば、レンズそのものが(たぶん)使いものにはならなくなるはずだ。内側フードと外側フードの「隙間」に異物が入り込んで取れなくなってしまうということもなくもない。
 撮影にはまったく支障はなく、見た目も頑丈そうで、それはそれでいいんだけど、でも、不思議な構造をしたレンズフードだなあ。


手ぶれ補正内蔵の超広角ズームレンズ

ニコン・D810+タムロン・SP15~30mmF2.8 Di VC USD

 SP15~30mmは、すでに発売しているタムロンのフルサイズ判対応のSP24~70mmF2.8、SP70~200mmF2.8を加えて「手ぶれ補正内蔵の大三元ズームレンズ」となる。
 この「タムロン大三元ズーム」はどれも大きくて重いのが"特徴"のひとつ。でも、大きくて重いレンズに悪いレンズはない、という定説どおり、どの大三元もいいレンズである。がんばって手ぶれ補正(VC)を内蔵していることも注目しておきたい。




 SP15~30mm(タムロン独自のモデル名はA012)を使ってみて感心したことが2つあった。1つは手ぶれ補正がとてもよく効くこと。もう1つは逆光や半逆光でフレアー/ゴーストの発生をよく抑えこんでいること。

 手ぶれ補正(VC)の補正効果についてタムロンはCIPA基準の補正段数を公表していないが(公表の義務はない)、実写で試してみたら「1秒!」のスローシャッタースピードでも確率50%ぐらいでぶれの目立たない画像の撮影ができた(D810を使ってピクセル等倍でぶれをチェック)。
 少なくとも3カット以上写しておけば1カットはほぼ確実にぶれの目立たない写真が撮れる。1/2秒ならもっと成功確率はアップするし、1/4秒や1/8秒なら余裕で撮影ができる。

 ただし、1秒や1/2秒という超スローシャッタースピードになると(撮影距離によって異なるが)、回転ぶれが目立ってくることがある。画面中央部はピタリと静止して写っているのに画面周辺部にでぶれているという現象である。
 超スローシャッタースピードで回転ぶれが目立ってくるのは、なにもタムロンの手ぶれ補正機構に限ったことではない。4~5段の補正効果があると公表しているメーカーのカメラやレンズを使っても超低速シャッタースピードになるほど、角度ぶれは補正できているのに回転ぶれ(それだけではないのだが)が目立ってきて画像全体を見ると「なんだかヘンだ」と感じる。

 そもそも1秒や1/2秒で手持ち撮影なんかするもんかっ、とおっしゃる人もいるのは重々承知だけど、でも「できるか、できないか」どちらがイイかと言われれば、そりゃあできたほうがいいに決まっておる。三脚が使えないからというその理由だけのために「写さない」か、手持ち撮影ができるから「写してみる」という、その違い。

「撮影の愉しみ」とはなんだろうか

LYTRO・LYTRO ILLUM

 ライトロ・イルムのイメージセンサーは約4000万画素の1/1.2型CMOSである。約1インチ型。その前面に特殊なマイクロレンズを配置して「光の角度情報」を取り込んでいる。拡張子が「LFP」のRAWファイルだけが記録される。ファイルサイズは約50MBほどある。これを専用ソフトを使ってJPEGファイルに仕上げると約400万画素相当の画像サイズに仕上がる。
 ざっと1/10になるわけだが、つまりライトフィールドカメラは、その独特の仕組みによって高画素でないと充分な画像サイズの仕上がりとならない。

 内蔵レンズは30~250mm相当のF2大口径の8倍ズーム。レンズには絞り機構がなく常時F2の"開放絞り"で撮影をする。シャッタースピード連動範囲は30~1/4000秒、ISO感度はISO80~3200、最高3コマ/秒の連写が可能。




 ピント合わせはAFでも可能なのだけど、撮影後にリフォーカス(ピントを自在に変更)したり被写界深度を効果的に調整するには、MFでピントを合わせたほうがずーっと操作性はいいし、結果もよい。ぼくは始めにAFを使ってみて、「こりゃあ、アカン」とすぐに放棄、それ以来MFでしか撮影をしたことがない。

 撮影するときに最適に「ピント合わせ」をしておけば ━━ ヒストグラムのような表示を見ながらピント合わせをする ━━ 自由自在にピント位置を変更して1枚の写真に仕上げることができる。テキトーに、曖昧にピントを合わせれば望んだようなリフォーカスはできない。
 この「ピント合わせ」がもう少し容易にできるようになればライトロ・イルムはもっと使いやすいカメラになったと思うが、いまはそのへんが課題か。

 もっと少し使いやすいカメラになれば、撮影時にはピントのことをまったく考えることなく撮影して、あとでじっくりと写真を見ながらリフォーカスして仕上げることができる。パーンフォーカスにすることも、ただ1点だけシャープにして前後を大きくぼかして仕上げることもできる。

 でも、そうした「ピントの後決め」を前提にして写真を撮ることが、はたして愉しいものなのだろうか。

 写真表現で大切なことは、「1に構図、2にピント、3、4がなくて5に露出」だと常々ぼくは思っている。
 構図を決めるということは、すなわちフレーミングをしてシャッターを切るタイミングを自分で決めることだ。そしてピントの位置をどこにするかを自分で決めて、撮る。写そうとする対象(シーン)と面と向かい合いながら、フレーミングしピントを合わせて、狙ったタイミングを見はからってシャターを切る。失敗あり、成功あり。それこそが写真撮影の醍醐味、写真の自己表現ではないのか。

 撮影した後に、興奮や感動が薄れてしまってから別な気分でピント位置を選ぶ。失敗なし、成功だけ。というのは、さてどうなんだろうか。迷いながら悩みながら構図を選びピントを合わせチャンスを見極めて撮る、その愉しみを捨ててしまうことになりはしないか。
 もしかりに、このライトロ・イルムに将来、動画機能が搭載されて、4K対応だとか8K対応の動画撮影可能なんてことになれば、ピントもシャッターチャンスも「アナタまかせ」になっていまいかねない。
 そんなカメラで写真(=限定された空間と瞬間を撮影者自身が選んで仕上げた静止画像)を撮って、どきどき感とか達成感が得られるだろうか…。

「使いこなし」の難しいカメラ

LYTRO・LYTRO ILLUM

 ライトロ社のライトロ・イルム。
 使い始めたのは昨年の10月ごろからで、約3ヶ月か。その間、しょっちゅう使っているわけではないが、ときどき思い出したように「をを、そうだ…」と手にして撮っている。まだまだ、とてもとても「使いこなせる」までには至っていない。難しいカメラなのだ。

 このカメラはライトフィールドカメラとも呼ばれるタイプのカメラで、撮影後にピント位置を自在に変更(リフォーカス)したり被写界深度をコントロールできる画期的なデジタルカメラ。「カメラ」の概念をひっくり返すような「意味」も持ち合わせている。




 その理屈は ━━ と、エラそうに言えるほどよくわかっているわけではないのだけど ━━ 撮影レンズを通してカメラ(イメージセンサー)に入射してくる光の位置や方向、強弱などを取り込む。撮影レンズとイメージセンサーとの「間」に、特殊なマイクロレンズを組み込むことで、被写体の距離ごと(約10ステップ)の光情報を取得しデジタル情報として記録する。それをもとにして特殊な画像処理をおこなって"特殊な"写真画像を生成する。

 とかなんとかコムツカシイことはどうでもいいとして、つまり、撮影した画像(RAWファイル)をパソコンなどで専用の画像処理ソフト(LYTRO DSKTOP)を使って、ピント位置を手前にしたり奥にしたり、ぼかしたりパーンフォーカスにしたりしてJPEGまたはTIFF画像に仕上げるというもの。
 撮影するときには、絞り値のことはまったく考えなくてもよい。という言い方はおかしいね、このカメラには絞りがないのだ。撮影は常時、開放絞りで撮ることになる。絞りで光量を調節したり被写界深度をコントロールしながら撮影するという概念がこのカメラにはない。そしてピントを合わせについては、通常のカメラのように、それほどシビアに考えなくてもよい。アバウトにというと語弊があるが、ま、適当にピントを合わせて撮っておけばよい。

 いや、ここで誤解してもらってはイカンのだが、ピント合わせのことをまったく考えずに、ほいほい撮影すればいいというものではない。LYTRO ILLUM 独特の「ピント合わせの所作」があって、それをきちんと理解したうえで、カメラを操作し撮影しておかなければ、撮影後の画像を自由にリフォーカスするも被写界深度を調整することもできない。これが難しいことの1つ。
 もう1つ難しいことがある。
 どのようなシーンを撮影すれば、LYTRO ILLUMだからこそ撮れた、という写真に仕上げられるかということ。たとえば、平面的な被写体や遠くの山や海を写しても、リフォーカスしても被写界深度を変えてもまったく「効果」が出てこない。LYTRO ILLUMを使って撮影する意味ないじゃないか、ということになる。

 じゃあ、いかにもLYTRO ILLUMで撮影したというようなシーンを、ということになると、なんだか"いかにも"の取って付けたようなミエミエの写真になってしまう。
 というわけで、久しぶりのブログはじつにとりとめのない話になりましたが、LYTRO ILLUMを約3ヶ月間、悩みながら(ときどき)使っておるんですよ。

ニコンDf ブラック Gold Edition・その2

ニコン・Df+NIKKOR-S 50mmF1.4

 国内限定、数量限定で販売された「ニコンDf Gold Edition」の話を続ける。
 Df Gold Editionのホットシュー金具を金メッキしておいたほうが、いいアクセントになったのに通常モデルと同じくシルバーのままになっている。それには理由があって……というところで前回のブログを終えた。

 ホットシュー(アクセサリーシューともいう)金具とはペンタプリズム上にあるコの字型の金具のこと。この金具の「色」は、シルバーボディではシルバーメッキ処理に、ブラックボディはブラックメッキ処理に、シルバー/ブラックボディにかかわらずシルバーメッキ処理のみに、というふうにメーカーによって異なる。

 ところが、ニコンはボディがシルバー/ブラックにかかわらず、長い間、一貫してシルバータイプにしている。キヤノンはフィルムカメラ時代に一部の機種でブラックタイプのシューもあったが、いまのデジタルカメラではほとんどの機種はニコンと同じくシルバー。




 ニコンがホットシュー金具のシルバーにこだわっている理由は(たぶんキヤノンも同じだと思うが)導通での接触不良を避けるためである。
 ホットシューには電気接点があって、ストロボなどをセットするとコの字金具とシュー底部にある接点とが導通して同調発光するようになっている。そのコの字型金具にブラックメッキ処理をしてしまうと接触不良を起こす場合もあるらしい。
 めったにないことだと思うけれど、起こる可能性があるかもしれない、ということでニコンでは、あの「鬼の品質保証部」の許可がでない ━━ 「ニコン鬼の品証」についてはおもしろい話がいっぱいあるのだけどメチャ長くなりそうなので略 ━━ 。オリンパスでは、だいぶ前の機種からブラックのホットシュー金具には、導通性を確保するための手間のかかる部分加工(よーく見ればわかる)をしている。

 さてDf Gold Editionであるが、企画段階で「ホットシュー金具もゴールドにしよう」という話もあって、金メッキの試作をなんども繰り返しては鬼の品質保証部に持っていったのだがことごとく不許可だったそうだ。で、結局、通常モデルと同じくシルバーのままとなった。
 ホットシューにストロボ脱着を繰り返したりすると、せっかくゴールド処理したのに剥げてしまっては価値が薄れてしまうだろう、という軟弱な外観的な理由ではない。つまり、Df Gold Editionはそこまで「実用性」にこだわった限定モデルだったというわけだ。

 ニコンDfにはあーっと驚くようなキンキラ金のゴールドモデルもあるぞ、と、そんな話をある人から聞いた。そこでインターネットで探してみたら、見つけたぞ、すごいのを。

 ペンタプリズム前面の「Nikon」の銘板を「BRIKK」と変えて(むろんベースはDfのまんま)売っていた。ニコンの名誉のために替わりに言っておくが、ニコンとはまったくの無関係。
 24金の金メッキ。12~24mmF2.8レンズとのセット。価格は41395ドル(約500万円)。そこまでやるかっ、というほどのコテコテのゴールドモデルだ。これがそのBrikk Lux Nikonである。もし、それ買ってみようかな、と思った人がいたらこのホームページをどうぞ。1年限定の保証付き、だそうです。
 いかにもお正月らしい話ではありませんか。…おせち料理を食べ過ぎて少し気分悪くなったみたいではありますが。

 そこで「お口直し」にこちらの写真をどうぞ。

 その2機種ともニコンDfをベースにした特別バージョン……というのは真っ赤なウソで、すべてCG加工された画像でフェイクだ。
 でも、キティちゃんモデルはそれはそれで、なかなかイイできじゃないですか。もうひとつのほうは「Nikon DfB Burberry Edition」とネーミングされ販売価格も出ていたほどで、ぼくは完全に騙されて(ばかですねえ)ニコンに問い合わせたほどでありました。
 それにしても、Dfってカメラはこんなふうにあれやこれやと「イジられタイプ」のカメラなんだなあと、そんなふうに思った次第。

ニコンDf ブラック Gold Edition・その1

ニコン・Df+NIKKOR-S 50mmF1.4

 お正月らしい話をひとつ。ニコンDfの限定ゴールドバージョンのカメラのこと。

 つい先日の、12月24日のクリスマスイブにニコンから、数量限定で、国内販売のみの「ニコンDf ブラック Gold Edition」が発売になった。50mmF1.8とセットになったレンズキットモデルが1000台、ボディのみが600台のふた通りで合計1600台限定販売。価格はキットモデルが約33万5千円、ボディのみが約31万5千円だったけど、聞くところによると、すでにキットモデルのほうは"完売"とのこと。
 このDf ブラック Gold Editionにまつわる裏話などは、すでにメールマガジン「明日からの写真術」で詳しく解説している。以下、少しそれと重複する。




 ところで、この"完売"というのは、ニコンの国内販売を手がけているニコンイメージングジャパン(NIJ)がカメラ店や取次店に"売り切った"という意味で、カメラ店に行けば"在庫あり"ということもなくもない。

 これがニコンDf ブラック Gold Editionのパンフレット
 ゴールドというから金ぴかモデルかと思いきや、大変にあっさりしたゴールドモデルではないか。ワンポイント・アクセントふうにゴールド部分があしらわれているだけ。ボディ背面にはゴールド部分はまったくない。ただ、この写真では見えないがボディ底部のバッテリー室開閉レバーがゴールドになっている。




 上の写真を見よ。右が通常のDfブラックモデル、左が限定のDf Gold Edition。
 この程度の"控え目"なゴールドモデルなら実際の撮影にも使用できそうな気もする。ニコンとしてもそうした「実用性」をだいぶ考慮に入れて作った特別バージョンだったようだ。このへんからも、Dfの開発責任者でもあった、あのガンコな後藤哲郎さんの顔が見え隠れする。
 かっていくつかのメーカーから、きらきら金ぴかの豪華ゴールドモデルが限定販売されたこともあったが ━━ ニコンからもフィルムカメラの時代だったけどニコンFAゴールドが50万円、2000台限定販売されたことも ━━ しかし、Df Gold Editionはそうした豪華仏壇のようなカメラではない。後藤さん、お飾りもののようなカメラは好きじゃないようだからね。

 実用性を優先させたことはDf Gold Editionのホットシュー金具が金メッキされていないことの、その理由を知ればわかる。
 このホットシュー金具が"素のまま"のシルバーになっているのを見て、ぼくは「なぜゴールドにしなかったのだろうか…」と不思議だった。これは画竜点睛を欠いているんではないかとさえ(大げさな表現だけど)思ったほどだ。でも、それは外観デザインを考えて、ワザとゴールドにしなかったわけではない。じつにニコンらしい理由があって……うーむ、また話が長くなりそうなのでそれについては次回だ。