11~24mmのレンズ構成

キヤノン・EOS 5D Mark III+EF11~24mmF4L USM

 この11~24mmズームは11群16枚のレンズ構成で、非球面レンズや超低分散ガラス(スーパーUDやUD)を使ったりしている。スーパーUDやUDレンズは倍率色収差などを抑えるため。ナノ構造の特殊コーティングSWCをキヤノンのレンズでは初めて「2面」に使っている。SWCはとくに超広角系レンズで目立ちやすいゴーストやフレアの発生を避けるため。

 そのレンズ構成図を見てみればわかるが、第1面レンズ(G1)には大型で曲率の高い研削非球面レンズ、第2面レンズ(G2)にも大型のガラスモールド非球面レンズ(たぶん両面非球面)を使っている。球面収差などを抑えることも目的だろうが、それよりも歪曲収差をとことん目立たなくするための「豪華絢爛な2枚の非球面レンズ」と考えたほうがいいだろう。贅沢。
 歪曲収差は、いま画像処理で補正しているメーカーも多いが、この11~24mmは愚直に光学のみで補正している。キヤノンなら画像処理でやりそうな気もしないでもないが、それはやってないらしい。「画像処理で補正、してるんでしょ?」と聞いたらエラく怒られた。すまんかった。

 研削非球面レンズはキヤノンのレンズ製法の自慢の1つ。現在、交換レンズで研削非球面レンズを積極的に使っているのはキヤノンぐらいではないか。
 研削非球面は砥石のようなものを使ってガラスレンズを非球面形状に削って仕上げる。1枚を仕上げるのに、通常研磨の方法よりもずっと時間もかかるし、技術的な難易度も大変に高い。といわれている…実際にその製法を見たことがないし、キヤノンはゼッタイに見せてくれないので想像だけど。

 現在の主流のガラスモールド非球面レンズは、熱を加えて金型でプレスするのでガラス硝材(ガラスレンズの種類と大きさ)が限定される。現在の技術では大きな非球面レンズを作ることが非常に難しい。ところが研削非球面レンズは、製造上、手間もコストもかかるのだが、ガラス硝材の選択範囲が広がる、大きな径の非球面レンズが作れるというメリットがある。
 11~24mmは現在のレンズ形状でも、前玉が大きく飛びだした状態になっているが、もし、第1面G1レンズに通常の球面レンズを使用したとすれば、前玉径はいまよりももっともっと大きくなったといわれる。

 ……いや、いかん、イカン。
 こんな粉っぽく水っぽい話は、よほどのレンズ好き(このぼくがそうだけど)でもない限り、興味ないですよね。そもそもレンズ構成や枚数、特殊レンズのあれこれを知ったところで、写真がウマくなるわけでもない(たぶん)。本日はこのへんにしときましょう。




 ここは有楽町の東京国際フォーラム。上のほうの階に行くと、ちょっとした展望スペースがあってそこから真下にJRの線路が見下ろせる。いつ行っても人はほとんどいない。この日もほぼ貸し切り状態で、天気も良かったので新幹線や山手線の走るのをぼんやりと眺めていた。お断りしておくけど、ぼくは汽車電車はまったくの不如意で無粋。
 それはどうでもいいんだけど、この写真、撮る直前までは窓ガラスのサッシが傾かないように注意してフレーミングしたつもりが、撮っているうちに、ご覧のありさま。意図的に傾けて撮ったわけではない。11mm超広角を使いこなすのは、ほんと、難しいですぞ。

たった1mmのキヤノンの大きな決断

キヤノン・EOS 5D Mark III+EF11~24mmF4L USM

 この11~24mmF4ズームレンズは約43万円もする高価なレンズだが、たぶん、キヤノンとしてはこのレンズで「儲ける」つもりはあまりない。
 11~24mmF4レンズのスペックや、実際に手にして、その仕上げをみればわかることだが、43万円の価格では設計開発の費用や製造にかかわる費用などを考えれば決して儲かるレンズではない。




 キヤノンのレンズ製造部門は ━━ 正しくはキヤノン株式会社の中のイメージコミュニケーション事業本部のICP第一事業部という、ちなみに第二事業部はカメラボディの製造部門で、レンズ部門を「第一」にしたのはカメラはレンズがあってこそ、との強い思いがあってそう決めたそうだ ━━ そこには古くから「レンズ開発の4つの柱」があるという。

 1つめ、プロの使用に耐える高性能なレンズを開発製造すること。2つめ、多くのユーザーに魅力を感じて使ってもらえる手頃な価格のレンズを開発すること。3つめ、ISや回折格子レンズなど先進の光学技術を開発すること。そして4つめは、儲けにこだわらないでEOSのシステムを高め広めることを優先させてレンズを開発すること。だいたいこのような内容だった。正確にメモしていなかったので、やや曖昧だけど。

 これら4つの柱のベース(キヤノンのレンズ商品戦略の基本)になっているのは「世界一、世界初をめざす」というもの。そんなことも、レンズ開発の本部長(岡田さん)が胸を張ってい言っていた。
 11~24mmF4レンズは、そう、いま述べた4つの柱のうち、第4番目の、EOSシステムを拡充するための「儲からない」レンズにあたるというのである。

 ところで、当初は「12~24mmF2.8」ズームも候補にあったらしい。
 シミュレーションをしてみたら、11~24mmF4とほぼ同じ大きさ、同じ価格でF2.8大口径の12~24mmを作ることができたらしい。
 12mmからのズームにしてF2.8をとるか、11mmを優先させてF4で我慢するか、そこでさんざん悩んだすえに、結局「世界一、世界初をめざす」というキヤノンの理念を大切にしようと腹を括って11~24mmF4に決めた。そんなことも本部長が言っていた。12~24mmは、前回のブログでも述べたけれどシグマからすでに出ている。

 たった「1mm」のことではあるが、そこにキヤノンのレンズ作りのこだわりが見え隠れしておもしろい。そんな話や、もっと興味津々なレンズの話を、先日、たくさん聞かせてもらった。

超広角ズームレンズ群雄割拠時代

キヤノン・EOS 5D Mark III+EF11~24mmF4L USM

 ここ1~2年ぐらいの間に、性能の良い超広角ズームレンズがあちこちのメーカーから発表発売されている。そのどれもが素晴らしい描写性能や機能を備えている。

 たとえば、キヤノンのEF-S10~18mmなどは大変にコストパフォーマンスが高いズームだし、同じAPS-C判用の富士フイルムのXF10~24mmは手ぶれ補正内蔵で描写性能もすこぶる良い。タムロンのフルサイズ判用の手ぶれ補正内蔵の15~30mmにもおおいに注目したい。
 さらに、今年の夏ごろにはオリンパスからマイクロフォーサーズ用の7~14mmも発売される予定で、とくにこのズームレンズ、描写性能がずば抜けて良いらしく、そう、このようになんだかんだで、いま、超広角ズームレンズは群雄割拠といったところか。




 そうした超広角ズームレンズ群のなかで、「おっ、大将っ」とかけ声をかけたくなるのが、そう、このキヤノンのEF11~24mmF4だ。
 超広角ズームレンズとしては、それまで世界一だったシグマの二代目12~24mmF4.5~5.6ズームよりも、「1mm」焦点距離が広くて、「1/2~1EV」F値が明るい。価格はといえばシグマの12~24mmが約7万円以下なのに対して、キヤノン11~24mmは約43万円。ざっと6倍か。
 その2本を撮り比べたけれど……いや、やめとこ。中途半端なコメントをして誤解されるのもいやだ。

 こうした超広角系レンズは、ズームとか単焦点にかかわらず、強烈なパースペクティブ(遠近感誇張)が出てきて使いこなしはめちゃくちゃ難しい。望遠系レンズのように、体力腕力財力さえあれば誰でもがそこそこ使いこなせるというレンズではない。決して一般的なレンズではないが、一部の写真愛好家やプロカメラマンの中では熱望している人も多い。
 キヤノンがそうした要望に真正面から応えたのがこの11~24mmで、キヤノンの交換レンズ作りの技術と意地の結晶がこの11~24mmなのだ(ちょっと大袈裟か)。
 とにかく、凄い、素晴らしい、画期的な超広角ズームレンズ。

8種類のAIR A01用アプリ

オリンパス・AIR A01+M.ZUIKO DIGITAL ED9~18mmF4~5.6

 後述するが、AIR A01専用のスマートフォン・アプリが幾種類か用意されている。その中のひとつ、フォトストーリー ━━ こんなふうに自動的に分割レイアウトして1枚に仕上げてくれる、PENやOM-Dに搭載されている機能だが今回、初めて試した ━━ を使って、いつもの早朝散歩コース、渋谷代官山の西郷山公園にある桜(いま、満開ですぞ)をアートフィルター・デイドリームで撮影。

 そうです、ここ、ぼくのブログの写真のほとんどはご近所でスナップしたものが多いですね。ふだん見慣れた日常的景色を工夫しながらせっせとスケッチするように写していると、ある日、新しい土地や風景に出会うとナンでもが新鮮に見えてくる。小手先のテクニックを使わないでも素直に、ストレートに写せるようになる。




 AIR A01はカメラ本体だけでも撮影(ノーファインダー撮影)することはできるが、撮影モードの変更や設定などは一切できない。スマートフォンまたはタブレットにインストールした専用アプリ(iOS用とAndroid用)を使って操作する必要がある。
 オリンパスが用意しているアプリは、撮影モード別にわかれたものが8種類ある。これがiPhoneにインストールした8種類の専用アプリ。いずれも無料。

 デジタルカメラを使っていて皆さんも感じていることでしょうが、カメラが多機能化すればするほど階層も深くなって複雑になる。そこでAIR A01は、そうして複雑さを避けるために、たった1つのアプリですべての撮影機能をまかなおうとしなかった。オリンパスは、シンプルに単機能別アプリという方法を選んだ。自分が必要と思われるものだけをインストールすればいい。これは大正解。

 8種類のアプリには、まずAIRとスマートフォンなどを接続させるための必須の基本アプリがあり、そのほかに、通常のP/A/S/Mの露出モードを使って撮影するためのアプリ、撮影した画像をチェックしたり転送するためのアプリ、オリンパス独自のアートフィルターを使いこなすアプリ、複数の画像を1枚の写真に組み合わせて仕上げるアプリ、などなどがある。

 ごく一般的なレンズ交換式カメラと同じように、撮影モードを選んで撮影したいということであれば、基本アプリの「OA.Central」と、シャッタースピードや絞りを操作して撮影が可能な「OA.ModeDial」の2つのアプリをインストールすればいい。
 もし、使い込んでいくうちに、あんなこともしたい、こんな写真も撮ってみたいと思えば、必要なアプリをダウンロードしてインストールしてみたらいいだろう。オープンプラットフォームにより、アプリも今後、種類がもっと増えていく可能性もありそう。

オープンプラットフォームカメラ

オリンパス・AIR A01+9mmF8 フィッシュアイ

 東京湾をまたぐレインボーブリッジの遊歩道から、あの恥ずかしの自撮り棒の先っぽに取り付けたAIR A01を、欄干の隙間から突きだして撮影。水平を保つのが相当に難しい。たまたまか、ぼくの周囲には誰もいなかったので(いまさら平日の午後にレインボーブリッジ見物に行くような人はいない)、思う存分、AIR A01と自撮り棒で撮影を愉しみましたよ。




 このAIR A01は、バッテリーは内蔵固定式で交換不可、充電はUSB経由、充電中は撮影不可(ここがちょっと残念)。メモリーカードはmicroSD、RAW+JPEGでの記録も可能、最高約10コマ/秒の高速連写も可能、もちろん動画撮影も可能。
 シャッターは完全電子シャッター。まったくの無音で撮影することもできる。このスペックを聞いて、あらぬ事を考えたヤカラがいた(ここがやや心配)。
 なお、AIR A01は一般のカメラ店や量販店では売っていない。オリンパスのオンラインショップ限定の販売。実物を手にして見て試してみたい人は、東京と大阪にしかないオリンパスのショールームに行かないといけない…なってこった。

 同じスタイルのカメラにソニーのQX1があると前回のブログでも少しふれた。AIR A01は約1600万画素のマイクロフォーサーズセンサーだが、QX1は約2000万画素のAPS-Cサイズセンサーでポップアップ式のストロボも内蔵している。バッテリーは取り外し可能。AIR A01にはストロボはないし、使用することもできない。この写真の左がAIR A01、右がQX1。どちらも標準の沈胴式パワーズームをセット(沈胴状態)。
 マイクロフォーサーズ用交換レンズには防塵防滴仕様のレンズもあるのに、このAIR A01は簡易防滴の機能さえない。ここがぼくとしてはイチバン残念なことだった。

 ところで、一部の人はソニーのQXシリーズ(レンズ固定式のものもある)をオリンパスが見て"マネ"たのだろうと考えているようだけど、じつはそうじゃないらしい。初代QXが発表されるだいぶ前に、「ほとんど完成していました」とオリンパスの開発担当者はじつに悔しそうに言っていた。「いろいろ事情があって、なかなか製品化できなかった…」と。いかにもオリンパスらしい話ではないですか。

 このAIR A01のことをオリンパスは「オープンプラットフォームカメラ」とよんでいる。これが大きな特長でもある。ソニーQX1と決定的に異なるAIR A01の注目のコンセプト。
 カメラの一部の基本スペックなどを公開することで、ユーザーや開発業者にAIR A01の専用アクセサリーや部品、ソフトウエアを自由に作ってもらってそれらを共有することで愉しみを広げていこうというカメラなんだそうだ。

レンズ交換式スマートフォンカメラ

オリンパス・AIR A01+9mmF8 フィッシュアイ

 小さな丸い筒に4/3型対応の金属マウントがあって、その筒の中に4/3型イメージセンサーと画像処理エンジン、バッテリーなどが組み込まれた、それがAIR A01である。正真正銘のデジタルカメラである。ただし、液晶モニターも操作ダイヤルなどもない。コロンとした寸胴型のカメラだ。交換レンズを取り付ければ、まるで1本の単体レンズのように見えることから「レンズスタイルカメラ」ともよばれている。

 このAIR A01を使って撮影するには交換レンズのほかに、AIR A01をコントロールしたり、フレーミングしたり、写した画像を確認するためのスマートフォンまたはタブレットが必須となる。交換レンズとスマートフォンがあれば、通常一般のデジタルカメラと同じように(それ以上)使いこなせる。
 なので、本日、ぼくは勝手にこのAIR A01のことを「レンズ交換式スマートフォンカメラ(略してレンズ交換スマホカメラ)」と命名することにした。




 AIR A01がどんなカメラなのか、ぼくがくどくどヘタな説明するよりも、ま、このAIR A01本体そのものを見たほうが話がはやい。これにマイクロフォーサーズ用のどんな交換レンズでもいいから取り付ければ撮影ができる。
 そう、ソニーのQX1と同じスタイルのカメラなのだが、いくつかの点で ━━ コンセプトや使い勝手などが ━━ だいぶ違う。

 AIR A01本体には電源スイッチがあってそれをONにして起動してもいいのだが、スマートフォンを使って離れたところから電源ON/OFFもできる。Bluetooth Smartを使う。
 スマートフォンにインストールした専用アプリを起動すると、自動的に常時ON状態のAIR A01のBluetooth Smartがはたらいて電源がONになる。NFCを使って機器同士をコネクトさせて電源をONにするのと同じと考えればよい。
 いま、このBluetooth Smartをカメラに使用して、遠隔からカメラ電源をON/OFFする機能を持っているのは、このAIR A01とカシオのEX-ZR1600の2機種だけだ。

 電源ONされれば、あとは自動的にWi-Fiが繋がって、あとはそれを使いライブビュー画像をスマートフォンで見ながら、離れてリモコン撮影してもいいし、AIR A01本体にあるシャッターボタンを押して撮影してもいい。
 この、将来性のあるBluetooth Smart(Bluetooth LE)を使ってAIR A01とスマートフォンをペアリングさせているというのがおもしろい。

 小さくて軽いレンズをセットすればポケットにも入る。8mmレンズキャップフィッシュアイをAIR A01セット、それを「自撮り棒」 ━━ これを使うのはちょっと恥ずかしかったけど ━━ に取り付けて撮影したのが上の桜の写真。9mmフィッシュアイボディキャップレンズとAIR A01との相性はめちゃくちゃいい。

黙って二歩前に出て写すレンズ

キヤノン・EOS 5D Mark III+シグマ・24mmF1.4 DG HSM

 春になると、都会のど真ん中を歩いていても、細い裏道の交差点を曲がったとたん花畑に出会うことがある。畳2枚ぶんぐらいの小さなスペースだけど、そこだけが別世界、まるでおとぎの国のようだった。広角レンズでぐんっと近づき、ファインダーの中を花畑だけになるようにフレーミングして画面内をじっと見つめていると花畑はさらに広がっていく。




 24mm画角を自在に使いこなすのは、これが意外に難しい。コツと注意が必要。28mm画角は、こういっちゃなんだけど写真が初心の人でも、使いこなすことはそれほど難儀ではない。しかし24mmとなると、とたんに広角特有の遠近感(パースペクティブ)が強く目立ってきて、肉眼で見ているよりもずっと、手前のものは大きく、遠くのものは小さく写る。さらに、ものカタチが大きく傾いて写ったり、球が楕円にたわんで写ったりする。

 24mm広角レンズの使いこなしのポイントのひとつは、その広角歪み ━━ ここでいうところの「歪み」はディストーション(歪曲収差)ではない、パースペクティブ歪み(台形歪み)やディフォルメーション歪み(たわみ)のこと ━━ を目立たなくするか、逆に、思い切って強調して画面を構成するかだ。いちばんイケナイのは広角歪みを中途半端にほったらかして画面構成してしまうことだ。

 フレーミングしたあと画面の周囲はよほど慎重に見回しておかないと、撮影者の意図していない邪魔モノがどしどし写り込んでくる。広角レンズになればなるほど、邪魔モノは容赦なく画面内に入り込んでくる。それを思い切ってカットする。
 広角レンズを使ったら、つべこべ言わずに黙って二歩前に出て写せ、といわれるのはそういうこと。

 このシグマの24mmはF1.4という大口径。ややもすると、24mmもの広角レンズになればパーンフォーカスになってぼけが目立たなくなると考えがちだが、F1.4の大口径ともなれば24mm広角でも甘く見ちゃいけません。2メートルぐらい離れても24mmF1.4開放絞りで撮れば、ピントを合わせたところ以外はかなりぼける。高画素デジタルカメラを使えば、画像サイズは大きくなりぼけはもっと目立ってくる。

 そのぼけが画面を柔らかく包み込んだような描写にしてくれる。シグマ24mmレンズが開放絞り付近で撮ると描写が甘いと感じるのは、わずかなぼけ味がなせる技なのだ。とうぜんだが、ぼけが目立たない絞り値まで絞り込んだり、遠くの景色を写せばとたんにシャープで切れ味の良い画像になる。

 というわけで、本日は24mmF1.4使いこなし講座でした。

逆光でもほぼ不満を感じず使えるレンズ

キヤノン・EOS 5D Mark III+シグマ・24mmF1.4 DG HSM

 天気のいい休日の早朝、いつものように渋谷代官山あたりをぶらぶら散歩していたら、TSUTAYAの駐車場に数十台のマスタングが並んでいて、なにやらイベントがおこなわれていた。今年はマスタング(MUSTANG)生誕50周年にあたるらしくて、それにあわせて皆さん集まっていたようだ。いま流行のエコカーとは正反対に位置するクルマで、ハイパワーイコール正義、みたいなところもあるが、それはそれでいいんじゃないの。あちこちでドロドロドロとマッチョなエンジン音がしていて、ぼくはこうしたやんちゃなクルマ、好きですね。




 ニコン/キヤノンの24mmF1.4レンズにあって、シグマ24mmF1.4にないのは、いわゆるナノ構造の特殊レンズコーティングである。ニコンの「AF-S NIKKOR 24mmF1.4G ED」にはナノクリスタルコート、キヤノンの「EF24mmF1.4L II USM」にはSWC(サブ波長構造コーティング)が施されている。

 この特殊コーティングは、とくに斜め方向からの強い光に対してフレアやゴーストの発生を抑えて透過率を高めコントラストのある画像が得られるという特徴がある。このレンズコーティングは今後もっともっと技術革新が進んで高性能化し、それによりレンズの描写性能がさらに向上する可能性は大だ。とにかく特殊レンズコーティングは注目のレンズ技術のひとつである。ただし製法(蒸着ではなく塗布)が難しいこととレンズ組み立ての時の取り扱いがやっかい。

 ここで話が脱線するが、ニコンは当初、ナノクリスタルコーティング技術については積極的にかつ詳細に、その効用や仕組み、コーティングしている面などを説明していたのだが、あるときからぱたっと情報を出さなくなった。ナノクリについての取材も(基本的には)受け付けない。
 それに対してキヤノンはじつに積極的かつ開放的。SWCをレンズのどの面に使っているかを必ず公開している。ただしコーティングの製法についての詳細は黙して語らずだったが、つい先日とあるセミナーで、いままで秘中の秘とされてきた製法の一部について解説したほどだ。

 ところで、主要なレンズを製造するメーカーで、こうしたナノ構造の特殊コーティングをまだやっていない(できていない)のはオリンパスとシグマぐらいだ。

 というわけでシグマの24mmF1.4には最新の特殊コーティングが施されておらず、さて、逆光などでフレア/ゴーストがどれくらい目立つものかと、あれこれイジワル撮影をしてみたけれど予想していたよりもずっと逆光特性はよかった。
 フレアもゴーストもシーンによっては出ることは出ているが(上の写真でクルマのボンネットに反射する強い反射光のフレア/ゴーストは出てませんからね)、これくらいなら、ま、いいか、という程度(ただし個人差によりますけどね、ノイズ過敏症の人がいるのと同じくフレア/ゴースト過敏症の人もいるから)。

ニコン/キヤノンの約半額の24mmF1.4

キヤノン・EOS 5D Mark III+シグマ・24mmF1.4 DG HSM

 下の写真に写っている赤いクルマはランボルギーニのエスパーダ。1970年代の珍しいクルマで、実物を見たのはぼくは初めて。ええっ、こんなにデカいクルマだったのかとびっくりした。全高は1メートルそこそこなのに、幅は2メートル近くある。ベルトーネのカロッツェリアにいたころのマルチェロ・ガンディーニがデザインしたものだ。ガンディーニには一度、会って取材したことがあるが(もちろんぼくは撮影だけだ)、ごくごくフツーのおじさん。でも巨匠。クルマのデザインをするときにレンダリングスケッチを描かないらしい。




 シグマの24mmF1.4、いいレンズだ。
 実販価格は約11万円。その価格と描写性能を考えれば注目すべきレンズだ。

 24mmF1.4のレンズはニコンにもキヤノンにもすでにある。最短撮影距離や重さ、大きさ、レンズ構成枚数など似たようなもの。シグマ24mmとそれらを実際に撮り比べたわけではないけれど、ぼくのいままでの経験で言えば、ドングリの背比べ程度の違いしかないだろう。スペックの似かよった高性能な単焦点レンズとはそういうもんだ。

 ニコン/キヤノンの24mmF1.4と、シグマ24mmF1.4との相違点は価格だ。
 いま、大型量販店での実販価格を調べてみたのだが、キヤノンの「EF24mmF1.4L II USM」が約21万円、ニコンの「AF-S NIKKOR 24mmF1.4G ED」が約23万円だった。ということは、シグマ24mmはそれらの約半額ということになる。
 シグマがどんなトリックを使ってこの価格で売ることができるのか、なぜニコン/キヤノンだとシグマの倍もの価格になってしまうのか、そのへんがぼくにはよくわからない。ニコン/キヤノンの24mmが特別に高額な光学レンズを使っているわけでもなさそうだし。

 想像するに、ニコン/キヤノンはレンズの耐久性にコストをかけているのかもしれない。プロが仕事上、かなり荒っぽく扱っても、それに耐えうるだけのレンズに仕上げているということが考えられる。カメラボディもそうだが、少し耐久性をアップするだけでコストは跳ね上がる。
 いや、だからといってシグマ24mmレンズがすぐ壊れてしまうなんてことは考えにくいが、手荒く扱わずに丁寧に優しく使っていればまったく問題はないだろう(当たり前のことだけど)。

D7200はD7100からナニが変わったか、その3

ニコン・D7200+タムロン・16~300mmF3.5~6.3 Di II VC PZD MACRO

 D7200で進化した点をもう1つ。
 親指AFとシャッターボタン半押しAFと、同時に、どちらでも自由に選んで撮影できるようになった。
 D810やD4などに備わっているAFボタンがD7100/D7200にないため、親指AFをするにはAEロックボタンに機能割り当て(キーカスタマイズ)をする。ところがその設定をすると、機能が排他的になってシャッターボタン半押しAFが効かなくなる。このD7100での排他的仕様がなくなって、D810やD4sと同じ感覚でAF操作できるようになった。




 ただ、D7100の親指AF操作に慣れている人がD7200で親指AFをすると、いささか戸惑うことになるはず。(以下、少しコアな話になるので興味ない人はパスするといい)

 D7100では親指AFするためにAEロックボタンを押してピントを合わせる。指を離せば、ピントはそのままロックされている。あとはチャンスを見はからってシャッターボタンを押し込めばいいだけ。
 ところがD7200では(D810やD4sや他のメーカーもそうだが)、親指AFでピントを固定しておくにはボタンを押し続けていなくてはならない。ボタンから指を離してしまうと、シャッターボタンを押し込んだと同時にAFが作動してしまう。親指でボタンを押していれば、親指AFのほうが優先されてピントは固定したままとなる。

 どちらの方式が良いのか一長一短と言えなくもないが、ぼくは、文句なしにD7200の方式が好み。AFロックしてピント固定のまま2~3カットを撮って、再び、ワンカットづつAF撮影をしたいようなとき、親指AFとシャッターボタン半押しAFが自由に選ぶことができるからだ。
 この、親指AF操作は、そんなものオレはやったことのないぞ、なんて食わず嫌いな人でも、ぜひ一度試してみる価値はある。利点を説明すると長くなるので省略するけど、AFが格段にやりやすくなりますぞ。

 高ISO感度の画質は、旧型7100よりも確実に「1EV以上」アップしている。D7100のISO3200がD7200ならISO6400以上とほぼ同等の画質になっている印象だった。イメージセンサーと画像処理エンジンが良くなった結果だろう。

 以上のようにD7200は地味で控えめなモデルチェンジではあるが、D7100ユーザーならほんの短時間使ってみただけで、「おおっ、いいカメラになったなあ」ときっと感じることだろう。
 なお、D7200の「標準ズームレンズ」としてはタムロンの16~300mmがおすすめ。ボディとレンズとのバランスがいい。ぼくは、もっぱらこのレンズの組み合わせばかり。

D7200はD7100からナニが変わったか、その2

ニコン・D7200+タムロン・16~300mmF3.5~6.3 Di II VC PZD MACRO

 旧D7100はライブビューモードにして連写すると(Lでも、Hでも)、モニター画面はずーっと全暗黒だった。撮影終了後に、ようやく思い出したようにぱらっ、ぱらっと画像が表示されるだけ。撮影を終えないと画像が金輪際、表示されない。
 新D7200になってそれが少し改善された。




 ニコンの一眼レフカメラにはライブビュー連写中に画像表示される機種とそうでない機種が混在している。キヤノンの一眼レフカメラもそうだ。それはともかくとして(ともかく、じゃ困るんだけど)、こうした「症状」はニコン、キヤノンの一眼レフ特有の現象で、同じ一眼レフなのにペンタックスのものはそうしたことはない。

 ミラーレスカメラでもコンパクトカメラでも、連写中にライブビュー画面が全暗黒になるなんてカメラは、ムカシはあったけどいまはほとんどなくなった。
 一眼レフのライブビュー撮影ではミラーアップしたままにするわけだから、その状態ではミラーレスカメラも一眼レフも同じ。なのに、一部の一眼レフカメラでライブビュー連写すると、なぜ全暗黒になってしまうのかがよくわからない。

 その、ライブビュー連写時の全暗黒現象がD7200になり改善されて、画像が表示されるようになったというわけだ。
 表示されるレックビュー画像(ライブビュー画像ではなく撮影後の画像のアフタビューだと思う)の表示スピードは遅いけど、なにはともあれ連写中でも画像表示されるようになったのはいいこと。
 たったそれだけのことだが、ライブビュー撮影での使い勝手は格段に良くなったね。

D7200はD7100からナニが変わったか、その1

ニコン・D7200+タムロン・16~300mmF3.5~6.3 Di II VC PZD MACRO

 D7200は2013年3月発売のD7100からちょうど2年目のモデルチェンジとなる。同じAPS-Cサイズ判の一眼レフ、キヤノンのEOS 7DがEOS 7D Mark IIにモデルチェンジしたときのようなハデさはない。地味なモデルチェンジだ。
 いかにもニコンらしい地味で目立たないモデルチェンジだけど、旧型D7100のユーザーには新型D7200との「違い」ははっきりとわかるはず。いいカメラになったと思う。




 イメージセンサーは変更されているし、画像処理エンジンも進化した。高感度画質も、色調や描写性も良くなっている。AFや連写の性能も向上している。
 イメージセンサーは、はじめ記録画素数が同じだから、D7100と同じセンサーだと思っていたが、総画素数がほんのわずだけどD7100と違っている。有効画素数も違う。

 バッファメモリが増えて連写コマ数が向上したことは確かにいい。D7200を使ってみて、はじめに「おおっ」と感心したのはGUIが変更になったことだった。
 ボディ上部の情報パネルの文字が大きくなったしデザインも変わった。液晶モニターに表示されるInfo画面などのデザインも"一新"されて見やすく、使いやすくなった。
 とくに、ISO感度、画質、ホワイトバランスの各モードの設定画面が、とってもわかりやすくなったのがいい。ただし、その替わり、いままで通りカメラ上部の情報パネルを見ながらの設定ができなくなったのがちょっと残念。

 Wi-FiとNFCの機能が新しく搭載された。ちなみにニコンの一眼レフにNFCが入ったのはこのD7200が初めて(だと思う)。


タムロンレンズのModel名

ニコン・D7200+タムロン・16~300mmF3.5~6.3 Di II VC PZD MACRO

 ニコンのD7200にセットして使ったズームレンズは、タムロンの「16~300mmF3.5~6.3 Di II VC PZD MACRO」である。これまた、長いレンズ名だ。でも、これでも一時のタムロンの長い長いレンズ名からすれば短くなっている。
 「Di II」はAPS-C判カメラ用の交換レンズのことで、「VC」は手ぶれ補正機構のこと、「PZD」はAF駆動用のピエゾドライブ(モーター)のこと、そして「MACRO」はズーム全域で最短39センチまで近づけるぞ、との心意気が込められている。




 タムロンレンズには、そのような"正式な"レンズ名のほかにアルファベットと数字を組み合わせた「Model名」もある。他のメーカーでは見られないタムロン独自の表記で、カタログやホームページなどで頻繁に出てくる。ところがタムロンはModel名の意味の説明を一切していない。
 もともとはタムロン社内の商品記号だと思うのだが、それがいつのまにかオープンになり、ユーザーもModel名を言うようになった。レンズ名を言わずにModel名を言うことで、なんとなく「ツウ」のような気持ちになるのかな。

 16~300mmズームの場合は「B016」である。「B」はAPS-C判用のズームレンズの意味。「016」はそのカテゴリーの中で16番目にレンズの企画がスタートして開発が始まったとの意味になる。「A」もあるし「C」もある。なお、何年か前までは現在のModel名とは表記方法が異なっていたしアルファベットの意味も違っていて、なんとも実にややこしい。
 発売されたレンズを見ているとModel番号が必ずしも順番通りになっていないことがある。企画と開発のスタートは早かったのだけど設計や製造に手間取ってしまい、そうこうしているうちに後から企画開発されたレンズが先を越して発売されたというのがその理由。

 タムロンに限らないことだが、もちろん企画し開発に着手したものの諸般の事情などで商品化を中止したレンズもあり、そのようなModel名は「欠番」となってしまう。
 他のカメラやレンズのメーカーでは、タムロンのようなModel名は通常、オープンにはしない。開発中の製品記号は秘中の秘にしているメーカーも多い。いや、タムロンの、そのModel名が開発部の中で製品記号として使われているかどうか定かではないが(普通はオープンにはしないはずだけど)、それにしてもなぜタムロンは、多くのユーザーにとっては意味不明のModel名をカタログのあちこちに記載しているのか、そのへんがよくわからんですね。