PowerShotではG5 Xが一番のおすすめ、かな

キヤノン・PowerShot G5 X

 休日の六本木の早朝は予想外のモノに出くわすことが多い。
 この日はゴーカートが裏道(公道だぞ!)をエンジン音を轟かせて疾走してきた。ど、どうしたんだと尋ねてみると、公道が走れるように許可を取ったレンタカーだと。1時間2千円から、だって。カートの後には確かにナンバープレートが貼り付けてあった。このあと、2台のカートは音と排気ガスをまき散らしながら六本木通りを走って行った。




 キヤノンのPowerShot Gシリーズに限定をして話をするが、ぼくが1番目としておすすめしたいのはPowerShot G5 X。僅差で二番目がPowerShot G7X。
 三番目は飛ばして四番目にPowerShot G9 Xをおすすめしたい。五番目もひとつパスしておすすめ六番目にPowerShot G3 Xか。
 G3 Xは鳴り物入りの24~600mm高倍率ズームを内蔵した「意欲作」なのだが、どうも全体の仕上がりがイマイチ。コンパクトデジタルカメラの大切なチャームポイントであるきびきびした操作感が乏しい。キヤノンのカメラとしては珍しくツクリが「雑」な感じもする。

 Gシリーズで唯一大きな1.5型センサーを使っているトップモデルのG1 X Mk2のおすすめ度は、六番目のG3 Xよりもさらに低く、七番、八番を飛び越えて次の九番目だ。この際はっきり言うが、いまG1 X Mk2を選ぶぐらいならEOS Mシリーズにしたほうが「幸せ」になれる、と思う。
 「G5 X> G7 X>> G9 X>> G3 X>>> G1 X Mk2」、こんな感じか。

 G5 XとG7 Xはまったく同じレンズを使っている。9群11枚構成の24~100mm相当の8.8~36.8mmF1.8~2.8で最短は5cmのズームレンズ。G7 Xはほぼ1年前に発売されたカメラだ。そのレンズをそっくり最新型のG5 Xに流用している。いや、こうしたことは他のメーカーでも頻繁におこなわれていることだが、キヤノンがやるとヘンに「ケチって」いるように目立ってしまう(つらいよなあ、キヤノン)。
 G5 XとG7 Xの2機種は、レンズもセンサーも含め基本的な「中身」は同じ。異なる点といえば、 価格の違いと、ファインダーの有無、そして液晶モニターの可動方式の相違ぐらいだろうか。

 価格は、大型量販店価格でG5 Xが約7万6千円、G7 Xが約5万2千円。 ちなみにG9 Xは約6万円。ファインダーはG5 XにはEVFが内蔵されているがG7 Xにはそれがなく外付けEVFもない。外観はG7 Xはすっきりとスマート、対してG5 Xはおせじにも"かっこイイ"とは言えない。かなり無理のあるデザイン(ここでいうデザインとは備わっている機能や機構をカタチに仕上げるという意味、外観スタイルのことではない)。

 液晶モニターはG5 Xが横開きのバリアングル式、G7 Xは上下可動のみのチルト式。デジタルカメラのバリアングル式の可動モニターはだめです。好きとか嫌いじゃなくて、あれはダメ。視差が大きくずれてしまうのもダメな理由のひとつだが(他にもある)、しかしキヤノンはそのことには触れず、内蔵のEVFが「光軸の鉛直線上に配置」していると威張っている。そりゃヘンだよ。
 G5 Xがチルト式モニターを採用していたらダントツ一番だったのになあ…。

メーカーの都合、ばかりが目立つカメラような

キヤノン・PowerShot G9 X

 Gシリーズの特長のひとつは、採用しているイメージセンサーが大きいこと。多くのコンパクトデジタルカメラの主流センサーである1/2.3型や1/1.7型の約2倍ほどの大きさのセンサーを使用している。Gシリーズの"トップモデル"であるG1 X Mark2には1.5型、G3 X、G5 X、G7 X、G9 Xはすべて1.0型センサーを採用している。
 もう1つの特長は、すべての機種がズームレンズ内蔵型であること。単焦点レンズ内蔵型はひとつもない。そこが、なんというか、いかにもキヤノンらしい商品企画で、少年のように「夢」を追いかけず「冒険」もしない。「実利」と「確実」を最優先する。合理的なおとなのキヤノン。




 いやそれはともかくとして、コンパクトデジタルカメラにしては大型のイメージセンサーを使って高画質と高感度をウリにしているのがGシリーズ、と言えなくもない。
 皆さんご存じのようにイメージセンサーを大型化すれば、画質については有利だがデメリットとしてレンズもカメラボディも大きく(そして重くも)なる。小型軽量化することが難しくなる。ところが、そうした"常識"を覆して大型センサーを使いながら小型軽量なカメラに仕上げたのが、そう、ようやく本題にたどり着いたが、PowerShot G9 Xだというわけ。

 28mm相当の3倍ズームレンズを内蔵しながら、バッテリー込みで約200グラム、サイズは名刺より少しだけ大きいぐらい。厚みは約3センチ。
 たしかに小さくて軽い。このカメラに1.0型センサーが使用されているなんて、と驚くほど。G9 Xの最大のセールスポイントがこの小型軽量なのだが、しかし、見方を少しイジ悪く変えてみるとG9 Xの魅力はそれだけしかない。小型軽量化を優先させたために犠牲になっているものが多すぎる。

 たとえば、同じ1.0型センサーを内蔵しながらサイズも重さもそれほど違わないソニーのRX100 Mk4と比べてみるといい。価格はソニーのほうが2倍ほど高いが、そのRX100 Mk2には今のコンパクトカメラ、とくに高級高性能を謳うカメラには"ぜひ必要"と思われる機能や機構がキチンと盛り込まれている。しかしG9 Xには(価格が半分とはいえ)、そのうちの1つぐらいはぜひ欲しい機能や機構 ━━ 可動式モニター、内蔵EVF、ハイスピード動画などなど ━━ がない。

 カメラ操作についても、多機能カメラには"必須"とも言える十字キーやダイヤルがない。必要な操作は液晶モニターをタッチしておこなえ、というわけだ。スマホでタッチパネル操作に慣れているとはいえ、カメラとなると少し話が違う(ぼくのような古型の人間にとっては、とくに)。
 頻繁に使用する再生ボタンがボディ背面でなく、キヤノンのカメラでは珍しいカメラ上部にあるというのにも戸惑う(操作性はめちゃくちゃ悪い、と思う)。いっけんキヤノンらしいソツのないカメラに仕上がっているように見えて、じつは「メーカーの都合」ばかりが目立つキヤノンらしくないカメラの感じ。

キヤノン・コンパクトデジタルカメラのラインナップ

キヤノン・PowerShot G9 X




 キヤノンのコンパクトデジタルカメラには、「PowerShot」と「IXY」のふたつのシリーズがある。
 かっては、PowerShotはおもに海外市場に、IXYが国内向けにウエイトを置いた製品作りをしていた。コンパクトカメラ全盛期には、PowerShotは一般ユーザーに使いやすさと手ごろな価格に重点を置いていて、IXYのほうは小型で高級な仕上げと優れた外観デザインをテーマにしてきた。とくにIXYと言えば(国内市場では)キヤノン・コンパクトデジタルカメラのイメージリーダーでもあった。

 それがいつ頃からか、IXYがすっかりムカシのPowerShotのように「無個性低価格一般向け」カメラとなり、かっての「栄えあるIXY」のイメージはほとんどなくなってしまった(ように、ぼくには感じられる)。
 IXYとPowerShotのブランドイメージが逆転してしまったかのようで、古くからのIXYファンであるぼくとしては、いささか淋しいものがある。

 ところで、いまあらためてキヤノンのホームページを見てみたら、キヤノンはたくさんのコンパクトカメラをラインナップしていて販売中なのだ。コンパクトデジタルカメラの将来は暗い、などどぼくは言ったがそれほどのことはないのか。
 PowerShotシリーズには12機種、対してIXYシリーズは4機種あって合計が16機種。まだまだキヤノンは頑張っておるのだなあと見直した。
 ということは、コンパクトデジタルカメラの市場はまだ充分に余裕があるのだろうか、それとも止めるに止められず市場の「場所取り」のためにずやむなくラインナップを揃えているのか、うーむ、そのへんの事情はよくわからん。

 とくにPowerShotシリーズが元気だ(カラ元気、かも)。そのPowerShotはいまやキヤノンのコンパクトカメラのイメージリーダーとなっている。高級高性能型の「G」シリーズには新型のG9 XとG5 Xが加わって5機種ある。ほかにも、高倍率ズーム内蔵の「SX」シリーズにはスリム型が2機種、一眼レフカメラスタイル型が3機種ある。加えて、シリーズ化はしていないもののニューコンセプト型にN2が、防水型にD30がそれぞれ1機種づつあるといった具合だ。ただし、どの機種も従来型コンパクトデジタルカメラの「殻」の中に閉じ籠もっているように感じなくもない。
 こんなにたくさんの"いつかどこかで見たような"機種をラインナップして、いまこの時代に、思ったように売れているのだろうか、これからも売れ続けるのだろうか、と少し心配になりますね。

 話があっちこっちに寄り道して、かんじんのPowerShot G9 Xまで今回もたどり着かなかった。次回こそ(たぶん、明日)それについて触れたい。

これからのコンパクトデジタルカメラはどうなるのだろうか

キヤノン・PowerShot G9 X

 久しぶりのブログ。
 ここで紹介したいカメラやレンズがなかったわけではないが、つい無精してしまって…。




 ここ2~3年のあいだに、いわゆるコンパクトデジタルカメラが急激に売れなくなった。かといって、レンズ交換式のカメラがそれに替わって売れているかといえばそうでもなさそう。
 デジタルカメラの世界シェアではキヤノン、ニコン、ソニーに続く4位を維持してきた韓国・サムスンが、今年いまま続けてきた「デジタルカメラ事業」から撤退するというニュースもあった。撤退についてはサムスンは公式にはアナウンスしていないが、「儲からないから」というのがその理由のようだ。
 最近のサムスンは国内メーカーと同じようにコンパクトカメラの生産は大幅に縮小して、レンズ交換式のミラーレスカメラに重点を置いていた。日本国内では販売はしていないが、じつは昨年の世界シェアは約10%ちかくもあった。

 そのようなメーカーが、さっさとデジタルカメラをやめてしまうというのは、よほど先行きが暗いということだろう(サムスンは「完全撤退」というわけではなく、新しい「次の時代」のデジタルカメラにチャレンジしようとしているようだけど)。
 従来型のデジタルカメラをここまで落ち込ませたのは、携帯電話機またはスマートフォンに内蔵されたカメラによるもの。その影響を最大限にこうむったのがコンパクトデジタルカメラだった ━━ こんなこと、いまさらぼくがエラそうに述べるまでもなく、皆さんよく知ってますよね。

 カメラ内蔵のケータイやスマホを持っている人たちに、追加してデジタルカメラを買ってもらうには、ケータイ/スマホ内蔵カメラでは撮れない写せない機能や性能を備えていることがゼッタイ条件となってきた。安い、小さい、使いやすいだけのカメラでは見向きもされなくなった。
 そこで、レンズ交換式カメラか(そんなに売れているとは思えないが)、コンパクトでは高倍率ズーム内蔵または超々広角カメラ、防塵防滴オールウエザーカメラ、そして高性能高画質を謳ったカメラ、ぐらいしか売れなくなりつつある。

 そんなワケで、キヤノンがいまレンズ固定式のコンパクトデジタルカメラでチカラを入れているのが「高性能高画質タイプ」なのだ。それがPowerShotのGシリーズ。
 あれだけ高いブランド力を誇っていたIXYシリーズを見限って、PowerShotのシリーズ1本でこれからのコンパクトカメラ市場で戦っていこうとしているようだ。しかし、さて、いまの高性能高画質タイプのコンパクトカメラにどれほどの「魅力」があるのか、ケータイ/スマホカメラに満足している人たちを振り向かせるほど「チカラ」があるのかといえば、うーん…だ。そういった観点でキヤノンの最新型PowerShot G9 XやG5 Xを使ってみたが、なにかもうひとつドンっと心に響くものがなかったのですよ。なぜなんだろうか、と、G9 XやG5 Xを使いながらそんなことをしばらく考えておりました。

拡張版28mm単焦点レンズのつもりで使ってみる

キヤノン・EOS 5Ds + シグマ・24~35mmF2 DG HSM




 このシグマ・24~35mmズームは発表と同時に話題沸騰、さて発売されたらどれくらい盛り上がるだろうかと期待の中、発売が始まってもうかれこれ3ヶ月になる。ところが、その後の様子を見ていると予想していたほどの盛り上がりがないように感じるが、さてどうなんだろうか。

 おもしろいズームレンズ、素晴らしい描写のズームレンズだと思うのだけど、いかんせん、重い大きいというのがネックになっているのか、いやそれとも、24~35mmのたったの1.5倍のズーム比しかないことに魅力を感じない人が多いのか、うーん、そのへんはよくわからない。
 ぼくとしては、ズーム全域で大口径F2通しのレンズに仕上げたというのもおおいに感心するし、そのうえ、そのF2開放絞り値で撮影しても充分に優れた描写性能がある点についても高く評価したい。とっても贅沢なズームレンズで、いかにもシグマらしい、シグマ以外のメーカーなら企画すらやらないようなレンズでもある。

 24mmから35mmをカバーするズームレンズだと考えずに、かなり大胆だけど、「28mmF2単焦点プラスアルファレンズ」のつもりでぼくは使っているのだけど、そんなふうに"割り切った考え"で使ってみると意外なおもしろさのあるズームレンズだ。
 ばかばかしい、と思われるかもしれないが、ズーム焦点距離の位置を常に28mmのポジションにセットをして、できるだけズーミングをしないで使っている。28mmにしたままフレーミングする努力をする。ぎりぎりまで28mm画角でふんばって、うーんもう少しなんとかならんか……と感じたときに、ちょいっと35mm側または24mm側にズームする。すると、とたんに世界がぐんっと広がる、写真が大きく変化する、ような気がする。

 F2という大口径の魅力はあるものの、ただの24~35mmズームレンズだと考えて使うと、それほどおもしろみのあるレンズでもないだろう。通常一般のズームレンズとはちょっと発想を変えて、欲張らずにややストイックな気持ちになって使ってみるといいかも。