オリンパスの新アクションカメラ

オリンパス・STYLUS TG-Tracker

 TG-Trackerは、いわゆるアウトドア派に向けたアクションカメラである。小型軽量で防水、耐衝撃の性能を備えたカメラで、動画も静止画も撮影ができる(おもに動画撮影に重点を置いたカメラで、静止画撮影はオマケ的……このへんの詳しい話はのちほど)。

 アクションカメラはスポーツカメラともよばれ、走ったり、跳んだり、潜ったりする様子を"自分のからだ"に取り付けたりして撮影するのが、おもな目的のカメラだ。
 似たようなカメラとしてはGoProが有名だが ━━ 他にもソニーやパナソニックなどからも発売されている。これらは「カメラ」ではなく、「カムコーダ」にカテゴライズされているので「アクションカム」と言うことが多い。




 数ヶ月前に発売されたリコーのWG-M2も、TG-Trackerと同じアクションカメラで、こちらは内蔵レンズやイメージセンサー、撮影機能もほぼソックリ。この2機種の成り立ちや比較については、いろいろとオモシロイ話がいっぱいある。ちなみに、大型量販店での実販価格はTG-Trackerが約4万3千円、WG-M2が約3万2千円。ほぼ1万円の差。

 それはともかくとして、この2機種は最大画角が204度という超々広角レンズを内蔵していることだ。180度より広い画角を写すことができる。それも、ちっちゃくてカルくて、片手の手のひらに隠せるほど。超々ワイドな画角の写真も動画も気軽に撮影ができるのは「新しい眼」を持ったような気もする。野山を駆け巡ったり水中に潜ったりといったハードなシーン以外でも、日常的に使ってもじつに愉しい、そんなカメラでもある。

 オリンパスとしては防水防塵耐ショックのタフ仕様のカメラ作りは手慣れてはいるが、アクションカメラはこれが初めての製品となる。初めてのカメラにしては大変に良くできている。小さな「不満点」はあるものの、撮影機能、性能は充実している。使ってみて感心することしきりだった。

 アクションカメラ(アクションカム)はGoProが先鞭を付けて大きなブームになったが、世界的な傾向として、最近、需要がやや下降気味。理由はいまいちよくわからないのだが ━━ ぐるり360度が写せる全天球型カメラと、それを利用したVRゴーグルに興味が移りつつあるからだろうか ━━ そんな、冷えつつあるアクションカメラ市場にリコーとオリンパスが参入してきたというのもちょっと興味がある。


このデキで3万5千円は安い

キヤノン・PowerShot SX720 HS

 コンパクトカメラとしての仕上げ、操作性、信頼性については、さすがにキヤノン、じつにウマい。PowerShot SX720 HSを使って撮ってみて、いちばん印象を受けたことだ。
 内蔵レンズは、40倍(24mm~960mm相当)ものズーム倍率のことを考えれば、意外なほど小型に仕上げているし、予想していた以上に描写性能はいい。とても良くできたズームレンズだと思う。
 ところが、実際に撮影していて(小さなことだが)不満点もあった。




 1つの不満点は近距離撮影でのピント制限。
 近距離撮影はズーム広角端で1センチまでだが、少し望遠側にズームすると撮影距離はとたんに遠くなる。960mm相当の望遠端にズームしたりすると2メートル以上離れないとピントが合わない。そりゃあしょうがないよ、と言われれば諦めざるをえないが、もう少し近距離にピント合わせできればよかったのに。

 もう1つの不満点はライブビューでの手ぶれ補正。
 とくにデジタルズーム域に入った超々望遠画角のとき、シャッターボタン半押しをしてピントを合わせフレーミングをしようとしても、画面がゆらゆら、ゆらゆらと動いてまったく定まらない。このへんの補正アルゴリズムは、いままでキヤノンはとってもウマかったのだが、どうしたことか、このSX720は「キヤノンらしくない」のだ。3000mm相当を越える超々望遠にもなれば、ライブビューの画面をピタリと止めることが難しいのはよく理解しているが、もう少し「努力」をしてほしかった。

 この2つの(小さな)不満点さえ我慢すれば(無視すれば) ━━ そもそも"不満"と感じない人も多いかもしれない ━━ ほぼ満点に近い上出来のコンパクトデジタルカメラだろう。いまのコンパクトカメラに必須の機能も、じゅうぶんに備わっている。
 価格が、ぼくが予想していたよりもだいぶ安いことにも感心した。キヤノンは他社と同クラスのカメラであっても高い値付けをして、がしがしと自信満々に売っていく傾向があったので、てっきり4万円半ばの価格と思っていたら、カメラ量販店で約3万6千円ほどで売っている。

 超望遠の画角を、ゆらゆら揺れるボディ背面のモニター画面を見ながら不安定なホールディングで撮影する難しさはあるが、しかし、いつもいつも超望遠で撮るわけでもないだろう。広角から望遠まで気楽に撮影ができるし、いざとなれば超々望遠で写すことも可能な、そんなスリムコンパクトカメラと割り切れば、魅力はいっぱい。

注目しておきたいコンパクトデジタルカメラ

キヤノン・PowerShot SX720 HS

 キヤノンのコンパクトカメラが今年の春にいくつか発表になり、それが3月から5月にかけてポツリポツリと売り出され始めている。その中では、やはりというか当然ながら、高級コンパクトのPowerShot G7X Mk2にもっとも注目が集まっている(ようだ)。

 G7X Mk2はそれはそれで魅力的なカメラだろうけど、しかしいまの時代、それに近い価格やサイズでレンズ交換ができるミラーレスカメラも手に入る。
 いわゆる「高級コンパクトカメラ」は壁にぶつかってだんだんと苦しい状況になってきているようなそんな気もする。対して、防塵防水耐ショックの頑丈なコンパクトカメラや、超広角から超望遠までを小さなレンズ1本でカバーする万能型のコンパクトカメラのほうが、もう少し伸びていくのではないだろうか。今後、コンパクトカメラはどうなっていくのかについて、いま、ぼくは興味津々だ。




 というわけで、キヤノンコンパクトの今年春モデルの中で、いま、ぼくがもっとも注目したのは、G7X Mk2のほうではなくて、そう、この「PowerShot SX720 HS」だった。

 SX720はごくごくオーソドックスなスタイルのコンパクトカメラである。スリムで小型なボディ。厚みが約3.5センチ、重さは約250グラムの薄型小型ボディに、24~960mm相当の光学40倍ズームを内蔵している。ぐいーんとズームレンズを伸ばすと1000mm相当の画角になる。さらにそれをデジタルズーム機能を使ってめいっぱいにすれば160倍、なんと約3800mm相当の超々望遠撮影ができる。

 そりゃあ、デジタルズームであるから画質については文句を言おうとすればヤマのように言えるだろう。でも「写せないより、写せること」を考えれば、そして、デジタルズームをほどほどにして写せば、さらに、大きく拡大して"意地悪く"写真を見なければ、SX720の画質は上出来の画質だ。ややもすると、APS-Cサイズ判やフルサイズ判のカメラと、1/2.3型センサーの高倍率ズーム内蔵カメラを比べて、画質をあーたらこーたら、あれこれうんぬんする大ばかモノがいるが、ほんと、困ったちゃんですね。

PENTAXの古いソフトフォーカスレンズについて(その3)

リコー・PENTAX K-3 II+smc PENTAX-FA SOFT28mmF2.8

 PENTAX K-1に使えるAF対応のKマウントソフトフォーカスレンズをぼくは2本持っている。「sms PENTAX-F Soft 85mmF2.8」と、そう、あの「smc PENTAX-FA Soft 28mmF2.8」である。もう1本あって、それはMFレンズ。67用の「smc PENTAX 67 Soft 120mmF3.5」でマウントアダプターを介すれば645シリーズにもKシリーズにも使える。名レンズである。
 ソフト28mmについての話はのちほどとして、35mm判用のソフト85mmF2.8のAFレンズは初期の「F」タイプ。その後、改良版の「FA」も出たがが、基本的な光学系や操作系もほとんど同じ。

 Fタイプのソフト85mmに限定して話をすれば、F2.8からF5.6までは実絞り連動となり、絞り優先オートで撮影ができる。しかしF5.6以上絞り込んでも絞り値はF5.6のままになる。F5.6以上の絞り値を選んで撮影をしようとするとマニュアル露出モードに切り替えなくてはならない(Mモードにするとシャッターボタンを押し込んだと同時に設定した絞り値にセットされる)。
 フィルムカメラからデジタルカメラに切り替わるときに、カメラボディにあった絞り連動レバーをなくしてしまった。そのためにSoft85mmもSoft28mmも使い勝手が大きく変わってしまった。




 PENTAXのソフトフォーカスレンズをKシリーズで使いこなそうとすると難しい、と言ったのはそのこと。
 まだ他にも厄介な操作を強いられることもあるが、そのへんの話は余計にややこしくなるし、そもそもソフトフォーカスレンズなんてマイナーなレンズなので以下省略…。
 でも、それはそれとしてソフト28mmの話になるが、これは、大変に珍しい広角のソフトフォーカスレンズである。しかし、はっきり言って、PENTAXの大失敗レンズの1本だ。たぶん、当時の企画担当者が誰かに"たぶらかされて"作ってしまったのだろう。結果、ぜんぜん売れなかった。

 使ってみればわかるが、ソフトフォーカス描写と28mmもの広角画角とは相容れないことがよくわかる。それらしい雰囲気のソフトフォーカス写真に最適なシーン、被写体を見つけ出すことが難しい。苦労して写したところでなんだか「ヘン」な写真にしかならない、ことが多い。成功率が低い。

 だからフィルムカメラ時代はほとんど使うことがなかった。しかし、デジタルカメラになってAPS-Cサイズ判のKシリーズだと28mmは42mm相当の画角になり、少しは「使えるレンズ」のような気もしてときどき使っていた。いやしかし85mmと比べると写真が、イマイチつまらない。ソフトフォーカス描写はソフト85mmと同じように、なかなかいい感じなのだけど……(上の写真はK-3 IIで撮ったもの)
 そのうえに、Kシリーズのデジタルカメラで使おうとするとソフト85mmよりも、数段、操作が厄介だしコツも必要になる。だから、ソフト28mmレンズはおすすめしない。中古カメラ店で見つけても避けたほうがイイでしょう、老婆心ながら。

 というわけで、皆さんには人気のないソフトフォーカスレンズだが、もし、なにかの機会があれば、ぜひ一度は試してみるといいでしょう。

PENTAXの古いソフトフォーカスレンズについて(その2)

リコー・PENTAX K-1+smc PENTAX-F SOFT 85mmF2.8

 一眼レフカメラとソフトフォーカスレンズを使ってファインダーを覗きながらピント合わせするのは大変に難しかった。強い球面収差のせいで、正確にピントを合わせて写したつもりでも、実際にできあがった写真をみるとわずかに「後ピン」になっていることが多い。

 そのため、ファインダーでピントを合わせたら、撮影するときにわずかに「前ピン補正」をしてやらなければならない。ソフトフォーカスレンズをマニュアルフォーカスで使うとき、この微妙なピント補正がじつに難しかった。
 それがAFレンズになって、劇的にソフトフォーカスレンズが使いやすくなった。自動的に後ピン補正をカメラとレンズがやってくれるようになったからだ。

 だから、AF機能を備えたソフトフォーカスレンズを使って、わざわざMFでピントを合わせして撮影するというのは愚の骨頂、といえなくもない。




 ソフトフォーカスレンズがAFに対応してくれるようになったとはいえ、使いこなしの難しさは基本的にはムカシと変わらない。難しいのはソフト量の強弱の加減である。
 ソフト量の強弱は、PENTAXのソフトレンズでは絞り値と連動している。開放F2.8のときがもっともソフト量が強く、絞り込むほどに弱くなる。しかしF8以上に絞り込むと球面収差がなくなり、通常レンズと同じようにシャープな描写になる。

 キヤノンや旧ミノルタにもAF対応のソフトフォーカスレンズがあったが、それらは絞り値とボケ量を別々に設定する方式。PENTAXはMFレンズの時代から絞り値とボケ量がリンクする方式である ━━ どちらの方式がイイかは話がクドくなるので省略するが、ぼくはPENTAX方式のほうが使いやすいし好きだ。ところで、ニコンとオリンパスのソフトフォーカスレンズをいままで1本も見たことがない。発売されたことがあるのかな。

 ソフトフォーカスレンズを使い始めた人は、めったやたらにソフトを強くかけ過ぎてしまうようだ。趣味の問題もあるので一概に否定はできないが、ソフト量はほどほどにとどめておくのがいい。そのほうが上品。
 ソフト量の強弱調整の「基本」は、
 (1)写真を大きく見せるときは弱めに、小さな写真では強めに
 (2)被写体が細かなものは弱く、大柄なものは強めに
 (3)ハイコントラストなシーンは弱めに、フラットなシーンは強めに
 (4) 遠景は弱めに、クローズアップは強めに
 ただし、これはあくまで一般基本論。写真には「こうしなければならない」なんてものは、ひとつもない。写真表現はほんらい自由自在、唯我独尊であるべきだ。

 PENTAX ソフト85mmレンズの場合だが、ぼくはF4~5.6の間で使うことが多い。F4より絞り値を開けて(ソフト量を強くして)撮ることはめったにない。同じようにF5.6以上に絞り込むこともあまりない。
 ソフトの強弱加減に迷ったときは、ソフト量を変えて数カット撮っておくのがいいだろう。そうすれば、写真を大きくプリントするときはソフト量弱めのカットを、小さな写真にするときはソフト量強めのカットを選べばいいということになるわけだ。

PENTAXの古いソフトフォーカスレンズについて(その1)

リコー・PENTAX K-1+smc PENTAX-F SOFT 85mmF2.8

 20数年前、フィルムカメラ全盛の時代に発売されたソフトフォーカスレンズだ。オートフォーカスに対応してはいるが、相当の特殊レンズだ。
 とくに、これから紹介するPENTAXのソフトフォーカスレンズは、K-1などKシリーズのデジタルカメラで使いこなすのはかなり厄介である。専用ソフトフォーカスレンズの描写はじつに素晴らしく魅力的である。

 とくに、PENTAXのソフトフォーカスレンズはぼけ具合がキレイでやわらかく、他メーカーのソフトレンズとはひと味もふた味も違う。ただし、満足に使いこなすにはそれなりの覚悟と忍耐とテクニックが必要。
 使いこなしのことを考えると、はっきり言って「おすすめ」はできない。

 もし、「苦労も厭わない」というのであれば、のちほど使いこなしのコツと注意点を述べるつもりなのでそれを参考にするといい。いや、それよりも古いレンズだし、生産数も少ないレンズだったから、いま手に入るかどうか。




 ソフトフォーカスとは「軟焦点」とも言う。「柔焦点」ではない。「軟」は「硬」の対語として使われている(ようだ)。
 撮影した写真はクリアーで解像感のあるシャープな描写にはならず、画面全体にフレアがかかったようになる。しかし、ピントを合わせた部分には"芯"があってその周囲がふんわりと光が滲んだようにした独特の描写だ。

 フィルター(専用フィルターもあるし、薄い紗布を使うこともある)を使ったり、デジタル画像処理を施したり、多重露出撮影でも似たようなソフトフォーカス描写の写真を得ることもできなくもない。だが、それは「ニセモノ」のソフトフォーカス描写だ。
 そんな擬似的(エセ)ソフトフォーカスは、専用ソフトフォーカスレンズの描写とはぜんぜん違う。その「違い」がわからない、いや、そもそも専用ソフトフォーカスレンズで撮影された写真を見たこともない、そんな人が多いのではないだろうか。

 ソフトフォーカスレンズは球面収差を利用してフレアをわざと残し、そのため光が滲んだような軟焦点描写にしている。モノクロフィルム時代には球面収差のほか色収差も利用していたがカラーフィルム時代になってそれはなくなった。
 球面収差を強く残しているから、とくに一眼レフカメラを使ってマニュアルフォーカスで撮影しようとすると正確にピントを合わせることが難しい。誤解している人も多いのだが、ソフトフォーカスレンズを使った撮影では正確なピント合わせがきわめて大切である。正確にピントが合うことがソフトフォーカス描写の必須条件。
 MF時代のソフトフォーカスレンズはそれが大きな障壁になっていたのだが、しかしAFに対応するようになって「ウソ」のよう使いやすくなった(ピント合わせだけ、だが)。

コンパクトカメラの内蔵レンズ、カシオの場合

カシオ・EX-ZR3000

 このクルマは、ぼくの知人所有の小型軽量2座スポーツカー。トヨタのS800(エスハチ、ヨタハチ)。約50年前の、生産台数が約3千台そこそこの希少車。販売は国内のみだったそうだ。ハードトップはデタッチャブルでトランクルームに手品のようにすっぽり収まる。




 ZR3000は画質が良い ━━ おそらく、昨年のことになるが、このブログでZR3000の紹介をしたときも同じようなことを書いていたと思う(よく憶えてないけど)。
 その画質が良い理由には3つの要因がある、とそんなことを昨日のブログで述べた。

 ひとつめが、1/1.7型の約1200万画素の裏面照射CMOSセンサーを使っていること。1/2.3型でない、2000万画素オーバーでもないというところがミソ。
 ふたつめは、プレミアムズームとカシオがよんでいる超解像撮影モード。この撮影機能ほ本来の目的はデジタルズーム域での画質向上のため。ちなみに、こちらの比較写真が、デジタルズーム域でプレミアムズーム機能をON/OFFしたものだ。約1000ミリ相当の画角。それを部分拡大しての比較画像。

 そして、本日これから話をすることが、ZR3000良い画質のみっつめの要因。内蔵ズームレンズの描写性能が良いことだ。25~300mm相当でF5.4~6.3。ごくありふれた高倍率ズームだが、これが「アタリ」のレンズみたいで良く写る。
 知っての通りカシオはカメラ用レンズを作っていない。すべて「部品」として、レンズユニットを専門のメーカーから購入してそれをカメラに組み込んでいる。大手のカメラメーカーのコンパクトカメラだって似たようなもの。

 ZR3000に内蔵のズームレンズは(おそらく)HOYA製。小さくて高倍率で1/1.7型センサーをカバーするズームを作っているメーカーは少ない。
 HOYA製ということは、そう、ペンタックス。ペンタックスのカメラ部門がHOYAからリコーに移るときに、コンパクトカメラ用レンズユニットを作っている部門をHOYAはリコーに渡さなかった。人も設備もそっくりそのまま。業績が良かったこともあるが、車載用など将来的に儲かる可能性があると見込んでいたのだろう。
 ついでに言うと「PENTAX」の商標も、いまでもHOYAが持ち続けているらしい。内視鏡のブランド名として役立つ。HOYAに比べれば文句なしにPENTAXのほうが世界的に有名だ。

 交渉のしたたかなHOYAは、キったハったの交渉が得意でないリコーをうまく「手玉」にとって ━━ というと語弊があるが悪気はありません ━━ HOYAにとって将来の展望が期待できない部門をリコーに引き取らせた。「PENTAX」のブランド名は手放さずに。冷徹で合理的、さすがHOYA。とはいえHOYAも企業なのだから儲けが第一。決して悪いと言っているわけではない。

 いかん、生々しい話になってしまったので、もとに戻す。

 この内蔵ズームレンズには1つ「不満点」がある。最短撮影の機能だ。
 スペック表には最短は「6センチ」と記されているがこれは広角端、つまり25mm相当の画角のとき。ほんの少しでも望遠側にズームすると、とたんに近くにピントが合わなくなる。じつは、こうしたズームレンズはたくさんあるのだが、撮影していてこれがイチバン困る。
 しかし、だいぶ前に生産終了になってしまったがリコーの「CX6 に内蔵のズーム(28~300mm相当)などは、200mm程度の画角にズーミングしても10センチ近くのものに、何ごともなくピントが合わせられる。望遠マクロ撮影がいとも容易にできる。広角端だと1センチだ。だから不可能なことではなく、やってやれないことはないはず。ZR3000内蔵の「HOYA=旧PENTAX」のズームは、描写性能はいいのだけどそのへんの配慮(努力、かな)がちょっと物足りない感じがする。

ZR3000の画質が良い理由

カシオ・EX-ZR3000

 このZR3000の発売は2015年7月だから約1年前。今年2016年3月には新型ZR3100が発売されてしまったから、ZR3000のほうははっきり言って旧製品だ。カメラ販売店によっては「販売終了品」になり店頭に置いていないかもしれない。

 しかしながら、もし、いま適当なコンパクトカメラがほしいなあ、と思っているなら、このZR3000には注目しておいてもいいだろう。価格、撮影機能、性能、画質などを総合的に考えれば「いま、イチ押しのコンパクト」と言ってもいいかも。
 一般の量販店での販売価格は約3万5千円。新型ZR3100との違いはほとんどない。にもかかわらず新型は4万8千円。こんなことを言うとカシオの宮田さんに小言を喰らうだろうが、いまはZR3100は買わないで探してでもZR3000にしたほうがイイ。




 ナニがいいかと言えば、画質。
 ZR3000の画質が良いことの要因が3つある ━━ ※個人的推察ですよ。

 ひとつはイメージセンサー。1/1.7型の裏面照射型CMOSで約1200万画素である。いま、多くのコンパクトカメラが採用している1/2.3型センサーよりも「一回り」大きなセンサーで、なおかつ画素数も「少し控えめ」の約1200万画素。1/2.3型の約2000万画素に比べれば、だいぶ余裕がある。

 ふたつめは、カシオが「プレミアムズーム」とよんでいる超解像撮影モード。これ、プレミアムズームなんてネーミングにするから、そのもっとも優れた点がイマイチ伝わりにくくなっている。この撮影機能は「ズーム」とは直接、かんけいはない。
 この超解像モードは、わずかに画像をズラしながら複数枚(たぶん、手ぶれ補正のシステムを利用し5枚以上を)撮影をして、その画像を合成する。結果、解像力、諧調描写力、高ISO感度の画質をアップさせている。これがプレミアムズーム。
 欠点は、画像処理に少し時間がかかること(ほんのわずかだ)、激しく動く被写体に不向きなこと(像がズレる)、撮影中にカメラを大きくぶらしてはいけないこと(流し撮りができない)。

 このZR3000以外にも、カシオのカメラにはプレミアムズームの機能を備えたものはあるが、いずれもベストショットモードの中に入っていて、わかりにくい。アクセスもやっかい。1/2.3型センサーでは効果が薄い、などの不満点があった。ところがZR3000では1/1.7型センサーだし、初めてモードダイヤルにプレミアムズーム機能のポジションが設けられ、そのために使い勝手も画質も格段に向上した。

 プレミアムズーム機能は、もともとデジタルズームでの画質向上を狙ったものだが(確かに、従来のデジタルズームの画質とは桁違いに良い)、通常の光学ズームの範囲でも充分に超解像の優れた画質の恩恵を受けることができる。
 高周波成分の多い被写体(きめ細かなモノがびっしりと写っているシーン)、あるいは金属や石など(微妙なグラデーション描写がされるので質感がくっきりする)を撮影してみれば、プレミアムズームの威力が俄然、際立つ。

 ウソだと思うのなら、これを見てみればいい。ともに光学ズーム望遠端(300ミリ相当)で撮影して部分拡大したものである。通常の撮影モード(右)とプレミアムズームモード(左)の比較写真だ。

 ZR3000の画質の良さ、みっつめの要因については話が長くなってしまうので、明日にでも。