ロマンチックなカメラメーカーですね

SIGMA・sd Quattro+8~16mmF4.5~5.6 DC HSM

 sd QuattroはイメージセンサーにFoveonセンサーを使ったデジタルカメラである。ここがsd Quattroの最大の特徴。Foveonセンサーは、通常一般のデジタルカメラが使っているイメージセンサーとはまったく違った「構造」になっていて、そのために高解像力、ハイコントラスト、深くて豊かな諧調描写と色調の画像が撮れる。

 ただし欠点はある。たとえば高感度が苦手、動画が(いまのところ)撮れない、バッテリーを大食いする、動作が遅いなどなど。しかし、それらをちょいと我慢しつつ、工夫して使いこなせば、他のデジタルカメラとは「一線を画す」別次元の写真画像が得られる。

 Foveonセンサーは ━━ 正しくは「Foveon X3 ダイレクトイメージセンサー(CMOS)」なのだそうだ ━━ 三世代に渡って進化している。
 第一世代は無印センサー、第二世代がMerrillセンサー、そして第三世代がQuattroセンサーである。それぞれのセンサーの画素数については話がややこしくなるので省略するが、世代交代するたびに解像力も高感度画質も(当たり前だが)良くなっている。ただし画質と色調は(ぼくの場合だけど)Merrillセンサーの画像がいちばんいい。しかし解像力はQuattroセンサー、安定性もかなり向上した。




 というわけでsd Quattroに使っているセンサーは、名前の通り第三世代のQuattroセンサーである。APS-Cサイズ判だ。

 sd Quattroが発表になったとき、同時にAPS-Hサイズ判の「sd Quattro H」というカメラの開発発表された。APS-C判が23.4×15.5mmに対して、APS-H判は26.7×17.9mmと"ひとまわり"大きい。むろん画素数も多い。
 sd Quattro Hはきっと今年じゅうには発売されるとぼくは思うが、先日、ひょんなことから福島県にあるシグマ会津工場内を見学させてもらったのだけど、そのsd Quattro Hの試作品ぐらいは見せてもらえると期待していたが、めちゃくちゃシグマのガードが堅くてシルエットも見ることができなかった。でも、久しぶりのシグマ会津工場は愉しかったなあ。

 ところで、あらためて言うまでもないことだが、シグマは歴とした「カメラメーカー」である。交換レンズ専門メーカーだと思っている人がいるようだが、それは間違い。確かに事業規模としては交換レンズのほうが圧倒的だが、でもシグマはフィルムカメラの時代からカメラを作り続けてきているのだ。

 数年前に亡くなったが、創業者の山木道広さん(現社長の山木和人さんのお父様)が「総合カメラメーカー」にこだわり続けていた。キヤノン、ニコンなどのカメラメーカーに「肩を並べる」ようなメーカーにしたいと夢(ロマン)を持っておられていて、他社互換の交換レンズを作るとともに自社マウントのフィルムカメラもレンズも長年、作り続けてきた。
 2000年頃、アメリカのイメージセンサーのベンチャー企業であったFoveon社が設計したイメージセンサーを見て、即断、それを使った初めてのカメラをシグマが作った。2002年発売のSD9がそれ。

 その後、Foveon社そのものをシグマが買い取って、イメージセンサーも自前で調達できる本格的デジタルカメラメーカーとなった。Foveonとの連携はハイリスキーで冒険いっぱいで、だけどロマンのある決断だったと思う。

 先代の山木道広さんは頑固で難しく怖い人だったが(長いつきあいの中で笑った顔をぼくは一度も見た記憶がない)、しかし内に秘めたロマンチストだったように思う。
 その先代山木さんの「夢」を現社長の山木さんはとうぜんのように受け継いで、交換レンズで得た儲けをカメラ開発につぎ込み(というと語弊があるが)シグマを、キヤノンやニコンと肩を並べるというよりは、ひと味違った「個性的なカメラメーカー」として発展させていこうとしている。

 シグマは社員が1600人近くいる(本社と会津工場をあわせると)大きな企業だからロマンや夢だけでやっていけるわけはないのだが、しかしシグマが作る製品、交換レンズやデジタルカメラを使っていると、「ロマンチックなメーカーだよなあ…」と、ぼくはいつもそんなふうに感じる。
 シグマは不思議な魅力をもったカメラメーカーだ。

そこのけそこのけシグマが通る…

SIGMA・sd Quattro+50mmF1.4 DG HSM:Art

 sd Quattroはミラーレスカメラであるが、通常のフランジバックの短いミラーレスカメラと違って、一眼レフカメラと同じ長いフランジバックのミラーレスカメラである(ややこしい言い方ですまぬ、文句はシグマに言ってくれ)。

 このフランジバックの長いミラーレスカメラ(sd Quattro)の最大のメリットは、一眼レフカメラ用の交換レンズがマウントアダプターなしでそのまま使えることだ。もう1つのメリットは、あらたに大金をかけてフランジバックの短いミラーレスカメラ専用の交換レンズを開発し販売する必要がないこと。
 4年ほど前に発売された「PENTAX K-01」も、一眼レフ用交換レンズを使用するKマウントのミラーレスカメラだった。sd Quattroも、それと同じスタイル。




 sd QuattroのマウントはシグマSAマウントである。従来のSDシリーズ ━━ シグマの一眼レフは大文字「SD」、ミラーレスは小文字「sd」 ━━ 、その一眼レフSDシリーズ用としてラインナップされているたくさんたくさんの交換レンズがある。それがsd Quattroで使うことができる。交換レンズの種類のことを考えれば、大変に贅沢な新参者ミラーレスカメラである。

 sd Quattroのカメラボディスタイルは多くのミラーレスカメラと違って、マウント部がボディから飛び出している。フランジバックの長い一眼レフ用交換レンズが使えるようにするためである。
 マウントアダプター内蔵固定型ミラーレスカメラと考えればいいだろう。

 sd Quattroで使える交換レンズはたくさんラインナップされているのだが、ただし問題もある。AF撮影したときの合焦速度と合焦精度である。すべてのAF対応のSAマウントレンズが、sd Quattroで素早く、かつ正確にAF測距ができるとは限らないのだ。
 一部のレンズでは、AF測距スピードがかなり遅かったり、あるいはAFが遅いだけでなく合焦しなかったり、もっと相性の悪いレンズになると誤測距してまうこともある(これがイチバン困る)。
 そのへんの注意すべきレンズについては、シグマは正直に情報公開している。
 ここを参考にすればいい

 つまり、sd Quattroというカメラをウマく使いこなすには、あらかじめ「納得」しておくべきことや「覚悟」しておくべきことがいくつかあって、誰でもがほいほいっと気軽に操作して安易に撮影ができるというカメラではない。
 撮りたいものにカメラを向けてシャッターを押しさえすれば期待以上の写真が撮れるという「優しいカメラ」ではないということ。チカラワザでねじ伏せたり、おだてたりして使いこなす「我が儘カメラ」である。ユーザーにへつらったりするところがまったくない。唯我独尊。そこのけそこのけシグマが通る…。

 だから、ウマく撮れたときは(画質はダントツに良い)、他のデジタルカメラとはまったく違った嬉しさと喜びを感じさせてくれる。もし三度ウマく撮れれば、たったそれだけでシグマ信者になってしまう(ぼくもそのクチかも)。「魔性のカメラ」と言われるゆえんだ。

使いこなしの難しいレンズだぞ、覚悟せよ

SIGMA・50~100mmF1.8 DC HSM:Art+キヤノン・EOS 80D

 80~160mm相当画角(EOSシリーズでの場合でニコンでは75~150mm相当に)の望遠レンズ。開放F値がズーム全域F1.8という大口径である。F1.8開放からF2ぐらいの絞り値で撮影するときには、生半可な気持ちで使っていると痛いめに合う。
 近い距離のものに正確にピントを合わせて撮ろうとする場合はなおさらで、ワンカットだけで撮って安心しない方がいい。数カット撮っておいたほうが安全だ。
 いやむしろ、正確で確実なピントで撮るなら、AFはやめてMFにしてじっくりと落ち着いてフォーカスしたほうがいいかも。




 50mmや35mm画角のF1.8やF1.4のレンズとは、ピントのシビアさはだいぶ違う。もしAFで撮影するなら、使用するカメラのAF性能の良し悪しに結果が大きく左右される。ヘボな位相差AFにはとくに注意。だから、多少めんどうでもライブビューモードに切り替えて像面AFで撮影することをすすめたい。
 くどいようだが、80~160mmクラスでF1.8~F2の絞りを選んだときは、「心して」撮影をすること。老婆心ではありますが……。

 ぶらさないように撮影することも大切。
 F1.8の大口径だから、高速シャッタースピードで撮影できるじゃないか。ぶれる心配はない。なんて、甘い考えをしてはいけない。このズーム、かなりのフロントヘビーなのでホールディングバランスは決して良くはない。だから、ぶれやすい。

 この50~100mmには手ぶれ補正の機能が備わっていないから、理想を言えばボディ内手ぶれ補正を内蔵したカメラと組み合わせるのがいいのろうが、対応マウントはシグマ、ニコン、キヤノンしかない。いずれのメーカーのカメラも手ぶれ補正を内蔵していない。

 大変に優れた解像描写力を持ったレンズだからこそ、ほんのわずかなピンぼけやぶれでも、やたら目立ってしまう。
 三脚を使って撮影するという方法もあるが ━━ ただし、ヤワな三脚だったり、三脚の使用方法が間違っていたりすると逆効果だけど ━━ しかし、重いレンズだとはいえ手持ち撮影ができない重さでもないし、レンズのサイズも充分に手持ちできる大きさだ。
 いささか否定的な話ばかりになったけど、じょうずに使えば素晴らしい性能を発揮するレンズであることは間違いない。

 それにしても最近のシグマは、やたら、使いこなしの難しいカメラやレンズをへっちゃらな顔をして次々と出してくるよなあ、いやほんと。

重いレンズだぞ、覚悟せよ

SIGMA・50~100mmF1.8 DC HSM:Art+キヤノン・EOS 80D

 レンズ重量が約1.5㎏。
 ずしっ、とした重さを感じるレンズ。フロントヘビーだから余計に重さを感じるかもしれない。やや軽量なカメラボディと組み合わせると、カメラを構えてもアタマでっかちの感じがして、おっっと前のめりになりそう(ちょっと誇張し過ぎるか…)。
 15群21枚構成。
 21枚もレンズを使ってる。重いわけだ。そのうえ、前群には大型の光学レンズが4枚。その4枚のうち3枚が質量のある低分散系の光学レンズだ。フロントヘビーのわけだ。
 
 それにしても21枚も、だ。レンズの透過率のことを考えると(いくら、良いレンズコーティングをレンズ両面にしているとはいえ)、ほんとうにF値どうりの明るさがあるのだろうか。F値は1.8だろうけど、T値だと2.0以上になるかも(実際にしっかり検証してみたわけでないので信用しないでください)。
 と、少し心配をしたけど、しかしぼくは露出計を使ったマニュアル露出で撮ることはまったくなくなったので、ま、別にどーでもいいか、と。




 フルサイズ用のレンズではない。APS-Cサイズ用のズームレンズ。でも、サイズはフルサイズ用レンズのようだ。F1.8の明るさだが、ズーム倍率はたったの2倍。なのに、この重さ、この大きさ。キヤノンEOSボディと組み合わせたとき(×1.6として)80~160mm相当のズームとなる。
 贅沢というか図々しいというか…。いけいけどんどんのシグマらしいレンズ。

 最短撮影距離はズーム全域で95センチ。ちょっと遠い。もう少し寄れればいいのにと思うが、開放F値がF1.8という大口径レンズだ、近距離での収差補正を強引にし過ぎるといろいろと悪影響も出てくるからそれを嫌ったのかも。撮影距離にかかわらず描写性能を最優先したのだろう。

 だから(当然のことだけど)、写りはめちゃくちゃシャープ。解像力ばりばり。くっきりとしてハイコントラスト。美人も、いっそうより美人に写る…。
 ただ、ちょっとやり過ぎじゃないかなあ、という気もしないでもない。最近のシグマレンズらしい、そこのけそこのけ、SIGMAが通る、ってな感じがする描写。
 少し古めの、それほど高画素でもないEOSボディで使ってみたら、おおっ、このカメラ、こんなにシャープでくっきりとした描写だったっけ、と驚いたほどだ。たとえば、ほかのEFレンズと同時使用すると、この50~100mmズームの描写だけが「浮いて」しまうような、そんな心配もなくもない。

 希望小売価格は15万5千円(税別)だが、大型量販店での実販価格は約11万円。11万円で、この開放F値、この描写性能なら、決して高くはない。ばりばり解像力イノチで、体力充分マッチョな人にはおすすめ。

キヤノンらしいけど、キヤノンらしくないレンズ

キヤノン・EOS M10+EF-M 28mmF3.5 マクロ IS STM

 超広角や超望遠だとか、大口径だとか、高倍率だとか、近頃の交換レンズは飛び抜けた数値ばかり追いかけているか、ばりばりカリカリ解像感の描写ばかり狙っているか、そのどちらかのような気もしないでもない。
 それほど数値的に注目されないけど、しっかりと「地に足を付けた」まじめなレンズ、目立たないけどひっそりとチャレンジャブルなレンズがあまり見あたらない。いや、なくもないのだが、たまに、そうしたレンズ(地味だからなあ)が出てきても、多くの人たちは気にも留めず無視してしまう。

 そんな最近の交換レンズ世界の中で、ひょっこりと出てきたのがこのEF-M28mmマクロレンズのような気がする。
 確かに「等倍」を越えるAFマクロレンズとしては世界初だし、レンズ内にLED照明の機構を内蔵しているなど、ひっそり、控えめというレンズでもなさそうだが、28mmマクロを少し使ってみればわかることだが、とてもまじめに、良く考えて作られている「地に足の付いた」レンズなのだ。
 いっけん、遊び心があって愉しいレンズ、というふうに受け取られがちだが(それはそれでイイのだけど)、ぼくはそうは感じなかった。これでもか、というぐらいマジメに真正面から、コストと性能のことを考えながら設計に取り組んだレンズという感じがした。




 キヤノン、というと合理的、打算的、慎重安全と受け取られがちだが(たしかに、そうした面もなくもないが)、カメラ開発部門と違ってキヤノンのレンズ開発部門にはそんな印象はほとんどなく、いちばん「キヤノンらしくない」部門のひとつだと思う。28mmマクロレンズを見て、使って、撮ってみて、つくづくそう思った。

 こんな低価格なマクロレンズでも(レンズマウントはプラだ)、角度ぶれ補正+シフトぶれ補正のハイブリットISを組み込んでいる。これ、大いに感心したことの1つ。レンズの中にLED照明機構、なんて誰でも考えつくことだろうけど、やる/やらない、では大違い。やったもんの勝ち。
 無限遠から最大撮影倍率の1.2倍までステップレスでフォーカスできれば良かったのに、とか、無限遠の描写がもう少し良ければ、とか、そもそも売れる本数が決して多くなく使う人の絶対数の少ない(キヤノンの製品にしては、ですぞ)EOS M用にしないで、せめてAPS-C判用の交換レンズとして企画開発すればもっと注目され、喜ぶ人も多かったのにと、ぼくなどはそう考えるが、そこを敢えてEOS M用交換レンズとして発売してきたことにも興味がつきない。それにしても、なぜなんだろう ━━ 理由はおおよそ推測できるけど。

 その28mmマクロレンズを見て、「いいなあ、このレンズ。うーん、しょうがないからEOS Mでも買ってみるかなあ」なんて言っていた人がいた(とある有名カメラメーカーの人だ)。その気持ち、すごくよくわかる。

無限から最大倍率1.2倍までAF

キヤノン・EOS M10+EF-M 28mmF3.5 マクロ IS STM

 一般向けのマクロレンズ(ヘンな言い方だが)で「等倍」以上の倍率で撮影できるものが、いままで出てこなかったのはどうしてだろうか。せいぜい等倍までで、この「等倍」になにか特別な価値でもあるのだろうか。

 そもそも、デジタルカメラでは「等倍」の意味そのものがじつに曖昧。フィルムカメラならいざしらず ━━ フィルムカメラの「等倍」とは使用するフィルム画面上に実物と同じサイズで写ることをいう ━━ だからデジタルカメラでは撮像センサーの画面にどれくらいのサイズで写ろうと実質上の撮影倍率とはほとんど関係がない。
 ここでいうところの「等倍=1倍」は35mm判サイズの画面上での意味であって、EOS MはAPS-Cサイズだからその画面で言えば「等倍=1.5倍」と言うことになる。似たようなこととしてファインダー倍率もそうだ。

 であるからして、デジタルカメラで「等倍」なんて言われても「ナニそれ?」ってなもんだ。……いや、わかってるんですよ、もちろん。「等倍」と表現してる理由はわかって、言ってるんですよ、と、念のため言っておく。




 それはさておき、特殊なマクロレンズでは等倍以上に拡大して撮影できるレンズもあったが(キヤノンにはMP-E65mmF2.8が現行品があり、ミノルタにもAFレンズがあった)、しかしそうしたレンズはマクロ撮影専用で無限遠の撮影ができなかった。
 いままでに、無限遠から「等倍以上」に自由自在にピントを合わせて撮影ができるレンズなど1本もなかったはず(たぶん…自信がない)。むろんエクステンションチューブなどを使えば「等倍以上」を撮影することは不可能ではないが。

 だから、無限遠から「等倍以上」の撮影が1本のレンズだけでできる「EF-M 28mmF3.5 マクロ IS STM」レンズは ━━ 「等倍」以上で撮影するには途中で切り替え操作が必要ではあるが ━━ これは画期的マクロレンズだと言っていいだろう。
 おそらく「AF世界初」ではないだろうか。しかしキヤノンは世界初と言っていない…。

 「二段沈胴式」のマクロレンズである。
 まず一段目の沈胴を繰り出して通常撮影状態にする。沈胴式にせずとも、もともと小型なマクロレンズなのだから"そのまま"通常撮影ができるようにしておけばいいと思うのだが、なにか理由があったのだろう。
 一段目の沈胴を繰り出すとレンズ先端部が少し飛び出す。この状態で無限遠から「等倍」までAF撮影ができる。「等倍」のときの最短撮影距離は撮像面から9.7cm。
 一段目を繰り出した状態からさらにもう一段レンズを回転させるとスーパーマクロ撮影モードに切り替わる。スーパーマクロモードでは0.7倍から1.2倍までの範囲でマクロ撮影ができる。もちろんAFで。でも、なぜキヤノンはこの28mmマクロレンズで無限遠から切り替え操作なしにそのまま「1.2倍」までクローズアップ撮影できるようにしなかったのだろうか。理由が不明。

 スーパーマクロモードでの最短撮影距離は、0.7倍のときが11cm、等倍のとき9.7cm、1.2倍のとき9.3cmになる。レンズ先端部からの距離(ワーキングディスタンス)はかなり近くなる。ピントを合わせようとする被写体にくっつかんばかりの近接となる。
 そう、そこで役立つのがレンズ先端部に内蔵のLEDランプ、というわけだ。


最大撮影倍率1.2倍のLEDライト内蔵マクロレンズ

キヤノン・EOS M10+EF-M 28mmF3.5 マクロ IS STM

 EOS Mはモデルチェンジのたびに、垢抜けして良くなってきている感じだ。とくに外観の仕上げが細かなところまで丁寧でウマい。仕上げの良さが素晴らしかった「一時期」のIXYの流れを受け継いでいるようだ。このM10も大変に魅力的なスタイリングで、とくにグレーのカラーモデルがおすすめ。色もいいし、その光沢感もいい。上品な質感。

 丁寧に作っているなあ、と感心したのは ━━ ツマらんところに感心するけれど ━━ ボディのあちこちにあるビス(ねじ)アタマの部分。これがすべてボディ外色と同じ色に、わざわざ塗ってある。だからボディ外観を見てもビスが目立たない。
 もうひとつ。チルト式液晶モニターを開いてみると、その背面にはまったく手を抜くことなく美しく塗装されている。

 ほら、こんな具合だ




 ところが、そのスタイリングのいいEOS Mシリーズで残念に感じていたことは、ボディの外観の良さに比べてEF-M交換レンズのデザインのつまらなさ、やぼったさだった。EF-Mレンズをセットしたとたん、カメラボディのデザインの魅力が半減、どころか大幅減になってしまう。

 そもそも交換レンズのバリエーションが乏しいのもEOS Mシリーズの「欠点」だったのだけど、ようやくその「欠点」を埋めるべく(キヤノン、ようやくその気になったか)発表されたのが「EF-M28mmF3.5マクロIS STM」レンズである。とはいえ、EF-Mレンズは6本になっただけだが。
 レンズのスタイリングは相変わらずだが、このマクロレンズがおもしろい(興味がある、という意味)。さすが、アグレッシブなキヤノンのレンズ開発部門だと感心した。

 EF-M28mmマクロレンズには、簡単に言うと特長が3つほどある。
 1つめは、最大撮影倍率1倍(等倍)を超える1.2倍まで撮影ができること。そのときのワーキングディスタンスは1.3mmほどになる。使いこなしは難しい。
 2つめは、レンズ前面にLEDライトを内蔵したこと。LEDライトは決して明るくはないが至近撮影あたりなら内蔵LED照明だけで手持ち撮影も不可能ではない。とっても便利。
 3つめは、手ぶれ補正の機構を内蔵していて、それも角度ぶれ補正+シフトぶれ補正のハイブリットISである。贅沢。

 そのほかには、機能や性能のワリには低価格のレンズであること(このへんのコンセプトは、さすがキヤノンだと感心することしきり)、キヤノンとしては"初"の機能を備えたレンズなのにEFレンズやEF-SレンズでなくEF-Mレンズとして出してきたこと、などなど興味のつきないマクロレンズだ。