ニコンのD500と、カシオのFR110Hの、ISO51200での動画

カシオ・EX-FR110H

 カシオの小さな小さなアウトドアスタイルのコンパクトカメラ・FR110Hは、最高感度がISO51200もあって暗いシーンでも気軽に動画の撮影ができる。他の一般的なコンパクトカメラでは到底写らないようなシーンでも「写る」。同じカシオのコンパクトのFR100やZR4000と撮り比べてみると、いかにFR110Hが暗いシーンでよく「写る」かがわかる。
 そんな話を続けた。
 本日もそのFR110Hについての話で、もう一回だけ…。

 一般的なコンパクトカメラと撮り比べてもFR110Hの「実力」はわかりにくい。世の中にはもっと高感度での画質のよいカメラや、もっと高ISO感度で撮影することができるAPS-Cサイズやフルサイズのセンサーを使ったカメラがたくさんある。それらと動画撮影をしてみて比べたら「さあ、どーなんだろうか?」と誰もが考えるだろう。
 ぼくだってFR110Hを使い始めたとき、すぐにそう考えた。

 そこで高感度画質に優れていることで評価の高いニコンのD500と、くだんのFR110Hとを撮り比べてみた。
 というのが本日の話。




 上の写真はFR110Hの静止画(190万画素)。オリジナル画像はこちら
 Exifによると撮影感度は"たったの"ISO4000だが、他のカメラの同程度のISO感度に比べるとややノイジー。強引にノイズリダクションをやっていないためか、そのぶん解像感はある。

 さて、繰り返しになるが、FR110Hのイメージセンサーは、ちっぽけな1/2.8型の約200万画素だが最高感度はISO51200まである。動画モードは30pのフルHD。レンズは内蔵でF2.8の画角20mm相当。
 いっぽうのニコン・D500のイメージセンサーはAPS-Cサイズで約2000万画素。最高感度はISO51200までだが拡張感度を選べばその5倍(H5)のISO1638400相当まで可能だ。動画モードはいろいろと選べるがFR110Hと同じ条件にするため30pのフルHDを選んだ。レンズも約20mm画角相当のF2.8レンズを使用した。

 これがFR110HとD500の動。YouTubeで。
 暗くて木々がたくさんある夜の公園で撮影をした。D500が上下ぶれしているのは手ぶれ補正がないからで、FR110Hは電子式手ぶれ補正あり。

 3シーンをつなぎ合わせて約40秒ほどの動画。始めのシーンがFR110HのISO51200、次がD500のISO51200、最後がD500のマニュアル露出モードでH2(ISO204800相当)にセットして撮影した動画。
 見てもらえばわかることなので、くどくどしいコメントは避けるが、① FR110Hはそれなりによくがんばってるがノイズがかなり目立つ、② さすがD500のISO51200だ、低ノイズだし解像描写力も充分にある、③ しかしISO20万ともなるとやっぱりノイジーになりコントラストもなくなるが、でももっと暗闇でも充分に写りそう。

 D500の動画撮影の場合、P/A/Sの自動露出モードを選ぶとISO感度は最高ISO51200までのオートISO固定でプリセットISO感度は選べない。これはFR110Hと同じである。ただしD500はMモードにすれば(オートISOは選べなくなるが)最高感度めいっぱい(ISOH5、ISO163800相当)の設定をして動画撮影が可能になる ━━ その画質についてはとても実用とはならないけど。

 つまりD500とFR110Hで同じように自動露出で動画撮影をしてみれば、こと「画質」については文句なしにD500のほうが良い。F値の明るい交換レンズを使えば、より暗いシーンを写すこともできる。
 いや、だからといって、「ほら、やっぱりD500のほうがダンゼンFR110Hよりも優れているじゃないか」と決めつけてはいけないと思う。
 D500+交換レンズの価格と大きさと重さ、それに対してFR110Hの価格と小ささと軽さと手軽さと防水防塵性能などを考えれば、いやいや、FR110Hにも大きな大きな魅力があるのではないか。

 どっちのカメラが優れているか、ではなくて、どんなシーンで、どのような目的で撮影するのかによってカメラやレンズを選ぶ、そんな自由な時代になってきていると思いますよ、いまは。

暗くても明るくても良く写る防水防塵コンパクトカメラ

カシオ・EX-FR110H

 静止画であろうが動画であろうが、いままで写せなかったようなシーンが誰もが手軽に写すことができるカメラはとても価値があると思う。
 小さくて軽くて操作簡単なカメラで、写したいシーンにレンズを向けてボタンを押すだけで動画も静止画も写せるのがカシオのEX-FR110Hである。さらに耐衝撃、防水、防塵のカメラで、遠隔操作で撮影もできる。
 おそらく、そんなことができるカメラはいままでになかったのではないか。

 FR110Hはレンズとセンサーを内蔵させたカメラ部とコントローラ部を分離して、小さなカメラ部だけを撮影したい場所に置いておき、そこから離れてコントローラ部の液晶モニターを見ながら撮影することができる。胸ポケットや帽子などに固定しておいて歩きながらや、クルマやバイクにセットしておけば、ISO400からISO51200までの自動感度だから明るいシーンでも暗いシーンでも気にせず写すことができる。




 ほらこれがFR110Hのカメラ部だ
 手のひらの中にすっぽりと隠せるほど小さい。このカメラ部にはシャッターボタンも動画ボタンもあるからコントローラ部(にもある)なしの「単独」で撮影することもできる。スマホから遠隔操作、画像転送も可能。
 というと、きっと、よからぬことを考える人もいるだろうけど、でも、だからといって「やめとけ」と言ったところでそーゆー人は聞く耳を持たぬに違いない。カシオもそこんところにだいぶ悩んだようで製品化するにあたって社内でだいぶ議論もあったようだ。

 ただし真っ暗でも動画が撮れるとは言ったけれどむろん限度はある。静止画の場合は長時間露光をすればたいがいのものは写せる。しかし動画はシャッタースピードの制限があるから暗黒を写すことは無理。実際にやってみてはいないのでナンとも言えないけど満月での月明かりぐらいなら写せるような気もしないでもない(無責任…)。

 こうしたカメラが出てきて、誰もがどこででも気軽に使えるようになれば、すなわち、わたしたちの身の回りの森羅万象を、映像で記録したり表現したりできる範囲がぐんと広がることでもある。
 こちらにカシオの3機種で撮り比べた動画がある。それぞれ1機種が約20秒ほどで、つなぎ合わせて約1分の動画。YouTubeです。
 (1)が最高ISO3200でF2.8レンズの「FR200」、(2)が最高ISO6400でF2.8の「ZR4000」、そして(3)が最高ISO51200でF2.8の「FR110H」を使って、同じシーンを撮影してみた。(1)FR200はほとんど真っ黒け、(2)ZR4000ではほんの少し写ってるが(3)FR110Hになると、ほとんど肉眼で見ているのと同じぐらいに"良く"写っている。

 いままで不可能だったことが可能になる。映像表現できる幅が広がる。じつに素晴らしいことではないですか。
 ということを考えれば、少数のよからぬ人がよからぬことをやったとしても、だからといってFR110Hのようなカメラの存在を決して否定してはいけませんよ。

真っ暗なシーンでも手軽に動画撮影できるちっちゃなカメラ

カシオ・EX-FR110H

 カシオFRシリーズの超高感度モデルがこのFR110Hだ。最高ISO感度のISO51200で撮影ができる。静止画も動画も撮影できるが、暗いシーンの撮影が苦手な動画も手軽に撮影ができることがこのFR110Hの大きな特長だろう。

 FRシリーズのカメラは耐衝撃、防水、防塵のアウトドアカメラである。レンズが内蔵されたカメラ部と、液晶モニターを内蔵したコントローラ部が取り外しができる。カメラ部を、たとえばヘルメットにセットして、コントローラ部のモニター画面を見ながら撮影もできるから"ウエアラブルカメラ"とも言える。
 カメラ部とコントローラー部はBluetoothを使い静止画も動画もリアルタイムに画像を確認することが可能。
 
 FRシリーズには現在、16mm相当の画角で撮影できるFR100、185度画角の全天周画像が撮れるFR200があり、それに加わったのが20mm相当画角で超高感度の動画撮影ができるこのFR110Hである。




 FR110Hの画素数は(たったの)190万画素と超低画素である。イメージセンサーはちょっと馴染みのない1/2.8型の裏面照射型CMOS。
 たぶん監視カメラ用のセンサーだろう。このセンサーのアスペクト比は「4:3」でも「3:2」でもなく、「16:9」という"変則的"である。つまり、16:9ということは動画専用のセンサーと考えてもよく、だからFR110Hの静止画の画面アスペクト比は16:9の固定である。

 静止画像がアスペクト比16:9でしか撮れないデジタルカメラはとても珍しい。「も」撮れるというカメラはあるが「しか」撮れないのは(ぼくの知っている限りだけど)オリンパスのアクションカメラ・TG-Trackerぐらいではないか(このカメラのイメージセンサーはごくありきたりな4:3だが、それをかなり変則的に使っている)。

 FR110Hの静止画だが、高ISO感度でのノイズは"かなり"なもの ━━ ごく一般的なコンパクトカメラのほうがだいぶマシ。好意的に見れば積極的にノイズをツブそうとせず、そんなことに手間をかけるぐらいなら動画画質の向上にパワーをかけたほうがイイと、そういう感じもしないでもない。

 じゃあ動画の画質は良いのか? と言われれば、いえいえ相当のノイズです。覚悟はしておいたほうがいい。
 でも静止画と違って動画なので、1枚の静止した画像をじーっと見つめているわけではないので、それほど気にならない(と、ぼく思うけど)。他のカメラでは写らないような暗いシーンがこのFR110Hでは写せる。
 「写る」と「写らない」とでは、月とすっぽんほど違う。そう思いませんか。

 ともかくも、この画像をご覧ください
 暗闇強しのFR110Hと、同じカシオ製のZR4000(1276万画素、1/1.7型の裏面照射型CMOS、最高ISO感度ISO6400)を使って撮影した動画から、同じ場面を切り出したもの。FR110Hはかなりノイジーではあるが、写っている。ところがZR4000のほうは真っ黒け。こんなにも違う。

 というわけで、スゴイじゃないですかFR110Hって、というのが使ってみた感想をもう少しつづけてみたい。

チルト式モニターだったら、魅力5倍増し

ニコン・D5600+AF-P DX NIKKOR 70~300mmF4.5~6.3G ED VR

 画質だけを比べれば、D5600よりも低価格なD3400のほうがだいぶ良い、と前回のブログで述べた。ただ、D3400のほうが画質が良いとはいっても高ISO感度のときぐらいで、常用ISO感度ではほとんど違いはない。D3400もD5600も充分に良い画質だと思う。
 一眼レフカメラの仕上がり具合や使いごごち、つまり「カメラとしての総合力」で判断すれば、だいぶD5600のほうが良い(価格が高いから当たり前、か)。

 D5600で「イヤだなあ」と感じたことがひとつだけあって、それは液晶モニターがバリアングル式であること。もしチルト式だったら魅力は5倍増し、ぼくの「常用一眼レフ」カメラにしていたかも ━━ バリアングル式がキライなんだからしょうがないだろっ。

 カメラを持って構えたとき(持ちやすい)、ファインダーを覗いてピントを合わせたときや(ルーフミラー式にしてはまあまあ)、シャッターを切ったときに手に伝わってくる感触(精密な機械感がする)、それらはやっぱりD5600のほうが気持ちが良い。
 D5600にはニコンらしい安心感、信頼感、確実さがある。
 むろんニコンの中級、上級の機種に比べるとだいぶと違うけれど、D5600は軽くて小さな一眼レフカメラではあるが低価格機種だからの「安っぽさ」がない。

 このへんがキヤノンのエントリークラスの一眼レフ ━━ キヤノンの低価格カメラが安っぽいというわけではないが、たとえばKiss X8iやKiss X80などと微妙に違うところではないだろうか。うーん、ここんところをわかりやすく話をすると長くなるので以下省略…。




 D5600の販売形態は、ボディのみ、18~55mmレンズキット、18~140mmレンズキット、18~55mmと70~300mmのダブルレンズキットの4つのパターンがある。ぼくは今回、18~55mm VRと70~300mm VR(ともにステッピングモータ内蔵のAF-Pレンズ)の組み合わせて使ってみた。

 意外だったのは70~300mmが予想以上に良かったこと。4万6千円(ニコンダイレクトショップ、税込み)だだから、そこそこの写りだろうと高をくくっていたのだが、軽い小さい安いながら良く写る。むろん、イジ悪く重箱隅っこをつつけば多少の文句もあろうが、でも価格のことや大きさや軽さを考えれば、ニコン、よくがんばった。

 「AF-P」レンズだからパルスモーター(ステッピングモーター)を内蔵。だからAF時はほとんど無音だしかなりの高速AF。ただ残念なことに電磁絞りではない。いまとなっては"古風"な機械式絞り ━━ アナログチックで、それはそれでいいのかも。

 ところで、このズームにはレンズフードが同梱されていない。いくら安いからといってフードをケチらないで、きちんと付けといてよ。とくに望遠レンズや望遠ズームレンズはフレアが出やすく、結果、低コントラストになってメリハリ感がなくなる。
 フードをセットしなくても「逆光強し!」とニコンに自信があるのならいいけど。ほんと、そうなの?

より低価格なD3400と比べてみると

ニコン・D5600+AF-P DX NIKKOR 70~300mmF4.5~6.3G ED VR

 D5600はつい先月の発売で、D5500(2015年2月発売)の後継機種である。
 ボディサイズはどちらもまったく同じ、重さがわずかに新型D5600のほうが軽い(といったって5グラム程度だけど)。両方ともタッチパネル式のバリアングルモニターだし、撮影機能などの基本性能はほとんど同じ。
 大きな「違い」と言えば、新型D5600には Bluetooth と NFC の機能を内蔵して、ニコンがチカラを入れている画像自動転送システムの SnapBridge に対応したことぐらいか。

 ご存じのように Bluetooth は iPhone などのスマホやタブレットのためで、NFCはおもにAndroid系スマホのための"お手軽"通信機能。そららを使ってスマホとペアリングすれば、あとはカメラ内蔵のWi-Fiを利用して高速に画像転送できる。━━ じつはニコンのカメラに搭載の Bluetooth が、当初はなかなかうまく繋がらなくてドタバタしていたが、いまではまあまあ(多少の問題点はあるけどれ)すんなり繋がるようになった。




 もし、スマホなどに画像転送するなんて必要ない、という人であるなら旧型D5500でもいいのではないか(個人的感想)。
 ちなみに、ニコンダイレクトショップの価格(税込み)だと、新型D5600が91800円で旧型D5500が83700円ということで、約1万円ほどの差。1万円ぐらいの差なら、ちょっとでも新しいカメラのほうが「気持ちいい」、というのならD5600にすればいい。

 ところでD5600の下位機種にD3400がある。
 今年の9月に発売されたばかりのニコンの新型エントリー一眼レフカメラ。価格はD3400が64800円(ニコンダイレクトショップ)。D5600と約2万7千円の差がある。
 カメラとしての中身はといえば、画素数はD5600と同じだしISO感度も、最高連写スピードも同じ。D3400は Bluetooth の機能内蔵で PictBridge にも対応している(NFCはなし)。ただしWi-Fiが内蔵されていないから、画像はBluetoothを使って"ゆっくり"とスマホに転送する。

 その他のおもな違いは、D5600はバリアングルで3:2の3.2型だが、D3400は固定式モニターで4:3の3.0型である。ファインダーはどちらもペンタミラー式だが倍率がD3400がわずかに劣る。両機種、それほどたいした違いはない…。
 いやいや、大きな違いがありましたよ。画質です。とくに高ISO感度の画質。
 なんと、低価格のD3400のほうが約3万円高いD5600よりも、良かった。最高ISO感度のISO25600で比べてみたら、D5600はグリーンの色ノイズがめだってきたない。対してD3400はじつにすっきりとしている。
 画素数(有効画素数)はどちらも2416万画素なので、へんだなあと思って総画素数を見ると違う。そうか、使っているイメージセンサーが異なるのか(たぶん)。

 とかなんとか、話があちこちにトンでしまったが、とりあえずの結論として、もし画質(だけ)にこだわるなら、D5600よりもD3400のほうがおすすめかもね(責任なしの個人的感想)、というところです。
 低価格一眼レフカメラとしては、どちらもニコンのカメラらしくしっかりとしたツクリでシャッターフィーリングもいいです。

シグマの山木社長に、たってのお願い…

シグマ・85mmF1.4 DG HSM Art+キヤノン・EOS 5D Mk4

 シグマの新型85mmレンズを使ってみての不満は大きくて重いこと。描写性能がいいのだから、多少の大きさ重さはガマンしろという意見はもっともだとは思うが「大きさ重さ=操作性」と考えればいささか使いづらいレンズではある。
 操作性を犠牲にして描写性能を優先させたシグマの考え方をまったく否定するわけではないが、優れた操作性と描写性能を「両立」させた次世代のレンズを、ぜひシグマにはチャレンジして欲しい。シグマのいまの技術力(設計力と製造力)と勇気力(果敢な挑戦力)をもってすれば不可能なことではないと思う。

 操作性といえば、新しいプロダクトライン(コンテンポラリ、アート、スポーツ)を始めてから、とくにアートラインのレンズで手ぶれ補正内蔵がほとんど出てこない。大口径で優れた描写性を狙ったレンズを作ることに徹しているようだ。
 なにがなんでも手ぶれ補正をというわけではないが、大口径で高画質で手ぶれ補正内蔵のレンズが「たまに」出てきてもいいではないかと。




 シグマは新型レンズを発売するとき対応マウントはシグマ、ニコン、キヤノンの3本が中心。そのシグマ、ニコン、キヤノンのどのカメラボディにも手ぶれ補正の機能を備えていない。いつも必ず三脚を使うという人には手ぶれ補正は必要ないだろうが、手持ち撮影の人にとっては手ぶれ補正の機能はじつにありがたい。
 一眼レフカメラでいえばペンタックスとソニーがボディ内に手ぶれ補正の機構を内蔵している。だからレンズ内に手ぶれ補正の機能がなくてもいい。たとえばこの85mmF1.4レンズなどはボディ内に手ぶれ補正機能を備えたカメラとの相性はすこぶる良い。ボディ内手ぶれ補正を生かしながら、優れた描写のレンズを使って気軽に高画質な写真が撮れるではないか。
 ところが、ペンタックス(Kマウント)もソニー(α/Aマウント)のレンズは、いまのところない。

 ペンタックスやソニー用のレンズをシグマがラインナップしないのは、技術的な問題でもオトナの問題でもない。げんに、フルサイズ判用には35mmF1.4 Artレンズ、APS-C判用には18~35mmF2.8 Artレンズなど、ごくごく一部のレンズに限るがペンタックス用もソニー用はある。ところが多くのシグマレンズは未対応。
 作らない理由は期待するほど売れない(儲からない)からだろう。ペンタックスやソニーのマウントのレンズを作ってる「ヒマ」があればニコン用やキヤノン用のレンズを作って売ったほうがずっと儲かるからだろう。

 でもねえ山木社長、あれこれの事情はわかりますけど、「たまには(でイイです)」ペンタックスKマウントやソニーα/Aマウントのレンズを、「ついでに(でイイです)」作って売ってくださいよ。こうなったら、期間限定でも数量限定でもいいですから。
 お願いしますよ。

 PENTAX K-1ユーザーのぼくとしては、その85mmF1.4や20mmF1.4や24mmF1.4のような、あの素晴らしい描写力のレンズをぼくのK-1と一緒に使ってみたいですよ。多くのK-1ユーザーもきっとそう考えてるはず(ペンタックスに、フルサイズ判用レンズをもっと、と頼んでも「ない袖は振れない」と言われるのが関の山……)。
 山木社長が「うん、やろう」とひと言いえばできることじゃないですか。山木社長にもシグマにも、いまそれくらいの「チカラ」はあるんですから。

描写についてはどんなに褒めても褒めすぎることはない

シグマ・85mmF1.4 DG HSM Art+キヤノン・EOS 5D Mk4

 素晴らしい写りの85mmレンズである。
 最近のシグマレンズ特有の、やや線の太いコントラスト強めの描写ではあるが、なによりも解像描写力に優れている。F1.4開放で撮影しても画面周辺部まで充分な描写力がある。良く写ると評判のツアイスの同クラス ━━ 重い、大きい ━━ のレンズ(Otus 85mmF1.4)と比べても甲乙つけがたいほどの描写力である。

 しかし、そのツアイスの85mmはマニュアルフォーカスのレンズである。シグマの85mmはAF対応レンズ。MFレンズとAFレンズとではレンズ設計上の制約がだいぶ違う。こういっちゃナンだけど、ツアイスのあの大きさ、あの重さ、あの価格のレンズでもイイというのなら、あれくらいの描写性能のレンズに仕上げることは、いまならどこの国内メーカーにだってできる(はず)。
 ところがシグマは ━━ レンズの大きさ重さはさておき ━━ AFレンズで、あの価格で、あそこまでの優れた描写力のレンズを作った。そこに感心する。




 でも、ほんと、大きくて重いレンズだ。
 大きな径のガラスレンズをたくさん使った12群14枚構成で、重さは約1.1㎏。カメラにセットして構えてみると、レンズの重量バランスのせいだろうか約1.1㎏以上のずしりっとした重さを感じる。
 価格は大型量販店で約13万6千円。ちなみに、くだんのツアイスのOtus 85mmF1.4はといえば、なんと41万8千円だ。シグマ85mmはその1/3の価格じゃないか…で、写りはほぼ同じ。くどいようだけど、シグマ85mmはAFレンズだ。

 フィルター径は86mmで、最短撮影距離は85cm。フルサイズ判、焦点距離85mmのレンズで、F1.4大口径で、85cm至近距離で撮影すれば、ピントの合う範囲は薄紙1枚程度になる。ピント合わせにはかなり神経質にならないと、すぐにピンぼけになる。
 ヘボな一眼レフカメラで位相差AFに頼って撮影したりすれば、望んだようなピントは得られないかもしれない。

 フレア/ゴーストはとても少ない。それについてぼくには不満はまったくない。よほどのイジワルな逆光シーンで撮影すれば(実際にやってみた)少しフレアっぽくなりゴーストも出てくることがあるが、他の同クラスのレンズに比べればなかなか優秀。
 描写について強いて欠点(というほどのことでもないが)をあげるとすれば、開放F1.4で周辺光量不足が目立つことぐらいだろうか(撮影シーンによってはぜんぜん気にならないこともある)。むろん1~2段絞り込めばすーっと消えてしまう。