軽くて、小さくて、安い100~400mmズーム

シグマ・100~400mmF5.0~6.3 DG OS HSM/Contemporary + ニコン・D810

 手軽に手持ち撮影ができる手ぶれ補正機構内蔵の100~400mmズームレンズ。レンズ本体もそれほど大きくないので街角のスナップ撮影にも使える。レンズフードをしないで撮影すれば、それほど目立たず(こっそりと)撮影もできる。




 とっても手軽な ━━ 軽量で、コンパクトで、低価格な ━━ 超望遠ズームレンズ。
 重い、大きい、ことがシグマレンズの最近のトレンド、いや、アイデンティティだったのだが、なんだか久しぶりの感じがする軽くて扱いやすい「ムカシのシグマ」みたいな望遠ズームである。
 価格は大型量販店で8万8千円ほど。シグママウントのほか、ニコン、キヤノンのマウントに対応している。
 ちなみに、キヤノンには「EF100~400mmF4.5~5.6L IS II」があって、このレンズは大型量販店の実販価格で25万6千円。ニコンにも同じようなズームがあって、こちらは「AF-S NIKKOR 80~400mmF4.5~5.6G ED VR」である。同じく実販価格は27万4千円。価格差は約3倍だ。

 ところで、残念ながらニコンやキヤノンのズームレンズと、シグマの100~400mmを同時に撮り比べてみることはできなかったが、たぶん、描写性能が「価格差」と同じく「約3倍」も違うなんてことはあり得ない(と思う)。

 シグマ100~400mmを使ってあれこれ撮ってみたけれど、別段、これといった不満なところはなにもなく、描写については、文句なしの高画質で優れた描写性能であるとは言い難いけれど平均点以上の描写だった。80点に近い。
 しいて(重箱隅)ナニかを言うなら、広角側の描写が望遠側ぐらいのレベルであれば良かったのになあと感じたことぐらい。
 開放F値がニコンとキヤノンのそれに比べて約1/3EVほど"暗い"けれど、使用するカメラ(ニコンやキヤノン)の最近の高感度画質の良さのことを考えれば、まったく気になることではない。

 100~400mmという超望遠ズームレンズなのに三脚座がない。オプションでも用意されていない。もし、どうしても三脚にセットして使いたいというなら、カメラボディのほうに三脚を固定させなければならない。
 このことを心配する「三脚信奉者」がたくさんおられるだろうが、100~400mmズームはもともと小型だし軽量なので、カメラにズームレンズをセットしてカメラボディ側に三脚に固定しても、フロントヘビーで"ぐらぐらする"といった不安定さはほとんどない。

 そりゃあ、レンズ側に三脚座がないよりもあったほうが、なにかと便利に使えることは確かだが、しかし三脚座を使えるようにするにはレンズ鏡筒の強度やスペースのことを考えねばならない。小型軽量な超望遠ズームレンズを最優先にするなら、この100~400mmレンズではあえて三脚座を省略することの利点のほうがずっと高かっただろう。

EOSユーザーにおすすめのマクロレンズ

キヤノン・EF-S 35mmF2.8 MACRO IS STM+EOS 9000D

 EF-S35mmマクロレンズは、キヤノンのメーカー希望小売価格が5万5千円(税別)である。しかし、同じキヤノンのオンラインショップでは税込み5万490円で販売。そのオンラインショップで税別の価格なら4万6千750円となる。同じキヤノンが売ろうとしているのに希望価格と実販価格で1万円近くの差がある。これ、どーゆーことなのかなあ。
 なお、レンズの発売は当初の5月末から一ヶ月遅れて6月末になりました。




 この35mmF2.8マクロレンズは、キヤノンEFレンズでは2本目となるLEDライト内蔵のマクロレンズ。レンズ前面にLEDライトを組み込んで、クローズアップ撮影のときに照明するというもの。電源はボディから供給。
 はじめに出た1本は、昨年6月に発売された「EF-M 28mmF3.5 MACRO IS STM」で、そう、ミラーレスEOS M用のEF-M交換レンズだ。約45mm相当の画角のマクロレンズ。
 もう1本が、つい最近使ってみた新発売の「EF-S 35mmF2.8 MACRO IS STM」で、APS-C判一眼レフEOS用のEF-S交換レンズである。約56mm相当の画角になる。

 ミラーレス用のEF-M28mmマクロは沈胴式。無限遠から等倍マクロまでと、撮影倍率1.2倍までのマクロ撮影もできる(スーパーマクロモード)。しかし新しいほうのEF-S35mmマクロは沈胴式でもなく、等倍以上のクローズアップもできない。その替わり、といっちゃナンだが、開放F値がF2.8と少し明るくなった。
 なお2本のマクロレンズともハイブリッドIS(角度ぶれ+シフトぶれに対応)を内蔵していて、補正効果はEF-M28mmは3.5段ぶんだったが、EF-S35mmでは4.0段ぶんに性能アップ。

 EF-M28mmレンズが、無限遠からスーパーマクロモードの倍率1.2倍まで切り替え操作なくピント合わせできれば良いのだけど沈胴式なので、まず撮影スタンバイにするためにレンズを繰り出す。さらにスーパーマクロモードにセットするためにもレンズを繰り出すといった操作をしなければならない。むろんスーパーマクロモードでは撮影範囲は限定される。
 対して、今度のEF-S35mmレンズのほうは、最大倍率は等倍までだが一般的なマクロレンズと同じように、カメラボディの電源ONと同時に無限遠から等倍マクロまでピント合わせをして撮影ができる。使い勝手から言えば文句なしにEF-S35mmレンズのほうがいい。

 LEDライトはレンズ前面の左右に2つある。左右を同時点灯することも、左右どちらか片方だけを点灯することも、ライトの明るさを強弱2段に切り替えることもできる。LEDライトのON/OFFやその他の切り替えはレンズ鏡筒にあるボタン(1個のみ)を長押ししたりちょい押ししたりしておこなう。

 LEDライトは役立つか? と問われれば、そりゃあメチャクチャ役立ちますよ。この35mmマクロは最短時のワーキングディスタンスが3センチそこそこ。ライティングできないような状況で大活躍する。動画撮影でも役立つ。こんな便利なもんない。

 専用レンズフードが付属。このレンズフードを取り付けるとLEDライトが隠れてしまって使えない。そのレンズフードには役目が3つある。ほんらいの遮光の役目のほかに、白いLEDライト部の写り込み防止、そしてフィルター(49mm)などが取り付けられる。
 描写性能については、とくになにもコメントすることもない。
 こうしたマクロレンズの性能は、どこのメーカーのものもそうだがいまは大変に安定していて充分な描写性能がある。

 この35mmマクロはEF-Sレンズだからフルサイズ判EOSには使えないが、EOS Mシリーズにはアダプターを介して使うことができる。APS-C判の一眼レフEOSやミラーレスEOSユーザーには注目のマクロレンズでしょう。


Rebel とはオレのことかとKiss 言い

キヤノン・EOS Kiss X9i+EF-S 35mmF2.8 MACRO IS STM

 どこからどこまでも「真っ黒」なロールスロイス。目立たないための黒ではなく、目立つための黒。カルチェ・ブレッソンだったかロバート・フランクだったか、カメラが目立たないようにブラックボディを選び、さらにヒカリもの部分を黒くした真っ黒カメラを使ってましたね。こちらは目立たないための黒。1台だけのワンオフだからできること。
 Kiss X9iも9000Dもシルバーモデルがあればいいと思うけど、そうなると生産管理や在庫管理がきっとタイヘンなんだろうなあ。




 「EOS Kiss X9i」も「EOS 9000D」も、(おもに)日本国限定の名称である。Kiss X9iはアメリカで「EOS Rebel T7i」、ヨーロッパやアジアでは「EOS 800D」と名づけられていて、9000Dのほうはアメリカ、ヨーロッパ、アジアともに「EOS 77D」という機種名で販売されている。
 「Kiss」の名前はフィルムEOSのエントリー機種として1993年に「EOS Kiss」が発売されたのがはじめ。その時から国内と海外では別名。アメリカでの名称が「EOS REBEL XS」、欧米とアジアでの名称が「EOS 500」だった。
 その後も、フィルムカメラからデジタルカメラになっても、こんにちまで日本国内に限っては「EOS Kiss」として販売され続けてきた。

 「Kiss」は小さな子どもを育てている若いお母さんとその家庭をメインターゲットとして企画された一眼レフカメラだ。だから、可愛い子どもたちに愛情を注ぐようにという気持ちを込めて「Kiss」と名づけられたようだ。
 ところが、いっぽうで、とくに中年のおじさんたちからは「Kiss=キッス」というネーミングが不人気のモトだった。照れくさい、というわけだ。

  ━━━━ 余計なことを言いますけど、初代Kissが出たときから、ぼくは、「Kiss」のネーミングは素晴らしいっ、といまでもそうですがずっとイイ名づけだと思っております。Kissを持ち歩い撮影していても、ぜーんぜーん抵抗はありませんし、恥ずかしくもなんともないです。むくつけきおじさんだけど、ぼくが「ヘン」なのかなあ ━━━━

 ところが最近になって、「Kiss」の不評がおじさんだけにとどまらず、キヤノンの予想に反して未婚の若い女性たちが振り向かなくなってきた。
 コンパクトカメラではなく、それよりも「上級」の一眼レフカメラを使って本格的に撮影を愉しもう、いままでと違った上級な作品を撮ってみよう、と考えはじめた若い女性たちが、「こどもを写すだけのお母さんたちと同じように見られるのはイヤだ、一緒にしないでよっ」とKissを避けるようになってきたらしい。

 Kissがイヤならそれより上級のEOSシリーズに行ってくれればキヤノンにとっては問題なかったのだけど、そうした女性たちはキヤノンではなく、ニコンやペンタックスに行ってしまった。4~5年前ぐらいのことだ。

 そこでキヤノンが打ち出した手法が、プラットホーム(カメラの中身)はまったく同じで、少し外観と操作系と、そうカメラ名を変えて2機種を売り出すことにした。せっかく2機種作るんだから、ついでだから海外も、というわけで機種名を変えて世界同時に2機種発売することにした。
 その第一弾が2年前、2015年発売の「EOS Kiss X8i」と「EOS 8000D」だった。
 国内ではキヤノンマーケティングが、Kiss X8iは若いお母さんに、8000Dは撮影と写真作品に意欲的な若い女性や写真でも趣味にしてみるかと一眼レフカメラに興味を示してきた男性、というふうにマトを絞って販売をはじめた。

 国内のKiss X8iと8000Dの購入者の様子をまとめた資料がここにある。男性と女性の購買比率と、購入者のライフステージが表になっている。
 それによると、Kiss X8iが「男性:66%、女性:34%、子ども小学生以下(ファミリー層)」に対して、8000Dは「男性:86%、女性:14%、未婚or子ども中学生以下」という結果がでていた。
 おおっ意外な結果だなあ、とぼくが思ったのは、Kiss X8iで男性が予想よりも多いことと(全体の2/3もある)、8000Dの購買者で若い女性が大変に少ないことだった(たった14%)。
 
 この結果がキヤノンの「予定通り」だったのかどうかわからないが、今回の新モデルKiss X9iと9000Dでも、前モデル(Kiss X8iと8000D)とほとんど同じ販売戦略を立てている。
 前回ブログで少し触れたが、キヤノンのそれぞれの機種のメイン想定ユーザーは、Kiss X8iが「子どもの成長記録を残したい一眼レフ入門者(プレママ、小学生の子どもを持つファミリー層)」、9000Dは「写真をもっと楽しみたい一眼レフ入門者(30~50代男性)」ということになっている。
 さて、キヤノンの思わく通りにいくかどうか、はどうでもイイとして、世界中で売りまくるでしょうね、この2機種ともに。

 

Kiss X9iのほうが好みだなあ

キヤノン・EOS Kiss X9i+EF-S 18~55mmF4~5.6 IS STM

 Kiss X9iの標準キットレンズがこの「EF-S 18~55mmF4~5.6 IS STM」で新型だ。旧型「EF-S 18~55mmF3.5~5.6 IS STM」からのモデルチェンジレンズ。開放F値が広角側でF3.5からF4に約1/3EVほど暗くなった。そのぶん、小型化して、描写性能もアップ(とキヤノンは言うが、自分で撮影比較してないので不明)。手ぶれ補正(IS)効果は約4段ぶん。




 Kiss X9iと9000Dとは中身はまったく同じだが、いちおう、ユーザーターゲットが違う。キヤノンいわく、Kiss X9iは「小さな子どもを持つファミリー層や"プレママ"」、いっぽう9000Dは「もっと写真を楽しみたい30~50歳台男性の一眼レフ入門者」がメイン想定ユーザーだという。
 プレママだとか、30~50歳台男性だとか、えらく思い切った指定、決めつけだなあと思わないでもないが、じつはキヤノンが想定するほど明確にユーザーが狙い通りにはなっていないみたいだ。・・・そのへんの話は次回にでも。

 で、Kiss X9iと9000Dの一眼レフカメラとしての特徴をざっと箇条書きしておくと、

(1) 約2420万画素のAPS-Cサイズ判CMOS
(2) 最新型の映像エンジン・DIGIC 7
(3) 常用感度ISO100~25600(拡張感度ISO51200)
(4) オールクロスタイプ45点AF、デュアルピクセル CMOS AF
(5) 最高約6コマ/秒の連続撮影
(6) メニューにビジュアルガイドUIの追加
(7) Wi-Fi、NFC、Bluetooth LE対応
(8) フルHD、60p動画

 このほかにも細かな特徴(特長?)はたくさんあるのだが、それにしても、こうして箇条書きしてみるだけでも、とてもエントリーモデルだなんて思えない。
 (1)から(8)まで、個人的コメントや斜めから見た解説をしたいのだけど、そんなことは皆さん(きっと)ご興味ないだろうし、もっとマシなコメントや解説がカメラ雑誌やネットに書いてあるだろうからここでは省略。

 Kiss X9iと9000Dとのおもな「違い」は、モードダイヤルやメインスイッチの位置、むろん外観デザインも異なる。基本スペックはまったく同じ。操作系については、9000Dのほうに「情報パネル」、「サブ電子ダイヤル」、「AF-ON」ボタンが備わっているがKiss X9iにはそれがない。
 大型量販店での実販価格は、Kiss X9iが約10万円、9000Dが約11万円(どちらもボディのみ)。

 2機種を同時に使ってみた結果、じゃあお前はどちらのカメラを選ぶか、と問われれば、ぼくとしてはKiss X9iのほうです。好みですね、Kiss X9iのほうが。
 情報パネルもサブ電子ダイヤルもあれば便利だけど、Kiss X9iを使ってて「べつに、なくてもイイや」と思いました。
 メインスイッチの位置が9000Dではボディ左側にあるので素早いスイッチON/OFFがやりにくいんですよ(これはEOSシリーズの不満点のひとつ)。カメラを右手でホールドしてると左手がないことにはONにもOFFにもできない。ところがKiss X9iでは右側にあって片手だけで瞬時にON/OFFできます、これイイです。

 Kiss X9iと9000Dを使っていて驚いたことがあった。たぶんキヤノンのカメラでは、一眼レフもミラーレスもコンパクトも含め、はじめての機能だろう、それがこの2機種に採用されていた。カメラにバッテリーを入れて、なにも設定しない初期状態で。

 ひとつは、露出補正しておいても、電源ON/OFFするだけで自動的にリセットされてしまうこと。キヤノンのカメラではどんなに初心者向けのコンパクトカメラでも、電源ON/OFFにかかわらず記憶してるのに。(勝手なコトするなよ)
 もうひとつは、ワンショットAFしたあとレンズのピントリング操作でピント調整できたのに、それができなくなった。どんなレンズでも、だ。(使い始めはアセッたよ)
 ただし、どちらもメニュー内での設定変更は可能だが、それにしても思い切った「バカよけ=フールプルーフ」の仕様を採用したもんだ(ほかにも、もっとあるかも)。

 今後のキヤノンのエントリークラスのカメラでは、この新しい設定が取り入れられるだろうと思うが、ぼくはこうしたおせっかいな機能はいやだなあ。


「双子」カメラ

キヤノン・EOS 9000D+EF-S 18~135mmF3.5~5.6 IS STM

 キヤノンEOSシリーズのエントリーモデルとして同時に2機種が発売になった。ほぼ一ヶ月以上前。「EOS 9000D」と「EOS Kiss X9i」がその2機種だが、うーんなんと言えばいいか兄弟(姉妹)とはちょっと違う、「双子(ふたご)」とでも言おうか、そっくりウリふたつの2機種である。
 そう、どちらも、2015年に同じように「双子の機種」として発売されたEOS 8000DとEOS Kiss X8iの約2年ぶりのモデルチェンジ。いわゆる「プラットホーム」がまったく同じで、機種名と一部外観デザインが異なるだけ(なぜか、については後日に)。

 それにしても、同じ中身のカメラを2機種同時に作って売るというキヤノンの実力にはあらためて感心させられる。こんなことできるのはキヤノンぐらいだろう。
 たぶんEOSシリーズの中ではもっとも売る台数の多い機種だろうし、万が一にもの「失敗」は絶対に許されないし、いちばん「儲け」なければならない宿命を持ったカメラでもある。一昔前の、トヨタのカローラ、日産のサニーみたいなものじゃないか。

 9000DとKiss X9iを同時に使ってみて、いやあ驚きました、その2機種とも大変に「良くデキてる」のだ。スキがない。ツッコミどころも(ほとんど)ない。自信を持って他人 ━━ カメラ初心の人 ━━ にススめられるカメラである。

 ぼくは以前から、どんなカメラを購入すればいいのか、といった無料相談をときどき受けることがある。相手のことをいろいろと考えて「このカメラがおすすめですよ」と伝えてから、しばらくたってから、「それほどいいカメラじゃなかった」とか「ここがダメなカメラですね」と文句を言われたことが何度かあった。そんなこと言われたって・・・。
 そんな「ワガママ」なカメラ初心相談者に対しても迷わず後腐れなくおすすめしたいカメラが、メーカーではキヤノン、機種では、そう、9000DまたはKiss X9iだ。まず、あとで文句はこないだろう(たぶん)。

 ただしカメラ初心の人であっても、一眼レフカメラに自分なりの期待と見識と夢を持っている人や、カメラをただ単に写すための道具に過ぎないとは考えない人にはおすすめしたくない。
 またクルマを例えにするけど、A地点からB地点まで雨や風を防いでそこそこ気分良く安全に走って行ける手軽なクルマか、それとも、A地点からB地点まで行くのに少しぐらい乗り心地が悪くても運転が愉しくうきうきドキドキさせられるようなクルマ、そんなテイストの異なるふたつクルマがあるとすれば、そうですねえ、前者のクルマが9000DやKiss X9iってな感じがしないでもないです。
 後者のクルマのような一眼レフカメラはといえば、ヘンに誤解されると困るけど、PENTAXブランドのカメラなんかそんな感じがするなあ。

 9000DとKiss X9iについて、1つだけ個人的不満点を言うとすれば、光学ファインダーがプアーなことでしたね。貧弱。
 ミラーレスカメラ大盛況のいまだからこそ、一眼レフカメラの「命」とも言うべき大切な光学ファインダーだけはイイものにしてほしい。そこはコストダウンしないでもらいたい。
 9000DもKiss X9iも、正統ペンタプリズムではなくルーフミラーを使った「簡易的一眼レフ」で、視野率は95%しかなくてファインダー倍率も低くアイポイント長も短い。

 このクラスの一眼レフカメラは、おもにカメラ初心者が使う一眼レフだし、光学ファインダーに重点を置くよりも軽くすることや、低価格にすることのほうが優先順位が高い、と言われるのは承知の上だが、しかしだ、初心者が使うからこそ、光学ファインダーにもう少しキヤノンのチカラを込めてほしかった。世界一の一眼レフカメラメーカではないか。

 でも、ファインダー以外は、ほんと良くできた、さすがキヤノンの一眼レフカメラでありました。



 キヤノンEF-Sレンズには現在、新旧2本の18~135mmがある。新しい18~135mmのアクチュエーターには将来の展開が期待される「ナノUSM」を採用。しかし、今回使ったレンズは古いほうで9000Dのキットレンズにもなっている。アクチュエータはSTM。どちらのレンズも光学系は同じ写りも同じ(おそらく)。こちら「双子レンズ」。
 いま話題の築地市場の隅田川沿いから、かちどき橋を望む。いい天気の日曜日の午後。


PENTAX Q用の試作品マクロレンズ ━━ その2

リコー・PENTAX Q-S1+smc PENTAX MACRO 20mmF2.8(09 TELEPHOTO MACRO)

 この試作のTELEPHOTO MACROレンズを使ってあれこれ撮影した写真を先ほどからあらためて見直しているのだが、1/1.7型というちっぽけなセンサーサイズのこととか、いま現在の同クラスのセンサーからは「ひと時代前」のセンサーであることなどを考えれば、レンズがよくがんばっていて素晴らしい描写の画像になっているじゃないかと感心しているところ。描写性能はマクロ域だけでなく中景、遠景とも合格点だった。ときどき"微ピンぼけ"があったがそれはご愛嬌。




 Q用の交換レンズとしては(おもちゃのようなユニークレンズは除くとして)4本ほどがラインナップされているのだが、こと描写性能については、このTELEPHOTO MACRO、どれと比べても文句なしのトップレンズだ。
 ただし「素晴らしく良く写るレンズ」だとは言うものの、組み合わせて使用するカメラのほうはせいぜいが1/1.7型(または1/2.3型)センサーである。どれだけレンズ性能が優秀だとしても、そのサイズのセンサーを使って撮影した画質が、いまの1インチ型やマイクロフォーサーズ、APS-C判と同等であるわけがない。
 そのへんのことは皆さん、重々承知のことだろう。釈迦に説法か。

 このレンズのことは、2014年2月のCP+に開発中の製品「単焦点望遠マクロレンズ」として試作のモックアップレンズとともに開発発表したのがはじめて。当時のプレス向けのリリースには「Qシリーズデジタル一眼カメラ専用の単焦点望遠マクロレンズ(高性能レンズシリーズ)、発売時期:未定 」とあった。
 同時にQ用の交換レンズのロードマップも発表して、そこには「2015年以降に」発売予定というようなことが記されていた。

 ところが、2015年CP+の開発発表の翌年、2016年2月のCP+になっても前年とほとんど同じQ用交換レンズのロードマップが発表されただけで、そこではTELEPHOTO MACROレンズの発売予定時期は「2016年以降に」とこっそり変更されている。
 で、今年2017年のCP+はといえば、再びQ用交換レンズのロードマップが発表されたものの、そこにはくだんの望遠マクロレンズの項目が消えていた。
 2015年から2017年のロードマップがこれ

 リコーはその件については「開発は継続中」というようなことを言っていが雲行きはだいぶ怪しい。残念ながら「一時中断=ほぼ実質中断」と考えたほうがいいかも。
 手元にあるTELEPHOTO MACROレンズを使って撮ってみた限りでは充分な製品レベルに仕上がっていると思う。にもかかわらず、どんな理由でペンディングになっているのかそのへんが不明である。
 技術的にナニか問題があったのだろうか、それとも、販売しても売れる本数に限界があったのか。

 ぼくとしては、予想以上のそのデキの良さに感心して、(勝手なことを言うようだが)このレンズはぜひ、製品化してほしいと思った次第だ。わずかな望みは、リコーがはっきりと「中止」とは言っていないことだ。
 もし製造技術的な問題でないのであれば、リコーが損をしないような販売方法 ━━ 価格が高くなることは覚悟の上で、予約注文生産、期間限定生産、数量限定生産など ━━ でもいいから作って売ってもいいじゃないか。

 でも、そんなグッド?アイディアがあったとしても、それをどのように、誰がリコーに提案するのかだ。一個人がリコーに「お願い」してもソンなの聞いてくれるわけはない。
 そうだ。なぜかリコーと大変に仲の良い、そしてリコーにどしどし意見も要望も言える大阪の八百富写真機店 ━━ 熱いPENTAXファンなら知らぬ人はいない ━━ のような実績のあるカメラ販売店が希望者を募って頼んでみる、ってのはどうだろうか。アカンかなあ。


PENTAX Q用の試作品マクロレンズ ━━ その1

リコー・PENTAX Q7+smc PENTAX MACRO 20mmF2.8(09 TELEPHOTO MACRO)

 六本木の真っ昼間の街中で、こんな鳥を腕の上に乗せている人がいました。ツツかれないかと恐る恐る近づいて撮影させてもらいました。威嚇して目を見開いているのか、それとも元々そういう顔をしてるのか、鳥に不如意なぼくには不明。




 この試作レンズについては少し前にtwitterで、リコーに内緒で使っている「09 TELEPHOTO MACRO」レンズだということを紹介した ━━ もったいぶってチラ見せしたのではなく、そのあとにすぐ、ここのブログでじっくりと紹介するつもりだったのだがついつい時間がたってしまった。すまんでした。
 あの後、リコーからナニかクレームでも来るかと身構えていたのだが、だれからも、なーんにも言ってこない。やや肩すかし、完全無視。

 レンズ名は「smc PENTAX MACRO 20mmF2.8」である(と、レンズに刻印してある)。
 とにかく、このレンズについての詳細はぼくはわからない。はっきりわかっているのはレンズ名ぐらいだ。
 これから述べることは、すべてぼくが使ってみての感想というか想像でしかない(リコーに聞いたってなにも教えてくれないにきまってる)。

 焦点距離20mmだから、Q-S1やQ7で使うと92mm相当の中望遠マクロレンズとなる。最大マクロ倍率は、35mm判換算で等倍(もうちょっとクローズアップできると良かったかなあ)。
 そのときの最短撮影距離は約14~15センチ。ワーキングディスタンス(レンズ先端から被写体まで)は約8センチ。最短撮影時の撮影範囲はおおよそ36×25ミリ。
 レンズ全長はマウント後端部からレンズ先端部まで実測で約50ミリ。重さはちょうど70グラムで、見た目よりもだいぶ軽く感じる。ちなみに「02 STANDARD ZOOM」がレンズ全長は48ミリ、重さは96グラムである。

 外観などの完成度は極めて高い。試作品とはとても思えないほどの仕上がりだ。
 AFは高速。最短から無限まで、無限遠からマクロ域まで素早くピントが合う。描写性能は大変に良い。量産前の試作品レンズはおおむねどのメーカーのものも良いのだけど、それにしても良く写るレンズだ。1/1.7型の小さなセンサーのカメラで撮影したとは見抜けないほどの優れた描写だった。しいて欠点をいえば、撮影条件によっては逆光で少しフレアっぽくなることがあるぐらい。

 参考までにぼくの手製の解像力チェックチャートを撮影して、その部分アップ(ピクセル等倍)をここに置いておきますから興味のあるかたはどうぞ。
 部分アップの画像は画面の周辺部と中心部をピクセル等倍にして同じサイズでトリミングキャプチャ。これ、F2.8の開放絞り値、感度はISO160で撮影したものです。部分切り出しをしたピクセル等倍の画像を見てもらえばわかることだが、周辺の写りは画面中心部の描写とまったく変わらないじつに優秀でありました。

 このマクロレンズ、現在、リコーはどうしようと考えているのか ━━ 取材したわけでなく、ぼくの想像だけど ━━ そのへんのことは次回のブログで。

画界とは、最近接撮影範囲とは

タムロン・SP 70~200mmF2.8 Di VC USD G2+ニコン・D810

 タムロンの新型70~200mmF2.8の最短撮影距離は0.95メートル。その時の焦点距離200mmでの最大撮影倍率は「1:6.1=0.16倍」である。これについては前回のブログで述べた。
 本日のテーマは、その「撮影倍率」についてです。一般的な話でタムロンの新型ズームレンズとは直接、関係ありません。




 撮影倍率とは、フィルムまたは撮像センサーに写った像の大きさと、それを写した被写体の実物サイズとの比率をいう。5センチのものがフィルムまたは撮像センサー面に5センチそのままのサイズに写れば「等倍=1:1」とあらわし、もし、1センチの像として写れば「0.2倍=1:5」と表記する習わしになっている。
 もともとはフィルムカメラで言ってきたものだが、デジタルカメラにもそれをそのまま「強引」に使っている。そこに、大きなモンダイがある。なぜか。

 フィルムカメラならばフィルム上に写った像がそのまま"カタチ"として存在する。被写体の実物と大きさを見比べて「倍率」がどれくらいかは"一目瞭然"だ。
 ところがデジタルカメラでは、撮影した"像"は撮像センサー上にデジタル信号として一時的に記録されるだけ。撮像センサー上の像を「実体」として見ることも確認することもできない。観念として像を想像するだけだ。観念的画像。

 仮に、撮像センサー面に写った像を推測することができたとしても、それをフィルム上に記録された像のように被写体と実際に比べて見ることはできない。通常、私たちが見ているデジタル画像は、"作られた画像"をピクセル等倍で見たり、縮小したり拡大したりして鑑賞しているにすぎない。

 撮像センサーの大きさが同じで、同じサイズで像が写ったとしても、画素数が異なれば表示される画像のサイズが違ってくる。撮影倍率の概念はますます曖昧になってくる。

 交換レンズはデジタルカメラだけでなく、フィルムカメラにも使えるから「(最大)撮影倍率」の表記は有効だ、と言う人もいるかもしれない。でも、それはちょっとムリがあるように思う。APS-C判やマイクロフォーサーズ用の交換レンズはどうなのだ。そんなフィルムカメラは存在しない。
 もし、デジタルカメラの液晶モニターのサイズが、撮像センサーのサイズと「まったく同じサイズ」だとすれば撮影倍率の意味も少しは出てくるだろうが、しかしそんなデジタルカメラも世の中にない。

 つまりですね、デジタルカメラで撮影倍率が「1:8」だとか「0.125倍」だと言ったところで、ぜんぜん意味なさないじゃないか、というのがぼくの意見なのです。
 いま、このデジタルカメラ時代にあって、曖昧な「最大撮影倍率」の数値をレンズスペック表(仕様表)に記載するのでなく、最大撮影倍率のときにどれくらいの範囲が写るか、その撮影範囲(被写体範囲)を明らかにするほうがずっと"理にかなっている"ように思う。

 その最至近時の撮影範囲を仕様表に記載しているのがキヤノンとオリンパスだ。

 キヤノンの交換レンズの製品パッケージに同梱されている使用説明書に仕様表のページがある。そこに「画界」という項目があって最短撮影時(最大撮影倍率時)の撮影範囲が書いてある。ずっと古く、フィルム時代からだ。ちなみに「画界」は特殊用語で(キヤノン専門用語かも)、一般的な辞書では見あたらない。
 オリンパスは「最近接撮影範囲」として仕様表に記載している。

 こうした数値を見れば、最短撮影時にどれくらいの大きさ(範囲)まで写すことができるかがすぐにわかる ━━ ただ、キヤノンではこの表記は製品同梱の使用説明書のみでカタログやホームページの仕様表にはいっさい記載がない。同じくオリンパスはホームページの製品紹介の仕様表のみの記載だ ━━ 。
 ともかく、最近接時の撮影範囲の数値は大変に便利で役立つのだ。曖昧で観念的な最大撮影倍率を言われるよりも、こちらのほうがずっと実用的で現実的ではないか。

 と、そういうわけで、できるだけ多くのメーカーは、キヤノンやオリンパスのように最短撮影時の撮影可能範囲をぜひスペック表に加えてほしいと、まあ、そんなふうに考えてるわけです。


最短撮影距離と最大撮影倍率

タムロン・SP 70~200mmF2.8 Di VC USD G2+ニコン・D810

 「ぼけ味にこだわったレンズ」とかメーカーは最近、よく言うようになりましたが、しかし「うわぁキレイなぼけ味だなあ」と特別、感心するようなことはほとんどない。
 輪郭のはっきりしたリングぼけは別として、そうでない「ぼけ」の「味」の優劣、良し悪しが、ぼくにはよくわからんです。そんなの別にどーでもイイや、と思わないでもないです。




 この新型70~200mmF2.8ズームの最短撮影距離はズーム全域で0.95メートル。旧型70~200mmF2.8は最短1.2メートルだから、新型では20センチ以上も近づいてピント合わせができるようになった。これにより最大撮影倍率が焦点距離200mmのとき、旧型が「1:8=0.125倍」だったのにたいして新型では「1:6.1=0.16倍」となった。

 ところで、最短撮影距離と最大撮影倍率の話をするときに ━━ 余計なお世話だが、知っておいたほうがいいことがある。
 ちょっとややこしい内容なので"わかりやすく"をこころがけて(丁寧に)述べた。以下、ややくどくなってしまったかも。

 最近の多くのレンズは、ズームレンズ、単焦点レンズを問わずAFを速くするためにAFレンズユニットを小さく軽く設計して、それを高速で動かすためにインナーフォーカス(リアフォーカス)方式を採用している。レンズ繰り出し方式でないので近距離にピント合わせをしてもレンズ全長が伸びることはなく一定不変。AFだけでなく操作面でも良い。
 しかし、インナーフォーカス方式レンズで注意しなければならないことがある。撮影距離(ピント合わせの位置)が近くなるほど、実質的な焦点距離が変化し短くなるレンズが多いことだ。

 タムロンの新型70~200mmレンズが、ズーム位置200mmで最0.95メートルのときの実質的な焦点距離がどれくらいになるのか不明だが ━━ だいぶ以前のタムロンは撮影距離に応じた実質的焦点距離を公開していたがいつのころから内緒にするようになった ━━ 少なくとも200mmの焦点距離のままではない。実質的焦点距離200mmは、無限遠にピントを合わせたときだけ。

 この近距離ピントのときの実質的な焦点距離変化の量は同じ焦点距離のレンズであっても、レンズ設計の違いなどによって異なるので一概には言えない。
 たとえばニコンに「AF-S NIKKOR 70~200mmF2.8 E FL ED VR」という最新型のズームがあるのだが、このズームの最短撮影距離は1.1メートル。200mmのときの最大撮影倍率は「0.21倍=1:4.7」である。

 そのニコンとタムロンとを同じ焦点距離200mmで比べると、ニコンレンズのほうが最短が"遠い"のに倍率は高い、大きく写せる。ニコン「0.21倍」で、タムロンは「0.16倍」である。
 つまりタムロンレンズのほうが実質的な焦点距離は、ニコンレンズよりも短くなってしまっていると考えてもいいだろう。

 ちなみに、タムロン新型ズームの200mm側で最短0.95メートルで写せる撮影範囲、それと同じ範囲になるようにニコンレンズを最短にしたまま200mmから広角側にズーミングしてみると、なんとニコンズームを「135mm」にしたときにタムロンズームの200mmと同じ撮影範囲(=撮影倍率)となった。

 ニコンのズームレンズもインナーフォーカス方式なので最短での実質的焦点距離は短くなっているはずだから、タムロンの200mm側での最短撮影時の実質的な焦点距離は「135mmよりも短い」ということは確かなようだ。無限遠と至近距離とピント位置が異なると画角も変化してしまうというのは困る。とくにムービー撮影では、そのようなレンズは「毛嫌い」される。

 で、結局ナニが言いたいかといえばですね、同じ焦点距離のレンズでも、最短撮影距離がより短い(より近いところにピント合わせができる)からといっても、必ずしも大きく写せるとは限らないということ。レンズには数値(レンズスペック)だけではわからないことが、たとえばぼけ味もそうですが、ほかにもいっぱいあるということです。

【追伸】
twitter上でタムロンとニコンの、200mm最短撮影時の比較写真を掲載しておきました。興味あるかたはどうぞ。