カメラ内蔵ストロボの話

オリンパス・OM-D E-M10 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 14~42mm F3.5~5.6 EZ

 オリンパスのOM-D/PENシリーズ(市場在庫機種を除く現行の5モデル)のなかでストロボを内蔵している唯一のカメラがこのE-M10 Mark IIIである。旧型E-M10 Mark IIも同じスタイルの中央ポップアップ式ストロボを内蔵している。
 ソコが大きな魅力。他の機種も、ぜひ内蔵式を、と願っている。

 オリンパスの他の現行機種は付属の小型ストロボまたは別売のストロボを使用する。
 どれだけ小さく軽くてもカメラとは別に外付けストロボを持ち歩くのは厄介だ。とくにOM-Dシリーズに付属のミニストロボは小さすぎるためなくしてしまいそうで逆にそれも気になる。

 すべてのレンズ交換式カメラにストロボを内蔵を、と無理難題を言ってるわけじゃない。防塵防滴とポップアップ内蔵ストロボを両立させるのが困難だろうし機構的にもコスト的にも負担がかかる。それは承知の上だが、でもカメラ本体の中に「小さな太陽」が隠されてる、いつでも利用できる、それだけでどれだけ便利か。

 高感度の画質が良くなり、明るいF値のレンズもあるから、ストロボの必要はない、とおっしゃるむきもあろうかとは思うが、いやいや、感度やF値にかかわらずストロボが必要なシーンはいっぱいあると思いますよ(調光補正や、絞り値とシャッタースピードの組み合わせなど細かな使いこなしや工夫は必要だけど)。




 というわけでオリンパスのカメラで撮影の場合、サブカメラを一台持っていく必要があるときには(今までは)まずE-M10 Mark IIを第一候補にしていた。
 ストロボを内蔵しているし、もうひとつ、OM-D/PENシリーズで"貴重"なチルト式液晶モニターのカメラでもあるからだ(他にはE-PL8しかない、あとはすべてバリアングル式)。

 オリンパスの、ぼくの常用カメラはE-M1 Mk IIである。
 ところが、そのM1 Mk IIとM10 Mark IIとの「相性」がいまいちよろしくなかった。操作上のことではなく画質だ。とくに高感度時の画質に少し差がありすぎた。
 ノイズレベルで比べれば確実に1EV~2EVほどE-M1 Mk IIのほうが良い。そのうえ、E-M10 Mark IIのほうはグリーンかぶりが強く出る傾向があって同じシーンを撮影しても色味が違ってくることもある。加えて、メニューのGUIがM1 Mk IIになって大幅変更されたため、古いメニューGUIのM10 IIとを同時に使うと戸惑うことも多い。

 ところが新しいE-M10 Mark IIIになって画像処理エンジンがパワーアップしたことで(E-M1 IIと同じTruePic8に)、高感度時の画質はだいぶ良くなった ━━ それでもやはりM1 IIのほうが良いけれど許容範囲。
 難点だったグリーンかぶりは大幅に少なくなったし、メニューGUIも基本的にはM1 IIと同じになった ━━ オリンパスの余計なおせっかいで撮影モードによっては「選べない」というものもあるけれど。

 そうそう話は変わるが、新型M10 IIIになって旧型M10 IIで使用できたカメラグリップが、新型M10 IIIに使えないだけでなく、新M10 III用のカメラグリップそのものがなくなった。初心者にはカメラボディを大型化してしまうグリップなどイラんだろうとオリンパスが考えたのか、それとも旧M10 II用のグリップの売れ行きがかんばしくなかったのか、そのへんは不明。

エントリーユーザーにはメチャ親切なカメラ

オリンパス・OM-D E-M10 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 14~42mm F3.5~5.6 EZ

 E-M10 Mark IIIのオート撮影機能が従来機種に比べて内容も充実し、とても使いやすくなっている。前回のブログでナンだカンだと書いたが、ことエントリーユーザーに対してはとっても「優しい」カメラに仕上げられている。

 使いやすさのポイントのひとつは、液晶モニター画面のタッチパネル操作とビジュアル化した撮影モード表示(プラス文字による解説)の組み合わせで、カメラの扱いに不慣れな初心者でも気軽に撮影ができるようにしていること。

 もうひとつのポイントは、新しく設けられたショートカットボタン。ボディ左端にある小さなボタンだ。これがイイ。各オート撮影モードでこのボタンを押すだけでいつでも基本画面の戻れる。ごく当たり前のボタン機能なのだが、いままでどうして、こんなも便利なボタンを設けてくれなかったのか、と憮然たる思いがするほど。




 オート撮影モードには4つのモードある。カメラ上部のモードダイヤルで選ぶ。

 (1) フルオート(いわゆるグリーンポジション)モード(AUTO)
 (2) シーンモード(SCN、6種類)
 (3) アートフィルターモード(ART、約30種類)
 (4) アドバンストフォトモード(AP、9種類)

 この4モードである。(4)のAPモードはM10 Mark IIIで初搭載。
 これらオート撮影モードは旧型M10 Mark IIのそれと比べると格段に使い勝手が良くなった。動画モードもわかりやすく使いやすくなった。

 旧型と比較してももちろんのこと、他社のこうしたクラスのエントリー機種と比べてもM10 Mark IIIのオートモードがダントツにわかりやすい、使いやすい、優しい、親切。

 中でも注目なのはアドバンストフォト(AP)モードだろう。
 いままでなら、メニューの中を探し回るがよくわからなかったり、やっと見つけても設定方法や意味がイマイチ不明、といったことがよくあるような撮影機能が、作例写真と解説文を読んで最適と思われるものをチョイスするだけでよくなった。

 APモードには、ライブコンポジットや多重露出、HDR撮影や静音撮影、デジタルシフトにパノラマ、AEブラケットにピントブラケットなどなど9種類の「特殊撮影」モードが入っていて、文字通りワンタッチで設定ができる。
 とにかく初心者にとってはメチャ親切。しかし逆に上級者にとっては、オート撮影モードなんてイラんぞっ、との声がかかってきだけど・・・。

 絞りだとかシャッタースピードとか露出なんてめんどうなこと考えて写真を撮りたくない、という人たち ━━ 本心を言えばぼくもそうなのだけど ━━ にとっては、このカメラ、良くできてる。
 モードダイヤルにある(古くさくさえ見えてしまう)P/A/S/Mなんて「必要ないっ!、どこかに隠しておけっ!」と考える人もいるかもしれないなあ、と前回のブログとは真逆なことを思ってしまうほど。


ユーザーに機能の選択をさせないカメラ?

オリンパス・OM-D E-M10 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 14~42mm F3.5~5.6 EZ

 E-M10 Mark IIが発売されたのが2015年9月。その後継機種であるE-M10 Mark IIIの発売が今年、2017年9月である。ちょうど2年ぶりのモデルチェンジということになる。
 オリンパスOM-Dシリーズには現在、「松/竹/梅」の3機種がラインナップされている。松がE-M1 Mark2、竹がE-M5 Mk2、そして梅がこのE-M10 Mk3ということになる。いわゆるエントリー向け(ファミリー向け、カメラ入門者向け)モデルになるわけだ。

 カメラのスタイリング(外観デザイン)は旧型とほぼ同じで、特長である小型軽量ストロボ内蔵ボディ、センサー画素数など多くは変わらず。




 ではナニが変わったのか、進化したのか。

  おもな改良点としては(とくにエントリーユーザーにとっての)操作性が向上したことだろうか。ほかに細かな改善点があるがいっぽうで、退化した(んじゃないかなと感じられる)ところもなくもない。
 デジタルカメラとしての基本的な性能などは新旧ほとんど同じだが、画像処理エンジンがアップしたことで高感度の画質クオリティがだいぶ向上した。これは注目していい。

 はっきり言えば、旧型E-M10 Mark IIを ━━ このカメラは大好きです、新型が出たけどぼくはいまでも ━━ 思い切ってエントリーユーザー向けに仕立て直したのが、この新型E-M10 Mark IIIではないか。

 もともと良い機能を持っているのに、「初心者に使いこなせないだろう」とか「初心者が戸惑うのではないか」と、オリンパスが余計な!気遣いをして、奥のほうに隠してしまって必要なときにすぐに活用できないという機能もある。

 カメラ操作や機能のイロハがまだよく理解できていない初心者にレンズ交換式デジタルカメラを気軽に手軽に使ってもらおう、というオリンパスの狙いは良くわかる。しかしカメラ初心者もすぐにベテランになる。「プロカメラマン」にもなれる。いまのデジタルカメラはそれほど進化している。
 少しずつカメラ操作に慣れてきて撮影機能の理解も進んできたとき、そうしたユーザーはオリンパスの(余計な)親心をいったいどう思うだろうか。

 たとえばだけど、静音シャッターモード ━━ つまり電子シャッターのモードで最高1/16000秒の高速シャッタースピードが選べる、明るいシーンでも明るいF値のまま撮影ができるという大きなメリットがある ━━ これが旧型E-M10 Mark IIでは容易に、いつでも選択し設定ができた。ところが新型E-M10 Mark IIIでは、新しく作った初心者向けカンタン撮影モードの中に隠し込んでしまった。
 せっかく搭載している電子シャッター撮影の機能が、P/A/S/Mの基本撮影モードでは選べなくしてしまった。

 新型E-M10 Mark IIIはエントリーユーザーにはとても「優しい」カメラに仕立てられているけれど ━━ それがはたして正解なのかどうか ━━ そうじゃないユーザーには門戸を閉じてしまっている。
 松/竹/梅の「梅」のポジションを明確にするために初心者ユーザー向けに大胆な変更が加えられたのだろうけれど、でも、使ってみると「触れるなイジるなっ、余計なことするなっ」と言われているような、そんな気持ちもしないでもない。
 門戸開放型自由主義的だったE-M10 Mark IIのことをぼくはよく知っているだけにちょっと残念。

至近距離での「実焦点距離」

タムロン・18~400mmF3.5~6.3 Di II VC HLD + ニコン・D500

 タムロンの公式スペック表によると18mmから400mmまでズーム全域で、最短撮影距離は約45センチとなる。
 以下はぼくの計測スペック。レンズ全長は18mm広角側のとき約12センチで、400mm望遠側にすると約21センチになる。この400mm時の最短撮影のとき、レンズ前面から被写体までのワーキングディスタンスは約15センチである。近からず遠からず、ちょうどいいディスタンスだ。




 そこで、「うわぁ、600mm相当の超望遠で15センチまで近づいて撮影できれば超々クローズアップになるじゃないか」と喜ぶ人もいるだろうが、いやいや、ちょっと待て。
 確かにそこそこのクローズアップはできるが、しかしこのときは400mm(600mm相当)の焦点距離とはならない。ここが肝心なこと。

 その時の実焦点距離は、だいたい100mm程度(150mm相当画角)になる ━━ なぜかタムロンは、この実焦点距離を「非公開だ」と言って教えてくれない、そんなの撮影して計算すればすぐにわかることなのに、ヘンだねタムロン ━━ 。

 インナーフォーカス方式のレンズでは多かれ少なかれあることだが、ピントを近距離にすればするほど実焦点距離は短くなってだんだんと実際の焦点距離よりも広角になる。
 こうしたピント位置による画角変化のことをブリージングという。

 ムービー用レンズではこのブリージング現象を嫌う。動画撮影中にフォーカス移動すると画角が広くなったり狭くなったりすると困るからだ。この画角変化については静止画では気づかないことが多く、それほど神経質にはならない。

 だから、ムービー用レンズではインナーフォーカス式のレンズであっても、光学設計を工夫したり努力してブリージングしないようなレンズを作る。ブリージングが発生しないレンズがムービー用レンズのセールスポイントにもなっている。
 最近の静止画用レンズでも、ムービー撮影に使用されることが多くなってきたのでブリージングしないレンズを設計をするメーカーも増えてきた。

 タムロンの場合(こういっちゃナンだけど)、以前からブリージングには無頓着なところがあった。とくに高倍率ズームレンズではそれが顕著だった。
 いやべつに、それはイケナイぞ、と言っているわけではない。ピント位置による画角変化にこだわらない光学設計をすることで、製造コストを抑えたり小型化できたりするメリットもある。こだわるかこだわらないか、それはメーカーの製品企画のフィロソフィーだ。

 18~400mmレンズで、実際に400mm側で最短撮影をしたとしても ━━ 実焦点距離100mmそこそこの画角での撮影になるけれど ━━ それほど違和感があるわけではない。ただ、400mmの焦点距離のまま(600mm相当の画角のまま)至近距離で撮影しているわけではないぞ、ということです。
 わかりにくい本日のタイトルの意味はこーゆーことです。


27mmから600mm相当までをカバーする高倍率ズーム

タムロン・18~400mmF3.5~6.3 Di II VC HLD + ニコン・D500

 タムロンの18~400mmズームはAPS-C判の一眼レフカメラ用レンズである。35mm判換算で約27~600mm相当の画角を、たった1本のレンズでカバーする。ズーム倍率22.2倍の高倍率。
 タムロンには同じAPS-C判用ズームレンズで「16~300mmF3.5~6.3 Di II VC PZD」がある。約24~450mm相当。こちらのズーム倍率は18.7倍である。
 望遠600mm相当と広角24mm相当の2本のズーム、ということは、18~400mmが望遠重視型高倍率ズーム、16~300mmのほうは広角重視型高倍率ズームレンズ、といえなくもないか。




 やや一方的な見方だが、18~400mmズームは遠くに小さく見えているモノをいきなり画面いっぱい大きく写せるという視覚的変化を喜ぶ初心者向けレンズ。16~300mmズームのほうは望遠の視覚的効果よりも24mm画角から撮影できる高倍率ズームレンズに魅力を感じるベテラン向きレンズ、という感じもする。望遠写真はわかりやすいし使いやすい、広角写真はわかりにくいし使いこなしも難しい、というのも理由のひとつか。

 言うまでもないが、遠くにあって近づいて写すことができない被写体 ━━ たとえば鳥や動物、競技場のスポーツ選手、レーシングカーなど ━━ を少しでも大きく写したい、なおかつ、望遠から広角まで自在に撮影したいとなれば、初心者/ベテランを問わず18~400mmレンズのほうがなにかと「便利」だろう。

 使ってみて18~400mmレンズの気になった点は、最大のセールスポイントでもある望遠側400mm(600mm相当)画角での描写性能が、やや物足りないこと。しかし、それに対して広角側18mm(27mm相当)の描写は、これがとても良いのだ。
 400mm側では開放F値で撮るには画質のことを考えて躊躇するときもあったが、18mm側ではF3.5開放でもどんどん撮影できる。400mm望遠側での描写がもう少し良ければ最強の高倍率ズームレンズとなっただろう。

 ズーミングの操作感は、やや重く途中で少し引っかかりがあってスムーズとは言い難い(これだけの高倍率ズームなんだから、このへんは大目に見たい)。
 その替わりと言っちゃなんだけど、カメラを上に向けても下に向けてもレンズがずるずる伸びたり縮んだりしてくるとことはなく、これは気分的にも大変にイイことです。

 ところで、16~300mmズームのほうは18~400mmとは逆に、300mm望遠側の描写性能が良くて16mm広角側の描写がいまいち。
 18~400mmレンズは600mm相当の超望遠がポイント、16~300mmレンズは24mm相当の広角画角が魅力なのだが、それぞれのアピールポイントが「チカラ不足」でした。タムロンには、もう一踏ん張り、がんばってほしかったですね。