至近距離での「実焦点距離」

タムロン・18~400mmF3.5~6.3 Di II VC HLD + ニコン・D500

 タムロンの公式スペック表によると18mmから400mmまでズーム全域で、最短撮影距離は約45センチとなる。
 以下はぼくの計測スペック。レンズ全長は18mm広角側のとき約12センチで、400mm望遠側にすると約21センチになる。この400mm時の最短撮影のとき、レンズ前面から被写体までのワーキングディスタンスは約15センチである。近からず遠からず、ちょうどいいディスタンスだ。




 そこで、「うわぁ、600mm相当の超望遠で15センチまで近づいて撮影できれば超々クローズアップになるじゃないか」と喜ぶ人もいるだろうが、いやいや、ちょっと待て。
 確かにそこそこのクローズアップはできるが、しかしこのときは400mm(600mm相当)の焦点距離とはならない。ここが肝心なこと。

 その時の実焦点距離は、だいたい100mm程度(150mm相当画角)になる ━━ なぜかタムロンは、この実焦点距離を「非公開だ」と言って教えてくれない、そんなの撮影して計算すればすぐにわかることなのに、ヘンだねタムロン ━━ 。

 インナーフォーカス方式のレンズでは多かれ少なかれあることだが、ピントを近距離にすればするほど実焦点距離は短くなってだんだんと実際の焦点距離よりも広角になる。
 こうしたピント位置による画角変化のことをブリージングという。

 ムービー用レンズではこのブリージング現象を嫌う。動画撮影中にフォーカス移動すると画角が広くなったり狭くなったりすると困るからだ。この画角変化については静止画では気づかないことが多く、それほど神経質にはならない。

 だから、ムービー用レンズではインナーフォーカス式のレンズであっても、光学設計を工夫したり努力してブリージングしないようなレンズを作る。ブリージングが発生しないレンズがムービー用レンズのセールスポイントにもなっている。
 最近の静止画用レンズでも、ムービー撮影に使用されることが多くなってきたのでブリージングしないレンズを設計をするメーカーも増えてきた。

 タムロンの場合(こういっちゃナンだけど)、以前からブリージングには無頓着なところがあった。とくに高倍率ズームレンズではそれが顕著だった。
 いやべつに、それはイケナイぞ、と言っているわけではない。ピント位置による画角変化にこだわらない光学設計をすることで、製造コストを抑えたり小型化できたりするメリットもある。こだわるかこだわらないか、それはメーカーの製品企画のフィロソフィーだ。

 18~400mmレンズで、実際に400mm側で最短撮影をしたとしても ━━ 実焦点距離100mmそこそこの画角での撮影になるけれど ━━ それほど違和感があるわけではない。ただ、400mmの焦点距離のまま(600mm相当の画角のまま)至近距離で撮影しているわけではないぞ、ということです。
 わかりにくい本日のタイトルの意味はこーゆーことです。