「おとな」の味がする実力派レンズ

ニコン・D750+タムロン・SP35mmF1.8 Di VC USD

 35mmと45mmという「似たような画角」のレンズのせいか、新SPレンズ2本を初めて手にしたときは、正直に言えば、どこかココロに"トン"と響くところが少なかった。
 しかし、そうした第一印象とは違って、2本のレンズとも、使い込んでいくうちにゆっくりとだけど「良さ」がこちらに伝わってきた。落ち着いて寡黙な、おとなの雰囲気のするレンズ。ちゃらちゃらして媚びるところがない。そんなレンズのようだった。




 とくに描写が、「おとな」の感じだった。カリカリで見るからに解像感パリパリの、若いお兄ちゃんぽい描写のレンズではなく、ほどよく抑えの効いた(自制心のある)レンズだ。
 そうした描写特性は、開放絞り値のときでもF5.6からF8ぐらいに絞り込んだときでも、大きな変化はなく、均一でじつに安定している。開放絞りのときは、まあそこそこだけど2~3段絞り込むとぐんっと描写性能が向上するぞ、といったような"わがまま"なレンズではない。

 それにしても、なぜ35mmと45mmという「近い」焦点距離で「外観」もそっくり、同じ開放F値のレンズをタムロンは同時に発表し発売したのだろうか。レンズの機構や機能も、よく似ている。35mm画角と45mm画角って、ひと昔の頃と違って、いまはそれほど「ときめく」レンズ画角でもない。オーソドックスで地味。
 2本同時発売するというのなら、たとえば、35mmと100mmとか、45mmと24mmだとか、だったらわからないでもないが。タムロンの謎だな。

 以下はぼくの想像だが、タムロンとしては久々の、チカラの入った単焦点レンズだ。新SPシリーズの始まりだ。そこで、まずは「単焦点大三元レンズ=80mm、50mm、35mm」を揃えてから(基礎固めをしてから)バリエーションを広げていこう、モノには順序ってモノがある、と、そんなふうに考えてるのかもしれぬ。

 せっかくの新型の実力派レンズ、その良さを積極的に伝えなきゃいけないタムロンのプロモーションがどうももの足りない感じ。なんといいますか、「ここが新SPレンズのイイところですよ」という大切なメッセージが希薄で、レンズの魅力がいまひとつ伝わってないようで、ハタから見てるともどかしい感じですね。…余計なひと言でした。